以下、実施形態を、図面に基づいて説明する。尚、以下の説明では、電子機器の一例としての携帯電話機を用いて説明を進める。但し、携帯電話機に限らず、その他の各種電子機器(例えば、PDAや、ミニパソコンや、ノートパソコンや、デスクトップパソコンや、ポータブルオーディオプレーヤや、ポータブル通信機器や、ナビゲーション装置等)に対して、後述する構成が適用されてもよい。言い換えれば、スピーカを備える任意の電子機器に対して、後述する構成が適用されてもよい。
(1)携帯電話機の外観
図1から図3を参照して、本実施形態の携帯電話機1の外観について説明する。図1は、開状態にある場合の、本実施形態の携帯電話機1のフロント側部分の外観を示す斜視図である。図2は、開状態にある場合の、本実施形態の携帯電話機1のリア側部分の外観を示す斜視図である。図3は、閉状態にある場合の、本実施形態の携帯電話機1の外観を示す斜視図及び側面である。
尚、以下では、折り畳み式の携帯電話機1を用いて説明を進める。しかしながら、その他の形状を有する携帯電話機(例えば、ストレート型の携帯電話機、スライド型の携帯電話機又はタッチパネルを搭載したスレート型の携帯電話機等)に対して、後述する構成が適用されてもよい。また、図1から図3では、本実施形態の携帯電話機1の説明に必要な構成を選択的に明示している。従って、本実施形態の携帯電話機1は、携帯電話機としての機能の実現に好ましい不図示の他の構成を適宜備えていてもよい。
図1及び図2に示すように、携帯電話機1は、表示側装置10と、操作側装置20とを備えている。尚、図1及び図2は、折り畳まれていない状態(つまり、開状態)の携帯電話機1を示している。
図1に示すように、表示側装置10は、そのフロント側(言い換えれば、内側ないしは表側)に、メインディスプレイ11と、受話口14とを備えている。メインディスプレイ11は、任意の情報(例えば、文字や画像や図柄等)を表示することができる。例えば、メインディスプレイ11は、現在の時刻や携帯電話機1の充電状況や携帯電話機1の電波の受信状態や発着信の履歴やアドレス帳やメール等を表示することができる。尚、メインディスプレイ11は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。受話口14は、その内側にスピーカ15を備えている。携帯電話機1のユーザは、スピーカ15から出力される音声を聞き取ることができる。
同様に、図1に示すように、操作側装置20は、そのフロント側に、複数の操作ボタン21と、送話口22とを備えている。複数の操作ボタン21は、ユーザによって操作可能であって、例えば数字ボタンや、電源ボタンや、通話ボタンや、メールボタンや、十字ボタン等を含む。送話口22は、その内側にマイク23を備えている。携帯電話機1のユーザは、マイク23を介して音声を携帯電話機1に入力することができる。
一方で、図2に示すように、操作側装置20は、そのリア側に、例えば画像ないしは動画を撮影するためのカメラ24や、カメラ24で撮影した動画の音声や携帯電話機1内部に蓄積された若しくはネットワーク経由でダウンロードされた音楽ファイル若しくは動画ファイル等の音声等を出力するためのスピーカ25や、不図示の充電池や、充電池を覆う電池蓋26や、充電池の充電を行うための金属製の充電端子27等を備えている。
図1及び図2に示すように、本実施形態の携帯電話機1は、図中の矢印の方向に沿って表示側装置10を操作側装置20に対して折り畳むことが可能な折り畳み式の携帯電話機1である。その結果、携帯電話機1は、図3(a)に示すように、表示側装置10が備えるメインディスプレイ11と操作側装置20が備える操作ボタン21とが対向するように折り畳まれた状態(つまり、閉状態)となる。
図3(b)に示すように、閉状態の携帯電話機1の表示側装置10は、そのリア側の表面を外部に露出させていてもよい。一方で、閉状態の携帯電話機1の表示側装置10は、そのフロント側の表面(つまり、メインディスプレイ11及び受話口14)を外部に露出させていなくともよい。但し、閉状態の携帯電話機1の表示側装置10は、そのリア側の表面を外部に露出させていなくともよいし、そのフロント側の表面を外部に露出させていてもよい。
同様に、図3(c)に示すように、閉状態の携帯電話機1の操作側装置20は、そのリア側の表面(つまり、カメラ24、スピーカ25、電池蓋26及び充電端子27)を外部に露出させている。一方で、閉状態の携帯電話機1の操作側装置20は、そのフロント側の表面(つまり、操作ボタン21及び送話口22)を外部に露出させていなくともよい。但し、閉状態の携帯電話機1の操作側装置20は、そのリア側の表面を外部に露出させていなくともよいし、そのフロント側の表面を外部に露出させていてもよい。
(2)スピーカの構成
図4から図12を参照して、本実施形態の携帯電話機1が備えるスピーカ15の構成について説明を進める。尚、以下では、スピーカ15に着目して説明を進めるが、スピーカ25も同様の構成を有していてもよい。
(2−1)スピーカの第1構成例
図4を参照して、第1構成例のスピーカ15aについて説明する。図4(a)は、スピーカ15を、携帯電話機1の表示側装置10のフロント側の表面から観察した場合の平面透視図を示している。図4(b)は、図4(a)に示すスピーカ15のIV−IV’断面図を示している。
図4(a)及び図4(b)に示すように、第1構成例のスピーカ15aは、磁石155が配置されるためのスペースを有するベース部分1511と、当該ベース部分1511を取り囲むと共に当該ベース部分1511からスピーカ15aの厚み方向(具体的には、図4(b)の上下方向)に突き出た側壁部分1512とを備えるフレーム151を備えている。フレーム151上には、振動板153が、振動板153の周縁部分が側壁部分1512に沿うように配置される。従って、フレーム151(つまり、ベース部分1511及び側壁部分1522)は、振動板153の形状に合わせた形状を有していることが好ましい。図4(a)に示す例では、フレーム151(つまり、ベース部分1511及び側壁部分1522)は、楕円形状を有する振動板153の形状に合わせて、楕円形状を有している。但し、フレーム151の形状が楕円形状に限定されることはなく、振動板153の形状に合わせた任意の形状(例えば、円形状や矩形の形状等)をフレーム151の形状として採用してもよい。フレーム151は、例えば樹脂から形成されていてもよいし、金属から形成されていてもよいし、木材から形成されていてもよいし、その他の材料から形成されていてもよい。
振動板153は、磁石155を取り囲む位置に又は磁石155と隣接する領域にコイル156を備えている。コイル156には、スピーカ15aの外部に配置される不図示の音声出力回路から、不図示の電気配線を介して、音声信号に応じた電流信号が供給される。その結果、コイル156と磁石155との間に電磁力が作用する。このため、コイル156が振動すると共に、当該コイル156の振動が振動板153の振動を引き起こす。従って、スピーカ15aから音声が出力される。振動板153は、例えば紙から形成されていてもよいし、樹脂から形成されてもよいし、金属から形成されていてもよいし、その他の材料から形成されていてもよい。
振動板153は、リング152aによってフレーム151(言い換えれば、フレーム151のベース部分1511)に圧着固定されている。リング152aは、振動板153とリング152aとの間の隙間又は振動板153とベース部分1511との間の隙間から振動板153の内部(つまり、磁石155やコイル156が配置されている領域)に対して水分等が侵入しない程度に、振動板153をベース部分1511に対して圧着固定することが好ましい。つまり、リング152aは、所望の防水性能を確保したスピーカ15aを実現することができる程度に、振動板153をベース部分1511に対して圧着固定することが好ましい。リング152aは、リング状の形状(或いは、任意の形状を有する閉ループ状の形状)を有していることが好ましい。リング152aは、その外周がベース151の側壁部分1512と隣接する又は密着するように配置されることが好ましい。リング152aの高さ(つまり、スピーカ15の厚み方向に沿った高さ)は、ベース151の側壁部分1512の高さと概ね等しくなることが好ましい。リング152aは、例えば樹脂から形成されていてもよいし、金属から形成されていてもよいし、その他の材料から形成されていてもよい。
リング152aの頂部(つまり、スピーカ15aの厚み方向における最外部)及び側壁部分1512の頂部の夫々には、接着材157を介してキャップ154が貼り付けられている。言い換えれば、フレーム151の側壁部分1512の外周に嵌合するようなキャップ形状を有するキャップ154が、接着材157を介してリング152a及び側壁部分1512に貼り付けられている。キャップ154は、キャップ154とリング152aとの間の隙間又はキャップ154と側壁部分1512との間の隙間からスピーカ15aの奥側(つまり、図4(b)に示すスピーカ15aの下部の領域)に対して水分等が侵入しない程度に、リング152a及び側壁部分1512に貼り付けられている(或いは、圧着固定されている)ことが好ましい。キャップ154は、例えば、スピーカ15aの内部の構造物(例えば、振動板153等)を外部の衝撃等から保護する。キャップ154の一部(より具体的には、スピーカ15aの厚み方向に沿って振動板153の中心部と対向する部分)は、開口を有していることが好ましい。これにより、振動板153の振動によって発生した音声が、開口を介してスピーカ15aの外部へ出力される。
第1構成例では、キャップ154側(言い換えれば、接着材157側であり、スピーカ15aの外部側)のリング152aの内径R1は、振動板153側(言い換えれば、ベース部分1511側であり、スピーカ15aの内部側)のリング152aの内径R2よりも小さいことが好ましい。振動板153側のリング152aの内径R2は、リング152aが振動板153の振動を妨げない状態を実現することができる値に設定されることが好ましい。一方で、キャップ154側のリング152aの内径R1は、リング152aとキャップ154との間の良好な接着を維持できる程度の接着面積を実現することができ且つスピーカ15aの音声出力の特性に悪影響を与えない値が設定されることが好ましい。尚、振動板153と対向するリング152aの外径は、キャップ154側のリング152aの外径と同一であることが好ましいが、異なっていてもよい。
加えて、第1構成例のスピーカ15aでは、リング152aの内径は、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて連続的に小さくなっている。より具体的には、第1構成例のスピーカ15aでは、リング152aの内径は、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて、R2からR1に至るまで連続的に小さくなっている。例えば、第1構成例のスピーカ15aでは、リング152aの内周側の形状は、いわゆるテーパ形状になっている。尚、リング152aの内径は、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて同一の割合で小さくなってもよい。つまり、リング152aの内周側の形状は、直線状になっていてもよい。或いは、リング152aの内径は、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて異なる割合で(或いは、任意の割合で)小さくなってもよい。つまり、リング152aの内周側の形状は、曲線状になっていてもよい。或いは、リング152aの内径が小さくなっていく割合は、リング152aの全ての部分で同一であってもよいし、リング152aの複数部分で夫々異なっていてもよい。
尚、上述したリング152aの内径R1及び内径R2(或いは、内径R(但し、R1<R<R2)は、リング152aの全周に渡って均一になっていてもよいし、リング152aの複数部分(具体的には、リング152aの円周のうちの一部と他の一部)で夫々異なっていてもよい(つまり、ばらつきを有していてもよい)。要は、リング152aの全周に渡って内径がR1及び内径R2(或いは、内径R(但し、R1<R<R2)に固定されていなくとも、リング152aとキャップ154との間の接着面積S1がリング152aと振動板153との間の接触面積S2よりも大きくなる状態を実現できるようにリング152aの内周側の形状が所定の形状になっていればよい。つまり、このような状態を満たす場合には、リング152aの内径にばらつきは許容される。
その結果、キャップ154と対向するリング152aの表面(つまり、スピーカ15aの厚み方向に直交する方向に沿ったリング152aの表面)の面積S1は、振動板153と対向するリング152aの表面の面積S2よりも大きくなる。言い換えれば、リング152aとキャップ154との間の接着面積S1は、リング152aと振動板153との間の接触面積S2よりも大きくなる。
尚、ここで言う「接着面積」とは、2つの対象物が直接的に接着している場合の接着面積のみならず、間に接着材157等を介在させた状態で2つの対象物が接着している場合の接着面積をも意味する広い趣旨である。
以上説明したように、第1構成例のスピーカ15aによれば、リング152aとキャップ154との間の接着面積S1が相対的に大きくなる状態を維持することができる。このため、リング152aとキャップ154との間の良好な接着(つまり、リング152a及びフレーム151とキャップ154との間の良好な接着)を実現することができる。つまり、リング152aとキャップ154とがはがれにくくなる。従って、リング152aとキャップ154とがはがれてしまうことで水分がスピーカ15aの奥側に侵入してしまうことが殆ど又は全くなくなる。つまり、スピーカ15aの防水性能を好適に確保することができる。
更に、第1構成例のスピーカ15aによれば、リング152aと振動板153との間の接触面積S2が相対的に小さくなる状態を維持することができる。言い換えれば、第1構成例のスピーカ15aによれば、リング152aとキャップ154との間の接着面積S1が大きくなる状態を維持しつつも、リング152aと振動板153との間の接触面積S2が相対的に小さくなる状態を維持することができる。更に言い換えれば、本実施形態のスピーカ15aによれば、キャップ154側のリング152aの内径R1を小さくしつつも、振動板153側のリング152aの内径R2を小さくしなくともよくなる。このため、リング152aが振動板153の振動領域にまで侵入してくることは殆ど又は全くなくなる。つまり、振動板153の振動が、リング152aによって妨げられることが殆ど又は全くなくなる。このため、スピーカ15aの音圧が低下することは殆ど又は全くなくなる。
ここで、図5を参照して、比較例のスピーカ95について説明する。ここに、図5は、比較例のスピーカ95の構成を示す断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図5に示すよう、比較例のスピーカ95では、キャップ154とリング952との間の接触面積S1が相対的に大きくなる状態を実現するためにキャップ154側のリング952の内径をR1に設定すると共に、振動板153側のリング952の内径もまたR1に設定している。つまり、比較例のスピーカ95では、キャップ154側のリング952の内径をR1にまで大きくすることに伴って、振動板153側のリング952の内径もまたR1にまで大きくしている。つまり、比較例のスピーカ95では、キャップ154側のリング952の内径R1と、振動板153側のリング952の内径R1とが等しくなっている。このため、図5中の振動板153の点線部分で示すように、リング952が振動板153の振動領域にまで侵入してしまいかねない。つまり、比較例のスピーカ95では、振動板153の振動が、リング952によって妨げられかねない。このため、スピーカ95の音圧が低下してしまいかねない。
しかるに、本実施形態のスピーカ15aでは、上述したように、キャップ154側のリング952aの内径をR1にまで大きくする一方で、振動板153側のリング952aの内径をR2のまま(つまり、R1よりも小さい値のまま)維持することができる。このため、比較例のスピーカ95で生ずる技術的な問題点は殆ど又は全く生じない。
加えて、本実施形態のスピーカ15aでは、スピーカ15a内部に通常形成されるデッドスペース部分(具体的には、振動板153とリング152aとキャップ154とに囲まれる空隙部分)に向けてリング152を拡大している。このため、スピーカ15a全体としてのサイズを変えることなく、上述したスピーカ15aを実現することができる。つまり、スピーカ15a全体としてのサイズを変えることなく、上述した各種効果を享受することができる。
加えて、同一の内径及び外形を維持したままスピーカ15aの高さ方向に伸長するリング(例えば、図5に示すリング952)を高精度に製造することには多少の技術的な困難が伴う。しかしながら、第1構成例によれば、リング152aの内径に対して多少の自由度が認められるため、リング152aを比較的容易に製造することができる。従って、リング15aの製造コストを相対的には低減することができる。
尚、上述の説明では、リング152aの内径を変えることで、リング152aとキャップ154との間の接着面積S1が大きくなる状態を維持しつつも、リング152aと振動板153との間の接触面積S2が相対的に小さくなる状態を維持している。しかしながら、リング152aの内径を変える手法とは異なる他の手法(例えば、リング152aの内径以外の形状を変える手法等)を用いて、リング152aとキャップ154との間の接着面積S1が大きくなる状態を維持しつつも、リング152aと振動板153との間の接触面積S2が相対的に小さくなる状態を維持してもよい。このように構成しても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
(2−2)スピーカの第2構成例
図6を参照して、第2構成例のスピーカ15bについて説明する。図6は、第2構成例のスピーカ15bの構成を示す断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図6に示すように、第2構成例のスピーカ15bは、第1構成例のスピーカ15aと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。
第2構成例のスピーカ15bでは、リング152bの内径は、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて段階的に小さくなっている。より具体的には、第2構成例のスピーカ15bが備えるリング152bは、内径がR2となるリング部分と、内径がR2よりも小さいR1となるリング部分とが一体形成されている。つまり、第2構成例のスピーカ15bでは、リング152bの内周側の形状は、いわゆる2段の段差形状になっていることが好ましい。内径がR1となるリング部分がキャップ154側に位置する一方で、内径がR2となるリング部分は振動板153側に位置している。
尚、上述したリング152bの内径R1は、リング152bの全周に渡って均一になっていてもよいし、リング152bの複数部分(具体的には、リング152aの円周のうちの一部と他の一部)で夫々異なっていてもよい(つまり、ばらつきを有していてもよい)。同様に、上述したリング152bの内径R2は、リング152bの全周に渡って均一になっていてもよいし、リング152bの複数部分で夫々異なっていてもよい(つまり、ばらつきを有していてもよい)。要は、リング152bの全周に渡って内径がR1となるリング部分と内径がR2となるリング部分とを備えていなくとも、リング152bとキャップ154との間の接着面積S1がリング152bと振動板153との間の接触面積S2よりも大きくなる状態を実現できるようにリング152bの内周側の形状が段差形状になっていればよい。つまり、このような状態を満たす場合には、リング152bの内径にばらつきは許容される。
その結果、キャップ154と対向するリング152bの表面の面積S1は、振動板153と対向するリング152bの表面の面積S2よりも大きくなる。言い換えれば、リング152bとキャップ154との間の接着面積S1は、リング152bと振動板153との間の接触面積S2よりも大きくなる。従って、第2構成例のスピーカ15bによれば、第1構成例のスピーカ15aが享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
(2−3)スピーカの第3構成例
図7を参照して、第3構成例のスピーカ15cについて説明する。図7は、第3構成例のスピーカ15cの構成を示す断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15a又は第2構成例のスピーカ15bと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図7に示すように、第3構成例のスピーカ15cは、第1構成例のスピーカ15aと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。
第3構成例のスピーカ15cでは、リング152cの内径は、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて段階的に小さくなっている。より具体的には、第3構成例のスピーカ15cが備えるリング152cは、内径がR2となるリング部分と、内径がR2よりも小さいR3となるリング部分と、内径がR2及びR3よりも小さいR1となるリング部分とが一体形成されている。つまり、第3構成例のスピーカ15cでは、リング152cの内周側の形状は、いわゆる3段の段差形状になっていることが好ましい。内径がR1となるリング部分がキャップ154側に位置する一方で、内径がR2となるリング部分は振動板153側に位置している。
尚、上述したリング152cの内径R1、内径R2又は内径R3は、リング152cの全周に渡って均一になっていてもよいし、リング152cの複数部分(具体的には、リング152aの円周のうちの一部と他の一部)で夫々異なっていてもよい(つまり、ばらつきを有していてもよい)。要は、リング152cの全周に渡って内径がR1となるリング部分と内径がR2となるリング部分と内径がR3となるリング部分とを備えていなくとも、リング152cとキャップ154との間の接着面積S1がリング152cと振動板153との間の接触面積S2よりも大きくなる状態を実現できるようにリング152cの内周側の形状が段差形状になっていればよい。つまり、このような状態を満たす場合には、リング152cの内径にばらつきは許容される。
その結果、キャップ154と対向するリング152cの表面の面積S1は、振動板153と対向するリング152cの表面の面積S2よりも大きくなる。言い換えれば、リング152cとキャップ154との間の接着面積S1は、リング152cと振動板153との間の接触面積S2よりも大きくなる。従って、第3構成例のスピーカ15cによれば、第1構成のスピーカ15aが享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
加えて、第3構成例のスピーカ15cによれば、図7中点線で示すように振動板153が振動した場合であっても、振動板153がリング152cに衝突してしまう状態が発生することを好適に抑制することができる。つまり、第3構成例のスピーカ15cでは、リング152cの段差が多段になっているため、リング152cが振動板153の振動範囲内に入らなくなるように構成し易くなる。従って、振動板153の振動が、リング152cによって妨げられることは殆ど又は全くなくなる。このため、スピーカ15cの音圧が低下してしまうことは殆ど又は全くなくなる。
尚、図7では、リング152cの内周側の形状が3段の段差形状になっている例を示している。しかしながら、リング152cの内周側の形状が更に多段(つまり、4段以上)の段か形状になっていてもよい。
(2−4)スピーカの第4構成例
図8を参照して、第4構成例のスピーカ15dについて説明する。図8は、第4構成例のスピーカ15dの構成を示す断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aから第3構成例のスピーカ15cと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図8に示すように、第4構成例のスピーカ15bは、第1構成例のスピーカ15aと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。加えて、第4構成例のスピーカ15dは、第1構成例のスピーカ15aと同様に、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて内径が連続的に小さくなっているリング152dを備えている。
第4構成例のスピーカ15cでは、第1構成例のスピーカ15aとは異なり、リング152dが複数のリング部分に分割されている。具体的には、リング152dは、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて内径がR2からR3(但し、R3<R2)に至るまで連続的に小さくなっているリング部分1521dと、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて内径がR3からR1(但し、R1<R3)に至るまで連続的に小さくなっているリング部分1522dとを含む。つまり、第4構成例のスピーカ15dは、リング152dが複数のリング部分(つまり、複数の部品)を含むという点で、リング152aが一体形成されている第1構成例のスピーカ15aとは異なっている。
このような第4構成例のスピーカ15dであっても、第1構成例のスピーカ15aが享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
(2−5)スピーカの第5構成例
図9を参照して、第5構成例のスピーカ15eについて説明する。図9は、第5構成例のスピーカ15eの構成を示す断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aから第4構成例のスピーカ15dと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図9に示すように、第5構成例のスピーカ15eは、第2構成例のスピーカ15bと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。加えて、第5構成例のスピーカ15eは、第2構成例のスピーカ15bと同様に、内周側の形状が2段の段差形状になっているリング152eを備えている。
第5構成例のスピーカ15eでは、第2構成例のスピーカ15bとは異なり、リング152eが複数のリング部分に分割されている。具体的には、リング152eは、内径がR1となるリング部分1521eと、内径がR2となるリング部分1522eとを含む。つまり、第5構成例のスピーカ15eは、リング152eが複数のリング部分(つまり、複数の部品)を含むという点で、リング152bが一体形成されている第2構成例のスピーカ15bとは異なっている。
このような第5構成例のスピーカ15eであっても、第2構成例のスピーカ15bが享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
加えて、第5構成例によれば、内径が途中で変わりながらスピーカ15eの高さ方向に伸長する複雑な金型を使用してリング152eを製造しなくともよくなる。つまり、第5構成例によれば、内径が異なる複数種類のリング部分1521e及び1522eを製造すれば、内周側の形状が段差形状となるリング152eを製造することができる。従って、リング152eを比較的容易に製造することができる。
(2−6)スピーカの第6構成例
図10を参照して、第6構成例のスピーカ15fについて説明する。図10は、第6構成例のスピーカ15fの構成を示す断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aから第5構成例のスピーカ15eと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図10に示すように、第6構成例のスピーカ15fは、第3構成例のスピーカ15cと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。加えて、第6構成例のスピーカ15fは、第3構成例のスピーカ15cと同様に、内周側の形状が3段の段差形状になっているリング152fを備えている。
第6構成例のスピーカ15fでは、第3構成例のスピーカ15cとは異なり、リング152fが複数のリング部分に分割されている。具体的には、リング152fは、内径がR1となるリング部分1521fと、内径がR3となるリング部分1522fと、内径がR2となるリング部分1523fとを含む。つまり、第6構成例のスピーカ15fは、リング152fが複数のリング部分(つまり、複数の部品)を含むという点で、リング152cが一体形成されている第3構成例のスピーカ15cとは異なっている。
このような第6構成例のスピーカ15fであっても、第3構成例のスピーカ15cが享受する効果と同様の効果を好適に享受することができる。
加えて、第6構成例によれば、内径が途中で変わりながらスピーカ15fの高さ方向に伸長する複雑な金型を使用してリング152fを製造しなくともよくなる。つまり、第6構成例によれば、内径が異なる複数種類のリング部分1521f、1522f及び1523fを製造すれば、内周側の形状が段差形状となるリング152fを製造することができる。従って、リング152fを比較的容易に製造することができる。
(2−7)スピーカの第7構成例
図11を参照して、第7構成例のスピーカ15gについて説明する。図11は、第7構成例のスピーカ15gの構成を示す平面透視図及び断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aから第6構成例のスピーカ15fと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図11(a)から図11(c)に示すように、第7構成例のスピーカ15gは、第1構成例のスピーカ15aと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。
第7構成例のスピーカ15gでは、図11(a)に示されるスピーカ15gのXI−XI’断面図である図11(b)に示すように、リング152gの一部分(具体的には、リング152gの円周のうちの一部)において、リング152gの内径が、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれてR2からR1に至るまで連続的に小さくなっている。
一方で、第7構成例のスピーカ15gでは、図11(a)に示されるスピーカ15gのXI’’−XI’’’断面図である図11(c)に示すように、リング152gの他の一部分(具体的には、リング152gの円周のうちの他の一部)において、リング152gの内径はR2のまま固定されている。つまり、第7構成例のスピーカ15gでは、リング152gの他の一部分において、リング152gの内径が、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれてR2からR1に至るまで連続的に小さくなっていなくともよい。
つまり、第7構成例のスピーカ15gは、リング152gの円周のうちの一部において内径が連続的に小さくなっているという点で、リング152の全周に渡って内径が連続的に又は段階的に小さくなっている第1構成例のスピーカ15aから第6構成例のスピーカ15fとは異なっている。
このような第7構成例のスピーカ15gであっても、リング152gの一部分において、リング152gとキャップ154との間の接着面積S1が相対的に大きくなる状態を維持することができる。このため、リング152gとキャップ154との間の良好な接着を想到に実現することができる。従って、第1構成例のスピーカ15aが享受する効果と同様の効果を相応に享受することができる。
尚、内径が連続的に又は段階的に小さくなるリング部分は、フレーム151の外縁部分(つまり、キャップ154の内縁部分であって、図11(a)の矩形状部分)とフレーム151の側壁部分1512との間の距離が相対的に短い箇所に設けられることが好ましい。フレーム151の外縁部分とフレーム151の側壁部分1512との間の距離が相対的に短い箇所の一例として、図11(a)に示す一点鎖線XI−XI’の両端付近や、当該一点鎖線XI−XI’と直交すると共にスピーカ15gの中心を通過する仮想的な線の両端付近があげられる。このような箇所に内径が連続的に又は段階的に小さくなるリング部分を設ければ、フレーム151の強度が相対的に弱くなる箇所に相対的に幅が広いリング152gを配置することができる。このため、スピーカ15gの強度を相対的に増加させることができる。
或いは、内径が連続的に又は段階的に小さくなるリング部分は、コイル156に対して電流信号を供給する不図示の電気配線が配置される箇所又は当該箇所の隣接部分に設けられることが好ましい。電気配線が配置される場合には、フレーム151に貫通孔が開けられることで当該貫通孔を介して電気配線がとりまわされることが多い。従って、このような箇所に内径が連続的に又は段階的に小さくなるリング部分を設ければ、貫通孔の影響でフレーム151の強度が相対的に弱くなる箇所に相対的に幅が広いリング152gを配置することができる。このため、スピーカ15gの強度を相対的に増加させることができる。
また、第7構成例のスピーカ15gでは、内周側の形状が第1構成例のリング152aと同様の形状となるリング152gを採用する例について説明している。しかしながら、第7構成例のスピーカ15gでは、内周側の形状が2段以上の段差形状となるリング152g(つまり、第2構成例のリング152bから第6構成例のリング152fと同様の形状となるリング152g)を採用してもよい。
(2−8)スピーカの第8構成例
図12を参照して、第8構成例のスピーカ15hについて説明する。図12は、第8構成例のスピーカ15hの構成を示す平面透視図及び断面図である。尚、第1構成例のスピーカ15aから第7構成例のスピーカ15gと同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図12(a)から図12(c)に示すように、第8構成例のスピーカ15hは、第1構成例のスピーカ15aと同様に、ベース部分1511及び側壁部分1512を含むフレーム151と、振動板153と、キャップ154と、磁石155と、コイル156と、接着材157を備えている。
第8構成例のスピーカ15hでは、図12(a)に示されるスピーカ15hのXII−XII’断面図である図12(b)に示すように、振動板153の一部(言い換えれば、振動板153の周縁のうちの一部)に対応する領域において、振動板153側からキャップ154側に向かうにつれて内径がR2からR1に至るまで連続的に小さくなるリング152hが配置される。
一方で、第8構成例のスピーカ15hでは、図12(a)に示されるスピーカ15hのXII’’−XII’’’断面図である図12(c)に示すように、振動板153の他の一部(言い換えれば、振動板153の周縁のうちの他の一部)に対応する領域においてリング152hが配置されなくともよい。
つまり、第8構成例のスピーカ15gは、リング152gが振動板153の周縁部分のうちの一部に配置されているという点で、リング152が振動板153の周縁部分の全体に渡って配置されている第1構成例のスピーカ15aから第7構成例のスピーカ15gとは異なっている。
このような第8構成例のスピーカ15hであっても、振動板153の一部に対応する一部の領域において、リング152hとキャップ154との間の接着面積S1が相対的に大きくなる状態を維持することができる。このため、リング152hとキャップ154との間の良好な接着を想到に実現することができる。従って、第1構成例のスピーカ15aが享受する効果と同様の効果を相応に享受することができる。
尚、リング152hは、フレーム151の外縁部分(つまり、キャップ154の内縁部分であって、図12(a)の矩形状部分)とフレーム151の側壁部分1512との間の距離が相対的に短い箇所に設けられることが好ましい。フレーム151の外縁部分とフレーム151の側壁部分1512との間の距離が相対的に短い箇所の一例として、図12(a)に示す一点鎖線XII−XII’の両端付近や、当該一点鎖線XII−XII’と直交すると共にスピーカ15hの中心を通過する仮想的な線の両端付近があげられる。このような箇所にリング152hを設ければ、フレーム151の強度が相対的に弱くなる箇所にリング152hを配置することができる。このため、スピーカ15hの強度を相対的に増加させることができる。
或いは、リング152hは、コイル156に対して電流信号を供給する不図示の電気配線が配置される箇所又は当該箇所の隣接部分に設けられることが好ましい。電気配線が配置される場合には、フレーム151に貫通孔が開けられることで当該貫通孔を介して電気配線がとりまわされることが多い。従って、このような箇所にリング152hを設ければ、貫通孔の影響でフレーム151の強度が相対的に弱くなる箇所にリング152hを配置することができる。このため、スピーカ15hの強度を相対的に増加させることができる。
また、第8構成例のスピーカ15hでは、内周側の形状が第1構成例のリング152aと同様の形状となるリング152hを採用する例について説明している。しかしながら、第8構成例のスピーカ15hでは、内周側の形状が2段以上の段差形状となるリング152h(つまり、第2構成例のリング152bから第6構成例のリング152fと同様の形状となるリング152h)を採用してもよい。
尚、上述した説明では、スピーカ15として、ダイナミック型のスピーカを用いている。しかしながら、他の方式を採用するスピーカであっても、振動板153を固定するリングないしは任意の固定部材について上述した構成を採用してもよい。このような構成を採用しても、上述した各種効果を相応に享受することができる。
また、上述した構成は、スピーカ15に限らず、例えばムービング・コイル型の又はリボン型のマイク(いわゆる、ダイナミック型のマイク)に対しても適用してもよい。より具体的には、ムービング・コイル型の又はリボン型のマイク(いわゆる、ダイナミック型のマイク)が振動板又は薄金属膜を固定するリングないしは任意の固定部材を採用している場合には、上述した構成を採用してもよい。このような構成を採用しても、上述した各種効果を相応に享受することができる。また、ダイナミック型のマイクのみならず、例えばコンデンサ型のマイクであっても、ダイヤフラムを固定するリングないしは任意の固定部材に対して上述した構成を採用することで、上述した各種効果を相応に享受することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なうスピーカ、マイク及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。