JP5642919B2 - 搬送波位相式移動体測位装置 - Google Patents

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本発明は、移動体に搭載され、該移動体の位置を測位する搬送波位相式移動体測位装置に関する。
従来から、搬送波位相式移動体測位装置の測位過程で算出される整数値バイアスの整数解の妥当性を評価するために、レシオテストを行うことが知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献2参照)。レシオテストは、一般的に、整数値バイアスの整数解の候補として、最も誤差が小さい第1候補と、次に誤差が小さい第2候補を用いて、実数解と各候補の距離(ノルム)を算出し、その比(「レシオR」と称する)が所定閾値以上か否かを判断することにより、実現される。
特表2001−508182号公報 新GPS測量の基礎(書籍)
しかしながら、従来のレシオテストのようなテスト方法では、閾値が固定されているため、整数値バイアスの整数解のテスト方法として不十分な側面がある。即ち、ノイズ等の影響で実数解の精度が悪くなると、レシオRが低い値となるので、整数値バイアスの整数解が、精度が低いとしてはじかれてしまう虞がある。しかしながら、ノイズ等の影響で実数解の精度が悪くなっても、正確な整数値バイアスの整数解が得られる場合もあるので、レシオRが低い値となっても、このような正確な整数値バイアスの整数解を採用できるようなテスト方法が有用である。他方、ノイズ等の影響で実数解の精度が悪くなると、正確な整数値バイアスの整数解が得られる可能性が低いので、この点も考慮する必要がある。
そこで、本発明は、整数値バイアスの整数解の妥当性を高い精度で評価することができる搬送波位相式移動体測位装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明は、移動体に搭載され、該移動体の位置を測位する搬送波位相式移動体測位装置であって、
衛星からの受信電波の観測結果に基づいて、搬送波位相の積算値の整数値バイアスの実数解を導出する実数解導出手段と、
前記実数解導出手段により導出された実数解に基づいて整数値バイアスの整数解を導出する整数解導出手段と、
前記実数解導出手段により導出された整数値バイアスの実数解と前記整数解導出手段により導出された整数値バイアスの整数解との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を指標する所定の指標値を算出し、該算出した指標値と閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価するテスト手段とを含み、
前記テスト手段は、前記閾値を2種類以上用いて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価し、
前記整数解導出手段は、一の実数解に対して少なくとも2以上の整数値バイアスの候補を導出し、該整数値バイアスの候補は、最も誤差が小さい第1候補と、次に誤差が小さい第2候補を少なくとも含み、
前記テスト手段は、前記整数値バイアスの整数解の第1候補と、対応する実数解との誤差と、前記整数値バイアスの整数解の第2候補と、対応する実数解との誤差との比を前記指標値として算出し、
前記2種類以上の閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも小さい第2閾値とを含み、
前記テスト手段は、前記算出した指標値が前記第1閾値を越える場合には、前記整数値バイアスの整数解が妥当であると判断し、前記算出した指標値が前記第1閾値を越えないが前記第2閾値を越える場合には、特定の衛星に関する前記整数値バイアスの実数解及び整数解を排除して前記指標値を再算出し、該再算出した指標値と前記第1閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価することを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明に係る移動体測位装置において、
前記テスト手段が前記閾値を2種類以上用いて前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価し、
前記2種類以上の閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも穏やかな第2閾値とを含み、
前記テスト手段は、前記算出した指標値が前記第1閾値を満たす場合には、前記整数値バイアスの整数解が妥当であると判断し、前記算出した指標値が前記第1閾値を満たさないが前記第2閾値を満たす場合には、特定の衛星に関する前記整数値バイアスの実数解及び整数解を排除して前記指標値を再算出し、該再算出した指標値と閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価することを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明に係る移動体測位装置において、
前記第1閾値及び/又は前記第2閾値は、前記実数解の信頼度を与えるパラメータに基づいて可変されることを特徴とする。
第5の発明は、第3の発明に係る移動体測位装置において、
前記テスト手段は、前記再算出した指標値が、前記第1閾値を満たす場合には、前記整数値バイアスの整数解が妥当であると判断することを特徴とする。
第6の発明は、第3の発明に係る移動体測位装置において、
前記実数解導出手段及び前記整数解導出手段は、前記テスト手段により再算出された指標値が前記第1閾値を満たす場合には、前記特定の衛星を排除して、前記整数値バイアスの実数解及び整数解を再演算することを特徴とする。
第9の発明は、移動体に搭載され、該移動体の位置を測位する搬送波位相式移動体測位装置であって、
衛星からの受信電波の観測結果に基づいて、搬送波位相の積算値の整数値バイアスの実数解を導出する実数解導出手段と、
前記実数解導出手段により導出された実数解に基づいて整数値バイアスの整数解を導出する整数解導出手段と、
前記実数解導出手段により導出された整数値バイアスの実数解と前記整数解導出手段により導出された整数値バイアスの整数解との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を指標する所定の指標値を算出し、該算出した指標値と閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価するテスト手段とを含み
前記整数解導出手段は、一の実数解に対して少なくとも2以上の整数値バイアスの候補を導出し、該整数値バイアスの候補は、最も誤差が小さい第1候補と、次に誤差が小さい第2候補を少なくとも含み、
前記テスト手段は、前記整数値バイアスの整数解の第1候補と、対応する実数解との誤差と、前記整数値バイアスの整数解の第2候補と、対応する実数解との誤差との比を前記指標値として算出し、
前記テスト手段は、前記整数解導出手段により導出された整数値バイアスの整数解の第1候補が変化した場合、該変化前の整数解の第1候補と該変化後の実数解との関係に基づいて、前記指標値を算出し、該算出した指標値を、前記変化前の整数解の第1候補と前記変化前の実数解との関係に基づいて算出された前記指標値と比較し、これらの指標値間の差が所定基準値よりも小さい場合には、前記変化前の整数解が妥当であると判断することを特徴とする。
本発明によれば、整数値バイアスの整数解の妥当性を高い精度で評価することができる搬送波位相式移動体測位装置が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明に係る搬送波位相式測位システムの構成図である。図1に示すように、GPS測位システムは、地球周りを周回するGPS衛星10と、地球上の所定位置(既知点)に設置される固定型の基準局20と、地球上に位置し地球上を移動しうる車両30とから構成される。尚、車両30は、あくまで移動体の一例であり、その他の移動体としては、自動二輪車、鉄道、船舶、航空機、ホークリフト、ロボットや、人の移動に伴い移動する携帯電話等の情報端末等がありうる。
GPS衛星10は、航法メッセージを地球に向けて常時放送する。航法メッセージには、対応するGPS衛星10に関する軌道情報、時計の補正値、電離層の補正係数が含まれている。航法メッセージは、C/Aコードにより拡散されL1搬送波(周波数:1575.42MHz)に乗せられて、地球に向けて常時放送されている。
図2は、図1の搬送波位相式GPS測位システムのより詳細な構成図である。車両30は、GPS受信機32を備える。GPS受信機32内には、その周波数がGPS衛星10の搬送周波数と一致する発振器(図示せず)が内蔵されている。GPS受信機32は、GPSアンテナ32aを介してGPS衛星10から受信した電波(衛星信号)を中間周波数に変換後、GPS受信機32内で発生させたレプリカC/Aコードを用いてC/Aコード同期を行い、航法メッセージを取り出す。尚、C/Aコード同期の方法は、多種多様でありえ、任意の適切な方法が採用されてよい。例えば、DDL(Delay―Locked
Loop)を用いて、受信したC/Aコードに対するレプリカC/Aコードの相関値がピークとなるコード位相を追尾する方法であってよい。
また、GPS受信機32は、各GPS衛星10iからの搬送波に基づいて、搬送波位相の位相積算値Φiuを計測する。尚、位相積算値Φiuについて、添え字i(=1,2,・・・)は、各GPS衛星10iに割り当てられた番号を示し、添え字uは車両30側での積算値であることを示す。位相積算値Φiuは、次式に示すように、搬送波受信時刻tでの発振器の位相Θiu(t)と、GPS衛星10iでの衛星信号発生時の搬送波位相Θiu(t−τ)との差として得られる。
Φiu(t)=Θiu(t)−Θiu(t−τu)+Niu+εiu(t) 式(1)
ここで、τuは、GPS衛星10からGPS受信機32までのトラベル時間を示し、εiuは、ノイズ(誤差)を表わす。尚、位相差の観測開始時点では、GPS受信機32は、搬送波位相の1波長以内の位相を正確に測定できるが、それが何波長目に相当するかを確定できない。このため、位相積算値Φiu(t)には、上式に示すように、不確定な要素として整数値バイアスNiuが導入される。
また、GPS受信機32は、各GPS衛星10iからの各搬送波に乗せられるC/Aコードに基づいて、擬似距離ρiuを計測する。ここで計測される擬似距離ρiuは、以下のように距離誤差等の誤差を含んでいる。
ρiu(t)=c・τu+b 式(2)
ここで、cは光速であり、bは、クロックバイアスとも称され、GPS受信機32内の時計誤差による距離誤差に対応する。
GPS受信機32には、処理装置40が接続される。処理装置40は、以下で詳説する各種測位演算処理を行う装置である。処理装置40は、マイクロコンピューターないしプロセッサ(DSP)を中心として構成されてよい。尚、処理装置40は、GPS受信機32に内蔵されてもよい。
処理装置40には、車両30に搭載される車両センサ50が接続される。車両センサ50は、車両30の位置、移動量(速度)及び向き(方位)ないし姿勢に関連する情報(以下、「車両情報」という)を取得するセンサであり、複数種のセンサの組み合わせであってよい。例えば、車両センサ50は、車両30の方位を検出する磁気インピーダンスセンサ(地磁気センサ)と、車両30の加速度を検出する加速度センサとの組み合わせであってよい。或いは、車両センサ50は、加速度センサと、車両30のヨー方向の速度(角速度)を検出するヨーレートセンサ(ジャイロセンサ)との組み合わせ(即ち、INSセンサ)であってもよい。車両センサ50は、車輪速センサを含んでもよい。車両センサ50からの車両情報は、所定周期毎に、処理装置40に入力される。
処理装置40は、通信機能を備え、基準局20側の携帯電話基地局等のような通信施設23と双方向通信を行うように構成されている。
基準局20は、GPSアンテナ22aを備えるGPS受信機22を有する。GPS受信機22は、車両30のGPS受信機32と同様に、各GPS衛星10iからの搬送波に基づいて、次式に示すように、搬送波受信時刻tにおける搬送波位相の積算値Φik(t)を計測する。
Φik(t)=Θik(t)−Θik(t−τk)+Nik+εik(t) 式(3)
尚、Nikは、整数値バイアスを示し、εikは、ノイズ(誤差)を表わす。尚、位相積算値Φikについて、添え字kは基準局20側での積算値であることを示す。
また、GPS受信機22は、各GPS衛星10iからの各搬送波に乗せられるC/Aコードに基づいて、擬似距離ρikを計測する。
ρik(t)=c・τk+b 式(4)
基準局20は、計測した位相積算値Φik及び擬似距離ρikを通信施設23を介して車両30(処理装置40)に送信する。尚、基準局20は、所定領域に複数設置されている。各基準局20と通信施設23(複数も可)とは、図2に示すように、インターネット等のネットワークを介して接続されてよく、若しくは、基準局20毎に通信施設23が設けられてもよい。前者の構成では、車両30は、通信施設23との間で通信可能な状態である限り、各基準局20が受信した情報を得ることができる。
図3は、処理装置40の主要構成を示すブロック図である。処理装置40は、図3に示すように、衛星位置算出部42と、整数値バイアス推定部48と、テスト部49とを含む。
衛星位置算出部42は、GPS受信機32が受信した航法メッセージの軌道情報に基づいて、観測可能な各GPS衛星10iの、時刻tにおけるワールド座標系(WGS84)での位置(Xi(t)、Yi(t)、Zi(t))を計算する。尚、GPS衛星10は、人工衛星の1つであるので、その運動は、地球重心を含む一定面内(軌道面)に限定される。また、GPS衛星10の軌道は地球重心を1つの焦点とする楕円運動であり、ケプラーの方程式を逐次数値計算することで、軌道面上でのGPS衛星10の位置が計算できる。また、搬送波受信時刻tでの各GPS衛星10iの位置(Xi(t)、Yi(t)、Zi(t))は、GPS衛星10の軌道面とワールド座標系の赤道面が回転関係にあることを考慮して、軌道面上でのGPS衛星10の位置を3次元的な回転座標変換することで得られる。尚、ワールド座標系とは、図4に示すように、地球重心を原点として、赤道面内で互いに直交するX軸及びY軸、並びに、この両軸に直交するZ軸により定義される。
整数値バイアス推定部48では、各GPS衛星10iに係る観測データ(特に、車両30が通信機33を介して受信する基準局20側の位相積算値Φik、及び、車両30側の位相積算値Φiu)に基づいて整数値バイアスが推定される。以下、その手順を説明する。
時刻tにおける2つのGPS衛星10j、10h(i=j、h、但し、j≠h)に関する位相積算値の2重位相差は、次式となる。
Φjh ku=(Φjk(t)−Φju(t))−(Φhk(t)−Φhu(t)) 式(5)
一方、位相積算値の2重位相差Φjh kuは、(GPS衛星10iとGPS受信機22若しくは32との距離)=(搬送波の波長L)×(位相積算値)という物理的な意味合いから、次のようになる。
Figure 0005642919
ここで、式(6)における[Xk(t)、Yk(t)、Zk(t)]は、時刻tにおける基準局20のワールド座標系における座標値(既知)であり、[Xu(t)、Yu(t)、Zu(t)]は、時刻tにおける車両30の座標値(未知)であり、[Xj(t)、Yj(t)、Zj(t)]及び[Xh(t)、Yh(t)、Zh(t)]は、時刻tにおける各GPS衛星10j、10hの座標値(衛星位置算出部42により算出)である。Njh kuは、整数値バイアスの2重位相差である(即ち、Njh ku=(Njk−Nju)−(Nhk−Nhu))。尚、時刻tは、例えばGPS時刻で同期が取られているものとする。
また、時刻tにおける2つのGPS衛星10j、10h(i=j、h、但し、j≠h)に関する擬似距離の2重位相差は、次式となる。
ρjh ku=(ρjk(t)−ρju(t))−(ρhk(t)−ρhu(t)) 式(7)
擬似距離の2重位相差ρjh kuは、次のように表せる。
Figure 0005642919
ここで、式(8)における[Xk(t)、Yk(t)、Zk(t)]、[Xu(t)、Yu(t)、Zu(t)]、[Xj(t)、Yj(t)、Zj(t)]及び[Xh(t)、Yh(t)、Zh(t)]は、同様であり、bjh kuはクロックバイアスの2重位相差である。また、時刻tは、例えばGPS時刻で同期が取られているものとする。
整数値バイアス推定部48では、次の状態方程式が設定される。
η(i+1)=F・η(i)+u(i) 式(9)
ここで、η(i)は、観測周期i(=1,2...)での状態変数を表わし、車両30の位置[Xu(i)、Yu(i)、Zu(i)]、及び、nz個のGPS衛星101〜nzが観測可能な場合の整数値バイアスの2重位相差である。即ち、GPS衛星10を基準衛星(参照衛星)としたとき、η=[Xu、Yu、Zu、N12 ku、N13 ku、...、N1nz kuである(は転置を表す)。また、uは、外乱(システム雑音:正規性白色雑音)である。
整数値バイアス推定部48では、次の観測方程式が採用される。
Z(i)=H(i)・η(i)+V(i) 式(10)
を用いて、ここで、Z及びVは、それぞれ、観測量及び観測ノイズ(正規性白色雑音)を示す。式(10)の観測量Zは、位相積算値の2重位相差Φjh ku(上記式(6)参照)及び擬似距離の2重位相差ρjh ku(上記式(8)参照)である。即ち、Z=[Φ12 ku、Φ13 ku、...、Φ1nz ku、ρ12 ku、ρ13 ku、...、ρ1nz kuである。上記式(9)の状態方程式は線形であるが、観測量Zは、状態変数Xu、Yu及びZuに関して非線形であるため、式(6)及び式(8)の各項が状態変数Xu、Yu及びZuのそれぞれで偏微分され、上記式(10)の観測行列Hが求められる。
Figure 0005642919
但し、数8のHは、観測量Z=[Φ12 ku、Φ13 ku、...、Φ1nz kuとした場合の観測行列であり、数8のHは、観測量Z=[ρ12 ku、ρ13 ku、...、ρ1nz kuとした場合の観測行列であり、観測行列Hは、2つの観測行列H、Hが組み込まれた形となる。
上記式(9)の状態方程式及び上記式(10)の観測方程式に対するカルマンフィルタは以下のように導出できる。
時間更新として、
η(i)(−)=η(i−1)(+) 式(11)
P(i)(−)=P(i−1)(+)+Q(i−1) 式(12)
また、観測更新として、
K(i)=P(i)(−)・H(i)・(H(i)・P(i)(−)・H(i)+R(i))−1 式(13)
η(i)(+)=η(i)(−)+K(i)・(Z(i)−H(i)・η(i)(−)) 式(14)
P(i)(+)=P(i)(−)−K(i)・H(i)・P(i)(−) 式(15)
ここで、Q,Rは、外乱uの共分散行列及び観測ノイズVの共分散行列をそれぞれ表わす。尚、上記式(11)及び式(14)がフィルタ方程式、上記式(13)がフィルタゲイン、上記式(12)及び式(15)が共分散方程式となる。η(i)(−)及びη(i)(+)は、それぞれ予測値及び推定値であり、P(i)(−)及びP(i)(+)は、それぞれ予測誤差共分散及び推定誤差共分散であり、η(i)(−)及びη(i)(+)の推定精度を表している。また、上記式(14)は、推定値η(i)(+)は、予測値η(i)(−)に、観測予測誤差にカルマンゲインK(修正ゲイン)を乗じたものを補正項として加えることで導出されることを示している。
整数値バイアス推定部48は、観測量Zに基づいて、上述のカルマンフィルタを適用し、最適な推定値η(i)(+)を導出することで、整数値バイアスの実数解(フロート解)を得る。整数値バイアスは、実際には整数値であるので、整数値バイアス推定部48は、更に、求めた実数解に対して最も誤差の小さい整数解(即ち、波数)を第1候補として求め、次に誤差の小さい整数解を第2候補として求める。この手法としては、整数値バイアスの無相関化をはかり、整数解の探索空間を狭めて解を特定するLAMBDA法が使用されてよい。或いは、整数値バイアス推定部48は、LAMBDA法に代えて、他の整数最小二乗法や簡易の四捨五入により整数解を導出してもよい。
また、整数値バイアス推定部48は、整数値バイアスの実数解の信頼度を与えるパラメータの一例として、測位解の分散σや、残差ないし残差二乗和Tを算出する。残差二乗和Tは、先ず、導出した整数値バイアスの推定値η(+)(i)又はその整数解を用いて、残差ベクトルν(i)を以下の式(16)のように求め、次いで、以下の式(17)により求めることとしてよい。
ν(i)=Z(i)−H・η(+)(i) 式(16)
T=ν(i)Q−1ν(i)/m 式(17)
ここで、Qは、誤差行列であり、mは未知数の数を表す。
このようにして、整数値バイアス推定部48は、先ず、整数値バイアスの実数解の算出処理を実行し、次いで、算出した整数値バイアスの実数解に基づいて整数値バイアスの整数解の算出処理を実行する。整数値バイアス推定部48は、また、整数値バイアスの整数解を確定すると、当該確定した整数値バイアスの整数解に基づいて、車両30の位置を算出する。尚、整数値バイアス推定部48は、観測周期毎に、整数値バイアスの実数解の算出処理、及び、整数値バイアスの整数解の算出処理を実行してもよい。或いは、一旦、後述のテスト部49において精度の良好な整数値バイアスが算出されたと判定された場合には、整数値バイアス推定部48は、当該整数値バイアスを継続的に用いて位相積算値の観測値のみで測位を継続し、サイクルスリップが生じた場合に、再度、整数値バイアスの実数解の算出処理、及び、整数値バイアスの整数解の算出処理を実行することとしてもよい。
尚、整数値バイアスの実数解の算出方法は、多種多様であり、上述の方法以外の他の方法が採用されてもよい。例えば、擬似距離の2重位相差ρjh kuを用いずに、位相積算値の2重位相差Φjh kuだけを用いる方法も可能である。また、GPS受信機22、32が、GPS衛星10から発射されるL1波及びL2波(周波数:1227.6MHz)の双方を受信可能な2周波受信機である場合には、L2波に対する位相積算値の2重位相差Φjh kuが追加的若しくは代替的に観測量Zとして用いられてよい。また、他の帯域の搬送波(例えば、今後追加が予定されているL5帯の電波)に対する位相積算値の2重位相差Φjh kuが追加的若しくは代替的に観測量Zとして用いられてよい。同様に、擬似距離の2重位相差ρjh kuについても、C/Aコード以外の同様のPRNコード(擬似雑音符号)(例えば、Pコード等)に基づく擬似距離の1重又は2重位相差ρjh kuが、追加的若しくは代替的に観測量Zとして用いられてよい。上述した整数値バイアスの実数解の算出方法では、上述の如く2重位相差を取ることでGPS受信機22,32内での発振器の初期位相、及び、時計誤差等の影響を消去しているが、一重位相差を取る構成であってもよい。また、上述の方法では、電離層屈折効果、対流圏屈折効果及びマルチパスの影響を無視しているが、これらを考慮するものであってもよい。また、上述した方法において、車両30が車両の場合、車両の移動に起因した車両特有の動的状態量を考慮するため、車両に搭載される車両センサ50に基づく車両の移動速度等の動的状態量を既知入力として、カルマンフィルタに導入してもよい。また、車両30の移動履歴から該車両30の現時刻の状態を予測する移動体モデルをカルマンフィルタに導入してもよい。この場合、移動体モデルは、位置、速度、加速度、加加速度(加速度の微分値)のような車両30の移動状態を表すことができる任意のパラメータを用いて構成されてよい。例えば、車両30の速度vを一次のマルコフ過程と仮定して移動体モデルを構成して、カルマンフィルタに導入してもよい。また、上述の方法において、前回エポックでの推定(測位)結果が今回エポックの推定結果に影響を及ぼさないように、状態変数ηや誤差共分散行列Pの初期化をエポック毎に行うこととしてもよいし、状態変数ηや誤差共分散行列Pの初期化を行うことなく、通常的なカルマンフィルタの適用によりエポック毎に状態変数ηや誤差共分散行列Pを更新(引継ぎ)することとしてもよい。更に、上述した方法では、上記式(9)の状態方程式及び上記式(10)の観測方程式にカルマンフィルタを適用するものであったが、最小二乗法やベイズ法等の他の推定手法を適用することも可能である。
整数値バイアス推定部48は、上述の如く導出した整数値バイアスの実数解及び整数値バイアスの整数解(第1候補及び第2候補)を、整数値バイアスの整数解に基づいて算出した車両30の位置に関する情報と共に、テスト部49に供給する。また、整数値バイアス推定部48は、必要に応じて、測位結果の分散や残差に関する情報をテスト部49に供給する。尚、以下では、整数値バイアスの実数解を記号“njh”で表し、整数値バイアスの整数解の第1候補を記号“Njh 1”で表し、整数値バイアスの整数解の第2候補を記号“Njh 2 ”で表す。
テスト部49は、整数値バイアス推定部48で導出された整数値バイアスの整数解の妥当性を検定・評価する。テスト部49は、整数値バイアス推定部48で導出された整数値バイアスの整数解が妥当であると判断した場合、当該整数値バイアスの整数解を採用する。この場合、テスト部49は、当該整数値バイアスの整数解に基づいて算出された車両30の位置に関する情報を、例えばナビゲーション装置に供給することとしてよい。一方、テスト部49は、整数値バイアス推定部48で導出された整数値バイアスの整数解が妥当でないと判断した場合、当該整数値バイアスの整数解を破棄する。この場合、テスト部49は、当該整数値バイアスの整数解に基づいて算出された車両30の位置に関する情報を、例えばナビゲーション装置に供給しないこととしてよい。
以下、テスト部49におけるテスト方法について詳説する。以下では、説明の簡略化のため、4個のGPS衛星101〜4が測位に用いる組であり、GPS衛星10が基準衛星であり、それぞれ3つの整数値バイアスの実数解(n12、n13、n14)、整数値バイアスの整数解の第1候補(N12 1、N13 1、N14 1)及び第2候補(N12 2、N13 2、N14 2)が算出される場合を想定する。
図5は、テスト部49におけるテスト方法の一例を示すフローチャートである。
ステップ200では、測位解の分散σや残差二乗和T、GPS衛星101〜4の仰角、DOP(Dilution Of Precision)、C/N比(搬送波の強度と雑音の強度の比)等のような、整数値バイアスの実数解の信頼度を与える信頼度パラメータが入力される。尚、ここでは、説明の都合上、信頼度パラメータは、その値が低いほど信頼度が低いことを表すものとする。
ステップ202では、上記のステップ200で得られた信頼度パラメータに応じて、レシオテスト(後述)で用いる閾値αが決定される。閾値αは、信頼度パラメータが小さいほど(例えば測位解の分散σや残差二乗和Tが大きいほど)、小さくなるような態様で決定されてもよい。これは、信頼度パラメータが小さいほど、整数値バイアスの実数解の信頼度が低く、それ故に、整数値バイアスの整数解の信頼度も低くなることを考慮したものである。例えば、閾値αは、所定のデフォルト値αをk倍(0<k<1)してもよい。この場合、kは、信頼度パラメータが小さいほど小さい値とされる。或いは、逆の発想で、閾値αは、信頼度パラメータが小さいほど、大きくなるような態様で決定されてもよい。
或いは、例えば整数値バイアスの実数解を求めるために用いた上述の測位方法の種類に応じて、閾値αを決定してもよい。例えば、C/Aコード(擬似距離ρiu)、L1波及びL2波を用いて測位が行われる場合の閾値αを、αとし、C/Aコード及びL1波を用いて測位が行われる場合の閾値αを、αとし、C/Aコード及びL2波を用いて測位が行われる場合の閾値αを、αとした場合、α>α>αの関係で閾値αを設定してもよい。或いは、逆の発想で、α3>α>α1の関係で閾値αを設定してもよい。
ステップ204では、レシオテスト(後述)で用いるレシオRが算出される。レシオRは、以下に示すように、整数値バイアスの実数解と整数値バイアスの整数解の第1候補との間の距離(ノルム)と、整数値バイアスの実数解と整数値バイアスの整数解の第2候補との間の距離との間の比である。
R={(n12−N12 2+(n13−N13 2+(n14−N14 2}/{(n12−N12 1+(n13−N13 1+(n14−N14 1} 式(18)
レシオRは、一般的に、高い値であるほど整数値バイアスの整数解の第1候補の信頼度が高いことを表す。
ステップ206では、上記のステップ204で算出されたレシオRが、上記のステップ202で決定された閾値αよりも大きいか否かが判定される(即ち、レシオテストが実行される)。レシオRが閾値αよりも大きい場合には、ステップ208に進み、レシオRが閾値α以下の場合には、ステップ210に進む。
ステップ208では、レシオRが閾値αよりも大きいことから、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が高いと判断され、当該整数値バイアスの整数解の第1候補が採用される。この場合、当該整数値バイアスの整数解の第1候補に基づいて算出された車両30の位置が、最終的な測位結果として、例えばナビゲーション装置に供給されてもよい。
ステップ210では、レシオRが閾値α以下であることから、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が低いと判断され、当該整数値バイアスの整数解の第1候補が破棄される。この場合、当該整数値バイアスの整数解の第1候補に基づいて算出された車両30の位置が、最終的な測位結果として、例えばナビゲーション装置に供給されないようにしてもよい。
このように、図5に示すテスト方法によれば、整数値バイアスの実数解の信頼度を与える信頼度パラメータに応じて、レシオテストの閾値αを可変することで、整数値バイアスの実数解の信頼度に応じて整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性を高精度に評価することができる。
尚、図5に示す処理において、ステップ210に移行した場合に、測位に使用するGPS衛星10の組や基準衛星を変更して、測位をやり直し、当該やり直した測位で導出される整数値バイアスの整数解の第1候補を、再度、評価することとしてもよい。この場合、ステップ202で決定される閾値αは、当該やり直した測位で導出される信頼度パラメータに応じて決定されるので、測位に使用するGPS衛星10の組や基準衛星を変更することに応じて、変化しうる。
図6は、テスト部49におけるテスト方法のその他の一例を示すフローチャートである。尚、以下では、整数値バイアス推定部48は、観測周期毎に、整数値バイアスの実数解及び整数解を算出・出力するものとし、また、図6の処理は、当該観測周期に合わせて繰り返し実行されるものとする。
図7は、図6に示す処理で用いられる第1閾値αと第2閾値βの関係等を示すイメージ図である。図7では、理解の容易化のため、2つの整数値バイアスの実数解(n12、n13)に対する整数値バイアスの整数解の第1候補(N12 1、N13 1)及び第2候補(N12 2、N13 2)の対応関係が2次元的に示されている。図7では、整数解が変化するライン(境界ライン)が模式的に示されている。尚、LAMBDA法に代えて四捨五入により整数解を導出する構成では、この境界ラインは、四捨五入ラインに対応することになる。また、図7では、第1閾値αと第2閾値βの間の領域が“グレーゾーン”として示され、第2閾値βと第3閾値γの間の領域が“レッドゾーン”として示されている。これらの閾値の意義については後述する。
図6を参照するに、ステップ300では、上述の図5のステップ204と同様、レシオテストで用いるレシオRが算出される。
ステップ302では、上述の図5のステップ206と同様、上記のステップ302で算出されたレシオRが、第1閾値αよりも大きいか否かが判定される。第1閾値αは、上述の図5の閾値αと同様に、整数値バイアスの実数解の信頼度を与える信頼度パラメータ等に応じて変化されてもよいし、固定値であってもよい。レシオRが第1閾値αよりも大きい場合には、ステップ320に進み、レシオRが第1閾値α以下の場合には、ステップ304に進む。
ステップ304では、上記のステップ302で算出されたレシオRが、第2閾値βよりも大きいか否かが判定される。第2閾値βは、第1閾値αよりも小さい(即ち穏やかな)値に設定される。第2閾値βについても、整数値バイアスの実数解の信頼度を与える信頼度パラメータ等に応じて変化されてもよい。但し、第2閾値βは、第1閾値αよりも小さく、且つ、整数値バイアスの整数解が変化する境界ラインを画成する最小レシオ以上に設定される(図7参照)。
本ステップ304において、レシオRが第2閾値βよりも大きい場合には(図7のグレーゾーン参照)、ステップ306に進む。レシオRが第2閾値β以下の場合には、後述のステップ318の処理に進む。
ステップ306では、基準衛星となるGPS衛星10を除く他のGPS衛星102〜4のうちの、特定の1つのGPS衛星10(ここでは、一例としてGPS衛星10)が選択され、当該GPS衛星10を除外して、新たなレシオR’が算出される。具体的には、以下の通りである。
R’={(n13−N13 2+(n14−N14 2}/{(n13−N13 1+(n14−N14 1} 式(19)
ステップ308では、上記のステップ306で算出されたレシオR’(特定のGPS衛星を除外した新たなレシオR’)が、第1閾値αよりも大きいか否かが判定される。第1閾値αは、上記のステップ302の第1閾値αと同一であってよい。レシオR’が第1閾値αよりも大きい場合には、ステップ320に進み、レシオR’が第1閾値α以下の場合には、ステップ310に進む。
ステップ310では、基準衛星10を除く他の全てのGPS衛星102〜4が上記のステップ306で特定のGPS衛星として選択されたか否かが判定される。肯定判定の場合、ステップ314に進み、否定判定の場合、ステップ312に進む。
ステップ312では、特定のGPS衛星が変更され、ステップ306に戻る。未だ選択されていない別のGPS衛星が、特定のGPS衛星として選択される。上記の例では、特定のGPS衛星がGPS衛星10からGPS衛星10へと変更される。このようにして、基準衛星10を除く他のGPS衛星102〜4のそれぞれを除外したレシオテストが実行される。そして、GPS衛星102〜4のうちのどれを特定のGPS衛星として除外した場合でもレシオR’が第1閾値α以下である場合には、ステップ314に進むことになる。
ステップ314では、他の評価基準を適用して、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が評価される。例えば、測位解の分散σや残差二乗和T等のような、整数値バイアスの実数解の信頼度を与える信頼度パラメータを用いて、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が評価されてもよい。或いは、整数値バイアスの整数解の第1候補に基づいて導出された車両30の測位位置と、車両センサ50や地図データ、インフラ等からの情報に基づく車両30の推定位置(例えば慣性航法による測位結果)とを比較することで、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が評価されてもよい。
ステップ316では、他の評価基準が満たされたか否かが判定される。例えば、整数値バイアスの実数解の信頼度を与える信頼度パラメータが所定基準値よりも大きい場合には、他の評価基準が満たされたと判定されてステップ320に進むこととしてよい。また、整数値バイアスの整数解の第1候補に基づいて導出された車両30の測位位置と、車両センサ50や地図データからの情報に基づく車両30の推定位置との差が所定基準値よりも小さい場合には、他の評価基準が満たされたと判定されてステップ320に進むこととしてよい。ステップ316で否定判定された場合には、ステップ318に進む。
ステップ318では、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が低いと判断され、当該整数値バイアスの整数解の第1候補が破棄される。この場合、当該整数値バイアスの整数解の第1候補に基づいて算出された車両30の位置が、最終的な測位結果として、例えばナビゲーション装置に供給されないようにしてもよい。或いは、測位に使用するGPS衛星10の組や基準衛星を変更して、測位をやり直し、当該やり直した測位で導出される整数値バイアスの整数解の第1候補を、再度、評価することとしてもよい。この場合、再演算された整数値バイアスの整数解の第1候補に対して、ステップ300からの処理が実行されることになる。この場合、ステップ302、304,308で用いられる各閾値α及びβが、当該やり直した測位で導出される信頼度パラメータ等に応じて可変される場合には、各閾値α及びβは、測位に使用するGPS衛星10の組や基準衛星を変更することに応じて、変化しうる。
ステップ320では、整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が高いと判断され、当該整数値バイアスの整数解の第1候補が採用される。この場合、当該整数値バイアスの整数解の第1候補に基づいて算出された車両30の位置が、最終的な測位結果として、例えばナビゲーション装置に供給されてもよい。
このように、図6に示すテスト方法によれば、2つの閾値α及びβを用いることで、ノイズ等の影響で実数解の精度が悪くなっても、正確な整数値バイアスの整数解を精度良く選別(救済)して採用することができる。即ち、第1閾値αよりも穏やかな第2閾値βを導入し、レシオRが第1閾値αと第2閾値βの間になった場合に、上述のステップ308,314等の各種の評価を実行することで、正確な整数値バイアスの整数解を、妥当性が低いと誤判定して破棄してしまうことを防止することができる。
尚、図6に示す処理において、ステップ308で肯定判定された場合に、レシオR’の算出の際に除去した特定のGPS衛星を除いて測位演算をやり直し、当該測位演算により得られる新たな整数値バイアスの整数解を同様に評価してもよい。例えば、6個のGPS衛星101〜6を用いて一次的に測位を行った場合であって、例えばGPS衛星10を除いたレシオR’が第1閾値αよりも大きい場合には、GPS衛星10を除いて5個のGPS衛星101〜5を用いて測位をやり直し、当該測位により得られる整数値バイアスの整数解を同様にステップ300からの処理で評価してもよい。
図8は、テスト部49におけるテスト方法のその他の一例を示すフローチャートである。図8において、図6と同一であってよい処理については同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップ303では、整数値バイアスの整数解の第1候補が前回周期から変化したか否かが判定される。整数値バイアスの整数解の第1候補が前回周期から変化した場合には、ステップ322に進み、変化してない場合には、ステップ306に進む。例えば、整数値バイアスの整数解の第1候補(N12 1、N13 1、N14 1)のうちの少なくとも1つ(例えばN12 1)が前回周期から変化した場合には、ステップ322に進む。
ステップ322では、今回周期で得られた整数値バイアスの実数解と前回周期で得られた整数値バイアスの整数解の第1候補を用いて、新たなレシオR”が算出される。具体的には、以下の通りである。
R”={(n12−N12 2’)+(n13−N13 2’)+(n14−N14 2’)}/{(n12−N12 1’)+(n13−N13 1’)+(n14−N14 1’)} 式(20)
ここで、(N12 1’、N13 1’、N14 1’)は、整数値バイアスの整数解の第1候補の前回周期の値を示し、(N12 2’、N13 2’、N14 2’)は、整数値バイアスの整数解の第2候補の前回周期の値を示す。但し、式(20)において、整数値バイアスの整数解の第2候補については、今回周期で得られたものが用いられてもよい。
ステップ324では、上記のステップ306で算出されたレシオR”と、前回周期で算出されたレシオR(式18参照)との差の大きさが所定閾値以下であるか否かが判定される。即ち、今回周期で得られた整数値バイアスの実数解の変化が小さいか否かが判断される。レシオR”とレシオRとの差の大きさが所定閾値以下である場合には、ステップ326に進み、それ以外の場合には、ステップ328に進む。
ステップ326では、前回周期で得られた整数値バイアスの整数解の第1候補が、今回周期で得られた整数値バイアスの整数解の第1候補よりも妥当であると判断される。即ち、今回周期の整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が高いと判断され、当該整数値バイアスの整数解の第1候補が今回周期の値として採用される。
ステップ328では、今回周期で得られた整数値バイアスの整数解の第1候補の妥当性が低いと判断され、当該整数値バイアスの整数解の第1候補が破棄される。
このように、図8に示すテスト方法によれば、ノイズ等の影響で実数解の精度が一時的に悪くなり、その結果、整数値バイアスの整数解の第1候補が変化した場合でも、その変化前後の整数値バイアスの整数解のうちから正しい整数解を精度良く選別することができる。
尚、図8に示す処理において、レシオR”とレシオRとの差の大きさが所定閾値以下であるか否かの判定に代えて若しくは加えて、上記のステップ306で算出されたレシオR”が第3閾値γ(図7参照)以上であるか否かを判定してもよい(即ち、図7のレッドゾーンに属しているか否かを判定してもよい)。この場合、第3閾値γは、第2閾値βよりも小さい(即ち穏やかな)値に設定される。また、第2閾値βは、図7に示すように、境界ラインを画成する最小レシオに対応する値であってもよい。
また、レシオR”とレシオRとの差の大きさが所定閾値以下であるか否かの判定に代えて、レシオR”とレシオRとの差の大きさが、前回周期以前の各周期間のレシオRの差の大きさと同様であるか否かを判定してもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、GPSに本発明が適用された例を示したが、本発明は、GPS以下の衛星システム、例えばガリレオ等の他のGNSS(Global Navigation Satellite System)にも適用可能である。
本発明に係る搬送波位相式GPS測位システムの構成図である。 図1の搬送波位相式GPS測位システムのより詳細な構成図である。 処理装置40の主要構成を示すブロック図である。 ワールド座標系とローカル座標系との関係、及び、ローカル座標系とボディ座標との関係を示す図である。 テスト部49におけるテスト方法の一例を示すフローチャートである。 テスト部49におけるテスト方法のその他の一例を示すフローチャートである。 第1閾値αと第2閾値βの関係を示すイメージ図である。 テスト部49におけるテスト方法のその他の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
10 GPS衛星
20 基準局
22 基準局側GPS受信機
30 車両
32 車両側GPS受信機
40 処理装置
42 衛星位置算出部
48 整数値バイアス推定部
49 テスト部
50 車両センサ

Claims (5)

  1. 移動体に搭載され、該移動体の位置を測位する搬送波位相式移動体測位装置であって、
    衛星からの受信電波の観測結果に基づいて、搬送波位相の積算値の整数値バイアスの実数解を導出する実数解導出手段と、
    前記実数解導出手段により導出された実数解に基づいて整数値バイアスの整数解を導出する整数解導出手段と、
    前記実数解導出手段により導出された整数値バイアスの実数解と前記整数解導出手段により導出された整数値バイアスの整数解との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を指標する所定の指標値を算出し、該算出した指標値と閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価するテスト手段とを含み、
    前記テスト手段は、前記閾値を2種類以上用いて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価し、
    前記整数解導出手段は、一の実数解に対して少なくとも2以上の整数値バイアスの候補を導出し、該整数値バイアスの候補は、最も誤差が小さい第1候補と、次に誤差が小さい第2候補を少なくとも含み、
    前記テスト手段は、前記整数値バイアスの整数解の第1候補と、対応する実数解との誤差と、前記整数値バイアスの整数解の第2候補と、対応する実数解との誤差との比を前記指標値として算出し、
    前記2種類以上の閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも小さい第2閾値とを含み、
    前記テスト手段は、前記算出した指標値が前記第1閾値を越える場合には、前記整数値バイアスの整数解が妥当であると判断し、前記算出した指標値が前記第1閾値を越えないが前記第2閾値を越える場合には、特定の衛星に関する前記整数値バイアスの実数解及び整数解を排除して前記指標値を再算出し、該再算出した指標値と前記第1閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価することを特徴とする、移動体測位装置。
  2. 前記第1閾値及び/又は前記第2閾値は、前記実数解の信頼度を与えるパラメータに基づいて可変される、請求項に記載の移動体測位装置。
  3. 前記テスト手段は、前記再算出した指標値が、前記第1閾値を越える場合には、前記整数値バイアスの整数解が妥当であると判断する、請求項に記載の移動体測位装置。
  4. 前記実数解導出手段及び前記整数解導出手段は、前記テスト手段により再算出された指標値が前記第1閾値を越える場合には、前記特定の衛星を排除して、前記整数値バイアスの実数解及び整数解を再演算する、請求項に記載の移動体測位装置。
  5. 移動体に搭載され、該移動体の位置を測位する搬送波位相式移動体測位装置であって、
    衛星からの受信電波の観測結果に基づいて、搬送波位相の積算値の整数値バイアスの実数解を導出する実数解導出手段と、
    前記実数解導出手段により導出された実数解に基づいて整数値バイアスの整数解を導出する整数解導出手段と、
    前記実数解導出手段により導出された整数値バイアスの実数解と前記整数解導出手段により導出された整数値バイアスの整数解との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を指標する所定の指標値を算出し、該算出した指標値と閾値との関係に基づいて、前記整数値バイアスの整数解の妥当性を評価するテスト手段とを含み
    前記整数解導出手段は、一の実数解に対して少なくとも2以上の整数値バイアスの候補を導出し、該整数値バイアスの候補は、最も誤差が小さい第1候補と、次に誤差が小さい第2候補を少なくとも含み、
    前記テスト手段は、前記整数値バイアスの整数解の第1候補と、対応する実数解との誤差と、前記整数値バイアスの整数解の第2候補と、対応する実数解との誤差との比を前記指標値として算出し、
    前記テスト手段は、前記整数解導出手段により導出された整数値バイアスの整数解の第1候補が変化した場合、該変化前の整数解の第1候補と該変化後の実数解との関係に基づいて、前記指標値を算出し、該算出した指標値を、前記変化前の整数解の第1候補と前記変化前の実数解との関係に基づいて算出された前記指標値と比較し、これらの指標値間の差が所定基準値よりも小さい場合には、前記変化前の整数解が妥当であると判断する、移動体測位装置。
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