JP5642416B2 - 潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム - Google Patents
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Description
図1に示すように、本実施例のディーゼルエンジン100は、1つ以上(本実施例では9つ)の気筒120と、過給機111と、空気冷却器112と、排気集合管113とを含む。まずは図2を用いて1つの気筒120の基本的な構成を説明する。なお、以下では、気筒120の一例としてレシプロ型のものを説明するが、気筒120はロータリー型のものでもよい。図2に示すように、気筒120は、シリンダ121と、ピストン122と、クランク軸123と、クランク室123aと、コネクティングロッド124と、シリンダヘッド125と、燃焼室125aと、吸気ポート126aと、吸気バルブ126と、排気ポート127aと、排気バルブ127と、インジェクター128と、オイルパン129とを含む。
過給機111は、空気を加圧する。過給機111は、図2に示す排気ポート127aから排出された排気ガスのエネルギーを得て空気を加圧する、いわゆるターボチャージャーである。なお、過給機111は、クランク軸123の回転力を得て空気を加圧する、いわゆるスーパーチャージャーでもよい。空気冷却器112は、過給機111から導かれた空気を冷却する。排気集合管113は、各気筒120の排気ポート127aと連通する。本実施例では、各気筒120の排気ポート127aから排出された排気ガスは排気集合管113を介して過給機111に導かれる。
なお、図3中、符号L11は潤滑油供給ライン、L12は潤滑油排出ライン、V11、V12はバルブを図示する。
図4に示すように、本実施例に係る第1の潤滑油診断装置50Aは、潤滑油供給ラインL11を介して導入された潤滑油131を一時的に貯留する鉛直筒体51と、鉛直筒体51内を落下する落下体である鉄球52と、該鉛直筒体51の頂部側と底部側とに設けた第1のセンサ53A、第2のセンサ53Bと、頂部の第1のセンサ53A側に設けられた電磁石54とを備えている。そして、スイッチSWをON状態とするときに、鉄球52が電磁石54の磁力に引寄せられて第1のセンサ53A側に接した状態としている。
すなわち、鉄球52の落下速度が遅くなる場合には、潤滑油131の粘度が高くなる状態であり、このような場合には、酸化による潤滑油131の劣化が進行して、粘性が悪くなると診断することができる。
例えば、正常な潤滑油131の落下速度に対して、所定範囲(例えば20%程度の偏差)以上又は以下となったときに、劣化であると判断することができる。なお、劣化の偏差の程度は、潤滑油によって予め求めておく。
1)バルブV11、V12を開き、潤滑油供給ラインL11から潤滑油131を鉛直筒体51内に導入・貯留し、次いでバルブV11、V12を閉じ、電磁石54を起動する。
2)第1のセンサ53Aにより、鉄球52が上方に達したことを確認する。
3)次に、電磁石54をOFFとし、これと同時に鉄球52が落下するので、タイミング測定装置55にて鉄球52の落下時間の計測を開始する。
4)第2のセンサ53Bにより、鉄球52が下方側に達したことを確認する(タイミング測定装置55にて計測を終了する)。
5)データ解析装置56にて、データ解析を行い、潤滑油131の劣化状態を判断する。
6)バルブV11、V12を開き、潤滑油排出ラインL12により測定に供した潤滑油131を廃棄する。
7)その後、必要に応じて図示しない洗浄手段により鉛直筒体51及び配管などの内部を洗浄するようにしてもよい。
また、計測手段の系内は、配管と鉄球のみであり、系内の汚染を防止することができる。
これにより、精度を確保するために複数回測定を必要とする時などに測定時間の短縮が可能となる。
pHを計測するには、潤滑油131の一部を抜き出すラインL13と、この抜き出しラインL13から導入された潤滑油131を貯留するpH計測用貯留部60と、pH計測用貯留部60内に希釈液61を供給するラインL14と、内部を攪拌する攪拌手段62とを備え、pH計63によりpHを計測するようにしている。希釈液61としては、トルエンやイソプロピルアルコール(IPA)などを例示することができる。
よって、pH計63によりpHを計測することにより、酸性物質による潤滑油131の酸化劣化を迅速に抑制することができる。
図6に示すように、本実施例に係る第2の潤滑油診断装置50Bは、潤滑油供給ラインL11を介して導入された潤滑油131を一時的の貯留する鉛直筒体51と、該鉛直筒体51の側壁に設けた窓71により内部の潤滑油131の色調を判断する撮像手段72とを備えている。そして、撮像手段72の撮像データをデータ解析装置56で解析している。
1)バルブV11、V12を開き、潤滑油供給ラインL11から潤滑油131を鉛直筒体51内に導入・貯留する。
2)撮像手段72により、窓71内の潤滑油131の色による劣化状況を測定する。
3)データ解析装置56にて、データ解析を行い、潤滑油131の劣化状態を判断する。
4)バルブV11、V12を開き、潤滑油排出ラインL12により測定に供した潤滑油131を廃棄する。
5)その後、必要に応じて洗浄手段により鉛直筒体51及び配管などの内部を洗浄するようにしてもよい。
図7に示すように、第3の潤滑油診断装置50Cは、第1の潤滑油診断装置50Aと第2の潤滑油診断装置50Bとを統合したものであり、潤滑油供給ラインL11を介して導入された潤滑油131を一時的の貯留する鉛直筒体51と、該鉛直筒体51の頂部側と底部側とに設けられた第1のセンサ53A、第2のセンサ53Bと、第1のセンサ53A側に設けられた電磁石54と、該鉛直筒体51の側壁に設けた窓71により内部の潤滑油131の色調を判断する撮像手段72とを備えている。
本実施例では、鉛直筒体51の内部に移動自在に設けた鉄球52の落下速度により、粘性を判断すると共に、撮像手段72の撮像データから粘性を判断するので、判断精度の向上を図ることができる。
図9に示すように、粒子状物質の濃度計測装置80は、排ガス201にレーザ光11を照射するレーザ装置13と、前記レーザ光11の照射により発生するミー散乱光30を計測する光検出器(ミー散乱光検出器)31とを具備している。なお、符号26はパワーメータを図示する。
なお、本実施例では、排気管202内に直接レーザ光11を導入するものであるが、排気管202から分枝するサンプルラインを設け、このサンプルラインにレーザ光11を導入するようにしてもよい。
この潤滑油のオンラインの診断の結果、以下のような対策を講じることができる。
図10乃至図12は、本発明に係る潤滑油診断装置を備えた1つの気筒を模式的に示す説明図である。
例えば、潤滑油131の劣化度合いが軽度の場合には、潤滑油131の交換量が少量とする制御を図示しない制御装置により行う。
例えば、潤滑油131の劣化度合いが中程度の場合には、潤滑油131の交換量が所定量とする制御を図示しない制御装置により行う。
例えば、潤滑油131の劣化度合いが重度の場合には、エンジン停止の際に、潤滑油131の全量を交換する制御を図示しない制御装置により行う。
この粒子状物質の混入は、排ガスラインに設けた図9に示す濃度計測装置80で粒子状物質の計測を行うことを併用することで、粒子状物質の量を求めることができ、判断精度の向上を図ることとなる。
すなわち、色相のみでは、劣化状態の区別がつかない場合でも、粒子状物質の濃度変化が生じることが確認されれば、燃焼不良に起因した劣化であることが判ることとなる。
11 レーザ光
13 レーザ装置
14 測定領域
30 ミー散乱光
31 光検出器(ミー散乱光検出器)
50A、50B、50C 潤滑油診断装置
51 鉛直筒体
52 鉄球
53A 第1のセンサ
53B 第2のセンサ
54 電磁石
55 タイミング測定装置
56 データ解析装置
100 ディーゼルエンジン
120 気筒
200A〜200B 潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム
201 排ガス
202 排気管
Claims (7)
- ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンとの間に設けられた潤滑油供給ラインを介して鉛直筒体内に前記ディーゼルエンジン内の潤滑油を一時的に貯留し、前記鉛直筒体内に貯留した前記潤滑油中を落下する落下体の落下速度により前記潤滑油の粘性状態を求めた後、潤滑油排出ラインを介して粘性状態の測定に供した前記潤滑油を排出可能な潤滑油診断装置とを具備し、
前記潤滑油供給ライン及び前記潤滑油排出ラインに前記ディーゼルエンジン側からの振動を回避するための蛇腹状の管が介装され、
前記潤滑油診断装置の診断結果により前記潤滑油の酸化劣化、及び前記潤滑油への燃料の混入による劣化の少なくとも一方を判断することを特徴とする潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。 - 前記潤滑油診断装置は、前記鉛直筒体の頂部側に設けられた第1のセンサと、前記鉛直筒体の底部側に設けられた第2のセンサを有し、前記第2のセンサの底部側に前記ディーゼルエンジン側からの振動を回避するための防振手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。
- 前記潤滑油診断装置は、前記第1のセンサ側に設けられた電磁石を有し、前記落下体が鉄球であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。
- ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンとの間に設けられた潤滑油供給ラインを介して筒体内に前記ディーゼルエンジン内の潤滑油を一時的に貯留し、前記筒体に設けた窓を介して前記筒体内に貯留した前記潤滑油の色相を求める撮像手段を有し、潤滑油排出ラインを介して色相の測定に供した前記潤滑油を排出可能な潤滑油診断装置とを有してなり、
前記潤滑油供給ライン及び前記潤滑油排出ラインに前記ディーゼルエンジン側からの振動を回避するための蛇腹状の管が介装され、
前記潤滑油診断装置の診断結果により前記潤滑油の酸化劣化、及び前記潤滑油への燃料の混入による劣化の少なくとも一方を判断することを特徴とする潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。 - ディーゼルエンジンと、
前記ディーゼルエンジンとの間に設けられた潤滑油供給ラインを介して鉛直筒体内に前記ディーゼルエンジン内の潤滑油を一時的に貯留し、前記鉛直筒体内に貯留した前記潤滑油中を落下する落下体の落下速度により前記潤滑油の粘性状態を求めると共に、前記鉛直筒体に設けた窓を介して前記潤滑油の色相を求める撮像手段を有し、潤滑油排出ラインを介して粘性状態の測定に供した前記潤滑油を排出可能な潤滑油診断装置とを有し、
前記潤滑油供給ライン及び前記潤滑油排出ラインに前記ディーゼルエンジン側からの振動を回避するための蛇腹状の管が介装され、
前記潤滑油診断装置の診断結果による前記潤滑油の粘性状態と、前記潤滑油の色相との2元情報から、前記潤滑油の酸化劣化、及び前記潤滑油への燃料の混入による劣化の少なくとも一方を判断することを特徴とする潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。 - 前記潤滑油のpHを計測するpH計を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。
- 前記ディーゼルエンジンの排ガス中の粒子状物質濃度を求める粒子物質濃度計測装置を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の潤滑油診断装置を備えたエンジンシステム。
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