JP4038552B2 - 粘度測定装置 - Google Patents
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該演算する手段が、
前記超音波センサの出力から、時間をパラメータとする出力関数あるいは出力パターンを作成し、(a)該出力のピーク高さとその時間半値幅T、(b)該出力のピークを中心とし該時間半値幅Tの前後を形成する時間値TaおよびTb、および該時間値Taと該中心およびTbと該中心の時間帯における出力積分値Sa,Sbを出力パターンのデータとするとともに、
予め求めた複数の既知粘度の液体の該出力関数あるいは出力パターンのデータに基づいて、落球の落下速度の測定や終端速度に達したか否かの判定、あるいは速度検出の誤差要因を解析して演算・補正し、粘度測定値を得る機能を有することを特徴とする。
また、落球式粘度測定法にあっては、上記のように落球の位置の中心軸からのズレや落球のフラツキを生じやすく、さらに極端な場合には測定管の僅かな傾斜や落下開始直後における落下方向や落球自体の回転モーメントの発生によって、落球のフラツキを生じせしめ、結果測定誤差を発生させる可能性がある(以下こうした誤差要因を「速度検出の誤差要因」という。)。特に、高圧条件下では、こうした速度検出の誤差要因の発生が起こりやすい。本発明者は、超音波センサの出力を演算して作成した時間関数あるいは位置関数、または時間あるいは位置をパラメータとする出力パターン(以下「出力パターン等」という。)が、落球速度の検出に使用できるだけでなく、落球速度の変化および上記の速度検出の誤差要因によっても変化することを見出したもので、出力パターン等から上記速度検出の誤差要因を解析して演算・補正することによって、精度の高い落球式粘度測定装置を提供することが可能となった。具体的な解析方法については後述する。
図1は、この発明に係る粘度測定装置の基本的な構成を例示している。測定対象である液体が通過する流路を有する測定管1と、該測定管1内を移動する落球2と、該測定管1の外周部に設けられた超音波センサ3からなる測定部、該超音波センサ3の出力を入力し演算する手段(演算部)4によって、粘度測定装置を形成している。また、図1では、測定管1の最上部に設けられ落球2を固定するプランジャー5、および落球2が測定管1の最下部に達したことを検知する接点6を有する構成を例示するが、本発明はこうした構成に限定されるものでないことはいうまでもない。
(1)測定時においては、液体は停止状態にすることが好ましく、測定前の所定時間液体の導入を停止する。停止方法としては、測定管1に繋がる流路に設けた電磁弁による遮断などによって行うことができる(図示せず)。
(2)プランジャー5に電圧を印加し電磁石によって落球2を固定しておく。このとき、落球2の固定部分(例えば電磁石の先端部)を小さくすることによって、固定部分から離れた落球2に対して働く落下方向と異なるモーメントの発生を小さくすることができる。
(3)液体が安定状態になった段階で、プランジャー5に印加した電圧をOFFにして、落球2の落下を開始する。落球2の落下に伴い、超音波センサ3の出力が増大し、やがて減少する。
(4)落球2が測定管1の最下部に達したとき、予め電圧が印加された接点6に落球2が接触する。このとき、接点6の表面電位が変化することから、落球2が測定管1の最下部に達したことを検知することができ、1つの測定サイクルを完了する。
(5)上記(1)の電磁弁による液体の停止状態を解除し、次の測定対象となる液体を測定管1に導入し、安定状態にする。なお、上記の1つの測定サイクルで十分な精度が得られない場合には、(1)〜(4)の繰り返し、あるいは同一の液体を再度測定管1に導入した後に(1)〜(4)の繰り返しを行い平均値あるいは偏差値などを算出することによって、所望の精度の粘度測定を確保することができる。
本発明に係る粘度測定装置の第2の構成例を、図3に例示する。少なくとも1つの超音波センサ3を測定管1の底部に配設することを特徴とする。つまり、超音波センサ3から照射された超音波は、通常、音軸方向に伝播するとともに半径方向にも広がる。底面に装着された探触子の音軸近くで落球2が移動する場合には、落球面からのエコーはその移動情報を捉えることができる。
次に、本発明に係る粘度測定装置の他の構成を、図4に例示する。複数の超音波センサ31、32、33を測定管1の管路に沿って配置したことを特徴とし、基本構成において説明した1つの超音波センサの場合には限界があった機能面あるいは精度面を、複数の超音波センサを用いることによって補完、補償することが可能となった。
あるいは、図5(B)に示すように、測定管1の鉛直方向の位置を横軸とし、各センサ位置と半値幅T1、T2、T3との相関を求めて終端速度域の半値幅T0を求め、図2(C)の特性を利用することによって、終端速度を推算することが可能となる。
さらには、半値幅の中心線Mの前後において、Ta1とTb1が等価であればT1を基に、Ta1とTb1が等価でなくTa2とTb2が等価であればT2を基に、いずれも等価でなくTa3とTb3が等価であればT3を基に、終端速度を推算することが可能となる。
あるいは、終端速度に達したセンサ出力が多数あれば、その平均値を標準出力パターンとすることが可能である。
このように補正された出力パターン等を、上記(1)の落球速度の算出に用いることによって、精度の高い粘度測定値を得ることができる。
上記の構成において、図6に例示するように、複数の超音波センサ(31〜35)のうちの少なくとも1つの超音波センサ(34および35)が発信する音波の方向が、他の超音波センサ(31〜33)が発信する音波の方向と交差するように配置することによって、さらに精度の高い測定系を構成することが可能となる(第4構成例)。
(A)〜(C)における、高さH31〜H33は略同一値とする。
(A)は半値幅T31がT32〜T35よりも大きく、かつ半値幅の前後についてTa31よりもTb31が大きい。
(B)と(C)は半値幅T32またはT33が略同じである。
(D)は高さH34がH32またはH33よりも高く、かつピークP34が中心線Mよりも後方にシフトしている。
(E)は高さH35がH31〜H33およびH34よりも小さい。
本発明に係る粘度測定装置の第5の構成例を、図8に例示する。超音波センサ3を多素子型センサとし、測定管1の管路に沿って素子(例えば、3a、3b、3c・・)が配置されることを特徴とする。例えば、第3構成例における超音波センサ31,32、33を1つの素子として超音波センサ3を構成したものということができ、測定管1の管路に沿って配置することによって、終端速度域の検出および終端速度の正確な検出を行うことが可能となる。
本発明に係る粘度測定装置の第6の構成例を、図9に例示する。超音波センサ3を測定管1の管路に沿って移動可能とすることを特徴とする。例えば、超音波センサ3を測定管1の管路に沿って落球2と等速で移動することによって、終端速度域の検出および終端速度の正確な検出を行うことが可能となる。また、超音波センサ3を測定管1の管路に沿って数段階の等速移動区間を設けて移動することによって落球2との速度差を検出することによって、終端速度域の検出および終端速度の正確な検出を行うことが可能となる。
上記の構成例においては、測定管1を鉛直方向に配置した場合について説明した。しかし、速度検出の誤差要因の1つである落球の位置の中心軸からのズレあるいは落球のフラツキは、落下の基準線あるいは基準面が決まれば大幅に低減することができる。つまり、図10に例示するように、測定管1を傾斜状態にし、測定管の外周下側面に少なくとも1つの超音波センサを配置することが好ましい(第7構成例)。
上記は、液体特に高圧液体の粘度測定(体積弾性率)について述べたが、第2構成例において記載したように、本発明の構成を用いることによって液体の音速を測定することができる。また、第4構成例を応用することによっても、高圧液体の音速を測定することができる。
ここで、T1は超音波センサ31における測定管内面でのエコーと落球表面でのエコーとの時間差を表し、T2は超音波センサ32における測定管内面でのエコーと落球表面でのエコーとの時間差を表し、T3は、球が存在しない、管内径Dを音波が伝播して反対側の内面で反射したときの液体中の往復伝播時間である。従って、
C = 2d/(T3−T2−T1) ・・(式2)
2 落球
3 超音波センサ
4 演算手段(演算部)
5 プランジャー
6 接点
v 落下速度
v0 終端速度
H エコー高さ比
T 半値幅(時間半値幅)
Claims (8)
- 液体が通過する測定管と、当該測定管内を移動する落球と、前記測定管の外周部に設けられた少なくとも1つの超音波センサと、当該超音波センサの出力を入力し演算する手段とを有する粘度測定装置であって、該演算する手段が、
前記超音波センサの出力から、時間をパラメータとする出力関数あるいは出力パターンを作成し、(a)該出力のピーク高さとその時間半値幅T、(b)該出力のピークを中心とし該時間半値幅Tの前後を形成する時間値TaおよびTb、および該時間値Taと該中心およびTbと該中心の時間帯における出力積分値Sa,Sbを出力パターンのデータとするとともに、
予め求めた複数の既知粘度の液体の該出力関数あるいは出力パターンのデータに基づいて、落球の落下速度の測定や終端速度に達したか否かの判定、あるいは速度検出の誤差要因を解析して演算・補正し、粘度測定値を得る機能を有することを特徴とする粘度測定装置。 - 前記演算する手段が、予め求めた前記出力関数あるいは出力パターンのデータに基づいて、前記時間半値幅T前後の出力の変化率、前記時間値TaとTbの大きさ、あるいは前記出力積分値SaとSbから、終端速度に達したか否かの判定を行い、粘度測定値を得る機能を有することを特徴とする請求項1記載の粘度測定装置。
- 前記演算する手段が、前記出力関数あるいは出力パターンのデータに基づいて、ピーク高さの出力を基準に標準関数化するとともに、被検体の測定によって得られた複数点のデータを演算して標準関数の係数を決定し、前記標準関数に近似させることによって、落球のフラツキを補正し、粘度測定値を得る機能を有することを特徴とする請求項1または2記載の粘度測定装置。
- 前記超音波センサの少なくとも1つを、前記測定管の底部に配置し、落球の落下とともに増加する超音波を検出することによって、落球の終端速度を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘度測定装置。
- 複数の超音波センサを、前記測定管の管路に沿って、かつ推定する終端速度領域に近傍および領域内に分散して配置することによって、終端速度に達した位置の検知と終端速度の確認、および速度検出の誤差要因による影響の有無およびその影響度の検知を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘度測定装置。
- 複数の超音波センサを用い、そのうちの1つの超音波センサが発信する音波の方向が、他の少なくとも1つの超音波センサが発信する音波の方向と交差するように、前記複数の超音波センサが配置されることによって、前記出力関数あるいは出力パターンのデータに基づいて、前記時間半値幅T、時間値TaおよびTbを用いて終端速度を求め、落球のフラツキによる影響の有無の判定あるいは落球のフラツキの補正を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の粘度測定装置。
- 前記超音波センサが多素子型センサであり、前記測定管の管路に沿って素子が配置されるとともに、素子の作動を、最上部の素子から順次あるいは素子を飛ばして下部の素子に切換えて検出することによって、落球の終端速度域および終端速度を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の粘度測定装置。
- 前記超音波センサの少なくとも1つが、前記測定管の管路に沿って移動可能であり、落球2の落下に合せて超音波センサ3を移動させて検出することによって、落球の終端速度域および終端速度を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の粘度測定装置。
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