JP5642381B2 - ウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物、及び、ウエハレベルレンズ - Google Patents
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また、ウエハ上にレンズを形成する方法をとることで、種々の簡易な形成方法が可能となり、例えば、レンズのみをガラスウエハ上等で作製し、個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせて撮像ユニットを作製する方法、金型を用いて樹脂のみにより複数のレンズを形成し、これらをセンサ基板上に組み合わせ切断する方法、レンズを個々のセンサと組み合わせるサイズに切断し、予め個片化された撮像素子と組み合わせ、撮像ユニットを作製する方法などをとることができる。
以下、レンズ基板に形成された複数のレンズの個々のレンズをウエハレベルレンズと呼び、レンズ基板に形成されたレンズ群を、このレンズ基板を含めて、ウエハレベルレンズアレイと呼ぶ。
フォトリソグラフィ法を用いる場合、遮光性組成物をレンズ及びガラス基板上に塗布し、遮光膜を形成する部分を露光・硬化させ、アルカリ現像液で未露光部の遮光性組成物を除去することで、黒色膜を形成する。このため、設計通りの遮光膜を形成するためには、未露光部の現像性及び露光部の遮光膜の密着性が重要となる。しかし、レンズ上の残渣を残さないように現像性を向上させると、形成された硬化膜とレンズとの密着性が低下し、遮光膜が剥がれ易くなることが懸念される。一方、レンズ上の密着性を向上させるために硬化性組成物に吸着性を向上させる部分構造を導入すると、それに伴って現像性が低下し、レンズ上の遮光膜が現像不良のため残存してしまう問題が生じるため、レンズとの密着性と、パターン形成時の現像性との両立は非常に困難であった。
また、本発明のさらなる目的は、遮光膜の存在により光量が適切に調整され、簡易に製造しうるウエハレベルレンズを提供することにある。
即ち、本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物は、(A)無機顔料、(B)後述する一般式(1)で表される分子内にリン酸基を有する分散樹脂、若しくは、(B)リン酸基又はスルホン酸基を有するモノマー(b−1)と、重量平均分子量が1,000以上30,000以下であるマクロモノマー(b−2)との共重合体である分散樹脂、(C)重合開始剤、及び、(D)重合性化合物、を含有することを特徴とする。
ここで、用いられる(A)無機顔料としては、紫外域での透過性、及び、可視域から赤外域での遮光性の観点から、チタンブラックが好ましい。
黒色硬化性組成物においては、前記(A)無機顔料は、(B)既述の構造を有するリン酸又はスルホン酸を含有する分散樹脂を用いて分散することによって得られた顔料分散物の形態で含まれることが、形成される遮光膜の均一性の観点から好適である。
本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物は、遮光材料として(A)無機顔料、好ましくはチタンブラックを含有するために、遮光性を維持しつつ高感度で硬化し、現像液耐性に優れた黒色レジストとなる。
なお、可視域の遮光性能を向上させる目的で、さらに、所望の(E)有機顔料を含む顔料分散液及び染料から選択される着色剤などを加えることが好ましい。
本発明の請求項6に係るウエハレベルレンズは、基板上に存在するレンズの周縁部に、前記本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を用いて得られた遮光部を有することを特徴とする。
また、本発明によれば、遮光膜の存在により光量が適切に調整され、簡易に製造しうるウエハレベルレンズを提供することができる。
<黒色硬化性組成物>
本発明の黒色硬化性組成物は、(A)無機顔料、(B−1)後述する一般式(1)で表される分子内にリン酸基を有する分散樹脂、若しくは、(B−2)リン酸基又はスルホン酸基を有するモノマー(b−1)と、重量平均分子量が1,000以上30,000以下であるマクロモノマー(b−2)との共重合体である分散樹脂、(C)重合開始剤、及び、(D)重合性化合物、を含有することを特徴とする。
以下、本発明のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物に含まれる各成分について順次説明する。
本発明に用いられる遮光材料としては、保存安定性、安全性の観点から(A)無機顔料が選択される。(A)無機顔料としては、紫外光から赤外域までの遮光性を発現すべく、紫外光から赤外まで吸光度を有する顔料が好ましい。
(A)無機顔料としては、金属単体からなる顔料、金属酸化物、金属錯塩等から選ばれる金属化合物からなる顔料などを挙げることができる。
具体的には、例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、サーモンピンク等が挙げられる。
また、黒色の無機顔料としては、Co、Cr、Cu、Mn,Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、2種以上の混合物として用いることもできる。
特に、紫外から赤外までの広い波長域での遮光性を発現する目的で、単独のみならず、複数種の顔料を混合し、使用することが可能である。
本発明においてチタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。
チタンブラック粒子は、そのまま用いてもよいが、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾したものを用いてもよい。表面修飾方法としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び、酸化ジルコニウムからなる群より選択される材料により被覆する方法が挙げられ、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質により表面処理することも可能である。
ここでいう、チタンブラックの一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて測定することができる。すなわち、顔料粉体を透過型電子顕微鏡で3万倍〜10万倍で観察し、写真を撮り、100個の一次粒子の長径を測定する。この操作を顔料粉体の部位を変えて合計で3箇所について行い、結果を平均した。本明細書では、上記方法により、測定した値を用いている。
チタンブラックの比表面積は、とくに限定がないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5〜150m2/g程度、特に20〜100m2/g程度であることが好ましい。
本発明の黒色硬化性組成物には、(A)無機顔料は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、後述するように、遮光性の調整等を目的として、有機顔料や染料などを所望により併用してもよい。
黒色硬化性組成物中の(A)無機顔料の含有量は、組成物全質量に対し、5〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましい。
本発明の(B)特定樹脂は、分子内にリン酸基又はスルホン酸基を有する。リン酸基又はスルホン酸基は、(B−1)リン酸基又はスルホン酸基を有するモノマー(b−1)と、重量平均分子量が1,000以上30,000以下であるマクロモノマー(b−2)との共重合体として、又は、(B−2)下記一般式(I)で表される分散樹脂として含まれ、このことにより、ウエハレベルレンズ上の現像性及び密着性が向上する。これは、分散樹脂が有するリン酸基やスルホン酸基などの強酸基(低pKaの酸基)がレンズに使用されている樹脂を構成する分子との間で相互作用して密着性が高まる一方、アルカリ現像液に対して解離しやすい強酸基を有することにより現像液を浸透させやすく、且つ、無機顔料と強く吸着することにより、樹脂の現像除去に伴い、組成物中に含まれる(A)無機顔料もともに効率よく除去できると考えている。
以下、本発明に係る(B)特定樹脂の態様について詳細に説明する。
本発明においては、樹脂の分子内にリン酸基又はスルホン酸基、則ち、pKaが3以下である強酸基を有することから本発明の効果を発現するものであるが、このような強酸基を樹脂中に導入するためには、リン酸基又はスルホン酸基を有するモノマー(b−1)を共重合させる方法をとることも好ましい。
なお、リン酸基又はスルホン酸基を有するモノマーとしては、公知のモノマーを挙げることができ、例えば、ビニルホスホン酸等のリン酸基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−(アクリロイルアミノ)−2−メチル−1−プロパンスルホナート等のスルホン酸基含有モノマーが挙げられる。また、これらは市販品としても入手可能であり、市販品としては、例えば、ホスマーM、ホスマーCL、ホスマーPE、ホスマーPP(ユニケミカル社製)等が挙げられる。
マクロモノマー(b−2)の例としては、例えば、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーが挙げられる。これらの中でも、特にポリエステル系マクロモノマーが、顔料分散物の分散性、分散安定性、及び顔料分散物を用いた着色硬化性組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
<(B−2)一般式(I)で表される樹脂>
併用される分散剤としては、公知の化合物を任意に選択して用いることができ、市販の分散剤、界面活性剤なども使用可能である。分散剤として用いうる市販品としては、具体的には、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;
その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーも併用可能な分散剤として好適に挙げられる。
(B−1)共重合体又は(B−2)樹脂に、他の顔料分散剤を併用する場合、その添加量としては、(B−1)共重合体又は(B−2)樹脂の含有量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、5〜30質量%である。
本発明の黒色硬化性組成物には、重合開始剤を含有する。
本発明の黒色硬化性組成物における重合開始剤は、光や熱により分解し、後述する重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300〜500nmの領域に吸収を有するものであることが好ましい。
具体的には、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物が挙げられるが、特にオキシムエステル化合物及びヘキサアリールビイミダゾール系化合物が、現像残渣が少なく、密着性が良好であるという観点から好ましい。
より具体的には、例えば、特開2006−78749号公報の段落番号[0081]〜[0100]、[0101]〜[0139]等に記載される重合開始剤が挙げられる。
本発明においては365nmや405nm等の近紫外領域の吸収が小さいオキシムエステル化合物でも、増感剤と併用することによって著しく高感度化され実用的な感度まで到達することができる。
ここでオキシムエステル化合物は380nm〜480nmの領域に吸収が小さく、着色、特に黄着色が小さいので、本発明の主たる用途である画像表示装置用のカラーフィルタに用いたときに、色純度の高い画像が得られる。また他の用途である固体撮像素子用の色分解用カラーフィルタに用いたときには、解像力の高い色信号が得られるので高解像力の固体撮像素子が得られる。
以下、オキシムエステル化合物の具体例を示す。
やチオール系化合物があげられ、チオール系化合物としては、2-メルカプトベンゾチア
ゾール、2-メルカプト-1-フェニルベンズイミダゾール、3-メルカプトプロピオン酸、などを単独または2種以上混合して使用することができる。特に、ヘキサアリールビイミダゾール化合物とチオール系化合物を組み合わせて用いることが、残渣及び密着性の観点から好ましい。
本発明の黒色硬化性組成物には、重合性化合物を含有する。
(D)重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。
更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)
、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシル基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシル基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。
本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
本発明の黒色硬化性組成物には、前記(A)〜(D)の必須成分及び顔料分散剤に加え、目的に応じて種々の添加剤を使用することができる。
(E−1)バインダーポリマー
黒色硬化性組成物においては、分散安定性・現像性・皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーポリマーは分散時に添加してもよく、また硬化性組成物を調製する際に添加してもよい。
バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。
本発明では、所望の遮光性を発現させるべく、公知の有機顔料や染料などの無機顔料以外の遮光材料を併用することが可能である。
併用することができる着色剤としては、有機顔料では、例えば、特開2008−224982号公報段落番号〔0030〕〜〔0044〕に記載の顔料や、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79のCl置換基をOHに変更したものなどが挙げられ、これらのなかでも、好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.Pigment Orange 36,
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255
C.I.Pigment Violet 19,23,29,32,
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.Pigment Green 7,36,37,58
C.I.Pigment Black 1,7
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
本発明では、無機顔料との組み合わせにおいて、硬化性と遮光性を両立する組み合わせとして、チタンブラック顔料とともに、オレンジ顔料、赤色顔料及びバイオレット顔料から選択される顔料を組み合わせることが好ましく、最も好ましいものとして、チタンブラック顔料と赤色顔料との組み合わせが挙げられる。併用される赤色顔料としては、より具体的には、C.I.Pigment Red 254、255などが好ましいものとして挙げられる。
黒色硬化性組成物には、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、併用する重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
増感剤の好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、感度と保存安定性の観点から、黒色硬化性組成物の全固形分の質量に対し、0.1〜30質量%の範囲が好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましく、2〜15質量%の範囲が更に好ましい。
(E−4)重合禁止剤
黒色硬化性組成物には、該組成物の製造中或いは保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。重合禁止剤としては、公知の熱重合防止剤を用いることができ、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
熱重合防止剤の添加量は、黒色硬化性組成物の全固形分に対し約0.01〜約5質量%が好ましい。
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5〜約10質量%が好ましい。
黒色硬化性組成物には、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
密着向上剤の添加量は、黒色硬化性組成物の全固形分中0.5〜30質量%が好ましく、0.7〜20質量%がより好ましい。
特に、本発明の黒色硬化性組成物は、ガラス基板上にレンズを作製する目的に使用されるため、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の目的で共増感剤を含有してもよい。また、硬化皮膜の物性を改良するために界面活性剤、希釈剤、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
本発明のウエハレベルレンズは、前記本発明の黒色硬化性組成物を用いてなる遮光膜を備えることを特徴とする。
以下、本発明のウエハレベルレンズについて説明する。
図1は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
図1に示されるように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列されたレンズ12と、を備えている。ここで、図1では、複数のレンズ12は、基板10に対して2次元に配列されているが、1次元に配列されていてもよい。
図2に示すように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列された複数のレンズ12とを備えている。複数のレンズ12は、基板10に対して1次元又は2次元に配列されている。
本発明のウエハレベルレンズは、基板10上に存在する1つのレンズ12とその周縁部に設けられた遮光膜14により構成される。本発明の黒色硬化性組成物は、この遮光膜14の形成に用いられる。
本実施形態では、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されている構成を例に説明する。レンズ12は、一般的には、基板10と同じ材料から構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。
ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズはこの態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
フェノール樹脂は、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のものを用いることができる。アクリル樹脂としては、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のものを用いることができる。
高アッベ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
無機微粒子としては、例えば酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。
また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)または有機酸基を持つ分散剤などで表面修飾してもよい。
無機微粒子の数平均1次粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。
ここで上述の数平均1次粒子サイズとは、例えばX線回折(XRD)装置あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
基板10は、レンズ12の成形材料と同じものを用いることができる。また、基板10が可視光に対して透明なガラスなどの材料かなるものであれば、レンズ12の成形材料とは異なる材料により形成されていてもよい。この場合には、基板10を形成する材料としては、レンズ12を形成する材料と線膨張係数が同じが極めて近い材料であることが好ましい。レンズ12を形成する材料と基板10を形成する材料との線膨張係数が互いに同じか近似する場合には、撮像ユニットへのウエハレベルレンズのリフロー実装において、線膨張率が異なることで生じる加熱時のレンズ12の歪みや割れを抑制しうる。
なお、図1及び図2中に図示してはいないが、基板10の光入射側の面には、赤外線フィルタ(IRフィルタ)が形成されていてよい。
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(1)〕
図3は、基板に成形材料である樹脂(図3中にMと記載)を供給している状態を示す図である。図3に示すように、基板10のレンズを成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
また、図4(A)〜(C)は、基板10にレンズ12を型60で成形する手順を示す図である。
ここで、型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
次に、図5(A)〜(C)を参照して、レンズ12の周縁部に遮光膜14を形成する方法について説明する。
ここで、図5(A)〜(C)は、レンズ12が成形された基板10に遮光膜14を設ける工程を示す概略断面図である。
パターン状の遮光膜14の形成は、レンズ12を作製する前でも、レンズ12を作製した後でも任意に行うことができが、ここでは、レンズ12を作製した後の方法について詳述する。
以下、遮光膜14の形成方法における各工程について説明する。
遮光性塗布層形成工程では、図5(A)に示すように、基板10上に、黒色硬化性組成物を塗布して該黒色硬化性組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層14Aを形成する。このとき、遮光性塗布層14Aは、基板10の表面、及び、レンズ12のレンズ面12aとレンズ縁部12bの表面を全て覆うように形成される。
なお、ここで言う基板10とは、レンズ12と基板10を一体形成する態様においては、レンズ12と基板10の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板1上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板1表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
黒色硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmがさらに好ましい。
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層14Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図5(B)に示すように、所定のマスクパターンを有するマスク70を介して露光する態様が好ましい。
本工程における露光においては、塗布層14Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部12bの表面とレンズ12間の基板10の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面12aを除く領域の塗布層14Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜14を形成する。
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であっても良いし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層14Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。
具体的には、図5(B)に示すように露光された遮光性塗布層14Aは、現像されることにより、図5(C)に示すように、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層14Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜14が形成される。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄、除去し、さらに、乾燥工程に付す。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜14を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
図6は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す図である。
図6に示すウエハレベルレンズは、基板10とレンズ12とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。
このようなウエハレベルレンズを作製する際には、成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。また、この例では、基板10の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ12が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ20が複数形成されている。また、基板10のレンズ面12aを除く領域、つまり、基板10の表面及びレンズ縁部12bの表面にパターン状の遮光膜14が形成されている。遮光膜14を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
次に、図7(A)〜(C)及び図8(A)〜(C)を参照して、ウエハレベルレンズアレイの更なる他の構成例と、それを作製する手順について説明する。
ここで、図7(A)〜(C)は、パターン状の遮光膜14を形成する他の工程を示す概略図である。
また、図8(A)〜(C)は、まず、パターン状の遮光膜14を形成した後、レンズ12を成形する工程を示す概略図である。
先ず、図7(A)に示すように、基板10上に黒色硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
本工程における露光においては、遮光性塗布層14をパターン露光することで、遮光性塗布層14Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ12を成形した際にレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ12のレンズ開口14aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層14Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
ここで、現像液であるアルカリ水溶液中のアルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。
現像処理後は、その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
次に、遮光膜14を形成後に、レンズ12を形成する工程について説明する。
図8(A)に示すように、パターン状の遮光膜14が形成された基板10の上に、レンズ12を構成する成形材料Mがディスペンサ50により滴下される。成形材料Mは、レンズ12のレンズ開口14aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜14の端部を一部含むように供給される。
また、遮光膜14は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
〔合成例1:樹脂(1)の合成〕
下記スキームに従い、リン酸基を有するモノマー(1)及びマクロモノマー(1)を用いて、本発明に係る(B−1)特定樹脂である樹脂(1)を合成した。
樹脂(1)のGPC測定による重量平均分子量は25,000、数平均分子量は11,000、酸価は150mgKOH/gであった。
表1に記載のモノマー、マクロモノマーを用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、樹脂(2)〜樹脂(9)を得た。得られた樹脂の重量平均分子量、数平均分子量及び酸価を表1に併記する。
下記スキームに従い、リン酸基を有するモノマー(5)及びマクロモノマー(3)を用いて、本発明に係る(B−1)特定樹脂である樹脂(10)を合成した。
樹脂(1)〜樹脂(10)は、本発明に係る(B)特定樹脂のうち、(B−1)共重合体に属する樹脂である。
比較用樹脂(1)は、分子内に、リン酸基及びスルホン酸基のいずれをも有しない樹脂である。
以下に、合成に用いた原料モノマーの構造を示す。
〔合成例11:樹脂(11)の合成〕
得られた樹脂(11)のGPC測定による重量平均分子量は2,500、数平均分子量は1,200であった。また、リン酸モノエステルとリン酸二エステルの存在比は、31P NMRより88:12であった。
得られた樹脂(12)のGPC測定による重量平均分子量は2,400、数平均分子量は1,300であった。また、リン酸モノエステルとリン酸二エステルの存在比は、31P NMRより89:11であった。
<黒色硬化性組成物の調製>
〔1.(A)無機顔料分散液の調整〕
下記組成Iに示す成分を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練することを行ってもよい。
・平均一次粒径40nmチタンブラック 40部
(三菱マテリアルズ(株)製)(Pigment Black 35)
・(B)特定樹脂又は比較例樹脂のプロピレングリコール1−モノメチル
エーテル2−アセテートの30質量%溶液 5部
(使用する樹脂の種類は、表2に記載の通りである)
・樹脂(1)〜(12)及び比較例樹脂(1)のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート30質量%溶液 20部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 150部
下記組成成分を攪拌機で混合して、実施例1〜18の黒色硬化性組成物〔(B−1)〜(B−18)〕及び比較例1の黒色硬化性組成物〔(B−21)〕を調製した。
・アルカリ可溶性樹脂(表2に記載の化合物)のプロピレングリコール1−
モノメチルエーテル2−アセテート30質量%溶液 10部
〔(E−1)アルカリ可溶性樹脂〕
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔(D)重合性化合物〕 2.0部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート〔(D)重合性化合物〕 1.0部
・重合開始剤(表2に記載の化合物)〔(C)光重合開始剤〕 0.3部
・TB分散液(上記で得た分散液) 24部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 10部
・エチル−3−エトキシプロピオネート 8部
・γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.1部
〔黒色硬化性組成物(B−19)の調整〕
<銀錫組成物の調製>
60℃に保温した純水200mlに錫コロイド(平均粒子系:20nm、固形分:20重量%、住友大阪セメント社製)15gと、銀コロイド(平均粒子系:7nm、固形分:20重量%、住友大阪セメント社製)60gとポリビニルピロリドン0.75gを水100mlに溶解した溶液を加え、コロイド溶液とした。
次いで、このコロイド溶液を60℃に保持した状態で60分間攪拌し、その後、超音波を5分間照射した。次いでこのコロイド溶液を遠心分離により濃縮し、固形分が25%のA液を得た。A液をフリーズドライ方法により乾燥し、銀錫粉末試料を得た。
実施例1において、チタンブラックに代えて、得られた銀錫粉末を、樹脂(1)を用いて分散して銀錫分散液を調製した他は、実施例1と同様にして実施例19の黒色硬化性組成物(B−19)を調製した。
〔黒色硬化性組成物(B−20)の調整〕
<Tiブラック−赤色顔料組成物の調製>
(赤色顔料分散液の調製)
下記組成物を0.3mmジルコニアビーズを用いた、分散機(商品名:ディスパーマット GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して赤色顔料分散液を調製した。
・C.I.ピグメントレッド254〔(F)着色成分〕 30質量部
(表2には、PR254と記載)
・樹脂溶液(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/
ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、mol比:80/10/10、
Mw:10000、溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート60%、
樹脂固形分濃度:40%) 10質量部
・溶剤:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート 200質量部
・分散剤:樹脂(1)のプロピレングリコール1−メチルエーテル2
−アセテート30質量%溶液 30質量部
樹脂(1)を用いて得られた上記チタンブラック顔料分散液20部/赤色顔料分散液4部の混合物をTB分散液に代えて用いた他は、実施例1と同様にして実施例20の黒色硬化性組成物(B−20)を調製した。
<カーボンブラックを用いた黒色硬化性組成物の調製>
実施例1において用いたチタンブラックをカーボンブラック(東海カーボン社製トーカブラック#7400、平均1次粒子径28nm)に変更してカーボンブラック(CB)分散液を調製した。それ以外は実施例1と同様にして黒色硬化性組成物(B−22)を調製した。
なお、表2に記載の重合開始剤〔(I−1)〜(I−6)〕、アルカリ可溶性樹脂〔(D−1)、(D−2)〕の構造を以下に示す。
以下の操作により、レンズ膜への密着性等を評価するため、レンズ形成用樹脂を用いてレンズ形成用樹脂膜を形成した。
<1.熱硬化性樹脂膜の形成>
表3に示す成分を含む硬化性組成物1〜4(2mL)を5×5cmのガラス基板(厚さ1mm、Schott社製、BK7)に塗布し、200℃で1分間加熱して硬化させ、レンズ上の残渣評価できるレンズ形成用樹脂膜(膜1〜4)を形成した。
<2.光硬化性樹脂膜の形成>
表3に示す硬化性組成物5及び6(2mL)を5×5cmのガラス基板に塗布し、メタルハライドランプで3000mJ/cm2の光を照射して硬化させ、レンズ上の残渣評価できる膜(膜5、6)を形成した。
塗布・加熱処理後の膜厚が2.0μmになるように、スピンコートの塗布回転数を調整して、レンズ形成用樹脂膜(膜5)を形成したガラスウエハ〔支持体〕上に、黒色硬化性組成物(B−1)〜(B−22)を均一に塗布し、表面温度120℃のホットプレートにより120秒間加熱処理した。このようにして、膜厚2.0μmの塗膜〔黒色硬化性組成物層〕を得た。なお、実施例17で得た黒色硬化性組成物(B−17)については、レンズ形成用樹脂膜(膜5)を、それぞれ膜1〜膜4、及び、膜6に代えて、同様の評価を行い、結果を実施例17−1〜実施例17−6として下記表4に示した。
なお、表中では、例えば、「膜1」は「1」と表記する。
次いで、得られた塗布層を、高圧水銀灯を用い、10mmのホールパターンを有するフォトマスクを介して露光量100mJ/cm2から50mJ/cm2ずつ変更し露光した。
前記露光後の塗布層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、23℃60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、パターン状の遮光膜を得た。
形成された遮光膜を以下の基準で評価した結果を、下記表4に示す。
10mmのホールパターンの現像部をSEMにより観察し、残渣の個数を求めた。残渣の個数が少ないほど、現像性が良好であることを示す。
形成された遮光膜について、基板からのはがれが生じなくなった最小の露光量を密着感度として評価した。感度の値が小さいほど基板に密着した硬化膜が高感度で形成されることを示す。
−レンズ形成用樹脂膜への密着性評価−
JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験に従い行った。
10×10cmのガラス基板上に上記の方法でレンズ形成用樹脂(膜1〜膜5)を形成した。次に、硬化性組成物(B−1)〜(B−22)を、表4に示すレンズ形成用樹脂膜上に、膜厚2μmとなるように塗布し、高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2照射し、レンズ形成用樹脂膜上に遮光性膜を形成した。次に、1.0mm間隔で10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目を数える。残存マス目数が多いほど密着性が良好であると評価する。
遮光性に関して、厚さ2μmの遮光膜における波長400nm〜800nmの光での最大の透過率を示す。数値が少ない程、遮光性が良好であると評価し、1%未満の透過性は実用上、良好なレベルであると判断する。
Claims (5)
- (A)無機顔料、(B−1)下記一般式(I)で表される分子内にリン酸基を有する分散樹脂、(C)重合開始剤、及び、(D)重合性化合物、を含有するウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
前記一般式(I)中、RAは、ポリエーテル及びポリエステルから選択される、数平均分子量500〜30,000の分子鎖を表す。yは1又は2を表す。
- (A)チタンブラックである無機顔料、(B−2)リン酸基又はスルホン酸基を有するモノマー(b−1)と、重量平均分子量が1,000以上30,000以下であるマクロモノマー(b−2)との共重合体である分散樹脂、(C)重合開始剤、及び、(D)重合性化合物、を含有するウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
- 前記(A)無機顔料がチタンブラックである請求項1に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
- さらに、(E)有機顔料を含有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物。
- 基板上に存在するレンズの周縁部に、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のウエハレベルレンズ用黒色硬化性組成物を用いて得られた遮光部を有するウエハレベルレンズ。
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