JP5640798B2 - 弁装置 - Google Patents
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Description
従来より、この種の弁装置としては、種々な構成のものが実用に供されてきたが、その代表例であるスロットルバルブ装置の場合、ハウジングに収納され、吸気通路の開度調整を司る弁構成体は、図7に示すごとき基本的構造を有しているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
図7に基づき概説すれば、弁構成体60は、吸気通路を形成するハウジング(図示せず)に回動可能に支承されるバルブシャフト40と、このシャフト40に保持される平板状バルブ50とからなり、バルブシャフト40には径方向に貫通するスリット孔80が形成されていて、このスリット孔80に平板状バルブ50を挿入した状態でスクリュ70を締め付けることにより、平板状バルブ50をバルブシャフト40に固定するものである。
このような弁装置は、金属棒にスリット孔加工を施すことによりバルブシャフト40が得られ、金属板を円形に打ち抜くことにより平板状バルブ50が得られるため、構造が簡単で組付けが簡便であるという利点を有する反面、各構成部品には高精度が要求され、厳しい工程管理を伴うなどの欠点がある。つまり、バルブ50のシャフト40への固定を、スクリュ70の締付けによる軸力での保持に依存しているが、締付けトルクのばらつきや部品の出来ばえ等によってこの保持力が低下若しくは不安定な状態となり、運転中にバルブ50がシャフト40に対してずれるという重大事を惹起する懸念がある。そのため、構成部品個々の精度の保証(加工精度の管理)、厳しい組付け面での管理(工程管理)等を要し、結局これらの管理コストが製品全体のコスト増大要因となっている。
近年、車両に搭載する各種部品・装置に対し、コスト低減要求が一段と厳しくなってきており、この種の弁装置においても、例外なくコスト低減が必須の課題であり、安価な弁装置が切望されている。
請求項1の手段を採用する弁装置では、バルブシャフトおよび平板状バルブが、共に金属製であって、バルブシャフトには、スリット孔が平板状バルブの板厚より大きく形成されていて平板状バルブを遊嵌状態で挿入できるようになっており、平板状バルブをスリット孔に所定位置(固定位置)まで挿入したときバルブシャフトおよび平板状バルブが相互に対面する重畳区域に、スクリュのごとき締付手段によって締付けられることで相手方に食い込む凹凸手段を形成したことを特徴としている。
しかも、バルブシャフトおよび平板状バルブは実質的に従前のままであり、簡単かつ廉価な構成でもって、ずれ防止構造を実現することができる。
さらに、実質的にスリット孔に相当する重畳区域に凹凸手段を設けるだけであるため、バルブシャフトの外周面や平板状バルブの露出表面などの流路を形成する面には何ら凹凸を設けないため、凹凸が圧損となり流量に影響を及ぼすようなこともない。
このような構成にすることにより、切削加工の際に生じる突片(所謂バリ)を凹凸手段として有効活用することができ、凹凸手段を設けるための特別な加工を要しない。
請求項2の手段を採用する弁装置によれば、平板状バルブには、バルブシャフトとの重畳区域を区分するように凹みが形成されており、締付手段によって締付けられることによりこの凹みにバルブシャフトが食い込むことで、凹凸手段を構成することを特徴としている。
かかる構成によれば、平板状バルブには金属板からバルブ自体を打ち抜く工程を利用して凹みを設けることができるため、請求項2の手段と同様に、凹凸手段を設けるための特別な加工を要しない。
持力の低下に起因する、平板状バルブがバルブシャフトに対してずれるのを防止するとい
う課題を、バルブシャフトと平板状バルブとの重畳部分に、締付けられることで相手方に
食い込む凹凸手段を形成し、バルブシャフトと平板状バルブとの結合を補強することで実
現した。
以下、本発明を図面に示す実施例について詳説する。ただし、実施例1、2は、本発明が適用された具体例を示すものであるのに対し、実施例3は、本発明が適用されていない参考例を示すものである。
図1ないし図4は、本発明の実施例1を説明するためのもので、まず、図1および図2に基づいて弁装置の代表的な適用例としてのスロットルバルブ装置を概説したのち、図3および図4に基づいて本発明の弁装置における要の構造(弁構成体)について詳しく説明する。
スロットルボデーとも総称されるスロットルバルブ装置1は、自動車のごとき車両に搭載されるものであり、エンジンの燃焼室に向けての吸入空気(流体に相当)を導く吸気通路(流路に相当)2を形成するハウジング3と、このハウジング3に回動可能に支承されたバルブシャフト4と、このバルブシャフト4に保持され、バルブシャフト4の回動により吸気通路2の開度調整を行なうバタフライバルブ5とを主構成要素としている。このスロットルバルブ装置1は、エンジンの運転条件に応じて図示しない制御装置によりバルブシャフト4が回動操作され、バタフライバルブ5の開度に応じて、吸気通路2を流れる吸気の流量(エンジンの吸気量)を制御するものである。
スロットルバルブ装置1の主要部をなす弁構成体6は、断面円形状を呈するバルブシャフト4と、平板状バルブをなす、特に円板状を呈するバタフライバルブ5と、スクリュ7とから構成されており、バルブシャフト4にバタフライバルブ5がスクリュ7によって締付固定されている。このスクリュ7は、図7に示すスクリュ70と同様、頭部7aおよび雄ネジ部7bを有し頭付ネジと総称されるもので、締付手段を構成している。
上記弁構成体6の各構成部品について、その特徴事項を以下に説明する。
ちなみに、スリット孔8は、例えば、プレスによる穴あけ加工、ブローチによる切削加工、レーザ加工、放電加工、研削加工等の適宜な加工方法により形成することができる。
なお、各突片8a、8bは、わざわざ設けるのではなく、バルブシャフト4に平面4a、4bを形成すべく例えば切削加工を施すことによって生じるバリを活用することができる。また、各対の突片8a、8bは、バルブシャフト4とバタフライバルブ5が相互に対面する重畳区域の境界線上に位置しており、バタフライバルブ5に食い込む凹凸手段をなしている。
上記構成による弁構成体6は、バルブシャフト4のスリット孔8にバタフライバルブ5を組み付けるにあたり、ネジ挿通孔部9aとネジ挿通孔10とが一致する位置(固定位置)まで、バタフライバルブ5を嵌挿する。このとき、図4(a)のごとく、各対の突片8a、8bは、先端間の隙間Aがバタフライバルブ5の板厚Bより若干大きくなっており、バタフライバルブ5をスリット孔8に円滑に嵌挿することができる。
この状態で、スクリュ7をバルブシャフト4のスクリュ取付孔9に締め付ける。スクリュ7は、ネジ挿通孔部9aおよびネジ挿通孔10とは遊嵌状態にあるが、雄ネジ部7bが雌ネジ孔部9bに螺着されていくことにより、頭部7aとの間で、バルブシャフト4に対し、図4(a)の矢印のごとき径方向の上下から締付け力を付与していく。スクリュ7の締付け量に伴ってその締付け力が次第に増大していくことにより、スリット孔8の幅(隙間A)が次第に狭まり、最終的には図4(b)のごとく、各対の突片8a、8bがバタフライバルブ5に食い込んでいく。
かくして、各対の突片8a、8bがバタフライバルブ5に食い込むことにより、バルブシャフト4とバタフライバルブ5とを機械的にかつ強固に結合することができ、併せてバルブシャフト4とバタフライバルブ5との位置決めを行うことができる。
しかも、バルブシャフト4およびバタフライバルブ5は実質的に従前のままであり、簡単かつ廉価な基本構成を維持して、ずれ防止構造を実現することができる。
さらに、突片8a、8bは実質的にバルブシャフト4とバタフライバルブ5との重畳区域に位置しているため、バルブシャフト4の外周面やバタフライバルブ5の露出表面などの流路を形成する面を何ら阻害することがなく、突片8a、8bが圧損となり流量に影響を及ぼすようなこともない。
図5は、本発明の実施例2として、弁装置の主要部をなす平板状バルブ(バタフライバルブ5)を示すものである。
上記実施例1においてはバルブシャフト4側に凹凸手段として突片8a、8bを設けたのに対し、本実施例2は、バタフライバルブ5側にも突片8a、8bを積極的に食い込ませるための凹凸手段を形成したものである。以下の実施例2の説明に際しては、図5に示されていない構成要素については実施例1の構成要素名および符号を準用することとする。
この各凹み11が、突片8a、8bを積極的に食い込ませる凹凸手段をなすものであって、図5(b)、(c)に示す二つの形態で具現することができる。
図5(b)のものは、罫書き線のごとき線状の凹み11aで構成されており、図5(c)のものは、断面V字状の切り欠き11bで構成されている。
かかる構成によれば、スクリュ7を締め付けていくと、バルブシャフト4の突片8a、8bがバタフライバルブ5の各凹み11(11a、11b)に積極的に食い込むため、上記実施例1に比し、バルブシャフト4とバタフライバルブ5とをより強固に結合(位置決め)することができる。
なお、各凹み11(11a、11b)は、バタフライバルブ5をプレス打ち抜き加工する際に、作製することができる。
図6は、本発明の実施例3として、弁装置の主要部をなす平板状バルブ(バタフライバルブ5)を示すものである。
上記の実施例1および2においてはバルブシャフト4側に凹凸手段を設けたのに対し、本実施例3は、バタフライバルブ5側に凹凸手段を設け、バルブシャフトとしては図7に示すスリット孔80付きバルブシャフト40と同様な構造のバルブシャフトを用いる点で異なっているものの、かかる相違点以外は実施例1と同様な構成を採用している。よって、以下の実施例3の説明に際しては、図6に示されていない構成要素については実施例1の構成要素名および符号を準用することとする。
図6において、バタフライバルブ5には、バタフライバルブ5をスリット孔8に所定位置(固定位置)まで挿入したときバルブシャフト4およびバタフライバルブ5が相互に対面する重畳区域の全領域に、梨地状の凹凸面12が形成してある。この凹凸面12が、バルブシャフト4に食い込む凹凸手段をなしている。
特に、梨地状の凹凸面12は、多数の凹凸で構成され、バルブシャフト4との接触面積も大きくとることができるため、大きな結合力を確保できる。また、この凹凸面12は、上述のごとく重畳区域内に形成され、バルブシャフト4の外に露出することがないため、上記実施例1と同様に、圧損等を招く心配がない。
なお、凹凸面12は、バタフライバルブ5をプレス打ち抜き加工する際に、作製することができる。
以上実施例1〜3について詳述したが、凹凸手段の配置や形状・大きさ・個数は、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変更することができるものであり、その変形例の一部について説明する。
実施例1、2においては、突片8a、8bを、バルブシャフト4の平面4a、4bにそれぞれ上下に対向させて一対設けたが、平面4a、4bを形成する切削加工を例えば一方向のみから行ないバリを一方向のみに生じさせる場合には、このバリを活用して、突片8a、8bを上側もしくは下側のみの片側だけに設けても良く、また、バルブシャフト4に形成するスリット孔8を打ち抜き加工する際にスリット孔8の両開口部のまわりにバリを生じさせて、このバリを凹凸手段として直接活用しても良い。この場合、平面4a、4bを形成するための切削加工を省略することができる。
また、実施例3の凹凸面12も、梨地状に限らず、網目状や鑢目状などの種々な凹凸形状を採用することができる。
また、締付手段としては、スクリュ7の代わりにリベットを用いることもできる。
2 吸気通路(流路)
3 ハウジング
4 バルブシャフト
4a、4b 平面
5 バタフライバルブ(平板状バルブ)
7 スクリュ(締付手段)
8 スリット孔
8a、8b 突片(凹凸手段)
11(11a、11b) 凹み(凹凸手段)
12 凹凸面(凹凸手段)
Claims (2)
- 流路を形成するハウジングと、
前記ハウジングに回動可能に支承され、径方向に貫通するスリット孔が形成されたバルブシャフトと、
前記バルブシャフトには前記スリット孔に固定位置まで挿入した状態で締付手段によって固定され、前記バルブシャフトの回動により前記流路の開度調整を行なう平板状バルブと、
を具備した弁装置において、
前記バルブシャフトおよび前記平板状バルブは、共に金属製であり、
前記バルブシャフトは、前記スリット孔が前記平板状バルブの板厚より大きく形成されていて前記平板状バルブを遊嵌状態で挿入できるとともに、
前記平板状バルブを前記スリット孔に前記固定位置まで挿入したとき前記バルブシャフトおよび前記平板状バルブが相互に対面する重畳区域に、前記締付手段によって締付けられることで相手方に食い込む凹凸手段を有するものであって、
前記バルブシャフトの前記スリット孔が開口する軸方向の面は平面に形成されており、
この平面を形成する切削加工により前記スリット孔の開口部に形成された突片が前記平板状バルブに食い込むことで、前記凹凸手段が構成されていることを特徴とする弁装置。 - 請求項1に記載の弁装置において、
前記平板状バルブには前記重畳区域を区分するように凹みが形成されており、
この凹みに前記バルブシャフトが食い込むことで、前記凹凸手段が構成されていることを特徴とする弁装置。
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