JP5640557B2 - マイクロ流体デバイスのクリーニング方法及びクリーニング液 - Google Patents
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Description
本発明は、使用後のマイクロチップのクリーニング方法及びクリーニング液に関する。
ただし、微細加工されたマイクロチップ(例えば特許文献1)は高価であるため、ランニングコストの点で、使い捨てよりも再利用することが好ましい。
そこで、本発明の目的は、マイクロチップの性能を回復することが可能なクリーニング法及びクリーニング液を提供することにある。
本発明は、以下の発明を含む。
流路表面にシラノール基と、流路表面に共有結合したポリマー皮膜とを有する流路が形
成されたマイクロ流体デバイスのクリーニング方法であって、
分析対象の核酸及び/又はタンパク質と、前記分析対象以外の不純物成分とを含む試料
が接触した流路を、
50体積%以上の、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有する有機溶媒を、pHが8〜10である緩衝液中に含むクリーニング液に接触させることによってクリーニングする、マイクロ流体デバイスのクリーニング方法。
(2)
前記ポリマー皮膜は、前記シラノール基とシランカップリング剤とを介して、流路表面
に形成されているものである、請求項1に記載のクリーニング方法。
前記緩衝液中に3〜8Mのタンパク質変性剤をさらに含む、(1)〜(2)のいずれか
に記載のクリーニング方法。
流路表面にシラノール基と、流路表面に共有結合したポリマー皮膜とを有する流路が形成されたマイクロ流体デバイスのクリーニング方法であって、
分析対象の核酸及び/又はタンパク質と、前記分析対象以外の不純物成分とを含む試料が接触した流路を、
50体積%以上の、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有する有機溶媒を、pHが2〜4である緩衝液中に含むクリーニング液に接触させることによってクリーニングする、マイクロ流体デバイスのクリーニング方法。
流路表面にシラノール基と、流路表面に共有結合したポリマー皮膜とを有する流路が形成されたマイクロ流体デバイス用のクリーニング液であって、
50体積%以上の、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有する有機溶媒を、pHが8〜10である緩衝液中に含む、マイクロ流体デバイスクリーニング液。
(6)
前記緩衝液中に3〜8Mのタンパク質変性剤をさらに含む、(5)に記載のクリーニング液。
(7)
流路表面にシラノール基と、流路表面に共有結合したポリマー皮膜とを有する流路が形成されたマイクロ流体デバイス用のクリーニング液であって、
50体積%以上の、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有する有機溶媒を、pHが2〜4である緩衝液中に含む、マイクロ流体デバイスクリーニング液。
本発明においてクリーニングの対象となるマイクロ流体デバイスの流路構成又はデザインは特に限定されるものではなく、核酸及び/又はタンパク質を含む液体の保持及び輸送を行うことができるものであればよい。
マイクロ流体デバイスの素材は石英、ガラス、樹脂など、特に限定されない。それらは光学特性の観点から透明性の高いものが望ましい。特に、本発明のクリーニング方法及びクリーニング液は、表面にシラノール基を有する材質の場合に有効である。
マイクロ流体デバイスには流路が形成されており、流路はポリマー皮膜の表面処理がなされている。
ポリマー皮膜は、核酸やタンパク質を含む試料の分離環境を提供する親水性基を有しうるものであり、流路表面を試料や分離バッファーとの相互作用から保護するものでありうる。流路内で核酸やタンパク質を含む試料の電気泳動分離を行う場合、電気浸透流を抑制を目的とするものでもあり、流路内で核酸やタンパク質を含む試料のクロマトグラフィによる分離を行う場合においては、分離用担体、分離用固定相でもありうる。
ポリマー皮膜が流路表面への共有結合によるものである場合、そのような皮膜の一態様においては、流路表面に、二官能性基の一方の官能基が共有結合し、前記二官能性基の他方の官能基が有機系皮膜(単分子膜)を形成するポリマーと共有結合している。このようなポリマー皮膜は、二官能性化合物を流路表面に接触させて一方の官能基を前記表面へ共有結合させた後、モノマーを加えて他方の官能基と重合させることによって行われうる。この場合、二官能性化合物としては、流路表面にシラノール基を有する材質の場合、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。また、上記モノマーとしては、アクリル、アクリロイル、メタクリル、アリル、ビニル及びアクリルアミドモノマーなどが挙げられる。上記モノマーは、さらに、アミノ基、水酸基、ピロール基などの親水性基を置換基として有しうる。特に、本発明のクリーニング方法及びクリーニング液においては、流路表面がpKa8〜10である共重合ポリマーの皮膜を有する場合に、ポリマー皮膜の帯電が抑制され、静電相互作用による流路内成分の吸着を防ぐことが可能となり有効である。
マイクロ流体デバイスは、流路が形成されたものであればよく、必ずしもサイズの小さいものに限定されるものではない。流路は、一般的に、溶液の移動とともに分析が行なわれる主流路が含まれうる。例えば電気泳動工程が行われる分離用流路を含む電気泳動流路、液体クロマトグラフィ工程が行われる分離用担体を含む送液流路、及び、分離用固定相としての表面修飾を有する送液流路などが挙げられる。さらに、主流路に通じる試料及び/又は移動相導入路が形成されていてもよい。それぞれの流路は、複数形成されていてよい。
図2は、マイクロ流体デバイスの一例として、電気泳動用マイクロチップを示したものである。
図2に示されるように、このマイクロチップ1は一対の透明基板(石英ガラスその他のガラス基板や樹脂基板)11,12からなり、一方の基板12の表面に、(B)に示されるように、互いに交差する泳動用キャピラリ溝14,15を形成し、他方の基板11には、(C)に示されるように、その溝14,15の端に対応する位置にリザーバ13を貫通穴として設け、両基板11,12を(C)に示すように重ねて接合し、キャピラリ溝14,15を試料の電気泳動分離用の分離流路15と、その分離流路に試料を導入するための試料導入流路14とする。
マイクロチップ1は基本的には図2(A)〜(C)に示したものであるが、取扱いを容易にするために、図2(D)に示されるように、電圧を印加するための電極端子を予めチップ上に形成したものでありうる(実施例において後述)。
本発明は、使用済みのマイクロ流体デバイスに用いられる。マイクロ流体デバイスの使用履歴としては、分離媒体やインターカレータ蛍光色素を含む電気泳動バッファーが封入されたか、核酸及び/又はタンパク質を含む試料が流路表面に接触した経緯があれば特に限定されない。核酸やタンパク質は分析対象となりうるものである。上記試料は、分析時において、移動相又は分離用バッファーなどとともに流路表面に接触しうる。
核酸を含む試料及び移動相には、分析対象としての核酸(DNA、RNA)の他に、例えば、分析対象以外の核酸成分、酵素、安定化剤、比重増加剤、蛍光色素などの成分が、塩とともに、緩衝液中に含まれうる。これら成分が、マイクロ流体デバイスの流路表面に不純物として吸着しうる。
分析対象以外の核酸成分としては、鋳型DNA、プライマーDNA、dNTP(dATP、dTTP、dGTP、dCTP、dUTP)などが挙げられる。
安定化剤としては、グリセロール、タンパク質、界面活性剤、ベタインなどが挙げられる。界面活性剤としては、Tween 20、Nonidet P-40、Brij-35、Triton X-100などが挙げられる。安定化剤としてのタンパク質としては、BSAが挙げられる。
蛍光色素としては、ローディング色素としてブロモフェノールブルー、キシレンシアノール、オレンジGなどが挙げられ、インターカレータとしてエチジウムブロマイド、SYBR Gold、SYBR Green、SYBR Safe、GelStarなどが挙げられる。
マイクロ流体デバイスに形成された流路にて、DNA分子の電気泳動分離を行う場合を例に挙げて説明を行う。DNA分子を含む試料及び分離バッファーが流路表面に接触する際、基本的にDNA分子は、流路表面と相互作用せずに、インターカレータとして作用しうる蛍光色素と結合しながらDNAの負電荷で泳動され、分離バッファー中の水溶性ポリマーの篩い分け効果により分離される。この場合、流路内に存在する様々な成分は、例えば図1に模式的に示すように、流路表面との間及び/又は上記成分同士の間で生じうる様々な相互作用によって吸着しうる。図1は、表面にシラノール基を有する流路であって、シランカップリング剤としてγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを使用し、この有機官能基とアクリルアミドのラジカル共重合反応により、リニアポリアクリルアミド(LPA)の皮膜処理を行った流路表面を有するマイクロ流体デバイスを用い、DNAを含む試料をpH8.3の分離バッファーで電気泳動を実施した場合に、流路表面と試料及び分離バッファー含有成分の相互作用を模式的に示している。
さらに、リニアポリアクリルアミド(LPA)はpKaが8.0〜10.0であると考えられ、pH8付近であるバッファーや水洗浄により正電荷を持ちうる状態が想定され、DNA分子やBSAなどが静電気的に吸着しうる。
なお、図1に示す吸着の想定メカニズムは、主要な相互作用を図示したのみであり、実際には、図1に上げた成分以外の成分(グリセロール、制限酵素など)が流路内に共存し、各種相互作用が働いていると考えられる。
[3−1.極性有機溶媒ベースクリーニング液]
これらの吸着成分を取り除くため、本発明においては、100%極性有機溶媒からなるクリーニング液、又は、50体積%以上、好ましくは70体積%以上の極性有機溶媒が水又は緩衝液に溶解したクリーニング液を流路表面に接触させる。極性有機溶媒の量が上記範囲を下回ると、本発明のクリーニング効果が得られにくくなる傾向にある。
本発明における極性有機溶媒は、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有するものである。具体例として、アルコール及び/又はアセトニトリルが挙げられる。アルコールとしては、特に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが用いられる。
このようなクリーニング液は、疎水性相互作用を緩和しうるため、例えば、流路表面のシランカップリング剤の疎水性部分と相互作用しうるタンパク質や安定化剤などを除去することが可能である。
上記のクリーニング液が緩衝液を含む場合、緩衝液は、例えば、pHが8〜10、好ましくは8.3〜8.9でありうる。
緩衝液としては、トリス塩酸バッファー、トリス酢酸バッファー、HEPES(2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-エタンスルホン酸)バッファー、MOPS(モルホリンプロパンスルホン酸)バッファー、TAPS(N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノプロパンスルホン酸)バッファー、リン酸バッファー等を用いることができる。
緩衝液のpHが上記範囲を下回ると、上述の効果が得られにくくなる傾向にある。緩衝液のpHが上記範囲を上回ると、シランカップリング剤が加水分解を起こし、ポリマー皮膜に不可逆的なダメージを与えるうる傾向にある。
このクリーニング液は、基本的に、本明細書に例示するどのような使用履歴を経たマイクロ流体デバイスに対しても使用することが可能である。
上記のクリーニング液には、さらに、変性剤を含ませることができる。変性剤としては、例えば、水素結合の安定性を壊す尿素やグアニジン塩が挙げられる。グアニジン塩としては、塩酸グアニジンやグアニジンイソチオシアナートなどが挙げられる。変性剤の濃度としては、緩衝液中に3〜8M、好ましくは6〜8Mでありうる。また、有機溶媒と緩衝液との混合液中に3〜8M、又は6〜8Mであってもよい。グアニジン塩を用いる場合、グアニジン塩に加えて、還元剤としてのジチオスレイトールを共存させてもよい。
このような変性剤によってタンパク質が高次構造を失い、ポリペプチド鎖に解離することにより吸着を緩和しうる。このため、そのような変性剤を含むクリーニング液によって、流路表面に吸着しうるタンパク質(例えばBSA、酵素)を除去することが可能である。
ただし塩濃度が高過ぎると調製しにくくなる上、結晶が残る場合は微細流路内に詰まる恐れがあるので注意が必要である。
一方、上記のクリーニング液が緩衝液を含む場合、緩衝液は、例えば、pHが2〜4、好ましくは2.5〜3.5でありうる。
酸性域では流路表面に残存するシラノール基の解離が抑制されるため、酸性のクリーニング液によって、流路表面の解離シラノール基にイオン結合しうる正電荷を有する蛍光色素や塩基性化合物を除去することが可能である。
ポリアクリルアミドは、緩衝液のpHが上記範囲を下回ると、アミドの加水分解が起こってポリカルボン酸構造となり、分離特性(選択性)に影響を与える可能性がある。
クリーニングの方法としては、流路表面にクリーニング液を接触させることができる方法であれば特に限定されるものではない。マイクロ流体デバイスに試料や移動相または分離バッファーを導入する方法と同じ方法を用いて、流路にクリーニング液を満たせばよい。例えば、ポンプなどの圧送手段でデバイス流路内に連続的にクリーニング液を一定容量通液する方法、又は、前記手段でクリーニング液を圧送して流路をクリーニング液で満たした後、デバイスを前記のクリーニング液中に一定時間浸漬する方法などが挙げられる。
クリーニングを行う際の温度としては特に限定されず、室温(例えば20℃±15℃)で行うことができる。
クリーニング液は、吸着していると考えられる成分に応じて選択することができる。この際、上述の3−1〜3−4の記載に基づいて選択することができる。
核酸を含む試料の電気泳動分析の繰り返し使用により、性能が劣化したマイクロチップ135個(のべ数)を供試サンプルとした。このマイクロチップは、具体的には図2(D)に模式的に示されるものである。図2(D)には使用したマイクロチップ1の平面図を示したものである。マイクロチップ1は石英製基板により構成され、リザーバ13は流路14,15に電圧を印加するためのポートでもある。ポート#1及び#2は試料導入流路14の両端に位置するポートであり、ポート#3及び#4は分離流路15の両端に位置するポートである。各ポートに電圧を印加するために、このチップ1の表面に形成された電極パターン21〜24がそれぞれのポートからマイクロチップ1の側端部に延びて形成されており、電気泳動用高圧電源部に接続されるようになっている。流路14、15内壁は、表面に、シランカップリング剤としてのγ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを介して、LPAの皮膜を有している。
i)通常PCR産物量(BSAを含まない反応系によるもの)の分析、
ii)通常PCR産物量(BSAを含む反応系によるもの)の分析、
iii)PCR−RFLPにより得られた生成物(未精製且つ未希釈のもの)の分析、
iv)大量PCR産物量(過剰のポリメラーゼを含む反応系によるもの)の分析
v)インターカレータであるSYBR Goldを過剰量使用した分析
以下の組成を有するクリーニング液A〜Eを調製した。
A:メタノール100%
B:エタノール100%
C:エタノール70%、及び、1mM EDTAを含む10mM TAPS-NaOHバッファー (pH8.9) 30%
D:エタノール70%、及び、1mM EDTAと8M グアニジン-HClとを含む10mM TAPS-NaOHバッファー (pH8.9) 30%
E:アセトニトリル70%、及び、0.1M NaClO4を含む20mM リン酸(Na)バッファー(pH2.5) 30%
クリーニング液Aによるクリーニングは、通液法によって行った。通液法によるクリーニングは、送液用ポンプ(液体クロマトグラフィー用ポンプやシリンジポンプ等)を使用して、ポート♯4からポート♯1〜3へ、50μL/分の一定流量で80分間送液を行う手順により行った。
(1) 1mL ディスポシリンジでクリーニング液をチップのポート#4から0.2mL圧入した。
(2) ポート#1〜#3に溢れたクリーニング液はそのまま吸引せずに、ファルコンチューブ(10mLまたは50mL)に入れたクリーニング液中にチップを浸漬した。
(3) そのまま、18〜24時間静置した。
(4) チップをクリーニング液から取り出し、1mLディスポシリンジでミリQ水をポート#4から0.2mL以上圧入した。溢れた水は吸引除去し、ベンコットでチップ表面を拭き取った。(チップ表面に塩が残留し、ベンコットが石英表面で滑らない場合は、再度、表面を水で軽く拭き取った)
(5) チップをチップフレームにセットし、MultiNA上でチップ洗浄を行う。
島津製作所製マイクロチップ電気泳動装置MultiNAを用い、DNA-1000オンチップモード、TEバッファーブランク分析(6分析/チップ)の分析条件下で、(a)〜(b)のグループのチップの性能評価を行った。
使用した試薬キット:島津製作所製 DNA-1000(適用DNAサイズレンジが100bpから1000bp)
分析モード:オンチップ混合モード(サンプルと内部標準マーカをチップ上で自動混合する分析モード)
性能評価に使用したサンプル:TEバッファー(ブランク分析であり、検出されるピークは、内部標準マーカ2種類(低分子側内部標準マーカ、高分子側内部標準マーカ)の2ピークのみである)
分析数:24分析(6分析/チップ)(装置は、チップが4個までセットでき、4チップを交互にチップ当り6分析繰り返し分析するスケジュールを作成した)
表1に、各クリーニング液におけるクリーニング効果を回復率(%)(すなわち、クリーニングに供したチップ数に対する性能回復したチップ数の割合)と高分子側内部標準ピークの理論段数平均値(av.)及び泳動時間(平均値)によって示す。
マイクロチップの性能回復の定義としては、高分子側内部標準(以下、UMともいう)ピークの理論段数が80,000以上、且つ、UMの泳動時間(すなわち分離開始からUMピークが検出されるまでの時間)が123秒以下であることとした。チップの劣化が認められない初期性能を維持した状態では、上述の性能評価の条件におけるUMピークの理論段数は80,000以上、泳動時間は113±10秒である。
29チップ中15チップで性能が回復した。また、UMの泳動時間がクリーニング前の平均123.0秒の遅延傾向から平均118.1秒に改善した。
(b)(クリーニング液Bによるクリーニングの評価結果)
25チップ中11チップで性能が回復した。また、UMの泳動時間がクリーニング前の平均122.1秒から平均118.0秒に改善した。
(a)及び(b)の結果より、100%極性有機溶媒によるクリーニングによって50%程度の回復率が得られた。このことから主として疎水性相互作用により流路表面に吸着した成分が除去できたと推察される。
47チップ中42チップで性能が回復した。また、UMの泳動時間も平均121.2秒から117.0秒に改善し、91%の回復率が得られた。このことから、極性有機溶媒による疎水性相互作用による吸着成分の除去に加えて、pHをアルカリに変化させることにより、静電気的相互作用による吸着成分の除去も効果的に行えたと推察される。
(d) (クリーニング液Dによるクリーニングの評価結果)
22チップ中16チップで性能が回復した。UMの泳動時間は平均119.4秒に対して118.1秒であり特に有意な差は認められなかった。22チップには、クリーニング液Cにより回復しなかった5チップが含まれており、これらがいずれもクリーニング液Dで回復したことから、サンプル成分に含まれるタンパク質成分(例えばBSAや制限酵素)が変性剤によりポリペプチド鎖に解離した結果、洗浄効果が上がったものと推察される。
12チップ中6チップで性能が回復した。また、UMの泳動時間も平均114.0秒から108.2秒に短縮された。クリニーング液Eによるクリーニングを施した12チップは、上述の通りPCR産物、PCR-RFLP生成物等の核酸を含む試料の分析履歴を持たない。これより、分離バッファーに含まれていたSYBR Goldの吸着が性能劣化の主な原因と思われるマイクロチップに対しては、シラノール基へのイオン結合を抑制する処置(pH2.5)に一定の効果が見られたと推察される。
Claims (4)
- 流路表面にシラノール基と、流路表面に共有結合したポリマー皮膜とを有する流路が形成されたマイクロ流体デバイスのクリーニング方法であって、
分析対象の核酸及び/又はタンパク質と、前記分析対象以外の不純物成分とを含む試料が接触した流路を、
50体積%以上の、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有する有機溶媒を、pHが8〜10である緩衝液中に含むクリーニング液に接触させることによってクリーニングする、マイクロ流体デバイスのクリーニング方法。 - 前記ポリマー皮膜は、前記シラノール基とシランカップリング剤とを介して、流路表面
に形成されているものである、請求項1に記載のクリーニング方法。 - 前記緩衝液中に3〜8Mのタンパク質変性剤をさらに含む、請求項1〜2のうちのいずれかに記載のクリーニング方法。
- 流路表面にシラノール基と、流路表面に共有結合したポリマー皮膜とを有する流路が形成されたマイクロ流体デバイスのクリーニング方法であって、
分析対象の核酸及び/又はタンパク質と、前記分析対象以外の不純物成分とを含む試料が接触した流路を、
50体積%以上の、25℃において少なくとも同体積の水への溶解性を有する有機溶媒を、pHが2〜4である緩衝液中に含むクリーニング液に接触させることによってクリーニングする、マイクロ流体デバイスのクリーニング方法。
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