JP5057451B2 - 異種緩衝液を使用する電気泳動法 - Google Patents

異種緩衝液を使用する電気泳動法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子化合物を含む試料を電気泳動する方法であって、泳動用と試料調製用の緩衝液として異種のものを使用することによって、効率的に高分子の分離を行う電気泳動法に関する。
核酸やタンパク質等の高分子化合物を高精度に分離・濃縮する方法として、電気泳動法が知られている。電気泳動法には、マイクロチップ電気泳動、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動等の開発されている。これらの中でも、マイクロチップ電気泳動は、最も成功している小型分析システムの1つであり、試料や試薬消費の最小化、迅速な分析、効率的な分離、及び手作業での日常操作の自動化を可能としている。また、マイクロチップ電気泳動は、複雑な生物試料の分析を単純化し、迅速化することも可能にする。例えば、DNA断片の分析が、マイクロチップ電気泳動によって、従来のスラブゲル電気泳動(凡そ0.5〜6時間)に比べて高速(凡そ15〜300秒)で行うことができる。従来、マイクロチップ電気泳動装置は、医学的に重要な遺伝子座の遺伝子型同定及びヒトゲノムDNAの配列決定など、商業的応用のために開発されている。また、マイクロチップ電気泳動装置は、一本鎖高次構造多型分析によって、乳癌感受性遺伝子における共通の変異をスクリーニングするのにも広く用いられている。携帯用の小型化されたマイクロチップ電気泳動装置は、特にPOCT(point-of-care testing)で利用する上で有用であり、可能な限り迅速に実験データを得るために、その開発が強く求められている。携帯用の小型化された電気泳動装置を開発する有効な手段のひとつは、分離チャネルの長さ(分離長)を短くすることである。通常、電気泳動装置の部品で最も大きいのが電源であり、分離長の短縮と平行して、電源を小型化できれば装置全体を小型化することが可能となる。更に、分離チャネルの長さを短縮することによって、様々な機能をマイクロチップ上に統合することが可能となるという利点もある。しかし、マイクロチップ電気泳動の分離長を短くすることは、分解能の低下という問題点が生じる。この問題点を克服するために、オンライン試料濃縮技法が有効である。
オンライン前濃縮技法に関して、分解能を維持するために、試料注入容積及び分離長を増大させるマイクロチップの設計変更が提案されている。しかし、これらの設計変更は、却ってバンドの広幅化による分解能の悪化を引き起こすという欠点がある。これまでに、マイクロチップ電気泳動分析におけるバンド広幅化の問題点を解消するために、分離前に、マイクロチップチャネル中でのDNA用の分離前濃縮技法が提案されている。また、固相抽出法を使用すれば、C18コーティングされたチャネル及びオクタデシルシランコーティングされたチャネルを備えたマイクロチップを用いて、試料を80〜500倍濃縮することが可能である。しかしながら、この手法はチャネル壁の複雑なコーティングを必要とするため、マイクロチップ電気泳動分析に固相抽出法を適用するのは容易ではない。また、等速電気泳動は、Bodor(人名)らが食品添加物の前濃縮用に等速電気泳動を利用したマイクロ流体装置を報告して以来、電気泳動法の1つとして、またマイクロチップ上でのDNA前濃縮法として活用されている(非特許文献1参照)。等速電気泳動法は、他の前濃縮法に比べて、高イオン強度の緩衝液中にある試料を濃縮し、分解能を改善できる利点がある。等速電気泳動はDNA分離のための強力な濃縮技法であるが、イオンの移動度が異なる2種類の緩衝液で、試料緩衝液を挟み、界面を維持した状態で充填する高度な充填法が必要となるため、等速電気泳動技法をマイクロチップ電気泳動分析に適用するには、通常、チップ設計の変更や泳動装置の複雑化が必要であり、充填の操作にもかなりの時間を必要とする。一方、チップ設計変更無しのオンライン前濃縮技法として、塩基スタッキング(Base stacking)法と組み合わせたマイクロチップ電気泳動分離が報告されている(非特許文献2参照)。しかしながら、塩基スタッキング法は、中和反応、試料注入、及びDNA断片の分離と多段階の操作を必要とするため、分析時間がかかりすぎるという欠点があり、POCT(point-of-care testing)には不向きである。
このような従来技術を背景として、簡便且つ効率的に、高分子を含む試料から該高分子の分離・濃縮が可能であり、更にはPOCTにも使用できるように分析装置の小型化をも可能にするオンライン濃縮法およびそれを利用した電気泳動法の開発が望まれていた。
Xu et al., J. Chromatogr. A, 990, 53-61, 2003. Kim et al., J. Chromatgr. A, 1064, 121-127, 2005
そこで、本発明の目的は、簡便且つ効率的に、高分子を含む試料から該高分子の分離・濃縮が可能であり、更には分析装置の小型化をも可能にする電気泳動法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高分子化合物を含む試料を泳動させるために使用される泳動用緩衝液として、該試料の調製に使用される試料用緩衝液とは異なる緩衝液を使用し、電気泳動を実施することによって、簡便且つ効率的に、高分子を含む試料から該高分子の分離・濃縮が可能になることを見出した。特に、上記電気泳動法は、特にマイクロチップ電気泳動に好適であり、マイクロチップ電気泳動に適用することによって分析装置の小型化にも寄与できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる電気泳動法を提供する。
項1. 高分子化合物を含む試料を電気泳動する方法であって、該試料を泳動させるために使用される泳動用緩衝液として、該試料の調製に使用される試料用緩衝液と異なる緩衝液を使用することを特徴とする、電気泳動法。
項2. 前記泳動用緩衝液が、前記試料用緩衝液とは異なる電気伝導度を有するものである、項1に記載の電気泳動法。
項3. 前記試料用緩衝液と前記泳動用緩衝液の内、一方が酢酸を含む緩衝液であり、他方がタウリンを含む緩衝液である、項1又は2に記載の電気泳動法。
項4. 電気泳動が、マイクロチップ電気泳動又はキャピラリー電気泳動である、項1乃至3のいずれかに記載の電気泳動法。
項5. 高分子化合物が、核酸又はタンパク質である、項1乃至4のいずれかに記載の電気泳動法。
項6. 高分子化合物がDNAであり、前記試料用緩衝液がタウリンを含む緩衝液である、項1乃至5のいずれかに記載の電気泳動法。
本発明の電気泳動法によれば、核酸やタンパク質等の高分子化合物を、簡便且つ効率的に、分離・濃縮することができ、従来の電気泳動に比して分離長の短縮化を図ることができる。そのため、本発明の電気泳動法をマイクロチップ電気泳動に適用すると、従来必要とされてきた分離長(3〜15 cm)を短縮化(例えば、1cm程度)でき、ひいてはPOCT(point-of-care testing)等の迅速臨床診断用の小型携帯装置の開発において、省電力化、電源の小型化、診断時間の迅速化にも寄与し得る。
また、本発明の電気伝導法において、試料用緩衝液として、タウリンを含む緩衝液を使用することにより、DNAの複製反応であるPCR(polymerase chain reaction, ポリメラーゼ連鎖反応)反応の際に試料に混入するグリセロールの影響(DNA分解能の低下)を抑制することができるため、従来のサンプル解析のみならず、オンチップPCRでのサンプル解析に威力を発揮する可能性が高い。
本発明の電気泳動法は、高分子化合物を含む試料から該高分子化合物の分離又は濃縮を行う。本発明において、高分子化合物としては、電気泳動に供し得るものである限り特に制限されないが、例えば、核酸、タンパク質、ペプチド、糖鎖、多糖類、糖タンパク質等が挙げられる。これらの中でも、核酸及びタンパク質、特に核酸は、本発明の電気泳動法の適用対象として好ましい。なお、核酸には、DNA、RNA、ペプチド核酸等が含まれ、これらは1本鎖であっても、また2本鎖であってもよい。
本発明の電気泳動において、上記試料の調製に使用される試料用緩衝液と、該試料を泳動させるために使用される泳動用緩衝液とを、相互に異なる緩衝液を使用する。試料用緩衝液と泳動用緩衝液は、相互に異なる緩衝液である限り、それぞれの組成については特に制限されない。例えば、試料用緩衝液と泳動用緩衝液が、電気伝導度、配合成分の種類又は濃度、pH、イオンの移動度等の点において、いずれか少なくとも1つが異なっていればよい。高分子化合物の分離・濃縮を一層効率的に行うという観点から、試料用緩衝液と泳動用緩衝液が、電気伝導度が異なっていることが望ましい。
本発明において、試料用緩衝液と泳動用緩衝液として、相互に電気伝導度が異なるものを使用する場合、その電気伝導度の差については、特に制限されないが、高分子化合物の分離・濃縮効率を高めるという観点から、両者の電気伝導度の差として、例えば0.01〜20.0mS・cm-1、好ましくは0.05〜15.0mS・cm-1、更に好ましくは0.1〜10.0mS・cm-1が挙げられる。より具体的には、試料用緩衝液と泳動用緩衝液の内、一方の電気伝導度が0.01〜10.0mS・cm-1であり、他方の電気伝導度が0.50〜20.0mS・cm-1;好ましくは一方の電気伝導度が0.05〜7.00mS・cm-1であり、他方の電気伝導度が1.00〜17.0mS・cm-1;更に好ましくは一方の電気伝導度が0.10〜10.0mS・cm-1であり、他方の電気伝導度が1.5〜15.0mS・cm-1が例示される。また、試料用緩衝液と泳動用緩衝液として、相互に電気伝導度が異なるものを使用する場合、試料用緩衝液が泳動用緩衝液に比しての電気伝導度が高くてもよく、また逆に試料用緩衝液が泳動用緩衝液に比しての電気伝導度が低くてもよい。
試料用緩衝液及び泳動用緩衝液における上記電気伝導度の差異は、配合成分をそれぞれ適宜選択することにより設定できる。
これらの緩衝液の好適な一例として、試料用緩衝液及び泳動用緩衝液の内、一方が有機酸及び/又は無機酸を含む緩衝液、他方がアミノ酸類を含む緩衝液が挙げられる。このような組み合わせを採用することによって、試料用緩衝液と泳動用緩衝液とを、電気伝導度、pH、及びイオンの移動度等の点で相互に相違させ、高分子化合物を一層効率的に分離・濃縮することが可能になる。
ここで、有機酸類及び無機酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸 、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、ニトロカルボン酸、リン酸、炭酸、ホウ酸等が挙げられる。これらの有機酸類及び無機酸は、1種単独で使用しても、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、アミノ酸類としては、例えば、タウリン、アスパラギン酸、ヒドロキシプロリン、トレオニン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、バリン、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン、アラニン、オルニチン、リシン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン等が挙げられる。これらのアミノ酸類は、1種単独で使用しても、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
試料用緩衝液及び泳動用緩衝液の上記組み合わせの内、有機酸及び/又は無機酸を含む緩衝液として酢酸を含む緩衝液を使用し、且つアミノ酸類を含む緩衝液としてタウリンを含む緩衝液を使用することによって、高分子化合物をより効率的に分離・濃縮することが可能になる。特に、これらの緩衝液を使用して、DNAの分離・濃縮を行う場合、タウリンを含む緩衝液が試料用緩衝液であり、酢酸を含む緩衝液が泳動用緩衝液であることが望ましい。
試料用緩衝液及び泳動用緩衝液の内の一方として、有機酸及び/又は無機酸を含む緩衝液を使用する場合、当該緩衝液中のこれらの酸の濃度(有機酸及び無機酸の総量)としては、例えば0.001〜1.0M、好ましくは0.005〜0.5M、更に好ましくは0.01〜0.3Mが例示される。また、試料用緩衝液及び泳動用緩衝液の内の一方として、アミノ酸類を含む緩衝液を使用する場合、当該緩衝液中のアミノ酸類濃度(アミノ酸類の総量)としては、例えば0.001〜0.5M、好ましくは0.005〜0.3M、更に好ましくは0.01〜0.2Mが例示される。
また、本発明の電気泳動法において、タウリンを含む緩衝液を試料用緩衝液として使用すると、DNAの複製反応であるPCR反応の際に試料に混入するグリセロールによる悪影響(DNA分解能の低下)を抑制できる。かかる有利な効果に鑑みれば、高分子化合物がDNAの場合には、試料用緩衝液として、タウリンを含む緩衝液が好適に使用される。
また、マイクロチップ電気泳動又はキャピラリー電気泳動に適用する場合には、泳動用緩衝液には、分離媒体としてポリマーが含まれる。このような分離媒体用のポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリ―N,N―ジメチルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、熱応答性ポリマー(ポリN-イソプロピルアクリルアミド等)、ナノボール(M. Tabuchi, M. Ueda, N. Kaji, Y. Yamasaki, Y. Nagasaki, K. Yoshikawa, K. Kataoka, and Y. Baba, Nanospheres for DNA Separation Chips, Nature Biotech., 2004, 22(3), 337-340.)、ナタデココ由来ポリマー分子(M. Tabuchi and Y. Baba, Design for DNA Separation Medium using Bacterial Cellulose Fibrils, Anal. Chem., 2005, 77, 7090-7093.)等が挙げられる。また、泳動用緩衝液中の分離媒体用のポリマーの濃度としては、例えば0.5〜5.0重量%、好ましくは1.0〜4.0重量%、更に好ましくは1.5〜3.0重量%が挙げられる。
試料用緩衝液及び泳動用緩衝液に使用される緩衝剤成分は、特に制限されるものではなく、使用中の高分子化合物の種類等に応じて適宜選択される。該緩衝剤成分として、具体的には、Tris(Tris(hydroxymethyl)aminomethane)、MES、Bis-Tris(Bis(2-hydroxyethyl)amino-tris(hydroxymethyl)methane)、ADA(N-(2-Acetamido)iminodiacetic acid)、PIPES(: Piperazine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid))、ACES(N-(2-Acetamido)-2-aminoethanesulfonic acid)、MOPSO(3-Morpholino-2-hydroxypropanesulfonic acid)、BES(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)taurine)、MOPS(: 3-(N-Morpholino)propanesulfonic acid)、TES(N-[Tris(hydroxymethyl)methyl]-2-aminoethanesulfonic acid)、HEPES(4-(2-Hydroxyethyl)piperazine-1-ethanesulfonic acid)、DIPSO(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)-3-amino-2-hydroxypropanesulfonic acid)、TAPSO(N-[Tris(hydroxymethyl)methyl]-3-amino-2-hydroxypropanesulfonic acid)、POPSO(Piperazine-1,4-bis(2-hydroxypropanesulfonic acid) dihydrate)、HEPPSO(4-(2-Hydroxyethyl)piperazine-1-(2-hydroxypropanesulfonic acid))、EPPS(4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinepropanesulfonic acid)、Tricine(N-[Tris(hydroxymethyl)methyl]glycine)、Bicine(N,N-Bis(2-hydroxyethyl)glycine)、TAPS(N-[Tris(hydroxymethyl)methyl]-3-aminopropanesulfonic acid)、CHES(2-(Cyclohexylamino)ethanesulfonic acid)、CAPSO(3-(Cyclohexylamino)-2-hydroxy-1-propanesulfonic acid)、CAPS(3-(Cyclohexylamino)-1-propanesulfonic acid)、イミダゾール、モルホリン等が挙げられる。これらの緩衝剤成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。核酸(特にDNA)の分離・濃縮を行う際には、上記の中でもTrisが好適である。また、緩衝液中の緩衝剤成分の濃度については、使用する緩衝剤成分の種類に応じて適宜設定されるが、例えば0.001〜1.0M、好ましくは0.005〜0.7M、更に好ましくは0.01〜0.5Mが挙げられる。これらの緩衝剤成分の濃度は、試料用緩衝液と泳動用緩衝液において、それぞれ同一であってもよいが、相互に異なっていてもよい。また、これらの緩衝剤成分の種類は、試料用緩衝液と泳動用緩衝液において、相互に異なっている方がよく、それぞれ同一であった場合は、pHが異なっている必要がある。
更に、上記試料用緩衝液及び泳動用緩衝液には、必要に応じて、EDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)、IDA(イミノジ酢酸)、NTA(ニトリロトリ酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミノペンタ酢酸)、TTHA(トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸)、CyDTA(シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸)、HEDTA(N-ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸)、GEDTA(エチレングリコールジエチルエーテルジアミンテトラ酢酸)、EDTP(エチレンジアミンテトラプロピオン酸)等の添加剤を含んでいてもよい。
本発明の電気泳動法は、一般的な電気泳動の方法に従って、上記泳動用緩衝液の存在下で上記試料を泳動させることにより行われる。本発明の電気泳動法は、マイクロチップ電気泳動、キャピラリー電気泳動、ゲル電気泳動等の様々な電気泳動に適用できるが、好ましくはマイクロチップ電気泳動及びキャピラリー電気泳動である。特に、本発明の電気泳動法をマイクロチップ電気泳動に適用すると、優れた分解能のみならず、マイクロチップ電気泳動装置の小型化等をも可能ならしめるという利点が得られる。
マイクロチップ電気泳動の場合、具体的には、以下の態様により実施される。即ち、板状部材の内部に分離用流路を有するマイクロチップを使用し、該分離用流路に上記泳動用緩衝液を満たし、該分離用流路の一端側に上記試料を注入した後に、該分離用流路の両端間に電圧を印加して、上記試料中の高分子化合物を該分離用流路の他端方向に電気泳動させる。
また、キャピラリー電気泳動の場合、具体的には、以下の態様により実施される。即ち、キャピラリー内を上記泳動用緩衝液で満たし、該キャピラリーの一端側に上記試料を注入した後に、電圧を印加して、上記試料中の高分子化合物を該キャピラリーの他端方向に電気泳動させる。
本発明の電気泳動法において、泳動時に印加する電圧は、電気泳動の種類や高分子化合物の種類等に応じて適宜設定される。例えば、マイクロチップ電気泳動であれば0.05〜2KV/cm、好ましくは0.1〜1KV/cm、更に好ましくは0.15〜0.5KV/cmが挙げられる。また、例えば、キャピラリー電気泳動であれば、0.1〜5KV/cm、好ましくは0.2〜3KV/cm、更に好ましくは0.3〜2KV/cmが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
<実験材料及び方法>
1−1.実験材料
ヒドロキシエチルセルロース(HEC;平均分子量250000Da、2重量%水溶液の粘度、80〜125mPa・s)をSigma社から購入し、分離媒体用のポリマーとして用いた。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)は和光純薬工業株式会社から購入した。Tris−酢酸−EDTA(TAE)緩衝液、タウリン、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)ジナトリウム塩二水和物もSigma社から購入した。蛍光試薬であるエチジウムブロマイド(EtBr;545nmで励起、発光極大は605nm)はBio−Rad Laboratories社から購入した。
トリス−酢酸−EDTA緩衝液は、40mMトリス−酢酸及び1mM EDTAから構成され、pH8.5である。トリス−タウリン−EDTA(TTE)緩衝液は、89mMトリス、29mMタウリン、及び0.1mM EDTAから構成され、pH9.1である。
試料用緩衝液には、トリス−酢酸−EDTA緩衝液又はトリス−タウリン−EDTA緩衝液を用いた。また、泳動用緩衝液には、0.5ng/μL 臭化エチジウムを含むトリス−酢酸−EDTA緩衝液に1〜4重量%のヒドロキシエチルセルロースを溶解させたものを用いた。
試料には、100bpから1000bpまで100bpごとのDNA断片からなる100bp DNAラダー(Bio−Rad Laboratories社、東京)、10bpから330bpまで10bpごとのDNA断片からなる10bp DNAラダー(Invitrogen社、東京)、及び1668bpのDNA断片を用いた。試料は、上記DNA断片を上記試料用緩衝液に添加することにより調製した。100bp DNAラダーの総濃度は10μg/mLであった。各DNA断片(100〜1000bp)の濃度は約1μg/mLであった。10bp DNAラダーの総濃度は100μg/mLであった。
本実施例において、泳動用緩衝液であるトリス−酢酸−EDTA緩衝液と試料用緩衝液であるトリス−酢酸−EDTA緩衝液との組合せを、同種緩衝液系と表記する。また、泳動用緩衝液であるトリス−酢酸−EDTA緩衝液と試料用緩衝液であるトリス−タウリン−EDTA緩衝液との組合せを、異種緩衝液系と表記する。
1−2.マイクロチップ電気泳動
上記試料に含まれるDNA断片を、マイクロチップ電気泳動装置(SV1100、日立、東京)及びPMMAマイクロチップ(i−chip 3 DNA、日立化成工業、東京)を用いて分離した。SV1100装置は、470nmでの励起用発光ダイオードと、発光極大約580nm用の共焦点蛍光検出系を有する。また、PMMAマイクロチップは、幅100μm、深さ30μm、分離長さ30mmの3対の交差チャネルを有するものである。交差点から試料リザーバ(SR)、排試料リザーバ(SW)、緩衝液リザーバ(BR)、及び排緩衝液リザーバ(BW)までの長さは、それぞれ5.25、5.25、5.75、及び37.5mmである。PMMAマイクロチップの仕様の詳細は、Nagata, H., Tabuchi, M., Hirano, K., Baba, Y., Electrophoresis 2005, 26, 2247-2253及びMaeda, E., Hirano, K., Baba, Y., Nagata, H., Tabuchi, M., Electrophoresis 2006, 27, 2002-2010に説明されている。図1に、各リザーバの位置を示す。試料をSR、そしてヒドロキシエチルセルロース溶液を他の3つのリザーバに添加した(図1A(1))。マイクロチップ電気泳動の電気的条件は各リザーバで図1Bに示す通りの逐次電圧とした。SWに300Vを60秒間印加し、他の3つリザーバをアースすることによって、試料を注入チャネルへ移動させた(図1A(2))。分離の間、BRをアースし、SR及びSWを共に130Vに維持し、BWを750Vに設定して、分離チャネル中に168V・cm−1の電場を生じさせた。これはSV1100装置における最大電場である(図1A(3))。データは、SV1100ワークステーション(日立)を用いて取得した。
1−3.ビデオ顕微鏡法
DNA断片の分離は、4倍対物レンズ、高感度電荷結合素子カメラ(EB−CCD C7190、浜松ホトニクス)、及び光学フィルターセット(G−2A:510〜560nmの励起用;波長690nmより長波長の発光用、日本光学、東京)を備えた倒立蛍光顕微鏡(Eclipse TE2000−U、日本光学、東京)を用いて、HD DVDレコーダー(RD−50、東芝、東京)に記録した。PC制御された高圧電源(HVS488 1500V、LabSmith社)でマイクロチップ電気泳動に高電圧を印加した。
1−4.各検出点におけるDNA分離の電気泳動図の測定
倒立蛍光顕微鏡上のPC制御されたステージの上にマイクロチップを配置した。DNA分離の前に、分離チャネル中の交差点(図1A)から0.2mmから25mmの間にある各検出点を、PC制御されたステージを用いて選択した。つまり、交差点から検出点までの長さが分離長である。長さ25.0mmが、現行のPC制御されたステージの最長の可動長であった。40倍対物レンズを備えた倒立蛍光顕微鏡を使用し、光電子増倍管(PMT;PHC−3001、Scientex社、静岡)が、各検出点における結果を観察した。データは、OiginPro7.0ソフトウェア(OriginLab社)を用いて分析した。
<結果及び考察>
2−1.泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロースの濃度の分解能に対する作用
線状の非荷電性の親水性ポリマーが緩衝溶液中に容易に溶解しかつ低粘性である(2wt%水溶液:80-125mPa・s)ことから、同ポリマーであるヒドロキシエチルセルロースを分離媒体用のポリマーとして選択した。同種緩衝液系と異種緩衝液系との双方を用いて泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロースの濃度を変化させることにより、ポリメチルメタクリレートチップ上でDNAを分離するための泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロースの適切な濃度を決定した。
図2A及び図2Bは、泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロースの濃度に対する分解能の依存性、及び分離長30mmの場合のDNAサイズに対する分解能の依存性を示す。泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロースが2重量%である場合に、DNA断片の高分離における最適濃度であることが判明した(図2A)。ヒドロキシエチルセルロースの濃度を2重量%にして同種緩衝液系(いずれもトリス−酢酸−EDTA緩衝液)を用いた分解能は、市販の緩衝液キット(i-チップキット、日立ケミカル(Hitachi Chemical)、東京、日本)を用いた分解能に等しかった(図2B)。一方、異種緩衝液系を採用した場合、DNA断片が、同種緩衝液系に比して高い分解能でDNA断片が分離された(図2B)。図3A及び図3Bは、ヒドロキシエチルセルロース濃度及びDNAサイズに対する理論段数の依存性を示す。この結果からも、泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロースの濃度を2重量%にすることによって、DNA断片の分離を最も効率的に行えることが判明した(図3A)。理論段数は、ヒドロキシエチルセルロースの濃度を2重量%にして同種緩衝液系を用いた場合に最高であった(図3B)。更に、この泳動用緩衝液は、その低粘性故に、チップ上のマイクロチャネルに容易に導入された。したがって、泳動用緩衝液においてヒドロキシエチルセルロース濃度を2重量%にすることは、DNA断片の効率的な分離において最適条件の1つである。
2−2.異種緩衝液系を用いた分解能の増加
DNA断片の効率的分離における最適な条件は、ヒドロキシエチルセルロースの濃度を2重量%にして異種緩衝液系を採用することにより得られた。異種緩衝液系では、600bp未満のDNA断片の分解能が同種緩衝液系の場合に対して17〜41%改善された(図2B)。異種緩衝液系を用いた理論段数は、同種緩衝液系の場合よりも40〜108%多かった(図3B)。理論段数の増加により、DNA断片が異種緩衝液系を採用することによって、高度に濃縮され得ることが明らかとなった。
2−3.異種緩衝液系を用いたオンライン濃縮
図4A及び図4Bは、同種緩衝液系及び異種緩衝液系での各100-bp DNAラダーの分離について示す。従来の緩衝液系のモデルである同種緩衝液系ではDNA断片は濃縮されなかった(図4A)。しかし、異種緩衝液系の使用によってDNA断片が濃縮される様子が観察され、高分解能の電気泳動図が得られた(図4B)。限定的な解釈を望むものではないが、DNA断片の本オンライン濃縮が、試料ゾーンと泳動用緩衝液との間の伝導度や、緩衝液のイオンの移動度の差異によって引き起こされると推定される。
図5は、pHに対する試料用緩衝液(トリス−タウリン−EDTA緩衝液)の電気伝導度の依存性を示す。これらの観察結果から、試料用緩衝液がpH9.1に調節されることで試料用緩衝液の最低の電気伝導度(0.89mS・cm-1)が保持される。さらに、この電気伝導度は、2%ヒドロキシエチルセルロースを含む泳動用緩衝液の電気伝導度(1.90mS・cm-1)よりも低かった。このように、試料ゾーン(トリス−タウリン−EDTA緩衝液)の電気伝導度は泳動用緩衝液(トリス−酢酸−EDTA緩衝液)の伝導度よりも2倍低かった。
DNA断片とヒドロキシエチルセルロースとの相互作用も、本オンライン濃縮を可能にする上で重要なもと推察される。試料ゾーン内のDNA断片が負の電荷によって泳動用緩衝液に移動されるとすぐに、それらの電気泳動移動度は、泳動用緩衝液中でのヒドロキシエチルセルロースによる粘性及びふるい効果が促進されたことに起因して低下した。それ故、DNA断片は、試料ゾーンと泳動用緩衝液との間の境界付近で濃縮される。しかしながら、本オンライン濃縮は、同種緩衝液系を用いてもオンライン濃縮が全く生じなかったことから、DNA断片とヒドロキシエチルセルロースとの相互作用のみによって説明できるものではない(図4A)。限定的に解釈されるものではないが、DNA断片と分離媒体用のポリマーであるヒドロキシエチルセルロースとの間の相互作用も、本オンライン濃縮に影響を与えると推察される。
2−4.分離長の最適化
図6A〜6Dに、異種緩衝液系の場合で分離長0.2-25.0mmの場合の100-bp DNAラダーの分離におけるエレクトロフェログラム、分解能、理論段数、及びピーク高さをそれぞれ示す。オンライン濃縮は0.5mmでほぼ終了し、分離は0.8mmで開始した(図6A)。600bpよりも小さいDNA断片においては、3mmで1.5より高い分解能が得られた(図6A及び図6B)。分解能は10mmまで急激に増加し、次いで25mmで最大化した(図6B)。分離長10mm及び異種緩衝液系の場合での分解能が、従来の分離長30mm及び同種緩衝液系の場合での分解能に等しかった(追加プロット、図6B中の右パネル)。この追加プロットは、図2Bにおける異種緩衝液系での2%ヒドロキシエチルセルロースの場合の結果から作成されたものである。300bp〜400bpのDNA断片の分解能はそれぞれ、同種緩衝液系及び分離長30mmにおいて6.42、異種緩衝液系及び分離長10mmにおいて6.99であった。理論段数は、分離長の増加とともに低下した(図6C)。言い換えると、分離長が短いほどDNA断片のピークは鋭く、高さが高くなった。さらに、分離長の増加とともにDNA断片のピーク高さも低下した(図6D)。分離長10mmの場合のDNA断片のピーク高さは分離長25mmの場合のそれよりも2倍高かった。これらの結果から、10mmが最適な分離長であることが明らかとなった。
最適な分離長が10mmであることから、分離長10mm及び異種緩衝液系で10-bp DNAラダーが分離された。図7A及び図7Bは、同種緩衝液系で分離長30mmの場合の10-bp DNAラダーの分離、及び異種緩衝液系で分離長10mmの場合の10-bp DNAラダーの分離をそれぞれ示す。100bpより大きいDNA断片の低分解能(0.29-1.26)は、同種緩衝液系において認められた(図7A)。他方、100bpより大きいDNA断片の高分解能(0.69-1.66)は、本オンライン濃縮により異種緩衝液系において認められた(図7B)。異種緩衝液系での330bpより小さいDNA断片の分解能が、同種緩衝液系でのそれに対して平均で53%改善された(図7)。それ故、従来の分離長30mm及び同種緩衝液系の場合、10-bp DNAラダー(10-330bp)の分離に150秒必要で低い分解能(0.29-1.26)しか得られなかったのに対して、分離長10mm及び異種緩衝液系の場合、10-bp DNAラダー(10-330bp)が、50秒以内に高分解能(0.69-2.00)で分離された(図7)。
実施例2
5重量%グリセロールを含むトリス−タウリン−EDTA緩衝液を試料用緩衝液として用い、更に2重量%ヒドロキシエチルセルロースを含むトリス−酢酸−EDTA緩衝液を泳動用緩衝液として用いて、上記実施例1と同様の方法でマイクロリップ電気泳動を実施した。
結果を図8に示す。この結果から、異種緩衝液系において、試料用緩衝液として、タウリンを含むものを使用することによって、5%程度のグリセロールがサンプル溶液中に含まれていても影響されずに、DNAの濃縮・分離が可能になることが確認された。
DNAの分析は、PCR反応でDNAを増幅してから電気泳動で分析するのが一般的である。PCRのとき、DNAポリメラーゼと呼ばれる酵素を用いる。このDNAポリメラーゼは、50%グリセロールに溶かして販売されている。酵素は活性が落ちやすく、極低温(マイナス20℃以下)で保存する必要があるが、凍結によっても活性が落ちるため、不凍液として50%グリセロールが用いられている。そのため、PCR後のサンプル溶液中に5%程度のグリセロールが含まれることが多い。しかし、グリセロールの存在は、電気泳動の際、バンドの広幅化を引き起こす原因になることが多い。
POCT用小型携帯デバイスの開発の際、一つのマイクロチップにPCR反応と濃縮・分離の機能の集積が強く求められることが予想され、本「異種緩衝液系」は5%程度のグリセロールがサンプル溶液中に含まれていても影響されずにDNAの濃縮・分離が可能なことから、POCT用に限らずDNA診断に求められる機能の集積化に対して、大きな利点がある
実施例で使用したPMMAマイクロチップの概略図(A)、及びマイクロチップ電気泳動の電気的条件(B)を示す。 実施例1において、泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロース(HEC)の濃度に対する分解能の依存性(A)、及び分離長30mmの場合のDNAサイズに対する分解能の依存性(B)を測定した結果を示す。 実施例1において、泳動用緩衝液中のヒドロキシエチルセルロース(HEC)濃度に対する理論段数の依存性(A)、及びDNAサイズに対する理論段数の依存性(B)を測定した結果を示す。 実施例1において、同種緩衝液系(A)及び異種緩衝液系(B)での各100-bp DNAラダーの分離結果を示す。 実施例1において、pHに対する試料用緩衝液(トリス−タウリン−EDTA緩衝液)の電気伝導度の依存性を測定した結果を示す。 実施例1において、異種緩衝液系で分離長0.2-25.0mmの場合の100-bp DNAラダーの分離におけるエレクトロフェログラム(A)、分解能(B)、理論段数(C)、及びピーク高さ(D)を測定した結果をそれぞれ示す。 実施例1において、同種緩衝液系で分離長30mmの場合の10-bp DNAラダーの分離(A)、及び異種緩衝液系で分離長10mmの場合の10-bp DNAラダーの分離(B)をそれぞれ示す。 実施例2において、5重量%グリセロールを含むトリス−タウリン−EDTA緩衝液を試料用緩衝液として用い、更に2重量%ヒドロキシエチルセルロースを含むトリス−酢酸−EDTA緩衝液を泳動用緩衝液として用いて、マイクロリップ電気泳動を実施した結果を示す。

Claims (6)

  1. グリセロール及び核酸を含む試料を電気泳動する方法であって、
    該試料を泳動させるために使用される泳動用緩衝液として、酢酸及び1〜4重量%のヒドロキシエチルセルロースを含み、該試料の調製に使用される試料用緩衝液とは電気伝導度が異なる緩衝液を使用し、
    試料用緩衝液としてタウリンを含む緩衝液を使用することを特徴とする、
    電気泳動法。
  2. 試料用緩衝液として、0.001〜0.5Mのタウリンを含む緩衝液を使用する請求項1に記載の電気泳動法。
  3. 試料用緩衝液が、0.005〜0.7MのTrisを含む請求項1又は2のいずれかに記載の電気泳動法。
  4. 泳動用緩衝液が、0.005〜0.7MのTris、0.005〜0.5Mの酢酸、1〜4重量%のヒドロキシエチルセルロースを含む請求項1乃至3のいずれかに記載の電気泳動法。
  5. 5重量%程度のグリセロール及び核酸を含む試料を電気泳動する方法である、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
  6. 電気泳動が、マイクロチップ電気泳動又はキャピラリー電気泳動である、請求項1乃至のいずれかに記載の電気泳動法。
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