JP5640445B2 - 光導波路、波長多重光合波装置、及びそれを用いた医療用内視鏡 - Google Patents
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例えば、特許文献1では、複数の光源から出射された光を第1ファイバ合波器において合波して第1の合波光を形成する複数のファイバ合波光源ユニットからマルチモード光ファイバによって第1の合波光を導波させ、第2ファイバ合波器においてさらに合波して第2の合波光を形成する合波光源についての発明が開示されている。特許文献1では、複数の光源から出射される光を合波して高出力、高輝度な合波光を得るための合波光源を提供することを目的としている。
ところが、特許文献1記載の合波光源では、この光の強度分布の均一性については触れられておらず、また、小型化の手段についても提案されていない。特許文献1の合波光源で、光の強度分布を均一化するには、伝搬路を長くせざるを得ず、装置全体を大型化してしまう。
また、特許文献2でも、光の損失については言及しているが、光の強度分布を均一にする手段については開示されていない。なお、ここで述べている光源とは、レーザーやLEDなどの発光素子のほか、これらの発光素子が結合された光ファイバや光導波路なども含まれる。
本発明は、上記問題の解決を鑑みたものであり、小型化を図ると同時に、2以上の異なる波長を有する光を合波し、光出射部側のコア表面において、各波長の光の強度分布を均一である合波光を得ることができる光導波路、及び当該光導波路を備えた波長多重光合波装置、並びに当該波長多重光合波装置を用いた医療用内視鏡を提供することを目的とする。
[2]上記[1]に記載の光導波路からなる光導波路本体と、発光素子より構成される2以上の発光点から異なる波長の光を該光導波路本体へ出射する光入射部と、を備える波長多重光合波装置。
[3]上記[2]に記載の波長多重光合波装置を用いた医療用内視鏡。
はじめに、図1の(A)において、本発明の波長多重光合波装置の構成について説明する。
本発明の波長多重光合波装置3は、本発明の光導波路1よりなる光導波路本体10、及び、光入射部20を備える。光入射部20は、2以上の発光点(図1においては3つ)22a、22b、22cを備え、これらの発光点は、発光素子21より構成される。光入射部20は、これらの発光点から、異なる波長の光を光導波路本体10へ出射する。出射された光は、光導波路本体10を構成する光導波路1の光入射部側からコア31内へ入射される。入射された光は、コア31の内部において、コア31とクラッド32との境界面(以下、「境界面」ともいう)で全反射を繰り返し伝搬しながら、各波長の光が合波され、光出射部側のコア表面から合波光として出射される。
光入射部20が有する発光素子21としては、それぞれが異なる波長の光を出射できるものであれば特に限定されない。例えば、発光ダイオードや、面発光レーザ(VCSEL)に代表される面発光素子等が挙げられ、これらの発光素子が結合された光ファイバや光導波路なども含まれる。
光入射部20は、異なる波長の光を出射する2つ以上の発光点を備える。ここで発光点は上記の発光素子より構成される。図1においては、発光点が3つの場合が示されているが、発光点の個数は用途に応じて適宜選択できる。
ただ、医療用内視鏡のような白色光を得る必要がある照明装置に本発明の波長多重光合波装置が用いられる場合、光入射部は、3つの発光点を有し、それぞれ赤色、緑色、及び青色の光となる特定の波長を有する光を出射するものであることが好ましい。均一な強度分布のこれらの光を合波することで、白色光を得ることができる。
なお、このような光が有する波長の範囲は、一般的に、赤色の発光波長が600〜760nm、緑色の発光波長が490〜575nm、青色の発光波長が390〜485nmの範囲であることが知られている。このような範囲の中でも、RGB表色系で規定されたR(赤):700nm、G(緑):546.1nm、B(青):435.8nmの波長であることが好ましい。
図1(B)は、(A)平面図で表した光導波路の断面P1−Q1等における断面図である。
図1(B)に示すとおり、光導波路1は、光路となるコア31と、そのコア31を取り囲むクラッド32より構成される。入射した光が、コア31内を境界面で全反射を起こしながら伝搬するためには、コアの屈折率は、クラッドの屈折率より大きくする必要がある。
コア31とクラッド32の素材としては、屈折率が異なるようにすれば、同じ素材から作製されてもよい。素材としては、例えば、石英ガラスやシリコン等の無機系素材や、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等のポリマ系素材等が挙げられる。それらの中でも、ポリマ系素材が好ましい。ポリマ系素材を用いたポリマ光導波路であれば、無機光導波路に比べてコア厚さを大きくすることが容易であり、大きなワークサイズでの加工や成形技術による大量生産が可能であるため、生産性を向上させることができる。
ポリマ光導波路において用いられるベースポリマーとしては、一定の強度を確保し高い光透過性を有するものが好ましく、例えば、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン等、あるいはこれらの誘導体等が挙げられる。なお、ここで(メタ)アクリル樹脂とは、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂を意味するものである。これらのベースポリマーは1種単独でも、又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらの例示したベースポリマーの中でも、優れた耐熱性の観点から、主鎖に芳香族骨格を有することが好ましく、特にフェノキシ樹脂が好ましい。また、3次元架橋し、耐熱性を向上できるとの観点からは、エポキシ樹脂が好ましく、特に室温で固形のエポキシ樹脂が好ましい。さらに、光又は熱重合性化合物との相溶性が、クラッド形成用樹脂フィルムの透明性を確保するために重要であるが、この観点からは上記フェノキシ樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
次に、本発明の光導波路の第1実施形態について説明する。
本発明において、コア31は、光入射部側から光出射部側に向けて横幅が狭くなるテーパ形状を少なくとも含むテーパ形状コア33を有する。本実施形態のテーパ形状コア33は、図1の(B)、(C)の断面図が示すとおり、光入射部側に近い断面P1−Q1では、コアの横幅は広いが、光出射部側に近づくにつれて横幅が狭くなっている。
なお、ここでいう「テーパ形状を含む」とは、図1で示すテーパ形状コア33のように、光出射部に向かうにつれて一定の割合で徐々に横幅が狭くなる場合のみならず、光出射部側に向かう途中で、横幅が広くなるが、光出射部側端部33b付近において再び横幅が狭くなる場合も含まれる。ただし、異なる波長の光の強度分布を均一にする観点から、テーパ形状コア33としては、図1に示すような、光出射部に向かうにつれて一定の割合で徐々に横幅が狭くなるものであることが好ましい。
本発明において、光導波路1のコア31がテーパ形状コア33を有することで、入射された異なる波長の光の強度分布を均一にし、光出射部側のコア表面から各波長の光の強度分布が均一である合波光が得られる。以下、その理由について詳述する。
一方、図2は、本発明の光導波路の光伝搬の様子を模式的に示した図である。本発明の光導波路のコアは、光出射部側に向けて横幅が狭くなるテーパ形状を含むテーパ形状コア33を有するため、光入射部側から光出射部側に向かうにつれ、境界面での光の反射頻度が高くなる。当該反射の頻度が増すことで、光の分布がランダムになり、その結果、光出射部側端部33b付近では、光の強度分布が均一化されると考えられる。光の強度分布を均一化するためには、境界面に最も大きい角度で入射する伝搬光の成分が、出射部側に到達するまでに少なくとも3回以上境界面で反射する様なコア形状にすることが望ましい。また、図3は、中央の発光点22bのみに注目し、中央の発光点から出射される光の強度分布を模式的に示した図である。光入射部側付近の(a)では、光の反射頻度も低く、境界面からの干渉の影響も小さい。そのため、境界面付近では、光の強度は小さい。しかし、コアの横幅が狭くなるにつれて、光の反射頻度も増し、境界面からの干渉の影響も大きくなり、境界面付近の光強度も強くなっている。その結果、(b)、(c)、(d)と光出射部側に向かうにつれて、境界面付近とコアの中央付近の光強度の差も徐々に縮まり、光出射部側端部33b付近の(e)では、光の強度分布をほぼ均一にすることができる。図3においては、中央の発光点22bにのみ注目しているが、他の発光点22a、22cについても、入射した光を、光出射部側端部33b付近において、光の強度分布をほぼ均一にすることができる。
したがって、本発明の光導波路を用いた波長多重光合波装置は、各波長の光の強度分布が均一である合波光を得ることができる。
このような厚さY1のとしては、好ましくは30〜300μmである。
(1)0.1≦α≦2.0
(2)300≦W1≦1500
(3)50≦W2≦200
(4)1500≦L1≦40000
(5)30≦Y1≦300
条件(3)において、W2が50(μm)以上であれば、光の伝搬損失を抑えることができるため好ましい。また、W2が200(μm)以下であれば、光の強度分布を十分に均一化することができるため好ましい。
条件(4)において、L1が1500(μm)以上であれば、入射した光がコアとクラッドとの境界面で全反射する頻度を十分に確保されるため好ましい。また、L1が40000(μm)以下であれば、医療用内視鏡など小型化が求められる用途に用いることができるため好ましい。
なお、条件(5)を満たすことで、素子の厚み方向の許容位置ずれを十分確保することができる。
次に、本発明の光導波路の第2実施形態について図4を用いて説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る光導波路を用いた波長多重光合波装置の構造例を模式的に示した平面図である。
なお、上述の実施形態と同一の構成については説明を省略し、異なる構成のみについて説明する。当該事項は、本実施形態に限らず、後述する第3、4の実施形態についても同様である。
本実施形態の波長多重光合波装置のテーパ形状コアは、光入射部側端部付近で曲線形状を含み、光出射部に向けて横幅が曲線的に狭くなるテーパ形状を少なくとも含むことが好ましい。図4に示されたように、光入射部側端部34a付近のコア31とクラッド32との境界線は曲線状に形成されている。テーパ形状コアをこのような形状にすることで、コア、クラッド界面で漏れる光を減少させ、伝搬損失を小さくすることができる。
次に、本発明の光導波路の第3実施形態について図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る光導波路を用いた波長多重光合波装置の構造例を模式的に示した(A)平面図、及び(B)、(C)断面図である。
第3実施形態の光導波路1bにおいて、コア31は、前述のテーパ形状コア33と、複数の入射用コア35a、35b、35cとから構成され、図5の(B)に示すとおり、これらのコアの回りをクラッド32により取り囲んでいる。なお、クラッド32は、上述の通り、コア31を取り囲む場所に応じて、複数の素材から構成されていてもよく、これらの素材は互いに異なる屈折率を有していてもよく、図5の(C)に示すように、例えばコア31の下に位置するクラッド32aはポリマ材料を用い、それ以外のコア31を取り囲む部分のクラッドは空気とする構成をとることもできる。
複数の入射用コア35a、35b、35cは、光入射部の各発光点22a、22b、22cに対応している。これら複数の入射用コアは、各発光点から入射される光を、テーパ形状コア33の光入射部側端部33aへと伝搬する役割を果たす。なお、入射用コアは、各発光点に対応するように発光点の数だけ有し、これら入射用コアのうち少なくとも1つが曲線形状である。当該曲線形状の入射用コアの形状としては、略S字形状であることが好ましい。図5の光導波路1bにおいては、入射用コア35a、35cの形状が、略S字形状である。このような形状であることにより、伝搬損失を低減することができる。
したがって、本実施形態の波長多重光合波装置は、伝搬損失を低減しつつ、横幅W2を狭めることで、入射された異なる波長の光の強度分布が均一な合波光を得ることができる。
図5に示す光導波路1bにおいて、テーパ形状コア33の光入射部側端部33aの横幅をW1(μm)、光出射部側端部の横幅をW2(μm)、テーパ形状コア33の光入射部側端部33aから光出射部側端部33bまでの長さをL1(μm)、テーパ形状コア33の厚みをY1(μm)、入射用コア35の厚みをY2(μm)、及びtan-1[(W1−W2)/2/L1]で定義されるテーパ形状コアのテーパ角をα(度)、光入射部側端部36aにおける複数の入射用コアのコア中心間最大距離をX1(μm)、テーパ形状コア側端部36bにおける複数の入射用コアのコア中心間最大距離をX2(μm)、入射用コアの光入射部側端部36aからテーパ形状コア側端部36bまでの長さをL2(μm)としたとき、以下の(1)〜(9)を満たすことが好ましい。
(1)0.1≦α≦2.0
(2)130≦W1≦750
(3)50≦W2≦200
(4)1000≦L1≦30000
(5)30≦Y1、Y2≦300
(6)500≦X1≦1500
(7)100≦X2≦500
(8)W1≧X2
(9)1000≦L2≦5000
条件(3)において、W2が50(μm)以上であれば、光の伝搬損失を抑えることができるため好ましい。また、W2が200(μm)以下であれば、光の強度分布を十分に均一化することができるため好ましい。
条件(4)において、L1が1000(μm)以上であれば、入射した光がコアとクラッドとの境界面で全反射する頻度を十分に確保されるため好ましい。また、L1が30000(μm)以下であれば、医療用内視鏡など小型化が求められる用途に用いることができるため好ましい。
条件(8)において、W1=X2であってもよく、発光点から入射される光が、テーパ形状コアに漏れなく伝搬できれば問題ない。
本発明の光導波路の第4実施形態について、図7に示された光導波路1cが挙げられる。第4実施形態である光導波路1cは、基本的な構成として第3実施形態の光導波路1bの構成を具備しつつ、第2実施形態の光導波路1aの光入射部側端部付近で曲線形状を含み、光出射部方向に向けて横幅が曲線的に狭くなるテーパ形状を少なくとも含むテーパ形状コア34に置き換えたものである。
図7で示されたようなテーパ形状コア34を有することで、コア、クラッド界面で漏れる光を減少させ、伝搬損失を小さくすることができると共に、異なる波長の光の強度分布が均一な合波光を得ることができる。
また、図7に示されたような複数の入射用コアを有することで、より伝搬損失を低減することができる。
本発明の光導波路は、上記の実施形態には限定されず、入射された異なる波長の光の強度分布を均一にできるものであれば、本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、テーパ形状コアの一部分の横幅が、光出射部側に進むにつれて拡がるもの、もしくは一様である光導波路も、本発明に含まれる。
10 光導波路本体
20 光入射部
21 発光素子
22a、22b、22c 発光点
3 波長多重光合波装置
31 コア
32 クラッド
33、34 テーパ形状コア
33a、34a (テーパ形状コアの)光入射部側端部
33b、34b (テーパ形状コアの)光出射部側端部
35a、35b、35c 入射用コア
36a (複数の入射用コアの)光入射側光入射部側端部
36b (複数の入射用コアの)テーパ形状コア側端部
Claims (11)
- 光入射部側から入射される2以上の異なる波長を有する光を、合波し、光出射部側へ伝搬するコアを備える光導波路であって、
前記光導波路のコアは、光入射部側から光出射部側に向けて横幅が狭くなるテーパ形状を少なくとも含むテーパ形状コアを有し、
前記テーパ形状コアが、光入射部側端部付近で、前記テーパ形状コアの中心に向けて凸である曲線形状を含むことを特徴とする光導波路。 - 前記テーパ形状コアの少なくとも一部が、入射する光の波長に対して厚み方向の次数が複数の固有モードを有する厚さである請求項1に記載の光導波路。
- 前記光導波路において、
テーパ形状コアの光入射部側端部の横幅をW1(μm)、光出射部側端部の横幅をW2(μm)、テーパ形状コアの光入射部側端部から光出射部側端部までの長さをL1(μm)、テーパ形状コアの厚さをY1(μm)、及びtan-1[(W1−W2)/2/L1]で定義されるテーパ形状コアのテーパ角をα(度)としたとき、以下の(1)〜(5)を満たす請求項2に記載の光導波路。
(1)0.1≦α≦2.0
(2)300≦W1≦1500
(3)50≦W2≦200
(4)1500≦L1≦40000
(5)30≦Y1≦300 - 前記光導波路において、
前記光導波路のコアは、テーパ形状コアと、2以上の異なる波長を有する光を該テーパ形状コアの光入射部側端部へと伝搬する複数の入射用コアとを有し、
該複数の入射用コアのうち、少なくとも1つが曲線形状である請求項1に記載の光導波路。 - 前記テーパ形状コアの少なくとも一部が、入射する光の波長に対して厚み方向の次数が複数の固有モードを有する厚さである請求項4に記載の光導波路。
- 前記光導波路において、
テーパ形状コアの光入射部側端部の横幅をW1(μm)、光出射部側端部の横幅をW2(μm)、テーパ形状コアの光入射部側端部から光出射部側端部までの長さをL1(μm)、テーパ形状コアの厚みをY1(μm)、入射用コアの厚みをY2(μm)、及びtan-1[(W1−W2)/2/L1]で定義されるテーパ形状コアのテーパ角をα(度)、光入射部側端部における複数の入射用コアのコア中心間最大距離をX1(μm)、テーパ形状コア側端部における複数の入射用コアのコア中心間最大距離をX2(μm)、入射用コアの光入射部側端部からテーパ形状コア側端部までの長さをL2(μm)としたとき、以下の(1)〜(9)を満たす請求項5に記載の光導波路。
(1)0.1≦α≦2.0
(2)130≦W1≦750
(3)50≦W2≦200
(4)1000≦L1≦30000
(5)30≦Y1,Y2≦300
(6)500≦X1≦1500
(7)100≦X2≦500
(8)W1≧X2
(9)1000≦L2≦5000 - 曲線形状の入射用コアの形状が、略S字形状である請求項4〜6のいずれか1項に記載の光導波路。
- 前記光導波路がポリマ光導波路である請求項1〜7のいずれか1項に記載の光導波路。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光導波路からなる光導波路本体と、
発光素子より構成される2以上の発光点から異なる波長の光を該光導波路本体へ出射する光入射部と、を備える波長多重光合波装置。 - 前記光入射部が、3つの発光点を有しており、それぞれ赤色、緑色、及び青色の光となる特定の波長を有する光を出射する請求項9に記載の波長多重光合波装置。
- 請求項9又は10に記載の波長多重光合波装置を用いた医療用内視鏡。
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