JP4200436B2 - 高分子光導波路 - Google Patents
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Description
クラッド層に漏れて入射された光は、クラッドモードとして光導波路中を伝播し、不要光として出射端から取り出される。この不要光は所望の信号を得る上でのノイズとなるため、クラッドモードを抑制する光導波路が必要とされている。
前掲公報によれば、光導波路60は、溝形状を有するクラッド61と、溝形状内に充填され、クラッド61より大きな屈折率を有するコア62と、クラッド61及びコア62上に形成され、クラッド61と同じ材料からなるクラッド被覆材63から構成される。
クラッド61及びクラッド被覆材63は、SIR−114である添加剤64が材料中に一様に分散されている。
同公報では、上述のような構成により、クラッドモードを排除する効果が得られるものとしている。
即ち、特定の黒色有機物色素をクラッド層中に一様に分散させ、高い吸収係数を有するクラッド層を形成し、クラッド層に入射した光を効果的に吸収させることにより、良好なクラッドモード抑制の効果を得ることを着想し、本発明を完成するに至った。
下記の特定の黒色有機物色素が、下部クラッド層及び上部クラッド層中に一様に添加、分散され、下部クラッド層及び上部クラッド層が黒色を呈していることを特徴としている。
従って、光導波路の出射端から取り出される信号に混在するノイズや、隣接する光導波路とのクロストークを減少させることができるので、高性能の光導波路を実現することができる。
また、高分子有機化合物と混ざり易いため、特定黒色色素を高分子有機化合物からなる下部クラッド層及び上部クラッド層中により一様に分散させることができる。
コア層に沿ってコア層の周りに延在するクラッド層とを有する三次元高分子光導波路であって、
下記の特定の黒色有機物色素が、クラッド層中に一様に添加、分散され、クラッド層が黒色を呈していることを特徴としている。
第2発明では、黒色有機物色素が、スルホン酸基を有する下記化学式[化1]で規定される黒色有機物色素(以下、特定黒色色素と言う)である。
中間クラッド層が、コア層と同じ組成の高分子有機化合物であって、紫外線照射によりコア層の屈折率より小さな屈折率を有するように変性させた高分子有機化合物で成膜され、
下記の特定の黒色有機物色素が、下部クラッド層及び上部クラッド層中に一様に添加、分散され、下部クラッド層及び上部クラッド層が黒色を呈していることを特徴としている。
また、フォトマスクを用いて所定の高分子有機化合物に紫外線を照射し、照射部分の屈折率を下げることにより、コア層及びコア層の屈折率より小さな屈折率を有する中間クラッド層を形成するので、作製が容易な高分子光導波路を実現している。
更に、中間クラッド層がコア層の屈折率より小さな屈折率を有するため、良好な横方向の光閉じ込め効果を得ることができる。
第3発明では、黒色有機物色素が、スルホン酸基を有する下記化学式[化1]で規定される黒色有機物色素(以下、特定黒色色素と言う)である。
下段の平面型光導波路の上部クラッド層上に成膜された第2の中間クラッド層と、第2の中間クラッド層内に相互に平行に形成された複数本の帯状の第2のコア層と、第2の中間クラッド層及び第2のコア層上に成膜された第2の上部クラッド層とを有する上段平面型光導波路を1段目の平面型光導波路上に少なくとも一段備え、
下部クラッド層、第1の中間クラッド層、第2の中間クラッド層、第1のコア層、第2のコア層、第1の上部クラッド層、及び第2の上部クラッド層が、それぞれ高分子有機化合物からなり、
第1の中間クラッド層及び第2の中間クラッド層が、第1のコア層及び第2のコア層と同じ組成の高分子有機化合物であって、紫外線照射により第1のコア層及び第2のコア層の屈折率より小さな屈折率を有するように変性させた高分子有機化合物で成膜され、
下記の特定の黒色有機物色素が、下部クラッド層、第1の上部クラッド層、及び第2の上部クラッド層中に一様に添加、分散され、下部クラッド層、第1の上部クラッド層、及び第2の上部クラッド層が黒色を呈していることを特徴としている。
第4発明では、黒色有機物色素が、スルホン酸基を有する下記化学式[化1]で規定される黒色有機物色素(以下、特定黒色色素と言う)である。
これに関連して、特に、高分子光導波路の入射端部で、それぞれ、相互に波長の異なる導波光、例えば赤色光、緑色光、及び青色光を入射させ、高分子光導波路の出射端部から赤色光、緑色光、及び青色光の合波光を出射させることができ、しかもクラッドモードを抑制した高分子光導波路が求められている。
そこで、次に説明する第5から第7の発明が、そのような高分子光導波路を提供している。第5から第7の発明は、高分子光導波路に関し、更に詳細には、光インタコネクションや光通信に用いられ、簡易な構成で良好なクラッドモード抑制の効果を有する高分子光導波路に関するものである。
前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層は、下記の特定の黒色有機物色素が層内に一様に添加、分散されて黒色を呈し、
前記コア層は、複数本の光入射コア層が導波光の入射端部から相互に離隔して導波光の進行方向に合流部に向かって直線状で又は曲線状で延在しつつ集束し、次いで合流部で1本の光出射コア層に集合して出射端部まで延在することを特徴としている。
第2及び第3の光入射コア層は、それぞれ、第1の光入射コア層の外方に凸の第1の湾曲部と第1の湾曲部に連続して第1の光入射コア層に向かって凸の第2の湾曲部とを備えた略S字状カーブの形状を有する。
前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層は、下記の特定の黒色有機物色素が層内に一様に添加、分散されて黒色を呈し、
前記コア層は、帯状の層幅が導波光の入射端部から出射端部まで導波光の進行方向に連続的に縮小していることを特徴としている。
前記下部クラッド層は、下記の特定の黒色有機物色素が層内に一様に添加、分散されて黒色を呈し、
前記コア層は、帯状の層幅が導波光の入射端部から出射端部まで導波光の進行方向に連続的に縮小していることを特徴としている。
また、第5から第7の発明は、平面型高分子光導波路のみならず、第5から第7の発明に係る平面型高分子光導波路を積層した3次元高分子光導波路にも適用できる。
本発明の第3発明及び第4発明の高分子光導波路では、本発明の第1発明の効果を得ることができると共に、作製が容易な高分子光導波路を実現している。
従って、本発明では、光導波路の出射端から取り出される信号に混在するノイズや、隣接する光導波路とのクロストークを効果的に減少させることができるので、高性能の高分子光導波路を実現することができる。
また、本発明では、簡易な構成により、良好なクラッドモード抑制の効果を得る高分子光導波路を提供するため、コストダウンを図ることができる。
第5から第7の発明によれば、以上説明したように、黒色のクラッド層を有する構造により、クラッドモードの不要光を効果的に除去できる高分子光導波路であって、放射角の広い発光ダイオード(以下、LEDという)等の光源から入射した光をコア層の出射端部からクラッドモードを排除した光を効率的に取り出すことができる。
そして、第5から第7の発明は、三分岐型光導波路やコア層の層幅が導波光の進行方向に連続的に縮小するテーパ型光導波路を有することにより、赤色、緑色、及び青色の三色光を効率よく合波することができ、光結合のための合波器及びアライメントが不要となる。
このように、第5から第7の発明に係る高分子光導波路は、光源とのアライメント精度をそれ程留意することなく、クラッドモードを除去した合波光を出射端部から取り出すことができる。
本実施例の高分子光導波路10は、導波光の波長が850nm付近に設定された平面型の高分子光導波路であって、図1及び図2に示すように、それぞれ、高分子有機化合物からなる、下部クラッド層11、下部クラッド層11上に形成された帯状のコア層12、コア層12を囲んで下部クラッド層11上に成膜された上部クラッド層13を備えた高分子光導波路である。
下部クラッド層11及び上部クラッド層13を構成するオキセタン樹脂は、コア層12に採用されるオキセタン樹脂より0.2から2.0%程度低い屈折率を有する。
このため、コア層12への入射光は、コア層12の境界面を全反射して進行する。
まず、図3(a)に示すように、ポリイミド、ガラス、石英、Si、GaAs、InP、又はSOI(Silicon on Insulator)などからなる基板14上に、添加率が1.0重量%になるように特定黒色色素が添加され、一様に分散されたオキセタン樹脂をスピンコート法で塗布して、オキセタン樹脂膜を成膜する。
次いで、オキセタン樹脂膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、下部クラッド層11とする。
続いて、下部クラッド層11上に、下部クラッド層11を構成するオキセタン樹脂よりも0.2から2.0%程度高い屈折率を有するオキセタン樹脂を、スピンコート法で塗布して、オキセタン樹脂膜を成膜し、コア形成層12aとする。
続いて、フォトマスク15を除去した後、アセトンでコア形成層12aの未硬化部分を洗浄除去する。
続いて、オキセタン樹脂膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、上部クラッド層13とする。
続いて、基板14を除去する等の工程を経ることにより、図1及び図2に示した高分子光導波路10を作製することができる。なお、基板14は、除去せずに取り付けたままにしてもよい。
本実施例の高分子光導波路10の作製方法によれば、オキセタン樹脂からなるコア形成層12aを成膜し、フォトマスク15を用いてコア形成層12aに紫外線を照射し、照射部分のオキセタン樹脂を硬化させることにより、コア層12を形成することができるので、本実施例に係る高分子光導波路10を容易に作製することができる。
本実施例の高分子光導波路10は、シングルモード及びマルチモードの何れにも適用することができる。
本実施例の高分子光導波路20は、導波光の波長が850nm付近に設定された平面型の高分子光導波路であって、図4に示すように、3本の帯状のコア層22が下部クラッド層21上に相互に平行に形成されることを除いては、実施例1の高分子光導波路10と同様の構成を有する。
本実施例の高分子光導波路20によれば、高分子光導波路の高密度化を実現でき、光インタコネクションの並列伝送配線などに適用することができる。
即ち、図3(b)で、コア形成層12aをエッチングしてコア層12に加工する際に、コア形成層12a上に所定のコア層パターンを有するフォトマスク15を載せて紫外線照射を行う。
本実施例の高分子光導波路24は、導波光の波長が850nm付近に設定された三次元の高分子光導波路であって、図5に示すように、第1積層25、第2積層26、及び第3積層27を備える。
第1積層25は、実施例2の高分子光導波路20と同様の構成を有し、下部クラッド層21Aと、下部クラッド層21A上に相互に平行に形成された3本の帯状の第1コア層22Aと、第1コア層22Aを囲んで下部クラッド層21上に成膜された第1上部クラッド層23Aとを有する。
第2積層26は、実施例2に示したコア層22及び上部クラッド層23と同様の構成を有し、第1積層25の第1上部クラッド層23A上に相互に平行に形成された3本の帯状の第2コア層22Bと、第2コア層22Bを囲んで第1上部クラッド層23A上に成膜された第2上部クラッド層23Bとを有する。
第3積層27は、実施例2に示したコア層22及び上部クラッド層23と同様の構成を有し、第2積層26の第2上部クラッド層23B上に相互に平行に形成された3本の帯状の第3コア層22Cと、第3コア層22Cを囲んで第2上部クラッド層23B上に成膜された第3上部クラッド層23Cとを有する。
次いで、第1積層25の第1上部クラッド層23A上に、実施例2で説明した、コア層21及び上部クラッド層22の形成方法と同様の形成方法を用いて、第2コア層21B及び第2上部クラッド層22Bを有する第2積層26を形成する。
続いて、第2積層26の第2上部クラッド層23B上に、実施例2で説明した、コア層21及び上部クラッド層22の形成方法と同様の形成方法を用いて、第3コア層21C及び第3上部クラッド層22Cを有する第3積層27を形成することによって、図5に示した高分子光導波路24を作製することができる。
本実施例の高分子光導波路30は、導波光の波長が850nm付近に設定された平面型の高分子光導波路であって、図6に示すように、それぞれ、高分子有機化合物からなる、下部クラッド層31、下部クラッド層31上に成膜された中間クラッド層32、中間クラッド層32内に帯状に形成されている3本のコア層33、中間クラッド層32及びコア層33上に成膜された上部クラッド層34を備えた高分子光導波路である。3本のコア層33は、相互に平行に形成されている。
また、本実施例では、下部クラッド層31及び上部クラッド層34を構成するフッ素化ポリイミド中に、添加率が1.0重量%になるように、化学式[化1]で規定される特定黒色色素が添加され、一様に分散されている。本実施例では、特定黒色色素として、ブラックB(CI−リアクティブブラック5)(住友化学工業社製)を使用した。
まず、図7(a)に示すように、ポリイミド、ガラス、石英、Si、GaAs、InP、又はSOI(Silicon on Insulator)などからなる基板35上に、添加率が1.0重量%になるように特定黒色色素が添加され、一様に分散されたフッ素化ポリイミドをスピンコート法で塗布し、フッ素化ポリイミド膜を成膜する。
次いで、フッ素化ポリイミド膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、下部クラッド層31とする。
続いて、下部クラッド層31上に、グラシアを塗布してグラシア膜を成膜し、コア形成層33aとする。
続いて、ポストベークを行う。
添加され、一様に分散されたフッ素化ポリイミドをスピンコート法で塗布してフッ素化ポリイミド膜を成膜する。
続いて、フッ素化ポリイミド膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、上部クラッド層34とする。
続いて、基板35を除去する等の工程を経ることにより、図6に示した本実施例の高分子光導波路30を完成することができる。なお、基板35は除去せずに取り付けたままにしてもよい。
ように特定黒色色素が添加され、一様に分散されていることにより、高い吸収係数を有する下部クラッド層31及び上部クラッド層34を形成し、下部クラッド層31及び上部クラッド層34に入射した光を効果的に吸収し、良好なクラッドモード抑制の効果を得ることができる。
また、中間クラッド層32がコア層33の屈折率より小さな屈折率を有するため、良好な横方向の光閉じ込め効果を得ることができる。
更に、高分子光導波路の高密度化を実現でき、光インタコネクションの並列伝送配線などに適用することができる。
本実施例の高分子光導波路30の作製方法によれば、グラシアからなるコア形成層33aを成膜し、フォトマスク36を用いてコア形成層33aに紫外線を照射し、照射部分のグラシアの屈折率を下げることにより、コア層32及びコア層32より小さな屈折率を有する中間クラッド層33を形成することができるので、本実施例に係る高分子光導波路30を容易に作製することができる。
本実施例の高分子光導波路37は、導波光の波長が850nm付近に設定された三次元の高分子光導波路であって、図8に示すように、第1積層38、第2積層39、及び第3積層40を備える。
第1積層38は、実施例4の高分子光導波路30と同様の構成を有し、下部クラッド層31Aと、下部クラッド層31A上に成膜された第1中間クラッド層32Aと、第1中間クラッド層32A内に相互に平行に形成された3本の帯状の第1コア層33Aと、第1中間クラッド層32A及び第1コア層33A上に成膜された第1上部クラッド層34Aとを有する。
第2積層39は、実施例4に示した中間クラッド層32、コア層33、及び上部クラッド層34と同様の構成を有し、第1積層38の第1上部クラッド層34A上に成膜された第2中間クラッド層32Bと、第2中間クラッド層32B内に相互に平行に形成された3本の帯状の第2コア層33Bと、第2中間クラッド層32B及び第2コア層33B上に成膜された第2上部クラッド層34Bとを有する。
第3積層40は、実施例4に示した中間クラッド層32、コア層33、及び上部クラッド層34と同様の構成を有し、第2積層39の第1上部クラッド層34B上に成膜された第3中間クラッド層32Cと、第3中間クラッド層32C内に相互に平行に形成された3本の帯状の第3コア層33Cと、第3中間クラッド層32C及び第3コア層33C上に成膜された第3上部クラッド層34Cとを有する。
本実施例の高分子光導波路37によれば、実施例4の高分子光導波路30と比較して、高分子光導波路の高密度化を実現でき、光インタコネクションの大容量配線や、入力側のイメージ画像を出力側に伝送するイメージファイバなどに適用することができる。
次いで、第1積層38の第1上部クラッド層34A上に、実施例4で説明した、中間クラッド層32、コア層33、及び上部クラッド層34の形成方法と同様の形成方法を用いて、第2中間クラッド層32B、第2コア層33B、及び第2上部クラッド層34Bを有する第2積層39を形成する。
続いて、第2積層39の第2上部クラッド層34B上に、実施例4で説明した、中間クラッド層32、コア層33、及び上部クラッド層34の形成方法と同様の形成方法を用いて、第3中間クラッド層32C、第3コア層33C、及び第3上部クラッド層34Cを有する第3積層40を形成することによって、図8に示した高分子光導波路37を作製することができる。
本実施例の高分子光導波路70は、三分岐型の平面型高分子光導波路であって、図11に示すように、下部クラッド層72と、下部クラッド層72上に形成され、下部クラッド層72に対する比屈折率差が1.7%と、下部クラッド層72より屈折率が高いコア層74と、コア層74を囲んで下部クラッド層72上に成膜された上部クラッド層76とを備えた平面型高分子光導波路である。
光出射コア層82は、合流部80から光入射コア層78Bの延長方向に出射端部87まで延在している。光出射コア層82は、高さが40μm、幅が50μmである。
下部クラッド層72及び上部クラッド層76は、コア層74より屈折率が低く、黒色色素が添加されたオキセタン樹脂層として構成されている。本実施例の下部クラッド層72及び上部クラッド層76を構成するオキセタン樹脂には、添加率が1.0重量%になるように、スルホン酸基を有する化学式[化1]で規定される特定黒色色素が添加され、一様に分散されている。本実施例では、特定黒色色素として、ブラックB(CI−リアクティブブラック5)(住友化学工業社製)を使用している。ブラックBは、例えば住化ケムテック社からの購入により入手できる。
図12に示すように、それぞれ、赤色光、緑色光、及び青色光を出射する発光ダイオード(以下、LEDと言う)88A〜CをRGB三光源として平面型高分子光導波路70の光入射コア層78A〜Cの入射端部83に設け、LED88A〜Cから各光入射コア層78A〜Cにそれぞれ赤色光、緑色光、及び青色光を入射させると、光は光入射コア層78A〜Cを経て合流部80で合波して白色光となり光出射コア層82の出射端部87から白色光として取り出される。尚、図12は平面型高分子光導波路70に対するLED88の配置図である。
よって、光出射コア層82の出射端部87では、クラッドモードが効果的に除去されたスポットサイズの小さい白色光を取り出すことができる。
一方、本実施例の高分子光導波路70によれば、下部クラッド層72及び上部クラッド層14を構成するオキセタン樹脂中に、添加率が1.0重量%になるように特定黒色色素が添加され、一様に分散されることにより、高い吸収係数を有する下部クラッド層72及び上部クラッド層76を形成し、下部クラッド層72及び上部クラッド層76に入射した光を効果的に吸収し、良好なクラッドモード抑制の効果を得ることができる。本実施例の平面型高分子光導波路70は、シングルモード及びマルチモードの何れにも適用することができる。
まず、図3(a)に示すように、ポリイミド、ガラス、石英、Si、GaAs、InP、又はSOI(Silicon on Insulator)などからなる基板71上に、添加率が1.0重量%になるように特定黒色色素が添加され、一様に分散されたオキセタン樹脂をスピンコート法で塗布して、オキセタン樹脂膜を成膜する。
次いで、オキセタン樹脂膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、下部クラッド層72とする。
続いて、下部クラッド層72上に、下部クラッド層72を構成するオキセタン樹脂に対する比屈折率差が1.7%程度の高い屈折率を有するオキセタン樹脂を、スピンコート法で塗布して、オキセタン樹脂膜を成膜し、コア形成層74aとする。
続いて、フォトマスク75を除去した後、アセトンでコア形成層74aの未硬化部分を洗浄除去する。
続いて、オキセタン樹脂膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、上部クラッド層76とする。
続いて、基板71を除去する等の工程を経ることにより、図11に示した高分子光導波路70を作製することができる。なお、基板71は、除去せずに取り付けたままにしてもよい。
本実施例の平面型高分子光導波路70の作製方法によれば、オキセタン樹脂からなるコア形成層74aを成膜し、フォトマスク15を用いてコア形成層74aに紫外線を照射し、照射部分のオキセタン樹脂を硬化させることにより、コア層74を形成することができるので、本実施例に係る高分子光導波路70を容易に作製することができる。
本実施例の高分子光導波路90は、RGB光源同時入射型の平面型高分子光導波路であって、図14に示すように、下部クラッド層92と、下部クラッド層92上に形成され、下部クラッド層92に対する比屈折率差が1.7%と、下部クラッド層92より屈折率が高いコア層94と、コア層94を囲んで下部クラッド層92上に成膜された上部クラッド層96とを備えた平面型高分子光導波路である。
下部クラッド層92及び上部クラッド層96は、コア層94より屈折率が低く、黒色色素が添加されたオキセタン樹脂層として構成されている。本実施例の下部クラッド層92及び上部クラッド層96を構成するオキセタン樹脂には、添加率が1.0重量%になるように、スルホン酸基を有する化学式[化1]で規定される特定黒色色素が添加され、一様に分散されている。本実施例では、特定黒色色素として、ブラックB(CI−リアクティブブラック5)(住友化学工業社製)を使用している。ブラックBは、例えば住化ケムテック社からの購入により入手できる。
LED98Aは入射端部94aの一方の隅から50μm離隔した位置に、LED98Cは入射端部94aの他方の隅から50μm離隔した位置に配置され、かつLED98A〜Cはそれぞれ400μmの間隔で等間隔に配置されている。
よって、コア層92の出射端部94bでは、クラッドモードが効果的に除去されたスポットサイズの小さい白色光を取り出すことができる。
一方、本実施例の平面型高分子光導波路90によれば、下部クラッド層92及び上部クラッド層14を構成するオキセタン樹脂中に、添加率が1.0重量%になるように特定黒色色素が添加され、一様に分散されることにより、高い吸収係数を有する下部クラッド層92及び上部クラッド層96を形成し、下部クラッド層92及び上部クラッド層96に入射した光を効果的に吸収し、良好なクラッドモード抑制の効果を得ることができる。
本実施例のテーパ型の平面型高分子光導波路90を適用すると、RGB三色の光を効率よく合波することができるので、光結合のための合波器及びアライメントは不要となる。
つまり、実施例6と同じ基板71上に、添加率が1.0重量%になるように特定黒色色素が添加され、一様に分散されたオキセタン樹脂をスピンコート法で塗布して、オキセタン樹脂膜を成膜する。
次いで、オキセタン樹脂膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、下部クラッド層92を形成する。
続いて、下部クラッド層92上に、下部クラッド層92を構成するオキセタン樹脂に対する比屈折率差が1.7%の高い屈折率を有するオキセタン樹脂を、スピンコート法で塗布して、オキセタン樹脂膜を成膜し、図17(a)に示すように、コア形成層94aとする。
続いて、フォトマスク95を除去した後、アセトンでコア形成層94aの未硬化部分を洗浄除去する。
続いて、オキセタン樹脂膜を紫外線照射及びポストベークにより硬化させ、上部クラッド層96とする。
続いて、基板71を除去する等の工程を経ることにより、図14に示した平面型高分子光導波路90を作製することができる。なお、基板71は、除去せずに取り付けたままにしてもよい。
本実施例の高分子光導波路100は、コア層94を覆う上部クラッド層92を有しないエアリッジ型であることを除いて、実施例7の高分子光導波路90と同じ構成のRGB光源同時入射型の平面型高分子光導波路であって、図18に示すように、下部クラッド層102と、下部クラッド層102上に形成され、下部クラッド層102に対する比屈折率差が1.7%と、下部クラッド層102より屈折率が高いコア層104とを備えた平面型高分子光導波路である。
臨界角φは次の式で表される。
Sinφ=n 2/n1=1/n1
よって、コア層104の屈折率n1 がn1=1.543のとき、φ=40.4°である。
また、クラッドが空気層であるエアリッジ型テーパ型光導波路では、φ=30°以上になると、テーパ型光導波路コア内部の壁面にて反射した光が光路を変え、次に壁面に光が反射したときには、進行方向とは逆に進んでしまうという問題が生じる。よって、エアリッジ型テーパ型光導波路では、φは30°未満であることが望ましい。
LED106Aは入射端部104aの一方の隅から50μm離隔した位置に、LED106Cは入射端部104aの他方の隅から50μm離隔した位置に配置され、かつLED106A〜Cはそれぞれ400μmの間隔で等間隔に配置されている。
よって、コア層102の出射端部102bでは、クラッドモードが効果的に除去されたスポットサイズの小さい白色光を取り出すことができる。
Claims (19)
- 前記特定黒色色素が、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項1に記載の平面型高分子光導波路。
- 前記コア層が、前記下部クラッド層上に相互に平行に形成された複数本のコア層である、請求項1又は2に記載の平面型高分子光導波路。
- 前記特定黒色色素が、前記クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項4に記載の三次元高分子光導波路。
- それぞれ、高分子有機化合物からなる、下部クラッド層、前記下部クラッド層上に成膜された中間クラッド層、前記中間クラッド層内に帯状に形成されているコア層、前記中間クラッド層及び前記コア層上に成膜された上部クラッド層を備え、前記中間クラッド層が、前記コア層と同じ組成の高分子有機化合物であって紫外線照射により前記コア層の屈折率より小さな屈折率を有するように変性させた高分子有機化合物で成膜され、黒色有機物色素が、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層中に一様に添加、分散され、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層が黒色を呈している平面型高分子光導波路であって、
前記黒色有機物色素が、スルホン酸基を有する下記化学式[化1]で規定される黒色 有機物色素(以下、特定黒色色素と言う)である
ことを特徴とする平面型高分子光導波路。
- 前記特定黒色色素が、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項6に記載の平面型高分子光導波路。
- 下部クラッド層と、前記下部クラッド層上に成膜された第1の中間クラッド層と、前 記第1の中間クラッド層内に相互に平行に形成された複数本の帯状の第1のコア層と、 前記第1の中間クラッド層及び前記第1のコア層上に成膜された第1の上部クラッド層 とを有する1段目の平面型光導波路と、
下段の平面型光導波路の上部クラッド層上に成膜された第2の中間クラッド層と、前 記第2の中間クラッド層内に相互に平行に形成された複数本の帯状の第2のコア層と、 前記第2の中間クラッド層及び前記第2のコア層上に成膜された第2の上部クラッド層 とを有する上段平面型光導波路を1段目の平面型光導波路上に少なくとも一段備え、
前記下部クラッド層、前記第1の中間クラッド層、前記第2の中間クラッド層、前記 第1のコア層、前記第2のコア層、前記第1の上部クラッド層、及び前記第2の上部ク ラッド層が、それぞれ高分子有機化合物からなり、
前記第1の中間クラッド層及び前記第2の中間クラッド層が、前記第1のコア層及び 前記第2のコア層と同じ組成の高分子有機化合物であって、紫外線照射により前記第1 のコア層及び前記第2のコア層の屈折率より小さな屈折率を有するように変性させた高 分子有機化合物で成膜され、
黒色有機物色素が、前記下部クラッド層、前記第1の上部クラッド層、及び前記第2 の上部クラッド層中に一様に添加、分散され、前記下部クラッド層、前記第1の上部ク ラッド層、及び前記第2の上部クラッド層が黒色を呈している
三次元高分子光導波路であって、
前記黒色有機物色素が、スルホン酸基を有する下記化学式[化1]で規定される黒色 有機物色素(以下、特定黒色色素と言う)である
ことを特徴とする三次元高分子光導波路。
- 前記特定黒色色素が、前記第1の下部クラッド層、前記第2の下部クラッド層、前記第1の上部クラッド層、及び前記第2の上部クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項8に記載の三次元高分子光導波路。
- それぞれ、高分子有機化合物からなる、下部クラッド層、前記下部クラッド層上に形成された帯状のコア層、及び前記コア層を囲んで前記下部クラッド層上に成膜された上部クラッド層を備え、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層は、黒色有機物色素が層内に一様に添加、分散されて黒色を呈し、前記コア層は、複数本の光入射コア層が導波光の入射端部から相互に離隔して導波光の進行方向に合流部に向かって直線状で又は曲線状で延在しつつ集束し、次いで合流部で1本の光出射コア層に集合して出射端部まで延在する高分子光導波路であって、
前記黒色有機物色素が、スルホン酸基を有する下記化学式[化1]で規定される黒色 有機物色素(以下、特定黒色色素と言う)である
ことを特徴とする平面型高分子光導波路。
- 前記特定黒色色素が、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項10に記載の高分子光導波路。
- 複数本の光入射コア層が、直線状に延在する第1の光入射コア層と、第1の光入射コア層の両側にそれぞれ延在する第2及び第3の光入射コア層との3本の光入射コア層で構成され、第2及び第3の光入射コア層は、それぞれ、第1の光入射コア層の外方に凸の第1の湾曲部と第1の湾曲部に連続して第1の光入射コア層に向かって凸の第2の湾曲部とを備えた略S字状カーブの形状を有する、請求項10に記載の高分子光導波路。
- 第1の光入射コア層、第2の光入射コア層、及び第3の光入射コア層に、導波光として、それぞれ、赤色光、緑色光、及び青色光を入射させ、光出射コア層から赤色光、緑色光、及び青色光の合波光を出射させるようにした、請求項12に記載の高分子光導波路。
- 前記特定黒色色素が、前記下部クラッド層及び前記上部クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項14に記載の高分子光導波路。
- 前記コア層の前記入射端部の層幅方向に相互に離隔した位置から、導波光として、それぞれ、赤色光、緑色光、及び青色光を入射させ、前記コア層の出射端部から赤色光、緑色光、及び青色光の合波光を出射させるようにした、請求項14に記載の高分子光導波路。
- 前記特定黒色色素が、前記下部クラッド層中に0.01重量%以上、10重量%以下の添加率で添加されている、請求項17に記載の高分子光導波路。
- 前記コア層の前記入射端部の層幅方向に相互に離隔した位置から、導波光として、それぞれ、赤色光、緑色光、及び青色光を入射させ、前記コア層の出射端部から赤色光、緑色光、及び青色光の合波光を出射させるようにした、請求項17に記載の高分子光導波路。
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