JP5639889B2 - 生物学的標的の高速で高感度な検出方法 - Google Patents

生物学的標的の高速で高感度な検出方法 Download PDF

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Description

(発明の分野)
本発明は、フリーラジカル連鎖反応によって行なわれる、生物学的標識方法に関する。本明細書に記載される標識反応は、一般的に、免疫組織化学(IHC)、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)、ELISA、サザン、ノーザン、およびウェスタンブロッティングなどの抗体系染色法などを含む、生物学的または化学的標的を検出および可視化するための実験スキームのホストにおいて、標的を検出するために使用され得る。
(背景)
検出可能な標識を使用した試料中の生物学的または化学的標的の検出は、多くの生物学的診断および検出方法の中心的な手法である。いくつかの場合、標的は、インサイチュでまたは抽出もしくは単離後のいずれかで、DNAまたはRNAレベルで検出される特定のポリヌクレオチド配列または遺伝子、遺伝子の変異、遺伝的発現パターンであり得る。他の場合、標的は、インサイチュでまたは単離もしくは実験操作後に再度検出されるペプチド、タンパク質、抗原、または他の物質であり得る。標的はまた、生物起源の粒子または残骸であり得る。
多くの標準的な検出方法、例えばIHC、ISH、ELISAまたはブロッティングは、所望の標的を検出するために標識スキームを用いる。典型的に、これらのスキームは、潜在的に検出可能な標的を含有する実験試料をプローブとインキュベートする工程、その後プローブと標的の結合を、例えば色、蛍光シグナル、または放射活性を発し得る検出可能な標識で検出する工程を含む。1つまたは多くのプローブ分子は、使用するスキームの特異性に応じてそれぞれの標的に結合し得る。いくつかの場合、特に標的が低濃度で存在する場合、系に1つ以上の増幅層を加えて、標的-プローブ結合体からシグナルを増幅することが必要である。例えば、プローブが標的を認識する一次抗体である場合、一次抗体プローブを認識する二次抗体を添加して、多くの二次抗体をそれぞれの一次抗体に結合させ得る。二次抗体が検出可能な標識、例えばフルオロフォアまたは発色団に結合する場合、その後増幅を経て、試料中のそれぞれの標的は、わずか1つまたは数個のフルオロフォアまたは発色団ではなく、複数のフルオロフォアまたは発色団に効果的に結合し得る。それにより、標的は、増幅後により強い検出シグナルを生じる。
しかし、いくつかの検出実験は、特に試料が解析前に一定時間放置される場合、比較的拡散したように見えるシグナルを生じる傾向がある。例えば、標的に結合した1つ以上のプローブおよび/または検出可能な標識は、標的から緩やかに拡散し得るか、または時間が経つにつれて互いに離れ得る。いくつかの場合、標的、プローブの結合親和性、および増幅層に影響を及ぼすバッファの交換も、シグナル拡散を引き起こし得る。多くの検出可能な標識は、タンパク質リガンド結合またはポリヌクレオチドハイブリダイゼーションなどの非共有結合相互作用により、標的に結合する。標識後のバッファの交換は、標的、プローブと検出可能な標識の結合親和性を低減し、種々の成分を解離させ得る。一定時間、例えば数日経過後の単純な拡散も、標的、プローブと検出可能な標識の解離を引き起こし、シグナルを拡散させ得る。
従来技術において、上述の課題を解決し得る技術が記載されたものは非常に少なく、しかも部分的にすぎない。かかる技術の一例には、US 5,863,748;5,688,966;5,767,287;5,731,158;5,583,001、5,196,306、6,372,937または6,593,100に記載される触媒レポーター堆積(deposition)(CARD)の方法がある。この方法は、いわゆる「検体依存酵素活性化システム」(ADEAS)を利用して、アッセイプラットホームの固相上への検出可能な標識の堆積を触媒する。該アッセイ形式において、ADEASに含まれる酵素は、該酵素に特異的な検出可能に標識された基質からなるコンジュゲートと反応する。酵素およびコンジュゲートが反応する場合、活性化されたコンジュゲートが形成され、それは活性化されたコンジュゲートに特異的なレセプターが固定される部位で共有結合により堆積する。したがって、コンジュゲートは標識を含むのでレポーターとして働き、該部位での標的の存在を示す。酵素により堆積した標識は、直接または間接的に検出され得る。該方法により、シグナル増幅および検出限界の向上がもたらされる。
CARD法は、検出される標的が固相、例えば膜上に固定されたレセプターであるアッセイ形式で使用され得る。かかるアッセイ形式は、サンドイッチ免疫アッセイおよび膜ベース核酸ハイブリダイゼーションアッセイを含む。CARD法はまた、例えばUS 6,593,100に記載される免疫組織化学(IHC)による生物学的標的の検出に適用可能である。US 6,593,100に記載される方法は、増強剤の存在下で、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と、HRP基質を含む標識されたコンジュゲートとの反応を利用する。HRP基質および増強剤は両方フェノールの誘導体である。HRPとの反応時、HRP基質は活性化され、試料、例えばタンパク質のレセプター部位に結合する。
いくつかの有利な特徴、例えば高い検出感度を有するにもかかわらず、該方法は、チラミド(tyramide)もしくはp-ヒドロキシ桂皮酸またはそれらの誘導体のいずれかから選択される標識されたHRP基質であるレポーター分子に限定される。
本発明は上記のCARD法の制限を解決し、生物学的マーカーおよび化学的マーカーの高速および高感度検出のための新規の方法を提供する。該方法は、CARD法の価値のある特徴、ならびに該方法を広範囲のアッセイ形式に適用可能にし、レポーター分子の狭い選択から独立させ、種々の生物学的または化学的標的の高速、正確かつ高感度な検出を可能にするという新規の特徴の両方を含む。
(発明の概要)
本発明は、ペルオキシダーゼ酵素基質の少なくとも2つの部分を含む物質(本明細書において「架橋剤」と称する)を含む溶液から、ペルオキシダーゼ活性を含む部位、例えばペルオキシダーゼ酵素(例えばHRP)の一部分を含む部位中に、種々の分子が堆積し得るという所見に基づく。堆積する分子は、検出可能な分子、例えばそれ自体が色、蛍光シグナルもしくは放射活性を発し得る分子であり得るかまたは色、蛍光シグナルもしくは放射活性を発し得る検出可能な標識を含む分子であり得、したがって、この検出可能な分子の堆積の部位が検出され得、該堆積部位が生物学的または化学的マーカーを含む場合、この生物学的または化学的マーカーの存在も同様に検出され得る。よって、堆積する分子は、その堆積の部位で生物学的マーカーの存在を「報告」する。したがって、かかる検出可能な堆積する分子は、本明細書において「レポーター」と称される。
ペルオキシダーゼ活性の存在下でレポーター分子が架橋剤を含む媒体から堆積されることの考えられ得る理由の一つは、ペルオキシダーゼと架橋剤の反応により開始されるフリーラジカル連鎖反応が媒体中で起こっているということである。この反応過程で形成される架橋剤分子のフリーラジカルは、同一の媒体中に存在するレポーター分子を誘導(prime)し得、誘導されたレポーター分子はさらに、互いに反応して、ペルオキシダーゼ活性を含む部位(本明細書において「標的部位」と称される)中またはその周辺に堆積する大きな不溶性凝集物を形成し得る。ペルオキシダーゼ活性は標的部位に厳密に局在しているので、この連鎖反応の結果、レポーター分子は標的部位またはこれらの部位に非常に近接した部位のみに堆積する。かかる標的部位が生物学的または化学的マーカー、例えばタンパク質または核酸を含む場合、マーカーは、堆積したレポーターを検出することで検出され得る。
驚くべきことに、ペルオキシダーゼ酵素基質の少なくとも2つの部分を含む分子は、本発明の方法において架橋剤の機能を担い得ることが見出された。したがって、用語「架橋剤」は本明細書で使用される場合、ペルオキシダーゼ(用語「ペルオキシダーゼ」は本明細書において用語「ペルオキシダーゼ酵素」または「ペルオキシダーゼ活性」と交換可能に使用される)の基質として機能し得る分子の少なくとも2つの部分(または2つの異なる分子の少なくとも2つの部分)を含む分子、およびペルオキシダーゼにより活性化された場合に架橋活性を有し得る分子を示すために使用される。本発明の架橋剤は少なくとも2つのレポーター分子を架橋し得る。
架橋剤とペルオキシダーゼの反応により媒介されるレポーターの堆積は、非常に早く、部位特異的であり、すなわち、レポーターはランダムに堆積するのではなく、ペルオキシダーゼ活性、例えばHRPの部分を含む標的部位に特異的に堆積することが見出された。堆積したレポーターは、標的部位にしっかりと結合し、時間がたってもこの部位から拡散しない。したがって、堆積したレポーターに結合したシグナルは正確に局在し、時間が経っても鮮明なままである。
したがって、本発明の第1の局面は、レポーターの標的部位特異的堆積のための方法であり、該方法はレポーターおよび架橋剤を含む媒体中で標的部位をインキュベートする工程を含み、前記標的部位はペルオキシダーゼ活性を含み、前記レポーターは検出可能な分子であり、前記架橋剤はペルオキシダーゼ酵素基質の少なくとも2つの部分を含む分子である。
本発明の別の局面は、部位特異的レポーター堆積のための媒体に関し、前記媒体は約4〜約9のpHを有する水性緩衝液であり、
ペルオキシダーゼ基質の少なくとも2つの部分を含む10-5〜10-2Mの架橋剤、
0.1〜10mMの過酸化化合物、
0〜20%の有機調整剤、および
0〜2Mの塩
を含む。
本発明の別の局面は、インビトロでの試料中の生物学的マーカーの検出方法に関し、前記方法は、本明細書に記載されるレポーターの部位特異的堆積の工程を含む。該方法は、生物学的マーカーの検出のための自動手順と同様に、手動においても有利に使用され得る。特に、本発明、本発明によるインビトロにおける生物学的試料中の生物学的マーカーの検出方法は、以下の工程:
a) 生物学的マーカーを含むと推定される試料を1つ以上のプローブとインキュベートする工程、ここで前記1つ以上のプローブの少なくとも1つは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の少なくとも1つの部分を含み、それにより生物学的マーカーとHRPの少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つのプローブの複合体、すなわち標的部位を形成する;
b) 工程a)の生物学的マーカーとHRPの少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つのプローブの複合体を含む試料、すなわち標的部位を含む試料を、レポーターおよび架橋剤を含む媒体中でインキュベートし、それにより標的部位、すなわち(a)の複合体が存在する部位中にレポーターを堆積させる工程;
c) (b)の堆積したレポーターを検出して、それにより生物学的マーカーを検出する工程
を含む。
本発明のさらなる局面は、レポーターの部位特異的堆積に有利に使用され得る架橋剤分子に関し、ここで前記分子は以下の式:
(R1)n-(X)q-R2(m)、
(式中、
R1およびR2はペルオキシダーゼ酵素基質の該部分であり、
Xは以下の式

(式中、R3およびR4はアミノ酸リジンの残基である)のリンカー基であり、
m、nおよびqは1〜10の整数である)
を有する。
図1は、本発明の架橋剤分子の例を示す。 図2は、本発明のレポーター分子の例を示す。 図3は、2種類の異なるマーカーに適用された、本発明の生物学的マーカーの検出方法の概略図を示す。
(発明の詳細な説明)
1. レポーターの部位特異的堆積の方法
一局面において、本発明は、標的部位におけるレポーターの堆積方法に関し、該方法は、レポーターおよび架橋剤を含む媒体中で標的部位をインキュベートする工程を含み、ここで該標的部位はペルオキシダーゼ活性を含み、該レポーターは検出可能な分子であり、該架橋剤はペルオキシダーゼ酵素基質の少なくとも2つの部分を含む分子である。
架橋剤
用語「架橋剤」は、本明細書で使用されて、少なくとも2つの分子、例えば少なくとも2つのレポーター分子を一緒に結合し得る分子のことをいう。本発明の架橋剤は、ペルオキシダーゼ酵素基質の少なくとも2つの部分を含み、ここで該2つの部分は化学結合により互いに結合し得るか、または結合分子もしくは結合基を介して結合(like)し得る。
したがって、本発明は、以下の式:
(R1)n-(X)q-R2(m)
(式中、
R1およびR2はペルオキシダーゼ酵素基質の該部分であり、
Xはリンカー基または化学結合であり、
m、nおよびqは1〜10の整数である)
の化合物である架橋剤に関する。
一態様において、本発明の架橋剤は、以下の式:
R1)n-(X)q-R2(m)
(式中、
R1およびR2はペルオキシダーゼ酵素基質の該部分であり、
Xは化学結合であり、
m、nおよびqは1〜10から選択される整数である)
の化合物であり得る。Xが共有結合であり、m、nおよびqのそれぞれが1である該架橋剤の1つの非限定的な例は、3,3'ジアミノベンジジン(DAB)であり得る。DABは、1つの共有結合を介して互いに結合する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)基質、o-フェニレンジアミン(OPD)の二つの部分(すなわち、R1およびR2はOPD部分である)を含む。
別の態様において、本発明は、式
(R1)n-(X)q-(R2)m
(式中、R1およびR2はペルオキシダーゼ酵素基質の該部分であり、
Xは結合部分または結合基であり、
m、nおよびqは1〜10の整数である)
の架橋剤に関する。
かかる架橋剤において、(X)基は任意のリンカー分子または結合基であり得る。好ましい一態様において、Xは式:

(式中、R3およびR4はアミノ酸リジンの残基である)
の結合基であり得る。かかるリンカー基は本明細書においてL30と称される。
いくつかの態様において、架橋剤は、ペルオキシダーゼ基質の多くの部分(2より大きいnおよび/またはm)および結合分子Xのいくつかの部分(すなわちq>1)を含み得る。他の態様において、リンカーはペルオキシダーゼ基質の少ない部分(nおよびmのそれぞれが1である)および結合分子Xのいくつかの部分(すなわち、q>1)を含み得る。いくつかの態様において、架橋剤は、ペルオキシダーゼ基質のいくつかの部分が化学結合を介して互いに直接結合した化合物であり得る。一態様において、部分R1およびR2は、同一のペルオキシダーゼ酵素基質の一部分であり得る。別の態様において、R1およびR2は、2つ以上の異なるペルオキシダーゼ酵素基質の一部分であり得る。
結合基(X)がL30リンカーの二量体で表され、R1およびR2がHRP基質の複数の部分である架橋剤の例は、図1に示され、実施例1.8に記載される化合物D17140であり得る。本発明の架橋剤の別の例は、実施例1.5に記載される化合物D17120であり得る。D17140の分子は、リジン残基を介してL30のいくつかの部分で作製されたポリマーに結合するHRP基質である6個のフェルラ酸部分を含む。D17120の分子はまた、別のL30ポリマーに結合した6個のフェルラ酸部分を含む。
例えばD17140分子中のペルオキシダーゼ基質部分、リンカー基リピートおよび/または架橋剤分子中に導入された荷電部分、例えばリジン残基の数を変えることにより、所望の特徴を有する架橋剤、例えばレポーターを含む媒体中で良好な可溶性を有する架橋剤を作製することが可能である。
したがって、好ましい一態様において、架橋剤は、ペルオキシダーゼの基質の少なくとも2つの部分を含む分子であり得、ここで該部分は共有結合を介して互いに結合しており、別の好ましい態様において、架橋剤は、ペルオキシダーゼの基質の2つより多くの部分を含む分子であり得、ここで該部分は1つ以上の結合基を介して一緒に結合される。
特に、好ましい一態様において、ペルオキシダーゼ基質の部分は、o-フェニレンジアミンの部分であり、別の好ましい態様において、該部分はフェルラ酸の部分である。後述の態様において、フェルラ酸の部分がL30リンカーの1つ以上の分子を介して一緒に結合されることが好ましい。
レポーター
用語「レポーター」は、本明細書において、任意の検出可能な分子のことをいうために使用し、ここで検出可能な分子は、色、蛍光シグナルもしくは放射活性を発し得る分子から選択される分子であるか、または特異的結合ペアのメンバーであるか、または検出可能な部分を含むコンジュゲート、例えば発色性、蛍光性、化学発光性、放射性標識、酵素部分、酵素基質、検出可能な粒子等であるか、あるいはペルオキシダーゼ活性の存在下で、架橋剤(架橋剤の態様は上述される)を含む媒体から(form)堆積し、堆積の際に標識され得る分子である。
本発明による架橋能を有する物質は、一態様において、架橋剤またはレポーターのいずれかとして使用され得るが、同じ態様において、1つおよび同一の分子は、架橋剤およびレポーターの両方として使用され得ない。

(R1)n-(X)q-(R2)m
(式中、R1およびR2はo-フェニレンジアミンの部分であり、
Xは共有結合であり、
m、nおよびqは1である)
の架橋剤は、本発明の任意の態様においてレポーターとして使用されないこともある。
一態様において架橋剤として、別の態様ではレポーターとして使用され得る分子の非限定的な例は、上述の分子D17120およびD17140である(実施例1.1〜1.8も参照)。
本発明のレポーター分子は、ペルオキシダーゼ活性の非存在下で、架橋剤を含む媒体中で可溶性である分子である。媒体中のレポーターの濃度は、約10-9M〜約10-4M、例えば約10-9M〜約10-8M、例えば約10-8M〜約10-7M、約10-7M〜約10-6M、または約10-6M〜約10-5M、または約10-6M〜約10-4Mで変化し得る。
一態様において、レポーターは、検出可能な小分子であり得、例えば蛍光物質もしくは発色物質、ハプテンもしくは酵素基質から選択され、または別の態様において、レポーターは大分子、例えば主鎖ポリマーおよび少なくとも1つの検出可能な物質を含むコンジュゲートであり得、ここで検出可能な物質、すなわち検出可能な標識は、化学結合を介して、またはリンカー分子を介して主鎖ポリマーに結合する。したがって、レポーターは、少なくとも1つが検出可能である2つ以上の分子を含むコンジュゲートであり得るか、またはレポーターは、小分子、例えば500〜2000Da以下、例えば約1000Daの分子量を有する分子であり得る。典型的に、レポーターコンジュゲートは、検出可能な標識がポリマー分子に結合した大分子であり得る。かかるレポーター分子の大きさは大きく異なり得、3×103Da〜3×106Da以上で変化し得る。
本発明のレポーターは、「検出可能」ではない分子であってもよい。かかる分子は、例えば色、蛍光または放射活性の検出のための手段により検出され得るシグナルを生成し得ない。かかるレポーター分子は、検出可能にする第二の手段、例えば堆積したレポーターに特異的に結合し得る検出可能な非レポーター分子の適用により、堆積した際に検出され得る。かかる検出は、1つ以上の検出可能な物質が適用されて、この堆積した「検出可能でない」レポーター分子に結合して、該分子を視覚的に検出可能にするいくつかの工程を含み得る。
レポーターは検出可能な分子である。レポーターは検出可能な小分子であり得るか、または検出可能な大分子であり得る。検出可能な小分子は、典型的に、直接検出可能な分子である(検出可能な小分子のいくつかの態様は、このセクションおよび以下のセクションに記載される)。典型的に、検出可能な大分子は、典型的に、直接検出可能ではない大分子であり、この分子が小さな直接検出可能な分子または別の検出可能な標識に結合すると検出可能になる。標識を含む大レポーター分子は、本明細書において「検出可能コンジュゲート」と称される。本発明の検出可能コンジュゲートは、少なくとも1つが検出可能な標識である2つ以上の異なる分子を含み得る。
大レポーター分子に含まれる検出可能な小分子および標識はともに、蛍光、発光、生物発光、放射性、または発色性物質から選択され得る。
多くの蛍光、発光、生物発光、放射性または発色性標識が使用され得る。これらの多くは市販されており、例えば蛍光染料Alexa Fluors(Molecular Probes)およびDyLight Fluors(Thermo Fisher Scientific)である。標識およびレポーター小分子の他の非限定的な例は、5-(および6)-カルボキシフルオレセイン、5-または6-カルボキシフルオレセイン、6-(フルオレセイン)-5-(および6)-カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy2、Cy3、Cy5、AMCA、PerCP、R-フィコエリトリン(RPE)アロフィコエリトリン(APC)、テキサスレッド、プリンストンレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)コートCdSeナノクリスタライト、DNP、ジゴキシゲニン、ルテニウム誘導体、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2-ジオキセタンおよびピリドピリダジン、水素、炭素、硫黄、ヨウ素、コバルト、セレン、トリチウムまたはリンの放射性同位体からなる群の分子であり得る。
別の態様において、検出可能な小分子または標識は、酵素基質である物質であり得る。酵素基質は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、DAB以外、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ(GO)の基質からなる群より(form)選択され得る。好ましい一態様において、酵素基質標識はHRP基質であり得、別の好ましい態様において、酵素標識はAP基質であり得る。
HRPの有用な基質の例としては、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)、ベンジジンジヒドロクロライド(BDHC)、Hanker-Yates試薬(HYR)、インドファンブルー(Indophane blue)(IB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、4-クロロ-1-ナフトール(CN)、α-ナフトールピロニン(α-NP)、o-ジアニシジン(OD)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルリン酸(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、2-(p-ヨードフェニル)-3-p-ニトロフェニル-5-フェニルテトラゾリウムクロライド(INT)、テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシル-β-D-ガラクトシド/フェロ-フェリシアン化物(BCIG/FF)、5-アミノ-2-[3-[5-アミノ-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-(4スルホブチル)-2Hインドール-2-イリデン]-1-プロペニル]-3,3ジメチル-1-(4スルホブチル)-3H-インドリウムが挙げられる。好ましい一態様において、小分子は、5-アミノ-2-[3-[5-アミノ-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-(4スルホブチル)-2H-インドール-2-イリデン]-1-プロペニル]-3,3ジメチル-1-(4スルホブチル)-3H-インドリウムであり得る。
APの有用な基質の例としては、ナフトール-AS-B1-リン酸/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール-AS-MX-リン酸/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール-AS-B1-リン酸/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール-AS-MX-リン酸/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール-AS-B1-リン酸/ニューフシン(new fuschin)(NABP/NF)、ブロモクロロインドリルリン酸/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-b-d-ガラクトピラノシド(BCIG)が挙げられる。
標識またはレポーター小分子は酵素であり得る。酵素標識の非限定的な例は、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、β-N-アセチルグルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ(GO)であり得る。好ましい一態様において、酵素標識はAPである。
さらに、コンジュゲートレポーター分子またはレポーター小分子の検出可能な標識は、特異的結合ペアの一員であり得る。本発明の実施における使用に適した特異的結合ペアのメンバーは、免疫型または非免疫型であり得る。免疫特異的結合ペアは、抗原/抗体系またはハプテン/抗ハプテン系が典型例であり得る。
ハプテンは、このように複数のコピーを単一のポリマー分子に結合させる小分子であり、この場合、レポーターは検出可能な標識およびポリマーの両方を含む。ハプテンは、シグナルを増幅することが必要であるかまたは有利であるアッセイ形式に便利な標的分子を提供する。したがって、ハプテンの複数の結合したコピーは、感度の向上、例えばシグナル強度の増加を提供する。適切なハプテンの例としては、FITC、DNP、mycジゴキシゲニン、ニトロチロシンビオチン、アビジン、ストレプトアビジン(strepavidin)ならびに、例えばテトラメチルローダミン、テキサスレッド、ダンシル、Alexa Fluor 488、BODIPY FL、ルシファーイエローおよびAlexa Fluor 405/カスケードブルーフルオロフォアに対する抗色素抗体が挙げられる。
結合ペアの抗体メンバーは、抗体のポリクローナル、モノクローナルまたは免疫反応性断片のいずれであれ、当業者に周知の慣用的な方法により生成され得る。用語、免疫反応性抗体断片または免疫反応性断片は、抗体の結合領域を含む断片を意味する。かかる断片は、Fc部を欠いた断片として定義されるFab型断片、例えばFab、Fab'およびF(ab')2断片であり得るか、または完全抗体の重鎖成分を連結するジスルフィド結合の還元切断により得られるいわゆる「半分子」断片であり得る。特異的結合ペアの抗原メンバーが免疫原性でない、例えばハプテンである場合、該メンバーは担体タンパク質に共有結合して免疫原性になり得る。
非免疫特異的結合ペアは、2つの成分が互いに天然の親和性を共有するが抗体ではない系を含む。例示的な非免疫性結合ペアは、ビオチン-アビジンまたはビオチン-ストレプトアビジン、葉酸-葉酸結合タンパク質、相補的核酸、レセプター-リガンド等である。本発明はまた、互いに共有結合を形成する、非免疫性結合ペアを含む。例示的な共有結合ペアとしては、マレイミドおよびハロアセチル誘導体などのメルカプト反応基、ならびにイソチオシアネート、スクシンイミジルエステル、スルホニルハロゲン化物などのアミン反応基、ならびに 3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)および3-(ジメチル-アミノ)安息香酸(DMAB)などのカプラー色素等が挙げられる。
いくつかの態様において、ポリマー分子に結合した標識は異なることが好ましいことがあり得る。いくつかの態様において、2つ以上の異なる標識を含むレポーターを使用することが好ましいことがあり得る。上述で同定された任意の群より選択される異なる標識の任意の組合せが作製され得、例えばレポーターは蛍光標識および酵素標識の組合せ、特異的結合ペアの一員、酵素および/または酵素基質の組合せ等を含み得る。
レポーターが、ポリマーと1つ以上の検出可能な分子のコンジュゲートである場合、一態様において、コンジュゲートは少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの標識を含み得、ここで該少なくとも1つの標識は、化学結合またはリンカー基、例えばL30を介して、該少なくとも1つのポリマーに結合される。かかるレポーターの非限定的な例は、実施例に記載され、例えば実施例1.9を参照。コンジュゲートが1つより多くのポリマーを含む場合、ポリマーのそれぞれは1つ以上の検出可能な標識に結合し得る。標識は同一であり得るか、または異なり得る。異なる標識は、上述の任意の群から選択され得、任意の所望の組合せで使用され得る。
ポリマーを含むレポーター分子
大レポーター分子はポリマーを含み得る。大レポーター分子に含まれるポリマーは、任意のポリマー分子であり得る。該ポリマー分子はそれ自体水に可溶性または不溶性であり得るが、レポーターコンジュゲートの一部として作用する場合、水媒体または少なくとも下記の本発明の媒体に可溶性であるか、または可溶性になり得る。該ポリマーは、好ましくは、ペルオキシダーゼ活性の存在下で、架橋剤を含む媒体から堆積し得る分子から選択される。
適切なポリマーの例としては、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランポリアルデヒド、カルボキシメチルデキストランラクトン、およびシクロデキストリンなどの多糖類;プルラン、スキゾフィラン(schizophyllan)、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン(gellan)、O-エチルアミノグアラン(ethylamino guaran)、6-O-カルボキシメチルキチンおよびN-カルボキシメチルキトサンなどのキチンおよびキトサン;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、6-アミノ-6-デオキシセルロースおよびO-エチルアミンセルロースなどの誘導体化セルロース(cellolosics);ヒドロキシル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギナン、アルギニン酸およびアガロース;フィコールおよびカルボキシメチル化フィコールなどの合成多糖類;ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(マレイン酸無水物)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチル-コ-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール-コ-ビニルクロロ酢酸)、アミノ化ポリ(ビニルアルコール)およびそれらのブロックコポリマーなどのビニルポリマー;直鎖、櫛形または高分岐ポリマーおよびデンドリマー、例えば分岐PAMAM-デンドリマーなどのポリマー主鎖を含むポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールまたはポリ(エチレンオキシド-コ-プロピレンオキシド);ポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリウレタン、ポリ(エチレンイミン)、プルリオール(pluriol)などのポリアミノ酸;アルブミン、イムノグロブリン、およびウイルス様タンパク質(VLP)などのタンパク質、ならびにポリヌクレオチド、DNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドデンドリマー構築物が挙げられる。また、混合ポリマー、すなわちポリマー、ブロックコポリマーおよびランダムコポリマーのいずれかを含む、1つ以上の上述の例からなるポリマーの使用も企図される。
ポリマーの選択は、本発明の方法が使用される特定の適用に依存し得る。該ポリマーの物理的特性は、実施を最適化するための方法の特定の適用に応じて選択され得る。これらの物理的特性の例としては、ポリマーの長さおよび分岐度が挙げられる。さらに、該ポリマーは種々の置換基を有し得る。該置換基を、化学的に保護および/または活性化し、ポリマーをさらに誘導体化し得る。例えば、一態様において該ポリマーは核酸であり得、別の態様においては核酸アナログであり得、別の態様においてはポリペプチドであり得、別の態様においては多糖であり得、他の態様においてはそれらのバリアントであり得る。
用語「核酸」は、ヌクレオチドモノマー鎖(1つまたは複数の)からなるポリマーを意味する。最も一般的な核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)である。ヌクレオチドは、複素環塩基(核酸塩基)、糖、および1つ以上のリン酸基からなる化合物である。最も一般的なヌクレオチドにおいて、塩基はプリンまたはピリミジンの誘導体であり、糖はペントース(5単糖)デオキシリボースまたはリボースである。述べられるように、ヌクレオチドは核酸のモノマーである。核酸塩基は、RNAおよびDNA分子中の対形成に含まれ得るヌクレオチドの一部である。核酸塩基は、シトシン、グアニン、アデニン、チミン(DNA)、ウラシル(RNA)を含む。
用語「核酸アナログ」は、核酸塩基が天然、修飾および/または合成であり得るヌクレオチドモノマーからなるホモポリマーであるか、または天然、修飾および合成核酸塩基、アミノ酸ならびに他の種類のモノマーからなるヘテロポリマーであるポリマーを意味する。ポリマーに関して、「ホモ-」および「ヘテロ-」は、ポリマーが異なる化学起源のモノマーからなることを示し、例えば核酸塩基モノマーのみからなるポリマーはホモポリマーであり、核酸塩基およびアミノ酸モノマーからなるポリマーはヘテロポリマーである。ホモポリマーの例はDNAまたはRNA分子であり得、ヘテロポリマーの例はPNA分子であり得る。ペプチド核酸(PNA)は、DNAまたはRNAと化学的に類似である。PNAは人工的に合成された化合物である。DNAおよびRNAはデオキシリボースおよびリボースの糖主鎖のそれぞれを含むが、PNAの主鎖はペプチド結合で結合された、繰り返しN-(2-アミノエチル)-グリシン単位からなる。種々のプリンおよびピリミジン塩基はメチレンカルボニル結合により主鎖に結合する。PNAは、1位(左)がN末端および右がC末端で、ペプチドのように表される。PNAの主鎖は帯電したリン酸基を含まないので、PNA/DNA鎖間の結合は、静電気的反発がないことによりDNA/DNA鎖間の結合よりも強い。混合塩基PNA分子は、塩基対認識に関して、DNA分子の真の模倣物である。PNA/PNA結合はPNA/DNA結合よりも強い。
用語「タンパク質」は、本明細書において、用語「ポリペプチド」と互換的に使用され、天然または人工アミノ酸からなる少なくとも1つのポリマーのことをいう。
レポーター分子に含まれるポリマーはまた、多糖、プルラン、スキゾフィラン、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン、O-エチルアミノグアラン、キチン、キトサン、誘導体化セルロース、ヒドロキシル化デンプン、カラギナン、アルギン酸、アガロース、合成多糖、ビニルポリマー、直鎖、櫛形または分岐デンドリマーなどのポリマー主鎖を含むポリエチレングリコール(PEG)もしくはポリプロピレングリコールもしくはポリ(エチレンオキシド-コ-プロピレンオキシド)、ポリアミノ酸、ポリ(エチレンイミン)、またはプルリオールから選択され得る。
いくつかの態様において、該ポリマーは、上述の2つ以上の異なるポリマーからなる混合ポリマーであり得る。
いくつかの好ましい態様において、該ポリマーはデキストランを含み得る。別の好ましい態様において、該ポリマーは少なくとも1つの核酸を含み得る。別の好ましい態様において、該ポリマーは少なくとも1つの核酸アナログを含み得る。別の好ましい態様において、該ポリマーはL30分子からなり得るか、またはそれを含み得る。他の好ましい態様において、該ポリマーは少なくとも1つのポリペプチドを含み得る。
すでに上述したとおり、該ポリマーは検出可能な標識と結合し得る。いくつかの態様において、検出可能な標識は、ポリマーに直接結合され得、すなわち、ポリマーに共有結合し得、他の態様において、検出可能な標識は、リンカーを介してポリマーに間接的に結合され得る。多くのかかるリンカーは当該技術分野において公知である。非限定的な例としては、ポリエチレングリコールおよびポリアミドが挙げられる。一態様において、リンカー分子は5〜15原子を含み得、別の態様においては15〜30原子を含み得、別の態様においては35より多くの原子、例えば36〜45原子を含み得、いくつかの態様において、該リンカー分子は45より多くの原子を含み得る。かかるリンカー分子の好ましい一態様は上述のL30である。
上述のように、いくつかの態様において、L30は、レポーターコンジュゲート分子の主鎖ポリマーとして機能を果たし得る。かかる態様のいくつかは、添付の実施例(実施例1.1〜1.8)において以下に記載され、図3に示される。いくつかの他の態様において、L30は、検出可能な標識をポリマーに結合するためのリンカー基として機能し得る。
いくつかの態様において、1〜500個の検出可能な標識分子は、ポリマー分子に直接または間接的に結合し得る。いくつかの態様において、検出可能な標識は酵素であり、それぞれのポリマー分子に結合した酵素分子の数は、1〜200、2〜50、2〜25個である。いくつかの態様において、検出可能な標識は、金粒子、色素、低分子量蛍光色素であり、それぞれのポリマー分子に結合した検出可能な物質の数は、1〜500、1〜200、1〜100、10〜100、20〜50、50〜100、1〜50、2〜30、10〜20個である。いくつかの態様において、検出可能な標識は、タンパク質蛍光色素であり、ポリマー分子に結合した検出可能な分子の数は、1〜50、2〜20個である。いくつかの他の態様において、検出可能な標識は、核酸または核酸アナログ、例えばオリゴヌクレオチドまたはPNA分子であり、ポリマーに結合した検出可能な分子の数は、1〜200、2〜50、2〜25個である。
ポリマーコンジュゲートを形成する多くの方法が、当該技術分野で公知であり、本発明のポリマーコンジュゲートを作製するために使用され得る。いくつかの態様において、所望の場合、検出可能な物質は、ポリマー主鎖に化学結合または結合し得る。いくつかの態様において、ポリマーコンジュゲートは、アミノ基をコンジュゲート二重結合に共有結合させることにより形成される。ポリマーは、ビニルスルホンにより活性化されて検出可能な物質と混合され、ポリマーコンジュゲートを形成し得る。他の態様において、ポリマー主鎖、例えばその後検出可能な物質と混合されるデキストランを活性化するためにアルデヒドが使用される。ポリマーコンジュゲートのさらに別の調製方法は、成分を一緒に結合するためのいわゆる化学選択カップリングスキームを使用することにより、例えば酵素または他の分子は、チオール反応性マレイミド基で誘導体化されて、チオール修飾ポリマー担体または主鎖に共有結合し得る。以下に記載される他の態様により、試薬自身がコンジュゲート、例えば検出可能な物質を形成することが可能になる。
上述のように、ポリマーはそれ自身レポーター分子としての機能を果たし、検出可能な標識を何も含まないことがある。かかるポリマーの非限定的な例は、核酸、核酸アナログおよびタンパク質であり得る。
レポーター小分子
すでに上述されるように、レポーターは小分子であり得る。「小分子は、3000Da以下、典型的にはおよそ200〜1000Da、例えばおよそ500Daの非重合性分子を意味する。典型的には、かかるレポーター小分子は、架橋剤を含む本発明の媒体に可溶性である。本発明は、ペルオキシダーゼの存在下で媒体から堆積し得る任意の種類のかかる小分子に関する。
該小分子は直接検出可能な物質であり得る。かかる物質の例としては、限定されないが、5-(および6)-カルボキシフルオレセイン、5-または6-カルボキシフルオレセイン、6-(フルオレセイン)-5-(および6)-カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy2、Cy3、Cy5、AMCA、PerCP、R-フィコエリトリン(RPE)アロフィコエリトリン(APC)、テキサスレッド、プリンストンレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)コートCdSeナノクリスタライト、DNP、ジゴキシゲニン、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2-ジオキセタンおよびピリドピリダジン、ならびに水素、炭素、硫黄、ヨウ素、コバルト、セレン、トリチウム、およびリンの放射性同位体が挙げられる。発色物質は、3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)、10-アセチル-3,7-ジヒドロキシフェノキサジン(ADHP)、3-アミノ-9-エチルカルバゾール、4-クロロ-1-ナフトール(AEC)、o-フェニレンジアミン(OPD)、2,2'-アジド-bis(3)-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸、5-アミノ-2-[3-[5-アミノ-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-(4スルホブチル)-2H-インドール-2-イリデン]-1-プロペニル]-3,3ジメチル-1-(4スルホブチル)-3H-インドリウムから選択され得る。一態様において、検出可能な小分子は、ペルオキシダーゼ、好ましくは西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の基質であり得る。好ましい一態様において、検出可能な小分子は、5-アミノ-2-[3-[5-アミノ-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-(4スルホブチル)-2H-インドール-2-イリデン]-1-プロペニル]-3,3ジメチル-1-(4スルホブチル)-3H-インドリウムである。
いくつかの態様において、小分子は、直接検出できない分子、例えば着色、蛍光または化学発光し得ない物質、例えばビオチン、またはフェルラ酸もしくはチロシンなどのペルオキシダーゼ酵素の基質であり得る。かかる態様において、検出可能な物質は、この種類の小分子に結合し得る。例えば、小分子および検出可能な物質は、例えばビニル基により誘導体化され得る。ラジカルの添加により重合が起こり、ビニル基の重合が生じてポリマーコンジュゲートが形成される。したがって、コンジュゲートは、ポリビニル主鎖またはポリビニルのブロックを含有する。アクリル酸の活性エステルは、該分子を活性化するために使用され得る。遊離ラジカルの生成により、誘導体化分子が重合され得る。1つより多くのビニル基を有する小分子リンカーがさらに添加されて、小分子と検出可能物質のポリマーコンジュゲートの形成が補助され得る。いくつかの他の態様において、該小分子および検出可能物質は、架橋結合体(cross binder)により誘導体化され得る。この方法の例としては、グルタルジアルデヒド、ヘキサンジイソシアネート、ジメチルアピミデート(dimethylapimidate)、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなどのホモ二官能性架橋結合体、例えばN-γ-マレイミドビチロロキシ(maleimidobytyroloxy)スクシンイミドエステルのようなヘテロ二官能性架橋結合体、および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどのゼロレングス架橋結合体の使用が挙げられる。正しい反応条件を選択することで、架橋結合体は、例えば検出可能な物質および検出可能な薬剤中で、種々の官能基間に架橋を形成し、ポリマー性レポーター分子を形成し得る。
ペルオキシダーゼ
ペルオキシダーゼ活性能を有し得る任意の酵素が本発明の実施に適切である。
本発明によると、ペルオキシダーゼ活性は標的部位に存在する。用語「標的部位」は、レポーター分子が堆積し得る部位、例えば生物学的または化学的マーカーを含む部位のことをいう。本発明によると、ペルオキシダーゼ活性は、標的部位に存在するペルオキシダーゼ酵素の少なくとも1つの部分と関連する。用語「1つの部分」は、ペルオキシダーゼが天然もしくは組換えタンパク質であり得るか、またはその誘導体、例えばペルオキシダーゼ活性を有し得るその断片であり得ることを意味する。特に、ペルオキシダーゼは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)もしくはダイズペルオキシダーゼ(SP)、それらの断片、組換えタンパク質または融合タンパク質から選択され得る。好ましい一態様において、ペルオキシダーゼはHRPである。
一態様において、標的部位は、ペルオキシダーゼ活性を含む任意の固相支持体の一部位であり得る。適当な支持体としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、置換ポリスチレンなどの合成ポリマー支持体;例えばアミノ化またはカルボキシル化ポリスチレン;ポリアクリルアミド;ポリアミド;ポリビニルクロライド等;ガラスビーズ;アガロース;ニトロセルロース;ナイロン;ポリビニリデンジフルオリド;表面修飾ナイロン等が挙げられる。ペルオキシダーゼ分子はこれらの支持体に直接または間接的に固定され得る。
標的部位は、生物学的試料の一部位、生物学的試料が細胞を含む場合は、例えば細胞膜、細胞小器官の部位であり得、細胞非含有生物学的試料、例えば上述のような固相支持体上に固定された血漿試料または細胞溶解物もしくは抽出物の一部位であってもよい。典型的に、かかる部位は、標的分子または構造であり得る生物学的マーカーを含む。典型的に、ペルオキシダーゼ活性は、例えば標的分子に結合した特異的プローブの一部として、標的分子と間接的に結合する。
媒体
本発明の媒体(media)は、ペルオキシダーゼ活性の存在下で可溶性レポーター分子がそこから堆積し得る媒体である。該媒体は、実質的に、
(i) ペルオキシダーゼ活性の存在下で、少なくとも2つのレポーター分子を架橋し得る化合物、ここで該化合物はペルオキシダーゼ酵素基質の少なくとも2つの部分を含む分子であり、該2つのレポーター分子の少なくとも1つは検出可能な分子である、および
(ii) 過酸化化合物
を含む、約4〜約9のpHを有する緩衝水溶液である。
媒体に含まれる適切な可溶性レポーター分子は、詳細に上述される。
ペルオキシダーゼ活性の存在下で少なくとも2つのレポーター分子を架橋し得る適切な化合物はまた、本発明により、詳細に上述される。好ましい一態様において、架橋化合物はDABである。
媒体中の架橋化合物の量は、約10-5〜約10-2M、例えば約10-5〜約10-3M、または約10-4〜約10-2M、または約10-5〜約10-4M、または約10-4〜約10-3Mで変化し得る。架橋剤の濃度は、例えば異なるレポーターの堆積が関連する場合、異なる態様について最適化され得る。
本発明の媒体は過酸化化合物を含む。過酸化化合物は、tert-ブチルペルオキシド、ジtert-ブチルペルオキシド、過酢酸などの有機化酸化物から選択され得るか、または過酸化水素尿素付加物などの過酸化水素の付加物であり得る。いくつかの態様において、過酸化水素(H2O2)は、好ましい過酸化物であり得る。媒体中の過酸化化合物の量は、異なる態様において約10-4〜約10-2Mで異なる。
媒体はさらに、有機調整剤および有機調整剤と有機もしくは無機塩を含み得る。
無機塩は、例えば塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、または硫酸アンモニウムから選択され得る。
他の態様において、媒体は、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、またはイミダゾール塩、例えばイミダゾール塩酸塩などの有機塩を含み得る。
媒体中の塩の濃度は、約10-3M〜飽和、例えば約20mM〜約200mM、または約50mM〜約500mMの範囲であり得る。好ましい一態様において、媒体は、約10mM〜500mMの量の塩を含み得る。別の好ましい態様において、媒体は塩を含まない。
典型的に、媒体のpH値は約4〜約9で変化し得る。適切な緩衝能を有する任意のバッファ、例えばリン酸緩衝化塩溶液(PBS)、イミダゾールバッファが使用され得る。他の適切なバッファは、Good, NE., et al (1966) Hydrogen ion buffers for biological research. Biochem. 5(2), 467-477に見られ得る。媒体のpH値は、レポーターの堆積に必須であり得、レポーターの性質に応じて最適化され得る。
種々の態様において、媒体はさらに:
(i) 有機調整剤、および/または
(ii) 酵素増強剤、および/または
(iii) 鉄キレート剤、および/または
(iv) 界面活性剤、および/または
(v) 抗菌剤
を含み得る。
用語「有機調整剤(modifier)」は、レポーターの溶解性を向上する任意の非水性溶媒を意味する。かかる態様において、約1%(v/vまたはw/v)の量で媒体中に調整剤が存在することが十分であるが、いくつかの態様において、より高濃度の有機調整剤が必要とされ得る。有機調整剤は、例えばポリエチレングリコール(PEG)であり得る。他の例としては、限定されないが、本質的に低級アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、モノ-およびジエチレングリコール、スルホラン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)からなる群より選択される有機調整剤が挙げられる。いくつかの態様において、ポリエチレングリコール(PEG)、例えばPEG2000を使用することが有利であり得る。これらの場合、媒体中のポリエチレングリコールの濃度は、約0.1%(v/v)〜約20%(v/v)、例えば約1%(v/v)〜約15%、例えば5〜10%(v/v)で変化し得る。
用語「酵素増強剤」は、ペルオキシダーゼの触媒活性を促進する任意の化合物を意味する。かかる酵素増強剤は、本質的にフェニルホウ酸誘導体、およびニッケルまたはカルシウムなどの二価金属イオンからなる群より選択され得る。酵素増強剤の濃度は、約10-7〜約10-3Mで変化し得る。
鉄キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはエチレンジアミンヒドロキシフェニル酢酸型キレート剤(EDHPA)であり得る。鉄キレート剤の濃度は、約10-6〜約10-2Mで変化し得る。
界面活性剤は、ポリエチレングリコール-p-イソオクチルフェニルエーテル(NP-40)、ポリオキシエチルソルビタンモノラウリル酸(Tween)を基にした界面活性剤から選択される界面活性剤、またはブロックコポリマー(プルロニック(pluronic)等)を基にした界面活性剤から選択され得る。界面活性剤の濃度は、約0.001%〜約5%で変化し得る。
本発明によると、媒体の組成物は安定な溶液である。用語「安定」は、本明細書の文脈において、ペルオキシダーゼ媒介性レポーター堆積のための反応媒体として媒体が作用する能力が、実質的に一定時間変化しないままであることを意味し、例えば媒体は室温で少なくとも4時間、その反応能力が影響を受けないように維持(tretain)し得る。
媒体はまた、長時間保存され得る。媒体の貯蔵寿命を延ばすために、媒体を20℃未満、例えば4〜10℃で保存して、および/または媒体に抗微生物化合物を添加することが推奨され得る。抗微生物化合物は、かかる目的で一般的に使用される任意の抗微生物化合物、例えばアジ化ナトリウム、ProclinTMまたはBronidox(登録商標)であり得る。
上述の媒体は、ペルオキシダーゼ活性を含む標的部位、例えば生物学的マーカーを含む部位におけるレポーターの堆積のための反応媒体である。
2. 生物学的試料中の標的の検出方法
上述の、標的部位におけるレポーターの堆積方法は、該標的部位が生物学的試料の部位、例えば生物学的試料が細胞を含む場合は細胞膜、細胞小器官の部位であり得るか、または固相支持体上に負荷された細胞非含有試料、例えば上述のような固相支持体上に固定された血漿試料または細胞溶解物もしくは細胞抽出物の部位であり得るので、この標的部位に結合した生物学的マーカー、例えば核酸、タンパク質等の生物分子を検出するために有利に使用され得る。用語「生物学的マーカー」は、本明細書の文脈において、生物種、細胞型、細胞部分、生理学的条件等に特異的な分子、分子複合体または構造を意味する。かかる生物学的マーカーの非限定的な例としては、限定されないが、特定の遺伝子配列、タンパク質または別の生体分子、特定の疾患に関連する染色体もしくは膜構造、ウイルス等が挙げられる。生物学的マーカーは、医学的、診断的な特定の疾患のマーカーおよび治療標的として、一般的に使用される。
したがって、本発明のさらなる局面は、以下の工程:
a) 生物学的マーカーを含むと推定される生物学的試料を1つ以上のプローブとインキュベートする工程、ここで前記1つ以上のプローブの少なくとも一つは、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の少なくとも1つの部分を含み、それにより生物学的マーカーと、HRPの少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つのプローブの複合体を形成して、標的部位を形成する;
b) レポーターおよび架橋剤を含む媒体中で、(a)の標的部位を含む試料をインキュベートし、それによりレポーターを、標的部位、すなわち生物学的マーカーとHRPの少なくとも1つの部分を含む少なくとも1つのプローブの複合体が存在する部位に堆積させる工程;
c) (b)の堆積したレポーターを検出して、それにより生物学的マーカーを検出する工程
を含む、インビトロにおける生物学的マーカーの検出方法に関する。
工程(a)
生物学的マーカーを含む生物学的試料は、完全な、または損壊した細胞を含む任意の生物学的試料、例えば体組織試料または細胞溶解物であり得る。
本発明の生物学的試料の非限定的な例としては:
- 懸濁細胞、例えば血液試料、クローン性細胞懸濁物または体組織の解離細胞の懸濁物を含む液体媒体の試料;
- 体組織の試料、例えば生検試料;該組織試料は新鮮な組織試料であり得るか、または保存された組織の試料、例えばホルマリンで固定されパラフィン包埋された組織試料であり得る;
- 腫瘍の試料;
- 任意の生きた生物体、例えば動物、植物、細菌等に由来する試料;該試料は真核細胞もしくは原核細胞またはその両方を含み得る;該試料は細胞スメアであり得る;
- ウイルス粒子、その残骸、またはウイルス産物、例えばウイルス核酸、タンパク質、ペプチド等を含む試料
が挙げられる。
生物学的マーカーを含むと推定される生物学的試料は、本発明の方法にしたがい、HRPの少なくとも1つの部分または別のペルオキシダーゼ酵素の部分を含む少なくとも1つのプローブとインキュベートされる。
用語「インキュベート」は、一定時間、試料を、プローブを含む媒体(または架橋剤およびレポーターを含む媒体(工程(b))中に維持することを意味する。この期間は、1〜3分から1〜2時間以上、例えば一晩まで変化し得る。インキュベーションは、種々の態様、例えば検出される生物学的マーカー分子の種類または検出に使用されるプローブおよび/またはレポーターの種類に応じて、種々の温度で実施され得る。
試料とインキュベートされる1つ以上のプローブは、試料中に存在する生物学的マーカーを特異的に認識し、結合する。
生物学的マーカーを認識するプローブは、このマーカーに特異的に結合可能であり、このマーカーに対してのみ特異的に結合可能である。典型的に、かかるプローブは、特異的結合ペアのメンバーである。
当該技術分野には、多くの種々の特異的結合ペアが公知である。一態様において、特異的結合ペアのメンバーは、2つの抗体分子であり得る。別の態様において、特異的結合ペアのメンバーは、2つの相補的核酸であり得る。別の態様において、特異的結合ペアのメンバーは2つの核酸アナログ分子である。別の態様において、特異的結合ペアのメンバーは、特定のレセプター-リガンド結合ペアのメンバーであり得る。
生物学的マーカーに特異的に結合可能であり、特異的結合ペアのメンバーであるプローブ、例えば一次抗体プローブは、本明細書において一次プローブと指定する。第1のプローブは、ペルオキシダーゼ酵素の部分で任意に標識され得る。
一態様において、第1のプローブは、HRPまたは別のペルオキシダーゼ酵素、例えばダイズペルオキシダーゼ(SP)の少なくとも1つの部分を含み得る。かかるプローブの非限定的な例は、HRP標識一次抗体分子もしくはその誘導体、またはHRP標識核酸プローブであり得る。かかる第1のプローブは、対応する生物学的マーカーに特異的に結合し、これらの生物学的マーカーをペルオキシダーゼ活性で標識して、それにより標的部位を形成する。
別の態様において、第1のプローブは標識されていない、すなわちペルオキシダーゼの部分を含まないことがある。この態様において、ペルオキシダーゼの部分は、第2のプローブを介して標的部位に結合し得る。第2のプローブは、第1のプローブに特異的に結合し得るプローブ、例えば特異的結合ペアのもう1つのメンバーである。かかるプローブの非限定的な例は、二次抗体分子もしくは(of)その誘導体、核酸プローブまたはレセプター-リガンド結合ペアのメンバーであり得る。かかる第2のプローブは、HRPまたは別のペルオキシダーゼ酵素、例えばダイズペルオキシダーゼ(SP)の少なくとも1つの部分を含み得る。第1のプローブへの結合により、ペルオキシダーゼ活性を含む第2のプローブは、生物学的マーカーが見られる部位をペルオキシダーゼ活性で標識し、それにより標的部位を形成する。
別の態様において、第1および第2のプローブの両方は、ペルオキシダーゼ酵素、例えばHRPおよび/またはSPの少なくとも1つの部分を含み得る。
いくつかの態様において、工程(a)は、第3および第4のプローブが使用されるいくつかの下位工程を含み得る。例えば、該手順の工程(b)に進む前に、生物学的マーカーを含む試料を、複数のプローブと連続的にインキュベートするが、ここで第1のプローブは生物学的マーカーに結合し得るが、第2、第3および他のプローブは互いに、すなわち第2のプローは第1のプローブに、第3のプローブは第2のプローブに結合し得るので、1つのマーカー分子は多くの異なるプローブと結合する。全てのプローブは、ペルオキシダーゼ酵素の1つ以上の部分を含み得る。このような単一生物学的マーカーの複数プローブ標識は、単一の標的部位におけるペルオキシダーゼ活性の高度な蓄積が望ましい場合に使用され得る。これは、単一の標的部位におけるレポーター堆積の促進に有用であり得る。
該方法の工程(b)に進む前に、標的部位におけるペルオキシダーゼ活性の蓄積を増加するために、工程(a)をできるだけ多く繰り返し得る。
工程(b):
工程(a)で形成された標的部位を含む試料はさらに、架橋剤およびレポーターを含む本発明の媒体中でインキュベートされる。
工程(b)のインキュベーションに適切な媒体の組成の詳細は上述している。媒体の組成は、使用されるレポーターおよび架橋剤分子の種、ならびに検出される特定の生物学的マーカーの性質に応じて変化し得る。例えば、レポーターが、いくつかの蛍光標識が結合するポリマー主鎖を含むレポーター(例えば実施例6または7に記載のレポーター分子)である場合、媒体は架橋剤としてDABを含み得る。
本発明の工程(b)のインキュベーションにより、インキュベーション媒体中に存在するレポーター分子が標的部位、すなわちペルオキシダーゼ活性で標識された生物学的マーカーを含む生物学的試料の部位に堆積することになる。レポーターはペルオキシダーゼ活性が存在する部位またはその周囲のみに堆積するので、レポーター堆積の部位は、生物学的マーカーが存在する部位である。
一態様において、工程(b)は、少なくとも2回のインキュベーション:
(i) 架橋剤を含む媒体(すなわちレポーターを含まない)中での試料のインキュベーション;続いて
(ii) 架橋剤およびレポーターの両方を含む媒体中の試料のインキュベーション
を含み得る。
工程(b)は任意に反復され得る。
工程(c):
上述のように、レポーター分子は検出可能な分子である。検出可能なレポーター分子の種々の態様は上述している。
レポーターの検出は、堆積したレポーターが、適切な手段により検出され得る発色性、放射性または蛍光シグナルを発し得る場合、「直接的」な一工程検出であり得る。
検出は「間接的」であり得、例えば、堆積レポーターが特異的結合対の非標識構成員、例えば、抗体または核酸プローブである場合はいくつかの検出工程を含む。かかるレポーターは、いくつかの異なる検出可能なプローブが使用され得るいくつかの検出工程を含む手順によって検出され得る。任意の工程で使用されるどのプローブも多数の検出可能な標識を含み得る。標識はまた、酵素標識、例えばHRP部分であり得る。いくつかの態様、例えば、標的部位内の堆積レポーターに関連するシグナルを増幅することが望ましい場合では、堆積レポーターのかかる間接検出が好ましいことがあり得る。
プローブを認識するレポーターが結合された堆積レポーターを含む試料は、架橋剤および別のレポーターを含む培地中でさらにインキュベートされ得る。レポーター結合プローブがペルオキシダーゼ部分を含む場合、このさらなるインキュベーションは、同じ標的部位内への別のレポーターの堆積のために使用され得; これは、標的部位から発生する最初のシグナルの増幅、したがって検出感度の増強に使用され得るか、または最初の堆積に使用された標識と異なる検出可能な標識での標的部位の標識に使用され得る。かかるさらなるインキュベーションを数回繰返してもよい。
上記の生物学的標的の検出方法は、種々のアッセイ形式で使用され得る。これらのアッセイ形式のいくつかの態様を以下に記載し、本発明の非限定的な実施例によって例示する。
アッセイ形式
細胞懸濁液の細胞に含まれる標的分子は、任意の適当なアッセイ形式、例えば、フローサイトメトリー(FC)、またはELISA、または免疫組織化学(IHC)、またはインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)において上記の方法を用いて検出され得る。
一態様において、生物学的試料は、細胞の懸濁液であり得る。懸濁液中の細胞の標的分子または構造は、FC、ELISA、IHCまたはISHを用いて検出され得る。ELISA、IHCまたはISHが検出に使用される場合、懸濁液の細胞を固体支持体、例えば、ELISAプレートまたはICHスライドに結合する。
別の態様において、生物学的試料は、体組織の切片であり得る。かかる試料の細胞の標的分子または構造は、典型的にIHCまたはISHを用いて検出される。
IHCおよびISH アッセイ形式は、通常、疾患状態の特定の形態学的インジケータの選択的染色または生物学的マーカーの検出によって強調するための、顕微鏡検査または顕微鏡写真の作製のための適当な固体支持体、例えば、ガラススライドまたは他の平坦な支持体に載せた組織切片上で行なわれる一連の処理工程が必要である。したがって、例えば、IHCでは、試料を個体から採取し、固定し、目的の生物学的マーカーに特異的に結合する抗体に曝露する。試料処理工程としては、例えば、抗原回復、一次抗体への曝露、洗浄、二次抗体(任意にHRP部分にカップリングされた)への曝露、洗浄、および1つ以上のHRP部分に連結された三次抗体への曝露が挙げられる。洗浄工程は、任意の適当なバッファーまたは溶媒、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、tris緩衝生理食塩水(TBS)、蒸留水を用いて行なわれ得る。洗浄バッファーは任意に界面活性剤、例えば、Tween 20を含み得る。
上記のように、組織学的試料には、一般に2つのカテゴリー:(1)一般的にはアルデヒド系固定剤で固定しない新鮮組織および/または細胞を含む調製物、ならびに(2) 固定および包埋された組織被検物、しばしば保管物質がある。
IHCアッセイ形式で標的の検出を行なう前に、予備検出手順が行なわれる。これは、組織の切断およびトリミング、固定、脱水、パラフィン浸潤、薄片に切断、ガラススライド上へのマウント、加熱乾燥、脱パラフィン化、再水和、抗原回復、ブロック工程、一次抗体の適用、洗浄、二次抗体-酵素コンジュゲートの適用、ならびに洗浄の工程を含み得る。
ISHでは、試料を個体から採取し、固定し、相補的塩基対形成によって目的の核酸にハイブリダイズする核酸プローブに曝露する。生物学的試料は、典型的に、DNAおよびRNA、例えば、メッセンジャーRNAなどの検出可能な核酸を含む。DNA/RNAレベルの検出は、特定の遺伝子の発現のレベルを示し得、したがって、細胞、組織、器官または生物体の状態(疾患状態など)を検出するために使用され得る。試料中の核酸は、典型的に変性されて結合部位を露出する。プローブは、典型的に、DNAもしくはRNAなどの二本鎖もしくは単鎖の核酸、またはPNAなどの核酸アナログである。かかる技術によって検出された関連する標的タンパク質または核酸の量は、次いで、特定の所定の最低閾値より上かどうかを調べるために評価されるか、または公知標準と比較され、したがって診断上重要であるかどうかが評価される。次いで、必要であれば、個体に適当な治療が計画され得る。
組織被検物を固定および包埋する多くの方法、例えば、アルコール固定およびホルマリン固定、続いてパラフィン包埋(FFPE)が知られている。
固定剤は、細胞および組織を再生可能な状態および生存しているような様式で保存するために必要である。これを達成するため、組織塊、切片またはスメアを、固定剤液中に浸漬するか、またはスメアの場合は、乾燥させる。固定剤により細胞および組織が安定化され、それによりこれらが処理および染色技術の苛酷さから保護される。
任意の適当な固定剤、例えば、エタノール、酢酸、ピクリン酸、2-プロパノール、3,3'-ジアミノベンジジン四塩酸二水和物、アセトイン(単量体の混合物)およびダイマー、アクロレイン、クロトンアルデヒド(シス+トランス)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウム、パラホルムアルデヒド、塩化第2水銀、トリレン-2,4-ジイソシアネート、トリクロロ酢酸、タングステン酸が使用され得る。他の例としては、ホルマリン(水性ホルムアルデヒド)および中性緩衝ホルマリン(NBF)、グルタルアルデヒド、アクロレイン、カルボジイミド、イミデート、ベンゾエキノン(benzoequinone)、オスミウム酸および四酸化オスミウムが挙げられる。
免疫組織化学的解析用の新鮮生検被検物、細胞学的調製物(接触調製物および血液スメアを含む)、凍結切片および組織は、一般に、エタノール、酢酸、メタノールおよび/またはアセトンなどの有機溶媒中に固定される。
固定組織中での特異的認識を容易にするため、しばしば、被検物の前処理によって標的、すなわち、目的の生物学的マーカーを回復またはマスク除去し、大部分の標的の反応性を増大させることが必要である。この手順は、「抗原回復」、「標的回復」または「エピトープ回復」、「標的アンマスキング」または「抗原アンマスキング」と称される。抗原回復(抗原アンマスキング)の広範な概説は、Shi et al. 1997、J Histochem Cytochem、45(3):327に見られ得る。
抗原回復としては、特異的検出試薬との相互作用への標的の利用可能性が最大となる種々の方法が挙げられる。最も一般的な技術は、適切なバッファー中でのタンパク質分解酵素(例えば、プロテイナーゼ、プロナーゼ、ペプシン、パパイン、トリプシンもしくはノイラミニダーゼ)での酵素的消化、またはマイクロ波照射、水浴、スチーマー、通常の炉、オートクレーブまたは加圧調理器内での通常、EDTA、EGTA、Tris-HCl、クエン酸、尿素、グリシン-HClもしくはホウ酸を含有し、適切にpHを安定化させたバッファー中の加熱を使用する加熱誘導性エピトープ回復(HIER)である。界面活性剤は、エピトープ回復を増大させるためにHIERバッファーに添加され得るか、または非特異的結合を低下させるために希釈培地および/またはすすぎバッファーに添加され得る。
抗原回復バッファーは、たいてい水性であるが、他の溶媒、例えば、水よりも高い沸点を有する溶媒を含んでいてもよい。これにより、常圧で100℃より上での組織の処理が可能になる。
さらに、信号雑音比は、種々の物理的方法、例えば、真空および超音波の適用、または試薬のインキュベーション前もしくはインキュベーション中での切片の凍結および解凍によって増大され得る。
内因性ビオチン結合部位または内因性酵素活性(例えば、ホスファターゼ、カタラーゼまたはペルオキシダーゼ)は、検出手順内の工程として除去され得る、例えば、内因性ビオチンおよびペルオキシダーゼ活性は、ペルオキシドでの処理によって除去され得る。内因性ホスファターゼ活性は、レバミゾールでの処理によって除去され得る。内因性ホスファターゼおよびエステラーゼは加熱によって破壊され得る。
ウマ血清アルブミン(HSA)、カゼイン、ウシ血清アルブミン(BSA)、およびオボアルブミン、ウシ胎児血清もしくは他の血清、またはTween20、Triton X-100、Saponin、BrijもしくはPluronicsなどの界面活性剤などの不活性タンパク質による非特異的結合部位のブロックが使用され得る。非標識型および標的非特異的型の特異的試薬での組織または細胞内の非特異的結合部位のブロックもまた使用され得る。
また、試料を調製し、浮遊技術を用いて標的分子を検出してもよい。この方法では、適切な容器、例えば、マイクロ遠心チューブ内で懸濁または浮遊状態で組織切片を異なる試薬および洗浄バッファーと接触させる。
組織切片を、例えば、「釣りフック様」デバイス、スパチュラまたはガラス環を用いて染色手順中、チューブから、異なる試薬およびバッファーを有するチューブに移してもよい。また、穏やかなデカンテーションまたは真空吸引によって異なる試薬およびバッファーを交換してもよい。代替的に、組織切片の入った容器をCorning “Netwells”(Corning)などの専用の染色ネットに移し、組織切片を洗浄した後、次の染色工程のためにチューブ移し戻してもよい。
例えば、固定、抗原回復、洗浄、ブロック試薬とのインキュベーション、免疫特異的試薬およびペルオキシダーゼ媒介性レポーター堆積などのすべての工程は、組織切片を浮遊させたまま、またはネット上に保持したまま行なわれる。レポーターの堆積後、組織切片をスライド上に載せ、レポーターを検出し、スライドをカバースリップで覆った後、例えば、光学または蛍光顕微鏡検査によって解析する。
いくつかの態様において、組織切片は、該方法の手順(a)に従って免疫特異的試薬との重要なインキュベーション後にスライド上に載せてもよい。次いで、検出プロセスの残りをスライド上に載せた組織切片において行なう。
検出可能な生物学的マーカー
該方法により検出可能であれば、生物学的マーカーは、試料、好ましくは生物学的試料中に存在する任意の分子または構造、例えば、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、メチル化タンパク質もしくはタンパク質断片、例えばペプチド、または核酸、例えば、DNA、RNA、脂質、糖脂質、または糖、多糖またはデンプンであり得る。生物学的マーカーは、生物学的試料の表面上で発現され得、例えば、膜結合であり得る。マーカーは、生物学的試料の内部、すなわち、細胞膜内、例えば、細胞質内、核内、細胞内区画または細胞小器官内に含有され得る。生物学的マーカーは、膜微小ドメイン、イオンチャネル、染色体構造などの細胞構造であってもよく、分子複合体、例えば、RNA-タンパク質複合体などであってもよい。生物学的マーカーは、好ましくは特異的生物学的マーカーであり、例えば、正常状態もしくは病理状態のマーカー、または特定の細胞もしくは組織に特異的、または特定の生物学的種に特異的である。
かかる生物学的マーカーの検出は、病理状態の診断および治療に有用であり得る。
本発明は、生物学的試料中の少なくとも1つの生物学的マーカーの検出に関する。したがって、本発明はまた、所定の試料中の多種類、例えば2種類、3種類の生物学的マーカーの検出を提供し、したがって生物学的マーカー、一群のタンパク質、遺伝子または1種類以上のタンパク質と1種類以上の遺伝子の組合せの発現に関するデータ、例えば診断情報を得る方法を提供する。一例として、限定されないが、HER2タンパク質とHER2遺伝子が、癌診断アッセイ、例えば乳癌のアッセイにおいて同時にスクリーニングされ得る。別の非限定的な例としては、例えば頚部癌を検出するための3つのマーカーのスクリーニングが挙げられ得る。マーカーとしては、Ki67/mib-1、ならびに細胞増殖マーカー、p16(INK4a)とともに、ヒトパピローマウイルスのマーカー、例えばタンパク質または核酸が挙げられる。また別の非限定的な例としては、前立腺癌と関連する多種類のマーカーのスクリーニングが挙げられる。これらのマーカーとしては、AMACR P504S、高分子量サイトケラチン(HMW-CK)、およびp63が挙げられ得る。このマーカーの組合せのスクリーニングは、良性前立腺腫瘍を悪性のものと区別する方法を提供する。
例えば、多種類のマーカーを検出する場合、結合因子間の交差反応性を最小限にすることが望ましい。これは、検出手順において異なるプローブおよび異なるレポーター分子を使用することによって達成され得る。かかる系の一例を、以下の工程:
(1).試料を第1プローブ1(1P1)(例えば、HRP-コンジュゲート抗体AB1)とともにインキュベートする工程
(2).試料(1)をレポーター1(R1)(例えば、フェルラ酸-PNA1コンジュゲート)とともに架橋剤(例えば、DAB)の存在下でインキュベートする工程
(3).試料(2)を過酸化水素(>3%v/v)とともにインキュベートする工程
(4).試料(3)を第1プローブ2(1P2)(例えば、HRP-コンジュゲート抗体AB2)とともにインキュベートする工程
(5).試料(4)をレポーター2(R2)(例えば、フェルラ酸-PNA2コンジュゲートとともにインキュベートする工程
(6) 試料(5)を第2プローブ1(2P1)(例えば、PNA1'-FITC)および第2プローブ2(2P2)(例えば、PNA2'-テキサスレッド)とともにインキュベートする工程
を用いて、2つの異なる生物学的マーカー、例えば、2つの異なる細胞受容体が検出される図3に示す。
その結果、緑色蛍光シグナル(PNA1 '-FITCから発生)が、R1が堆積した標的部位から検出され、赤色蛍光シグナル(PNA2'-テキサスレッドから発生)が、R2堆積の標的部位から検出され、黄色シグナルが、R1およびR2の両方が堆積された標的部位、すなわち(ie rom)、標的A1およびA2の両方が存在する部位から検出される。
該方法のすべての工程((a)から(c))は2〜20分以内に完了し得る。かかる迅速検出は、標的生物学的マーカーの自動化または半自動化検出に有利に使用され得る。自動化染色デバイスは、当該技術分野で公知であり、該方法はこれらのデバイスに適合され得る。
自動化染色デバイスは、本発明の種々の態様、例えば、多種類の生物学的マーカーの検出に使用され得る。多種類のマーカーの検出は、多くの場合、異なる検出可能な物質から発生するシグナルの均衡を必要とする。自動化手順は、標的生物学的マーカーから発生するシグナルの増幅の多数回の工程を含み得る。多種類のマーカーを検出する場合、特に有利である。
抗体プローブ
用語「プローブ」は、標的に特異的に結合し得る物質を表し、標的は、生物学的マーカー、別のプローブ、レポーター、または前記生物学的マーカー、別のプローブもしくはレポーターと関連する任意の分子であり得る。
一態様において、プローブは抗体プローブである。
抗体は、本明細書で用いる場合、免疫グロブリンまたはその一部分を意味し、供給源、作製方法および他の特徴とは無関係に、抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを包含する。該用語は、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、単一特異的、多重特異的、ヒト化、単鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、変異、およびCDR移植抗体を含む。抗体の一部分としては、なお抗原に結合することができる任意の断片、例えば、Fab、F(ab')2、Fv、scFvが挙げられ得る。抗体の起源は、作製方法とは無関係に、ゲノム配列によって規定される。
一次抗体は、本明細書で用いる場合、生物学的試料中に存在する目的の生物学的マーカーに特異的に結合する抗体をいう。特定の態様において、一次抗体は重合され得る。一次抗体は、任意の温血種、例えば哺乳動物、鳥類に由来し得る。
二次抗体は、本明細書で用いる場合、第1プローブ、例えば、一次抗体、または標的部位に堆積したハプテン、または第1プローブに直接もしくは間接的に結合されたハプテンに特異的に結合する抗原結合ドメインを有する抗体をいう。
三次抗体は、本明細書で用いる場合、第2のプローブ(例えば、二次抗体)または第2のプローブに結合されたハプテンまたは第2のプローブにコンジュゲートされたポリマーに結合されたハプテン、または、標的部位に堆積したハプテンに特異的に結合する抗原結合ドメインを有する抗体をいう。
場合によっては、抗体は、二次抗体および三次抗体の両方として機能し得る。
本発明で使用される抗体、例えば、一次抗体、二次抗体および三次抗体は、任意の哺乳動物種、例えば、ラット、マウス、ヤギ、モルモット、ロバ、ウサギ、ウマ、ラマ、ラクダ、または任意の鳥類種、例えば、ニワトリ、アヒルから誘導され得る。任意の哺乳動物または鳥類種から誘導されるとは、本明細書で用いる場合、特定の抗体をコードする核酸配列の少なくとも一部が、特定の哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ヤギ、もしくはウサギまたは特定の鳥、例えば、ニワトリ、アヒルのゲノム配列に由来することを意味する。抗体は、任意のアイソタイプ、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEまたは任意のサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4であり得る。
特定の態様において、一次抗体は、生物学的試料を構成する細胞によって発現される生物学的マーカーに特異的に結合し得る抗原結合領域を含む。マーカーは、細胞表面上または細胞膜内、すなわち、細胞内部、例えば、細胞質内、核内、小胞体内に発現され得る。いくつかの態様において、生物学的マーカーは細胞から分泌され、したがって液中、例えば、細胞培養培地中、血中または血漿中に存在する。
特定の態様において、二次抗体は、一次抗体、例えば、一次抗体の定常領域に特異的に結合する抗原結合領域を含む。特定の態様において、二次抗体はポリマーにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、ポリマーは2〜20個の二次抗体とコンジュゲートされる。他の態様において、ポリマーは2〜10個の二次抗体とコンジュゲートされる。
特定の態様において、三次抗体は、二次抗体、例えば、二次抗体の定常領域に特異的に結合する抗原結合領域、または二次抗体に結合されたハプテンまたは二次抗体にコンジュゲートされたポリマーを含む。特定の態様において、三次抗体はポリマーにコンジュゲートされる。いくつかの態様において、ポリマーは1〜20個の三次抗体にコンジュゲートされる。他の態様において、ポリマーは1〜5個の三次抗体にコンジュゲートされる。
本発明の方法および組成物に使用され得る抗体としては、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、操作抗体、例えば、キメラ、CDR移植およびファージディスプレイまたは選択的技術を用いて作製された人工的に選択された抗体が挙げられる。
抗体を作製するための種々の技術が記載されており、例えば、参照により本明細書に援用されるKohlerおよびMilstein、(1975) Nature 256:495; HarlowおよびLane、Antibodies: a Laboratory Manual、(1988)(Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、NY)を参照のこと。組換え抗体分子の調製のための技術は、上記の参考文献に、また例えばEP 0623679; EP 0368684; およびEP 0436597にも記載されている。
抗体は、組換えまたは合成により作製され得る。抗体をコードする核酸は、cDNAライブラリーから単離され得る。抗体をコードする核酸は、ファージライブラリーから単離され得る(例えば、McCafferty et al. 1990、Nature 348:552、Kang et al. 1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4363; EP 0 589 877 B1参照)。抗体をコードする核酸は、公知配列の遺伝子シャッフリングによって得られ得る(Mark et al. 1992、Bio/Technol. 10:779)。抗体をコードする核酸は、インビボ組換えによって単離され得る(Waterhouse et al. 1993、Nucl. Acid Res. 21:2265)。本発明の方法および組成物に使用される抗体としては、ヒト化免疫グロブリンが挙げられる(米国特許第5,585,089号、Jones et al. 1986、Nature 332:323)。
抗体は、毒素または標識、例えば検出可能な物質などのエフェクタータンパク質を含む改変された抗体であり得る。
抗体は、動物血清から得られ得るか、またはモノクローナル抗体もしくはその断片の場合は、細胞培養物中で産生され得る。確立された手順に従って、細菌、酵母、昆虫または哺乳動物の細胞培養物中で抗体を産生させるために組換えDNA技術が使用され得る。特定の態様において、選択される細胞培養系は、好ましくは抗体産物を分泌する。
核酸プローブ
別の態様において、第1プローブは、インサイチュハイブリダイゼーションにおける使用のための核酸または核酸アナログ分子、例えばDNA分子、RNA分子、PNA分子であり得るか、またはこれらを含み得る。核酸プローブは、化学合成され得るか、または細胞中で組換え産生され得る(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版 Cold Spring Harbor Press参照)。いくつかの態様において、プローブは、ペプチド核酸(PNA)で構成される。ペプチド核酸は、通常DNAおよびRNA内に存在するデオキシリボースまたはリボース糖主鎖がペプチド主鎖で置き換えられた核酸分子である。PNAの作製方法は、当該技術分野で公知である(例えば、Nielson、2001、Current Opinion in Biotechnology 12:16参照)(参照により本明細書に援用される)。他の態様において、プローブは、ロックド核酸(LNA)で構成される(Sorenson et al. 2003、Chem. Commun. 7(17):2130)。いくつかの態様において、核酸プローブは、生物学的マーカー、例えば生物学的試料中に含有される核酸分子に特異的に結合する。
核酸プローブは、特別な態様において、少なくとも、特定のストリンジェンシー条件下で、生物学的試料中の標的配列、例えば、ゲノムDNA配列またはmRNA配列などの核酸配列に特異的にハイブリダイズする配列を含む。本明細書で使用されるように、用語「ストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーション」は、互いに有意に相補的なヌクレオチド配列が互いに結合されたままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を示すことを意図する。該条件は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85〜90%相補的な配列が互いに結合されたままであるようなものである。相補的である割合は、Altschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402 (参照により本明細書に援用される)に記載のようにして決定される。
ストリンジェンシーの具体的な条件は、当該技術分野で公知であり、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc. (Ausubel et al. 1995編集)、セクション2、4および6 (参照により本明細書に援用される)に見られ得る。さらに、具体的なストリンジェント条件は、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版 Cold Spring Harbor Press、第7、9および11章(参照により本明細書に援用される)に記載されている。いくつかの態様において、ハイブリダイゼーション条件は、高ストリンジェンシー条件である。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の一例は、65〜70℃で4×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、または42〜50℃で4×SSC+50%ホルムアミド中でのハイブリダイゼーション後、65〜70℃で1×SSC中での1回以上の洗浄である。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄バッファーに、さらなる試薬、例えば、ブロッキング剤(BSAまたはサケ精子DNA)、界面活性剤(SDS)、キレート化剤(EDTA)、Ficoll、PVPなどが添加され得ることは理解されよう。
いくつかの態様において、核酸プローブは中ストリンジェント条件下で試料中の標的配列にハイブリダイズする。中ストリンジェンシー、本明細書で用いる場合、例えばDNAの長さに基づいて当業者によって容易に決定され得る条件が挙げられる。例示的な条件は、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版 第1巻、第1.101〜104、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(参照により本明細書に援用される)に示されており、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA (pH8.0)の予備洗浄溶液、42℃で50%ホルムアミド、6×SSCのハイブリダイゼーション条件(または42℃で50%ホルムアミド中シュタルク溶液などの他の同様のハイブリダイゼーション溶液)、60℃、0.5×SSC、0.1%SDSの洗浄条件の使用が挙げられる。
いくつかの態様において、核酸プローブは、低ストリンジェント条件下で試料中の標的配列にハイブリダイズする。低ストリンジェンシー条件としては、本明細書で用いる場合、例えばDNAの長さに基づいて当業者によって容易に決定され得る条件が挙げられ得る。低ストリンジェンシーとしては、例えば、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris-HCl (pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP、0.1%Ficoll、1%BSA、および500μg/mlの変性サケ精子DNAを含有する溶液中で、40℃で6時間のDNAの前処理が挙げられ得る。ハイブリダイゼーションは、以下の変更: 0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100μg/mlのサケ精子DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストランを有する同じ溶液中で行なわれ、5〜20×106CPMプローブが使用される。試料は、ハイブリダイゼーション混合物中で18〜20時間40℃でインキュベートされ、次いで、2×SSC、25mM Tris-HCl (pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSを含有する溶液中で1.5時間55℃で洗浄される。洗浄溶液を新鮮溶液交換し、60℃でさらに1.5時間インキュベートされる。
プローブの他の態様としては、ペプチド配列、例えば、種々のタンパク質のタンパク質結合ドメインまたは核酸結合ドメインに由来するペプチド配列、種々の細胞受容体および核受容体のリガンドならびにその誘導体、大きな生物学的分子の特定の構造単位に特異的に結合し得る小分子が挙げられるが、これは、本発明の目的のためのプローブとして使用され得る物質の非限定的な例の列挙にすぎない。
1. 本発明のレポーターおよび架橋剤分子の例
略号
MBHA 4-メチルベンズヒドリルアミン
NMP N-メチルピロリドン
HATU 2-(1h-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート; メテンアンミニウム
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DCM ジクロロメタン
TFA トリフルオロ酢酸
TFMSA トリフルオロメチルスルホン酸
Fer フェルラ(Ferrulic)酸
FLU フルオレセイン
Tyr チロシン
Lys リシン
Dex デキストラン
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
equi. 当量
1.1. Fer-L30-Lys(Flu)-NH2 (D17158)
MBHA樹脂にFmoc-Lys(ivDDE)を150μmol/gの負荷量まで負荷(download)した。NMP中20%ピペリジンを用いて200mgの樹脂を脱Fmocし、1回のBoc-L30-OH (1.5mL、NMP中0.26M、0.9equi.のHATU、2当量のDIPEAで2分間予備活性化)とのカップリングに20分間供した。NMP中5%ヒドラジンを用いてivDDE基を除去し、リシン側鎖をカルボキシフルオレセイン(Flu)(1.5mL、NMP中0.2M、0.9equi.のHATU、2equiのDIPEAで2分間予備活性化)で2×20分間標識した。樹脂をNMP中20%ピペリジン、NMP、DCM、次いでDCMで処理した。TFA:TFMSA:mクレゾール(7:2:1、1.5mlで1時間)を用いて中間生成物H-L30-Lys(Flu)-NH2を樹脂から切断し、ジエチルエーテルにより沈殿させ、TFA中に再懸濁し、ジエチルエーテルにより沈殿させ、NMP中に再懸濁し、再度ジエチルエーテルにより沈殿させた。これを、100μLのDIPEAを用いて塩基性にし、0.9equi.のHATUおよび2equi.のDIPEAで予備活性化した0.5mLの0.3Mフェルラ酸に直接溶解した。25分後、粗生成物をジエチルエーテルにより沈殿させ、450μLのNMPおよび50μLのエチレンジアミン中に溶解した。5分後、生成物をジエチルエーテルにより沈殿させ、水(8mL)中15%アセトニトリル中に溶解し、100μLのTFAで酸性化し、RP-HPLC精製に供した。
1.2. Fer-L150-LyS(FIu)-NH2 (D17157)
MBHA樹脂にBoc-Lys(Fmoc)を100μmol/gの負荷量まで負荷した。100mgの樹脂をBoc-L30-OH (a. 1の場合のようにBoc-L30-OHとのカップリング。b. NMP:ピリジン1:1中2%無水酢酸での2分間のキャッピング。c. TFA中5%mクレゾールでの2×5分間の脱Bc)を用いた5回のカップリングサイクルに供した。1の場合のようにリシン側鎖を脱Fmocし、カルボキシフルオレセインで標識した。1.1の場合のように、中間生成物H-L150-Lys(Flu)-NH2を樹脂から切断し、フェルラ酸でN末端を標識し、精製した。
1.3. βala-L90-Lys(Flu)-L90Lys(Flu)-L90-Lys(Flu)-NH2 (D16127)
Boc-L90-Lys(Fmoc)-L90-Lys(Fmoc)-L90Lys(Fmoc)を、標準的な固相化学(1.1.および1.2の場合のように)を用いて0.5gのMBHA樹脂上で調製した。NMP中20%ピペリジンを用いてFmoc基をリシン側鎖から除去し、化合物を反復カルボキシフルオレセイン標識(3×30分間)に供した。TFAでのBoc基の除去後、N末端を固相で、βアラニン-N,N-二酢酸(βala)tert-ブチルエステルにより標識した。樹脂からの切断およびHPLC精製後、βala-L90-Lys(Flu)-L90Lys(Flu)-L90-Lys(Flu)-NH2を単離した。
1.4. H-Cys-L90-Lys(Flu)-L90Lys(Flu)-L90-Lys(Flu)-NH2 (D16126)
Boc-L90-Lys(Fmoc)-L90-Lys(Fmoc)-L90Lys(Fmoc)樹脂を調製し、1.3に記載の手順を用いてフルオレセインで標識した。Boc基の除去後、N末端をN-Boc-S(4-メトキシベンジル)-Cys-OHで標識した。化合物をカラムから切断し、HPLCによって精製した。
分子1.1、1.2、1.3.および1.4.は、フルオレセイン残基を含むレポーターの非限定的態様である。
1.5. Fer-Lys(Fer)-L30-Lys(Fer)-L30-Lys(Fer)-L30-Lys(Fer)-L30-Lys(Fer)-L30Lys(NH2)-NH2 (D17128)
MBHA樹脂に、Boc-Lys(Fmoc)(2サイクル)、Boc-L30-OH (5サイクル)およびBoc-Lys(2CIZ)-OHを逐次カップリングした。2CIZ基を除去するための10%チオアニソールスカベンジャーの存在下で中間生成物を樹脂から切断した。1.1の場合ようにN末端および5脱保護リシン側鎖をフェルラ酸で標識した(2×30分)。次いで、C末端リシン残基のN上のFmoc基をNMP中10%エチレンジアミンで除去した後、精製した。
1.6. Fer-(Lys(Fer)-L30)5-Lys(NH-βala(betala)((L90-Lys(Flu))3-NH2)-NH2(D17134)
βala-L90-Lys(Flu)-L90Lys(Flu)-L90-Lys(Flu)-NH2(化合物1.4)500nmolを88μLのNMPおよび2μLのピリジンに溶解し、10μLのジイソプロピルカルボジイミドとの10分間の反応によって環状無水物に変換させた。無水物をジエチルエーテルにより沈殿させ、ペレットを、250nmolのFer-(Fer-L30)5-Lys(NH2)-NH2を含む100μLのNMPに溶解した。20分後、5μLのエチレンジアミンを添加し、5分後、生成物をジエチルエーテルにより沈殿させ、酸性化し、HPLC精製した。
1.7. Ac-(Tyr(OH)-L30)6-L90-Lys(Flu)-L90-Lys(Flu)-Lys(Flu)-NH2 (D18044)
Ac-(Tyr(2BrZ)-L30)6-L90-Lys(Fmoc)-L90-Lys(Fmoc)-Lys(Fmoc)をMBHA樹脂上で調製した。固相上で、Fmoc基を除去し、リシン側鎖をカルボキシフルオレセインで標識した。樹脂から切断後、生成物をHPLC精製した。
1.8. Fer-Lys(Fer)-L60-Lys(Fer)-Lys(Fer)-L60-Lys(Fer)-Lys(Fer)-L30Lys(NH2)-NH2(D17140)
Boc-Lys(2CIZ)-L60-Lys(2CIZ)-Lys(2CIZ)-L60-Lys(2CIZ)-Lys(2CIZ)-L30-Lys(Fmoc)をMBHA樹脂上で調製した。樹脂から切断後、中間生成物H-Lys(NH2)-L60-Lys(NH2)-Lys(NH2)-L60-Lys(NH2)-Lys(NH2)-L30-Lys(Fmoc)を、沈殿によって単離し、1.1の場合のようにフェルラ酸で標識した。最終生成物をHPLCによって単離した。
実施例1.5.〜1.8.は、式
(R1)n-(X)q-R2(m)
(式中、
R1およびR2は、HRP基質(1つまたは複数)の異なる部分(例えば、FerまたはTyr)であり
Xは以下の式

(式中、R3およびR4はLysの残基である)
のリンカー分子であり、
m、nおよびqは1〜6である)
の架橋剤分子の実施例である。
フルオレセイン、フェルラ酸(1.6)および/またはチロシン(1.7)のいくつかの残基を有する線状ポリマー架橋剤(例えば、上記の分子1.6.および1.7.)もまた、別の架橋剤、例えばDABの存在下でHRPによって堆積され得るレポーターの態様である。かかる線状の比較的低分子量(MW<15kDa)の架橋剤/レポーターは、HRP酵素部分が、例えば細胞核内DNAなどの容易に接近可能でない、または露出されない標的部位に結合されている場合、特に有用であり得る。大きなレポーター分子、例えば、例えば分子1.9.(後述)などの数十から数百個の標識(例えば、Fluおよび/またはFerおよび/またはTyr)とコンジュゲートされたデキストラン分子を含むレポーターは、ペルオキシダーゼ酵素部分が、より容易に接近可能な標的部位内に位置している場合に使用され得る。
1.9. 架橋剤1.5.および架橋剤1.4.とコンジュゲートされたDex70(D17130)
ジビニルスルホンで活性化させたデキストランMW 70kDa 10nmolを、総容量300μLの0.16M NaHCO3pH9.5中でFer-(Fer-L30)5-Lys(NH2)-NH2(化合物1.5)500nmolと40Cで30分間反応させた。わずかな沈殿が観察された後、さらに100μLの水を添加し、さらに30分間、反応を進行させた。さらに、200μLの0.15M NaHCO3を500nmolのH-Cys-L90-Lys(Flu)-L90Lys(Flu)-L90-Lys(Flu)-NH2(化合物1.4)と一緒に添加した。40Cで1時間後、30分間の50μLの0.165Mシステインの添加によって反応混合物をクエンチし、溶液を濾過し、10mM CHES、pH9.0、および0.1M NaClを含有する水性溶液中20%EtOHを用いたsuperdex 200上でのFPLCによって生成物を精製した。溶出された生成物は、ほぼ56個のフルオレセイン残基および113個のフェルラ酸残基を含むデキストランコンジュゲートであった。
1.10. ヤギ抗マウス-Dex70-HRP (D18033)
13.7nmolのジビニルスルホンで活性化させた70 kDA MW デキストランを、600μLのバッファー(100mM NaCl、25mM NaHCO3、pH9.5)中で、602nmolのHRPと3時間30Cで反応させた。次いで、105μLの水中41.1nmolのヤギ抗マウスF(ab)2 抗体を添加し、反応をさらに16時間継続した。30分間の70μLの0.165Mシステインの添加によって反応混合物をクエンチし、100mM NaCl、10mM HEPES pH7.2中superdex 200上で生成物を精製した。溶出された生成物は、ヤギ抗マウス(GaM)およびHRP (dex:GaM:HRP比=1:1:1)を含むデキストランコンジュゲートであった。
1.11. 抗FITC-Dex70-HRP (D18058)
10nmolのジビニルスルホンで活性化させた70 kDA MW デキストランおよび440nmolのHRPを、400μLのバッファー(100mM NaCl、25mM NaHCO3、pH9.5)中で3時間、30Cで反応させた。次いで、80μLの水中30nmolの抗マウスF(ab)2抗体を添加し、反応をさらに40Cで90分間継続した。30分間の50μLの0.165Mシステインの添加によって反応混合物をクエンチし、100mM NaCl、10mM HEPES pH7.2中superdex 200上で生成物を精製した。溶出された生成物は、デキストランと抗FITCおよびHRP(Dex/抗FITC/HRP比 = 1/2/9)のコンジュゲートであった。
1.12. 抗FITC-Dex70-HRP (D17030)
10nmolのジビニルスルホンで活性化させた70 kDA MW デキストラン;440nmolのHRPおよび25nmolのF(ab)2 抗FITCを、374μLのバッファー(100mM NaCl、25mM NaHCO3、pH9.5)中で16 30Cで反応させた。30分間の50μLの0.165Mシステインの添加によって反応混合物をクエンチし、100mM NaCl、10mM HEPES pH7.2中superdex 200上で生成物を精製した。溶出された生成物は、抗FITCおよびHRPを含むデキストランコンジュゲートであった(比1:1:1)。
分子1.10、1.11および1.12は、堆積レポーター分子の検出のためのプローブとして有用であり得る抗体-デキストラン-HRPコンジュゲートの態様を表す。コンジュゲート1.10.はまた、堆積レポーターに結合されたプローブの検出のためのさらなるプローブとして有用であり得る(例えば、上記の標的部位内のマーカーを検出するための方法の工程(b)において)。
3. 本発明の方法を用いたIHC 染色の例
IHCは、ホルマリン固定パラフィン包埋扁桃において行なった。3〜5ミクロン切片に切断し、加熱乾燥し、使用まで4Cで保存した。次いで、キシレン(2×5分); 99%エタノール(2×2分); 70%エタノール(2×2分)および最後に水によってパラフィンを除去した。スライドを標的回復溶液、pH9、(DAKO S2367)中に入れ、次いで電子レンジ(10分間煮沸)内で加熱した。その後、スライドを冷却し、次いで洗浄バッファー(DAKO S3006)に移した。この手順の後、5分間の3%過酸化水素での内因性ペルオキシダーゼ活性のブロック工程を行ない、次いで、再度スライドを洗浄バッファー中に移し、次いで、染色した。スライド間のばらつきを最小限にするため、各比較実験は、同日中に連続して切断された切片を用いて行なった。特異的シグナルならびにバックグラウンドシグナルを0〜4のスコア段階を用いてスコア化し、ここで、0は全く染色なし、1-弱い染色、2-中程度の染色、3-強い染色、4-非常に強い染色を表す。
IHC実験1.
サイトケラチン、ヤギ抗マウス-HRPおよび抗FITC-HRPを各々、2%BSA、0.2%カゼイン、2%PEG、0.1%Tween20、0.1M NaCL、10mM HEPES、pH7.2(BCPT-バッファー)中で希釈した。レポーターD17128およびDAB(DAKO K5007 C)をDAB基質バッファー(DAKO K5007 B)中で希釈した。すべてのインキュベーションは5分間持続させ、その後、10mM CHES pH9 + 0.1%Tween20中で洗浄を行なったD17128とのインキュベーション後以外は、DAKO洗浄バッファーS3006中での2分間の洗浄を行った。
以下の表および文章に実験の態様をまとめる。

スライド1-標準的なDAB-HRP染色(増幅なし)。標準的なDAB DAKO試薬(K7005 C)は3mM DABを含む。
スライド4-25倍希釈した1mM DAB-GaM-HRPコンジュゲートD18033の存在下でレポーターD17128の堆積をスライド1と比較-1工程増幅
スライド7およびスライド9-GaM-HRPコンジュゲートD18033のさらなる希釈をスライド1と比較、およびレポーター堆積のさらなる工程
スライド1、4および7はすべて特異的に染色され、スコアは2.5〜3であった。シグナルの250倍増幅(スライド1と比較したスライド9)は、DABの存在下でのレポーターD17128の堆積の後、抗FITC-HRPプローブD17030によるレポーターの認識のために得られた。注目すべきことに、スライド7および9の両方の染色は収縮したままであり(すなわち、非拡散)、染色領域と非染色領域に明白な境界があり、堆積部位内で拡散はほとんど起こっていないことを示した。
IHC実験2.
サイトケラチン、GaM-HRPおよび抗FITC-HRPはすべて、2%BSA、0.2%カゼイン、2%PEG、0.1%Tween20、0.1M NaCL、10mM HEPES、pH7.2(BCPT-バッファー)中で希釈した。D17128およびDAB(DAKO K5007 C)は、DAB基質バッファー(DAKO K5007 B)中で希釈した。すべてのインキュベーションは5分間であり、その後、10mM CHES pH9 + 0.1%Tween20中で洗浄を行なったレポーターD17128とのインキュベーション後以外は、DAKO S3006中で2分間洗浄した。
以下の表および文章に実験の態様をまとめる。

スライド12および14は、強くおよび特異的に染色された(ともにスコア2)が、スライド9は染色されなかった(スコア0)。結果は、架橋剤(例えば、DAB(スライド14)またはD17140(スライド12))なしの培地中では、レポーターがHRPによって沈殿されないことを示す。
実験は、さらに、一次抗体を二次抗体-HRPコンジュゲートとプレインキュベートすること(10分間)によって工程数が減る可能性を示す。
IHC実験3.
サイトケラチン、GaM-HRPおよび抗FITC-HRPは、各々、2%BSA、0.2%カゼイン、2%PEG、0.1%Tween20、0.1M NaCL、10mM HEPES、pH7.2(BCPT-バッファー)中で希釈した。D17128およびDAB(DAKO K5007 C)は、DAB基質バッファー(DAKO K5007 B)中で希釈した。すべてのインキュベーションは5分間であり、その後、洗浄を10mM CHES pH9 + 0.1%Tween20中で行なったD17128およびD18044とのインキュベーション後以外は、DAKO S3006中で2分間洗浄した。基質バッファー中でのDABとのスライドのインキュベーションの第3工程を適用すると(スライド3および5)、インキュベーション時間は1分間であった。
以下の表および文章に実験の態様をまとめる。

スライド2は最も強く染色されたスライドであり(スコア3)、スライド3における1分間のDABのさらなる適用の第3工程(スコア2.5)は、染色強度をあまり改善せず、むしろわずかに減少させたことを示す。スライド4 での架橋剤の非存在下での染色なし(スコア0)は、IHC実験2(上記)で得られた結果に従う。レポーターコンジュゲートD17128の適用前にDABを適用したスライド5では、染色が観察された(スコア2)がスライド3ほど強くなかった。
この結果は、スライドをレポーターおよび架橋剤とインキュベートする前に、架橋剤が独立した工程で最初に適用され得ること(すなわち、プレインキュベーション工程)を示す。観察される標識レポーターの堆積前にDABを適用することの別の正の効果は、特異的シグナル強度はあまり低下しないがバックグラウンド染色の顕著な低減であった(スライド2のスコアは0.5〜1、およびスライド3のスコアは0)。ヤギ抗マウス-HRPコンジュゲートの非特異的結合に関連する特に弱い拡散バックグラウンド染色は、多くの場合、堆積前の1分間のさらなるDAB工程によって事実上排除された。
IHC実験4.
サイトケラチン、GaM-HRPおよび抗FITC-HRPはすべて、2%BSA、0.2%カゼイン、2%PEG、0.1%Tween20、0.1M NaCL、10mM HEPES、pH7.2(BCPT-バッファー)中で希釈した。D17128、D 18044およびDAB(DAKO K5007 C)はDAB基質バッファー(DAKO K5007 B)中で希釈した。すべてのインキュベーションは5分間であり、その後、洗浄を10mM CHES pH9 + 0.1%Tween20中で行なったD17128およびD18044とのインキュベーション後以外は、DAKO S3006中で2分間洗浄した。
以下の表および文章に実験の態様をまとめる。
この実験は、2つの異なる型のレポーターの堆積に対する架橋剤濃度の効果を示す。スライド9は最も強く染色されたスライドであった(スコア4)。架橋剤としてのDABをスライド9に希釈度1:150(1mM)で適用した。高濃度(1:50 (3mM)、スライド8)または低濃度(1:500 (30mM)、スライド10) のDABでは、染色強度が低くなった(スコア3.5)。また、DABとのプレインキュベーションのバックグラウンド低下効果は見られなかった; 6つのスライド(上記の表の)はいずれも有意なバックグラウンド染色を有しなかった。
低分子量レポーター(例えば、上記のレポーター18044)は、DABが低濃度で、より良好に堆積され(スライド13; スコア3); 染色強度はDAB濃度の増大とともに低下した(スライド12、スコア2.5;スライド11、スコア2)。
この実験はまた、同じまたはさらに良好な染色結果を得るのに、多くのペルオキシダーゼ基質部分を含む大きなレポーター分子ほど、同じだが少ないペルオキシダーゼ基質部分を含む小さなレポーター分子(例えば、D 18044,t 5 μM)と比べて少ない量で使用され得る(例えば、フルオレセイン-フェルラ酸デキストランコンジュゲートD17128、50nM)ことを示す。
4. 本発明の方法を用いた核酸プローブシグナルの増幅の例
色原体溶液およびシグナル増強剤溶液中でDABの使用ありおよびなしで試料を処理することにより、DABの沈殿効果が示され得る。本発明のさらなる例示として、シグナル増幅は、プローブもしくは抗体のさらなる希釈によって、または第2のペルオキシダーゼブロック工程を省くことによって得られ得る。
組織: ホルマリン固定パラフィン包埋扁桃
フルオレセイン標識プローブを第11染色体のセントロメアに対して標的化
この例では、以下の溶液を使用する。
色原体溶液およびシグナル増強剤溶液の調製
溶液A:
102,5mgの5-アミノ-2-[3-[5-アミノ-1,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1-(4スルホブチル)-2Hインドール-2-イリデン]-1-プロペニル]-3,3ジメチル-1-(4スルホブチル)-3H-インドリウム、terトリフルオロアセテートを、4.525mLのプロパンジオール/水8:2に溶解する。
溶液B:
59,6mgの3,3'-ジ-アミノベンジジンジヒドロクロリドを5,96mLのプロパンジオール/水8:2に溶解する。13.7μLの12M塩酸を添加する。
溶液C:
溶液Aおよび溶液Bを1mLのA:9mLのBの比で混合する。
色原体溶液:
染色のため、これらのストック溶液を、Dakocytomationコード番号K5007で得たキットの色原体バッファー中で希釈した。1mLの溶液Cを19mLの色原体バッファーと混合する。
溶液D:
1mLの溶液Bを499mLの色原体バッファーで希釈する。
シグナル増強剤溶液:
これは、溶液Dを用いてFer-L30-FITCが250nMまたは50nMの濃度まで希釈された20%エタノール、0,1M NaCl、10mM CHES pH9.0中D1734の溶液である。溶液中にDABなしの場合、希釈は、色原体バッファー中で直接行なった。
組織染色手順:
ヒト扁桃組織スライドを脱パラフィン化し、洗浄し、電子レンジ内で10分間、抗原回復を行なった。さらなる洗浄、37℃でのペプシン処理および洗浄後、スライドを脱水し、PNAプローブとともにインキュベートした。85℃で5分間の試料の変性後、プローブを45℃で1時間ハイブリダイズした。スライドを65℃で10分間ストリンジェント洗浄した。ペルオキシダーゼを3分間ブロックし、スライドを洗浄し、1:20に希釈したウサギ-抗FITC/HRPとともにインキュベートした。30分後、スライドを洗浄し、シグナル増強剤溶液とともにインキュベートした。30分後、スライドを洗浄し、ペルオキシダーゼを3分間ブロックし、再度洗浄し、スライドを1/20に希釈したウサギ-抗FITC/HRPとともにインキュベートした。30分後、スライドを洗浄し、色原体溶液とともにインキュベートした。水で洗浄後、スライドを核ファーストレッドで対比染色し、洗浄し、マウントした。
実験設備および染色の結果を以下の表に示す。
スライド1は、シグナルを得るためにプローブが必要であることを示す対照である。
スライド2は、シグナル増強溶液架橋剤なしでは、特異的シグナルが得られないことを示す。
スライド3は、シグナル増強溶液への架橋剤(DAB)の添加により、高いシグナル増幅がもたらされることを示す。これは、色原体溶液中にDABを有しなかった唯一のスライドである。
スライド4は、色原体溶液への架橋剤の添加により、シグナルがさらに増強されることを示す(スライド3と比較)。
スライド6は、シグナル増強剤(D17134)の濃度を増大させることにより、架橋剤なしで弱いシグナルが得られ得ることを示す。しかしながら、架橋剤を添加すると、このシグナルの増幅は強くなる(スライド5によって示されるように)。

Claims (15)

  1. レポーターおよび架橋剤を含む媒体中で標的部位をインキュベートする工程を含む、標的部位へのレポーターの堆積方法であって、
    前記標的部位がペルオキシダーゼ活性を含み、前記レポーターが検出可能な分子であり、前記架橋剤が、ペルオキシダーゼ酵素基質の残基の少なくとも2つを含む分子であり、前記架橋剤と前記レポーターは同じ分子ではなく、前記レポーターは、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)ではない、方法。
  2. ペルオキシダーゼ活性が、標的部位に存在するペルオキシダーゼ酵素の少なくとも1つの部分と関連する、請求項1記載の方法。
  3. ペルオキシダーゼ酵素が、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)またはダイズペルオキシダーゼ(SP)から選択される、請求項2記載の方法。
  4. 架橋剤が、以下の式:
    (R1)n-(X)q-(R2)m
    (式中、
    R1およびR2はペルオキシダーゼ酵素基質の残基であり、
    Xは、リンカー基または化学結合であり、
    m、nおよびqは1〜10の整数である)
    の分子である、請求項1記載の方法。
  5. R1およびR2がo-フェニレンジアミンの残基であり、
    Xが共有結合であり、
    m、nおよびqが1である、
    請求項4記載の方法。
  6. R1およびR2がフェルラ酸の残基であり、
    Xが、以下の式:

    (式中、R3およびR4はアミノ酸リジンの残基である)
    のリンカー基であり、
    mおよびnが2〜10の整数であり、
    qが1〜10の整数である、
    請求項4記載の方法。
  7. 架橋剤が媒体中に10-5 〜10-2Mの量で存在する、請求項1〜6いずれか記載の方法。
  8. レポーターが、主鎖ポリマーおよび少なくとも1つの検出可能な物質を含む分子であり、前記少なくとも1つの検出可能な物質が、化学結合またはリンカー基を介して主鎖ポリマーに結合された、請求項1記載の方法。
  9. レポーターが、少なくとも2つの同一の検出可能な物質、または少なくとも2つの異なる検出可能な物質を含む、請求項8記載の方法。
  10. 該検出可能な物質が、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、放射性標識もしくは色原体標識、酵素、酵素基質、ハプテンまたは特異的結合対の構成メンバーから選択される、請求項8または9記載の方法。
  11. レポーターが小分子である、請求項1記載の方法。
  12. 小分子が、蛍光物質もしくは色原体物質、ハプテン、特異的結合対の構成メンバーまたは酵素基質から選択される、請求項11記載の方法。
  13. 標的部位が生物学的マーカーを含む、請求項1記載の方法。
  14. 媒体がペルオキシド化合物を含む、請求項1〜13いずれか記載の方法。
  15. 以下の式:
    (R1)n-(X)q-(R2)m
    (式中、R1およびR2がフェルラ酸の残基であり、
    Xが以下の式:

    (式中、R3およびR4はアミノ酸リジンの残基である)
    のリンカー基であり、
    mおよびnは2〜10の整数であり、
    qは1〜10の整数である
    の化合物。
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