以下に本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号で表している。但し、図面は模式的なものである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。なお、以下の説明において、図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」という。
図1乃至図11は、本発明の一実施形態を示すためのものである。図1は、本発明の一実施形態おける流量計の側方一部断面図である。図1に示すように、流量計100は、被測定流体、例えば、ガスが流通する配管(図示省略)の一部に取り付けられる流量計検出部10と、流量計検出部10に一体的に接続される流量計出力部50と、流量計検出部10と流量計出力部50とを接続するケーブル60と、を備える。
ケーブル60は、後述の通信信号CSを送信するための信号線(導線)を含み、例えば、内部の複数の信号線(導線)を束ねてシールド(被覆)したシールドタイプのケーブルである。なお、ケーブル60は、信号線の他に、電力を供給するための電力線(導線)を含んでいてもよい。
流量計出力部50は、ガスの流量、具体的には、瞬時流量および積算流量のうちの少なくとも一方を出力するためのものである。流量計出力部50は、筐体の側面に表示操作パネル51を備える。表示操作パネル51には、表示部52と、発光部53と、操作部54と、が設けられている。
表示部52は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイであり、測定結果や各種の情報を表示する。発光部33は、例えば、LED(Light Emitting Diode)などの発光体を複数有しており、測定結果に基づいて所定の発光体が発光する。操作部34は、複数のキー(ボタン)を有しており、利用者(ユーザ)が当該キーを操作することよって、各種の情報が入力される。
流量計検出部10は、ガスの流量(瞬時流量)を検出するためのものである。流量計検出部10は、略円筒形状のハウジング11と、ハウジング11の内部に設置されたフローセンサ12および温度センサ13と、フローセンサ12より上流側(図1において左側)に設置される上流側整流ユニット14と、フローセンサ12より下流側(図1において右側)に設置される下流側整流ユニット15と、を備える。
ハウジング11は、上流および下流の配管とそれぞれ連通するための開口11aと、ハウジング11の両端(図1において左端と右端)にそれぞれ一体的に形成され、上流および下流の配管にそれぞれ取り付けられる環状のフランジ11bと、を含んで構成される。これにより、上流側の開口11aから流入したガスが下流側の開口11aから流出し、ハウジング11の内部にガスが流れる流路11cが形成される。
上流側整流ユニット14は、流路11cを流れるガスを整流するためのものである。上流側整流ユニット14は、例えば、円形の金網14aと、複数のセル(復数の孔)からなるハニカム14bと、を含んで構成され、金網14aおよびハニカム14bは、所定の間隔を存して、流路11cの内面(内壁)に一体的に組み付けられている。
下流側整流ユニット15は、流路11cを流れるガスを整流するためのものである。下流側整流ユニット15は、例えば、円形の金網15aを含んで構成され、金網15aは、流路11cの内面(内壁)に一体的に組み付けられている。
本実施形態では、上流側整流ユニット14および下流側整流ユニット15が、それぞれ1つの金網を含む例を示したが、これに限定されず、上流側整流ユニット14および下流側整流ユニット15の一方または両方が、目の粗さが異なる複数の金網を含んでいてもよい。
図2は、図1に示したV−V線矢視方向断面図である。図2に示すように、温度センサ13は、先端の検出部がハウジング11内における流路11cの断面中心付近に位置するように設置される。温度センサ13は、流路11cの断面中心近傍のガスの温度を検出し、温度信号を出力する。温度センサ13としては、種々の構成を採用することができるが、本実施形態においては、例えば、サーミスタなどの電気式温度検出センサを用いる。
また、図1に示す流量計検出部10は、流路11cの内面(内壁)に設置される圧力センサ16をさらに備える。圧力センサ16は、流路11cを流れるガスの圧力を検出し、圧力信号を出力する。
2つのフローセンサ12は、それぞれ流路11cの内面(内壁)から突出するように設置され、流路11cを流れるガスの流速または瞬時流量を検出する。また、2つの流れセンサ12は、互いに対向するように配置される。流れセンサ12としては、種々の構成を採用することができるが、本実施形態においては、高感度、かつ、高速応答のフローセンサとして、ダイヤフラムを有する熱式のフローセンサを用いる。
なお、2つのフローセンサ12を設置する場合に限定されず、フローセンサ12を1つ設置するようにしてもよいし、3つ以上の複数のフローセンサ12を設置するようにしてもよい。
図3は、図2に示した各フローセンサ12の斜視図であり、図4は、図3に示したVI−VI線矢視方向断面図である。図3および図4に示すように、フローセンサ12は、キャビティ(凹部)26が形成された基板20と、基板20上にキャビティ26を覆うように配置された薄膜状の絶縁膜25と、絶縁膜25に設けられたヒータ21と、ヒータ21より上流側(図3および図4において左側)に設けられた測温抵抗素子22と、ヒータ21より下流側(図3および図4において右側)に設けられた測温抵抗素子23と、基板20の一辺側に設けられた周囲温度センサ24と、絶縁膜25の対角関係にある角部近傍に設けられた電極パッド26と、などを有する。なお、本実施形態の測温抵抗素子22,23は、本発明のフローセンサにおける「測温ユニット」の一例に相当する。
絶縁膜25のキャビティ26を覆う部分は、熱容量が小さく、基板20に対して断熱性を有するダイヤフラムを構成している。周囲温度センサ24は、流路11cを流れるガスの温度を検出する。ヒータ21は、例えば、抵抗素子であり、キャビティ26を覆う絶縁膜25の中心に配置され、流路11cを流れるガスを加熱する。
測温抵抗素子22はヒータ21より上流側の温度を検出するために用いられ、測温抵抗素子23はヒータ21より下流側の温度を検出するために用いられ、いずれも温度センサとして機能する。これにより、後述するように、ヒータ21の加熱によって生ずる流体の温度差が検出される。
ここで、図1に示す流路11c中のガスが静止(停止)している場合、図3および図4に示すヒータ21で加えられた熱は、上流方向と下流方向へ対称的に拡散する。従って、測温抵抗素子22および測温抵抗素子23の温度は等しくなり、測温抵抗素子22および測温抵抗素子23の電気抵抗値は等しくなる。これに対し、流路11c中のガスが上流から下流に流れている場合、ヒータ21で加えられた熱は、下流方向に運ばれる。従って、測温抵抗素子22の温度よりも、測温抵抗素子23の温度が高くなる。そのため、測温抵抗素子22の電気抵抗値と測温抵抗素子23の電気抵抗値との間に差が生じる。測温抵抗素子23の電気抵抗値と測温抵抗素子22の電気抵抗値との差は、流路11cを流れるガスの速度や流量と相関関係がある。そのため、測温抵抗素子23の電気抵抗値と測温抵抗素子22の電気抵抗値との差から、流路11cを流れるガスの速度や流量が算出することが可能となる。測温抵抗素子22および測温抵抗素子23の電気抵抗値の情報は、図3に示す電極パッド26を通じて検出信号DSとして出力される。
図3および図4に示す基板20の材料としては、シリコン(Si)などが使用可能である。絶縁膜25の材料としては、酸化ケイ素(SiO2)などが使用可能である。キャビティ26は、異方性エッチングなどにより形成される。また、ヒータ21、上流側測温抵抗素子22、下流側測温抵抗素子23、周囲温度センサ24、および電極パッド26の各材料には、白金(Pt)などが使用可能であり、リソグラフィ法などにより形成可能である。
図5は図1に示した流量計の機能的構成を示すブロック図であり、図6は図5に示した駆動回路を示す回路図である。図5に示すように、流量計検出部10は、2つの駆動回路31と、制御装置32と、をさらに備える。駆動回路31は、それぞれフローセンサ12の信号増幅用プリント配線基板(図示省略)に設けられる。図6に示すように、各駆動回路31は、1つのオペアンプOP1と3つの固定抵抗R1,R2,R3とを含んでおり、フローセンサ12のヒータ21(図6においてRhと表記)と周囲温度センサ24(図6においてRrと表記)とを用いて、ブリッジ回路を構成している。この駆動回路31では、ヒータ21と周囲温度センサ24との抵抗比が所定の値(一定値)となるように、オペアンプOP1に印加する電圧を制御(フィードバック制御)している。このように、駆動回路31は、周囲温度センサ24により検出されたガスの温度よりもヒータ21の温度が所定の温度高くなるように、ヒータ21に電力(電流)を供給する。
ここで、周囲温度センサ24とヒータ21と測温抵抗素子22,23とを有する熱式のフローセンサ12において、ヒータ21に電力を供給して駆動する駆動回路31の所定位置における電圧、例えば、図6に示す固定抵抗R2の両端の電圧Va,Vbと、ヒータ21によって生じた流体の温度差を示す信号である検出信号DSとの間には、相関関係または略相関関係がある。よって、かかる検出信号DSと駆動回路31の所定位置における電圧とに基づいて、検出信号DSの異常原因を容易に分類することができる。
図5に示す制御装置32は、例えば、中央演算処理ユニット(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、入出力インターフェース、アナログ・デジタル変換器(A/D変換器)などを含んで構成される。制御装置32には、各駆動回路31の電圧Va,Vbが入力され、各フローセンサ12の測温抵抗素子22,23から検出信号DSが入力され、温度センサ13から温度信号が入力され、圧力センサ16から圧力信号が入力される。制御装置32のCPUは、ROMにあらかじめ書き込まれた各種プログラムを読み出し、RAMに各種データを読み出しおよび書き込みしながら、入力された情報(データ)に基づいて、種々の情報処理(演算処理)を実行したり、流量計検出部10の各種電子機器を制御したりする。
具体的には、制御装置32は、その機能として、判定部32aと、分類部32bと、送信部32cと、記憶部32dと、を含む。
なお、以下の説明において、特に明示した場合を除き、説明の簡略化のため、制御装置32は、2つのフローセンサ12および駆動回路31の組のうち、何れか一方から入力される検出信号DSと駆動回路31の電圧Va,Vbとを使用するものとする。
判定部32aは、制御装置32に入力された情報に基づいて、フローセンサ12から入力された検出信号DSが正常であるか否か(検出信号DSに異常があるか否か)を判定する。
分類部32bは、検出信号DSと、駆動回路31の電圧Va,Vbとに基づいて、検出信号DSの異常原因を分類する。このように、駆動回路31に関する情報を取得可能な流量計検出部10側で、分類部32bが、検出信号DSと駆動回路31に関する情報とに基づいて、検出信号DSの異常原因を分類することにより、従来のように検出信号のみでは分類(識別)できなかった検出信号の異常原因を、複数種類に分類(識別)することが可能となる。
分類部32bは、検出信号DSの異常原因を、例えば、異常原因1、異常原因2、異常原因3、異常原因4の4種類に分類する。
送信部32cは、ケーブル60を介して、検出信号DSに基づく通信信号CSを送信する。通信信号CSは電圧信号であり、後述の通信信号電圧情報および正常時電圧情報に基づいて、通信信号CSの電圧を設定する。
図7は通信信号電圧情報の一例を説明する概念図であり、図8は正常時電圧情報の一例を説明するグラフである。図5に示す記憶部32dは、通信信号CSの電圧(レベル)の割り当てを示す通信信号電圧情報と、正常時の検出信号DSのレベルと通信信号CSの電圧(レベル)との関係を示す正常時電圧情報と、をあらかじめ記憶している。図7に示すように、送信部32cは、例えば0〜5[V](0[V]≦CS≦5[V])の範囲の電圧の通信信号CSを出力可能である。通信信号CSの0〜5[V]の範囲のうちの所定範囲、例えば、1〜4[V](1[V]≦CS≦4[V])の範囲は、検出信号DSに異常がない、すなわち、検出信号DSが正常である場合の通信信号CSに割り当てられている。図8に示すように、例えば、検出信号DSが正常であるときに最小値minから最大値maxのレベルである場合(min≦DS≦max)、通信信号CSの1[V]は検出信号DSの最小値minに対応し、通信信号CSの4[V]は検出信号DSの最大値maxに対応し、通信信号CSの1〜4[V]の間の値は検出信号DSの最小値minと最大値maxとの間の値に線形または略線形に対応している。これにより、通信信号CSは、検出信号DSに異常がないときに、1〜4[V](1[V]≦CS≦4[V])の範囲において、検出信号DSのレベルに応じた電圧である。
一方、図7に示すように、通信信号CSの0〜5[V]の範囲のうちの前述の所定範囲外、すなわち、0〜1[V](0[V]≦CS<1[V])と4〜5[V](4[V]<CS≦5[V])とは、検出信号DSに異常がある場合の通信信号CSに割り当てられている。例えば、0〜0.2[V](0[V]≦CS≦0.2[V])の範囲は検出信号DSの異常原因1(原因1)が、0.3〜0.5[V](0.3[V]≦CS≦0.5[V])の範囲は検出信号DSの異常原因2(原因2)が、4.5〜4.7[V](4.5[V]≦CS≦4.7[V])の範囲は検出信号DSの異常原因3(原因3)が、4.8〜5[V](4.8[V]≦CS≦5[V])の範囲は検出信号DSの異常原因4(原因4)が、それぞれ割り当てられている。これにより、通信信号CSは、検出信号DSに異常があるときに、送信部32cの出力可能な0〜5[V]の範囲のうちの前述の所定範囲外において、分類部32bにより分類された検出信号DSの異常原因に割り当てられた電圧(レベル)である。
このように、検出信号DSに異常がある場合と検出信号DSに異常がない場合とのそれぞれに、送信部32cの出力可能な範囲のうちの異なる範囲を割り当て、送信部32cが検出信号DSに基づいて通信信号CSの電圧(レベル)を設定することにより、流体の流量に関する情報と検出信号DSの異常原因に関する情報の両方を同じ信号線で送信することが可能となる。
なお、検出信号DSに異常がある場合、例えば、検出信号DSの異常原因が異常原因1(原因1)である場合、送信部32cは、当該異常原因1(原因1)に割り当てられた範囲の中央値、すなわち、0.1[V]の電圧の通信信号CSを送信するのが好ましい。これにより、ケーブル60を介して送信された通信信号CSの電圧(レベル)が、ノイズや減衰などの影響によって変動する場合でも、当該異常原因1(原因1)に割り当てられた範囲に含まれる蓋然性を高めることができる。
本実施形態では、送信部32cが2つの検出信号DSのいずれか一方を使用する例を示したが、これに限定されない。例えば、送信部32cは、2つの検出信号DSのレベルの平均値を算出した上で、当該平均値に基づいて通信信号の電圧(レベル)を設定するようにしてもよい。
また、本実施形態では、通信信号が電圧信号である例を示したが、これに限定されない。例えば、通信信号は電流信号であってもよい。
図5に示すように、流量計出力部50は、制御装置55と出力部56とをさらに備える。制御装置55は、前述の制御装置32と同様に、例えば、中央演算処理ユニット(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、入出力インターフェース、アナログ・デジタル変換器(A/D変換器)などを含んで構成される。制御装置55には、図1に示す表示操作パネル51の操作部54から入力情報が入力され、ケーブル60を介して制御装置32から通信信号CSが入力される。制御装置55のCPUは、ROMにあらかじめ書き込まれた各種プログラムを読み出し、RAMに各種データを読み出しおよび書き込みしながら、入力された情報(データ)に基づいて、種々の情報処理(演算処理)を実行したり、流量計出力部50の各種電子機器を制御したりする。
具体的には、制御装置55は、その機能として、受信部55aと、判定部55bと、算出部55cと、記憶部55dと、を含む。
受信部55aは、ケーブル60を介して制御装置32から送信された通信信号CSを受信する。
判定部55bは、受信した通信信号CSに基づいて、フローセンサ12が出力した検出信号DSが正常であるか否か(検出信号DSに異常があるか否か)を判定する。
算出部55cは、受信した通信信号CSの電圧(レベル)に基づいて、ガスの瞬時流量を算出する。
出力部56は、制御装置55から入力される制御信号、データを流量計出力部50の外部に出力するためのものである。出力部56は、出力端子を含み、当該出力端子に接続された機器にアナログ信号またはデジタルデータなどの形式で情報を出力する。
図9は正常時流速情報の一例を説明するグラフである。図5に示す記憶部55dは、図7に示す前述の通信信号電圧情報と、正常時の通信信号CSと流体の流速との関係を示す正常時流速情報と、をあらかじめ記憶している。図9に示すように、通信信号CSが1〜4[V](1[V]≦CS≦4[V])の範囲、すなわち、検出信号DSが正常であるときに、通信信号CSの1[V]はフローセンサ12が検出可能な流速Vの最小値MINに対応し、通信信号CSの4[V]はフローセンサ12が検出可能な流速Vの最大値MAXに対応し、通信信号CSの1〜4[V]の間の値はフローセンサ12が検出可能な流速Vの最小値MINと最大値MAXとの間の値に線形または略線形に対応している。これにより、通信信号CSが前述の所定範囲の電圧(レベル)であるときに、通信信号CSの電圧(レベル)から流速を求めることが可能となる。
次に、図1に示した流量計100が流体の流量を測定(算出)する動作について説明する。
図10は、図1に示した流量計検出部10が実行する処理を説明するフローチャートである。図10に示すように、流量計検出部10は処理S110を実行する。すなわち、まず、フローセンサ12の測温抵抗素子22,23は、ヒータ21によって流路11cを流れるガスに生じた温度差を検出信号DSとして検出し、制御装置32に出力する(S111)。このとき、駆動回路31は、制御装置32から入力される制御信号により、周囲温度センサ24により検出された温度よりもヒータ21の温度が所定の温度高くなるように、ヒータ21に電力(電流)を供給し、固定抵抗R2の両端の電圧Va,Vbを制御装置32に出力する(S112)。
また、温度センサ13は、流路11cを流れるガスの温度を検出して制御装置32に出力し(S113)、圧力センサ16は、流路11cを流れるガスの圧力を検出して制御装置32に出力する(S114)。
次に、制御装置32の判定部32aは、検出信号DSと、ガスの温度と、ガスの圧力とに基づいて、検出信号DSが正常か否かを判定する(S115)。検出信号DSが正常であるか否かは、例えば、ガスの温度および圧力によって定められる所定範囲、例えば、前述の最小値minおよび最大値maxの間の範囲(min≦DS≦max)に、検出信号DSのレベルが含まれるか否かを判定基準とする。
S115の判定の結果、検出信号DSが正常である、すなわち、検出信号DSに異常がない場合、制御装置32の送信部32cは、記憶部32dから図8に示す正常時電圧情報を読み出し、当該正常時電圧情報と検出信号DSとに基づいて、検出信号DSのレベルに対応する電圧の通信信号CSを、ケーブル60を介して送信し(S116)、処理S110を終了する。
一方、S115の判定の結果、検出信号DSが正常でない、すなわち検出信号DSに異常がある場合、制御装置32の分類部32bは、分類処理を行う(S117)。分類処理S116では、分類部32bは、検出信号DSと駆動回路31の電圧Va,Vbとに基づいて、検出信号DSの異常原因を異常原因1から異常原因4のいずれかに分類する。
分類処理S117の後、送信部32cは、記憶部32dから図7に示す通信信号電圧情報を読み出し、当該正常時電圧情報に基づいて、分類部32bにより分類された検出信号DSの異常原因に割り当てられた電圧の通信信号CSを、ケーブル60を介して送信し(S118)、処理S110を終了する。
図11は、図1に示した流量計出力部50が実行する処理を説明するフローチャートである。図11に示すように、流量計出力部50は、処理S150を実行する。すなわち、制御装置55の受信部55aは、ケーブル60を介して流量計検出部10から送信された通信信号CSを受信する(S151)。
次に、制御装置55の判定部55bは、記憶部55dから図7に示す通信信号電圧情報を読み出し、当該通信信号電圧情報と受信した通信信号CSとに基づいて、検出信号DSが正常か否かを判定する(S152)。具体的には、判定部55bは、受信した通信信号CSの電圧が1〜4[V](1[V]≦CS≦4[V])の範囲であるときに、検出信号DSが正常であると判定し、受信した通信信号CSの電圧が0〜1[V](0[V]≦CS<1[V])または4〜5[V](4[V]<CS≦5[V])の範囲であるときに、検出信号DSが正常ではないと判定する。
S152の判定の結果、検出信号DSが正常である場合、制御装置55の算出部55cは、記憶部55dから図9に示す正常時流速情報を読み出し、当該正常時流速情報と受信した通信信号CSとに基づいて、流路11cを流れるガスの瞬時流量を算出する(S153)。これにより、算出部55cは、通信信号CSが前述の所定範囲外の電圧(レベル)であるとき、すなわち、検出信号DSに異常があるときに、流体の流量を算出するのを防止することが可能となる。
具体的には、算出部55cは、正常時流速情報と受信した通信信号CSとから、流路11cを流れるガスの速度(流速)Vの値を求め、以下の式(1)に示すように、速度(流速)Vに流路11cの垂直断面積Sを乗じて、ガスの瞬時流量Qを算出する。
Q=V×S ・・・(1)
ここで、ガスの速度Vの単位は、例えば[m/min]であり、流路11cの垂直断面積Sの単位は、例えば[m2]である。
ステップS153の後、算出部55cは、算出したガスの瞬時流量Qを表示操作パネル51の表示部52に出力して表示させ(S154)、処理S150を終了する。これにより、通信信号CSが前述の所定範囲のレベルであるとき、すなわち、検出信号DSに異常がないときにのみ、算出部55cにより算出された流体の流量を表示することが可能となる。
本実施形態では、算出部55cがガスの瞬時流量Qを算出する例を示したが、これに限定されない。例えば、利用者(ユーザ)が表示操作パネル51の操作部54を操作し、所定のモード、例えば積算流量表示モードを入力(選択)した場合、算出部55cは、式(1)により算出したガスの瞬時流量Qを、記憶部55dに書き込んで記憶させる。これとともに、算出部55cは、流量の検出を開始した時点から現在までに記憶部55dに記憶されたガスの瞬時流量Qn(nは正の整数)を読み出し、当該瞬時流量Qnを積算してガスの積算流量Tを算出する。そして、算出部55cは、算出した積算流量Tを、瞬時流量Qに代えて、または、瞬時流量Qとともに、図1に示した表示操作パネル51の表示部52に出力して表示させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、算出結果を表示操作パネル51の表示部52に表示する例を示したが、これに限定されない。例えば、算出部55cは、瞬時流量Qおよび積算流量Tのうちの少なくとも一方を、表示部52に代えて、または、表示部52とともに、出力部56に出力するようにしてもよい。これにより、流量計100に接続する外部機器に瞬時流量Qおよび積算流量Tのうちの少なくとも一方を出力することが可能となる。
一方、S152の判定の結果、検出信号DSが正常でない、すなわち、検出信号DSに異常がある場合、判定部55bは報知処理を行い(S155)、処理S150を終了する。
報知処理S155では、判定部55bは、記憶部55dから図7に示す通信信号電圧情報を読み出し、当該正常時流速情報と受信した通信信号CSと基づいて、制御装置32の分類部32bにより分類された検出信号DSの異常原因を特定し、発光部53に制御信号を出力して当該検出信号DSの異常原因に対応する発光部53の発光体を点灯または点滅させる。これにより、検出信号DSの異常原因を自ら分類(識別)することが困難な利用者(ユーザ)に、容易に知らせることができる。
本実施形態では、報知処理S155において、判定部55bが発光部53を点灯または点滅させる例を示したが、これに限定されない。例えば、判定部55bは、分類された検出信号DSの異常原因を表示部52に表示(報知)するようにしてもよいし、流量計100がスピーカなどの音声出力手段を備え、分類された検出信号DSの異常原因を音声出力手段により報知するようにしてもよいし、もしくは、表示部52、発光部53、および音声出力手段のうちの少なくとも二つを組み合わせて、分類された検出信号DSの異常原因を報知するようにしてもよい。
また、本実施形態では、流量計100が備える報知手段により異常原因を報知する例を示したが、これに限定されない。例えば、判定部55bは、発光部53に代えて、または、発光部53とともに、出力部56に異常原因に関する情報を出力するようにしてもよい。これにより、流量計100に接続する外部機器に異常原因を報知することが可能となる。
このように、本実施形態における流量計100によれば、流量計検出部10が、検出信号DSと駆動回路31に関する情報とに基づいて、検出信号DSの異常原因を分類する分類部32bを含む。このように、駆動回路31に関する情報を取得可能な流量計検出部10側で、分類部32bが、検出信号DSと駆動回路31に関する情報とに基づいて、検出信号DSの異常原因を分類することにより、従来のように検出信号のみでは分類(識別)できなかった検出信号の異常原因を、複数種類に分類(識別)することが可能となる。また、通信信号CSは、検出信号DSに異常がないときに、送信部32cの出力可能な範囲のうちの所定範囲において、検出信号DSのレベルに応じた電圧(レベル)であり、検出信号DSに異常があるときに、送信部32cの出力可能な範囲のうちの前述の所定範囲外において、分類部32bにより分類された検出信号DSの異常原因に割り当てられた電圧(レベル)である。このように、検出信号DSに異常がある場合と検出信号DSに異常がない場合とのそれぞれに、送信部32cの出力可能な範囲のうちの異なる範囲を割り当て、送信部32cが検出信号DSに基づいて通信信号CSの電圧(レベル)を設定することにより、流体の流量に関する情報と検出信号DSの異常原因に関する情報の両方を同じ信号線で送信することが可能となる。これにより、検出信号DSの異常原因に関する情報を送信するための信号線を増やすことなく、検出信号DSの異常原因を複数種類に分類することができる。また、検出信号DSによって通信信号CSの電圧(レベル)を変更しているだけなので、通信信号CSの情報量(送信量)および送信時間は増加せず、フローセンサ12が出力した検出信号DSに高速に応答(反応)し、通信信号CSを連続的に送信することができる。
また、本実施形態における流量計100によれば、流量計出力部50が、ケーブル60を介して受信した通信信号CSが送信部32cの出力可能な範囲のうちの前述の所定範囲外の電圧(レベル)であるときに、該通信信号CSの電圧(レベル)に対応する検出信号DSの異常原因を報知する発光部53を含む。これにより、検出信号DSの異常原因を自ら分類(識別)することが困難な利用者(ユーザ)に、容易に知らせることができる。
また、本実施形態における流量計100によれば、流量計出力部50が、ケーブル60を介して受信した通信信号CSが送信部32cの出力可能な範囲のうちの前述の所定範囲の電圧(レベル)であるときに、該通信信号CSの電圧(レベル)に基づいて流体の流量を算出する算出部55cをさらに含む。これにより、算出部55cは、通信信号CSが前述の所定範囲外の電圧(レベル)であるとき、すなわち、検出信号DSに異常があるときに、流体の流量を算出するのを防止することが可能となる。これにより、検出信号DSに異常があるときに、誤って流体の流量を測定(出力)する蓋然性を低減することができる。
また、本実施形態における流量計100によれば、流量計出力部50が、算出部55cにより算出された流体の流量を表示する表示部52をさらに含む。これにより、通信信号CSが前述の所定範囲のレベルであるとき、すなわち、検出信号DSに異常がないときにのみ、算出部55cにより算出された流体の流量を表示することが可能となる。これにより、信頼性の高い流体の流量を利用者(ユーザ)に示すことができる。
また、本実施形態における流量計100によれば、フローセンサが、流体の温度を検出する周囲温度センサ24と流体を加熱するヒータ21とヒータによって生ずる流体の温度差を検出するように構成された測温ユニット22,23とを有し、駆動回路31が、ヒータ21の温度が周囲温度センサ24により検出された流体の温度よりも所定の温度高くなるように、ヒータ21に電力を供給し、検出信号DSが、測温ユニット22,23により検出された流体の温度差を示す信号であり、駆動回路31に関する情報が、駆動回路31の所定位置における電圧を含む。ここで、周囲温度センサ24とヒータ21と測温ユニット22,23とを有する熱式のフローセンサ12において、ヒータ21に電力を供給して駆動する駆動回路31の所定位置における電圧、例えば、図6に示す固定抵抗R2の両端の電圧Va,Vbと、ヒータ21によって生じた流体の温度差を示す信号である検出信号DSとの間には、相関関係または略相関関係がある。よって、かかる検出信号DSと駆動回路31の所定位置における電圧とに基づいて、検出信号DSの異常原因を容易に分類することができる。これにより、検出信号DSの異常原因を複数種類に分類することができる流量計100を、容易に実現することができる。
なお、前述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしたりしてもよい。また、本発明の構成は、前述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。