以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本例の竪樋1は、図1(a)のように建物壁2に沿設されており、その上部域が樋支持具17を介して建物壁2に固定させた直管状樋部3で構成されると共に、下部域が直管状樋部3から吊り下げた鎖樋部4で構成されている。
鎖樋部4は、一般の鎖樋と同様に複数の鎖ピース部材5を上下に連結させて吊り支持されたものであり、つまり直管状樋部3のように建物壁2に固定しないものであるから、鎖樋部4を伝って登ることは容易にはできないといった防犯上の利点を有する。ここで、竪樋1の下部域のみを構成した建物壁2に固定しない鎖樋部4は、軒先から吊り下げて配設される鎖樋に比べてその長さは充分に短いものであり、風に煽られてもその振れ幅は小さくなるのであるから、建物壁2に鎖樋部4がぶつかる恐れは低減されている。
すなわち、竪樋1の下部域のみを鎖樋部4で構成させたことで建物壁2に固定しない鎖樋部4の振れを抑制できたのであるから、支障なく鎖樋部4を建物壁2に沿設する竪樋1に対して設けることができたものであり、その結果、建物壁2に固定しない鎖樋部4における登りにくいという防犯上の利点が、建物壁2に沿設する竪樋1に対して発揮されることとなっている。なお、竪樋1の防犯性能を向上させるため、鎖樋部4が一定の荷重により破断されるようにすることも好ましい。たとえば後述の荷重の集中し易い立リブ部13や鎖ピース部材5同士の連結構造や鎖樋部4の連結継手15への連結構造などを耐荷重性を考慮して設計することで、容易に対応することができる。
鎖樋部4を構成する鎖ピース部材5は、図2のように、上下に開口せる円筒状に形成されている。なお、本例の円筒状の鎖ピース部材5の外径寸法は円筒状の直管状樋部3の外径寸法と略同様に形成されている。しかして、上部域を直管状樋部3で構成すると共に下部域を鎖樋部4で構成して成る本例の竪樋1には、図1(a)のように、円管が連続するような統一感のある良好な外観が現出されることとなっている。
この円筒状の鎖ピース部材5にあってその上端部は上部嵌め込み筒部7を構成している。また、鎖ピース部材5の下端部には、下方の鎖ピース部材5の上部嵌め込み筒部7に嵌合させて上下の鎖ピース部材5を直管状に連結させるための下部嵌め込み筒部8が設けられている。この下部嵌め込み筒部8は、鎖ピース部材5の内部を流下する雨水の外方への漏れを防止するべく上部嵌め込み筒部7に内嵌めするために、その外径が上部嵌め込み筒部7の内径と略同様になるように径を小さくした小径部にされている。すなわち、本例の鎖樋部4は、鎖ピース部材5同士をその上部嵌め込み筒部7と下部嵌め込み筒部8との嵌合構造でほとんど動かないように連結させて形成されているから、風に煽られた鎖樋部4の振れの抑制効果が向上されている。
ここで、下方の鎖ピース部材5は上方の鎖ピース部材5に吊り支持されるのであるから、上部嵌め込み筒部7と下部嵌め込み筒部8との間には抜け落ち防止構造が設けられている。抜け落ち防止構造として本例では係止構造が採用されている。つまり、下部嵌め込み筒部8の外面には外部に弾性的に突出した係止爪部9が形成されており、上部嵌め込み筒部7の内面には上端から至る導入溝10が凹設されると共にその下端に更に深く凹設された係止凹部11が形成されている。本例では、係止爪部9や、導入溝10及び係止凹部11は各嵌め込み筒部7,8における周方向の等間隔に複数個所(4箇所)設けられている。しかして、上部嵌め込み筒部7の内部に下部嵌め込み筒部8を挿入した際には、図1(b)のように、係止爪部9が導入溝10に沿うようにガイドされて係止凹部11に引っ掛け係止されることで、上部嵌め込み筒部7と下部嵌め込み筒部8とが強固に嵌合され、下方の鎖ピース部材5が上方の鎖ピース部材5から抜け落ちないように着脱自在に吊り支持されるようになっている。鎖ピース部材5が着脱自在に連結されたことによると、鎖樋部4のメンテナンス時などに鎖ピース部材5を取外すことができて便利である。
なお、抜け落ち防止構造としては、図3の鎖ピース部材5のようにねじ締結構造を採用してもよい。この例の鎖ピース部材5は、上部嵌め込み筒部7と下部嵌め込み筒部8とにねじ部12を刻設し、各ねじ部12同士を締結させて上下の鎖ピース部材5を着脱自在に連結したものである。詳しくは、上部嵌め込み筒部7のねじ部12は内面に刻設した雌ねじ部12aであり、下部嵌め込み筒部8のねじ部12は外面に刻設した雄ねじ部12bである。これによっても、下方の鎖ピース部材5が上方の鎖ピース部材5から抜け落ちないように着脱自在に吊り支持させることができるのであり、また鎖ピース部材5が着脱自在に連結されたことによるメンテナンスの利便性を備えることができる。
また、円筒状の鎖ピース部材5は、その内部を雨水が流下していくのであるが、一般の鎖樋のように雨水の流下する様を外方より見て楽しませるための窓部6が備えられている。この窓部6は、鎖ピース部材5の下部嵌め込み筒部8に隣接した上位置に設けられており、周方向に等間隔に4本の立リブ部13を残して筒側面に開設した開口6aによって構成されている。ここで、鎖ピース部材5の内部における窓部6に隣接した上位置には、内部を流れる雨水を集めて流下させるための絞り部14が鎖ピース部材5の内部に設けられている。この絞り部14は鎖ピース部材5の筒側面から内径を絞るように内方に突出形成された絞り筒部にて構成されており、この絞り筒部は円筒状の鎖ピース部材5の筒側面5aにてその外方が覆われていて鎖樋部4の外観には現出しないようにされている。なお、立リブ部13は上記絞り筒部の外方を覆う円筒状の鎖ピース部材5の筒側面5aから下方に垂設されている。これによると、窓部6から見える雨水は絞り部14によって円筒状の鎖ピース部材5の中央部分を流下するようになるのであり、この雨水が鎖ピース部材5の内部から窓部6を通って外方に飛散するという恐れを回避できたものである。
上記構成の鎖樋部4は、直管状樋部3に吊り下げ支持されるのであるが、直管状樋部3への取り付けは円筒状の連結継手15を介して行われている。円筒状の連結継手15はその上端部に上部嵌込筒部(図示せず)が設けられ、この上部嵌込筒部を直管状樋部3の下端に嵌合することで直管状樋部3の下側に取り付けられている。本例では略同径の直管状樋部3と鎖樋部4による外観の連続性を現出するために、連結継手15の上部嵌込筒部は直管状樋部3の下端に内嵌めされ、パッキン等の防水処理を施すと共に接着剤にて接着されている。なお、鎖樋部4の構成長さに応じて直管状樋部3の下端の地面からの高さ位置は異なるのであって、これは直管状樋部3を任意長さ位置で切断することで対応されるのであるが、直管状樋部3の切断面は任意の長さ位置にかかわらず一定の円筒形状であるから、上部嵌込筒部は任意の長さの直管状樋部3の下端にも確実に嵌合させることが可能である。
また、円筒状の連結継手15の下端部には鎖樋部4の上端を取り付ける鎖樋取付部(図示せず)が設けられている。本例の鎖樋取付部は円筒状に形成されて、鎖樋部4の最上位置の鎖ピース部材5の上部嵌め込み筒部7に内嵌めされて連結可能にされており、このようにして連結継手15の下側に鎖樋部4が取り付けされている。なお、鎖樋部4は連結継手15に吊り支持されるから、連結継手15の鎖樋取付部と鎖樋部4の上端部との間には抜け落ち防止手段が設けられている。この抜け落ち防止手段は先の鎖ピース部材5間の抜け落ち防止構造を援用する構造が採用される。つまり、本例の抜け落ち防止手段には係止構造が採用されている。すなわち本例では、鎖樋部4の上端部を構成する鎖ピース部材5の上部嵌め込み筒部7には導入溝10及び係止凹部11が設けられているが、連結継手15の鎖樋取付部には導入溝10を経て係止凹部11に係止される継手用係止爪部(図示せず)が設けられている。なお、図3の鎖ピース部材5を連結継手15に吊り支持させる場合には、その鎖樋取付部には鎖ピース部材5の雌ねじ部12aに結合する雄ねじ部(図示せず)が設けられて抜け落ち防止手段にねじ締結構造が採用されるのである。このように鎖樋部4と連結継手15との連結構造(抜け落ち防止手段)に、鎖樋部4を構成する鎖ピース部材5間の連結構造(抜け落ち防止構造)を援用させることで、部材の兼用を図ることができて構成の簡略化を図ることができる。
また、図1(a)のように、本例の竪樋1の下端は地面から突設された排水管(図示せず)に被設された筒状の排水管カバー16に挿入してあり、つまり、本例の竪樋1は排水管に接続されて竪樋1を流下した雨水が排水管に滞りなく排水可能にされていて、竪樋1の近傍の地面が流下した雨水で溢れてしまうことの回避が図られている。本例の竪樋1はその下部域が鎖樋部4で構成されており、吊り支持された鎖樋部4の下端が排水管に接続されているので、固定されないまでも排水管や排水管カバー16によって鎖樋部4の下端を規制して鎖樋部4の振れの抑制効果の向上が図られている。無論、排水管カバー16を排水管に接着剤などで固着させると、鎖樋部4の振れの抑制効果の更なる向上を図ることができる。
ここで、下部域を鎖樋部4で構成した竪樋1の下端を排水管に接続させる構造として、排水管に下部を挿入した筒状の排水管カバー16を設置し、鎖樋部4の下端部を排水管カバー16の上部に嵌合させると共に、この嵌合深さを調節して排水管カバー16の上部と鎖樋部4の下端部を取り付けるようにしてもよい。すなわち、鎖樋部4の下端部は最下位置の鎖ピース部材5の下部嵌め込み筒部8で構成されるのであり、この下部嵌め込み筒部8を排水管カバー16の上部に取付手段によって嵌合深さを調節して取り付けるのである。嵌合深さを調節する取付手段としては、部材の兼用による構成の簡略化を図って、鎖樋部4を構成する鎖ピース部材5間の連結構造(抜け落ち防止構造)を援用させることができる。たとえば、図3の鎖ピース部材5で鎖樋部4が構成された場合には、排水管カバー16の上部に鎖ピース部材5の雄ねじ部12bに結合する雌ねじ部(図示せず)を設けて取付手段にねじ締結構造を採用することができる。吊り支持された鎖樋部4の下端を排水管カバー16に取り付ける場合には鎖樋部4を撓ませないように行う必要があるが、嵌合深さを調節する取付手段を介してこれを行わせることで、鎖樋部4を排水管への接続を撓みなく且つ収まり良く行わせることが可能になるのである。
《第2の実施形態》
また、図4〜図12は、本発明に係る竪樋の第2の実施形態を示している。
図4に示すように、本実施形態の竪樋21は、複数の樋支持具37を介して建築構造物の外壁22に支持される直管状の支持樋部23と、該外壁22に非支持の状態であって且つ流路を露出させて該流路を流れる雨水や雪解け水等の流水(以下、雨水又は雨水等という。)の流れを外観可能な複数の露出部26を有する露出状樋部24とを備えている。
支持樋部23は、所定の口径を有する長尺な円筒状に形成された直管状樋部23aと、該直管状樋部23aの下端部に連結されるエルボ部23bとを備えている。
エルボ部23bは、当該直管状樋部23aと同径の円筒状に形成される胴部23b1を備えると共に、該胴部23b1の両端部に当該胴部23b1と同径の円筒を屈曲して形成される屈曲端部23b2をそれぞれ備えている。
また、エルボ部23bは、上方に開口部を向けた一方の屈曲端部23b2によりも下方に開口部を向けた他方の屈曲端部23b2を外壁22から離間させた状態で支持具37を介して該外壁22に止め付けられている。そして、該一方の端部に支持樋部23の下端部が取り付けられると共に、他方の端部に露出状樋部24の上端部が取り付けられている。これにより、支持樋部23は外壁22に近接した状態に配備されると共に、露出部26を有する露出状樋部24は支持樋部23よりも外壁22から離間した状態に配備される。この結果、露出状樋部24と外壁22との間に所定の間隔が生じ、これによって露出状樋部24の露出部26から流水が溢れる場合であっても当該溢れた水が外壁22に付着することは抑制される。
また、当該露出状樋部24の下方に位置する地盤には、露出状樋部24に連結されて該竪樋21を流下してくる雨水等を一時的に貯留しておくための桝38が埋設されている。ここで、露出状樋部24が建築構造物の外壁22から離間した位置に配備されるため、該露出状樋部24に連結される桝38も当該建築構造物の基礎から離間して配備される。このため、当該基礎と桝38を埋設する位置とがオーバラップし合う問題が解消されている。
露出状樋部24は、筒状に形成される複数の竪樋構成部材25を上下に同軸上に連結して直管状に形成されている。また、該露出状樋部24は、下端部を排水管カバー36に収容した状態で上端部がエルボ部23bに吊り支持されており、いずれの部位も建築構造物に非支持となっている。
該露出状樋部24を構成する各竪樋構成部材25は、図5、6に示すように、軸方向に開口する円筒状に形成されており、上端に形成される上連結部27と下端に形成される下連結部28とをそれぞれ有すると共に、これら上下連結部27、28の間に流路を包囲する筒部29と流路を露出させる露出部26とを備えている。
上下連結部27、28は、互いに上下方向に隣り合う竪樋構成部材25にあって、上側の竪樋構成部材25の下連結部28に下側の竪樋構成部材25の上連結部27を連結可能に形成されており、これによってこれら上下一対の竪樋構成部材25は同軸上に連結するものとなる。
上連結部27は、雨水等の流路を径方向に包囲する環状に形成された環状部27aの内周面に雌ねじ部27bを螺刻して形成されている。
また、下連結部28は、雨水の流路を径方向に包囲する環状に形成された下環状部28aを備えている。該下環状部28aは、上環状部27aよりも縮径して形成されており、該下環状部28aの外周面には雌ねじ部28bが螺刻されている。
そして、上連結部27の内部に下連結部28を挿入する際には、これら上下の位置関係となる竪樋構成部材25のいずれか一方を一方の軸周りに又は互いの竪樋構成部材25をそれぞれ異なる方向に軸周りに回転させながら行う。これにより、図7に示すように、上連結部27の雌ねじ部27bに下連結部28の雄ねじ部28bが螺嵌され、下側の竪樋構成部材25が上側の竪樋構成部材25からの抜け落ちを防止された状態で該上側の竪樋構成部材25に着脱自在に吊り支持される。
この様に、本実施形態においては、ねじ締結構造により下側の竪樋構成部材25は上側の竪樋構成部材25に吊り支持され、これによってこれら上下の竪樋構成部材25が互いに相対移動不能として連結されるばかりでなく、下側の竪樋構成部材25の上側の竪樋構成部材25からの抜け落ちが防止されている。
また、上下の連結部27、28は雨水の流路を径方向に包囲した状態に設けられているので、これら上下の連結部27、28によって雨水の流れが阻害される虞はない。
また、かかるねじ締結構造の如く各竪樋構成部材25を着脱自在に連結した構成とすると、露出状樋部24のメンテナンス時等に取替えを要する竪樋構成部材25のみを取外すことができて便利である。
また、下連結部28は、外径を上連結部27の内径と略同様の大きさに形成されているため、該下連結部28が上連結部27に内嵌され、これによって筒部29の内周面に沿って流下する雨水の外方への漏れを防止される。もっとも、下連結部28に雌ねじ部を形成すると共に上連結部27に雄ねじ部を形成し、上側の竪樋構成部材25に下側の竪樋構成部材25を螺嵌する構成とすることも可能である。
また、抜け落ち防止構造としては、図8に示すように、係止構造も採用可能である。
該係止構造においては、下環状部28aの外周面の複数位置(本実施形態においては、4位置)に、係止爪部28cが形成されている。各係止爪部28cは、下環状部28aを一対のスリットにより切り欠くことによりこれら一対のスリットの間に形成されている。これにより、該係止爪部28cは、先端部を竪樋構成部材25の軸心に対し径内方向に押圧して僅かに変位させたとしても、弾性復帰力によりもとの形状に復帰する。
また、上環状部27aの内周面の複数位置(本実施形態においては4位置)に、竪樋構成部材5の上部開口縁から下方に向けて下連結部28の係止爪部28cと同一又は僅かに大きな幅を有して該係止爪部28cを案内可能な導入溝27cが凹設されると共に、該導入溝27cの下端には、上連結部27の外周面に向けて前記導入溝27cよりも深く凹設された係止凹部27dが形成されている。
これにより、上連結部27の内部に下連結部28を挿入した際には、図9に示すように、係止爪部28cが導入溝27cにガイドされ、該係止爪部28cの先端が係止凹部27dに引掛け係止されることで、上連結部27に下連結部28が嵌合され、下側の竪樋構成部材25が上側の竪樋構成部材25からの脱落を防止しつつ当該上側の竪樋構成部材25に着脱自在に吊り支持される。
また、図4に示すように、該露出状樋部24の最上端の竪樋構成部材25の上連結部27は、支持樋部23のエルボ部23bの下側の開口部に上述の如き構成により螺嵌や係止等され、最下端の竪樋構成部材25の下端部は地中桝38に突設されている排水カバー36に収容されている。このため、露出状樋部24の上端部が支持樋部23に対し相対移動不能とされると共に、下端部も排水カバー36に対し相対移動不能とされている。したがって、露出状樋部24は建築構造物の外壁22に非支持であると雖も、横風等の外力によっても僅かに撓むに過ぎず、大きく撓む等して外壁22に衝突したり側方の通路にまではらむ虞はない。
図6に示すように、筒部29は、上連結部27側に流水を流入する流入口30を有すると共に下連結部28側に流水を吐出する吐出口31を有し、該流入口30から吐出口31に向けてすりばち状(無底のカップ状)に形成されている。また、流入口30の口径は上連結部27の上環状部27aの口径と同一であり、吐出口31の口径は下連結部28の下環状部28aの口径と同一又は僅かに縮径されて形成されている。これにより、流入口30に比して吐出口31は縮径して狭く形成されている。
また、該筒部29の内周には、流入口30と吐出口31の中途部となる位置から吐出口30に向けて中心軸の径内方向に隆起する傾斜壁32が設けられている。また、該傾斜壁32の下端から吐出口31に向けて絞り筒部34が形成されている。傾斜壁32の内周面により、筒部29の外周壁よりも流入口30から吐出口31に向けての傾斜角度を急とするテーパ面32aが形成されている。
当該テーパ面32aにより、筒部29内での雨水の流れは規制されるものとなる。筒部29内では、雨水は地球の自転の影響により渦を巻きながら絞り筒部34下方の吐出口31から吐出されることとなるが、当該テーパ面32a及び絞り筒部34はこの様な雨水の流れを助長する。したがって、吐出口31から排出される雨水の流れは直進性を保った状態で露出部26を通過することとなり、露出部26から径外方向に向けての雨水の飛散は大幅に抑制されることとなるのである。
また、上述の如く傾斜壁32が隆起することにより、該傾斜壁32の外周面(テーパ面と反対側となる面)及び絞り筒部34の外周面と筒部29の内周面との間に空間Sが設けられ、絞り筒部34の最下端が筒部29の内周壁から離間している。かかる構成により、絞り筒部34の最下端に到達した雨水が当該最下端から滴ることとなり、当該雨水の傾斜壁32の外周面に向けての回り込みは抑制され、これによって傾斜壁32から吐出口31に向けて流れる流水の水切り性能の向上が図られている。
また、当該水切り効果をさらに向上させるべく、絞り筒部34の内周面の最下端に筒部29の上端縁側から下端縁側に向けて下り形状となる傾斜面34aを突設することは好ましい(図8参照)。
図6又は図8に示すように、露出部26は、流下する雨水の流路を露出させて当該流路を流れ落ちてくる雨水を外観可能とする。当該露出部26は、筒部29と下連結部28との間に設けられており、該筒部29と下連結部28とを連結する複数本(本実施形態においては3本)のブリッジ33を備えると共に、該ブリッジ33の側縁と筒部29の(吐出口31の)下端縁及び下連結部28の上端縁により輪郭形成される露出窓26aを備えている。
各ブリッジ33は、互いの間隔を等間隔として設けられると共に、三角柱状に形成されて筒部29の外周面の中途部から下連結部28に向けて延設されている。即ち、各ブリッジ33は筒部29の中心軸を中心とする円の円周状にて120°毎に設けられており、これによって、当該中心軸の径方向に作用する外力に対し等方性をもって抵抗力を発揮する。
また、これらブリッジ33を介して筒部29に下連結部28が連結されることとなるが、当該下連結部28の上連結部27に対する固定度は大きく、筒部29に対し下連結部28は相対移動不能に連結されることとなり、ひいては、下連結部28を有する竪樋構成部材25と当該下連結部28を介して連結される下側の竪樋構成部材25とが相対移動不能に連結される。また、上下に竪樋構成部材25を連結すると、各竪樋構成部材25のブリッジ33はそれぞれ直線状に並ぶ(図7参照)。
本実施形態によれば、上下の竪樋構成部材25を連結して形成される露出状樋部24は、様々な方向から吹く横風に対しても十分に抵抗し、容易に煽られる虞はない。したがって、図4に示す如く建築構造物の外壁22に沿設する場合であっても、外壁22に衝突する虞はない。また、露出部26を通じて竪樋21を流下する雨水の流れを外観することができ、当該建築構造物の屋根に降りかかる雨水の降水量を実態的に把握することができる。
また、露出部26の露出窓26aを通じて筒部29内に手を挿し入れることができるので、各筒部29に溜まって雨水の流れを阻害するごみを容易に除去することができるばかりでなく、筒部29内面の清掃を容易に行うことができる。
また、本実施形態によれば、図4や図7に示す如く、上下の竪樋構成部材25を連結すると、上側の竪樋構成部材25の露出部26が下側の竪樋構成部材25の筒部29の上方に位置する。また、筒部29の吐出口31は流入口30よりも狭い。このため、竪樋31を流下する雨水の流量が過剰な場合、当該下側の筒部29には雨水が溜まり、当該溜まった水はやがて上側の竪樋構成部材25の露出部26の露出窓26aから溢れ出る(オーバーフロー)。そして、当該オーバーフローした雨水によって各筒部29の外周面やブリッジ33に付着している汚れは洗い流されることとなるのである。この結果、各竪樋構成部材25はこまめに清掃を行わなくても外観が清浄に保たれ、竪樋21の清掃頻度を下げることが可能となる。
また、本実施形態によれば、露出状樋部24がエルボ部23bに上述の如く相対移動不能に支持され、且つ露出状樋部24を形成する各竪樋構成部材25も互いに相対移動不能に連結されているため、露出状樋部24が横風等により勢いよく煽られる虞はない。
また、本実施形態は、露出状樋部24の露出部26を介して鎖樋の如く竪樋21により形成される流路を流下する雨水等の流量や流速を視認することができる。このとき、従来の鎖樋であれば流路の軸として鎖が存在するため、当該鎖に雨水等が衝突することにより大きな水はねを生じてしまう虞があったが、本実施形態においては筒部29により流路が覆われ、流路上には流水の流れを阻害するものは存在しない構成であるので、これによって露出部26から水が大きく跳ねることが防止されているのである。
さらに、豪雨時等、過剰な雨水等の流水が竪樋21に流れ込む場合には、当該露出部26を通じて流水を竪樋21の外方に排出することができる。この結果、豪雨時であっても竪樋21を通じては所定量の流水が地中の桝38を介して排水溝に流れることとなり、該排水溝に処理能力をこえる流水の流入を防止することができる。この結果、排水溝に過剰な雨水が流入することがなく、該排水溝からの排水の逆流現象を防止することができる。
一方、露出部26から竪樋21外に溢れた雨水は地中桝38周囲の地盤に吸収されることとなり、これによっても排水溝に流れ込む水量が抑えられる。
また、図10は、上記竪樋構成部材25からなる露出状樋部24を有する竪樋21の他の実施形態を示しており、該竪樋21は、エルボ部23bを介することにより直管状樋部23aよりも外壁22に対し所定の間隔を有して露出状樋部24が配備され、該露出状樋部24に対向する位置に窓39等が配備されている。これにより、当該窓39に露出部26を有する露出状樋部24が面することとなり、該窓39を有する部屋の室内にいる住人等が当該露出部26を介して雨水等の流れを視認することができ、当該雨水等の流れを視認することによって雨量を実感することができると共に当該雨水等の流れを景色として取り入れることが可能となる。
なお、窓39とは、図10に示される公知の窓のみでなく、出窓や、公知の窓の上部に小庇や水切り、シャッターボックスを配備したものも含まれ、本実施形態においては、エルボ部23bを介して露出状樋部24を配備することにより、これら小庇等の外壁22からの突出をかわして露出状樋部24を配備することができるのである。
また、図11は、上記竪樋構成部材25からなる露出状樋部24を有する竪樋21の他の実施形態を示しており、該竪樋21は、軒先に垂下される短尺の支持樋部23aと、該直菅状樋部23aに吊り下げ支持される露出状樋部24とを備えて通路Aに沿って配備されている。該露出状樋部24は、互いに相対移動不能に連結された竪樋構成部材25により形成されているので、中途部を複数箇所にわたって支持具等37により支持することなく直立し、且つ、横風等によっても煽られる虞はない。
したがって、該実施形態においては、露出状樋部24が通路方向に向けて振られることはなく、該通路Aを通過する人Pの通行を阻害する虞はない。
また、本実施形態においては、露出状樋部24の横風等に対する抵抗力を向上させる観点から、図12に示すように、上下の竪樋構成部材25で60°ずつ位相をずらして連結して露出状樋部24を形成することも可能であり、当該構成であっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
なお、当該第2の実施形態は、上記第1の実施形態と実質的に同一であり、第1の実施形態の各部の名称及び符号と、第2実施形態の各部の名称と符号は次の通りに関連付けされている。即ち、第1実施形態の竪樋1は第2実施形態の竪樋21、以下同様に、直管状樋部3は直管状樋部23、鎖樋部4は露出状樋部24、鎖ピース部材5は竪樋構成部材25、上部嵌め込み部材7は上連結部27、下部嵌め込み部材8は下連結部28、窓部6は露出部26、開口6aは露出窓26a、立リブ部13はブリッジ33、絞り部14は傾斜壁32及び絞り筒部34として関連付けされている。
《第2の実施形態の第1変形例》
図13〜図14は、上記第2実施形態の竪樋21に係る竪樋構成部材25の第1の変形例であり、当該竪樋21は、上連結部27の直下に露出部26が設けられており、該露出部26と下連結部28との間に筒部29が設けられている。当該竪樋構成部材25は、筒部29と露出部26とが入れ替わっている点、上連結部27が雄ねじ部27eとなると共に下連結部28が雌ねじ部28eとなっている点、筒部29が円筒状に形成されている点及びブリッジ33が帯状に形成されている点以外は上記第2実施形態と異なるところがないので、同じ符号を付してその説明を省略する。
当該変形例において、上連結部27を雌ねじ部27bとすると共に下連結部28を雄ねじ部28bとする場合であっても、当該変形例と同様の作用効果を奏する。また、上下連結部27、28として上述の如き係止構造28c、27dを用いる場合であっても同様である。
《第2の実施形態の第2変形例》
また、図15〜図16は、上記第2実施形態の竪樋21に係る竪樋構成部材25の第2の変形例であり、当該竪樋21においては、筒部29が円筒状に形成されると共に、露出部26のブリッジ33が帯状に形成され、筒部29の下端部(吐出口31)から下連結部28の間で延びている。また、筒部29の内周面には傾斜壁がなく、面一の壁面を形成している。当該変形例においては、上記以外の構成は上記第2実施形態と異なるところがないので、同じ符号を付してその説明を省略する。
当該変形例においては、筒部29の内周面とブリッジ33の内面とが面一となり、当該竪樋構成部材25を流れる雨水の流量が少ない場合等は雨水はこれら筒部29の内周面からブリッジ33の内面を伝って流下することとなり、速やかに排水される。また、露出部26の露出窓26aの上端縁から雨水が滴る様を外観することができ、これによって降水量の把握や、竪樋21のつまりの有無を把握することができる。
なお、当該変形例において、筒部29の内面に傾斜壁(32)及び絞り筒部(34)を設ける構成を採用することも可能である。
《第2の実施形態の第3変形例》
また、図17〜図18は、上記第2実施形態の竪樋21に係る竪樋構成部材25の第3の変形例であり、当該竪樋21においては、筒部29が断面四角形の角筒状に形成されると共に露出部26のブリッジ33が断面コ字状に形成されている。また、当該竪樋構成部材25の上連結部27は、筒部29の上端縁から下方に向けて所定の深さまで当該筒部29の壁を内周側から外周側に向けて僅かに薄肉化して段状に形成されている。これに伴って、下連結部28は四角筒状にのみ形成されている。これにより、該下連結部28は、その外周面を上連結部27の内周面に当接させた状態で当該上連結部27に嵌合することとなる。これら上連結部27と下連結部28の当接面に接着剤等を介在させることにより、これら上連結部27と下連結部28とは連結されることとなるのである。もちろん、上連結部27の内周面に下連結部28の外周面が密着した状態でこれら上下連結部27、28が連結される場合には、接着剤を必要としない場合もある。
当該実施形態においては、その構成においては上記第2実施形態と異なるところがないので、同じ符号を付してその説明を省略する。
なお、当該実施形態においては、上下連結部27、28のいずれか一方の内面のみを円周状として雌ねじ部を形成すると共に他方の外面のみを円周状として雄ねじ部に形成し、これによってねじ締結構造とすることも可能であり、下連結部28に係止爪部を形成すると共に上連結部27に導入溝及び係止凹部を形成することにより、上下連結部27、28として係止構造を採用することも可能である。
本変形例の竪樋構成部材25を連ねて形成される露出状樋部24においては、当該コ字状のブリッジ33を建築構造物の外壁22に対向させた状態で配備することにより、露出部26から飛散する雨水の当該外壁への飛散が大幅に抑制され、これによって竪樋21まわりの外壁22の清掃の頻度が低減されるものとなる。
《第2の実施形態の第4変形例》
また、図19〜図20は当該変形例から派生した実施形態(第4の変形例)を示しており、当該実施形態は、筒部29の吐出口31の四隅のそれぞれから断面アングル状のブリッジ33を下連結部28に向けて延設し、隣り合うブリッジ33の側縁、吐出口31の開口縁及び下連結部28の上端縁により露出窓26aを形成することによって露出部26を構成している。他の構成においては上記第2実施形態と異なるところがないので、同じ符号を付してその説明を省略する。
《第2の実施形態の第5変形例》
さらに、図21〜図22は当該変形例から派生した実施形態(第5の変形例)を示しており、当該実施形態は、筒部29を円筒状に形成し、当該筒部29の吐出口31からブリッジ33を一対の幅広の帯状、即ち円弧状に形成して下連結部28まで延設し、当該ブリッジ33の側縁、筒部29の下端縁及び下連結部28の上端縁により円弧状の露出窓26aを形成し、これによって露出部26を構成している。他の構成においては上記第2実施形態と異なるところがないので、同じ符号を付してその説明を省略する。
《第2の実施形態の第6変形例》
図23〜図29は、上記第2実施形態の竪樋21に係る竪樋構成部材25の第6の変形例であり、当該竪樋構成部材25の筒部には、吐出口に仕切り部材が設けられている。本変形例においては、仕切り部材が設けられている点以外は上記第2実施形態と異なるところがないので、同じ符号を付してその説明を省略する。
当該変形例において、仕切り部材35aは、筒部29の吐出口31を形成する絞り筒部34に設けられており、該仕切り部材35aは、円筒状の絞り筒部34を放射状に仕切る複数枚のフィン部を備えて形成されている。該フィン部は、絞り筒部34の高さと同一の高さを有して形成されており、該絞り筒部34に仕切り部材35aが設けられることにより、吐出口31は、絞り筒部34の縁部、仕切り部材35aのフィン部により包囲される複数の小吐出口に仕切られる。
図24に示すように、吐出口31に仕切り部材がない場合、流下する雨水の量が少ないとき、雨水は絞り筒部34の縁部よりも径外方向に流水が飛散するという問題が生じる虞がある。しかし、図25に示すように、吐出口31に仕切り部材35aがある場合は、吐出口31の周縁のみならず、仕切り部材35aとの関係においても流水には表面張力が付与されることとなる。これによって、流水の流速が遅い場合や流量が少ない場合であっても当該仕切り部材35aとの関係において生じる表面張力に従って流水が流下することとなり、吐出口31全体としては当該吐出口31の外縁のみならず、各小吐出口の外縁を形成することとなる中央部等、当該吐出口31の外縁よりもより内側から流水を流下させることが可能となる。この結果、当該吐出口31の外縁の表面張力にのみ引かれて当該吐出口31の外縁よりも外方に飛散する流水の量を減少させ、露出部から竪樋構成部材25の外方に向けての流水の水はねを大幅に抑制することが可能となる。
また、仕切り部材としては、図26に示す構成も採用可能である。当該仕切り部材35bは、絞り筒部34に内嵌する環状壁と、当該環状壁から中央部に向けて突出する複数の凸状部とを備えている。
当該仕切り部材35bにおいては、環状壁にはもちろん各凸状部との関係においても流水に対する表面張力が作用することとなり、これによって、絞り筒部34の外縁のみならず当該外縁よりも内側に流水による表面張力が作用することとなり、当該表面張力に引かれて流水が流下することにより、上記仕切り部材35aと同様、絞り筒部34の径外方向に向けての流水の飛散が抑制されることとなるのである。
表面張力を吐出口31の中央部に作用させることにより、絞り筒部34の径外方向に向けての流水の飛散抑制を図る点に鑑みると、図27に示す如く、絞り筒部34による吐出口31を複数の貫通孔を有する仕切り部材35cにより塞ぐ構成も好ましい。
当該仕切り部材35cは、絞り筒部34に内嵌する円盤部と、当該円盤部の周縁部から立ち上がって傾斜壁に係止して円盤部を支持する係止支持部とを備え、当該円盤部には、複数の貫通孔が形成されている。かかる構成からなる仕切り部材35cを通過する流水は、貫通孔の周縁との関係において表面張力が作用することとなるため、流水は絞り筒部34の外縁部を経由することを寡少として流下することとなり、これによって、絞り筒部34の径外方向に向けての流水の飛散の抑制が図られるのである。
尚、上記例では筒部29の下端と絞り筒部34の下端とが同じレベルに形成されているが、絞り筒部34の下端が筒部29の下端よりも上方にあっても良い。
また、絞り筒部を備えない竪樋構成部材25においては、図28に示す如く、筒部29の下部により形成される吐出口31に仕切り部材35dを設ける構成を採用することも可能である。
また、当該仕切り部材35dにおいては、円筒状の吐出口31を放射状に仕切る複数のフィン部を備えているが、各フィン部の下端部は、吐出口31の外縁部から中央部に向かうにつれて下り傾斜状に形成されている。これにより、きわめて流速が遅い及び/又は流量が少ない流水であっても、仕切り部材35dの下端部となる吐出口31の中央部から流下することとなり、これによって、吐出口31の径外方向に向けての流水の飛散はより確実に抑制されることとなるのである。
上記各仕切り部材35a〜35dは、絞り筒部34又は筒部29と一体的な構成を採用することが可能である。また、図29に示す如く、例えば仕切り部材35aを吐出口31に対して着脱自在とする構成を採用することも可能である。仕切り部材35aをこのように構成することによって、筒部29(絞り筒部34)から仕切り部材35aを取り外して当該筒部29及び仕切り部材35aをそれぞれ清掃することができ、清掃の簡便化が図られる。また、仕切り部材35aを竪樋構成部材25の筒部29に後付け可能となり、これら筒部29と仕切り部材35aとを一体に形成する場合よりも製造の簡略化が図られる。
尚、仕切り部材35b〜35dも吐出口31に対して取り外し可能に構成することも可能であり、このような取り外し可能に構成しておくことで、仕切り部材35aと同様の効果を発揮することが可能である。
また、仕切り部材35a、35dの各フィン部の厚さやフィン部の基端部を覆う傘を設けることにより、当該仕切り部材35a、35dを通過して吐出口31より吐出される流水の単位時間辺りの流量を調整することが可能となる。これによって、排水処理能を数十mm/時の降雨量とし、当該降雨量を超える雨水からなる流水を処理するときに流入口30から当該流水を溢れることとして容量設計した竪樋構成部材25に対し、当該仕切り部材35a、35dを設けることで、数mm〜十数mm/時程度の降雨量で流入口30から流水を溢れさせることも可能となる。そして、この結果、排水桝に一度に流入する流水の流量を抑制し、当該排水桝ひいては市中の排水管への負担を減じることが可能となる。
《第2の実施形態まとめ》
このように、当該第2実施形態の竪樋21に係る竪樋構成部材25は、上記実施形態に限らず、上下連結部27、28の連結構造、筒部29の形状やブリッジ33の数、断面形状、幅、設けられる位置等は適宜必要に応じた形状、位置、数を採用することが可能である。
また、第2実施形態の竪樋21の露出状樋部24を上述の如く複数の竪樋構成部材25を同軸上に連結することにより形成する構成だけでなく、1の竪樋構成部材25により形成することももちろん可能である。
《第3の実施形態》
また、図23は、本発明に係る竪樋の第3実施形態を示している。
該竪樋41は、一対の支持樋部43を備えると共に、これら一対の支持樋部43が露出状樋部44を介して連結されている。
該露出状樋部44は、1の竪樋構成部材45により形成されており、該竪樋構成部材45は、上連結部47の直下に第1の筒部49aを備え、該筒部49aの直下に第1の露出部461を備え、該第1の露出部461の直下に第2の筒部49bを備え、該第2の筒部49bの直下に第2の露出部462を備え、該第2の露出部462の直下に下連結部48を備えている。
各筒部49a、49bは、上端部の流入口50を有すると共に下端部に該流入口50よりも口径の狭い吐出口51を備えてなる円筒状に形成されている。また、筒部49a、49bの内周には、流入口50と吐出口51の中途部となる位置から吐出口51に向けて中心軸の径内方向に隆起する傾斜壁52が設けられ、該傾斜壁52の内周面によって筒部49a、49bの外周壁より流入口50側から吐出口51側に向けての傾斜角度を急とするテーパ52a面が設けられている。また、傾斜壁52の下端部から吐出口51に向けて絞り壁部54が形成されている。
また、露出部461は、第1の筒部49aと第2の筒部49bとを連結する複数本(本実施形態においては3本)のブリッジ53を備えると共に、各ブリッジ53の側縁と第1の筒部49aの吐出口51の下端縁及び第2の筒部49bの流入口50の開口縁により輪郭形成される露出窓461aとを有している。各ブリッジ53は、互いの間隔を等間隔として設けられると共に、三角柱状に形成されて第1の筒部49aの外周面の中途部から第2の筒部49bの上端部に向けて延設されている。
同様に、露出部462は、第2の筒部49bと下連結部48とを連結する複数本(本実施形態においては3本)のブリッジ53を備えると共に、各ブリッジ53の側縁と第2の筒部49aの吐出口51の下端縁及び下連結部の上端縁により輪郭形成される露出窓462aとを有している。各ブリッジ53は、互いの間隔を等間隔として設けられると共に、三角柱状に形成されて第2の筒部49bの外周面の中途部から下連結部48に向けて延設されている。
当該竪樋構成部材45においては、竪樋41を流れる流水の流水量が過剰な場合に当該第2の筒部49bに溜まる水はやがて当該露出部46の露出窓46aから溢れ出る(オーバーフロー)することとなり、当該オーバーフローした流水によって各筒部49a、49bの外周面やブリッジ53に付着している汚れは洗い流されるものとなる。
本実施形態においては、上記竪樋構成部材45を複数個連結することによって竪樋41の中途部に露出状樋部44、即ち露出部46を設けることも可能である。換言すると、竪樋41は、支持樋部43の中途部に複数の露出部46を備えていると言える。
図24は、かかる点に鑑みた当該実施形態の変形例であり、竪樋1が複数の支持樋部43(直管状樋部43a)と複数の露出状樋部44とを互いに交互に連結することにより構成されている。当該変形例において、建築構造物の外壁22に設けられた窓39に対向する位置に露出状樋部44を設ける構成は好ましい。また、本実施形態においては、支持樋部43が樋支持具37を介して外壁22に接続されているが、樋支持具37を設けない構成であっても構わない。
《第4の実施形態》
また、図25〜図27は、本発明に係る竪樋の露出状樋部を構成する竪樋構成部材65の第4の実施形態を示している。
該竪樋構成部材65は、軸方向に開口せる円筒状に形成された筒部69を有すると共に、該筒部69の下方に露出部66を有しており、筒部69の上端部に上連結部67を備えると共に露出部66の下端部に下連結部68を備えている。
また、筒部69の外周面には、複数(本実施形態においては3つ)の突部67a、68aが互いの間隔を等間隔として流入口70側となる上側と吐出口71側となる下側とにそれぞれ設けられている。各突部67a、68aには、当該突部形成位置における前記外周面の接線と平行に貫通孔67b、68bが設けられている。
露出部66の複数本(本実施形態においては3本)のブリッジ73は、ロッド状の本体73aと該本体73aの一方の端部に設けられて前記筒部69の下側の突部68aの貫通孔68bに係合可能な第1フック部73bと、本体73aの他方の端部に設けられる第2フック部73cとを備えている。該第2フック部73cは、当該竪樋構成部材65の下方に位置する竪樋構成部材65の上側の突部67aの貫通孔67bに係合可能に形成されており、これによって該第2フック部73cにより下連結部68が形成されると共に、筒部69の上側の突部67aにより上連結部67が形成されている。第1の筒部69と第2の筒部69とは、複数本(本実施形態においては3本)のブリッジ73を介して連結されている。
本実施形態においては、上下に連結される竪樋構成部材65において、上側の竪樋構成部材65の筒部69と下側の竪樋構成部材65の筒部69は、共にブリッジ73により3点で支持されるので、互いに相対移動不能又は略不能とされている。
また、上下の連結部67、68、及び各筒部69の内部に形成される傾斜壁72及び絞り壁部74等の構成は、上記第2実施形態と同様である。
本実施形態においては、ロッド状のブリッジ73によって包囲された空間により露出部66が構成されるので、大きな露出窓66aを構成することができる。したがって、該露出部66を流れる雨水を容易に視認することができ、この結果、容易に降水量の把握をすることができる。
なお、本実施形態の変形例として、上下一対の筒部69の間を上記ブリッジ73により連結し、上側の筒部69の流入口側70に上連結部67を設けると共に下側の筒部69の吐出口31側に下連結部68を設けることにより竪樋構成部材65を構成する場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
《第5の実施形態》
また、図28、図29は、本発明に係る竪樋の露出状樋部を構成する竪樋構成部材85の第5の実施形態を示している。
該竪樋構成部材85は、上下連結部87、88を有する一対のブリッジ93に筒部89を支持させ、該ブリッジ93と筒部89により囲まれる空間に露出部86を設けて形成されている。
筒部89は、上端部の流入口90を有すると共に下端部に該流入口90よりも口径の狭い吐出口91を備えてなるすりばち状に形成されている。また、筒部89の内周には、流入口90と吐出口91の中途部となる位置から吐出口91に向けて中心軸の径内方向に隆起する傾斜壁92が設けられ、該傾斜壁92の内周面によって筒部89の外周壁よりも流入口90側から吐出口91側に向けての傾斜角度を急とするテーパ92a面が設けられている。
また、該筒部89の外周面の上端部には、筒部89の中心軸を介して互いに対向する位置にブラケット部88aが突設されており、各ブラケット部88aにロッド状のブリッジ93が係止されている。
ブラケット部88aは、ブリッジ93のロッド径と略同径の内径を有して筒部89の中心軸に平行な溝部88bを有すると共に、該ブリッジ93のロッド径よりも僅かに小さい幅を有して当該ブラケット部88aを側部から溝部88bに向けて切り欠いて形成される切欠き部88cを有しており、該切欠き部88cを通じてブリッジ93を溝部88bに向けて押し込むことにより、ブラケット部88aにブリッジ93は着脱自在に軟係止され、これによってブリッジ93は少なくとも中心軸の径外方向への移動を不能となる。
また、該ブリッジ93の各端部にはリング状の連結部93b、93cが形成されている。各連結部93b、93cはブラケット部88aの溝部88bよりも大きく形成されているので、ブリッジ93をブラケット部88aに取り付けた状態では連結部93b、93cがブラケット部88aに引っ掛かることとなり、これによりブリッジ93がブラケット部88aから筒部89の軸方向に抜け落ちてしまう虞はない。
また、各連結部93b、93cは、それぞれ互いに係脱自在に形成されており、これによって、該連結部93b、93cが上連結部87と下連結部88とを構成している。また、これにより、上連結部87となるブリッジ93の上端部93bと筒部89との間であって一対のブリッジ93が互いに対向しあう空間が露出部86となる。
これら上下連結部87、88は、互いに上下方向に連続して並ぶ竪樋構成部材85において、上側の竪樋構成部材85の下連結部88に下側の竪樋構成部材85の上連結部87を連結可能に形成されており、これによってこれら一対の竪樋構成部材85が同軸上に連結される。
また、各ブリッジ93は、ブラケット部88aにより当該ブリッジ93の中心軸に対し径外方向への移動を不能とした状態に保持され、しかも、ブラケット部88aが筒部89の軸心を介して互いに対向する方向に設けられているため、当該ブリッジ93の上下連結部93b、93cを介して同軸上に連結される竪樋構成部材85は、少なくともこれら一対のブラケット部88aを結ぶ直線方向への移動を不能とされることとなる。
したがって、当該竪樋構成部材85により形成される露出状樋部84は、当該直線方向に建築構造物の外壁や通路が位置する状態に配備されることにより、風等により振れることとなっても当該外壁や通路に向けては振れることはなく、これによって外壁への竪樋構成部材85の衝突や通路を通過する人への竪樋構成部材85の衝突が防止され、これによって竪樋構成部材85が外壁に衝突することによる騒音の発生や人に衝突することによる不測の事故を防止することができる。
《全体まとめ》
以上、本発明を実施した形態を詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、長尺な円筒状部材の一又は数箇所に露出窓26を設け、当該露出窓26及びその周囲を建築構造物に非支持として露出状樋部24を形成し、他の部分を建築構造物に支持させることで支持樋部23とすることにより、支持樋部23と露出状樋部24とを一体として竪樋21を形成する場合であっても、本実施形態と同様の作用効果を奏する。