本発明の第1の実施形態に係るRFID付き電子モジュールを含む電子モジュールシステムについて、図を参照して説明する。なお、RFID付き電子モジュールが本願発明の「IC付き電子媒体」に相当し、電子モジュールシステムが本願発明の「IC付き電子媒体システム」に相当する。
図2(A)は、本実施形態のRFID付き電子モジュールを含む電子モジュールシステムの機能的な回路構成を示す機能回路図である。図2(B)はRFID付き電子モジュールの等価回路図である。なお、図2(B)では、主として電力に関する説明を行うため、RFID100と機能部140との間の配線ラインを省略している。
電子モジュールシステムは、RFID付き電子モジュール10Aとリーダ/ライタ装置30とを備える。
まず、RFID付き電子モジュール10Aの説明を理解しやすくするように、リーダ/ライタ装置30の構成および処理を説明する。リーダ/ライタ装置30は、制御・電源回路300、一次側アンテナコイル310および共振用コンデンサCpを備える。
制御・電源回路300は、RFID付き電子モジュール10Aへ電力を供給するとともに、通信を行うための駆動信号を生成する。当該駆動信号は、所定周波数からなる交流信号である。制御・電源回路300は、当該駆動信号を一次側アンテナコイル310へ印加する。一次側アンテナコイル310には、共振用コンデンサCpが並列接続されており、共振用コンデンサCpのキャパシタンスは、駆動信号の周波数に基づく所定の共振周波数で共振するように設定されている。なお、この共振周波数は、一般的には、駆動信号の周波数よりも或程度低く設定されている。
また、制御・電源回路300は、後述するRFID付き電子モジュール10AのRFID100の制御部104との間で、例えば駆動信号の振幅変調を利用したID認証等の通信を行う。なお、リーダ/ライタ装置30と制御部104との通信方法は、各種既知の方法を用いればよく、ここでは説明を省略する。
このようなリーダ/ライタ装置30に対して、RFID付き電子モジュール10Aは、次に示す構成を備える。まず、図2(A)を用いて、RFID付き電子モジュール10Aの機能的構成を説明する。
RFID付き電子モジュール10Aは、一次側アンテナコイル310と電磁界結合するための二次側アンテナコイル210を備える。これらアンテナコイルによる電磁界結合により、無線で電力を得ることができる。もっとも、二次側アンテナコイル210を備えない構成であれば、有線で電力を得ることができるのはもちろんである。二次側アンテナコイル210の一方端211が本願発明の「第1給電端子」に相当し、他方端212が本願発明の「第2給電端子」に相当する。また、二次側アンテナコイル210のこれら両端の端子が本願発明の「給電端子対」に相当する。
二次側アンテナコイル210の両端には、共振用コンデンサCrが接続されている。すなわち、二次側アンテナコイル210と共振用コンデンサCrとが並列接続されている。この共振用コンデンサCrも、上述のリーダ/ライタ装置30側の共振用コンデンサCpと同様に、駆動信号の周波数に基づいて、所定の共振周波数となるようにキャパシタンスが設定されている。
二次側アンテナコイル210の一方端211は、RFID100の第1接続端子(図2(A)における「+」表示の端子)に接続している。
RFID100は、集積回路(ICチップ)から形成されており、整流回路101(本発明の「第1整流回路」に相当する。)、平滑回路102、保護回路103、および制御部104を備える。
整流回路101は、RFID100の電力供給における入力段であり、上述の第1接続端子と第2接続端子(図2(A)における「−」表示の端子)に接続している。整流回路101の出力端は平滑回路102に接続し、平滑回路102の出力端は保護回路103を介して制御部104へ接続している。
制御部104は、整流回路101、平滑回路102、および保護回路103を介して供給された電力によって駆動する。この際、制御部104は、保護回路103で供給電圧が制限された状態の電力供給を受ける。制御部104は、メモリ(以下、特にことわりがなければ不揮発性メモリを想定する。)を備え、電力供給を受けて駆動すると、例えばメモリに記憶された認証IDを読み出し、当該認証IDに基づく振幅変調等を行って、リーダ/ライタ装置30の制御・電源回路300と通信を行う。
RFID100の第2接続端子には、整流回路120(本発明の「第2整流回路」に相当する。)の第1端子120Aが接続している。整流回路120の第2端子120Bは、上述の二次側アンテナコイル210の他方端212に接続している。
整流回路120の出力端120C,120Dには平滑回路130を介して、所定の機能を有する機能部140が接続している。機能部140は、整流回路120および平滑回路130を介して供給された電力によって、所定の機能を実現するように動作する。例えば、後述の図3に示すような電子ペーパであれば、電子ペーパとして表示を行うように動作する。なお、機能部140とRFID100とは、独立していてもよいし、図のように所定の信号ラインにより接続し、RFID100のメモリ104A内のデータを参照して動作してもよい。
さらに、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Aでは、RFID100の一対の接続端子間にバイパス回路110が接続している。
すなわち、RFID付き電子モジュール10Aは、二次側アンテナコイル210の両端(211,212)に対して、RFID100の整流回路101と、RFID100外の整流回路120とが直列接続されるとともに、RFID100の整流回路101に対してバイパス回路110が並列接続された構成からなる。
このような構成により、整流回路101と整流回路120とに電流が流れ、RFID100に電力供給を行うのと同時に、RFID100の制御部104を介することなく機能部140に電力供給することができる。これにより、従来構成のように、RFID100の保護回路103により制限されることなく、機能部140に、所望とする電力量を供給することができる。
なお、上述の構成では、バイパス回路110を備える例を示しているが、当該バイパス回路110を備えなくても、上述のRFID100と機能部140へ、同時に電力供給することができる。ただし、バイパス回路110を設けることで、RFID100の整流回路101と、整流回路120とに流れる電流の比を調整することができる。これにより、バイパス回路110を構成する回路素子値を適宜設定すれば、整流回路120を介して機能部140に、RFID100よりも大きな電力供給を行うことができる。
次に、具体的なRFID付き電子モジュール10Aの回路構成例について、図2(B)を参照して説明する。なお、機能部140は、実現する機能により回路構成が異なるため、ここでは、単に機能部140の回路ブロックのままで説明する。
二次側アンテナコイル210の一方端211と他方端212との間には、共振用コンデンサCrが二次側アンテナコイル210に対して並列接続している。
二次側アンテナコイル210の一方端211は、整流回路101の第1端子101Aに接続している。整流回路101は、第1端子101A、第2端子101B側からの交流信号を全波整流して第3端子101C、第4端子101D側へ出力するブリッジ型の全波整流回路からなる。
整流回路101の第2端子101Bは、整流回路120の第1端子120Aに接続している。整流回路120は、第1端子120A、第2端子120B側からの交流信号を全波整流して第3端子120C、第4端子120D側へ出力するブリッジ型の全波整流回路からなる。
整流回路120の第2端子120Bは、二次側アンテナコイル210の他方端212に接続している。これにより、二次側アンテナコイル210の一方端211と他方端212との間に整流回路101と整流回路120とが直列接続された回路構成が実現される。そして、RFID100の整流回路101の第1端子101Aと第2端子101Bとの間には、RFID100の入力コンデンサCinと、コンデンサCbとが、整流回路101に対して並列接続している。本実施形態では、バイパス回路110がコンデンサCbとRFID100の入力コンデンサCinより構成されるが、RFID100の入力コンデンサCinを含まない場合でも、コンデンサCbおよびその他の回路よりバイパス回路を構成できる。
次に、RFID100内の回路構成について、より具体的に説明する。
整流回路101は、第1端子101Aと第2端子101Bとの間に、ダイオードD1,D3の直列回路と、ダイオードD2,D4の直列回路が並列接続された構成からなる。この際、ダイオードD1のカソードが第1端子101Aに接続し、ダイオードD1のアノードとダイオードD3のアノードが接続し、ダイオードD3のカソードが第2端子101Bに接続している。そして、ダイオードD1のアノードとダイオードD3のアノードの接続点が、第3端子101Cに接続している。また、ダイオードD2のアノードが第1端子101Aに接続し、ダイオードD2のカソードとダイオードD4のカソードが接続し、ダイオードD4のアノードが第2端子101Bに接続している。そして、ダイオードD2のカソードとダイオードD4のカソードの接続点が、第4端子101Dに接続している。
平滑回路102は、整流回路101の第3端子101C、第4端子101D間に並列接続された平滑用コンデンサC1Lからなる。
保護回路103は、平滑用コンデンサC1Lに並列接続するツェナーダイオードZD1,ZD2の直列回路からなる。この際、ツェナーダイオードZD1,ZD2はそれぞれのカソードが第3端子101C、第4端子101Dに接続するように、直列回路が構成されている。これらツェナーダイオードZD1,ZD2の素子値は、制御部104の耐圧に基づいて設定されている。
制御部104は、等価回路上負荷として表記されており、整流回路101の第3端子101C、第4端子101Dに対して、平滑回路102および保護回路103の下流側に接続している。
このような構成により、RFID100では、整流回路101、平滑回路102を介して得られ、保護回路103により電圧制限された電力で、制御部104が動作する。これにより、制御部104は、過電流による破壊から保護されて、正常に動作する。なお、以上、標準的なRFID回路構成に基づいて説明したが、集積回路において整流回路を含む同等な回路であって、上述の構成を適用することができる。
次に、整流回路120および当該整流回路120の機能部140側の回路について、より具体的に説明する。
整流回路120は、第1端子120Aと第2端子120Bとの間に、ダイオードD11,D13の直列回路と、ダイオードD12,D14の直列回路が並列接続された構成からなる。この際、ダイオードD11のカソードが第1端子101Aに接続し、ダイオードD11のアノードとダイオードD13のアノードが接続し、ダイオードD13のカソードが第2端子120Bに接続している。そして、ダイオードD11のアノードとダイオードD13のアノードの接続点が、第3端子120Cに接続している。また、ダイオードD12のアノードが第1端子120Aに接続し、ダイオードD12のカソードとダイオードD14のカソードが接続し、ダイオードD14のアノードが第2端子120Bに接続している。そして、ダイオードD12のカソードとダイオードD14のカソードの接続点が、第4端子120Dに接続している。
平滑回路130は、整流回路120の第3端子120C、第4端子120D間に並列接続された平滑用コンデンサC2Lからなる。
機能部140は、整流回路120の第3端子120C、第4端子120Dに対して、平滑回路130の下流側に接続している。
このような構成により、機能部140には、整流回路120、平滑回路130を介して、RFID100とは個別に電力が供給される。これにより、機能部140は、上述のように、RFID100によることなく所望の電力が得られ、RFID100とは個別に動作することができる。
さらに、上述のように、本実施形態の構成では、RFID100とは異なる機能部140のための電力供給回路を、4個のダイオードD11,D12,D13,D14からなる全波整流回路である整流回路120と、コンデンサC2Lからなる平滑回路130のみから構成している。このため、機能部140のための電力供給回路を簡素かつ小型に構成することができ、RFID付き電子モジュール10Aを小型に形成することができる。
次に、機能部140の具体的実施例として電子ペーパ装置を用いた場合について、図3を参照して説明する。図3は機能部140が電子ペーパ装置140Aである場合のRFID付き電子モジュール10Aの機能回路図である。なお、図3では、RFID100は単に一つの機能ブロックで表記しているが、内部構成は図2と同じである。また、整流回路120の各端子の表記を省略しているが、これも図2と同じである。また、アンテナコイル210、共振用コンデンサCr、RFID100、バイパス回路110、整流回路120、および平滑回路130の接続構成は、図2に示す通りであり、説明は省略する。
機能部140である電子ペーパ装置140Aは、CPU401、電子ペーパ402、レギュレータ403を備える。レギュレータ403は入力側端子および共通端子が、平滑回路130に接続して、出力端子がCPU401および電子ペーパ402に接続している。レギュレータ403の出力側端子と共通端子との間には、平滑コンデンサC4が接続している。この構成により、整流回路120、平滑回路130、レギュレータ403を介して、電子ペーパ装置140AのCPU401および電子ペーパ402へ、所望の電圧レベルからなる駆動電圧が供給される。なお、CPU401と電子ペーパ402等のレギュレータ403以降の共通端子は省略している。
電子ペーパ402は、例えばコレステリック液晶からなり、CPU401から読み取ったRFID100のメモリ104M内のデータをCPU401からの制御により表示し、電源供給終了後も表示を維持するものである。
CPU401は、RFID100のメモリ104Mと接続されており、例えば、リーダ/ライタ装置30からRFID100のメモリ104Mを介して表示許可信号等の制御信号を受けて、電子ペーパ402を表示制御する。また、CPU401は、RFID100を介してリーダ/ライタ装置30から与えられ、RFID100のメモリ104Mに一時記憶された表示情報を取得し、当該表示情報を電子ペーパ402へ表示する制御を行う。CPU401の制御については、RFID100にトリガ出力機能があれば、CPU401の割り込みポートに接続し、トリガ信号を起動に用いても構わない。
このように、本実施形態の構成を用いることで、RFID100から電力供給を受けることなく、RFID100が受給できる電力量よりも大きな駆動電力を要する電子ペーパ装置140Aを駆動させることができる。この際、この電子ペーパ装置140Aのための電力供給回路は、上述のように整流回路120と平滑回路130のみであるので、電子ペーパ装置が備えられたRFID付き電子モジュール10Aを、小型に形成することができる。
次に、上述の機能部140の別の実施例として、RFID回路がセミパッシブ、すなわち補助電源を要するものである場合、図4を参照して説明する。図4はセミパッシブRFID回路を備えたRFID付き電子モジュール10Bの機能回路図である。図4では機能部140Bは、セミパッシブRFID回路の駆動に必要な補助電源供給回路、および必要に応じてその他の周辺回路からなる。なお、図4でも、RFID100の具体的構成、アンテナコイル210、共振用コンデンサCr、RFID100、バイパス回路110、整流回路120、および平滑回路130の接続構成は、図2に示す通りであり、説明は省略する。
本願のRFID100には、上述の第1接続端子および第2接続端子とは、別の電源端子をさらに備える。
機能部140であるセミパッシブ通信の機能モジュール140Bは、レギュレータ403および周辺回路404を備える。レギュレータ403は三端子レギュレータで入力側端子および共通端子が、平滑回路130に接続して、出力端子が周辺回路404およびRFID101に接続している。レギュレータ403の出力側端子と共通端子との間には、コンデンサC4が接続している。この構成により、整流回路120、平滑回路130、レギュレータ403を介して、セミパッシブ通信の機能モジュール140Bの周辺回路404へ、所望の電圧レベルからなる駆動電圧が供給されるとともに、RFID100にも電力供給することができる。
このような周辺回路404を備える場合であっても、当該周辺回路404へ安定して電力供給することができ、当該周辺回路404を安定に動作させることができる。さらに、当該周辺回路404によって整流回路101から供給される電力以上の電力が必要となっても、RFID100に整流回路120から電力供給されることで、RFID100も安定に動作させることができる。
次に、第2の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図5は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Cの機能回路図である。また、図6は、本実施形態において機能部140として電子ペーパ装置140Aを用いた場合の機能回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Cは、第1の実施形態の図2に示したRFID付き電子モジュール10Aに対して、本願発明の「電流分配比制御部」に相当する回路構成を追加したものである。したがって、以下の説明では、当該「電流分配比制御部」に関連する箇所のみを説明し、他の箇所については説明を省略する。
RFID100に並列接続されるバイパス回路110には、第1スイッチ素子151が直列接続している。また、整流回路120の第1端子120A,120B間には、第2スイッチ素子152が並列接続している。
第1スイッチ素子151と第2スイッチ素子152には、RFID100の制御部104からスイッチ制御信号CTLが印加される。この際、第1スイッチ素子151と第2スイッチ素子152とは、一方が開放であれば他方が短絡となるように制御されている。例えば、第1スイッチ素子151、第2スイッチ素子152とを、GaAs等のFETスイッチにより形成し、第1スイッチ素子151をエンハンスメント型、第2スイッチ素子152をデプレッション型で形成する。第1スイッチ素子151と第2スイッチ素子152とには、RFID100の制御部104から共通のスイッチ制御信号を印加する。
このような構成では、スイッチ制御信号が「Low」レベルの場合には、第1スイッチ素子151は「開放」になり、第2スイッチ素子152は「短絡」になる。一方、スイッチ制御信号が「Hi」レベルの場合には、第1スイッチ素子151は「短絡」になり、第2スイッチ素子152は「開放」になる。
そして、このような構成およびスイッチ制御を行うことで、図6に示すような本実施形態のRFID付き電子モジュール10Cは、図7に示すように回路構成が変化する。図7(A)はスイッチ制御信号が「Low」レベルの場合の等価回路を示し、図7(B)はスイッチ制御信号が「Hi」レベルの場合の等価回路を示す。
まず、当該RFID付き電子モジュール10Cに電力供給が行われていない状態では、RFID100が動作していないので、スイッチ制御信号CTLとしては、「Low」レベルと同じ状態となる。これにより、図7(A)に示すように、第1スイッチ素子151は所定のキャパシタンスCoff1で「開放」状態となっており、第2スイッチ素子152は所定の低抵抗値Ron2で「短絡」状態となる。したがって、当該状態では、二次側アンテナコイル210の両端子211,212間には、RFID100のみが接続された状態となる。
このような状態で、二次側アンテナコイル210に電流が流れると、RFID100には電流が流れるが、整流回路120には電流が殆ど流れない。したがって、二次側アンテナコイル210を介してリーダ/ライタ装置30から供給される電力は、殆ど全て、RFID100の起動に利用される。これにより、例えば、整流回路120を直列接続した状態で、RFID100に必要最小限の電力しか供給されないような構成であっても、RFID100を確実且つ安定に起動させることができる。
次に、RFID100が起動したのち、機能部を駆動する場合は、当該RFID100は、スイッチ制御信号CTLを「Hi」レベルに切り替える。RFID付き電子モジュール10Cは、図7(A)の回路構成から図7(B)の回路構成に状態遷移する。すなわち、第1スイッチ素子151は所定の低抵抗値Ron1で「短絡」状態となっており、第2スイッチ素子152は所定のキャパシタンスCoff2で「開放」状態となる。したがって、当該状態では、二次側アンテナコイル210の両端子211,212間に、RFID100およびバイパス回路110の並列回路と、整流回路120とが直列接続された状態となる。
このような回路構成に遷移することで、RFID100のみではなく、整流回路120にも電流が流れ、RFID100とともに、機能部140である電子ペーパ装置140Aにも動作用の電力供給を行うことができる。
以上のように、本実施形態の構成を用いることで、状況に応じてRFID100のみに電力供給したり、RFID100と機能部140の双方に電力供給することが可能になる。さらには、リーダ/ライタ装置30から離れている場合にはRFID100のみを動作するため、RFID100の起動時電力が確実に確保され、安定に起動できる。また、RFID100の起動後には、機能部140へ安定した電力供給を行うことができる。
次に、第3の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図8は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Dの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Dは、第1の実施形態の図2に示したRFID付き電子モジュール10Aに対して、整流回路120の後段に充電デバイス160を接続したものである。そして、当該充電デバイス160の後段に機能部140が接続している。
充電デバイス160は、例えば、電気二重層コンデンサ等からなり、整流回路120で全波整流された信号により充電される。機能部140は、この充電デバイス160を電源として動作する。ここで、充電デバイス160を、電気二重層コンデンサとすれば、薄型化が可能であり、RFID付き電子モジュール10Dを薄く形成することができる。特に、当該RFID付き電子モジュール10Dを、所定の板状基材を用いて形成する場合、板状基材の一方主面に電気二重層コンデンサ以外の回路素子を実装し、当該一方主面に対向する板状基材の他方主面の略全面に電気二重層コンデンサを形成する。これにより、RFID付き電子モジュール10Dを構成する回路素子を一方主面にのみ実装するよりも、面積を小さくすることもできる。この結果、機能部140への電力供給に十分な充電能力を備えながらも、RFID付き電子モジュール10Dを小型且つ薄型に形成することができる。もちろん、電気二重層コンデンサを含む構成部品を全て同一主面に実装して、極めて薄い電子モジュールを構成することもできる。
次に、本実施形態に示す充電デバイス160を備えたRFID付き電子モジュール10Dの具体的実施例を図9を参照して説明する。本実施例では、機能部140として、RFIDによる通信よりも遠距離通信が可能な無線通信デバイス140Cを用いた例を示す。図9は、機能部140として無線通信デバイス140Cを用いた場合のRFID付き電子モジュール10Dの機能回路図である。図9は無線通信デバイス140Cを備えるRFID付き電子モジュール10Dの機能回路図である。なお、図9でも、RFID100の具体的構成、アンテナコイル210、共振用コンデンサCr、RFID100、バイパス回路110、整流回路120、および充電デバイス160の接続構成は、図2および図8に示すとおりであり、説明は省略する。
機能部140である無線通信デバイス140Cは、CPU401、無線回路405、レギュレータ403、ロードスイッチ406、ツェナーダイオードZD40を備える。
充電デバイス160の一方端には、ロードスイッチ406の入力側端子が接続し、充電デバイス160の他方端には、ロードスイッチ406の共通端子が接続している。ロードスイッチ406の入力側端子と共通端子との間には、ツェナーダイオードZD40が接続している。この際、ツェナーダイオードZD40は、カソードがロードスイッチ406の入力側端子側となり、アノードがロードスイッチ406の共通端子側となるように接続している。このツェナーダイオードZD40は電気二重層コンデンサの上限電圧を制限し、破壊から保護するためのものである。
ロードスイッチ406の出力側端子はレギュレータ403の入力側端子に接続している。また、ロードスイッチ406の共通端子とレギュレータ403の共通端子は導通している。
レギュレータ403の出力側端子と共通端子との間には、平滑コンデンサC4が接続しており、レギュレータ403の出力側端子は、CPU401および無線回路405に接続している。なお、CPU401および無線回路の共通端子は省略している。
そして、レギュレータとして入力電圧の下限が小さいものを用い、且つロードスイッチにヒステリシスをもたせることで、電気二重層コンデンサの放電による電圧降下の影響を受けることなく、低電圧電源を供給できる。
このような構成とすることで、CPU401と無線回路405とに、充電デバイス160の充電状態に影響されることなく、安定したレベルの電圧を供給することができる。
CPU401は、充電デバイス160、ロードスイッチ406およびレギュレータ403から供給される電力で動作し、無線回路405に対して無線通信制御を実行させる。無線回路405は、CPU401と同様に充電デバイス160、ロードスイッチ406およびレギュレータ403から供給される電力で動作し、CPU401からの無線通信制御に基づいて、外部の通信機器と無線通信を実行する。
このような無線通信の具体例としては、外部通信装置と間欠的に通信を行うことで、当該RFID付き電子モジュール10Dの存在確認等を行うようなシステムに用いることができる。例えば、当該無線通信デバイス140CのCPU401に所定のキーを記憶しておき、無線回路405を介して、所定タイミング毎に、外部装置との間で無線通信を行い、当該キーの認証処理を行う。ここで、当該RFID付き電子モジュール10Dが、或程度の距離以上、例えば決められた部屋内等になく、無線によるキー認証が行えないような場合には、外部装置側で当該外部装置の機能を停止させる。
そして、このような無線通信を行うような機能を追加しても、本実施形態の構成を用いることで、RFID通信よりも電力消費量を要する無線通信デバイスに対して、必要十分な電力を供給できるRFID付き電子モジュール10Dを小型且つ薄型に形成することができる。
次に、第4の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図10は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Eの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Eは、第3の実施形態の図8に示したRFID付き電子モジュール10Dに対して、機能部140がRFID100のメモリ104Mにアクセス可能にしたものである。
このような構成とすることで、機能部140に充電状態の検出回路を設ければ、機能部140で検出した充電状態を、RFID100のメモリ104Mへ記憶させることができる。さらに、RFID100がメモリ104Mの充電状態を読み出して、リーダ/ライタ装置30へ伝達することで、リーダ/ライタ装置30は、RFID付き電子モジュール10Eの充電デバイス160の充電状態を監視することもできる。
次に、第5の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図11は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Fの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Fは、第3の実施形態の図8に示した充電デバイス160を備えるRFID付き電子モジュール10Dに対して、さらに、本願発明の「充電用電力供給制御部」を備えたものである。
具体的には、機能部140に充電デバイス160の充電状態を検出する充電デバイス検出回路を設けて、充電制御部としての機能を備えさせる。さらに、充電制御用スイッチ素子153を備える。
充電制御用スイッチ素子153は、二次側アンテナコイル210の一方端211と、RFID100およびバイアス回路110の並列回路との間に挿入されている。充電制御用スイッチ素子153には、機能部140からスイッチ制御信号CTL0が印加される。充電制御用スイッチ素子153はデプレッション型のスイッチ素子である。これにより、スイッチ制御信号CTL0が「Low」レベルの場合に、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」となって二次側アンテナコイル210とRFID100およびバイパス回路110とを導通する。一方、スイッチ制御信号CTL0が「Hi」レベルの場合に、充電制御用スイッチ素子153は「開放」となる。
まず、充電デバイスに規定の電圧が充電されていなければ、機能部140は動作せず、スイッチ制御信号CTL0が「Low」レベルになるのと同じ状態になる。このため、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」となって、二次側アンテナコイル210、RFID100およびバイパス回路110の並列回路および整流回路120からなる閉回路が形成される。
次に、リーダ/ライタ装置30から二次側アンテナコイル210を介して電力供給が行われると、当該閉回路の整流回路120を介して充電デバイス160が充電される。この際、機能部140を動作させるに必要な電力量が充電されていない間は、スイッチ制御信号CTL0は「Low」レベルのままで、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」のままである。この際、RFID100には、電力供給されているので、RFID100は供給された電力を利用して、リーダ/ライタ装置30との間で、ID認証等の通信を実行することができる。この認証により、例えば当該RFID付き電子モジュール10Fが、利用許可されたものであるかどうかの識別も可能である。
次に、充電デバイス160の充電が進み、機能部140が動作すると、機能部140の充電検出回路が充電デバイス160の充電状態を検出する。ここで、充電検出回路によって検出された充電量が所定閾値未満であれば、機能部140は、「Low」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力し続ける。この場合、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」のままとなり、充電デバイス160への充電が継続される。
次に、充電デバイス160の充電がさらに進み、充電検出回路の検出した充電量が所定閾値以上になると、機能部140は、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力する。充電制御用スイッチ素子153は、「短絡」から「開放」に状態遷移する。これにより、RFID100および機能部140が二次側アンテナコイル210から電気的に切り離される。この場合、RFID100は動作が停止するが、機能部140は、充電デバイス160を電源として、動作させることができる。そして、このようにRFID100を停止させることで、不要な電力の供給(消費)を抑制することができる。
さらに、このような構成の場合、RFID100が停止し、且つRFID100と充電デバイス160とが接続されていないので、充電デバイス160は、機能部140のみへ電力供給すればよい。これにより、RFID100に対しての不要な電力の供給を行う必要が無く、機能部140のみに対して有効に電力を供給することができる。
なお、機能部140が連続動作等を行ったり、自然放電すると、充電デバイス160の充電量が低下する。この場合、機能部140は、充電量が所定閾値未満となることを検出して、「Low」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力する。これにより、二次側アンテナコイル210とRFID100および整流回路120とが導通する。したがって、リーダ/ライタ装置30の一次側アンテナコイル310と、二次側アンテナコイル210とが電磁界結合するように、RFID付き電子モジュール10Fを配置すれば、充電デバイス160を再充電することができる。
また、自然放電や機能部140の長時間使用等により、充電デバイス160の充電量が大幅に低下し、機能部140が動作しなければ、充電制御用スイッチ素子153は、「Low」レベルのスイッチ制御信号CTL0が入力されたのと同等に状態になる。したがって、このような場合も、リーダ/ライタ装置30の一次側アンテナコイル310と、二次側アンテナコイル210とが電磁界結合するように、RFID付き電子モジュール10Fを配置すれば、充電デバイス160を再充電することができる。
また、上述の説明では充電量に対する閾値を設けて充電状態を判断する場合を示したが、フル充電状態、すなわち充電デバイスのほぼ最大充電量まで充電された場合に、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力するようにしてもよい。もしくは、充電完了の検出を機能部140の動作開始をもって、また充電必要の判定を機能部140の動作停止をもって行ってもよい。この場合は、特に検出回路は不要となる。動作中のスイッチ制御信号CTL0は「Hi」のままとする。停止後、スイッチ制御信号CTL0はおのずと「Low」となる。
次に、本実施形態に示すRFID付き電子モジュール10Fの具体的実施例を図12を参照して説明する。本実施例では、機能部140として、リモコン装置140Dを用いた例を示す。図12は、機能部140としてリモコン装置140Dを用いた場合のRFID付き電子モジュール10Fの機能回路図である。なお、図12でも、RFID100の具体的構成、アンテナコイル210、共振用コンデンサCr、RFID100、バイパス回路110、整流回路120、および充電デバイス160の接続構成は、図2および図8に示す通りであり、説明は省略する。
機能部140であるリモコン装置140Dは、上述の無線装置と同様にレギュレータ403、ロードスイッチ406、ツェナーダイオードZD40、平滑コンデンサC4を備える。また、リモコン装置140Dは、CPU407およびRFリモコン用IC408を備え、CPU407およびRFリモコン用IC408は、充電デバイス160、保護用のツェナーダイオードZD40、ロードスイッチ406、レギュレータ403、平滑コンデンサC4からなる回路により、電力が供給される。
CPU407は、リモコン装置140Dの全体制御を行うとともに、CPU407に内蔵されるADコンバータ407Aにより充電デバイス160の充電状態を電圧検出して、スイッチ制御信号CTL0を出力する。具体的には、CPU407は、充電量が所定閾値未満であれば、「Low」レベルのスイッチ制御信号CTL0を充電制御用スイッチ素子153へ出力し、充電量が所定閾値以上であれば、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を充電制御用スイッチ素子153へ出力する。
RFリモコン用IC408は、図示しない操作子等からの操作入力に基づいて、リモコン用信号を送信する。
このようなリモコン機能を備えたRFID付き電子モジュール10Fは、例えば、具体的に、次に示すように利用される。なお、以下では、一例としてテレビジョン装置のリモコンの場合を示す。また、以下では、リモコン機能を備えたRFID付き電子モジュール10Fを、TVリモコン端末と称する。
リーダ/ライタ装置30は、親機であるテレビジョン装置に装備されており、TVリモコン端末は、充電を行う場合には、リーダ/ライタ装置30に載置する。リーダ/ライタ装置30は、TVリモコン端末のRFID100を認証できていない場合には、間欠的に駆動信号を生成する。
まず、充電デバイス160が充電されていない初期状態等では、TVリモコン端末がリーダ/ライタ装置30上に載置されていない状態では、機能部140であるリモコン装置140Dには電力供給されていない。したがって、スイッチ制御信号CTL0が「Low」レベルなのと同じ状態となる。これにより、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」となって、二次側アンテナコイル210、RFID100およびバイパス回路110の並列回路および整流回路120からなる閉回路が形成される。
次に、リーダ/ライタ装置30にTVリモコン端末が載置されると、リーダ/ライタ装置30から二次側アンテナコイル210を介して電力供給が行われる。これにより、RFID100および整流回路120に電流が流れ、RFID100が起動するとともに、受電デバイス160が充電される。
RFID100は、供給された電力により、リーダ/ライタ装置30を介してテレビジョン装置との間で、ID認証等のデータ通信を行う。この通信処理は、所定タイミング毎に継続的に実行される。この際、テレビジョン装置からRFID100(TV用リモコン端末)に対して、ID認証が適合であれば、各種情報を送信する機能を、このリモコン通信システムに持たせてもよい。
一方、充電デバイス160は、順次充電されるが、CPU407を動作させるに必要な電力量が充電されていなければ、スイッチ制御信号CTL0は「Low」レベルのままで、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」のままである。したがって継続的に充電デバイス160は充電される。
次に、充電デバイス160の充電が進み、CPU407が動作すると、CPU407の充電検出回路が充電デバイス160の充電状態を検出する。ここで、充電検出回路によって検出された充電量が所定閾値未満であれば、CPU407は、「Low」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力し続ける。この場合、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」のままとなり、充電デバイス160への充電が継続される。なお、この時点で、RFリモコン用IC408は動作可能であるので、操作子による操作入力により、リモコン操作を行うことができる。
次に、充電デバイス160の充電がさらに進み、充電検出回路の検出した充電量が略フル充電となる所定閾値以上になると、CPU407は、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力する。充電制御用スイッチ素子153は、「短絡」から「開放」に状態遷移する。これにより、RFID100および機能部140が二次側アンテナコイル210から電気的に切り離される。この場合、RFID100は動作が停止するが、機能部140であるリモコン装置140Dは、充電デバイス160を電源として、動作させることができる。したがって、ユーザは、リーダ/ライタ装置30からTVリモコン端末を取り外し、通常のリモコン操作を行うことができる。
この際、ユーザがTVリモコン端末をリーダ/ライタ装置30から取り外すことで、RFID100との間の通信が途切れる。リーダ/ライタ装置30は、この通信断を検出し、待機状態、すなわち駆動信号を間欠的に生成する動作へ移行する。これにより、リーダ/ライタ装置30の消費電力を低減することができる。
また、ユーザがTVリモコン端末をリーダ/ライタ装置30から取り外さない場合にも、充電制御用スイッチ素子153が「開放」になることで、リーダ/ライタ装置30を備えたテレビジョン装置とRFID100との間の通信が途切れる。リーダ/ライタ装置30は、この通信断を検出し、待機状態、すなわち駆動信号を間欠的に生成する動作へ移行する。これにより、リーダ/ライタ装置30の消費電力を低減することができる。
以上のように、本実施形態の構成を用いることで、RFIDに対してリモコン装置を追加しても、RFID100を介することなく充電し、RFID100よりも消費電力大きなリモコン装置を安定して動作させることができる。この際、充電に関する回路は、上述のように、4個のダイオードからなる整流回路と電気二重層コンデンサ等の充電デバイスだけで済み、小型化および薄型化が可能である。さらに、充電完了による電力供給の停止が行われることで、消費電力を低減することができる。
次に、第6の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図13は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Gの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Gは、第5実施形態の図11に示した充電デバイス160および「充電用電力供給制御部」を備えるRFID付き電子モジュール10Dに対して、充電制御用スイッチ素子154の配置位置および特性を異ならせたものである。したがって、第5の実施形態のRFID付き電子モジュール10Fとの相違点についてのみ説明する。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Gは、バイパス回路110に充電制御用スイッチ素子154を直列接続し、当該直列回路をRFID100に並列接続している。充電制御用スイッチ素子154には、機能部140からスイッチ制御信号CTL0が印加される。充電制御用スイッチ素子154は、デプレッション型のスイッチ素子である。これにより、スイッチ制御信号CTL0が「Low」レベルの場合に、充電制御用スイッチ素子153は「短絡」となり、バイパス回路110とRFID100との並列回路が形成される。一方、スイッチ制御信号CTL0が「Hi」レベルの場合に、充電制御用スイッチ素子154は「開放」となって、バイパス回路110が、二次側アンテナコイル210、RFID100、整流回路120からなる閉回路から切り離される。
なお、スイッチ制御信号CTL0の状態遷移処理は、第5の実施形態と同じであり、充電が不十分な状態ではスイッチ制御信号CTL0が「Low」レベルであり、充電が十分な状態になるとスイッチ制御信号CTL0が「Hi」レベルになる。
このような構成および処理を行うことで、充電が不十分な状態では、バイパス回路110が機能し、RFID100に対する整流回路120への電力供給比を高くすることができる。一方、充電が十分であれば、バイパス回路110が機能しなくなり、整流回路120への電力供給比を低くすることができる。
なお、この場合、RFID100は自身への電力供給量を観測しておき、自身への電力供給量が高くなったことを検出すると、リーダ/ライタ装置30に対して、放射電力の抑制指示を送信することもできる。また、当該電力供給量をリーダ/ライタ装置30へ送信して、リーダ/ライタ装置30側で電力供給量の抑制制御を行うこともできる。
次に、第7の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図14は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Hの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Iは、第2の実施形態の図5に示したRFID付き電子モジュール10Cに対して、充電デバイス160を備えたものである。このように、第2の実施形態の構成に対して、充電デバイス160を追加することもできる。これにより、初期状態では、RFID100にのみ電力供給し、RFID100によるID認証等の通信後に、充電デバイス160を効率良く充電することができる。
次に、第8の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図15は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Iの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Iは、第7の実施形態の図14に示したRFID付き電子モジュール10Hに対して、機能部140がRFID100のメモリ104Mに読み書きを行う点で異なる。すなわち、第2の実施形態の図5に示したRFID付き電子モジュール10Cに対して、充電デバイス160を備えた点、機能部140がRFID100のメモリ104Mに読み書きを行う点、RFID100によるスイッチ制御信号CTLの設定処理が異なる。したがって、以下では、異なる点のみを説明する。
充電デバイス160は、上述の各実施形態に示したものと同じく電気二重層コンデンサ等からなり、整流回路120と機能部140との間に設置される。
機能部140は、充電デバイス160を電源として動作するとともに、充電デバイス160の充電状態を示す充電情報を、RFID100のメモリ104Mへ書き込む。
RFID100は、メモリ104Mに記憶された充電情報に基づいて、第2の実施形態に示したスイッチ制御信号CTLの状態遷移処理とともに、次に示す状態遷移処理を追加して行う。
具体的には、RFID100は、初期状態において「Low」状態であったスイッチ制御信号が「Hi」状態に遷移した後、すなわち、バイパス回路110が機能し整流回路120へ電流が流れるようになって以降、所定の時間間隔で充電情報を読み出す。RFID100は、充電状態が不十分であれば、スイッチ制御信号CTLを「Hi」状態のまま維持する。
次に、充電が進行して充電状態が十分となれば、スイッチ制御信号CTLを「Low」状態に遷移させる。これにより、スイッチ素子151は「開放」になり、スイッチ素子152は「短絡」になる。これにより、整流回路120には電流が流れず、RFID100のみに電力供給される。すなわち、リーダ/ライタ装置30側から見て、通常のRFIDデバイスとして機能する。このような構成とすれば、充電デバイス160に対して不必要な電力供給を行うことなく、且つ通常のRFIDデバイスとして機能させることができる。そして、リーダ/ライタ装置30で、放射電力を可変にできる機能を有していれば、このようなRFIDデバイスのみとして機能していることを検出し、放射電力を低減させることができる。これにより、リーダ/ライタ装置30の省電力化も可能である。
なお、充電デバイス160が放電し、充電量が不十分になれば、メモリ104Mに記憶される充電情報は、この放電に応じて更新されているので、RFID100は、この情報を取得し、再度、スイッチ制御信号CTLを「Hi」状態に遷移させる。これにより、再度整流回路120に電流が流れ、充電デバイス160を効率良く充電することができる。
また、上述の説明では、機能部140からRFID100のメモリ104Mに充電情報を書き込む例を示したが、機能部140で取得した計測データ等の他の情報をメモリ104Mに書き込んでもよい。
そこで、機能部140で取得した充電情報以外の情報をメモリ104Mに書き込む場合の具体的実施例を示す。図16は機能部140がセンサ装置140Eである場合のRFID付き電子モジュール10Iの機能回路図である。なお、図16でも、RFID100の具体的構成、二次側アンテナコイル210、共振用コンデンサCr、RFID100、バイパス回路110、整流回路120、および充電デバイス160の接続構成は、上述の対応する実施形態通りであり、説明は省略する。また、センサ装置140E内におけるツェナーダイオードZD40、平滑コンデンサC4、レギュレータ403、およびロードスイッチ406の構成についても、上述の対応する実施形態の通りであり、説明は省略する。
センサ装置140Eは、ツェナーダイオードZD40、平滑コンデンサC4、レギュレータ403、およびロードスイッチ406からなる電源系回路の他に、CPU401およびセンサ409を備える。
CPU401およびセンサ409は、充電デバイス160および電源系回路から得られた電力により動作する。
CPU401は、センサ装置140E全体の制御を行うとともに、RFID100との間でデータ通信を行う。さらに、CPU401は、センサ409から受信した計測データをRFID100のメモリ104Mに書き込む。
センサ409は、例えば温度センサ等の所定の物理量を計測し、計測データをCPU401へ出力する。
このようなセンサ装置を備えたRFID付き電子モジュール10Iは、例えば、具体的に、次に示すように利用される。
まず、RFID付き電子モジュール10Iをリーダ/ライタ装置30もしくは給電装置上に載置し、上述のように、RFID100を動作させてスイッチ素子151,152を制御しながら充電デバイス160を充電する。
センサ409は、充電デバイス160から電力供給を受けながら、所定の時間間隔で計測データを取得し、CPU401へ出力する。この際、例えば、CPU401がRFID100の動作状態を検出する機能を備えておく。RFID付き電子モジュール10Iが、リーダ/ライタ装置30もしくは給電装置から離間されると、RFID100は停止する。CPU401は、この停止を検出して、センサ409に対して計測開始制御をする。センサ409はこの計測開始制御にしたがって、計測を開始する。これにより、リーダ/ライタ装置30もしくは給電装置に載置されている状態では計測の必要が無い場合に、充電デバイス160の不要な放電を防止できる。これは、例えば、当該RFID付き電子モジュール10が貨物用のセンサ付きタグであり、搬送中の温度履歴等を取得する場合に有用である。
CPU401は、順次取得した計測データをRFID100のメモリ104Mに順次記憶する。
そして、計測期間が終了した際、例えば上述の搬送の温度履歴の取得が必要なくなった時点で、当該RFID付き電子モジュール10をリーダ/ライタ装置30上に載置する。ここで、この載置前では、RFID100は動作しておらず、回路的には、二次側アンテナコイル210にRFID100のみが接続された構成となっている。したがって、載置直後には、RFID100のみに電力供給されて、まずRFID100のみが起動する。
RFID100のメモリ104Mには、継続的に記憶された計測データが記憶されているので、RFID100は、当該計測データをリーダ/ライタ装置30に、送信する。これにより、リーダ/ライタ装置30は、計測データ(上述の貨物の場合であれば温度履歴)を取得することができる。そして、この計測データの送信中には、RFID100は、スイッチ制御信号CTLを「Low」レベルのまま維持するように設定する。このような設定を行えば、計測データの送信中にRFID100へ供給される電力量が大きいままとなり、高速なデータ送信が可能になる。
RFID100は、すべての計測データの送信が終了すると、スイッチ制御信号CTLを「Hi」レベルとする。これにより、整流回路120へ電流が流れ、再度、充電デバイス160を充電することができる。そして、この際、バイパス回路110を介することで、効率良く充電することができる。
すなわち、本実施形態の構成および処理を用いれば、効率的な充電、および、RFID100とリーダ/ライタ装置30との間の高速な通信を、実現することができる。そして、このような構成を簡素で、小型且つ薄型で実現できる。
次に、第9の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図17は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Jの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Jは、第8の実施形態の図16に示したRFID付き電子モジュール10Iに対して、充電制御用スイッチ素子155を追加するとともに、機能部140からスイッチ制御信号CTL0を充電制御用スイッチ素子155へ与える点で異なる。なお、機能部140には、第5実施形態や第6実施形態に示したように、充電デバイス160の充電状態を検出する充電検出回路を備える。また、機能部140からRFID100のメモリ104Mへの書き込みを省略している。したがって、以下では異なる箇所のみを説明する。
未充電状態から、充電デバイス160が充電されるまでは、第8の実施形態と同じである。機能部140は、充電デバイス160が十分に充電されていることを検出すると、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力する。
充電制御用スイッチ素子154は、デプレッション型のスイッチ素子であり、機能部140が動作していなかったり、充電デバイス160の充電が不十分で「Low」レベルのスイッチ制御信号CTL0を受けている場合には、「短絡」となる。しかしながら、充電デバイス10の充電が十分になり「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を受けると、充電制御用スイッチ素子154は「開放」になる。これにより、RFID100および整流回路120が二次側アンテナコイル210から切り離され、RFID100および整流回路120へ電流が供給されなくなる。この結果、不必要な電力供給を停止することができる。また、この状態により、リーダ/ライタ装置30が、RFID100との通信断を検出して、駆動信号の送信を間欠的に行うように切り替えれば、リーダ/ライタ装置30の省電力化も実現できる。
次に、第10の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図18は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Kの構成回路図である。
上述の各実施形態では、バイパス回路110を有する場合を示したが、第1の実施形態に示したように、バイパス回路110を省略することも可能である。本実施形態では、そのようなバイパス回路110を用いない場合の回路構成について示す。
図18に示すように、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Kは、第1の実施形態の図2に示したRFID付き電子モジュール10Aに対して、コンデンサCbを省略したものである。
このような構成であっても、RFID100の入力コンデンサCinや平滑回路102を構成する平滑コンデンサC1Lにより、電流経路が確保される。さらに、RFID100に入力コンデンサCinが備えられていなくても、平滑コンデンサC1Lにより、電流経路が確保される。したがって、RFID100の整流回路101と整流回路120とを直列接続しても、それぞれに電流を供給することができる。これにより、RFID100の制御部104を介することなく、RFID100とは別体の機能部140へ電力供給することができる。そして、このような構成とすれば、さらに構成要素を減らすことができ、回路を簡素化できる。
次に、第11の実施形態に係るRFID付き電子モジュールについて、図を参照して説明する。図19は、本実施形態のRFID付き電子モジュール10Lの構成回路図である。
本実施形態のRFID付き電子モジュール10Lは、第10の実施形態の図18に示したRFID付き電子モジュール10Kに対して、充電制御用スイッチ素子156を備えるとともに、当該充電制御用スイッチ素子156に対して、機能部140からスイッチ制御信号CTL0を与える点で、異なる。なお、機能部140には、第5実施形態や第6実施形態に示したように、充電デバイス160の充電状態を検出する充電検出回路を備える。したがって、以下では異なる点のみを説明する。
充電制御用スイッチ素子156はエンハンスメント型であり、整流回路120に対して並列接続されている。未充電状態から、充電デバイス160が充電されて、機能部140が「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力するまでは、充電制御用スイッチ素子156は「開放」であり、整流回路120へ電流が流れる。これにより、充電デバイス160は順次充電される。
機能部140は、充電デバイス160が十分に充電されていることを検出すると、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を出力する。充電制御用スイッチ素子156は、「Hi」レベルのスイッチ制御信号CTL0を受けると、「短絡」になり、整流回路120へ電流が供給されなくなる。これにより、充電が十分な場合には、単なるRFIDモジュールとして機能する。なお、この際、機能部140からRFID100に充電情報を与えることもできる。このような構成とすれば、RFID100が、充電が十分な情報をリーダ/ライタ装置30へ送信し、リーダ/ライタ装置30は、RFID100の動作に必要十分な程度まで放射電力を低減させることができる。
なお、上述の各実施形態は、本願発明の特徴的構成を実現するための代表例を示すものであり、各実施形態の構成を適宜組み合わせて用いてもよい。また、上述の説明では、充電デバイスを用いる例として、電子ペーパ、無線通信装置、リモコン装置、およびセンサ装置を示したが、充電池を利用する各種の携帯型の電子装置に対しても、本願発明の構成を適用することができる。
また、上述の説明では、アンテナコイルによる電磁界結合による電力供給を受けるシステムを例に説明したが、他の方法で、給電端子対を介して電力供給を受けるシステムおよびIC付き電子デバイスであっても、上述の構成を適用することができる。
また、上述の説明では、バイパス回路を固定値のコンデンサで構成する例を示したが、可変容量素子やその他の交流電流を一定割合または可変割合でバイパスする回路を用いてもよい。