JP5628395B1 - 免疫グロブリン液状組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】室温(1〜30℃)での長期保存が可能で、従って用時溶解の必要性がない、保存安定性に優れた免疫グロブリン液状組成物を提供する。【解決手段】免疫グロブリン液状組成物であって、前記組成物が免疫グロブリンを1〜15w/v%含み、グリセリンを1.0〜9.0w/v%含むこと、及び前記組成物が4.5〜6.5のpHを有することを特徴とする免疫グロブリン液状組成物。免疫グロブリンは、ヒト血漿から得られるヒトのポリエチレングリコール処理免疫グロブリンGであることが好ましい。また、本発明の免疫グロブリン液状組成物は、静脈内投与に使用するのに好適である。【選択図】なし

Description

本発明は、室温保存でも重合体や分解物の生成が少なく、凝集物が少ない、安定な活性を保持することができる免疫グロブリン液状組成物に関する。
免疫グロブリンは、溶液状態において不安定であり、免疫グロブリンの凝集、即ち重合体や二量体の生成により、抗補体活性と呼ばれる免疫グロブリンの補体結合能力が著しく増加し、人体に静脈内投与するとアナフィラキシーショック等の重篤な副作用を起こすことが知られている。また、免疫グロブリンは、分解物(断片)が生成されやすく、分解物(断片)は、免疫グロブリンの活性が損なわれた不純物であり、最小限に抑える必要がある。このようなタンパク質溶液中の凝集、断片化などを回避し、それらの安定性を改善するために、従来は、乾燥製剤、特に凍結乾燥の態様で製剤化されていた。しかしながら、このような乾燥製剤は、使用時には注射用蒸留水等に溶解する必要があったため、即座に投与することができない。また、再溶解中に製剤を汚染させる危険性があった。
免疫グロブリンの安定性と貯蔵を改善する当業界周知の方法は、タンパク質を安定化する賦形剤を免疫グロブリン配合物に添加することである。既知の賦形剤としては、糖類、ポリオール、アミノ酸、アミン、塩、ポリマーおよび界面活性剤が挙げられる。
例えば、特許文献1には、電導度1mmho以下でpHが5.5±0.2であり、かつ安定剤としてソルビトールを2〜10%含有するγ−グロブリン液状組成物が開示されている。かかる液状組成物は、重合物や外観に関して高い保存安定性を示しているが、12ヶ月の長期保存時の安定性はあまり高くない。
特許文献2には、免疫グロブリンの安定剤として二糖類や糖アルコール(例えばソルビトール)が開示され、重合体の生成の抑制において5.0w/v%ソルビトールを使用している。具体的には、pH4.1の2.2%グリセリンを添加した免疫グロブリンに関し、60℃1時間の過酷試験結果が示されているが、この結果は液状加熱時の安定化剤としての効果にすぎず、長期室温保存時の安定性はあまり高くない。
特許文献3は、免疫グロブリン製剤における集合体の生成を予防するために安定剤としてアミノ酸、二糖類や糖アルコールを検討し、L−プロリンが最も良好な安定性であったことを開示している。しかし、この安定剤も免疫グロブリン製剤の長期室温保存時の安定性はあまり高くない。
免疫グロブリンの液状製剤の室温保存は難しく、現在、国内で市販されているIntact型静注用人免疫グロブリンの液状製剤は、「冷所保存(凍結を避けて10℃以下に保存)」である。そのため、使用時に薬剤温度を室温程度に戻した後に投与する必要があり、液状製剤のメリットである「ready to use」には程遠い現状があった。また、製剤の「冷所保存」を実現するには、冷所保管スペースを要する等の問題があった。
特開昭63−192724号公報 特開2008−94722号公報 特表2007−511566号公報
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑みなされたものであり、その目的は、室温(1〜30℃)での長期保存が可能で、従って用時溶解の必要性がない、保存安定性に優れた免疫グロブリン液状組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、免疫グロブリンの安定剤としてグリセリンを特定量添加し、さらにpHを4.5〜6.5に維持することにより、室温での長期保存でも重合体や分解物の生成が極めて少なく、安定した活性を保持できる免疫グロブリン液状製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)の構成を有するものである。
(1)免疫グロブリン液状組成物であって、前記組成物が免疫グロブリンを1〜15w/v%含み、保存安定剤としてグリセリンを1.0〜9.0w/v%含むこと、及び前記組成物が5.0〜6.5のpHを有することを特徴とする免疫グロブリン液状組成物。
(2)免疫グロブリンが、ヒト血漿から得られるヒトのポリエチレングリコール処理免疫グロブリンGであることを特徴とする(1)に記載の免疫グロブリン液状組成物。
(3)室温で保存可能であることを特徴とする(1)または(2)に記載の免疫グロブリン液状組成物。
(4)静脈内投与用であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫グロブリン液状組成物。
本発明の免疫グロブリン液状組成物は、室温での長期保存でも外観に変化がなく、しかも不溶性異物や重合物の生成がほとんどなく、安定した活性を保持することができる。従って、本発明の免疫グロブリン液状組成物は、室温で長期保存可能であり、用時溶解や冷所保管の必要性が全くない。
以下に本明細書で使用する用語の定義を記載する。
(1)安定性
安定性は、一定の保存条件で保存した場合の品質安定性を意味する。液状組成物を30℃で保存するとき、外観に濁りや凝集物を認めず、重合体や分解物の生成がほとんど抑制され、且つ免疫グロブリンの活性を損なっていない状態にあれば、安定性があると判断する。
(2)凝集物
凝集物は、外観上、肉眼で観察される浮遊物や沈殿物である。
(3)重合体
重合体は、2量体より大きな免疫グロブリンの集合体である。生物学的製剤基準では、免疫グロブリン製剤中1.0%以下の規定がある。
(4)分解物
分解物は、免疫グロブリンの一部が断片化された物質である。
(5)免疫グロブリン画分
免疫グロブリン画分は、ヒト血漿由来の免疫グロブリンを含む画分であり、かかる免疫グロブリンが含まれる限り特に限定されない。免疫グロブリン画分は、コ−ンの低温エタノール分画により得られる画分II+III、画分II、および、免疫グロブリンを含むこれらと同等の画分ペーストを、ポリエチレングリコール処理、陰イオン交換体処理、ウイルス除去膜処理などの精製技術を用いて精製する。
(6)単位w/v%とは、重量/容量%(weight/volume%)を示す。例えば、免疫グロブリン組成物中 免疫グロブリン1w/v%とは、免疫グロブリン組成物100mL中に免疫グロブリン1gが含まれていることを意味する。
本発明の免疫グロブリン液状組成物に使用される免疫グロブリンとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール処理ヒト免疫グロブリン等が例示される。免疫グロブリンの精製方法は、当業者に公知であるが、以下にその方法を例示する。
(1)出発原料
出発原料としては、ヒト血漿由来の免疫グロブリンを含む画分が使用され、かかる免疫グロブリンを含むものであれば特に限定されない。具体的には、コーンの低温エタノール分画により得られる画分II、および免疫グロブリンを含むこれらと同等の画分のペースト等が挙げられる。
(2)製法
本発明の免疫グロブリン液状組成物は、例えば以下に記載のように、出発原料を、ポリエチレングリコール処理工程、濃縮工程、陰イオン交換体処理工程、多孔性膜による濾過処理工程及び濃縮工程等の処理工程に供することにより製造されることができる。
・ポリエチレングリコール処理工程
本工程は、出発原料をポリエチレングリコール(PEG)で処理し、上清を回収する工程である。出発原料を適当な水性溶媒(出発原料の少なくとも5倍容量以上)に懸濁して、免疫グロブリンを抽出する。pHは4.5〜6.5、イオン強度は0.0001〜0.1Mにする。分子量1,000〜10,000のPEGで、PEG濃度4〜10w/v%、pH4.5〜6.5、イオン強度0.0001〜0.1Mとする。PEG処理は、0〜10℃程度で通常30分〜6時間程度攪拌し、遠心分離(6,000〜8,000rpm、10〜30分間)して上清を回収する。
・濃縮工程
上清画分をpH3.5〜5.0に調整し、分画分子量10万程度の限外濾過膜を用いて濃縮処理を行う。加圧条件としては、1〜10kg/mが好適である。
・陰イオン交換体処理工程
(i)陰イオン交換体の調製
陰イオン交換体は、陰イオン交換基を不溶性担体に結合したものである。陰イオン交換基としては、ジエチルアミノエチル(DEAE)基、四級アミノエチル(QAE)基等を用いることができ、不溶性担体としては、アガロース、セルロース、デキストラン、ポリアクリルアミド等を用いることができる。その結合は公知の方法で行うことができる。
(ii)処理方法
水性溶媒は、pH5〜8、イオン強度0.0001〜0.3Mの水溶液である。溶液中の蛋白濃度としては、1〜15w/v%を上記の水性溶媒で平衡化した陰イオン交換体と接触処理する。その処理に際しては、バッチ法、カラム法のどちらを用いてもよい。例えばバッチ法では、陰イオン交換体1mLに対して処理対象溶液5〜100mL程度と混合させ、0〜10℃で30分〜2時間程度攪拌した後、遠心分離(3,000〜8,000rpm、10〜30分間)して上清を回収する。
・多孔性膜による濾過処理
上記の免疫グロブリン含有溶液を多孔性膜を用いて濾過処理を行う。多孔性膜の平均孔径は10〜50nm、好ましくは35±2nmまたは15±2nmであり、膜厚は好ましくは35±3.5μmまたは27±3μmであり、その膜は好ましくは多重層構造である。この時の濾過圧力は0.1〜1kgf/cmで、処理温度は好ましくは4〜30℃であり、処理時間は1時間〜24時間である。濾過処理では、平均粒径100nm以上、好ましくは75nm以上、より好ましくは35nm以上の不溶性の微粒子や、免疫グロブリンの分子量(約15万)よりも大きい分子量を有する可溶性の微粒子が除去される。
・濃縮工程
上清画分をpH3.5〜5.0に調整し、分画分子量10万程度の限外濾過膜を用いて濃縮処理を行う。加圧条件としては、1〜10kg/mが好適である。
本発明の免疫グロブリン液状組成物は、組成物全体に対して、免疫グロブリンを1〜15w/v%含み、安定剤としてグリセリンを1.0〜9.0w/v%を含むこと、そして4.5〜6.5のpHを有することを特徴とする。本発明の免疫グロブリン液状組成物のグリセリンの含有量は、組成物全体に対して、好ましくは1.2〜6.0w/v%、さらに好ましくは1.5〜4.0w/v%である。本発明の免疫グロブリン液状組成物のpHは、好ましくは4.8〜6.0、さらに好ましくは5.0〜5.5である。グリセリンの含有量が上記範囲より低いと、保存時に重合体や分解物が増加し、逆に上記範囲より高いと、製剤として不適切なものになりうる。また、pHが上記範囲より低いと、分解物が増加し、逆に上記範囲より高いと、重合体が増加する。液状組成物へのグリセリンの添加方法やpHの調整方法は当業者に公知の方法を適宜採用すればよい。
本発明の免疫グロブリン液状組成物は、静脈内投与に用いることが好ましいが、それに限定されず、皮下投与のために使用してもよい。静脈内投与に用いる場合の免疫グロブリン液状組成物の例としては、免疫グロブリンが5w/v%、安定化剤としてグリセリンが1.0〜3.0w/v%、pHが5.0〜5.5である。あるいは、免疫グロブリンが10w/v%、安定化剤としてグリセリンが1.0〜4.0w/v%、pHが5.0〜5.5である。
本発明の免疫グロブリン液状組成物は、さらに必要により、他の医薬活性成分、浸透圧調整剤、pH調整剤、安定化剤などを適宜添加することができる。
本発明の免疫グロブリン液状組成物は、免疫グロブリンが殆ど不活化されておらず、しかも、ウイルス除去膜処理を施すことにより夾雑ウイルスも除去され、抗補体活性も充分に低い等の性質を有する。本発明の免疫グロブリン液状組成物は、室温での保存(1〜30℃以下に保存)が可能で、かつ用時溶解の必要がなく、静脈内投与、点滴などにより、感染症等の予防または治療に好適に用いられる。
(免疫グロブリン含有溶液の調製)
ヒト血漿から冷エタノール法により得られた、コーンのエタノール分画により得られる画分IIの1kgに水10リットルを加え、pH5.5の条件下で、ポリエチレングリコール(平均分子量4,000)を終濃度が6w/v%となるように添加し、7℃で遠心分離し、上清を得た。
この上清をpH4に調整した後、分画分子量3万の限外濾過膜(ペリコン2バイオマックス、ミリポア社製)を用いて注射用水に対して溶液の濃縮を行った。
pH6〜7に調整した当該溶液に水で平衡化したDEAE−セファデックスを添加(溶液50mL当たり2mL)し、0〜10℃の条件下で約1時間接触処理し、処理後濾過することによりDEAE−セファデックスを除去して濾過液を回収した。この濾過液を除菌濾過(孔径0.2μmのメンブランフィルター)した後に多孔性膜による濾過処理を行い、免疫グロブリン含有溶液を得た。
(添加物を有する免疫グロブリン液状組成物の調製)
上記の免疫グロブリン含有溶液を注射用水で5w/v%に調製し、濃グリセリンを終濃度が1.2、2.0及び8.0w/v%となるように添加した。これらの溶液のpHを5.0、5.5及び6.5になるようにそれぞれ調整し、バイアル瓶に分注し、本発明例の免疫グロブリン液状組成物を得た。
また、上記の免疫グロブリン含有溶液を注射用水で5w/v%に調製し、ソルビトールが5.0w/v%となるように添加した。これらの液のpHを4.0及び5.5になるように調整し、バイアル瓶に充填し、従来例1の免疫グロブリン液状組成物を得た。さらに、従来例1のソルビトールの代わりにL−プロリンを3.0w/v%となるように添加し、同様に操作し、従来例2の免疫グロブリン液状組成物を得た。
また、上記の免疫グロブリン含有溶液を注射用水で5w/v%に調製し、濃グリセリンを終濃度が0.6w/v%となるように添加し、pHを5.5になるように調整し、バイアル瓶に充填し、比較例1の免疫グロブリン液状組成物を得た。さらに、pHを4.3及び6.8に調整し、濃グリセリンの終濃度を2.0w/v%となるようにそれぞれに添加し、比較例1と同様に操作し、比較例2及び3の免疫グロブリン液状組成物を得た。
1.安定性試験
上記の本発明例、従来例、及び比較例の免疫グロブリン液状組成物について、30℃で3ヶ月、6ヶ月及び12ヶ月保存した後の外観試験、不溶性異物試験および重合物否定試験を行った。各試験の方法は以下の通りである。
1−1.外観試験
溶液の色調及び澄明性について、肉眼観察を行った。
1−2.注射剤の不溶性異物試験
日本薬局方の注射剤の不溶性異物検査法第1法により、異物の有無を肉眼観察した。
1−3.免疫グロブリンG重合物否定試験
検体をBufferで希釈し、蛋白濃度を0.25w/v%になるように調製し、TSK gel G3000SWXLを装着した高速液体クロマトグラフ(HP 1100 Series)に注入し、面積百分率法により試験を行った。面積百分率法は、クロマトグラム上に得られた各ピークのピーク面積の総和を100とし、重合物及び分解物それぞれのピーク面積の割合(%)を求める。
分析条件
Column :TSK gel G3000SWXL
Buffer :0.15mol/Lの塩化ナトリウムを含む0.05mol/Lリン酸緩衝液,pH7.0
Flow rate:0.4mL/分
分析時間 :45分
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長280nm)
2.試験結果
2−1.外観
安定性試験開始時の外観は、いずれも無色澄明な液体であった。安定性試験期間中、本発明例および従来例において変化は認められなかったが、2.0w/v%グリセリン添加(pH6.8)(比較例3)において、わずかに白濁を認めた。
2−2.注射剤の不溶性異物試験
安定性試験開始時、いずれも不溶性異物は認められなかった。安定性試験期間中、本発明例および従来例において、変化は認められなかったが、2.0w/v%グリセリン添加(pH6.8)(比較例3)において、わずかに不溶性異物を認めた。
2−3.重合物否定試験
安定性試験開始時は、重合体(ポリマー)含量は0.0%、分解物含量は0.0%であった。本発明例、従来例および比較例の安定性試験結果を下記表1に示す。表1から、本発明例は、比較例、従来例に比べて長期保存時の重合体及び分解物の生成が少ないことが理解される。
Figure 0005628395
3.長期安定性
上記の免疫グロブリン含有溶液を注射用水で5w/v%に調製し、濃グリセリンを終濃度が2.0w/v%となるように添加した液をpH5.3になるように調整し、バイアル瓶に充填し、2.0w/v%グリセリン添加の5w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)について、長期安定性試験を行った。30℃で12ヶ月、20ヶ月及び24ヶ月保存した後の外観試験、不溶性異物試験および重合物否定試験を行った。各試験の方法は以下の通りである。
3−1.外観試験
溶液の色調及び澄明性について、肉眼観察を行った。
3−2.注射剤の不溶性異物試験
日本薬局方の注射剤の不溶性異物検査法第1法により、異物の有無を肉眼観察した。
3−3.重合物否定試験
検体をBufferで希釈し、蛋白濃度を0.25w/v%になるように調製し、TSK gel G3000SWXLを装着した高速液体クロマトグラフ(HP 1100 Series)に注入し、面積百分率法により試験を行った。面積百分率法は、クロマトグラム上に得られた各ピークのピーク面積の総和を100とし、重合物及び分解物それぞれのピーク面積の割合(%)を求める。
分析条件
Column :TSK gel G3000SWXL
Buffer :0.15mol/Lの塩化ナトリウムを含む0.05mol/Lリン酸緩衝液,pH7.0
Flow rate:0.4mL/分
分析時間 :45分
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長280nm)
4.試験結果
4−1.外観
2.0w/v%グリセリン添加の5w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)の長期保存試験開始時の外観は、無色澄明な液体であった。30℃保存で24ヶ月を経過しても、外観に変化は認められなかった。
4−2.注射剤の不溶性異物試験
2.0w/v%グリセリン添加の5w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)の長期保存試験開始時、不溶性異物は認められなかった。30℃保存で24ヶ月を経過しても、変化は認められなかった。
4−3.重合物否定試験
2.0w/v%グリセリン添加の5w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)の長期保存試験開始時、重合体(Polymer)含量は0.0%、分解物含量は0.0%であった。その長期保存試験結果を下記表2に示す。表2から、2.0w/v%グリセリン添加の5w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)が長期間にわたって重合体及び分解物の生成を抑制できることが理解される。
Figure 0005628395
(10w/v%免疫グロブリン液状組成物の調製)
上記の免疫グロブリン含有溶液を注射用水で10w/v%に調製し、濃グリセリンを終濃度が2.0及び4.0w/v%となるように添加した。これらの溶液のpHを5.3になるようにそれぞれ調整し、バイアル瓶に充填し、グリセリン添加の10w/v%免疫グロブリン液状組成物を得た。
上記のグリセリン添加の10w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)について、安定性試験を行った。30℃で3ヶ月保存した後の外観試験、不溶性異物試験および重合物否定試験を行った。各試験の方法は以下の通りである。
5−1.外観試験
溶液の色調及び澄明性について、肉眼観察を行った。
5−2.注射剤の不溶性異物試験
日本薬局方の注射剤の不溶性異物検査法第1法により、異物の有無を肉眼観察した。
5−3.免疫グロブリンG重合物否定試験
検体をBufferで希釈し、蛋白濃度を0.25w/v%になるように調製し、TSK gel G3000SWXLを装着した高速液体クロマトグラフ(HP 1100 Series)に注入し、面積百分率法により試験を行った。面積百分率法は、クロマトグラム上に得られた各ピークのピーク面積の総和を100とし、重合物及び分解物それぞれのピーク面積の割合(%)を求める。
分析条件
Column :TSK gel G3000SWXL
Buffer :0.15mol/Lの塩化ナトリウムを含む0.05mol/Lリン酸緩衝液,pH7.0
Flow rate:0.4mL/分
分析時間 :45分
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長280nm)
6.試験結果
6−1.外観
グリセリン添加の10w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)の長期保存試験開始時の外観は、無色澄明な液体であった。30℃保存で3ヶ月経過しても、外観に変化は認められなかった。
6−2.注射剤の不溶性異物試験
グリセリン添加の10w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)の長期保存試験開始時、不溶性異物は認められなかった。30℃保存で3ヶ月経過しても、変化は認められなかった。
6−3.重合物否定試験
重合物否定試験の結果を下記表3に示す。表3から、グリセリン添加の10w/v%免疫グロブリン液状組成物(pH5.3)が長期間にわたって重合体及び分解物の生成を抑制できることが理解される。
Figure 0005628395
本発明によれば、従来技術では困難であった免疫グロブリン液状製剤の室温(1〜30℃)での保存を可能とし、重合体及び分解物の生成が少なく、免疫グロブリンの活性を保持し、且つ静脈注射可能な非化学修飾完全分子型免疫グロブリン液状製剤を提供することができる。これにより、従来乾燥製剤に不可欠であった用事溶解の手間が省け、且つ使用時の薬剤温度を室温程度に戻す必要がなく、緊急時にも即座に投与可能となり、医療従事者への負担を大幅に軽減することができる。また、室温での保存が可能であることから、医療現場での冷所保管スペースを要さず、定常時のみならず災害時等でもその有用性は極めて高い。

Claims (4)

  1. 免疫グロブリン液状組成物であって、前記組成物が免疫グロブリンを1〜15w/v%含み、保存安定剤としてグリセリンを1.0〜9.0w/v%含むこと、及び前記組成物が5.0〜6.5のpHを有することを特徴とする免疫グロブリン液状組成物。
  2. 免疫グロブリンが、ヒト血漿から得られるヒトのポリエチレングリコール処理免疫グロブリンGであることを特徴とする請求項1に記載の免疫グロブリン液状組成物。
  3. 室温で保存可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の免疫グロブリン液状組成物。
  4. 静脈内投与用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の免疫グロブリン液状組成物。
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JPN6014029454; Tukachinskii, S.E. et al.: 'Stabilization of immunoglobulin preparations.' APPL. BIOCHEM. MICROBIOL. Vol.13, No.4, 1977, p.473-476 *
JPN7014002127; CHEN, C.-C. et al.: 'Effect of Thermal Protectants on the Stability of Bovine Milk Immunoglobulin G' Journal of Agricultural and Food Chemistry Vol.46, No.9, 1998, p.3570-3576 *

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