JP5628232B2 - ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん - Google Patents

ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん Download PDF

Info

Publication number
JP5628232B2
JP5628232B2 JP2012057171A JP2012057171A JP5628232B2 JP 5628232 B2 JP5628232 B2 JP 5628232B2 JP 2012057171 A JP2012057171 A JP 2012057171A JP 2012057171 A JP2012057171 A JP 2012057171A JP 5628232 B2 JP5628232 B2 JP 5628232B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass bottle
label
weight
coating composition
bottle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012057171A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013189558A (ja
Inventor
京子 桐山
京子 桐山
政美 岩田
政美 岩田
Original Assignee
日本耐酸壜工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本耐酸壜工業株式会社 filed Critical 日本耐酸壜工業株式会社
Priority to JP2012057171A priority Critical patent/JP5628232B2/ja
Publication of JP2013189558A publication Critical patent/JP2013189558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5628232B2 publication Critical patent/JP5628232B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明はガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびんに関し、特に塗装後のガラスびん同士の加傷抑制と摩擦低減に加え、ラベルの貼着力を高めるガラスびん表面処理用コーティング組成物と、同ガラスびん表面処理用コーティング組成物を塗装したガラスびんに関する。
ガラス材は極めて安定した性質を有していることから、びん等の容器として広汎に用いられている。しかし、ガラスびん同士の接触等によりびん表面に傷が生じることがある。ガラスびん表面の加傷が原因となり、ガラスびんの強度低下が問題となっていた。
ガラスびん表面の加傷を低減するため、一般に、徐冷炉の上流端側(ホットエンド)において成形後のガラスびんの外表面に酸化スズがコーティングされる。加えて、徐冷炉の下流端側(コールドエンド)においてもポリエチレン樹脂等がコーティングされる。酸化スズのコーティングは表面の硬度を高める目的であり、樹脂のコーティングはガラスびん同士の接触時の滑りやすさを高める目的で用いられる。
このような加傷を低減する処理が施されたガラスびん表面に、製品名等を表示したラベルが貼付される。しかしながら、ガラスびんの滑性を高める樹脂コーティングは、撥水性を有するため、ラベルを貼着する際の糊付けを悪くしてしまう。
そこで、ラベルの貼り付けやすさや貼着の維持を改善するため、例えば、次の手法等をはじめとする各種の改善が提案されている。具体的には、エマルジョン状態のポリエチレン樹脂にカルボキシメチルセルロースを添加して調製したコーティング液をコールドエンドにて塗布したガラス製品が提案されている(特許文献1参照)。また、糖類や誘導体を含む樹脂のコーティング液をガラスびん表面に塗布し、形成されたコーティング層の上に感熱ラベルを貼付し、さらにその上から疎水性コーティング層を形成したガラスびんが提案されている(特許文献2参照)。さらに、非イオン界面活性剤、ポリエチレンワックス、シランカップリング剤を含有するコーティング組成物が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、各特許文献に開示の方法を採用した場合であっても、所望の十分なラベルの貼着を獲得することができなかった。また、ラベル貼り工程の複雑化や専用ラベルが必要である。このことから、従来から多用されているデンプン糊を用いた紙製ラベルの貼着にあっては満足できるものではなかった。
特許第3984407号公報 特許第3883051号公報 特許第4464626号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、ガラスびん表面における滑性とともにラベルの接着性を向上することができるガラスびん表面処理用コーティング組成物を提供するとともに、当該ガラスびん表面処理用コーティング組成物を適用したガラスびんを提供する。
すなわち、請求項1の発明は、ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したびんに付着して該びん表面の滑性とラベル接着性とを向上させる水性組成物であって、前記水性組成物は、ポリエチレン樹脂エマルジョンにおけるポリエチレン樹脂固形分量1重量部に対しプルラン1.3〜5重量部を混合し、水中分散において0.1〜0.5重量%の固形分濃度に調製したコーティング液であることを特徴とするガラスびん表面処理用コーティング組成物に係る。
請求項2の発明は、請求項1に記載のガラスびん表面処理用コーティング組成物を、ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したびんに付着し乾燥して表面層を形成しびん表面の滑性とラベル接着性とを向上させたことを特徴とするガラスびんに係る。
請求項3の発明は、前記ラベルがデンプン糊によってびん表面に貼着される請求項2に記載のガラスびんに係る。
請求項1の発明に係るガラスびん表面処理用コーティング組成物によると、ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したびんに付着して該びん表面の滑性とラベル接着性とを向上させる水性組成物であって、前記水性組成物は、ポリエチレン樹脂エマルジョンにおけるポリエチレン樹脂固形分量1重量部に対しプルラン1.3〜5重量部を混合し、水中分散において0.1〜0.5重量%の固形分濃度に調製したコーティング液であるため、ガラスびん表面における滑性とともにラベルの接着性を向上することができた。
請求項2の発明に係るガラスびんによると、請求項1に記載のガラスびん表面処理用コーティング組成物を、ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したびんに付着し乾燥して表面層を形成しびん表面の滑性とラベル接着性とを向上させたため、びん表面の滑性並びにラベル接着性を向上させたガラスびんを得ることができた。
請求項3の発明に係るガラスびんによると、請求項2の発明において、前記ラベルがデンプン糊によってびん表面に貼着されるため、充填等の製造、流通、販売等の段階では比較的強固な接着性能を有しラベルの貼着を維持できる。また、使用済みのガラスびんを回収した後、水洗浄時のラベル剥離は容易となる。
本発明のガラスびんの製造工程の概要工程図である。 本発明のガラスびんの断面模式図である。
本発明に規定するガラスびん表面処理用コーティング組成物は、成形、製びんされたガラスびん表面に塗布することによって、ガラスびん同士の滑りやすさ(滑性)を高め、そして、以降にて詳述するとおり、ラベルの貼着性能(接着性)を高めるために用いるコーティング剤の一種である。
ガラスびんは搬送、内容物の充填、洗浄、検品、陳列等の各段階において互いのびん同士の接触は不可避である。この場合、ガラスは比較的高い硬度であることから互いのびん同士の接触時にびん表面に加傷(クラック)が入りやすい。ちなみに、ガラスびんに使用されるソーダライムガラスのモース硬度は約6.5度である。
ガラスびん表面の加傷が原因となってびん自体の構造強度を低下させてしまうおそれがある。そこで、徐冷前の時点においてガラスびん等のガラス製品の表面への酸化スズのコーティングが従前から行われてきた。酸化スズのコーティングは、ガラスびん表面の加傷防止として代表的な手法である。この酸化スズコーティングに加えて、ガラスびん表面の滑性を高めることにより、ガラスびん同士が接触して摩擦する時間はより短くなる。つまり、加傷要因を低下することができる。
背景技術にも開示したように、ガラスびん表面の滑性向上と相反してラベルの接着性、貼着性は悪化しやすい。専用のより強力な接着剤を用いることにより、ラベルの貼り付け具合を改善することは可能ではある。しかし、ガラスびんを回収して再利用、再使用をする場合、ラベルの剥離性が悪ければ、異物混入や作業効率の低下原因となる。すなわち、製品としての製造、販売段階では良好なラベルの貼着力を維持しながら、その後の回収段階では、容易にラベルを剥離可能とする性質の具備が必要である。
以上の点を加味して完成した本発明のガラスびん表面処理用コーティング組成物とは、徐冷炉の上流端側(ホットエンド)において成形後のガラスびんの外表面に酸化スズコーティングを施した後のガラスびん表面に付着(塗工、塗布)する水性組成物である。
当該水性組成物は、水中に主に次の2種類の固形分を分散、溶解して得た組成物である。1種類目はポリエチレン樹脂エマルジョンである。ポリエチレン樹脂が微粉末化加工されてエマルジョンとなった液剤である。エマルジョン状態であれば、事後、水性組成物として水に分散させる際に取り扱いが簡便であり、分散効率が良い。また、ポリエチレン樹脂は低廉であり比較的性質が安定している。また、ポリエチレン樹脂は疎水性を有していることから、その微粉末化物がガラスびん表面に存在すると、びん表面に撥水膜を形成すると考えられる。それゆえ、ガラスびん表面に滑性も付与可能となる。むろん、樹脂のエマルジョン液はポリエチレンに限られることはなく、その他の樹脂の微粉末品の使用も可能である。
この点からわかるように、単にポリエチレン樹脂エマルジョンのみの配合では撥水作用が強くなる。つまり、ラベルの接着性を低下させてしまう。これに対処するべく、2種類目の成分としてプルランが親水性物質として添加される。発明者はプルラン以外にも糖類、オリゴ糖も試みた。しかし、ガラスびん表面に糖の結晶が析出して白化したり、逆に糖の存在により摩擦が増して滑性の低下を招いたりして外観面、性能面を劣化する結果となった。結果的にプルランが最も優れているため、ポリエチレン樹脂エマルジョンの作用を補完する成分として採用した。
プルランは水膨潤性に優れた糖鎖化合物であり、糖の分子鎖において水分子を多く吸着し、維持することができる。従って、たとえ表面がポリエチレン樹脂により撥水とともに滑性が高められた状態となっても、プルランは、後述するラベルを貼着(接着)する際に用いるデンプン糊との間でアンカー剤のように作用する。このように、ガラスびん表面に存在するプルランとラベルのデンプン糊は親和性を発揮するため、良好な接着力が発現し得る。
また、プルランは、ガラスびん表面処理用コーティング組成物である水性組成物をガラスびん表面に塗布し乾燥した後であっても、空気中の水分と結びつきやすく安易に白化し難くなる。つまり、結晶の析出が生じにくく摩擦の低減に寄与する。
次に、ポリエチレン樹脂エマルジョンとプルランの配合割合を検討する。この場合、ポリエチレン樹脂エマルジョンに含有されているポリエチレン樹脂固形分量を基準とした。ポリエチレン樹脂エマルジョンは、個々のエマルジョン製品ごとにポリエチレン樹脂の含有量が異なることがある。また、エマルジョン中の固形分の分散性を高めるための添加物等も含有される。このことから、ポリエチレン樹脂固形分量を不変値とした。
発明者らによる後記実施例の検証の結果、ポリエチレン樹脂エマルジョンにおけるポリエチレン樹脂固形分量を1重量部としたとき、この1重量部に対し、プルランは1.3ないし5重量部、すなわち、1.3ないし5倍重量の配合が有効であることが判明した。プルランの混合が1.3重量部未満の場合、プルラン自体が少なすぎて良好な糊付けラベルの接着性を得ることができない。また、プルランの混合が5重量部を超える場合、糊付けラベルの貼着は良好となるものの、当該重量まで配合しても効果は頭打ちとなる。そのため、経費面から当該量が上限となる。
そして、ポリエチレン樹脂エマルジョンとプルランの混合物は、水中分散により希釈され、最終的に0.1ないし0.5重量%の固形分濃度に調製される。こうして、コーティング液、すなわち、本発明のガラスびん表面処理用コーティング組成物は完成する。ここでいう固形分濃度とは、当該ガラスびん表面処理用コーティング組成物(水性組成物)に占める全固形分量の割合を意味する。従って、ポリエチレン樹脂エマルジョン自体に含まれる水分量も考慮して希釈される。
当該固形分濃度(重量%)は、後記実施例のとおり、ガラスびん同士の滑性を満たす数値として採用される。合計の固形分濃度が0.1重量%を下回る場合、希薄になりすぎることから、滑性の効果が低減すると考えられる。また、合計の固形分濃度が0.5重量%を上回る場合、滑性の向上は頭打ちとなり、逆にラベルの接着性を低下させる。そのため、当該量が上限となる。
続いて、本発明に規定するガラスびんについて、図1の概略工程図を用い、製法を交えながら説明する。
塗装対象となるガラスびんは公知の製びん機において成形される(S1)。その後、成形済みのびんは徐冷炉へ搬送される。そこで、徐冷炉の上流端側(ホットエンド)において成形後のガラスびんの外表面に酸化スズがコーティングされ(S2)、当該コーティング後徐冷される(S3)。徐冷終了後、徐冷炉の下流端側(コールドエンド)において、前述の調製により得たコーティング液(ガラスびん表面処理用コーティング組成物)がガラスびん表面に塗布される(S4)。コーティング液の塗布には適宜方法が用いられる。例えば、びん内にコーティング液が侵入しないスプレー塗布やコーティング液浴中に漬ける等の方法がある。
コーティング液は水性組成物であることから、その塗布後にガラスびんは乾燥される(S5)。乾燥により液中の水分は蒸発する。そして、ポリエチレン樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子とプルランがびん表面に残留して同表面に表面層が形成される。乾燥は、自然乾燥、通風乾燥、熱風乾燥等の適宜である。ただし、ポリエチレン樹脂やプルランが焼成、変質しない温度下での処理となる。以上の処理をもって、びん表面の滑性並びにラベル接着性を向上させたガラスびんはできあがる(S6)。
次に、コーティング液の塗布により表面層を形成したガラスびんに対してラベルが貼着される(S7)。使用するラベルは紙製ラベルが一般的である。そこで、紙用の接着剤として一般的であり、安価かつ安全性に優れ、適度な接着力を備えたデンプン糊が使用される。デンプン糊の利点は、充填等の製造、流通、販売等の段階では比較的強固な接着性能を有しラベルの貼着を維持できる。それとともに、事後、使用済みのガラスびんを回収した後、水洗浄時のラベル剥離は容易である。このようにデンプン糊は接着強度の調節において都合よい。また、デンプン糊は食品から製造されるため、安全性が確立している。一連の工程を経て、最終的にラベル付きびんはできあがる(S8)。
図2はラベル付きびん10の断面模式図である。成形済みのびん体11の表面に酸化スズがコーティングされ、酸化スズ層12が形成される。その上に、コーティング液(ガラスびん表面処理用コーティング組成物)が塗布、乾燥され、コーティング液中の固形成分による表面層13が形成される。
その後、デンプン糊が裏面に塗布されたラベル15が、びんの表面層13に対して貼着される。デンプン糊が乾燥して糊層14となる。従って、ラベル15は、糊層14及び表面層13を介在してガラスびん体11(酸化スズ層12)に貼着可能となる。
ガラスびん表面処理用コーティング組成物と塗布対象として、褐色びん(内容量100mL、直径44.5mm、全長120.7mm)を用意し、前述のとおり公知手法に基づきホットエンドにおいて酸化スズコーティングを施した。
〔使用材料〕
ポリエチレン樹脂エマルジョンとして、ポリエチレンワックスエマルジョン(株式会社三工ケミカル製,AC629−OL,全固形分量23.2%,ポリエチレン量18.6%)を使用した(以下、PEエマルジョンと略す。)。また、親水性物質として「試料1:プルラン(株式会社林原商事製,プルラン)」、「試料2:トレハロース(株式会社林原商事製,トレハロース)」、及び「試料3:オリゴトース(三菱化学フーズ株式会社製,直鎖オリゴ糖)」を使用した。さらに、レオドール類のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして「試料4:ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(花王株式会社製,レオドールTW−P120)」も使用した。
〔ガラスびん表面処理用コーティング組成物の調製〕
調製に際し、PEエマルジョン中のポリエチレン量に着目し、これと前記の親水性物質との配合を変えて添加した。具体的には、ポリエチレン量(前者)を1重量部とし、親水性物質(後者)の添加を「0.6重量部(1:0.6)」、「1.3重量部(1:1.3)」、「2.5重量部(1:2.5)」、及び「5重量部(1:5)」の順に増やし4段階の倍数量とした。換算に際し、PEエマルジョンの密度は1g/cm3であるため、体積と重量を等価とした。
次に、PEエマルジョンと親水性物質との混合物を水で希釈してガラスびん表面処理用コーティング組成物とした。水希釈に際し、当該ガラスびん表面処理用コーティング組成物において、前出の個々のPEエマルジョンに含まれるポリエチレン等と親水性物質の混合物が占める全固形分量濃度を0.15重量%、0.25重量%,0.5重量%として調製した。
例えば、ポリエチレン量1重量部とし、親水性物質(プルラン)の添加を1.3重量部(つまり、1:1.3)とする配合であり、全固形分量濃度0.25重量%のコーティング組成物を1L用意した場合について、各成分量を示す。当該コーティング組成物を1Lにおける全固形分量は約2.5gである。この全固形分量2.5gは、ポリエチレン樹脂、PEエマルジョン中の他の成分、そしてプルランである。PEエマルジョンにおいて、ポリエチレン量を1重量部としたとき、その他の固形分は0.25重量部である。これにプルランの配合比(1:1.3)を勘案する。そうすると、ポリエチレン量(1/2.55)、プルラン量(1.3/2.55)、その他成分(0.25/2.55)となり、順に、4:5:1の重量比率となる。全固形分量2.5gにこの比率を乗ずると、ポリエチレン量約1g、プルラン量約1.25g、その他成分量約0.25gとなる。その他の配合、濃度の場合も同様に規定し調製した。
〔ガラスびん表面処理用コーティング組成物の塗布〕
ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したガラスびんを室温下で冷却後、前記の各濃度に調製したガラスびん表面処理用コーティング組成物の液浴中にガラスびんの胴部分を漬けた。液浴からガラスびんを取り出し、ガラスびんを乾燥機に搬入して120℃、30分かけて乾燥した。
〔滑性角度評価〕
滑性角度評価は、日本ガラスびん協会規格(昭和52年6月15日制定、平成10年10月30日改正(3))の「7.14 表面滑り角度測定」に規定の測定法に準拠した。測定に際し、上記のコーティング組成物を塗布したガラスびんを90℃の湯により洗浄し乾燥した。洗浄、乾燥後のガラスびんを6本用意した。滑性角度の試験器の保持台に横倒し状態で2本載置し、この上にさらに横倒し状態で1本載置した。このような3本のガラスびんの積み上げ状態のまま、試験器の保持台を傾斜して最上段のガラスびんが滑り始めた時点の角度を計測した。
ガラスびんの胴部分の表面形状によっては誤差を生ずることもある。そこで、1種類のコーティング組成物を塗布したガラスびんについて、上記の積み上げ状態におけるそれぞれのガラスびんを120°回転して、再度滑り始めた時点の角度を計測した。さらにそれぞれのガラスびんを120°回転して、再度滑り始めた時点の角度を計測した。このように、3点(0°,120°,240°)における滑り始めた時点の角度を求めた。そして、用意した6本のうち残りの3本についても上記同様に3点のガラスびんが滑り始めた時点の角度を計測した。なお、手で直接ガラスびんに触れないように取り扱った。手からの皮脂により計測値が左右されるおそれがあるからである。
このようにして合計6点の滑り始めた時点の角度について平均値を求め、当該コーティング組成物使用時におけるガラスびん同士の滑性の評価とした。上記試験法における傾斜角度12°以下をガラスびんの滑性の目安とした。
試料1ないし4の試料ごとの滑性角度評価の結果について、ポリエチレン量1重量部に対する親水性物質の4種類の量比、及び3種類の全固形分量濃度に区分けして表1ないし4に示す。ただし、ポリエチレン量(前者)1重量部に対する親水性物質(後者)の添加を5重量部(1:5)とした場合の測定について、試料1以外から良好な結果が認められないため、試料2ないし4についての計測を打ち切った。
Figure 0005628232
Figure 0005628232
Figure 0005628232
Figure 0005628232
〔滑性角度評価の結果と考察〕
表1ないし表4の結果から、親水性物質としてプルラン(試料1)を用いて作成したコーティング組成物は、他の試料と比較しても良好な滑性を得ることができた。PEエマルジョン中のポリエチレン量に対するプルランの配合割合を変化させた場合、また、コーティング組成物に占める全固形分量濃度を変化させた場合も概ね安定した角度値であり、いずれも目安とした傾斜角度12°を下回った。
比較となる試料2のトレハロース、試料3のオリゴトースでは、親水性物質の濃度依存的に滑性は低下したものの、良好な結果からはほど遠い。さらに、トレハロースやオリゴトースは、糖の結晶の析出により塗布後のガラスびん表面に白化を生じさせた。試料4のポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(レオドール類)については、プルランの場合と同様に良好な滑性角度を示した。
なお、対照としてPEエマルジョンのみを希釈し、コーティング組成物に占める全固形分量濃度を0.15重量%、0.25重量%,0.5重量%として対照組成物も調製した。対照組成物も同様に滑性角度評価に供した結果、前記濃度順に、13.7°,11.0°,10.0°となった。
滑性角度評価の結果から、プルランは、既存のレオドール類やPEエマルジョン単独と比較しても、PEエマルジョンと組み合わせることができる親水性物質として優れていることが判明した。プルランは含水性に優れていることから結晶化に伴う表面白濁を生じることはなく、糖の結晶析出に起因する摩擦抵抗の増大もない。この点が滑性角度評価において大きく影響しているといえる。
〔ラベル残存率評価〕
上記のコーティング組成物を塗布したガラスびんを90℃の湯により洗浄し乾燥した。このガラスびんに60℃の湯を100mL充填し、スクリューキャップによりびんの口部を封止した。実施例にて使用したガラスびんの胴部分に貼り付けるラベルは、縦60mm、横136mmの長方形の紙製である。この紙製ラベルの裏面(貼着面)に規定量のデンプン糊を塗布し、対象となる湯を充填したガラスびんに貼着した。
それぞれの濃度に調製したコーティング組成物を塗布したガラスびんにラベルを貼着後、デンプン糊が乾燥した時点でラベルを四隅より引き剥がした。このとき、ラベル面積(A1)とガラスびん表面に残存した面積(A2)を計測した。そして、当該引き剥がし面積に占める残存面積から、ラベル残存率(Ar)を算出した。つまり、ラベル残存率(Ar)(%)=(A2/A1)×100として示すことができる。ラベル残存率の数値が高いほど、ラベルが強力にガラスびんに接着したことを示す。上記試験法におけるラベル残存率70%以上をガラスびんのラベル接着力の目安とした。
試料1ないし4の試料ごとのラベル残存率評価の結果について、ポリエチレン量1重量部に対する親水性物質の4種類の量比、及び3種類の全固形分量濃度に区分けして表5ないし8に示す。ただし、ポリエチレン量(前者)1重量部に対する親水性物質(後者)の添加を5重量部(1:5)とした場合の測定について、試料1以外から良好な結果が認められないため、試料2ないし4についての計測を打ち切った。
Figure 0005628232
Figure 0005628232
Figure 0005628232
Figure 0005628232
〔ラベル残存率評価の結果と考察〕
表5ないし表8の結果から、ラベルの貼着(接着)の強さのみに着目すると、試料2,3の糖類は濃度に左右されることなく良好である。これに対し、レオドール類では撥水性が強くなることからラベルの貼着は悪化した。ここでプルランに着目すると、表5のように、ポリエチレン量1重量部に対するプルラン0.6重量部ではラベル残存率は思わしくない。しかしながら、ポリエチレン量に対するプルラン量を増すことにより、ラベル残存率を好転することができる。
なお、対照としてPEエマルジョンのみを希釈し、コーティング組成物に占める全固形分量濃度を0.15重量%、0.25重量%,0.5重量%として対照組成物も調製した。対照組成物も同様にラベル残存率評価に供した結果、前記濃度順に、85%,0%,0%となった。
この要因について、プルランは含水により潤滑性を発揮する。同時に、ラベル接着時のデンプン糊の水分も適度に吸収して保水することができる。そこで、PEエマルジョンの撥水作用を受けながらもデンプン糊と水性同士で親和する。そのため、ラベルとガラスびんとの接着力を高めたと推察できる。
〔配合量の考察〕
滑性角度評価とラベル残存率評価の双方を勘案した結果、ポリエチレン量に対するプルラン量の好適な添加量とは、ポリエチレン樹脂エマルジョンにおけるポリエチレン樹脂固形分量1重量部に対しプルラン1.3ないし5重量部であると導き出すことができる。仮に添加プルランが5重量部を超える場合、ラベル残存率の上限であることから、5重量部が上限となる。また、最終的なコーティング組成物に占める固形分濃度換算については、0.15重量%、0.25重量%,0.5重量%と濃度を変化させても概ね所望のラベル残存率を示した。このため、水中分散において0.1ないし0.5重量%の固形分濃度に調製することが好適である。
〔経時変化評価〕
ガラスびん表面処理用コーティング組成物を塗布したガラスびんは、内容物の充填、ラベル貼着まで月単位で期間が空くことがある。そこで、保存期間中のびん表面の塗工膜の劣化を確認した。前述の評価結果を踏まえ、ポリエチレン量1重量部に対するプルラン量2.5重量部とし、最終的なコーティング組成物に占める固形分濃度換算を0.15重量%、0.25重量%,0.5重量%と濃度を変化させてコーティング組成物を調製した。また、PEエマルジョンのみを希釈し、コーティング組成物に占める全固形分量濃度を0.15重量%、0.25重量%,0.5重量%として対照組成物も調製した。
ガラスびんにコーティング組成物を塗布してから1年経過状態を再現するため、未洗浄のガラスびん表面処理用コーティング組成物を塗布したガラスびんを恒温恒湿器内に入れ、40℃、相対湿度60ないし95%RHの条件下で6日保管し加速試験サンプルとした。その後、コーティング組成物塗布直後のガラスびんと加速試験サンプルのガラスびんの双方を前述と同様に洗浄して滑性角度評価及びラベル残存率評価に供した。加速試験の前後の結果を表9及び10に示す。
Figure 0005628232
Figure 0005628232
〔経時変化評価の結果と考察〕
表9の滑性角度に関して、プルランを含むコーティング組成物を塗布したガラスびんの場合、加速試験を経ることにより幾分角度値は増加した。しかしながら、PEエマルジョンのみのガラスびんの場合よりも角度値の上昇幅を抑制することができた。
表10のラベル残存率に関して、プルランを含むコーティング組成物を塗布したガラスびんは加速試験を経てもラベル残存率の大幅な変化は認められない。これに対し、PEエマルジョンのみの場合、加速試験後にラベル残存率が上昇した。この原因としては、塗布したPEエマルジョン中のポリエチレン成分の劣化により、本来の撥水性能が大きく低下したためと考える。
以上より、プルランを添加することにより、ガラスびん同士の滑りやすさ(摩擦軽減)と、ラベルの貼着力の双方を両立して確保することを確認することができた。この要因として、プルランの有するガスバリア性等の被覆性能によりPEエマルジョン中のポリエチレン粒子の酸化劣化を抑え、結果的にPEエマルジョンの変質を抑制したことが推察できる。従って、ガラスびんにコーティング組成物を調製するに際し、PEエマルジョンにプルランを添加することにより得ることができる利点は極めて大きい。
本発明のガラスびん表面処理用コーティング組成物及び当該コーティング組成物を塗布したガラスびんは、ガラスびん同士の接触時の摩擦を軽減して加傷の抑制に効果的である。同時に、ラベル貼着を良好とすることができる。従って、ガラスびんに充填後の流通、販売等の段階においても取り扱いの利便性を大きく向上することができる。
10 ラベル付きびん
11 びん体
12 酸化スズ層
13 表面層
14 糊層
15 ラベル

Claims (3)

  1. ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したびんに付着して該びん表面の滑性とラベル接着性とを向上させる水性組成物であって、
    前記水性組成物は、ポリエチレン樹脂エマルジョンにおけるポリエチレン樹脂固形分量1重量部に対しプルラン1.3〜5重量部を混合し、水中分散において0.1〜0.5重量%の固形分濃度に調製したコーティング液であることを特徴とするガラスびん表面処理用コーティング組成物。
  2. 請求項1に記載のガラスびん表面処理用コーティング組成物を、ホットエンドにて酸化スズコーティングを施したびんに付着し乾燥して表面層を形成しびん表面の滑性とラベル接着性とを向上させたことを特徴とするガラスびん。
  3. 前記ラベルがデンプン糊によってびん表面に貼着される請求項2に記載のガラスびん。
JP2012057171A 2012-03-14 2012-03-14 ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん Active JP5628232B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012057171A JP5628232B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012057171A JP5628232B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013189558A JP2013189558A (ja) 2013-09-26
JP5628232B2 true JP5628232B2 (ja) 2014-11-19

Family

ID=49390157

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012057171A Active JP5628232B2 (ja) 2012-03-14 2012-03-14 ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5628232B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3356475A1 (en) 2015-10-02 2018-08-08 The Chemours Company FC, LLC Hydrophobic compound extenders in surface effect coatings

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS50149477A (ja) * 1974-05-20 1975-11-29
JP2001011390A (ja) * 1999-04-27 2001-01-16 Toyo Glass Co Ltd ガラスびんのコーティング剤及びコーティング方法並びにガラスびん
JP2000351652A (ja) * 1999-06-07 2000-12-19 Tsutsumi Yotaro ガラス容器およびその製造方法
JP3984407B2 (ja) * 2000-04-25 2007-10-03 東洋ガラス株式会社 ガラス製品
JP3883051B2 (ja) * 2001-11-28 2007-02-21 東洋ガラス株式会社 感熱プレラベル付きガラスびん

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013189558A (ja) 2013-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5518157B2 (ja) 金属保護コーティング、溶融Znメッキ金属材料、およびこれを用いた溶融Al−Znメッキ金属材料
EP2583834B1 (en) Modified polyvinyl alcohol coated film used for printing and preparation method thereof
JP5504487B2 (ja) 水性コーティング剤、ガラス容器のコーティング方法及びガラス容器
EP1892089A1 (en) Gas barrier laminate, method for producing same and package body using same
JP2006291049A (ja) 水分散型ガラス瓶保護コート剤用組成物
JP5628232B2 (ja) ガラスびん表面処理用コーティング組成物及びガラスびん
CN1199631C (zh) 脱毛组合物
JP4464626B2 (ja) ガラス表面処理用コーティング組成物及びガラス製品
AU2018240412B2 (en) Remoistening of thermally inhibited starch and/or flour
JP3984407B2 (ja) ガラス製品
CN107267254A (zh) 一种用于制药行业通用机械润滑油的抗磨添加剂
CN112172293A (zh) 一种高透明易开口阻隔膜
JP2014224023A (ja) ガラス容器表面処理用塗剤及びこれを用いたガラス容器
JP5794875B2 (ja) 水性コーティング組成物及びガラス製品
TWI472567B (zh) 樹脂母粒及其製造方法、以及由其所形成的膜層
CN110437764B (zh) 一种树脂改性淀粉粘合剂及其制备方法
JPS645078B2 (ja)
JP2001011390A (ja) ガラスびんのコーティング剤及びコーティング方法並びにガラスびん
JP2015214446A (ja) インク塗着性を改善したガラス容器表面処理用塗剤及びこれを用いたガラス容器
Oh et al. Preparation of stick type solid glue as paper adhesive using mixed seaweed extract
JP2004196563A (ja) ガラス容器のコーティング剤及びコーティング方法並びにガラス容器
CN117417613B (zh) 一种防腐蚀绝缘复合包材及其制备方法和应用
CN116410665A (zh) 一种抗菌胶印光油及制备方法
WO2013032689A2 (en) Dye compositions
CN107982103A (zh) 乳木果护甲营养膏及其加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140108

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140813

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140909

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141001

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5628232

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250