JP5626448B2 - イオンガイド及び質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、イオンを収束させつつ輸送するためのイオンガイド、さらに詳しくは、イオンを開裂させるコリジョンセルの内部に配設されるのに好適なイオンガイドと、該イオンガイドを用いた質量分析装置に関する。
三連四重極型質量分析装置は、イオンを質量電荷比m/zに応じて分離する機能をもつ前段四重極マスフィルタ(いわゆるQ1)と後段四重極マスフィルタ(いわゆるQ3)との間に、イオンを開裂させるコリジョンセルを備えており、前段四重極マスフィルタにおいて選択された特定の質量電荷比をもつイオン(プリカーサイオン)をコリジョンセルにおいて開裂させ、それにより生成された各種のプロダクトイオンの中で特定の質量電荷比をもつイオンを後段四重極マスフィルタで選択して検出することが可能である。一般的に、三連四重極型質量分析装置では、前段四重極マスフィルタ、コリジョンセル、後段四重極マスフィルタが直列的に配置されるため、通常の四重極型質量分析装置と比べると装置全体のサイズがかなり大きくなる。
三連四重極型質量分析装置において装置サイズを小さくするために、特許文献1に記載の装置では、コリジョンセルが略180°湾曲された形状(円環を直径で半分に切断したような形状)となっている。これにより、コリジョンセルへのイオンの導入方向とコリジョンセルからのイオンの導出方向とが反対方向になるため、前段四重極マスフィルタと後段四重極マスフィルタとを近接して配置することが可能となり、装置全体をコンパクトに収めることができる。この装置では、コリジョンセル内に配設された湾曲形状のイオンガイド(いわゆるq2)には、一般的な直線状のイオンガイドと同様に高周波電圧が印加されており、湾曲形状となる高周波電場の作用によりイオンを収束させつつ、その電場の軸に沿ってイオンを湾曲させながら輸送するようにしている。
ただし、コリジョンセルに導入されるイオンは数十eVという大きなコリジョンエネルギ(運動エネルギ)を与えられているため、高周波電場による拘束作用だけでイオン軌道を湾曲させるのは困難である。そのため、特許文献1に開示された装置では、コリジョンセル入口付近では或る程度の長さ、直線的にイオンを飛行させるようにし、その部分で衝突誘起解離(CID)を実施してイオンの運動エネルギを減衰させ、CIDにより生成された比較的エネルギの低いプロダクトイオンの軌道を高周波電場の作用により曲げるようにしている。しかしながら、イオンの運動エネルギを或る程度下げたとしても、高周波電場のみの作用でイオン軌道を大きく曲げることは容易ではなく、イオンの収束効率、輸送効率はあまり高くない。そのため、検出感度は低い。また、コリジョンセルの入口部分に或る程度の長さの直線部を設ける必要があるため、コリジョンセル自体が大きくなり、装置サイズを小さくする効果も減じてしまう。
ところで、高周波電場を利用してイオンを後段へと輸送する一般的なイオンガイドとして、特に中性粒子を除去することを目的とした、湾曲状のロッド電極を用いた湾曲型イオンガイドが知られている(特許文献2など参照)。
図10は湾曲型イオンガイドの一例の概略斜視図である。図示するように、このイオンガイド40は4本の湾曲状ロッド電極401、402、403、404を備え、試料由来のイオンは高周波電場の影響によりイオンガイド40の形状に沿って曲がりながら進む一方、電荷を持たない中性粒子は高周波電場の影響を受けないためイオンガイド40内部を直進し、途中でイオンガイド40の外側に排出されてしまったり湾曲状ロッド電極401〜404に接触してしまったりして除去される。
イオンガイド40に導入されるイオンは或る程度大きな運動エネルギを有しているため、高周波電場のみによってイオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って曲げることは実際には難しい。そこで、特許文献2に記載の湾曲型イオンガイドでは、ロッド電極自体を湾曲形状とするだけでなく、湾曲状ロッド電極、又は湾曲状ロッド電極とは別に補助的に設けた電極に偏向用の直流電圧を印加することにより、イオンを湾曲状経路の内方(図10中の矢印Rの方向)に曲げるような力を作用させる直流電場を湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成している。
図11及び図12は、特許文献2における湾曲状ロッド電極及び補助電極とそれら電極に電圧を印加する回路ブロックの構成図である。図11は補助電極を設けない構成であり、図中の白抜矢印はこの湾曲型イオンガイド40の湾曲状経路の内方(円弧の一部である湾曲状中心軸の半径方向且つ内周方向)を示している。電圧源601〜604は、4本の湾曲状ロッド電極401〜404のうちの対向する2本の湾曲状ロッド電極402、404には高周波電圧VRFを印加し、他の2本の湾曲状ロッド電極401、403には振幅が同一で極性が逆である高周波電圧−VRFを印加する。これにより、湾曲状ロッド電極401〜404で囲まれる空間には、上述したようにイオンを振動させつつ収束させる高周波電場が形成される。これに加えて、電圧源601〜604は、湾曲状経路内方側に位置する2本の湾曲状ロッド電極401、402には分析対象であるイオン(この例では正イオン)と逆極性である直流電圧−VDEFを印加し、湾曲状経路外方側に位置する2本の湾曲状ロッド電極403、404には分析対象であるイオンと同極性である直流電圧VDEFを印加している。これにより、湾曲状ロッド電極401〜404で囲まれる空間にはイオンを湾曲状経路の内方、つまり図中の白抜き矢印の方向へと誘引する直流電場が形成される。
図12は補助電極405、406を設けた構成であり、電圧源605、606は、4本の湾曲状ロッド電極401〜404のうちの対向する2本の湾曲状ロッド電極402、404に高周波電圧VRFを印加し、他の2本の湾曲状ロッド電極401、403に振幅が同一で極性が逆である高周波電圧−VRFを印加する。また、電圧源607は湾曲状経路内方側に位置する補助電極405に分析対象であるイオンと逆極性の直流電圧−VDEFを印加し、電圧源608は湾曲状経路外方側に位置する補助電極406に分析対象であるイオンと同極性の直流電圧VDEFを印加する。これにより、図11の構成と同様に、湾曲状ロッド電極401〜404で囲まれる空間に、イオンを収束させる高周波電場に重畳した状態で、イオンを湾曲状経路の内方へと誘引する直流電場が形成されることになる。
上述のように湾曲状ロッド電極又は補助電極に適当な偏向用直流電圧を印加することにより、イオンガイド40の湾曲状経路に沿ってイオンを曲げながら出口端まで導き、イオン通過効率を向上させることができる。したがって、上述したコリジョンセル内に配置されるイオンガイドにおいても偏向用直流電圧を利用してイオンを曲げることが考えられる。しかしながら、その場合、次のような問題がある。即ち、コリジョンセル内ではイオンの解離やCIDガスとの接触によってイオンが持つ運動エネルギは変化する。イオンが解離する際には質量分配によってエネルギは離散的に変化するし、イオンがCIDガスと接触する場合にはエネルギの変化は概ね連続的である。いずれにしてもコリジョンセル全体としてみると、コリジョンセル入口付近ではイオンが持つエネルギは大きく、コリジョンセル出口付近ではイオンが持つエネルギは小さくなる。従来の湾曲型イオンガイドでは、このような軸方向に沿ってエネルギが大きく相違するイオンの軌道を適切に曲げることができず、曲がりすぎたり逆に曲がりが不足したりするためにイオンの輸送効率を上げることが困難である。
また、上記問題は、コリジョンセル内に配設されたイオンガイドだけでなく、例えば、液体クロマトグラフ質量分析計などにおいてESIやAPCI等の大気圧イオン源からガスとともにイオンが送給されてくる低真空室内に配設されるイオンガイドでも同じである。
米国特許出願公開2009/0095898号明細書 米国特許出願公開2009/0294663号明細書
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、コリジョンセル内や低真空室内などに配設される湾曲型イオンガイドにおいて、導入されるイオンの運動エネルギがその輸送方向に沿って変化する場合であっても、高いイオン輸送効率を達成することを目的としている。また、本発明に係る質量分析装置の目的は、イオン輸送効率を改善した湾曲型イオンガイドを用いることで、検出感度の向上を図ることである。
上記課題を解決するために成された第1発明は、イオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って輸送するイオンガイドにおいて、
a)湾曲状中心軸を取り囲むように配置された4本の四重極型の湾曲状ロッド電極であり、湾曲状中心軸を挟んで対向する2本の湾曲状ロッド電極の中心は該湾曲状中心軸が載る平面上に位置し、他の2本の湾曲状ロッド電極の中心は該平面に直交し且つ前記湾曲状中心軸を含む湾曲状曲面上に位置するように配置された湾曲状ロッド電極と、
b)前記本の湾曲状ロッド電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段であって、該本の湾曲状ロッド電極の中で前記湾曲状中心軸を中心とする周方向に隣接する任意の2本の湾曲状ロッド電極に互いに極性が逆である高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、
c)前記本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場に重畳して、該空間内のイオンを前記湾曲中心軸に直交する面内で該湾曲状中心軸の曲がりの内側方向に誘引し且つ湾曲状中心軸に沿って電場の強さが相違する直流電場を形成する偏向電場形成手段であって、前記4本の湾曲状ロッド電極のうち、湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極に沿って延伸するように配置された1本の抵抗体と、該抵抗体のイオン入口側端部と出口側端部とにそれぞれ異なる電位の直流電圧を印加するとともに、前記他の2本の湾曲状ロッド電極には分析対象のイオンと同極性である収束用直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、を含む偏向電場形成手段と、
を備えることを特徴としている。
第1発明に係るイオンガイドでは、直流電圧印加手段により抵抗体のイオン入口側端部と出口側端部とにそれぞれ異なる電位の直流電圧が印加されると、該抵抗体の長手方向に沿った各部位にその両直流電圧の間の分圧が生じ、その周囲の空間には該分圧による直流電場が形成される。例えば抵抗体の抵抗率が均一であれば、抵抗体の長手方向に沿った電位勾配を有する電場が形成される。本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間を通過するイオンを曲がりの内側方向に誘引する力は直流電場の電位に依存する。そこで、イオンガイドの入口側は直流電場を強くし、出口側では直流電場を弱くするように、印加する直流電圧を決めておくことにより、イオンガイドの入口側ではイオンが高い運動エネルギを有していても十分に曲げることができ、イオンガイドの出口側では低い運動エネルギしかもたないイオンの曲がりすぎを抑えて適切に曲げることができる。即ち、イオンが持つ運動エネルギがイオンの進行方向で変化する場合でも、それぞれの位置における運動エネルギに合わせた電場の作用により、イオンを適切に曲げて出口まで導くことができる。
また、4本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に導入されたイオンには高周波電場による収束作用に加えて、収束用直流電圧が印加された湾曲状ロッド電極により形成される直流電場により、イオンが徐々に曲がる半径方向と直交又は斜交する方向について該イオンを湾曲状中心軸付近に圧縮するような力が作用する。このため、或る程度大きな運動エネルギを有して導入されたイオンが偏向用の直流電場の作用で湾曲状に進む場合でも、イオンの拡がりが抑えられ、高い効率でイオンガイド出口端に到達する。これにより、高いイオン通過効率を実現することができる。
また上記課題を解決するために成された第2発明は、イオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って輸送するイオンガイドにおいて、
a)湾曲状中心軸を取り囲むように配置された2n(nは2以上の整数)本の湾曲状ロッド電極であって、その中で湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極はイオン入口側端部から出口側端部に向かって前記湾曲状中心軸との離間距離が変化するように配置されてなる2n本の湾曲状ロッド電極と、
b)前記2n本の湾曲状ロッド電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段であって、該2n本の湾曲状ロッド電極の中で前記湾曲状中心軸を中心とする周方向に隣接する任意の2本の湾曲状ロッド電極に互いに極性が逆である高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、
c)前記2n本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場に重畳して、該空間内のイオンを前記湾曲中心軸に直交する面内で該湾曲状中心軸の曲がりの内側方向に誘引し且つ湾曲状中心軸に沿って電場の強さが相違する直流電場を形成するように、前記2本の湾曲状ロッド電極の中で湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極に直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、
を備えることを特徴としている。
第2発明において2以上の整数であるnには原理的な上限はないが、実用的にはnは2〜4程度の範囲、つまり湾曲状ロッド電極は四重極、六重極又は八重極の構成であることが好ましい。これは以下の発明でも同様である。
この第2発明に係るイオンガイドでは、直流電圧印加手段から直流電圧が印加される1本の湾曲状ロッド電極の長手方向の各部位での電位は同一であるが、該ロッド電極と湾曲状中心軸との離間距離は各部位で異なるため、湾曲状中心軸上での直流電位は該軸の方向に沿って変化する。イオンガイド入口側端部で湾曲状中心軸から上記ロッド電極までの離間距離を最小とし、イオンガイド出口側端部で湾曲状中心軸から該ロッド電極までの離間距離を最大とすることにより、イオンガイドの入口側ではイオンが高い運動エネルギを有していても十分に曲げることができ、イオンガイドの出口側では低い運動エネルギしかもたないイオンの曲がりすぎを抑えて適切に曲げることができる。即ち、イオンが持つ運動エネルギがイオンの進行方向で変化する場合でも、それぞれの位置における運動エネルギに合わせた電場の作用によりイオンを適切に曲げて出口まで導くことができる。
また上記課題を解決するために成された第3発明は、イオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って輸送するイオンガイドにおいて、
a)湾曲状中心軸を取り囲むように配置された2n(nは2以上の整数)本の湾曲状ロッド電極であって、その中で湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本がその長手方向に分割された複数の電極により構成される仮想的ロッド電極である2n本の湾曲状ロッド電極と、
b)前記2n本の湾曲状ロッド電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段であって、該2n本の湾曲状ロッド電極の中で前記湾曲状中心軸を中心とする周方向に隣接する任意の2本の湾曲状ロッド電極に互いに極性が逆である高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、
c)前記2n本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場に重畳して、該空間内のイオンを前記湾曲中心軸に直交する面内で該湾曲状中心軸の曲がりの内側方向に誘引し且つ湾曲状中心軸に沿って電場の強さが相違する直流電場を形成するように、前記仮想的湾曲状ロッド電極を構成する複数の電極にイオン入口側端部から出口側端部に向かって異なる直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、
を備えることを特徴としている。
この第3発明に係るイオンガイドでは、直流電圧印加手段から仮想的湾曲状ロッド電極を構成する複数の電極にイオン入口側端部から出口側端部に向かって段階的に変化する直流電圧を印加すると、第1及び第2発明と同様に、湾曲状中心軸上での直流電位は該軸の方向に沿って変化する。これにより、イオンガイドの入口側ではイオンが高い運動エネルギを有していても十分に曲げることができ、イオンガイドの出口側では低い運動エネルギしかもたないイオンの曲がりすぎを抑えて適切に曲げることができる。即ち、イオンが持つ運動エネルギがイオンの進行方向で変化する場合でも、それぞれの位置における運動エネルギに合わせた電場の作用によりイオンを適切に曲げて出口まで導くことができる。
なお、第2及び第3発明に係るイオンガイドは、nが2である四重極型の構成であり、湾曲状中心軸を挟んで対向する2本の湾曲状ロッド電極の中心は前記湾曲状中心軸が載る平面上に位置し、他の2本の湾曲状ロッド電極の中心は前記平面に直交し且つ前記湾曲状中心軸を含む湾曲状曲面上に位置するように、4本の湾曲状ロッド電極が配置され、
前記直流電圧印加手段は、中心が前記平面上に位置する2本の湾曲状ロッド電極のうちの1本に直流電圧を印加し、さらに、他の2本の湾曲状ロッド電極には分析対象のイオンと同極性である収束用直流電圧を印加する構成とすることができる。
上記構成によれば、第1発明と同様に、2n本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に導入されたイオンには高周波電場による収束作用に加えて、収束用直流電圧が印加された湾曲状ロッド電極により形成される直流電場により、イオンが徐々に曲がる半径方向と直交又は斜交する方向について該イオンを湾曲状中心軸付近に圧縮するような力が作用する。このため、或る程度大きな運動エネルギを有して導入されたイオンが偏向用の直流電場の作用で湾曲状に進む場合でも、イオンの拡がりが抑えられ、高い効率でイオンガイド出口端に到達する。これにより、高いイオン通過効率を実現することができる。
第1乃至第発明に係るイオンガイドは、イオンが持つ運動エネルギがその進行方向に相違する、典型的には、イオンが進行するに伴い周囲に存在するガスとの接触等により運動エネルギが減衰するような環境の下で利用されるのに好適である。即ち、第1乃至第発明に係るイオンガイドは、イオンの解離を促進するために内部にCIDガスが導入されるコリジョンセルの内部にあってイオンの収束及び輸送に利用されるイオンガイドに好適である。また、試料成分を大気圧雰囲気の下でイオン化するイオン化室と質量分析器が配設された分析室との間に1乃至複数の中間真空室を備えた構成の質量分析装置において、イオン化室の次段の中間真空室の内部に配設されるのにも適している。
第1乃至第発明に係るイオンガイドによれば、導入されるイオンが持つ運動エネルギがイオンの進行方向で変化する場合でも、それぞれの位置における運動エネルギに合わせた電場の作用によりイオンを適切に曲げて出口まで導くことができる。これにより、例えばイオン軌道を曲げる必要があるようなコリジョンセル等においても高いイオン輸送効率を達成することができる。それによって、分析感度や分析精度を向上させることができる。
本発明の一実施例(第1実施例)であるイオンガイドの概略構成図。 第1実施例であるイオンガイドの湾曲状ロッド電極の斜視図。 第1実施例であるイオンガイドを用いた質量分析装置の概略構成図。 第1実施例のイオンガイドの変形例を示す概略構成図。 本発明の別の実施例(第2実施例)であるイオンガイドを用いた質量分析装置の概略構成図。 第2実施例であるイオンガイドを用いた質量分析装置の概略構成図。 本発明の別の実施例(第3実施例)であるイオンガイドを用いた質量分析装置の概略構成図。 参考例であるイオンガイドのロッド電極の斜視図。 参考例であるイオンガイドのロッド電極の平面図。 従来の湾曲型イオンガイドの湾曲状ロッド電極の斜視図。 従来の湾曲型イオンガイドにおける電極構成と電圧源の回路構成とを示す図。 従来の湾曲型イオンガイドにおける電極構成と電圧源の回路構成とを示す図。
以下、本発明に係るイオンガイドと該イオンガイドを備えた質量分析装置とについて、実施例を挙げて説明する。
[第1実施例]
図1は第1実施例による湾曲型イオンガイドの概略構成図、図2は第1実施例による湾曲型イオンガイドの湾曲状ロッド電極の概略斜視図、図3はこの湾曲型イオンガイドを備える質量分析装置の概略構成図である。
この質量分析装置は三連四重極型質量分析装置であって、図3に示すように、前段四重極マスフィルタ2と後段四重極マスフィルタ3との間にイオンを解離させるためのコリジョンセル4が配置されている。前段四重極マスフィルタ2の中心軸と後段四重極マスフィルタ3の中心軸とは略直交しており、コリジョンセル4のセル室43内部に設置されているイオンガイドはイオンの軌道を略90°曲げる湾曲型イオンガイド40である。イオン化部(イオン源)1から出射された試料由来のイオンはまず前段四重極マスフィルタ2に導入され、ここで所定の質量電荷比を有するイオンが選別されてコリジョンセル4のセル室43に送り込まれる。セル室43内にはCIDガスが供給されており、セル室43内でイオンはCIDガスに接触して解離し、それによって種々のプロダクトイオンが生成される。
プロダクトイオンはイオンガイド40の湾曲状中心軸Oに沿って進行方向を徐々に曲げつつ進んで、イオンガイド40の出口端に達しセル室43から出射する。イオンとともにイオンガイド40に導入された試料分子などの中性粒子はイオンガイド40内部の電場の影響を受けずに直進し、イオンとは分離されて除外される。セル室43から出射されたプロダクトイオンは後段四重極マスフィルタ3に導入され、例えば特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが選別されて検出器5に到達する。
イオンガイド40は図2に示すように、湾曲状中心軸Oを取り囲むように配置された4本の湾曲状ロッド電極411〜414を備える。このうちの2本の湾曲状ロッド電極412、414は、円弧の一部である湾曲状中心軸Oが載る平面(図3では紙面に相当)上にその中心が位置している。また、他の2本の湾曲状ロッド電極411、413は平面に直交し且つ湾曲状中心軸Oを含む曲面上にその中心が位置している。4本の湾曲状ロッド電極411〜414のうち、湾曲状中心軸Oが載る平面上に中心が位置し且つ湾曲内方に位置する1本の湾曲状ロッド電極412を囲繞するように湾曲円筒状の抵抗体42が設置されている。図1に示す湾曲状ロッド電極411〜414及び抵抗体42は、図2中の湾曲状ロッド電極411〜414を湾曲状中心軸Oに直交する面で切断した状態の端面である。
図1に示すように、電圧源612は、4本の湾曲状ロッド電極411〜414のうちの対向する2本の湾曲状ロッド電極412、414に高周波電圧VRFに所定の直流バイアス電圧VBIASを重畳した電圧を印加し、電圧源611は、他の2本の湾曲状ロッド電極411、413に高周波電圧VRFと振幅が同一で極性が逆である高周波電圧−VRFに所定の直流バイアス電圧VBIASを重畳した電圧を印加する。直流バイアス電圧VBIASは全ての湾曲状ロッド電極411〜414に共通に印加される電圧であり、この直流バイアス電圧VBI AS自体はイオンガイド40の内部に直流電場を形成しない。なお、図11、図12の例は直流バイアス電圧VBIAS=0である。上記のように、湾曲状ロッド電極411〜414に印加される高周波電圧VRF、−VRFにより、イオンガイド40の内部には、イオンを振動させつつ収束させる高周波電場が形成される。これは従来と同じである。
電圧源613は、湾曲状経路内方側に位置する1本の湾曲状ロッド電極412を囲む抵抗体42のイオン入口側端部に、分析対象であるイオン(この例では正イオン)と逆極性である第1直流電圧−VDCinを偏向用直流電圧として印加し、該抵抗体42のイオン出口側端部には第1直流電圧−VDCinと同極性で電圧値は|VDCin|よりも小さい第2直流電圧−VDCoutを印加する。これにより、イオンガイド40の内部にはイオンを湾曲状経路の内方、つまり図1中の白抜き矢印の方向へと誘引する直流電場が形成される。また、抵抗体42の両端部にそれぞれ印加される直流電圧には電圧差があるため、湾曲状中心軸O上における上記直流電場の強さはイオン入口側端部で最も大きく、出口側端部に向かうに従い徐々に小さくなる。つまり、イオンガイド40に導入されたイオンを湾曲状経路の内方に引っ張る作用は入口側端部で最も強く、出口側端部に向かうに従い徐々に弱くなる。
コリジョンセル4においてイオンを高い効率で解離させるために、前段四重極マスフィルタ2を通り抜けたイオンは大きなコリジョンエネルギを付与されてセル室43に入射される。そのため、イオンガイド40に導入されるイオンは大きな運動エネルギを有する。セル室43内にはCIDガスが充満しているため、イオンはCIDガスに接触し、この際の衝突エネルギの一部が内部エネルギに変換され励起することでイオンは解離する。このような解離に伴って解離前にイオンが有していた運動エネルギは、解離後の複数のイオンに分配される。また、解離が生じない場合でもイオンがCIDガスに接触すると運動エネルギの一部が奪われて低下する。イオンが進行するに従いCIDガスとの接触の機会は増すから、各イオンが持つ運動エネルギは奥に進むほど下がる。
イオンガイド40の入口付近ではイオンが持つ運動エネルギは大きいが、上述したようにイオンを湾曲状経路の内方に引っ張る作用は入口側端部で最も強いため、大きな運動エネルギを有しているイオンも強い力で湾曲状経路の内方に引っ張られ確実に曲がる。一方、イオンガイド40の内部をイオンが進行するに従い運動エネルギは減少するが、上述したようにイオンを湾曲状経路の内方に引っ張る作用も徐々に弱くなるので、運動エネルギが減衰したイオンはその減衰に見合った適度な力で湾曲状経路の内方に引っ張られ、曲がりすぎることなく概ね湾曲状中心軸Oの曲がりに沿って曲がる。そのため、イオンガイド40を通過する際にCIDガスとの接触によりイオンが持つ運動エネルギが変化しても、イオンの曲がり不足や曲がりすぎを回避し、イオンを効率良くイオンガイド40の出口まで案内し、セル室43から出射させることができる。これにより、従来よりも後段四重極マスフィルタ3に多くのイオンを送り込むことができ、分析感度を向上させることができる。
図4は上記第1実施例の変形例によるイオンガイドの概略構成図である。この変形例では電極構造は第1実施例と同じであるが、電極に印加される電圧が第1実施例とは若干相違する。即ち、この変形例によるイオンガイド40において電圧源614は、湾曲状中心軸Oを挟んで対向する2本の湾曲状ロッド電極411、413に対し、高周波電圧VRFと直流バイアス電圧VBIASに加えてさらに、分析対象であるイオンと同極性である直流電圧+VDCyを収束用直流電圧として印加する。この収束用直流電圧の印加により湾曲状ロッド電極411、413の近傍に形成される直流電場(収束用直流電場)は、イオンガイド40内部にあるイオンをそれぞれ湾曲状ロッド電極411、413から離すように作用する。即ち、図4中の太線矢印に示すように、イオンは2本の湾曲状ロッド電極411、413付近から湾曲状中心軸O方向に向かう力を受けるため、イオンは外周側に拡がりにくく湾曲状中心軸O付近に収束しつつ、抵抗体42による偏向用直流電場の作用により進行に伴って曲げられる。本実施例のイオンガイド40では、高周波電場に加えて収束用直流電場の作用により、イオンの拡がりを抑え、湾曲状中心軸Oに沿ってイオンを効率よく出口端まで輸送することができる。
なお、第1実施例及びその変形例では、抵抗体42は1本の湾曲状ロッド電極412を覆う円筒形状であったが、必ずしも湾曲状ロッド電極412の全周面を囲む必要はなく、周面の一部が切り欠かれた形状や湾曲状中心軸Oを向く側のみを囲む半円筒状などとしても構わない。
[第2実施例]
図5は第2実施例によるイオンガイドの概略構成図、図6は第2実施例によるイオンガイドを備える三連四重極型質量分析装置の概略構成図である。上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付して詳しい説明を省略する。
この第2実施例では、湾曲内方に配置された湾曲状ロッド電極を囲むように抵抗体を配する代わりに、4本の湾曲状ロッド電極411、422、413、414のうち湾曲内方に位置する1本の湾曲状ロッド電極422を、イオン入口側で湾曲状中心軸Oに近く出口側に向かうに従い湾曲状中心軸Oとの距離が徐々に大きくなるように、通常の配置からずらして設置してある。なお、図5では湾曲状ロッド電極422のイオン出口側端部が湾曲状中心軸Oから離れていることを分かり易く示すために、該端部を符号422’を付した点線で示している。
湾曲状ロッド電極422には、電圧源623から高周波電圧VRFと直流バイアス電圧V BIASに加えてさらに、偏向用直流電圧−VDCinが印加される。この偏向用直流電圧によってイオンガイド40内部空間には高周波電場に重畳して偏向用直流電場が形成されるが、上述したように、湾曲状中心軸Oから湾曲状ロッド電極422までの径方向の距離は湾曲状中心軸O上で相違し、イオンが進むに従って大きくなる。そのため、湾曲状中心軸O上における偏向用直流電場の強さは、第1実施例と同様に、イオン入口側端部で最も大きく、出口側端部に向かうに従い徐々に小さくなる。したがって、この第2実施例の構成においても、イオンガイド40を通過する際にCIDガスとの接触によりイオンが持つ運動エネルギが変化しても、イオンの曲がり不足や曲がりすぎを回避し、イオンを効率良くイオンガイド40の出口まで案内し、セル室43から出射させることができる。
[第3実施例]
図7は第3実施例によるイオンガイドを備える三連四重極型質量分析装置の概略構成図である。上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付して詳しい説明を省略する。
この第3実施例では、第1実施例の構成において湾曲内方に配置された湾曲状ロッド電極を囲むように抵抗体を配する代わりに、4本の湾曲状ロッド電極411、432、413、414のうち湾曲内方に位置する1本の湾曲状ロッド電極432を、その長手方向に複数(図7では便宜的に7個に分割しているが、分割個数はこれに限るものではない)に分割された円柱形状(又は円筒形状)の電極片で構成するようにし、電圧源6331〜6337から各電極片に高周波電圧VRFと直流バイアス電圧VBIASに加えてさらに、それぞれ異なる偏向用直流電圧VDC1〜VDC7を印加する構成としている。複数の電極片はそれぞれ所定間隙を以て連ねて配置されており、これによって1本の仮想的な湾曲状ロッド電極を構成している。
電圧源6331〜6337から各電極片に印加する偏向用直流電圧VDC1〜VDC7を適宜に設定することにより、第1及び第2実施例と同様に、湾曲状中心軸O上における偏向用直流電場の強さがイオン入口側端部で最も大きく出口側端部に向かうに従い徐々に小さくなるような直流電場を高周波電場に重畳して形成することができる。したがって、この第3実施例の構成においても、イオンガイド40を通過する際にCIDガスとの接触によりイオンが持つ運動エネルギが変化しても、イオンの曲がり不足や曲がりすぎを回避し、イオンを効率良くイオンガイド40の出口まで案内し、セル室43から出射させることができる。
なお、第2及び第3実施例の構成においても第1実施例の変形例のように、収束用直流電場をさらに形成してイオンの収束効率を高めるようにすることができる。
参考例]
図8は本発明ではないものの本発明に関連する参考例によるイオンガイドの概略斜視図、図9は参考例であるイオンガイドのロッド電極の平面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付して詳しい説明を省略する。
第1乃至第3実施例はいずれもロッド電極自体が湾曲形状であるイオンガイドであるが、この参考例のイオンガイドは、ロッド電極自体は直線形状であり、それらロッド電極で囲まれる空間に形成する電場の作用により該空間においてイオン軌道を湾曲させる。即ち、図8に示すようにこのイオンガイド40では、直線状の中心軸Qを取り囲むように4本のロッド電極441、442、443、444が互いに略平行に配置される。このうちの1本のロッド電極442には該ロッド電極442を囲繞するように円筒直管状の抵抗体44が設置されている。この抵抗体44は形状は相違するが、第1実施例における抵抗体42と同じ機能を持つ。
図示しない電圧源は、4本のロッド電極441〜444のうちの対向する2本のロッド電極441、443に高周波電圧−VRFに所定の直流バイアス電圧VBIASを重畳した電圧を印加する。また、電圧源641は、他の2本のロッド電極442、444に高周波電圧−VRFと振幅が同一で極性が逆である高周波電圧VRFに所定の直流バイアス電圧VBIASを重畳した電圧を印加する。直流バイアス電圧VBIASは全てのロッド電極441〜444に共通に印加される電圧であり、この直流バイアス電圧VBIAS自体はイオンガイド40の内部に直流電場を形成しない。
電圧源6431は1本のロッド電極442を囲む抵抗体44のイオン入口側端部に、分析対象であるイオン(この例では正イオン)と逆極性である第1直流電圧−VDCinを偏向用直流電圧として印加し、電圧源6432は該抵抗体44のイオン出口側端部に第1直流電圧−VDCinと同極性で電圧値は|VDCin|よりも小さい第2直流電圧−VDCoutを印加する。これにより、イオンガイド40の内部にはイオンを該抵抗体44又はロッド電極442の方向へと誘引する直流電場が形成される。したがって、図9に示すように、中心軸Qに略平行にイオンガイド40に入射して来たイオンは上記直流電場の作用により、中心軸Qから離れて抵抗体44又はロッド電極442に近づくように徐々に曲がる。また、抵抗体44の両端部にそれぞれ印加される直流電圧には電圧差があるため、中心軸Q上における上記直流電場の強さはイオン入口側端部で最も大きく、出口側端部に向かうに従い徐々に小さくなる。つまり、イオンガイド40に導入されたイオンを抵抗体44又はロッド電極442の方向に引っ張る作用は入口側端部で最も強く、出口側端部に向かうに従い徐々に弱くなる。このため、イオンガイド40を通過する際にCIDガスとの接触によりイオンが持つ運動エネルギが変化しても、イオンの曲がり不足や曲がりすぎを回避し、イオンを効率良くイオンガイド40の出口まで案内することができる。
以上のように、本発明に係る第1乃至第実施例及び参考例のイオンガイドはいずれも、イオンガイド40内部空間においてCIDガスとの衝突によりイオンの運動エネルギが変化する場合でも、そのエネルギ変化に応じて偏向用直流電場の強さを調整しているので、イオンの曲がり不足や曲がりすぎを回避して高いイオン通過効率を達成することができる。
なお、上記実施例では、抵抗体やロッド電極に印加する直流電圧により形成する直流電場の作用によりイオンを引っ張ることにより曲げるようにしていたが、逆に、湾曲外方に位置する抵抗体やロッド電極に印加する直流電圧によりイオンを反発させる(押し出す)作用を持つ直流電場を形成し、これによってイオン軌道を曲げるようにしてもよい。もちろん、その場合には、上記実施例とは異なり、イオンガイドの入口側端部から出口側端部に向かって偏向用直流電場の強さを徐々に大きくする必要があるのは当然である。
また、上記実施例ではコリジョンセル内に設置されるイオンガイドに本発明を適用していたが、コリジョンセル内のみならず、残留ガスとの衝突等のためにイオンが進行するに従って該イオンがもつ運動エネルギが変化する領域に設置されるイオンガイド全般に本発明を適用することができる。例えば、液体クロマトグラフ質量分析装置などでは、ESIやAPCI等の大気圧イオン化が行われる略大気圧雰囲気であるイオン化室と四重極マスフィルタ等の質量分析器が設置される高真空の分析室との間に、複数の中間真空室が設置された多段差動排気系の構成が採られる。こうした構成の場合、イオン化室の次段の中間真空室には、イオン輸送パイプを通してイオン化室からイオンとともに大気ガスが連続的に流入するため、該中間真空室内の残留ガス濃度は比較的高い。そのため、該中間真空室内に設置されるイオンガイドの入口側ではイオンがもつ運動エネルギは比較的高いものの、イオンガイド内部を進むに従いイオンは残留ガスに衝突して運動エネルギが下がる。こうしたイオンガイドに対しても本発明に係るイオンガイドが有効であることは容易に理解できる。さらにまた、本発明に係るイオンガイドは質量分析装置のみならず、イオンを扱う様々な機器、装置において用いることができる。
また、上記実施例はいずれも一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても、本願請求の範囲に包含されることは明らかである。例えば、上記実施例に示したイオンガイドは四重極型又は八重極型であるが、六重極や十重極以上の多重極の構成としてもよい。
1…イオン化部
2…前段四重極マスフィルタ
3…後段四重極マスフィルタ
4…コリジョンセル
40…イオンガイド
411〜414、422、432…湾曲状ロッド電極
42、44…抵抗体
43…セル室
441〜444…ロッド電極
5…検出器
611、612、613、614、623、6331〜6337、6431、6432…電圧源
O…湾曲状中心軸
Q…中心軸

Claims (7)

  1. イオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って輸送するイオンガイドにおいて、
    a)湾曲状中心軸を取り囲むように配置された4本の四重極型の湾曲状ロッド電極であり、前記湾曲状中心軸を挟んで対向する2本の湾曲状ロッド電極の中心は該湾曲状中心軸が載る平面上に位置し、他の2本の湾曲状ロッド電極の中心は該平面に直交し且つ前記湾曲状中心軸を含む湾曲状曲面上に位置するように配置された湾曲状ロッド電極と、
    b)前記本の湾曲状ロッド電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段であって、該本の湾曲状ロッド電極の中で前記湾曲状中心軸を中心とする周方向に隣接する任意の2本の湾曲状ロッド電極に互いに極性が逆である高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、
    c)前記本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場に重畳して、該空間内のイオンを前記湾曲中心軸に直交する面内で該湾曲状中心軸の曲がりの内側方向に誘引し且つ湾曲状中心軸に沿って電場の強さが相違する直流電場を形成する偏向電場形成手段であって、前記4本の湾曲状ロッド電極のうち、湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極に沿って延伸するように配置された1本の抵抗体と、該抵抗体のイオン入口側端部と出口側端部とにそれぞれ異なる電位の直流電圧を印加するとともに、前記他の2本の湾曲状ロッド電極には分析対象のイオンと同極性である収束用直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、を含む偏向電場形成手段と、
    を備えることを特徴とするイオンガイド。
  2. 請求項に記載のイオンガイドであって、
    前記抵抗体は湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極を囲むように配置された湾曲状の抵抗体であることを特徴とするイオンガイド。
  3. イオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って輸送するイオンガイドにおいて、
    a)湾曲状中心軸を取り囲むように配置された2n(nは2以上の整数)本の湾曲状ロッド電極であって、その中で湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極はイオン入口側端部から出口側端部に向かって前記湾曲状中心軸との離間距離が変化するように配置されてなる2n本の湾曲状ロッド電極と、
    b)前記2n本の湾曲状ロッド電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段であって、該2n本の湾曲状ロッド電極の中で前記湾曲状中心軸を中心とする周方向に隣接する任意の2本の湾曲状ロッド電極に互いに極性が逆である高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、
    c)前記2n本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場に重畳して、該空間内のイオンを前記湾曲中心軸に直交する面内で該湾曲状中心軸の曲がりの内側方向に誘引し且つ湾曲状中心軸に沿って電場の強さが相違する直流電場を形成するように、前記2本の湾曲状ロッド電極の中で湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本の湾曲状ロッド電極に直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、
    を備えることを特徴とするイオンガイド。
  4. イオンを収束させつつ湾曲状経路に沿って輸送するイオンガイドにおいて、
    a)湾曲状中心軸を取り囲むように配置された2n(nは2以上の整数)本の湾曲状ロッド電極であって、その中で湾曲内方に位置する又は外方に位置する1本がその長手方向に分割された複数の電極により構成される仮想的ロッド電極である2n本の湾曲状ロッド電極と、
    b)前記2n本の湾曲状ロッド電極にそれぞれ電圧を印加する電圧印加手段であって、該2n本の湾曲状ロッド電極の中で前記湾曲状中心軸を中心とする周方向に隣接する任意の2本の湾曲状ロッド電極に互いに極性が逆である高周波電圧を印加する高周波電圧印加手段と、
    c)前記2n本の湾曲状ロッド電極で囲まれる空間に形成される高周波電場に重畳して、該空間内のイオンを前記湾曲中心軸に直交する面内で該湾曲状中心軸の曲がりの内側方向に誘引し且つ湾曲状中心軸に沿って電場の強さが相違する直流電場を形成するように、前記仮想的湾曲状ロッド電極を構成する複数の電極にイオン入口側端部から出口側端部に向かって異なる直流電圧を印加する直流電圧印加手段と、
    を備えることを特徴とするイオンガイド。
  5. 請求項3又は4に記載のイオンガイドであって、
    nが2である四重極型の構成であり、湾曲状中心軸を挟んで対向する2本の湾曲状ロッド電極の中心は前記湾曲状中心軸が載る平面上に位置し、他の2本の湾曲状ロッド電極の中心は前記平面に直交し且つ前記湾曲状中心軸を含む湾曲状曲面上に位置するように、4本の湾曲状ロッド電極が配置され、
    前記直流電圧印加手段は、中心が前記平面上に位置する2本の湾曲状ロッド電極のうちの1本に直流電圧を印加し、さらに、他の2本の湾曲状ロッド電極には分析対象のイオンと同極性である収束用直流電圧を印加することを特徴とするイオンガイド。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のイオンガイドが内部に配設されたコリジョンセルを備えることを特徴とする質量分析装置。
  7. 試料成分を大気圧雰囲気の下でイオン化するイオン化室と質量分析器が配設された分析室との間に1乃至複数の中間真空室を備えた質量分析装置であって、
    請求項1〜のいずれかに記載のイオンガイドが、前記イオン化室の次段の中間真空室の内部に配設されたことを特徴とする質量分析装置。
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