JP5626260B2 - ベーン型圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明はベーン型圧縮機に関する。
一般的なベーン型圧縮機は、ハウジングとフロントサイドプレートとリヤサイドプレートとを備えている。ハウジングにはシリンダ室が形成されている。シリンダ室の前方はフロントサイドプレートによって閉鎖され、ハウジングとフロントサイドプレートとの間には吸入室が形成されている。シリンダ室の後方はリヤサイドプレートによって閉鎖され、ハウジングとリヤサイドプレートとの間には吐出室が形成されている。ハウジングには駆動軸が回転可能に設けられている。シリンダ室内ではロータが駆動軸と同期回転可能に設けられている。ロータには、複数個のベーン溝が放射方向に形成されている。各ベーン溝にはベーンが出没可能に設けられている。シリンダ室の内面、ロータの外面、フロントサイドプレートの後面、リヤサイドプレートの前面及び各ベーンによって圧縮室が形成されている。各圧縮室は、吸入行程で吸入室と連通し、圧縮行程で容積が縮小され、吐出行程で吐出弁を介して吐出室と連通する。各ベーンの底面と各ベーン溝との間は背圧室とされている。各背圧室は、圧縮行程で背圧供給機構によって吐出室と連通される。
このベーン型圧縮機が車両の空調装置に用いられる場合、例えば、電磁クラッチによって駆動軸が回転する。これにより、ロータが回転して圧縮室が吸入行程、圧縮行程及び吐出行程を行う。このため、冷媒ガスが吸入室から圧縮室内に吸入され、圧縮室内で圧縮されて吐出室内に吐出される。吐出室に吐出された高圧の冷媒ガスは空調装置の冷凍回路に供給される。この間、このベーン型圧縮機では、圧縮行程の間、背圧供給機構によって高圧の潤滑油が各背圧室に供給され、各ベーンがシリンダ室の内面に押し付けられる。このため、各ベーンはベーン溝内で潤滑されるとともにチャタリングが防止され、かつ圧縮室からの冷媒ガスの漏れが防止されて効率が向上する。
しかし、このベーン型圧縮機では、電磁クラッチによって駆動軸が回転されない場合、吐出室内の冷媒ガスやこれに含まれる潤滑油が背圧供給機構や背圧室を経て圧縮室に逆流し、駆動軸の逆転を生じ得るという問題点が存在する。この場合、高温の冷媒ガスが冷凍回路の吸入側に逆流することにより蒸発器が加熱されることから、再び駆動軸を回転させる再起動時に車室への吹き出し温度が上昇して冷凍効率の低下を生じる。また、再駆動時に液圧縮を生じて耐久性の低下を生じる。逆回転時に異音も発生する。このため、特許文献1〜6は、この問題点を解決可能なベーン型圧縮機を提案している。
特許文献1〜4のベーン型圧縮機では、背圧供給機構に開閉弁を設けている。特許文献1、4の開閉弁は、吐出弁の上流側と下流側との圧力差によって吐出室と背圧室とを連通するように構成されている。また、特許文献2の開閉弁は、駆動軸が回転されない間には吐出室と背圧室とを非連通とし、駆動軸が回転を継続すればスパイラルグルーブが圧送する圧力油によって吐出室と背圧室とを連通するように構成されている。特許文献3の開閉弁は、圧力差によってロータに対して第1位置と第2位置との間で揺動可能に設けられており、第1位置にあるときには吐出室と背圧室とを非連通とし、第2位置にあるときには吐出室と背圧室とを連通するように構成されている。これらの開閉弁は、駆動軸が回転されなければ、吐出室と背圧室とを非連通とする。
また、特許文献5のベーン型圧縮機では、吐出室に逆止弁が設けられている。特許文献6のベーン型圧縮機では、吸入室に逆止弁が設けられている。これらの逆止弁は冷媒ガスの逆流を防止する。
特開昭55−134787号公報 特開昭56−154191号公報 特開昭58−174193号公報 特開昭60−162092号公報 特開平7−151083号公報 特開平7−259779号公報
しかしながら、ベーン型圧縮機の背圧供給機構に上記従来の開閉弁を設けたり、吐出室や吸入室に逆止弁を設けたりすれば、開閉弁や逆止弁が占めるスペースをベーン型圧縮機内に確保しなければならず、ベーン型圧縮機が大型化し易い。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、小型化を実現しつつ、冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを確実に低減可能なベーン型圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のベーン型圧縮機は、シリンダ室が形成されたハウジングと、該シリンダ室の前方を閉鎖するとともに吸入室を形成するフロントサイドプレートと、該シリンダ室の後方を閉鎖するとともに吐出室を形成するリヤサイドプレートと、該ハウジングに回転可能に設けられた駆動軸と、該シリンダ室内で該駆動軸と同期回転可能に設けられ、複数個のベーン溝が放射方向に形成されたロータと、各該ベーン溝に出没可能に設けられ、該シリンダ室の内面、該ロータの外面、該フロントサイドプレートの後面及び該リヤサイドプレートの前面とともに各圧縮室を形成するベーンとを備え、
該圧縮室は、吸入行程で該吸入室と連通し、圧縮行程で容積が縮小され、吐出行程で吐出弁を介して該吐出室と連通し、
各該ベーンの底面と各該ベーン溝との間が背圧室とされ、
各該背圧室は、該圧縮行程で背圧供給機構によって該吐出室と連通されるベーン型圧縮機であって、
前記背圧供給機構は、前記駆動軸又は該駆動軸と同期回転する回転体と隣接して形成され、前記吐出室と連通する供給室と、
該駆動軸又は該回転体に形成され、該供給室と連通する回転路と、
前記フロントサイドプレート及び前記リヤサイドプレートの少なくとも一方である供給サイドプレートに形成され、いずれかの前記背圧室と連通又は非連通となる供給路と、
該供給サイドプレートと該駆動軸又は該回転体との間に設けられ、該回転路を該供給路と連通又は非連通とする間欠部とからなり、
該供給路といずれかの該背圧室とが連通する時、前記間欠部が前記回転路と該供給路とを連通させることを特徴とする(請求項1)。
本発明のベーン型圧縮機では、駆動軸の位相にかかわらず、吐出室は供給室と連通し、供給室は回転路と連通している。そして、駆動軸の位相により、供給路はいずれかの背圧室と連通又は非連通となり、間欠部は回転路を供給路と連通又は非連通とする。
ここで、本発明のベーン型圧縮機では、フロントサイドプレート及びリヤサイドプレートの少なくとも一方である供給サイドプレートは駆動軸及びロータに対して静止し、駆動軸とともにロータが回転する。また、駆動軸又は回転体は回転する。このため、供給路といずれかの背圧室とが連通する時、間欠部が回転路と供給路とを連通させれば、吐出室内の高圧の潤滑油は、供給室から回転路、間欠部及び供給路を経て背圧室まで至る。
背圧室と供給路とが連通するが、間欠部が回転路を供給路と連通させなければ、吐出室内の高圧の潤滑油は、供給室から回転路まで至るだけであり、間欠部及び供給路から背圧室までには至らない。
また、背圧室と供給路とが連通しなければ、吐出室内の高圧の潤滑油は、供給室から回転路及び間欠部を経て供給路まで至るだけであり、背圧室には至らない。
このため、このベーン型圧縮機では、各ベーンがシリンダ室の内面に間欠的にかつ確実に押し付けられる。このため、各ベーンはベーン溝内で潤滑されるとともにチャタリングが確実に防止され、かつ圧縮室からの冷媒ガスの漏れが確実に防止されて効率が向上する。
駆動軸の回転が停止され、この状態で吐出室と各背圧室とが連通していなければ、冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを生じない。吐出室と各背圧室とが連通した状態で駆動軸の回転が停止されたとしても、僅かに冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とが生じれば、それによって駆動軸の位相がずれるため、すぐに吐出室と各背圧室とが非連通となり、それ以上の冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを生じない。このため、このベーン型圧縮機は確実かつ早期に冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを確実に防止することができる。つまり、ベーン型圧縮機の品質が安定する。
ここで、このベーン型圧縮機では、回転路が駆動軸又は回転体に形成されている。このため、従来の開閉弁や逆止弁を設けるようなスペースをベーン型圧縮機内に確保する必要がなく、ベーン型圧縮機の大型化を生じない。また、駆動軸や回転体には容易に回転路を形成することができるため、車両等で異なる多くの機種を開発する際の手間も省ける。
したがって、このベーン型圧縮機によれば、小型化を実現しつつ、冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを確実に低減することが可能である。
供給路といずれかの背圧室とが連通する時、間欠部が回転路と供給路とを連通させない場合として、供給路と背圧室との連通するタイミングより先に又は後に、間欠部が回転路と供給路とを連通させる場合がある。このような場合、間欠部から供給路に送られてきた潤滑油を一時貯留しなければならず、貯留用のスペースが必要になる。本発明のベーン型圧縮機では、このようなスペースによる制約がなく、設計の自由度が広がる。
回転体は、駆動軸と一体であってもよく、駆動軸と別体であるが、駆動軸と同期回転するように駆動軸に固定されたものであってもよい。
供給室は、駆動軸又は回転体の後端等、駆動軸又は回転体と隣接して形成される。供給路は供給サイドプレートに形成される。供給サイドプレートは、フロントサイドプレート及びリヤサイドプレートの少なくとも一方である。間欠部は、供給サイドプレートと駆動軸又は回転体との間に設けられる。
供給路は、第1供給路と、第2供給路とを有し得る。そして、駆動軸の軸心を中心とし、ロータ上の初期位置と、初期位置からの回転角度とを規定可能な座標を設定した場合、座標上において、供給路といずれかの背圧室とが連通する第1角度範囲と、間欠部が回転路を供給路と連通させる第2角度範囲とは重複し、第1角度範囲及び第2角度範囲は、第1供給路により第1重複範囲で重複し、第2供給路により第2重複範囲で重複していることが好ましい(請求項2)。
第1角度範囲と第2角度範囲とが重複しておれば、間欠部が回転路を供給路と連通させ、供給路が背圧室と連通する。このため、吐出室内の高圧の潤滑油は、供給室から回転路、間欠部及び供給路を経て背圧室まで至る。
第1角度範囲では、背圧室と供給路とが連通するが、第1角度範囲に第2角度範囲が重複していなければ、間欠部が回転路を供給路と連通させない。このため、吐出室内の高圧の潤滑油は、供給室から回転路まで至るだけであり、間欠部及び供給路から背圧室までには至らない。
また、第1角度範囲でなければ、背圧室と供給路とが連通しない。このため、第2角度範囲で間欠部が回転路を供給路と連通させたとしても、吐出室内の高圧の潤滑油は、供給室から回転路及び間欠部を経て供給路まで至るだけであり、背圧室には至らない。
駆動軸が1回転する間、第1重複範囲と、第2重複範囲とは複数回存在することが好ましい(請求項3)。
この場合、駆動軸が1回転する間に各背圧室に複数回高圧の潤滑油を供給することができ、各ベーンの摺動性がより向上し、ベーン型圧縮機の品質がより安定する。
第1重複範囲と第2重複範囲とは等しい又は略等しいことが好ましい(請求項4)。
この場合、駆動軸が等速で回転しておれば、第1供給路がいずれかの背圧室と連通している時間と、第2供給路がいずれかの背圧室と連通している時間とが等しいか、又は略等しくなり、高圧の潤滑油が各背圧室に等しく、又は略等しく供給される。このため、ベーン型圧縮機の品質がより安定する。
供給サイドプレートには、吸入行程にあるいずれかの背圧室と連通するように、軸心に対して対称をなして扇形状をなす一対の排油溝が凹設され得る。そして、第1供給路及び第2供給路は、いずれかの背圧室を介して排油溝に連通又は非連通となることが好ましい(請求項5)。
第1供給路及び第2供給路がいずれかの背圧室を介して排油溝に連通すれば、その背圧室内に供給された潤滑油が排油溝によって他の背圧室にも移動する。このため、ベーンが過剰にシリンダ室に押し付けられることが防止される。
本発明のベーン型圧縮機では、以下の具体的構成を採用し得る。つまり、回転路は、駆動軸の軸方向に延びる軸路と、軸路を駆動軸の周面の一部に開く間欠口とを有し得る。また、供給サイドプレートと駆動軸又は回転体との間には滑り軸受が設けられ得る。間欠部は、この滑り軸受に径方向で貫設され、間欠口と連通又は非連通となる通孔からなり得る。また、供給路は、滑り軸受周りで供給サイドプレートに環状に形成され、通孔と連通する環状溝と、供給サイドプレートに厚さ方向で形成され、環状溝から背圧室まで延びる背圧孔とからなり得る(請求項6)。
この場合、吐出室内に存在し得る高圧の潤滑油は、供給室、軸路及び間欠口に至る。滑り軸受は、リヤサイドプレートと相対回転を生じ難く、駆動軸又は回転体と相対回転を生じ易い。そして、駆動軸の位相によって間欠口が通孔と連通すれば、回転路内の高圧の潤滑油が通孔、環状溝及び背圧孔を経て各背圧室に供給される。また、駆動軸の位相によって間欠口が通孔と非連通となれば、回転路内の高圧の潤滑油は通孔、環状溝及び背圧孔を経て各背圧室に供給されない。
この場合、軸路は、駆動軸の軸方向に形成された軸孔と、この軸孔と連通して径方向に形成され、駆動軸の周面に間欠口として開く径孔とからなり得る。また、軸路は、駆動軸の軸方向に形成され、先端が間欠口とされる軸溝であり得る。
また、間欠口、通孔及び背圧孔の個数、大きさ等は適宜設定され得る。具体的には、間欠口は一つであり、通孔及び背圧孔は駆動軸の軸心に対して互いに対称をなす二つであり得る(請求項7)。
また、回転路は、駆動軸の軸方向に延びる軸路と、軸路を駆動軸の周面の一部に開く間欠口とを有し得る。また、供給サイドプレートと駆動軸又は回転体とは滑り面によって摺動し得る。間欠部は、供給サイドプレートに径方向に形成され、間欠口と連通又は非連通となる凹部からなり得る。また、供給路は、供給サイドプレートに厚さ方向で形成され、凹部から背圧室まで延びる背圧孔とからなり得る(請求項8)。
この場合、吐出室内に存在し得る高圧の潤滑油は、供給室、軸路及び間欠口に至る。リヤサイドプレートと駆動軸又は回転体とを円筒状の滑り面により互いに接触させれば、部品点数をより削減し、組付工数や設備の減少、部品の減少や組付工数の減少により、製造コストのより低廉化を実現することができる。そして、駆動軸の位相によって間欠口が凹部と連通すれば、回転路内の高圧の潤滑油が凹部及び背圧孔を経て各背圧室に供給される。また、駆動軸の位相によって間欠口が凹部と非連通となれば、回転路内の高圧の潤滑油は凹部及び背圧口を経て各背圧室に供給されない。
この場合も、軸路は、駆動軸の軸方向に形成された軸孔と、この軸孔と連通して径方向に形成され、駆動軸の周面に間欠口として開く径孔とからなり得る。また、軸路は、駆動軸の軸方向に形成され、先端が間欠口とされる軸溝であり得る。
また、間欠口、凹部及び背圧孔の個数、大きさ等は適宜設定され得る。具体的には、間欠口はつであり、凹部及び背圧孔は駆動軸の軸心に対して互いに対称をなす二つであり得る(請求項9)。
本発明のベーン型圧縮機によれば、小型化を実現しつつ、冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを確実に低減することが可能である。
実施例1のベーン型圧縮機の断面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、図1のII−II矢視断面図である。 実施例1のベーン型圧縮機の要部拡大断面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、セパレータを外した状態における一部断面の背面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、一部断面の要部背面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、一部断面の要部背面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、駆動軸、滑り軸受、リヤサイドプレート及びロータの位置関係を示す透視背面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、図7から駆動軸及びロータがある程度回転した状態を示す図7と同様の透視背面図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係り、背圧室、背圧孔、通孔及び間欠口を展開して示す説明図である。 実施例1のベーン型圧縮機に係るタイミングチャートを示す。図(A)はロータの回転によって第1背圧孔と背圧室とが連通している第1角度範囲を示すタイミングチャートである。図(B)はロータの回転によって第2背圧孔と背圧室とが連通している第1角度範囲を示すタイミングチャートである。図(C)は間欠口が通孔と連通する第2角度範囲を示すタイミングチャートである。図(D)は第1、2重複範囲を示すタイミングチャートである。図(E)は図(A)〜図(D)をまとめて示すタイミングチャートである。 実施例1及び変形例1〜6のベーン型圧縮機に係り、駆動軸の位相と背圧供給状態との関係を示すタイミングチャートである。 変形例7のベーン型圧縮機に係り、背圧室、背圧孔、通孔及び間欠口を展開して示す説明図である。 実施例2のベーン型圧縮機の要部拡大断面図である。 実施例2のベーン型圧縮機に係り、一部断面の要部背面図である。
以下、本発明を具体化した実施例1、2及び変形例1〜7を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
実施例1のベーン型圧縮機は、図1及び図2に示すように、互いに結合されたフロントハウジング1及びリヤハウジング2内にシリンダブロック3が収容された状態で固定されている。シリンダブロック3には軸直角方向で楕円状のシリンダ室3aが形成されている。フロントハウジング1、リヤハウジング2及びシリンダブロック3がハウジングに相当する。
フロントハウジング1及びリヤハウジング2内にはフロントサイドプレート4及びリヤサイドプレート5が収納された状態で固定されており、シリンダ室3aの前後はこれらフロントサイドプレート4及びリヤサイドプレート5によりそれぞれ閉鎖されている。
フロントハウジング1、フロントサイドプレート4及びリヤサイドプレート5の軸孔1a、4a、5a中には軸封装置6及び滑り軸受7、8を介して駆動軸9が回転自在に保持されている。滑り軸受8はリヤサイドプレート5の軸孔5aに後方から圧入されている。リヤサイドプレート5が供給サイドプレートである。
駆動軸9の先端はフロントハウジング1の軸孔1aを貫通して突出し、その先端には図示しない電磁クラッチ又はプーリが固定される。電磁クラッチ又はプーリには車両のエンジン又はモータにより駆動力が伝達されるようになっている。
また、駆動軸9には円形断面のロータ10がシリンダ室3a内に配設されるように圧入されている。ロータ10の外周面には、図2に示すように、放射方向に5個のベーン溝10aが凹設されている。各ベーン溝10aは、図7及び図8に示すように、駆動軸の軸心O周りで等角度隔てられている。各ベーン溝10aにはそれぞれベーン11が出没可能に収納されている。各ベーン11の底面と各ベーン溝10aとの間は背圧室40とされている。各背圧室40は円柱状をなしている。図2に示すように、隣合う2枚のベーン11、11、ロータ10の外周面、シリンダブロック3の内周面、フロントサイドプレート4の内面及びリヤサイドプレート5の内面によって5個の圧縮室12が形成されている。
また、図1に示すように、フロントハウジング1とフロントサイドプレート4との間には吸入室13が形成されている。フロントハウジング1には、吸入室13を外部に接続するための流入口1bが上方に開口されている。フロントサイドプレート4には吸入室13と連通する2個の吸入孔4bが貫設されており、各吸入孔4bはシリンダブロック3の各吸入空間3bに連通している。各吸入空間3bは、図2にも示すように、吸入ポート3cによって吸入行程にある圧縮室12と連通するようになっている。
また、シリンダブロック3とリヤハウジング2との間には、2個の吐出空間3dが形成されている。吐出行程にある圧縮室12と各吐出空間3dとは吐出ポート3eによって連通している。各吐出空間3d内には、吐出ポート3eを閉鎖する吐出弁14と、吐出弁14のリフト量を規制するリテーナ15とが設けられている。
図3及び図4に示すように、リヤサイドプレート5の外面の中央には、一定の厚みを持って後側に膨出する膨出部5pが形成されている。膨出部5pは、駆動軸9及び滑り軸受8周りで後側に膨出したボス部5eと、ボス部5eより厚みが少なく、左右に広がった段部5fと、段部5fと同じ厚みで下方に延びる垂下部5gとからなる。段部5fには上方の中央近くから下方の外側に向かって左右に延びる2本の吐出溝5h、5iが凹設されている。両吐出溝5h、5iの下端には各吐出空間3dと連通する吐出孔5j、5kが貫設されている。
また、図1に示すように、リヤサイドプレート5とリヤハウジング2との間には吐出室16が形成されている。吐出室16内では、リヤサイドプレート5とリヤハウジング2とに挟持されることによって遠心分離式のセパレータ50が固定されている。セパレータ50は、図3に示すように、エンドフレーム17と、エンドフレーム17内に固定された上下に延びる円筒状の円筒部18とからなる。
エンドフレーム17には上下に円柱状に延びる油分離室17aが形成されている。油分離室17aの上端に円筒部材18が圧入されている。このため、油分離室17aの一部は、円筒部材18の外周面周りに冷媒ガスを周回させる案内面17bとなっている。図4に示す吐出溝5h、吐出溝5iは、図3に示す左右で一対の分離口17cに連通し、両分離口17cは円筒部材18と案内面17bとの間に連通している。
また、エンドフレーム17の下端には油分離室17aの底面を吐出室16に連通させる連通口17eが形成されている。また、エンドフレーム17には、リヤサイドプレート5のボス部5eを駆動軸9及び滑り軸受8とともに収納する供給室17fが凹設されている。
リヤサイドプレート5の内面(前面)には、図2、4〜6に示すように、扇形状をなす一対の排油溝5cが凹設されている。各排油溝5cは、ロータ10の回転により、吸入行程等にある背圧室40と連通するようになっている。また、図1及び図3に示すように、リヤサイドプレート5には、吐出室16と各排油溝5cとを連通する弁室5dが貫設されており、弁室5d内にはボール状の弁体20が収納されている。弁体20は、弁室5d内に収納されたばね19によって吐出室16側に付勢されている。
図3に示すように、リヤサイドプレート5の垂下部5g内には、下端から上方に延びる第1上流路5mが貫設されている。第1上流路5mの下端は吐出室16に連通している。第1上流路5mの上端は、エンドフレーム17の供給室17fまで水平に延びる第2上流路5nと連通している。第1上流路5m及び第2上流路5nが上流路である。
図3〜6に示すように、駆動軸9には、後端から軸方向に延びる1本の軸孔9aと、軸孔9aと連通し、間欠口9xまで径方向に延びる1本の径孔9bとが形成されている。軸孔9aが軸路である。軸孔9a及び径孔9bは、図7及び図8に示すように、円柱状をなしている。径孔9bは駆動軸9の周面で開口している。軸孔9a及び径孔9bが供給室17fから滑り軸受8の内面まで延びる回転路である。
また、図3〜6に示すように、滑り軸受8には2個の通孔8aが径方向で貫設されている。ここで、両通孔8aが貫設されている位置は、供給室17fと連通する駆動軸9の後端から径孔9bまでの位置である。両通孔8aは、図7及び図8に示すように、駆動軸9の軸心Oに対して対称をなしている。両通孔8aは、図9に示すように、円形に形成されている。両通孔8aが間欠部である。
そして、図3〜6に示すように、リヤサイドプレート5の軸孔5aには、通孔8aと連通して滑り軸受8の外面に沿う環状溝5sが形成されている。環状溝5sは駆動軸9と同軸の環状である。また、リヤサイドプレート5には、環状溝5sからロータ10の端面まで軸方向に延びる第1、2背圧孔30a、30bが形成されている。第1、2背圧孔30a、30bは、ロータ10の回転により、圧縮行程にある背圧室40と連通するようになっている。第1背圧孔30aと第2背圧孔30bとは、図7及び図8に示すように、駆動軸9の軸心Oに対して対称をなしている。第1、2背圧孔30a、30bも、図9に示すように、円形に形成されている。環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bが供給路である。第1背圧孔30aが第1供給路であり、第2背圧孔30bが第2供給路である。
そして、図1に示すように、リヤハウジング2には吐出室16の上端を外部に接続するための流出口2aが形成されている。流出口2aは円筒部18の上方に位置している。図示はしないが、流出口2aは配管によって凝縮器に接続され、凝縮器は配管によって膨張弁に接続され、膨張弁は配管によって蒸発器に接続され、蒸発器は配管によって流入口1bに接続されている。配管、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が外部の冷凍回路を構成している。圧縮機を含む冷凍回路は車両用空調装置を構成している。
各背圧室40、第1、2背圧孔30a、30b、両通孔8a及び間欠孔9xは、以下のように、大きさ及び位置が設定されている。まず、図7及び図9に示すように、駆動軸9の軸心Oをxy座標の中心とし、ロータ10のいずれかの背圧室40の中心をy軸上に位置させる。また、滑り軸受8の通孔8aの中心をx軸上に位置させる。この状態において、リヤサイドプレート5に形成された両排油溝5cは図のように位置する。また、リヤサイドプレート5の環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bも図のように位置する。実施例1では、第1背圧孔30aがy軸から図中右方向にα°ずれている。
駆動軸9の径孔9bをy軸に対して図中左方向でθ°ずらし、初期位置とした。図8に示すように、駆動軸9を軸心O周りで図中右方向に回転させた。この場合において、各背圧室40、第1、2背圧孔30a、30b、両通孔8a及び間欠孔9xの位置関係をシミュレートした。初期位置θ=0°とした場合の結果を図10に示す。
実施例1では、図10(A)に示されるように、背圧室40は、第1背圧孔30aに対し、五つの角度範囲で存在する。図7及び図8に示すように、ロータ10が回転することにより各背圧室40は回転することから、第1背圧孔30aと背圧室40とは、角度x〜a°、角度d〜f°、角度j〜k°、角度n〜o°又は角度s〜u°で連通する。ここで、第1背圧孔30aと背圧室40とは一部でも連通すれば、連通している状態と捉えた。つまり、角度x〜a°、角度d〜f°、角度j〜k°、角度n〜o°又は角度s〜u°が第1角度範囲である。一方、第1背圧孔30aと背圧室40とは、角度a〜d°、角度f〜j°、角度k〜n°、角度o〜s°又は角度u〜x°であれば、連通しない。
また、図10(B)に示されるように、背圧室40は、第2背圧孔30bに対しても、五つの角度範囲で存在する。第2背圧孔30bと背圧室40とは、角度b〜c°、角度g〜i°、角度l〜m°、角度p〜r°又は角度v〜w°で連通する。ここでも、第2背圧孔30bと背圧室40とは一部でも連通すれば、連通している状態と捉えた。つまり、角度b〜c°、角度g〜i°、角度l〜m°、角度p〜r°又は角度v〜w°も第1角度範囲である。一方、第2背圧孔30bと背圧室40とは、角度w〜b°、角度c〜g°、角度i〜l°、角度m〜p°又は角度r〜v°であれば、連通しない。
また、図10(C)に示されるように、角度e〜h°又は角度q〜t°において、間欠口9xが通孔8aと連通する。ここでも、間欠口9xと通孔8aとは一部でも連通すれば、連通している状態と捉えた。角度e〜h°又は角度q〜t°が第2角度範囲である。一方、角度t〜e°又は角度h〜q°において、間欠口9xは通孔8aと連通しない。
このため、図10(D)に示されるように、角度d〜f°と角度e〜h°とは角度e〜f°において重複し、角度g〜i°と角度e〜h°とは角度g〜hにおいて重複する。また、角度p〜r°と角度q〜t°とは角度q〜r°において重複し、角度s〜u°と角度q〜t°とは角度s〜t°において重複する。角度e〜f°及び角度s〜t°が第1重複範囲であり、角度g〜h°及び角度q〜r°が第2重複範囲である。上記図10(A)〜(D)の関係を図10(E)のように示す。
以上のように構成されたベーン型圧縮機では、エンジン等によって駆動軸9が駆動されると、ロータ10が駆動軸9と同期回転し、圧縮室12が容積変化を生じる。このため、蒸発器を経た冷媒ガスが流入口1bから吸入室13に吸入される。吸入室13内の冷媒ガスは吸入孔4b、吸入空間3b及び吸入ポート3cを経て圧縮室12に吸入される。また、圧縮室12で圧縮された冷媒ガスは吐出ポート3e及び吐出空間3dを経て、図4に示すように、吐出孔5j、5kに吐出される。このため、冷媒ガスは、吐出溝5h、5iを経て、図3に示すように、セパレータ50の分離口17cから案内面17bに向けて吐出される。このため、冷媒ガスは案内面17bを周回し、冷媒ガスから潤滑油が遠心分離される。
分離された潤滑油は油分離室17a内から連通口17eを経て吐出室16内に貯留される。吐出室16内の潤滑油は、吐出室16が高圧であることから、第1上流路5m及び第2上流路5nを経て供給室17fに供給される。滑り軸受8はリヤサイドプレート5の軸孔5aに圧入されているため、滑り軸受8と駆動軸9とが相対回転を生じる。供給室17fに供給された潤滑油は滑り軸受8と駆動軸9との間に供給され、これらの間の潤滑を行う。
そして、図5に示すように、駆動軸9の回転方向の位相によって径孔9bが通孔8aと連通すれば、軸孔9a及び径孔9b内の高圧の潤滑油が各通孔8a、環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bを経て、図2及び図3に示す各背圧室40に供給される。特に、このベーン型圧縮機では、第1、2背圧孔30a、30bが単一の環状溝5sを経由して各背圧室40と連通することから、吐出室16内に存在する高圧の潤滑油が均等に各背圧室40に供給され易い。
また、図6に示すように、駆動軸9の位相によって径孔9bが両通孔8aと非連通となれば、軸孔9a及び径孔9b内の高圧の潤滑油は各通孔8a、環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bを経て各背圧室40に供給されない。
すなわち、図10(E)に示すように、角度e〜f°又は角度s〜t°にあれば、通孔8aが間欠口9xと連通し、軸孔9a及び径孔9bを環状溝5sと連通させ、第1背圧孔30aが背圧室40と連通する。また、角度g〜h°又は角度q〜r°にあれば、通孔8aが間欠口9xと連通し、軸孔9a及び径孔9bを環状溝5sと連通させ、第2背圧孔30bが背圧室40と連通する。このため、吐出室16内の高圧の潤滑油は、供給室17fから軸孔9a、径孔9b、通孔8a、環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bを経て背圧室40まで至る。
角度x〜a°、角度d〜f°、角度j〜k°、角度n〜o°又は角度s〜u°にあれば、背圧室40と第1背圧孔30aとが連通する。また、角度b〜c°、角度g〜i°、角度l〜m°、角度p〜r°又は角度v〜w°にあれば、背圧室40と第2背圧孔30bとが連通する。しかし、角度e〜h°又は角度q〜t°でなければ、通孔8aが軸孔9a及び径孔9bを環状溝5sと連通させない。このため、吐出室16内の高圧の潤滑油は、供給室17fから軸孔9a及び径孔9bまで至るだけであり、通孔8a、環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bから背圧室40までには至らない。
角度a〜d°、角度f〜j°、角度k〜n°、角度o〜s°又は角度u〜x°にあれば、背圧室40と第1背圧孔30aとが連通しない。また、角度w〜b°、角度c〜g°、角度i〜l°、角度m〜p°又は角度r〜v°にあれば、背圧室40と第2背圧孔30bとが連通しない。このため、通孔8aが間欠口9xと連通し、軸孔9a及び径孔9bを環状溝5sと連通させたとしても、吐出室16内の高圧の潤滑油は、供給室17fから軸孔9a、径孔9b及び通孔8aを経て環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bまで至るだけであり、背圧室40には至らない。
特に、このベーン型圧縮機では、第1背圧孔30aにより角度e〜f°及び角度s〜t°を生じ、第2背圧孔30bにより角度g〜h°及び角度q〜r°を生じている。このため、駆動軸9が等速で回転しておれば、第1背圧孔30aと第2背圧孔30bとの両方で各背圧室40に高圧の潤滑油を供給することができ、各ベーン11の摺動性が向上し、ベーン型圧縮機の品質がより安定する。
また、角度e〜f°、角度g〜h°、角度q〜r°及び角度s〜t°が実質的に等しい。このため、駆動軸9が等速で回転している限り、第1背圧孔30aがいずれかの背圧室40と連通している時間と、第2背圧孔30bがいずれかの背圧室40と連通している時間とが実質的に等しい。このため、高圧の潤滑油が各背圧室40に等しく供給される。
また、このベーン型圧縮機では、駆動軸9が1回転する間、間欠口9xが通孔8aと1回連通する間に二つの背圧室40と連通し、第1背圧孔30aによる重複範囲と、第2背圧孔30bによる重複範囲とが2回ずつ存在するため、駆動軸9が1回転する間に各背圧室40に2回ずつ高圧の潤滑油を供給することができる。このため、ロータ10の回転方向において、潤滑油量の斑をより少なくすることにより、各ベーン11の摺動性がより向上し、ベーン型圧縮機の品質がより安定している。
また、このベーン型圧縮機では、リヤサイドプレート5に排油溝5cが凹設されている。このため、図8に示すように、第1、2背圧孔30a、30bは、いずれかの背圧室40を介して排油溝5cに連通又は非連通となる。第1、2背圧孔30a、30bがいずれかの背圧室40を介して排油溝5cに連通すれば、その背圧室40内に供給された潤滑油が排油溝5cによって他の背圧室40にも移動する。このため、ベーン11が過剰にシリンダ室3aに押し付けられることが防止される。また、このベーン型圧縮機においては、背圧孔30a、30bと連通して潤滑油が供給される背圧室40が、五つの背圧室40のうちの特定の背圧室40のみとなる場合も考えられるが、第1、2背圧孔30a、30bと直接連通しない背圧室40にも、排油溝5cを経由して潤滑油が供給され、各ベーン11が押し出される。第1、2背圧孔30a、30bが排油溝5cと非連通となれば、排油溝5cに新たに潤滑油が供給されない。
こうして、このベーン型圧縮機では、各ベーン11がシリンダ室3aの内面に間欠的にかつ確実に押し付けられる。このため、各ベーン11はベーン溝10a内で潤滑されるとともにチャタリングが確実に防止され、かつ圧縮室12からの冷媒ガスの漏れが確実に防止されて効率が向上する。
また、潤滑油を間欠的にかつ確実に背圧室40に供給することにより、背圧の供給量を調整して各ベーン11の背圧を調整することができる。このため、各ベーン11の押し付け力を低減し、運転中の動力を低減することも可能である。
駆動軸9の回転が停止され、この状態で径孔9bが両通孔8aと非連通であれば、冷媒ガス等の逆流と駆動軸9の逆転とを生じない。図5に示すように、径孔9bが両通孔8aと連通した状態で駆動軸9の回転が停止されたとしても、僅かに冷媒ガス等の逆流と駆動軸9の逆転とが生じれば、図6に示すように、それによって駆動軸9の位相がずれるため、すぐに径孔9bが両通孔8aと非連通となり、それ以上の冷媒ガス等の逆流と駆動軸9の逆転とを生じない。このため、このベーン型圧縮機は確実かつ早期に冷媒ガス等の逆流と駆動軸9の逆転とを防止することができる。つまり、ベーン型圧縮機の品質が安定する。
ここで、このベーン型圧縮機では、軸孔9a及び径孔9bが駆動軸9に形成されている。このため、従来の開閉弁や逆止弁を設けるようなスペースをベーン型圧縮機内に確保する必要がなく、ベーン型圧縮機の大型化を生じない。また、駆動軸9には容易に軸孔9a及び径孔9bを形成することができるため、車両等で異なる多くの機種を開発する際の手間も省ける。
したがって、このベーン型圧縮機によれば、小型化を実現しつつ、冷媒ガス等の逆流と駆動軸の逆転とを確実に低減することが可能である。
特に、このベーン型圧縮機によれば、環状溝5s及び第1、2背圧孔30a、30bといずれかの背圧室40とが連通する時、両通孔8aが径孔9bと環状溝5sとを連通させない場合として、第1、2背圧孔30a、30bと背圧室40との連通するタイミングより先に又は後に、両通孔8aが径孔9bと環状溝5sとを連通させる場合がある。このような場合、両通孔8aから環状溝5sに送られてきた潤滑油を一時貯留しなければならず、貯留用のスペースが必要になる。このベーン型圧縮機では、このようなスペースによる制約がなく、設計の自由度が広がる。
また、このベーン型圧縮機では、車両等で異なる多くの機種毎に開閉弁や逆止弁を設ける位置を異ならせる必要がなく、開発の手間の削減を図ることもできる。
また、このベーン型圧縮機では、滑り軸受8を採用し、軸孔9a及び径孔9bと各背圧室40との連通及び非連通を滑り軸受8によって行っているため、従来の開閉弁や逆止弁を採用した場合の部品点数の増加、組付工数や設備の増加、部品の増加や組付工数の増加を生じず、製造コストの低廉化を実現することができる。
変形例1〜6として、初期位置θを12°、24°、36°、48°、60°、72°としてシミュレートした。結果を図11に示す。図11(A)は、図10(F)と同様、初期位置θ=0°の実施例1の結果を示す。図11(B)は初期位置θ=12°の変形例1の結果を示す。図11(C)は初期位置θ=24°の変形例2の結果を示す。図11(D)は初期位置θ=36°の変形例3の結果を示す。図11(E)は初期位置θ=48°の変形例4の結果を示す。図11(F)は初期位置θ=60°の変形例5の結果を示す。図11(G)は初期位置θ=72°の変形例6の結果を示す。図11(A)〜(G)において、各々の上段の矢印は間欠口9xと通孔8aとが連通する第2角度範囲を示し、各々の中段の矢印は背圧孔30aと背圧室40とが連通する第1角度範囲を示し、各々の下段の矢印は背圧孔30bと背圧室40とが連通する第1角度範囲を示す。
図11に示されるように、これら変形例1〜6においても、第1角度範囲と第2角度範囲とが重複する部分を有している。そして、駆動軸9が等速で回転しておれば、第1背圧孔30aがいずれかの背圧室40と連通している時間と、第2背圧孔30bがいずれかの背圧室40と連通している時間とが実質的に等しい。このため、これらのベーン型圧縮機においても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
特に、変形例3、6においては、実施例1と同様、駆動軸9が1回転する間に各背圧室40に2回ずつ高圧の潤滑油を供給することができる。このため、変形例3、6のベーン型圧縮機は、実施例1と同一の作用効果を奏することができる。
変形例7として、図12に示すように、背圧室40と、第1背圧孔30aと、通孔8aと、間欠口9xとをxy座標のy軸上に整列させてもよい。この場合、組付けがやや面倒になるが、潤滑油が最短距離で背圧室40に供給される。
(実施例2)
実施例2のベーン型圧縮機は、図13及び図14に示すように、駆動軸9に直径方向に延び、間欠口9xが二つとなる径孔9bを採用している。また、このベーン型圧縮機は、実施例1のような滑り軸受8を採用しておらず、リヤサイドプレート5と駆動軸9とが円筒状の滑り面5v、9dにより互いに接触している。そして、リヤサイドプレート5の滑り面5Vには、第1、2凹部5ta、5tbが形成されている。ここで、第1、2凹部5ta、5tbが形成されている位置は、駆動軸9の後端からの距離が径孔9bと等しい位置である。
また、リヤサイドプレート5には、第1凹部5taからロータ10の端面まで延びる第1背圧孔30aと、第2凹部5tbからロータ10の端面まで延びる第2背圧孔30bとが形成されている。第1、2凹部5ta、5tb及び第1、2背圧孔30a、30bが下流路である。他の構成は実施例1と同様である。
このベーン型圧縮機では、駆動軸9の位相によって径孔9bが第1、2凹部5ta、5tbと連通すれば、軸孔9a及び径孔9b内の高圧の潤滑油が第1、2凹部5ta、5tb及び第1、2背圧孔30a、30bを経て各背圧室40に供給される。また、駆動軸9の位相によって径孔9bが第1、2凹部5ta、5tbと非連通となれば、軸孔9a及び径孔9b内の高圧の潤滑油は第1、2凹部5ta、5tb及び第1、2背圧孔30a、30bを経て各背圧室40に供給されない。
このようにリヤサイドプレート5と駆動軸9とを円筒状の滑り面5v、9dにより互いに接触させれば、部品点数をより削減し、組付工数や設備の減少、部品の減少や組付工数の減少により、製造コストのより低廉化を実現することができる。
以上において、本発明を実施例1、2及び変形例1〜7に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2及び変形例1〜7に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、回転路は駆動軸9ではなく、駆動軸と同期回転する回転体に形成してもよい。
また、ベーン溝、間欠口、通孔、背圧孔、凹部等の個数、大きさ等は適宜設定が可能である。
本発明は車両用空調装置に利用可能である。
1…フロントハウジング(ハウジング)
2…リヤハウジング(ハウジング)
3…シリンダブロック(ハウジング)
3a…シリンダ室
4…フロントサイドプレート
5…リヤサイドプレート
5v、9d…滑り面
5s…環状溝
5t第1凹部(間欠部)
5tb…第2凹部(間欠部)
8…滑り軸受
8a…通孔(間欠部)
9…駆動軸
9a、9b、17f、5m、5n、8a、5s、30a、30b、5ta、5tb…背圧供給機構
9a…軸孔(回転路)
9b…径孔(回転路)
9x…間欠口
10…ロータ
10a…ベーン溝
11…ベーン
12…圧縮室
13…吸入室
14…吐出弁
16…吐出室
17f…供給室
40…背圧室
x〜a、d〜f、j〜k、n〜o、s〜u、b〜c、g〜i、l〜m、p〜r、v〜w…第1角度範囲
e〜h、q〜t…第2角度範囲
e〜f、s〜t…第1重複範囲
g〜h、q〜r…第2重複範囲
5c…排油溝

Claims (9)

  1. シリンダ室が形成されたハウジングと、該シリンダ室の前方を閉鎖するとともに吸入室を形成するフロントサイドプレートと、該シリンダ室の後方を閉鎖するとともに吐出室を形成するリヤサイドプレートと、該ハウジングに回転可能に設けられた駆動軸と、該シリンダ室内で該駆動軸と同期回転可能に設けられ、複数個のベーン溝が放射方向に形成されたロータと、各該ベーン溝に出没可能に設けられ、該シリンダ室の内面、該ロータの外面、該フロントサイドプレートの後面及び該リヤサイドプレートの前面とともに各圧縮室を形成するベーンとを備え、
    該圧縮室は、吸入行程で該吸入室と連通し、圧縮行程で容積が縮小され、吐出行程で吐出弁を介して該吐出室と連通し、
    各該ベーンの底面と各該ベーン溝との間が背圧室とされ、
    各該背圧室は、該圧縮行程で背圧供給機構によって該吐出室と連通されるベーン型圧縮機であって、
    前記背圧供給機構は、前記駆動軸又は該駆動軸と同期回転する回転体と隣接して形成され、前記吐出室と連通する供給室と、
    該駆動軸又は該回転体に形成され、該供給室と連通する回転路と、
    前記フロントサイドプレート及び前記リヤサイドプレートの少なくとも一方である供給サイドプレートに形成され、いずれかの前記背圧室と連通又は非連通となる供給路と、
    該供給サイドプレートと該駆動軸又は該回転体との間に設けられ、該回転路を該供給路と連通又は非連通とする間欠部とからなり、
    該供給路といずれかの該背圧室とが連通する時、前記間欠部が前記回転路と該供給路とを連通させることを特徴とするベーン型圧縮機。
  2. 前記供給路は、第1供給路と、第2供給路とを有し、
    前記駆動軸の軸心を中心とし、前記ロータ上の初期位置と、該初期位置からの回転角度とを規定可能な座標を設定した場合、該座標上において、該供給路といずれかの該背圧室とが連通する第1角度範囲と、前記間欠部が前記回転路を該供給路と連通させる第2角度範囲とは重複し、
    前記第1角度範囲及び前記第2角度範囲は、該第1供給路により第1重複範囲で重複し、該第2供給路により第2重複範囲で重複している請求項1記載のベーン型圧縮機。
  3. 前記駆動軸が1回転する間、前記第1重複範囲と、前記第2重複範囲とは複数回存在する請求項2記載のベーン型圧縮機。
  4. 前記第1重複範囲と前記第2重複範囲とは等しい又は略等しい請求項2又は3記載のベーン型圧縮機。
  5. 前記供給サイドプレートには、前記吸入行程にあるいずれかの前記背圧室と連通するように、前記軸心に対して対称をなして扇形状をなす一対の排油溝が凹設され、
    前記第1供給路及び前記第2供給路は、いずれかの該背圧室を介して該排油溝に連通又は非連通となる請求項2乃至4のいずれか1項記載のベーン型圧縮機。
  6. 前記回転路は、前記駆動軸の軸方向に延びる軸路と、該軸路を該駆動軸の周面の一部に開く間欠口とを有し、
    前記供給サイドプレートと前記駆動軸又は前記回転体との間には滑り軸受が設けられ、
    前記間欠部は、該滑り軸受に径方向で貫設され、該間欠口と連通又は非連通となる通孔からなり、
    前記供給路は、該滑り軸受周りで該供給サイドプレートに環状に形成され、該通孔と連通する環状溝と、該供給サイドプレートに厚さ方向で形成され、該環状溝から前記背圧室まで延びる背圧孔とからなる請求項1乃至5のいずれか1項記載のベーン型圧縮機。
  7. 前記間欠口は一つであり、
    前記通孔及び前記背圧孔は前記駆動軸の軸心に対して互いに対称をなす二つである請求項6記載のベーン型圧縮機。
  8. 前記回転路は、前記駆動軸の軸方向に延びる軸路と、該軸路を該駆動軸の周面の一部に開く間欠口とを有し、
    前記供給サイドプレートと前記駆動軸又は前記回転体とは滑り面によって摺動し、
    前記間欠部は、該供給サイドプレートに径方向に形成され、該間欠口と連通又は非連通となる凹部からなり、
    前記供給路は、該供給サイドプレートに厚さ方向で形成され、該凹部から前記背圧室まで延びる背圧孔とからなる請求項1乃至5のいずれか1項記載のベーン型圧縮機。
  9. 前記間欠口はつであり、
    前記凹部及び前記背圧孔は前記駆動軸の軸心に対して互いに対称をなす二つである請求項8記載のベーン型圧縮機。
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