発明を実施するための実施形態の直流プラグは、直流電力系統と出力端子との間に直流電流路を開路または閉路とするために、電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、電子的開閉スイッチが閉路とされた後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とすることによって、電子的開閉スイッチの発熱を防止する。
また、スイッチ制御回路は、直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とすることによって、アークの発生を防止する。
[直流プラグの概略]
実施形態の技術について、図面を参照して以下に説明をする。図1は、実施形態の直流プラグを用いる直流電力供給システムを示す図である。直流電力系統10には直流発電機が接続され直流電力が供給される。直流電力系統10には、直流プラグ20a、直流プラグ20b、直流プラグ20c、直流プラグ20d直流プラグ20e、直流プラグ20f、直流プラグ20g、直流プラグ20h、直流プラグ20i、直流プラグ20j、直流プラグ20k、直流プラグ20l、直流プラグ20m、直流プラグ20nが接続される(直流プラグ20d〜直流プラグ20j、直流プラグ20mは図1には図示せず)。直流プラグ20a〜直流プラグ20nの各直流プラグは、入力端子である入力端子A、入力端子B、および、出力端子である出力端子C、出力端子D、を備えている。入力端子Aはプラス極性のプラス端子、入力端子Bはマイナス極性のマイナス端子、出力端子Cはプラス極性のプラス端子、出力端子Dはマイナス極性のマイナス端子である。
直流プラグ20a〜直流プラグ20lにはコンセント19が接続され、直流プラグ20kにはコンセント19aが接続され、直流プラグ20nにはコンセント19bが接続されて電気的な導通が図られる。例えば、コンセント19、コンセント19a、コンセント19bは、各直流プラグの入力端子Aおよび入力端子Bの各々と接するように、バネ機能を有し中心方向に押圧力を生じる筒状の導体を接点として有している。直流プラグ20a〜直流プラグ20nの入力端子Aおよび入力端子Bは棒状の導体とされ、コンセントの筒状の導体に直流プラグの棒状の導体が挿入されて導通状態とされる。コンセントの接点は、従来の交流用のコンセントで用いられるようなバネ機能を有する2枚の板であっても良く、コンセントの各接点の2枚の板バネの間に直流プラグの接点としての板状の導体板が挿入されて、直流プラグとコンセントが導通するようにしても良い。
直流プラグ20a〜直流プラグ20kには、突起状の部材である制御スイッチ押圧部191がコンセント側に突き出すように設けられている。制御スイッチ押圧部191は、コンセントの壁面に当たって、直流プラグ20a〜直流プラグ20kの内部側にその位置が移動させられる。そして、この突起状の制御スイッチ押圧部191によって、詳細は後述する制御スイッチ17が押される。制御スイッチ17はプッシュスイッチであり押されているときだけ導通する。ここで、制御スイッチ17が押されるのは、コンセント19と直流プラグ20a〜直流プラグ20jとが接続された後である。直流プラグ20a〜直流プラグ20jの各直流プラグ内部における制御スイッチ17の配置と、制御スイッチ押圧部191の先端の位置を予め定めることによって、直流プラグ20a〜直流プラグ20kの各直流プラグの入力端子がコンセント19に接続された後に制御スイッチ押圧部191によって制御スイッチ17が押されるようにすることができる。
このようにして、詳細は後述するが、コンセント19と直流プラグ20a〜直流プラグ20kとの導通が図られた状態において、直流プラグ20a〜直流プラグ20kの内部でアークの発生を防止しながら直流電流路の開閉をおこなう。
図1の下から3段目のコンセント19と直流プラグ20kの組み合わせにおいては、直流プラグ20kには、制御スイッチ押圧部191が設けられていない。また、制御スイッチとしては、スライドスイッチ177が用いられる。スライドスイッチ177は制御スイッチとして機能する。スライドスイッチ177には、直流プラグ20kの外部から操作できるレバーが設けられている。レバーを矢印ON側にスライドさせれば、スライドスイッチ177は導通となり、レバーを矢印OFF側にスライドさせれば、スライドスイッチ177は切断となる。このようにして、スライドスイッチ177のレバーを制御することによって、直流プラグ20kの内部の直流電流路の導通と切断を制御することができる。また、スライドスイッチ177をOFFとしてから、時間を置いてコンセント19から直流プラグ20kを抜くことによって、後述する回生電流によるアークの発生を防止できる。
図1の下から2段目ののコンセント19aと直流プラグ20lの組み合わせ、図1の最下段目ののコンセント19bと直流プラグ20nの組み合わせにおいては、直流プラグには、制御スイッチ押圧部191が設けられていない。詳細は後述するが、制御スイッチ押圧部191を設けなくとも、コンセントと直流プラグとの間でアークの発生を防止しながら直流電流路の開閉をおこなうことができる。
「実施形態の直流プラグ」
第1実施形態の直流プラグは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチが閉路とされた所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするものである。
第2実施形態の直流プラグは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチとこの並列機械的開閉スイッチとに対して直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの3つのスイッチの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、直列機械的開閉スイッチが閉路とされた所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、最後に並列機械的開閉スイッチを閉路とする。また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチが開路とされた所定時間後に、電子的開閉スイッチを開路とし、最後に直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
第3実施形態の直流プラグは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、この電子的開閉スイッチに直列に接続される直列機械的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチとこの直列に接続される機械的開閉スイッチとで形成される直列接続回路に対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの3つのスイッチの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備える。そして、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際して、直列機械的開閉スイッチが閉路とされた所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とし、最後に並列機械的開閉スイッチを閉路とする。また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際して、並列機械的開閉スイッチが開路とされた所定時間後に、電子的開閉スイッチを開路とし、最後に直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
実施形態の変形の形態(以下実施形態の変形例と記載する)の直流プラグは、第1実施形態ないし第3実施形態の直流プラグに対して、さらには、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチのみを有する実施形態の直流プラグに対して転流ダイオードの付加、または、回生ダイオードの付加をするものである。転流ダイオードの付加は、直流プラグ内部に形成される直流スイッチを切断した直後における逆起電圧の発生を防止することを解決課題とする。回生ダイオードの付加は、負荷であるモータに生じた電力を、直流プラグを介して直流電力系統に対して電力回生をおこなうことを解決課題とする。
第4実施形態の直流プラグは、上述した第1実施形態ないし第3実施形態およびこれらの変形例のすべての実施形態との組み合わせにおいて実施することができるものである。第4実施形態の直流プラグでは、スイッチ制御回路を制御するトリガー信号をスライドスイッチによって付与するものである。このスライドスイッチは直流プラグの外部から操作できるレバーを備える。このレバーを操作して、直流プラグ内の直流電流路を開路とした後、回生電力を電源系統に戻し終わった後にコンセントから直流プラグを抜くことによって回生電力を電源系統に有効に戻すとともにコンセントと直流プラグの間にアークが発生することを防止できる。
第5実施形態の直流プラグは、上述した第1実施形態ないし第3実施形態およびこれらの変形例のすべての実施形態との組み合わせにおいて実施することができるものである。第5実施形態の直流プラグでは、上述した実施形態に、さらに、コンセントの電磁波発射部(送信部)から直流プラグに対して発射された、所定パスワードを含む情報を受信して所定パスワードを再生する受信部を備えるものである。そして、所定パスワードの再生が可能となる所定距離にコンセントが接近するよりもより離間した距離において、直流プラグの入力端子とコンセントの接続が開始され、受信部で所定パスワードを再生した後にスイッチ制御回路は直流プラグ内の直流電流路を閉路とするものである。また、所定パスワードの再生が可能となる所定距離よりもコンセントが離間した距離においても、直流プラグとコンセントの電気的接続が維持され、受信部で所定パスワードの再生ができなくなるとスイッチ制御回路は直流プラグ内の直流電流路を開路とするものである。
第6実施形態の直流プラグは、上述した第1実施形態ないし第3実施形態およびこれらの変形例のすべての実施形態との組み合わせにおいて実施することができるものである。第6実施形態の直流プラグでは、上述した実施形態に、さらに、静電容量検出部を備えるものである。そして、静電容量検出部で静電容量の変化に基づいて検出されるコンセントと直流プラグの離間距離である所定離間距離より離間した距離において直流プラグの入力端子とコンセントの接続が開始され、所定離間距離以内となるとスイッチ制御回路は直流プラグ内の直流電流路を閉路とするものである。また、静電容量検出部で静電容量の変化に基づいて検出されるコンセントと直流プラグの離間距離である所定離間距離より離間した距離において直流プラグとコンセントの電気的接続が維持され、コンセントとの離間距離が所定離間距離以内ではなくなるとスイッチ制御回路は直流プラグ内の直流電流路を開路とするものである。
以下に第1実施形態の直流プラグないし第6実施形態の直流プラグ、さらには、これらの実施形態の変形の形態について詳細に説明をする。第1実施形態の直流プラグでは並列機械的開閉スイッチ、第2実施形態の直流プラグおよび第3実施形態の直流プラグでは並列機械的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチとを直流プラグの一構成要素とする。第4実施形態、第5実施形態の直流プラグ、実施形態の直流プラグの変形例においても、これらを一構成要素としているのでこれらの機械的開閉スイッチについてまず説明をする。
機械的開閉スイッチは、導電体で形成された2つの接点を有し、電流が流れる経路である直流電流路に機械的開閉スイッチは挿入され、機械的開閉スイッチの各々の接点は2つに分断された直流電流路に各々接続されている。2つの接点が相互に接触して閉状態となることによって直流電流路が形成され、2つの接点が離間して開状態となることによって直流電流路が切断されるようになされている。
第1実施形態の直流プラグ、および、第2実施形態の直流プラグでは、後述する機械的開閉スイッチ16は、後述する電子的開閉スイッチ15に対して並列接続されるので、機械的開閉スイッチ16は、並列機械的開閉スイッチ16とも記載してその機能を明確にする。また、第3実施形態の直流プラグでは機械的開閉スイッチ16は、機械的開閉スイッチ161を介してではあるが電子的開閉スイッチ15に対して並列接続されるので、第3実施形態の直流プラグにおいても並列機械的開閉スイッチ16と記載する。
第2実施形態の直流プラグでは、機械的開閉スイッチ161は、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15の並列接続回路に直列に接続されており、少なくとも電子的開閉スイッチ15に対して直列接続されているので、機械的開閉スイッチ161は、直列機械的開閉スイッチ161とも記載してその機能を明確にする。また、第3実施形態の直流プラグでは、機械的開閉スイッチ161は、電子的開閉スイッチ15に対して直列接続されているので、機械的開閉スイッチ161は、同様に、直列機械的開閉スイッチ161とも記載してその機能を明確にする。
ここで、並列機械的開閉スイッチにおける並列とは、直流電流路中に配された電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとに電流が分流する(一方に分流する電流が0である場合も含む)接続態様を意味するものである。すなわち、電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとを並列に接続すると、電子的開閉スイッチの抵抗値は、機械的開閉スイッチの抵抗値よりも高いので、直流電流路に流れる電流の多くは機械的開閉スイッチに流れる。また、電子的開閉スイッチが抵抗として機能するのではなく、一定のオン電圧(導通時のスイッチ両端の電圧)を有する素子として機能する場合には、オン電圧が0に近い機械的開閉スイッチにのみ電流は流れる。
また、直列機械的開閉スイッチにおける直列とは、直流電流路中に配された電子的開閉スイッチに流れる電流が、機械的開閉スイッチに流れるような接続態様を意味するものである。すなわち、電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとを直列に接続する場合には、いずれか、一方が切断する(開となる)と、この電子的開閉スイッチと機械的開閉スイッチとが直列接続された部分の直流電流路には電流が流れることはない。安全規格等で機械的開閉スイッチの設置を義務づけている電気機器においては、このような直列接続を用いることによってこの義務に対応できることとなる。
(第1実施形態の直流プラグ)
図2は第1実施形態の直流プラグを示す図である。図2に沿って第1実施形態の、内部に直流スイッチを有する直流プラグ20aについて説明する。直流プラグ20aは、負荷30a(図1を参照)に出力端子Cおよび出力端子Dとの各々が接続されて用いられる。
直流プラグ20aは、並列機械的開閉スイッチ16と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路14と、制御スイッチ17と、を備えている。そして、この並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15とは並列に接続され、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の並列接続回路が、入力端子Bと出力端子Dとの間の直流電流路に挿入されている。
負荷は、電気機器である。電気機器は静止機器(例えば、テレビジョン受像機)のみならず、回転機器(例えば、冷蔵庫のコンプレッサ)であっても良く、回転機器としては、例えば、直流モータ、インバータなどの電力変換器を介して駆動する交流モータが、例として挙げられる。直流プラグ20aの並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15は、直流電流が流れる直流電流路を開路(直流電流路が形成されない状態)または閉路(直流電流路が形成される状態)とするために挿入されている。
すなわち、並列接続された並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15は、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15のいずれもが、入力端子Bの側のマイナス側の母線13に挿入され、直流プラグ20aを介在して直流電力系統10と負荷30aとの間に直列に接続されている。このために、並列機械的開閉スイッチ16または電子的開閉スイッチ15のいずれか一方を閉(導通)とすると直流電流路は導通(閉路)とされ、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の両方を開(切断)とすると直流電流路は切断(開路)とされる。この開閉の動作によって、負荷30aへの電力供給を絶ち、または、負荷30aに直流電力系統10からの電力を供給することができる。
しかしながら、後述するように、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生と、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15の開閉の順序は密接に関係している。なお、図2では並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15が、マイナス側の母線13に挿入されているが、入力端子Aの側のプラス側の母線12に挿入しても同様な作用効果を奏する。
スイッチ制御回路14は、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15との両者の相互の開閉時間差を制御する。このとき、制御スイッチ17は開閉を行い、スイッチ制御回路14に対して、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の開閉の契機となるトリガー信号を与える。制御スイッチ17は、コンセント19によって制御スイッチ押圧部191の先端が押されて操作されるスイッチである(図1を参照)。
図3は、第1実施形態における、制御スイッチ17の操作、並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15の開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。図3(A)は制御スイッチ17が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示し、図3(B)は電子的開閉スイッチ15が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示し、図3(C)は並列機械的開閉スイッチ16が開である切断(切断状態)と閉である導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。図3を参照して、制御スイッチ17の操作、電子的開閉スイッチ15および並列機械的開閉スイッチ16の開閉の動作を説明する。
まず、直流プラグ20aによって直流電流路を閉路とする場合の手順を説明する。制御スイッチ17が制御スイッチ押圧部191によって押され、制御スイッチ17を切断から導通に変化させる(図3(A)の時刻t1を参照)。スイッチ制御回路14は、制御スイッチ17の操作によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16および電子的開閉スイッチ15を切断から導通に変化させる(図3(B)の時刻t1、図3(C)の時刻t2を参照)。すなわち、図3(B)に示すように、制御スイッチ17が導通(閉)となると、電子的開閉スイッチ15は、原理的には動作遅れなく、実際の半導体素子ではごく僅かの動作遅れを有して導通(閉)となる。一方、図3(C)に示すように、制御スイッチ17が導通(閉)となると、並列機械的開閉スイッチ16は時刻t1から予め定めた所定時間τ1の後の時刻t2に導通(閉)となる。ここで、時刻t1と時刻t2の間の所定時間τ1の間は、電子的開閉スイッチ15のみが導通する。そして所定時間τ1の間は電子的開閉スイッチ15において電力損失が発生するので、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度以上(例えば、60℃以上)に上昇しないような短い時間に所定時間τ1は設定されている。
所定時間τ1は電子的開閉スイッチ15の動作遅れ以上であれば良い。所定時間τ1の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に導通した後(電子的開閉スイッチ15のオン電圧が十分に低くなった後)に並列機械的開閉スイッチ16を導通させることを確保できる。このように所定時間τ1を設定することによって並列機械的開閉スイッチ16の接点に高電圧が印加されたまま回路を閉とし、その結果として、接点に熱損失が生じるようなことはない。
つまり、所定時間τ1の最大許容時間は、電子的開閉スイッチ15の許容温度によって定まり、所定時間τ1の最小許容時間は、電子的開閉スイッチ15の導通速度によって定まる。さらに、所定時間τ1が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ1は定められる。
このようにして、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通しないようにしている。仮に、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通する場合には、並列機械的開閉スイッチ16の接点にアークが発生して接点の損傷を生じるおそれがある。特に、接点のチャタリングによってアークが発生する可能性は倍加する。ここで、チャタリングとは、並列機械的開閉スイッチ16の接点が切り替わった際に、微細で非常に速い機械的振動によって、接点が接触と非接触とを繰り返し直流電流路に流れる電流を切断・導通させようとする現象であり、例えば、1〜100ms(ミリセカンド)程度持続する現象である。
直流プラグ20aの直流電流路を導通とする場合に、上述したようにして、直流プラグ20aの内部でアークの発生が生じないのみならず、突起状の制御スイッチ押圧部191によって、制御スイッチ17が押されて閉(導通)となるに際しては、入力端子Aおよび入力端子Bのいずれもがコンセント19に接続された状態となった後であるので、直流プラグ20aとコンセント19との間でもアークが発生することはない(図1の直流プラグ20aとコンセント19の位置関係を参照)。
次に、直流プラグ20aによって直流電流路を開路とする場合の手順を説明する。ここで、負荷30aに電流の供給が断たれている場合、すなわち、負荷30aの内部において電流路を切断する操作がおこなわれた場合にはコンセント19から直流プラグ20aを抜いても大きな問題は生じない。問題となるのは、負荷30aに電流が流れている状態においてコンセント19から直流プラグ20aを抜く場合である。
コンセント19から直流プラグ20aを抜く過程において、制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押さなくなり、制御スイッチ17を導通から切断に変化させる(図3(A)の時刻t3を参照)。スイッチ制御回路14は、制御スイッチ17の操作によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させる(図3(C)の時刻t3を参照)。また、スイッチ制御回路14は、制御スイッチ17の操作によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させて時刻t3から所定時間τ2後の時刻t4に電子的開閉スイッチ15を導通から切断に変化させる。ここで、時刻t3と時刻t4との間の所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定されるとともに、所定時間τ2は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定する。さらに、直流プラグ20aとコンセント19との接触が絶たれる前に電子的開閉スイッチ15が切断するようにするのが直流プラグ20aとコンセント19との間におけるアークの発生を防止する点から望ましい。
このような手順で、導通から切断とする場合においては、所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間に設定されている。よって、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まった後、並列機械的開閉スイッチ16が完全に開となった時点において、未だ電子的開閉スイッチ15は閉となっている。そのために、所定時間τ2以内の時間において、電子的開閉スイッチ15が、例えば、MOS−FETの場合には、電子的開閉スイッチ15の抵抗値は小さく、電子的開閉スイッチ15の両端に生じる電圧は小さい。よって、所定時間τ2以内の時間において、並列機械的開閉スイッチ16の接点にチャタリングが生じたとしても、所定時間τ2より長い時間が経てばチャタリングは収まっているので並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生はない。さらに、直流プラグ20aとコンセント19との接触が絶たれる前に電子的開閉スイッチ15が切断するようにして、直流プラグ20aとコンセント19の間でアークが発生しないようにするのが望ましい。このような観点から、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間と等しい時間に所定時間τ2を定めるのが最も望ましい。
また、電子的開閉スイッチ15がMOS−FETではなく、例えば、バイポーラトランジスタの場合には、接点の両端には、電子的開閉スイッチ15のオン電圧以上の電圧が生じることはない。よって、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生はない。
所定時間τ2は、発熱の観点から見ると、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度(例えば、安全規格で定める温度、半導体の定格で定める温度)に上昇する時間よりも短い時間に設定されるので、電子的開閉スイッチ15は、安全な低い温度を維持し、また、熱破壊することがない。そして、電子的開閉スイッチ15を開とする時点で直流電流路は切断(開)の状態とされる。つまり、所定時間τ2の最小許容時間は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリング持続時間であり、所定時間τ2はチャタリング持続時間以上の時間とされる。さらに、所定時間τ2が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ2は定められる。
また、所定時間τ2の最大許容時間は、直流電流が負荷30aに流れている活電状態においてコンセント19から直流プラグ20aを抜く際の直流プラグ20aとコンセント19の間におけるアークの発生を防止する観点からも定められる。ここで、直流電流が負荷30aに流れている活電状態においてコンセント19から直流プラグ20aを抜くことは、異常な取り扱いと言えるが、一般ユーザがこのような取り扱いをすることも十分に考えられるので、このような場合の対処を予めしておくことは望ましいことである。つまり、所定時間τ2の最大許容時間は、制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押さなくなってから、直流プラグ20aとコンセント19との接触が絶たれるまでの時間に関係をする。
直流プラグ20aの直流電流路を切断とする場合に、上述したように適切に所定時間τ2を定めれば、直流プラグ20aの内部で並列機械的開閉スイッチ16の接点におけるアークの発生が生ぜず、電子的開閉スイッチ15における発熱も許容範囲にすることができる。のみならず、突起状の制御スイッチ押圧部191によって、制御スイッチ17が押されていない開(切断)(図1の直流プラグ20cとコンセント19の位置関係を参照)から直流プラグ20aの直流電流路が電子的開閉スイッチ15によって開とされるまで、直流プラグ20aとコンセント19との接触が絶たれるとすることによって、直流電流が流れている直流電流路を開路とするに際しても、直流プラグ20aとコンセント19との間でもアークが発生することはない。
要するに第1実施形態の直流プラグでは、並列機械的開閉スイッチ16の導通する時間を前後方向(より前の時刻から(前方向)より後の時刻まで(後方向))に覆うように、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を定めるものである。そして、前方向に覆う時間である所定時間τ1と後方向に覆う時間である所定時間τ2とは、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定するとともに、電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失が無視できる時間とする。また、所定時間τ2は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定するものである。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流プラグの入力端子と出力端子との間は導通とされる。これによって、並列機械的開閉スイッチ16の接点間におけるアークの発生を防止する。
最も望ましくは、導通速度が速い電子的開閉スイッチ15を用いて、所定時間τ1を可能な限り短くし、かつ、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間と等しい時間に所定時間τ2を設定する。これによって、(所定時間τ1+所定時間τ2)<(制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押さなくなってから、直流プラグ20aとコンセント19との接触が絶たれるまでの時間)、となる関係を成立させることが可能とされる。このようにして、素早く、コンセント19から直流プラグ20aを引き抜いた場合にも、直流プラグ20aとコンセント19との間でのアークの発生を防止することができる。
図4は、図2に示す直流プラグ20aの回路例を示す図である。図4を参照して、直流プラグ20aのより具体的な構成の一例を説明する。並列機械的開閉スイッチ16の一実施例である並列機械的開閉スイッチ16aは、電気接点を機械的に開閉する継電器(リレー)50と、継電器50を駆動するバイポーラトランジスタ51を有して、バイポーラトランジスタ51を介して、継電器50のコイル巻線に流す電流を制御することができるようになされている。例えば、コイル巻線に電流を流す場合に接点が閉とされ、コイル巻線に電流を流さない場合に接点が開とされる。
電子的開閉スイッチ15の一実施例である電子的開閉スイッチ15aは、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transisitor:モスエフイーテー)53と、バイポーラトランジスタ54とを主要な構成部品とし形成される。抵抗R1および抵抗R2の接続点とバイポーラトランジスタ54のコレクタとをMOS−FET53のゲートに接続して、MOS−FET53は、直流電流路を開閉するようになされている。ここで、電子的開閉スイッチ15aを開路とする場合には、ゲート電圧を下げて、ドレインとソースとの間を高抵抗とし、電子的開閉スイッチ15aを閉路とする場合には、ゲート電圧を上げて、ドレインとソースとの間を低抵抗とするようになされている。
スイッチ制御回路14の一実施例であるスイッチ制御回路14aは、デジタルロジック回路18と周辺回路で構成される。抵抗R4は、デジタルロジック回路18に対して動作電圧を供給するためのものであり、動作電圧は、ゼナーダイオードZDとコンデンサCとで定電圧化が図られている。制御スイッチ17の両端の一方には抵抗R3が接続され、他方には母線13が接続される。制御スイッチ17の切断と導通との変化をトリガー信号として発生させ、トリガー信号は、デジタルロジック回路18の信号入力端子Iに入力される。デジタルロジック回路18は信号出力端子O1と信号出力端子O2とを具備し、信号出力端子O1からの信号は、バイポーラトランジスタ51のベースに印加され、信号出力端子O2からの信号は、バイポーラトランジスタ54のベースに印加されるようになされている。このようなスイッチ制御回路14の一実施例であるスイッチ制御回路14aによって、図3のタイミングチャートに示す動作を実現できる。なお、信号出力端子O1からの信号のレベルがハイレベルのときに継電器50の接点が閉とされ、信号出力端子O2からの信号のレベルがローレベルのときには、MOS−FET53のドレインとソースとの間を低抵抗とするように、すなわち、電子的開閉スイッチ15aを閉路とするようになされている。
上述した回路例において、電子的開閉スイッチとして、MOS−FETを用い、このMOS−FETを駆動する回路部としてバイポーラトランジスタを用いたが、この両者の組み合わせにおいて、MOS−FET、バイポーラトランジスタ、IGBT等の半導体デバイスをいかなるように組み合わせても同様な効果を得ることができる。例えば、電子的開閉スイッチとして、バイポーラトランジスタを用い、このバイポーラトランジスタを駆動する回路部としてMOS−FETを用いることもできるものである。
(第2実施形態の直流プラグ)
図5は第2実施形態の直流プラグを示す図である。図5には第2実施形態の、内部に直流スイッチを有する直流プラグ20bを示す。第2実施形態の直流プラグ20bは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路141と、を備えている。ここで、直列機械的開閉スイッチ161は、電子的開閉スイッチ15と直列に接続されるので、上述したように直列機械的開閉スイッチと称される。
第2実施形態の直流プラグの特徴は、第1実施形態における直流電流路の閉路状態における電力損失が小さいという特徴を維持しながら、さらに、直流電流路の電子的開閉スイッチ15に対して直列に直列機械的開閉スイッチ161を挿入して、直流電流路の切断をより確実なものとして、より安全性を向上するものである。
第2実施形態の直流プラグ20bにおける並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161は、第1実施形態の直流プラグ20aにおける並列機械的開閉スイッチ16と同様の構成を有しており、第2実施形態の直流プラグ20bにおける電子的開閉スイッチ15は、第1実施形態の直流プラグ20aにおける電子的開閉スイッチ15と同様の構成を有している。
そして、この並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15とは並列に接続され、この並列接続回路と直列機械的開閉スイッチ161とは直列に接続されている。よって、並列機械的開閉スイッチ16と電子的開閉スイッチ15との並列接続回路とこの並列接続回路に対して直列接続される直列機械的開閉スイッチ161とで形成される直列接続回路が、直流プラグ20bに配置されている。
図6は、制御スイッチ17の操作、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15および直列機械的開閉スイッチ161の開閉の手順をタイミングチャートで示す図である。図6(A)は、制御スイッチ17の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(B)は、直列機械的開閉スイッチ161の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(C)は、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(D)は、並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。このような制御はスイッチ制御回路141によって行われる。
ここで、図6(C)と図6(D)に表された、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)および導通(導通状態)と並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)との相互の関係は、図3(B)と図3(C)に表されたものと同様である。つまり、図6と図3とに示す並列機械的開閉スイッチ16は、図6と図3とに示すに示す電子的開閉スイッチ15に対して同様の時間関係を有して動作する。
つまり、電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から所定時間τ4の後である時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通するが、所定時間τ4(図6を参照)と所定時間τ1(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、並列機械的開閉スイッチ16が切断となる時刻t8から所定時間τ5の後である時刻t9に電子的開閉スイッチ15は切断するが、所定時間τ5(図6を参照)と所定時間τ2(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。
図6を参照して、まず、直流プラグ20bの内部の直流電流路を閉路とする場合の手順を説明する。
制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押して、制御スイッチ17を切断から導通に変化させる(図6(A)の時刻t5を参照)。スイッチ制御回路141は、制御スイッチ17の操作によって発生するトリガー信号に基づき直列機械的開閉スイッチ161を切断から導通に変化させる(図6(B)の時刻t5を参照)。すなわち、図6(B)に示すように、制御スイッチ17が導通(閉)となると、直列機械的開閉スイッチ161は導通(閉)となる。ここで、直列機械的開閉スイッチ161が導通しても、電子的開閉スイッチ15、並列機械的開閉スイッチ16のいずれもが開であるので、直列機械的開閉スイッチ161に電流が流れることはない。そして、スイッチ制御回路141は、時刻t5から所定時間τ3後に電子的開閉スイッチ15を導通させる。
直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とが導通する時刻t6において直流電流路は閉となり負荷30bに電力が供給される。ここで、時刻t5と時刻t6との間の所定時間τ3の長さは、直列機械的開閉スイッチ161の接点のチャタリングが収まる(消滅する)までの時間よりも長くしている。このようにして、直列機械的開閉スイッチ161の接点にアークが生じることを防止している。
このような手順で、切断から導通とする場合においては、直列機械的開閉スイッチ161を閉とする時点では、未だ電子的開閉スイッチ15は開となっており、直列機械的開閉スイッチ161の接点に電圧が加わることはないのでチャタリングが生じたとしても、直列機械的開閉スイッチ161の接点にアークが生じることはない。
上述したように、電子的開閉スイッチ15と並列機械的開閉スイッチ16との相互の動作の時間関係は、第1実施形態におけると同様であるが、以下に説明をする。電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から予め定めた所定時間τ4の後の時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通(閉)となる。ここで、所定時間τ4は、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度以上に上昇しないような短い時間であることが望ましい。
電子的開閉スイッチ15の動作遅れが全く無く、スイッチ制御回路141からの制御信号によって直に導通状態となる場合には、所定時間τ4は、0であっても良いが、所定時間τ4の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に導通した後(電子的開閉スイッチ15のオン電圧が十分に低くなった後)に並列機械的開閉スイッチ16を導通させることを確保できる。仮に、並列機械的開閉スイッチ16が電子的開閉スイッチ15よりも先に導通する場合には、並列機械的開閉スイッチ16の接点のチャタリングによってアークが発生する可能性があり、このような制御は採用できない。
次に、直流プラグ20bの内部の直流電流路を開路とする場合の手順を説明する。制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押さなくなり、制御スイッチ17を導通から切断に変化させる(図6(A)の時刻t8を参照)。スイッチ制御回路141は、制御スイッチ17の操作によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させる(図6(C)の時刻t8を参照)。また、スイッチ制御回路141は、制御スイッチ17の操作によって発生するトリガー信号に基づき並列機械的開閉スイッチ16を導通から切断に変化させてから所定時間τ5後の時刻t9に電子的開閉スイッチ15を導通から切断に変化させる。ここで、所定時間τ5は、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上に設定されるとともに、電子的開閉スイッチ15の温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内に設定される。さらに、所定時間τ5が長くなればなるほど、直流電流路中の電子的開閉スイッチ15に生じる電力損失は大きくなる。以上を勘案して、所定時間τ5は定められる。
そして、電子的開閉スイッチ15を開路とした後である所定時間τ6の後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とする。ここで、所定時間τ6は0であっても良いが、所定時間τ6の長さを長くすることによって、電子的開閉スイッチ15が十分に切断した後に直列機械的開閉スイッチ161を切断させることを確保できる。
このような手順で、導通から切断とする場合においては、並列機械的開閉スイッチ16を開とする時点では、未だ電子的開閉スイッチ15は閉となっており、並列機械的開閉スイッチ16の接点にチャタリングが生じたとしても、並列機械的開閉スイッチ16の接点の両端には、電子的開閉スイッチ15のオン電圧以上の電圧が生じることはなく、この接点間におけるアークの発生はない。そして、電子的開閉スイッチ15を開とする時点で直流電流路は切断(開)の状態とされる。
そして、最後に、直列機械的開閉スイッチ161を切断(開)とすることによって直流電流路の切断をより確実なものとする。直列機械的開閉スイッチ161の切断は、時刻t9よりも所定時間τ6遅れた時刻t10に行われるようにスイッチ制御回路141が制御をする。電子的開閉スイッチ15の切断(開)が十分の行われた後(電子的開閉スイッチ15が完全にオフ状態となった後)に行うように、所定時間τ6の長さを選択するのが望ましい。つまり、電子的開閉スイッチ15の動作遅れが大きい場合には、所定時間τ6を長くして、直列機械的開閉スイッチ161の接点がダメージを受けないようにする。
直流プラグ20bの直流電流路を導通、切断とする場合に、上述したようにして、直流プラグ20bの内部でアークの発生が生じない。さらに望ましくは、第1実施形態において説明したと同様に、所定時間τ4を可能な限り短くし、かつ、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間と等しい時間に所定時間τ5を設定する。これによって、素早く、コンセント19から直流プラグ20bを引き抜いた場合にも、(所定時間τ4+所定時間τ5)<(制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押さなくなってから、直流プラグ20bとコンセント19との接触が絶たれるまでの時間)の関係を維持することが可能とされ、直流プラグ20bとコンセント19との間でのアークの発生を防止することができる。
要するに第2実施形態の直流プラグでは、並列機械的開閉スイッチの導通する時間を前後方向に覆うように、電子的開閉スイッチの導通する時間を定める。また、電子的開閉スイッチの導通する時間を前後方向に覆うように、直列機械的開閉スイッチの導通する時間を定める。ここで、直列機械的開閉スイッチの接点のチャタリングが収まる時間、電子的開閉スイッチの導通する時間を前方向に覆うにしている。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流プラグは導通とされる。
(第3実施形態の直流プラグ)
図7は、第3実施形態の直流プラグを示す図である。図7に第3実施形態の直流プラグとしての直流プラグ20cを示す。第2実施形態の直流プラグ20cは、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために直流電流路に挿入される並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161と、電子的開閉スイッチ15と、スイッチ制御回路141と、を備えている。第3実施形態の直流プラグの特徴は、第1実施形態における直流電流路の導通状態における電力損失が小さいという特徴を維持しながら、さらに、直流電流路に直列に直列機械的開閉スイッチ161を挿入して、直流電流路の切断をより確実なものとして、より安全性を向上するものである。
第3実施形態の直流プラグ20cにおける並列機械的開閉スイッチ16および直列機械的開閉スイッチ161は、第1実施形態の直流プラグ20aにおける並列機械的開閉スイッチ16と同様の構成を有しており、第3実施形態の直流プラグ20cにおける電子的開閉スイッチ15は、第1実施形態の直流プラグ20aにおける電子的開閉スイッチ15と同様の構成を有している。
そして、この直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とは直列に接続され、この直列接続回路と並列機械的開閉スイッチ16とは並列に接続されている。よって、直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15との直列接続回路とこの直列接続回路に対して並列接続される並列機械的開閉スイッチ16とで形成される並列接続回路が、直流プラグ20cに配置されている。
母線13に挿入されている機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチの接続態様に着目して、図5に示す第2実施形態の直流プラグと図7に示す第3実施形態の直流プラグとを対比する。図5に示す第2実施形態の直流プラグと図7に示す第3実施形態の直流プラグのいずれにおいても直列機械的開閉スイッチ161と電子的開閉スイッチ15とは直列に接続されている。また、図5に示す第2実施形態の直流プラグでは、並列機械的開閉スイッチ16は、電子的開閉スイッチ15と並列に接続されており、図7に示す第3実施形態の直流プラグでは、並列機械的開閉スイッチ16は、直列機械的開閉スイッチ161を介して、電子的開閉スイッチ15と並列に接続されている。
第2実施形態の直流プラグ20bと第3実施形態の直流プラグ20cのこのような接続態様の共通性から、第3実施形態における、制御スイッチ17の操作、並列機械的開閉スイッチ16、電子的開閉スイッチ15および直列機械的開閉スイッチ161の開閉の手順を示すタイミングチャートは図6と同様なものとなるので、再び図6を参照して説明をする。
図6(A)は、制御スイッチ17の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(B)は、直列機械的開閉スイッチ161の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(C)は、電子的開閉スイッチ15の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示し、図6(D)は、並列機械的開閉スイッチ16の切断(切断状態)と導通(導通状態)を示すものである。横軸は時刻tを示すものである。このような制御はスイッチ制御回路141によって行われる。
つまり、電子的開閉スイッチ15が導通となる時刻t6から所定時間τ4の後である時刻t7に並列機械的開閉スイッチ16は導通するが、所定時間τ4(図6を参照)と所定時間τ1(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、第1機械的開閉スイッチが切断となる時刻t8から所定時間τ5の後である時刻t9に電子的開閉スイッチ15は切断するが、所定時間τ5(図6を参照)と所定時間τ2(図3を参照)とは同じ基準に基づき定められる。また、所定時間τ3(図6を参照)と所定時間τ6(図6を参照)とは、第2実施形態におけると同様の意味内容を有する時間である。
第3実施形態の直流プラグ20cの開閉の手順は、第2実施形態に示したものと同様であるので説明を省略する。
直流プラグ20cの直流電流路を導通、切断とする場合に、上述したようにして、直流プラグ20cの内部でアークの発生が生じない。第2実施形態において説明をしたのと同様に、さらに、望ましくは、所定時間τ4を可能な限り短くし、かつ、並列機械的開閉スイッチ16のチャタリングが収まる時間と等しい時間に所定時間τ5を設定することによって、直流プラグ20cとコンセント19との間でアークが発生する危険性を最小とすることができる。
要するに第3実施形態の直流プラグでは、並列機械的開閉スイッチ16の導通する時間を前後方向に覆うように、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を定める。また、電子的開閉スイッチ15の導通する時間を前後方向に覆うように、直列機械的開閉スイッチ161の導通する時間を定める。ここで、機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)の接点のチャタリングが収まる時間、電子的開閉スイッチの導通する時間を前方向に覆うにしている。
上述した、第1実施形態の直流プラグないし第3実施形態の直流プラグのいずれにおいても、直流電流が流れる直流電流路を開路または閉路とするために、直流電流路に挿入される電子的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチに対して並列に接続される並列機械的開閉スイッチと、並列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとの相互の開閉時間差を制御するスイッチ制御回路と、を備えており、スイッチ制御回路は、電子的開閉スイッチが閉路とされた所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするものである。
このようにすることによって、並列機械的開閉スイッチを閉路とするに際して、チャタリングによって、並列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。また、電子的開閉スイッチが閉路とされた所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、この所定時間の間のみ電子的開閉スイッチには電流が流れ、電子的開閉スイッチの温度上昇が防止できる。そして、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの小型化、さらには、電子的開閉スイッチに設けられるヒートシンクの小型化が図られる。
また、スイッチ制御回路は、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、並列機械的開閉スイッチを開路とし、並列機械的開閉スイッチが開路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い時間以上であって、電子的開閉スイッチの温度が予め定める所定温度に上昇する時間よりも短い時間以内において、電子的開閉スイッチを開路とするものである。
また、上述した、第2実施形態の直流プラグおよび第3実施形態の直流プラグのいずれにおいても、電子的開閉スイッチと並列機械的開閉スイッチとに加えて、電子的開閉スイッチに直列に接続される直列機械的開閉スイッチを備えており、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチが閉路とされることによって生じるチャタリングが収まる時間よりも長い所定時間後に、電子的開閉スイッチを閉路とするものである。
また、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチを開路とした後に、直列機械的開閉スイッチを開路とするものである。
このようにすることによって、第2実施形態の直流プラグおよび第3実施形態の直流プラグのいずれにおいても、第1実施形態の直流プラグと同様に、電子的開閉スイッチが閉路とされた所定時間後に、並列機械的開閉スイッチを閉路とするので、並列機械的開閉スイッチを閉路とするに際して、チャタリングによって、並列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。また、この所定時間の間のみ電子的開閉スイッチには電流が流れ、電子的開閉スイッチの温度上昇が防止できる。そして、並列機械的開閉スイッチおよび電子的開閉スイッチの小型化、さらには、電子的開閉スイッチに設けられるヒートシンクの小型化が図られる。加えて、直列機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチとが直流電流路に直列に配置されるので、直列機械的開閉スイッチを開とすることによって、直列機械的開閉スイッチの2つの接点は離間され、物理的に直流電流路が切断され、安全性がより高まる。さらに、直列機械的開閉スイッチは最後に開とされるので、直列機械的開閉スイッチの接点にアークを生じさせることがない。
「実施形態の直流プラグの変形例」
(電力回生回路付直流プラグ)
第1実施形態の直流プラグないし第3実施形態の直流プラグにおいて、直流プラグ20aの出力端子Cと出力端子Dから負荷30aまでの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合、直流プラグ20bの出力端子Cと出力端子Dから負荷30bまでの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合、または、直流プラグ20cの出力端子Cと出力端子Dから負荷30cまでの配線が長く配線がインダクタンスを有する場合においては、各負荷の側、母線の側、または、各直流プラグ(直流プラグ20a、直流プラグ20b、直流プラグ20c)の側、のいずれかに逆起電圧の発生に対する特別の配慮を払うことが直流プラグに対して高電圧の印加を防止する観点より解決すべき課題となる。また、負荷がモータ等のインダクタンス成分を有する負荷である場合には、配線が短くとも同様の配慮をすることが望ましい。さらに、負荷がモータである場合には、生じる起電力をどのようにして有効活用するかが解決すべき課題となる。
つまり、各直流プラグの出力側にインダクタンス負荷(インダクタンス成分を有する負荷)が接続される場合には、上述した各直流プラグの内部に設けられた直流スイッチとして機能するスイッチの切断直後において、大きな逆起電圧が、出力端子Cと出力端子Dとの間に印加されることとなる。この逆起電圧によって、各直流プラグの各直流スイッチおよび線路上の他の機器が影響を受け、各直流プラグの各直流スイッチおよび他の機器が破壊に至る場合もあり得る。
このような逆起電圧が発生することを防止するためには、負荷の内部に転流ダイオードを設けておくことが望ましい。転流ダイオードの作用により大きな逆起電圧の発生を防止することができる。なお、負荷の内部に転流ダイオードを設けるか否かは、負荷である電気機器の製造者の意思によるので、電気機器の内部に転流ダイオードが設けられない場合もあり得る。この場合には、直流プラグから負荷に至るまでの線路中、または、直流プラグの内部に逆起電圧に対する対策を施すこととなる。
さらに、負荷がモータ(電動機)である場合には、起電力を電力系統の側に戻す回生ダイオードを設けることが、より望ましい。転流ダイオード自体、回生ダイオード(電力回生ダイオード)自体は、公知技術である。しかしながら、電子的開閉スイッチ、または、機械的開閉スイッチによって電力系統と負荷との間の直流電流路が切断されてしまう直流プラグにおいて、どのようにして、転流ダイオード、回生ダイオードの技術を利用するかについては、まだ、知られていない。
以下における実施形態は、さらに、転流ダイオード、回生ダイオードを付加する直流プラグを提供するものである。そして、逆起電圧の発生を防止し、起電力を電力系統の側に戻すという課題を解決するものである。
各直流プラグにおける逆起電圧に対する対策としては、各直流プラグの内部であって、出力端子Cと出力端子Dとの間に転流ダイオードを予め設けるようにすることができる。
図8は、直流プラグの第1変形例を示す図である。図8示す直流プラグ20dでは、直流プラグの内部に転流ダイオードとして機能するダイオードDfを設けた図である。図8に示す直流プラグ20dの各部については、ダイオードDf以外は図2に示す直流プラグ20aと同様であるので、説明を省略する。ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように設ければよく、その位置は厳密に特定されるものではない。このように、直流プラグ20dの内部にダイオードDfを逆バイアスとなるように設けることによって、インダクタンスを有する負荷30d(図示せず)の直流電流路を開とした直後にダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20aが破壊することを防止できる。
回生ダイオードについては、直流プラグ20dでは、電子的開閉スイッチとしてMOS−FET35を用いる場合には、MOS−FET35の逆バイアスとされるボディダイオード(図4を参照)が回生ダイオードの作用を果すことになる。よって、必ずしも、回生ダイオードを付加する必要はない。電子的開閉スイッチとしてバイポーラトランジスタを用いる場合には、ボディダイオードと同位置に回生ダイオードを設けることになる。このようにして、直流プラグ20dが開となった直後には、通常動作時には逆バイアスとされるボディダイオードに、回生電流を流して負荷30dに生じる電力を電力系統に回生することができる。
図9は、直流プラグの第2変形例を示す図である。図9に示す直流プラグ20eは、図5に示す直流プラグ20bに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30e(図示せず)の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20eが破壊することを防止することができる。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30eに生じる電力を電力系統に回生することができる。
図10は、直流プラグの第3変形例を示す図である。図10に示す直流プラグ20fは、図7に示す直流プラグ20cに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30f(図示せず)の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20fが破壊することを防止することができる。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30fに生じる電力を電力系統に回生することができる。
図11は、直流プラグの第4変形例を示す図である。図11に示す直流プラグ20gは、電子的開閉スイッチ15と直列機械的開閉スイッチ161に対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、入力端子Bと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
直流プラグ20gでは、スイッチ制御回路114は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチ161が閉路とされた後に、電子的開閉スイッチ15を閉路とし、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチ15が開路とされた後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とするものである。このようにして直列機械的開閉スイッチ161にアーク放電が生じるのを防止できる。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流プラグは導通とされる。
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30g(図示せず)の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20gが破壊することを防止する。また、ダイオードDrに順方向電流を流して負荷30gに生じる電力を電力系統に回生することができる。
図12は、直流プラグの第5変形例を示す図である。図12に示す直流プラグ20hは、図5に示す直流プラグ20bに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、直列機械的開閉スイッチ161に並列に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30h(図示せず)の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20hが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30hに生じる電力を電力系統に回生することができる。
図13は、直流プラグの第6変形例を示す図である。図13に示す直流プラグ20iは、図7に示す直流プラグ20cに対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrとを接続している。ダイオードDrは、直列機械的開閉スイッチ161に並列に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
このような構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30i(図示せず)の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20iが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30iに生じる電力を電力系統に回生することができる。
図14は、直流プラグの第7変形例を示す図である。図14に示す直流プラグ20jは、電子的開閉スイッチ15と直列機械的開閉スイッチ161に対して、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと回生ダイオードとして機能するダイオードDrを接続している。ダイオードDrは、機械的開閉スイッチ(直列機械的開閉スイッチ)116に逆バイアスとなるように接続されている。また、ダイオードDfは、出力端子Cと出力端子Dとの間に逆バイアスとなるように接続されている。
直流プラグ20jでは、スイッチ制御回路114は、直流電流が流れる直流電流路を閉路とするに際しては、直列機械的開閉スイッチ161が閉路とされた後に、電子的開閉スイッチ15を閉路とし、直流電流が流れる直流電流路を開路とするに際しては、電子的開閉スイッチ15が開路とされた後に、直列機械的開閉スイッチ161を開路とするものである。このようにして直列機械的開閉スイッチ161にアーク放電が生じるのを防止できる。このようにして、電子的開閉スイッチ15が導通している間は、この直流プラグは導通とされる。
また、上述の構成を採用して、インダクタンスを有する負荷30j(図1を参照)の直流電流路を開とした直後に、ダイオードDfに順方向電流を流し、逆起電圧の発生を防止して、直流プラグ20jが破壊することを防止できる。また、ダイオードDrと電子的開閉スイッチ15のボディダイオードとに順方向電流を流して負荷30jに生じる電力を電力系統に回生することができる。
上述した、実施形態の変形例では、直流プラグの出力端の両端に、逆バイアスとなるように接続されるダイオードDf(転流ダイオード)を備える。さらに、電子的開閉スイッチに対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)、または、電子的開閉スイッチと直列機械的開閉スイッチの直列接続回路に対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)、もしくは、機械的開閉スイッチに対して逆バイアスとなるように並列に接続されるダイオードDr(回生ダイオード)を備えるようにしている。
上述した、実施形態の変形例では、転流ダイオードとして機能するダイオードDfと、回生ダイオードとして機能するダイオードDrとの両方を設けるとして説明をした。しかしながら、負荷がインダクタンス成分(例えば、転流ダイオードの両端から負荷までの配線インダクタンス成分、負荷自体のインダクタンス成分)を有する場合においては、転流ダイオードのみを設ける場合でも、直流プラグの出力端子間に生じる逆起電圧の発生を防止することができる。また、負荷がモータ(電動機)で起電力を生じる場合においては、回生ダイオードのみを設ける場合でも、回生電力を電力系統に戻すことができる。
転流ダイオードと回生ダイオードとの両方を設ける場合には、上述したように、負荷がインダクタンス成分を有する場合、負荷がモータである場合を含み、さらに、広範囲な種類の負荷に対して、直流プラグの出力端子間に生じる逆起電圧の発生を防止し、または/および、回生電力を電力系統に戻すことができる。
例えば、負荷がモータである場合には以下のように転流ダイオードと回生ダイオードの各々が時間差を有して動作をする。直流プラグを切断した直後に、配線インダクタンス成分およびモータの巻線のインダクタンス成分に起因する逆起電圧が発生しようとするが、転流ダイオードによってこの逆起電圧の発生を防止することができるとともに、転流ダイオードに流れる順方向電流によってモータは回転させられる。その後、転流ダイオードの順方向電流が無くなれば、モータは発電機となり、回生ダイオードに順方向電流が流れて回生電力を電力系統に戻すことができる。
(直流プラグにおける各直流スイッチの挿入箇所の変形例)
第1実施形態の直流プラグないし第3実施形態の直流プラグ、および、転流ダイオード、回生ダイオードを有する実施形態の直流プラグの変形例においては、機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチは、いずれも、入力端子Bと出力端子Dとの間に挿入されるものとして説明をした。しかしながら、機械的開閉スイッチと電子的開閉スイッチと回生ダイオードとは、入力端子Aと出力端子Cとの間に挿入するようにしても、所望の効果を生じさせることができる。つまり、母線12と母線13のいずれの側に、直列機械的開閉スイッチまたは/および並列機械的開閉スイッチと、電子的開閉スイッチと、回生ダイオードと、を挿入しても、同一の効果を得ることができる。
(第4実施形態の直流プラグ)
図15は、第4実施形態の直流プラグを示す図である。第4実施形態の直流プラグ20kは、上述した第1実施形態ないし第3実施形態およびこれらの変形例のすべての実施形態との組み合わせにおいて実施することができるものである。
第4実施形態の直流プラグ20kは、制御スイッチ押圧部191と制御スイッチ17ともう一個の制御スイッチとして機能するスライドスイッチ177が用いられる。またスイッチ制御回路214は、図2に説明した第1実施形態のスイッチ制御回路14と同様に機能する。スイッチ制御回路14と異なる点は、制御スイッチ17またはスライドスイッチ177のいずれかが開とされると、直流電流路を開とする一連の動作が開始する点である。また、制御スイッチ17およびスライドスイッチ177の両方が閉とされないと直流電流路を閉とする一連の動作が開始しない点においても、スイッチ制御回路14とは異なる。
よって、上述した各々の実施形態の説明、図3、図6のタイミングチャートにおける、制御スイッチ17が閉の状態は、制御スイッチ17およびスライドスイッチ177の両方が閉と読み替えられる。また、図3、図6のタイミングチャートにおける、制御スイッチ17が開の状態は、制御スイッチ17またはスライドスイッチ177のいずれかが開と読み替えられる。スライドスイッチ177には、直流プラグ20kの外部から操作できるレバーが設けられている。レバーを矢印ON側にスライドさせれば、スライドスイッチ177は導通(閉)となり、レバーを矢印OFF側にスライドさせれば、スライドスイッチ177は切断(開)となる。
制御スイッチ17に加えてスライドスイッチ177のレバーを制御することによって、直流プラグ20kの内部の直流電流路の導通と切断を制御することができる。よって、スライドスイッチ177をOFFとしてから、回生電流を、コンセントを介して直流電力系統10に戻し、その後にコンセント19から直流プラグ20kを抜いて、回生電力を電源系統に有効に戻すとともにコンセント19と直流プラグ20kの間にアークが発生することを防止できる。さらに、スライドスイッチ177を操作することなく直流プラグ20kをコンセントから抜いた場合にも、制御スイッチ17の作用によって、直流プラグ20kとコンセントの間における、回生電流によるアークの発生の危険性を上述したようにして小さくできる。
(第4実施形態の変形例の直流プラグ)
第4実施形態の直流プラグ20kの変形例(図示はしない)について説明をする。第4実施形態の直流プラグ20kの変形例は、第4実施形態の直流プラグ20kにおいて、制御スイッチ押圧部191を設けることなく、制御スイッチ17を常時、開状態としたものと等価なものである。また、第1実施形態の直流プラグ20aにおいて、制御スイッチ17に替えて、制御スイッチとして機能するスライドスイッチ177が用いられものと等価なものでもある。よって、上述した各々の実施形態の説明、図3、図6のタイミングチャートにおける、制御スイッチ17はスライドスイッチ177と読み替えられる。
スライドスイッチ177のレバーを制御することによって、直流プラグの内部の直流電流路の導通と切断を制御することができる。また、スライドスイッチ177をOFFとしてから、回生電流を、コンセントを介して直流電力系統10に戻し、その後にコンセントから直流プラグを抜いて、回生電力を電源系統に有効に戻すとともにコンセントと直流プラグの間にアークが発生することを防止できる。第4実施形態の変形例の直流プラグは、上述した第1実施形態ないし第3実施形態およびこれらの変形例のすべての実施形態との組み合わせにおいて実施することができるものである。
(第5実施形態の直流プラグ)
図16は第5実施形態の直流プラグを示す図である。図16に示す第5実施形態の直流プラグ20lは、第1実施形態の直流プラグ20aに対して、突起状の制御スイッチ押圧部191と、制御スイッチ17とに替えて、受信部42が用いられている。受信部42が所定パスワードを検出した場合には、直流プラグ20aにおいて、突起状の制御スイッチ押圧部191によって、制御スイッチ17が押されて閉(導通)となると同様のトリガー信号がスイッチ制御回路14に対して送出される。ここで、受信部42への電力は入力端子Aと入力端子Bとから供給される。
図17は、第5実施形態の直流プラグと組み合わせて用いるためのコンセントを示す図である。図17に示すコンセント19aは、電磁波発射部41(送信部)と所定パスワードを保存したメモリ46を有している。
第5実施形態の直流プラグ20lとコンセント19aとの作用を説明する。コンセント19aの電磁波発射部41において電磁波に変調を施して、直流プラグ20lの受信部42に対して送信される。電磁波発射部41には所定パスワードを記憶したメモリ46が接続されており、所定パスワードを含む情報で変調を受けた電磁波が電磁波発射部41から送出される。所定パスワードは、例えば、1ms(ミリ秒)毎に繰り返して送出される。
直流プラグ20lの受信部42と電磁波発射部41(送信部)との距離が所定パスワードを検出可能なほど接近している場合には、受信部42は1ms毎に所定パスワードを検出する。そして、直流プラグ20lの受信部42は所定パスワードを受信し続ける限り、直流プラグ20aにおいて、突起状の制御スイッチ押圧部191によって、制御スイッチ17が押されて閉(導通)となり続けると同様に作用する。なお、受信部42は1msの間は前の状態を保持するモノマルチ回路の機能を有しており、1ms毎に所定パスワードが受信され後、1msの間は制御スイッチ17が押されて閉となり続けると同様に作用する。
このパスワードには、直流プラグ20lが要望する直流電圧の値、要望する電流量等が含まれている。このパスワードが予め定める所定のパスワードである場合、すなわち、コンセント19aが出力しようとしている直流電圧、コンセント19aの許容電流が、直流プラグ20lに接続されている負荷30l(図1を参照)が所望する電圧と等しく、所望する電流よりも大きな場合に直流プラグ20lの内部の直流電流路は導通とされ、負荷30lに電力が供給される。
さらに、直流プラグ20lとコンセント19aとの対抗する面の間の離間距離について説明する。。直流プラグ20lの受信部42とコンセント19aの電磁波発射部41とは、絶縁壁面を介して対抗配置されている。図16に記載の絶縁材壁面と図17に記載の絶縁材壁面との離間距離が所定距離以下であれば、直流プラグ20lにおいてパスワードの読み取りが可能である。この所定距離は、コンセント19aから出力される電磁波の強度に依存するものである。例えば、所定距離は2mm(ミリ・メータ)と非常に小さくされており、この所定距離以内でなければ、直流プラグ20lとコンセント19aの間では通信ができないようになされている。この距離は、直流プラグ20lの入力端子Aおよび入力端子Bとコンセント19aの接続が開始される距離よりも小さく設定されている。そのために、パスワードの通信が可能な状態では、すでに、直流プラグ20lの入力端子Aおよび入力端子Bとコンセント19aの接続が確保されている。
つまり、所定パスワードの再生が可能となる所定距離に直流プラグ20lとコンセント19aとが接近するよりもより離間した距離において、直流プラグ20lの入力端子Aおよび入力端子Bとコンセント19aとの接続が開始され、その後、受信部42で所定パスワードを再生して、スイッチ制御回路14は直流プラグ20lの内部で上述した所定手順の動作をさせる制御をして直流電流路を閉路とする。よって、直流プラグ20lの直流電流路を閉とするに際して、直流プラグ20lの内部でアークが発生することもなく、直流プラグ20lとコンセント19aの間でアークが発生することもない。
また、スイッチ制御回路14は、受信部42において所定パスワードの再生ができなくなると、直流プラグ20lの直流電流路を開とするように上述した所定手順の動作の制御をする。このときに、所定パスワードの再生ができなくなる直流プラグ20lの受信部42とコンセント19aの電磁波発射部41との離間距離である所定距離は2mmであるが、この所定距離よりも離間した距離においても、直流プラグ20lの入力端子Aおよび入力端子Bとコンセント19aの接続が維持されいる。よって、直流プラグ20lの直流電流路を開とするに際して、直流プラグ20lの内部でアークが発生することもない。
また、負荷30lに通電中において、いきなり、コンセント19aから直流プラグ20lを引き抜いた場合においても、所定パスワードを直流プラグ20lが再生できなくなり、直流プラグ20lの直流電流路を開とするように上述した所定手順の動作の制御をする。よって、このような場合にも、直流プラグ20lとコンセント19aの間でアークが発生する危険性を最小にすることができる。
また、同じ形状のコンセントとプラグとを用い、複数の電圧が給電される複数個の直流電源系統を設ける場合においても、特定の直流電源系統に属するコンセントには、予め定められた、その特定の直流電源系統に固有の所定パスワードを受信可能な直流プラグにしか給電できない。よって、直流電源系統毎に電力を供給可能な直流プラグが特定される。このようにしておけば、電力系統毎に使用電力の平準化が図られ直流電流系統の効率的な利用が可能となる。また、電気料金の管理も簡単となる。
万一、電源電圧が異なる間違った直流電源系統に直流プラグを挿入したとしても直流プラグの受信部から得られるパスワードが、その直流電源系統に特定された所定パスワードではない場合には、直流プラグは通電を開始しないのであるから、負荷の破壊を防止し、安全性を高めることができる。
このように、第5実施形態では、パスワードを保存したメモリと電磁波発射部を有するコンセントを用いる。そして、直流プラグは受信部を設けるものである。このように、制御スイッチに替えて、上述した各々の実施形態においても受信部を設けるようにすれば、すべての実施形態についても同様の作用と効果を得ることができる。
(第5実施形態の変形の直流プラグ)
第5実施形態の直流プラグの変形例としては種々の変形例が可能である。以下の変形例では、いずれも、突起状の制御スイッチ押圧部191と、制御スイッチ17とに替えて、直流プラグとコンセントとの間で通信をする種々の通信装置が用いられる。通信装置は、直流プラグとコンセントとのに分離して設けられ、直流プラグ側には受信部が用いられている。第5実施形態の直流プラグと同様に、この受信部は、直流部プラグの入力端子Aおよび直流プラグの入力端子Bがコンセントに挿入された後に動作を開始する。
つまり、第5実施形態の直流プラグの変形例は、第5実施形態と同様に、所定パスワードの再生が可能となる所定距離にコンセントが接近するよりもより離間した距離において、入力端子とコンセントの接続が開始され、受信部で所定パスワードを再生した後にスイッチ制御回路は直流電流路を閉路とする。また、所定パスワードの再生が可能となる所定距離よりもコンセントが離間した距離において、入力端子とコンセントの接続が維持され、受信部で所定パスワードの再生ができなくなるとスイッチ制御回路は直流電流路を開路とする。
第1変形例としては、直流プラグ20lの受信部42に替えて超音波を受信する受信部とし、コンセントの電磁波発射部41に替えて超音波発射部をパスワードの送信をする送信部とすることができる。このようにして、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。また、超音波(超音波発振素子を有する超音波発射部と超音波検出器を有する超音波受信部の組み合わせ)を用いるのみならず、赤外線(赤外線発光素子とフォトダイオードの組み合わせ)を用いて、プラグから送出されるパスワードを復調することもできる。さらに、所定パスワードとしては、特別のコード化した信号に限るものではなく、他と区別できるものであれば良い。例えば、単に、周波数、波長が、予め定める所定の値とされるものであっても良い。
図18は第5実施形態の直流プラグの別の変形例である第2変形例の直流プラグ20mを示す図である。図19は直流プラグ20mに対応して用いられるコンセントを示す図である。
コンセント19bでは、メモリ46に記憶された所定パスワードに応じて、電界発生部45(送信部)において電界を発生させ導電板Pc2に伝える。直流プラグ20mにおいては、受信部43は導電板Pc1に接続され電界の変化を検出して、さらに、所定パスワードを再生して所定パスワードを再生したことをスイッチ制御回路14に知らせる。その後の処理は第5実施形態と同様におこなわれる。
要は、第5実施形態の直流プラグでは、コンセントから送出されるパスワードを受信して再生する受信部を備える。そして、所定パスワードの再生が可能となる所定距離にコンセントが接近するよりもより離間した距離において、入力端子とコンセントの接続が開始され、受信部で所定パスワードを再生した後にスイッチ制御回路は直流電流路を閉路とするようにすれば良い。また、所定パスワードの再生が可能となる所定距離よりもコンセントが離間した距離において、入力端子とコンセントの接続が維持され、受信部で所定パスワードの再生ができなくなるとスイッチ制御回路は直流電流路を開路とすれば良い。従って、上述したように、電磁波、電界を用いるのみならず超音波を用いることもできる。
(第6実施形態の変形の直流プラグ)
図20は、第6実施形態の直流プラグを示す図であり、図21は、第6実施形態の直流プラグと組み合わせて用いるコンセントを示す図である。第6実施形態の直流プラグ20nでは、第1実施形態の突起状の制御スイッチ押圧部191と、制御スイッチ17とに替えて、非接触で直流プラグ20nとコンセント19cとの間の距離を検出する。
コンセント19cには導電板Pc5が設けられている。直流プラグ20nには、静電容量検出部47が設けられ、静電容量検出部47には導電板Pc3(第1導電板)と導電板Pc4(第2導電板)とが接続されている。静電容量検出部47は、導電板Pc3と導電板Pc4との間の静電容量を検出する。導電板Pc3と導電板Pc4との間の静電容量は、直流プラグ20nとコンセント19cの間の離間距離が小さくなる程大きくなる。導電板Pc3と導電板Pc4との間の静電容量が所定容量を超えたときに、静電容量検出部47はスイッチ制御回路14に対して接近信号を送出する。接近信号は、直流プラグとコンセントとの距離が所定距離以内となったことを知らせる信号である。
接近信号の検出が開始される所定距離にコンセントが接近するよりもより離間した距離において、入力端子とコンセントの接続が開始され、静電容量検出部47で接近信号を検出した後にスイッチ制御回路は直流電流路を閉路とする。また、接近信号の検出が可能となる所定距離よりもコンセントが離間した距離において、入力端子とコンセントの接続が維持され、静電容量検出部47で接近信号の検出ができなくなるとスイッチ制御回路は直流電流路を開路とする。
(第7実施形態の変形の直流プラグ)
図1に示す実施形態の直流プラグ(直流プラグ20a、直流プラグ20b、直流プラグ20c、直流プラグ20k)では、制御スイッチ押圧部191は、直流プラグの側に設けられている。しかしながら、制御スイッチ押圧部191を直流プラグの側ではなく、コンセント19の側に設けるようにしても良い。コンセント19から伸びるように制御スイッチ押圧部191を突起状に設け、直流プラグの側には制御スイッチ押圧部191が挿入されるガイド孔を設ける。そして、このガイド孔に沿って挿入されるコンセント19の側の制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押すようにしても良い。図8に示す直流プラグ20d、図9に示す直流プラグ20e、図10に示す直流プラグ20f、図11に示す直流プラグ20g、図12に示す直流プラグ20h、図13に示す直流プラグ20i、図14に示す直流プラグ20j、の各直流プラグにおいても、同様に直流プラグの側には制御スイッチ押圧部191が挿入されるガイド孔を設けて、このガイド孔に沿って挿入されるコンセント19の側の制御スイッチ押圧部191が制御スイッチ17を押すようにしても良い。
上述した種々の実施形態に開示された個々の技術を組み合わせた、新たな実施形態も実施可能である。また、本発明は上述した実施形態およびこれらを組み合わせた実施形態の範囲に限られるものではない。