JP5621752B2 - 燃焼システム - Google Patents

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Description

本発明は、改質した燃料を内燃機関の燃焼室で燃焼させる燃焼システムに関する。
従来より、燃料の性状を改質器の触媒上で改質させ、その改質した燃料を吸気管に噴射して燃焼室で燃焼させる技術が知られている(特許文献1)。これによれば、燃焼エネルギを増加させることができ、燃費向上(燃料消費率の低下)を図ることができる。
特開2004−190586号公報
しかしながら、特許文献1記載の構造では、改質した燃料(改質後燃料)を吸気管まで導く配管内で改質後燃料は冷却され、しかも、改質後燃料は吸気管内で新気と混合することでさらに温度低下する。そのため、外気温度が低い場合等、改質器へ供給される燃料が低温であり着火性が悪くなっている場合には、前記温度低下により着火性悪化が促進されてしまうとの問題が生じる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、改質後燃料の温度低下抑制を図った燃焼システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
第1の発明では、燃料の性状を改質する触媒を有した改質器を備え、前記改質器で改質した改質後燃料を内燃機関の排気経路に噴射し、前記排気経路中の改質後燃料を、前記内燃機関の排気バルブにより開閉される排気口から燃焼室へ流入させるように構成したことを特徴とする。
上記発明によれば、改質後燃料を排気経路に噴射し、排気口から燃焼室へ流入させるので、改質後燃料の排気口までの流通経路が、雰囲気温度の高い排気管の近傍に位置することになる。よって、その流通経路内で改質後燃料が冷却されることを抑制できる。しかも、改質後燃料は燃焼室へ流入するまでの間に新気と混合することがないので、新気により改質後燃料が冷却されることを回避できる。以上により、改質器へ供給される燃料が低温であり着火性悪化が懸念される状況の場合において、改質後燃料がさらに冷却されてしまうことを抑制でき、着火性悪化の懸念を軽減できる。
の発明では、前記改質器へ供給される改質前の燃料に排ガスを混合させるように構成したことを特徴とする。
ここで、改質器へ供給する燃料にアルコール(例えばメタノールCH−OH)を用いた場合、そのアルコールを触媒上で水(HO)と反応させることで、水素(H)と一酸化炭素(CO)に変換させることが改質の具体例として挙げられる。この改質の場合、アルコールに水を混合させることが必要となる。そこで本発明者は、アルコールに水を混合させたアルコール水を燃料タンクに貯蔵させておき、そのアルコール水を改質器へ供給する構成を検討したが、水を混合させていないアルコールを貯蔵する場合に比べて、燃料タンクの大型化を招く。
この問題に対し、上記発明によれば改質前の燃料に排ガスを混合させるので、排ガス中に含まれている水成分がアルコールに混合されるようになる。よって、アルコール水を貯蔵しておくことを不要にでき、燃料タンクの小型化を図ることができる。なお、上記発明を実施するにあたり、排ガスを改質器へ流入させる流入口に逆止弁(例えば図2に例示するリードバルブ43b)を取り付けておき、改質器内の燃料が流入口から排気管へ流出することを防止することが望ましい。
の発明では、前記改質器へ供給される改質前の燃料を改質後燃料と熱交換させるように構成したことを特徴とする。
ここで、改質器の触媒は活性化温度以上にする必要があり、特に、改質器へ供給される燃料の温度や触媒温度が高いほど、改質効率(燃料の供給量に対する改質量の割合)を向上できる。そのため、内燃機関の排気管の内部に改質器を配置する等、改質器および燃料を排ガスと熱交換させて温度上昇させることが、改質効率向上には有効である。但し、前記温度上昇により改質後燃料が過剰に高温になると、改質後燃料が自着火しやすくなり、燃焼室内にて所望のタイミングで燃焼させることが困難になる。
この点を鑑みた上記発明では、改質前の燃料を改質後燃料と熱交換させるので、改質後燃料は改質前燃料により冷却され、改質後燃料が過剰に高温になることを抑制できる。特に、改質前燃料が液体から気体へ気化する際の気化熱を改質後燃料の冷却で回収するようにすれば、改質後燃料の過昇温抑制を効果的に実現できる。しかも、上記発明によれば、改質前燃料が改質後燃料により加熱されるので、改質効率の向上も図ることができる。
ちなみに、先述したように改質後燃料を排気口から流入させて改質後燃料の温度低下を回避させることで、改質後燃料の着火性が悪くなることは十分に解消されている。その上で、改質後燃料が過昇温になることを抑制するのが上記発明であり、改質前燃料を改質後燃料と熱交換させることで着火性悪化を招くことはない。
の発明では、前記改質器を、前記内燃機関の排気管の内部に配置したことを特徴とする。これによれば、触媒温度を活性化温度以上にすることを、排ガス温度を利用して実現できるので、電気ヒータ等の加熱手段を用いることなく触媒温度を容易に昇温できる。さらに、改質器内での燃料温度を上昇させて改質効率を向上させることを容易に実現できる。
また、上記発明に反して排気管の外部に改質器を配置した場合、排ガスを改質器へ導入させるための配管が必要となる。これに対し上記発明では、排気管の内部に改質器を配置するので、前記配管を不要にできる。しかも、本発明では改質後燃料を排気経路に噴射するので、その噴射箇所の近傍に改質器が位置することになる。よって、改質後燃料を排気経路まで流通させる経路の長さ(例えば、図1中の改質後配管45の経路長)を短くできる。
の発明では、前記燃焼室を構成するシリンダヘッドと前記排気管との間に断熱材を介在させたことを特徴とする。
ところで、シリンダヘッドに形成されたウォータジャケットに冷却水を循環させたり、外気と熱交換させる空冷フィンをシリンダヘッドに形成したりする等、シリンダヘッドを水冷または空冷するのが一般的である。そして、排気管に設けられた排ガス浄化装置が熱損傷することを防止するために、排気管とシリンダヘッドとの熱伝導率を向上させることが一般的である。その一方で、改質器は高温にした方が改質効率を向上できることは先述した通りである。
これらの点を鑑み、上記発明では、従来の一般的な構造に反し、シリンダヘッドと排気管との間に断熱材(図1中の符号34a参照)を介在させることで、改質器の温度上昇を促進させ、改質効率の向上を図る。なお、上記発明では排気管の内部に改質器を配置することを前提とするので、排ガス温度は改質器と熱交換することで低下する。よって、排ガス浄化装置が熱損傷する懸念は回避できる。
ちなみに、改質器を高温状態に維持させて改質効率を向上させるべく、改質器を蓄熱材(例えばセラミック)で形成して、断熱性向上(保温性向上)を図るようにすることが望ましい。
の発明では、前記改質器へ燃料を供給する経路を開閉する供給バルブを備え、前記内燃機関の吸気行程中であることを条件として、前記供給バルブを開弁させることを特徴とする。
ここで、上記発明に反して吸気行程以外の行程(特に排気行程)で改質後燃料を排気経路へ噴射すると、排気経路へ噴射された改質後燃料が、排気口から流入することなく排ガスとともに排出されることが懸念される。これに対し上記発明では、吸気行程中であることを条件として供給バルブを開弁させるので、上記懸念を低減できる。
の発明では、前記内燃機関の排気行程終了に伴い前記排気バルブを一旦閉じ、その直後における吸気行程中に前記排気バルブを再度開くよう排気バルブを作動させるとともに、前記排気バルブを一旦閉じてから再度開くまでの期間に、前記供給バルブから燃料を供給させることを特徴とする。
ところで、吸気行程中に供給バルブを開弁させるにあたり、改質器へ供給した燃料が改質器で滞留する時間が長いほど改質効率を向上でき、しかも、液体の状態で燃料を供給した場合、その液体燃料を十分に気化させることができる。この点を鑑みた上記発明では、排気バルブを一旦閉じ、再度開くまでの期間に燃料を供給するので、供給された燃料は前記期間中、改質器内に滞留することになる。よって、改質効率を向上できるとともに、液体燃料を十分に気化させることができる。
本発明にかかる燃焼システムの一実施形態を示す図。 図1に示す改質器のハード構成を詳細に説明する図。 図1に示す供給バルブの開閉弁タイミング、および排気バルブの開閉弁タイミングを説明する図。
以下、本発明にかかる燃焼システムの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する燃焼システムは、定置式の内燃機関に適用されることを想定したものであり、例えば、発電機を駆動させる駆動源として設置された定置式内燃機関が具体例として挙げられる。
図1に示す内燃機関は複数の気筒を有した多気筒エンジンであり、これらの気筒は、シリンダブロック10にシリンダヘッド20を組み付けて構成されている。シリンダブロック10はピストン11を収容して燃焼室12を形成する。また、シリンダブロック10およびシリンダヘッド20にはウォータジャケット10w,20wが形成されており、ウォータポンプ30から吐出される冷却水が、これらのウォータジャケット10w,20wを循環して、シリンダブロック10およびシリンダヘッド20を冷却している。なお、ウォータポンプ30は内燃機関の駆動力により回転駆動させる機械式であってもよいし、電動モータにより回転駆動させる電気式であってもよい。
シリンダヘッド20には吸気ポート21および排気ポート22が形成されており、吸気ポート21の吸気口21aは吸気バルブ31により開閉され、排気ポート22の排気口22aは排気バルブ32により開閉される。吸気ポート21には、新気を各気筒に分配するインテークマニホールド33が接続されている。
排気ポート22には、エキゾーストマニホールド34(排気管)が接続されている。但し、シリンダヘッド20の排気ポート22とエキゾーストマニホールド34との間には、断熱材34aを介在させている。また、エキゾーストマニホールド34の下流側には、各気筒からの排ガスを集合して排出させる集合排気管35(排気管)が接続されており、この集合排気管35には、排ガス中のNOx、HC、CO等を浄化する浄化装置36が取り付けられている。
また、シリンダヘッド20には燃料噴射弁37が取り付けられている。そして、燃料タンク38に貯蔵された液体燃料が燃料ポンプ39により燃料噴射弁37へ圧送され、燃料噴射弁37を開弁作動させると液体燃料が燃焼室12へ直接噴射される。なお、上記液体燃料にはアルコール(例えばメタノールCH3−OH)が用いられている。さらに、燃料ポンプ39から圧送される燃料の一部は、後に詳述する改質器40により改質され、排気ポート22内に噴射された後、排気口22aから燃焼室12へ流入されるよう構成されている。
以上により、燃料噴射弁37から噴射された直噴燃料と、吸気口21aから流入する新気との混合気が、燃焼室12にて断熱圧縮されて自着火燃焼する。一方、排気口22aから流入する改質後燃料と吸気口21aから流入する新気との混合気は、直噴燃料の自着火燃焼を火種として着火し、燃焼する。要するに、改質されていない直噴燃料は、改質後燃料に比べて自着火温度が低いため自着火しやすい。その一方で、点火による着火に必要な最小エネルギは、改質後燃料の方が改質されていない直噴燃料よりも小さい。そこで本実施形態では、先ず直噴燃料を自着火させ、その燃焼を火種として改質後燃料を燃焼させている。
改質器40は、エキゾーストマニホールド34の内部に配置されており、以下、改質器40の構造について、図2を用いて説明する。
改質器40は、排気通路41aを形成する壁体41と、燃料通路42aを形成する配管42を備えている。配管42の内面には触媒が担持されている。壁体41には、金属製に比べて保温性能の高い材質(例えばセラミック)が採用されている。点線矢印に示す如く排気通路41aを流通する排ガスは、触媒を加熱して活性化温度以上にするとともに、実線矢印に示す如く燃料通路42aを流通する燃料を加熱する。
さらに改質器40は、複数本の燃料通路42aへ燃料を分配するヘッダパイプ43と、複数本の燃料通路42aを流通した燃料を集合させるフッダパイプ44とを備えている。なお、改質器40は気筒毎に設けられており、気筒毎に設けられた改質器40のヘッダパイプ43へ分配配管60から燃料が分配供給される。
ヘッダパイプ43には、排ガスを流入させる流入口43aが形成されており、この流入口43aにはリードバルブ43b(逆止弁)が取り付けられている。これにより、ヘッダパイプ43内の燃料に排ガスが混合される。そして、配管42内面の触媒上で、ヘッダパイプ43から供給される液体燃料(メタノールCH3−OH)は、排ガス中に含まれる水と反応し、水素(H2)と一酸化炭素(CO)に変換(改質)される。つまり、これらの水素および一酸化炭素が改質後燃料であり、排気口22aから燃焼室12へ流入して燃焼することとなる。
フッダパイプ44には、改質後燃料を排気口22aの近傍まで流通させる改質後配管45が接続されている。改質後配管45の一部は、シリンダヘッド20に挿入配置され、改質後配管45の下流開口部45aは、排気ポート22のうち排気口22aの近傍部分に位置している。したがって、改質器40で改質された燃料は、改質後配管45を流通して、排気口22aの近傍部分へ噴射されることとなる。
図1に示すように、燃料ポンプ39から圧送された燃料は、分岐管61を流通し、分配配管60に取り付けられた供給バルブ62に供給される。したがって、供給バルブ62を開弁作動させると、燃料ポンプ39から圧送された燃料は、分岐管61→供給バルブ62→分配配管60→ヘッダパイプ43→配管42→フッダパイプ44→改質後配管45を順に流通して下流開口部45aから排気ポート22内に噴射される。
また、改質後配管45および分岐管61には熱交換器46(図1参照)が取り付けられており、熱交換器46により、改質前の燃料と改質後燃料とが熱交換する。つまり、改質器40内部で排ガスにより温度上昇した改質後燃料は、改質前の燃料により冷却される。換言すれば、改質前の燃料は改質後燃料により加熱される。
さらに改質後配管45の一部は、排気ポート22のウォータジャケット20w内に配置されている。これにより改質後燃料と冷却水とが熱交換する。つまり、改質器40内部で排ガスにより温度上昇した改質後燃料は、ウォータジャケット20wを循環する冷却水により冷却される。
供給バルブ62および燃料噴射弁37の開弁作動は、電子制御装置(ECU70)により制御される。以下、ECU70による供給バルブ62の開弁時期制御について、図3を用いて説明する。
図3の最上段は、任意の気筒におけるピストン11の上死点および下死点のタイミングを、吸気行程、圧縮行程、燃焼行程および排気行程と区別して示す。また、(a)は吸気バルブ31の開閉弁タイミングを示し、(b)は排気バルブ32の開閉弁タイミングを示す。なお、これらの吸気バルブ31および排気バルブ32は、内燃機関のクランク軸により回転駆動するカム軸により開閉されるものであり、カム軸に取り付けられたカムのプロフィールにより開閉弁タイミングは特定される。
排気バルブ32は、排気行程の終了に伴いt1時点で一旦閉弁される。その後、その排気行程の直後における吸気行程の期間中において、t2時点で再度開弁し、その後のt3時点で再度閉弁する。つまり、1燃焼サイクル中の排気行程と吸気行程で1回ずつ計2回、排気バルブ32を開弁させている。そして、排気バルブ32を吸気行程で開弁させる直前の閉弁期間t1〜t2に、改質器40へ燃料を供給する供給バルブ62を開弁させる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)改質後燃料を排気ポート22内に噴射し、排気口22aから燃焼室12へ流入させるので、改質後燃料の流通経路(改質後配管45)が、雰囲気温度の高い排気管(エキゾーストマニホールド34)の近傍に位置することになる。よって、その流通経路内で改質後燃料が冷却されることを抑制できる。しかも、改質後燃料は燃焼室12へ流入するまでの間に新気と混合することがないので、新気により改質後燃料が冷却されることを回避できる。以上により、改質器40へ供給される燃料が低温であり着火性悪化が懸念される状況の場合において、改質後燃料がさらに冷却されてしまうことを抑制でき、着火性悪化の懸念を軽減できる。
(2)ここで、直噴燃料の自着火燃焼を火種として改質後燃料を着火させることを想定しているが、改質後燃料が排ガスにより過剰に高温になると、想定に反して自着火することが懸念されるようになる。これに対し本実施形態では、改質後配管45内の改質後燃料を、改質前の燃料および冷却水により冷却させるので、点火燃焼させることを想定した改質後燃料が自着火燃焼してしまうことを回避できる。さらに、熱交換器46により改質前の燃料が改質後燃料により加熱されるので、触媒上での改質効率を向上できる。
(4)改質器40を排気管(エキゾーストマニホールド34)の内部に配置するので、改質器40が有する触媒の温度を活性化温度以上にすることを、排ガス温度を利用して実現できるので、電気ヒータ等の加熱手段を用いることなく触媒温度を容易に昇温できる。さらに、改質器内での燃料温度を上昇させて改質効率を向上させることを容易に実現できる。
(5)シリンダヘッド20と排気管(エキゾーストマニホールド34)との間に断熱材34aを介在させるので、改質器40の温度上昇を促進でき、改質効率の向上を図ることができる。なお、排ガス温度は改質器40と熱交換することで低下するので、浄化装置36へ流入する排ガス温度は低下する。よって、断熱材34aを介在させても、浄化装置36が上限値を超えて高温になり損傷することは回避できる。
(6)改質器40のうち排気通路41aを形成する壁体41に蓄熱材(例えばセラミック)を採用しているので、改質器40を高温状態に維持させて改質効率を向上させることを促進できる。
(7)吸気行程以外の時期には供給バルブ62の開弁を禁止させているので、排気経路(排気ポート22)へ噴射された改質後燃料が、排気口22aから流入することなく排ガスとともにエキゾーストマニホールド34へ排出されることを回避できる。
(8)排気バルブ32を吸気行程で開弁させる直前の閉弁期間t1〜t2に、改質器40へ燃料を供給する供給バルブ62を開弁させる。そのため、改質器40へ供給した燃料が改質器40の燃料通路42aで滞留する時間を長くでき、改質効率を向上できる。また、供給バルブ62から供給された液体燃料が、排気口22aから流入されるまでの滞留時間を長くできるので、液体燃料を十分に気化させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記実施形態では、改質器40へ供給する燃料に排ガスを混合させることで、改質に必要な水成分を燃料に混合させているが、燃料タンク38に貯蔵させておく燃料に、予め水を混入させておき、上述した排ガスの混合を廃止するようにしてもよい。要するに、燃料タンク38にアルコールを貯蔵することに替え、アルコール水を貯蔵させるようにしてもよい。これによれば、リードバルブ43bを廃止できるが、その一方で、燃料タンク38の大型化を招く。
・上記実施形態では、排気経路中の排気ポート22の部分に改質後燃料を噴射しているが、本発明は排気ポート22への噴射に限定されるものではなく、例えば、エキゾーストマニホールド34や集合排気管35に噴射してもよい。但し、改質器40よりも排気口22aに近い部分に噴射することが望ましい。また、排気口22aに近い部分であるほど、下流開口部45aから噴射された改質後燃料が排気口22aから流入されずに残留するおそれを低減できる点で望ましい。
・上記実施形態では、改質器40を、エキゾーストマニホールド34(排気管)の内部に配置しているが、集合排気管35(排気管)の内部に配置してもよい。この場合、1つの改質器40から複数の気筒に改質後燃料を分配する配管が必要となるが、気筒毎に改質器40を設けることを廃止して、1つの改質器40を共用できるようになる。また、改質器40を排気管34,35の外部に配置してもよい。
・上記実施形態では、本発明にかかる燃焼システムを定置式の内燃機関に適用させているが、車両に搭載された内燃機関に適用させることも可能である。この場合、内燃機関の冷間始動時においては、改質後配管45内の改質後燃料を冷却水で冷却する度合いを減らして、排気口22aから流入させることによる着火性悪化抑制の効果が妨げられないようにすることが望ましい。例えば、電動式のウォータポンプ30を採用し、冷間始動期間中はウォータポンプ30を停止させたり、ウォータポンプ30からの吐出量を低減させたりすることが望ましい。
なお、機械式のウォータポンプ30を採用した場合であっても、エンジンの低出力時(例えばアイドリング運転時)にはエンジン回転速度が低くなっているため、ウォータポンプ30の回転速度も低くなる。そのため、エンジンの低出力時には冷却水の循環流量も少なくなり、改質後燃料が冷却される度合いも小さくなるので、着火性悪化抑制の効果が妨げられる懸念は低減される。また、エンジン回転速度が低くエンジン出力トルクが高い場合や、エンジン回転速度が高くエンジン出力トルクが低い場合には、燃焼室12へ直接噴射する燃料と、排気口22aから燃焼室12へ流入させる改質後燃料との比率を調整する(例えば、直接噴射する燃料を増量するとともに改質後燃料に減量させる)。これにより、着火性悪化の懸念は解消される。
・上記実施形態では、各気筒に設けられた複数の改質器40に対して供給バルブ62を1つ設けているが、複数の改質器40の各々に対して供給バルブ62を設けるようにしてもよい。これによれば、排気バルブ32を吸気行程で開弁させる直前の閉弁期間t1〜t2に供給バルブ62を開弁させることによる先述した効果(改質効率向上および液体燃料の気化促進)が、より顕著に発揮されるようになる。
・排気バルブの開弁に関し、上記実施形態では、排気行程時の開弁リフト量と吸気行程時の開弁リフト量とが同じになるよう、カム軸に取り付けられたカムのプロフィールを設定している。これに対し、吸気行程時の開弁リフト量が、排気行程時の開弁リフト量よりも小さくなるように設定してもよい。これによれば、改質後燃料が排気口22aから流入するときの流入速度を速くできるので、排気ポート22内に噴射された改質後燃料が排気口22aから流入されずに排気ポート22内に残留するおそれを低減できる。
20…シリンダヘッド、22…排気ポート(排気経路)、22a…排気口、32…排気バルブ、34…エキゾーストマニホールド(排気管)、35…集合排気管(排気管)、40…改質器、34a…断熱材、62…供給バルブ。

Claims (7)

  1. 燃料の性状を改質する触媒を有した改質器を備え、
    前記改質器は、内燃機関の排気管の内部に配置されており、
    前記改質器には、前記内燃機関の燃焼室から前記内燃機関の排気経路へと排出された排ガスの一部を、前記改質器に流入させる流入口が形成されており、
    前記改質器は、該改質器に供給された改質前の燃料が前記触媒に到達する前に、前記流入口から流入した排ガスを前記改質前の燃料に混合させるように構成され、
    前記改質器で改質した改質後燃料を前記排気経路に噴射し、
    前記排気経路中の改質後燃料を、前記内燃機関の排気バルブにより開閉される排気口から前記燃焼室へ流入させるように構成し
    前記改質器へ燃料を供給する経路を開閉する供給バルブを備え、
    前記内燃機関の吸気行程中であることを条件として、前記供給バルブを開弁させ、
    前記内燃機関の排気行程終了に伴い前記排気バルブを一旦閉じ、その直後における吸気行程中に前記排気バルブを再度開くよう前記排気バルブを作動させるとともに、前記排気バルブを一旦閉じてから再度開くまでの期間に、前記供給バルブから燃料を供給させることを特徴とする燃焼システム。
  2. 前記改質器の前記流入口には、該改質器に流入した排ガスが前記排気管へ流出することを防止する逆止弁が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼システム。
  3. 燃料の性状を改質する触媒を有した改質器を備え、
    前記改質器で改質した改質後燃料を内燃機関の排気経路に噴射し、
    前記排気経路中の改質後燃料を、前記内燃機関の排気バルブにより開閉される排気口から燃焼室へ流入させるように構成し、
    前記改質器へ燃料を供給する経路を開閉する供給バルブを備え、
    前記内燃機関の吸気行程中であることを条件として、前記供給バルブを開弁させ、
    前記内燃機関の排気行程終了に伴い前記排気バルブを一旦閉じ、その直後における吸気行程中に前記排気バルブを再度開くよう排気バルブを作動させるとともに、
    前記排気バルブを一旦閉じてから再度開くまでの期間に、前記供給バルブから燃料を供給させることを特徴とする燃焼システム。
  4. 前記改質器へ供給される改質前の燃料に排ガスを混合させるように構成したことを特徴とする請求項に記載の燃焼システム。
  5. 前記改質器を、前記内燃機関の排気管の内部に配置したことを特徴とする請求項またはに記載の燃焼システム。
  6. 前記燃焼室を構成するシリンダヘッドと前記排気管との間に断熱材を介在させたことを特徴とする請求項1,2,5のいずれか1つに記載の燃焼システム。
  7. 前記改質器へ供給される改質前の燃料を改質後燃料と熱交換させるように構成したことを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の燃焼システム。
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