JP5620566B1 - 極薄エキスパンド缶 - Google Patents
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Abstract
【課題】缶胴が従来になく薄肉で、かつ缶胴の外表面が滑らかな面であることにより表面装飾の制約が少なく、かつ十分な強度を有するエキスパンド缶を提供する。【解決手段】缶胴1にその外径を全周に亘って拡大させるエキスパンド加工が施されて、そのエキスパンド加工前の元径より大きい最大外径部8が缶胴1の軸線方向での中央部に形成されるとともに、その最大外径部8から缶胴1の一端部側の元径と同じ外径の元径部5に繋がる第1連続部9および最大外径部8から缶胴1の他端部側の元径と同じ外径の元径部6に繋がる第2連続部10が、最大外径部8側から各元径部5,6側に向けて次第に外径が小さくなるように外表面が滑らかに連続した形状に形成され、最大外径部8の軸線方向での長さが、缶の軸長の0〜30%の範囲内になっている。【選択図】図1
Description
この発明は、缶胴を構成している金属板を薄肉化した金属缶に関し、特に金属板を円筒形に成形し、その突き合わせ端部を溶接して缶胴を構成した缶容器に関するものである。
3ピース缶として知られている金属缶は、所定の矩形状金属板をローラなどによって円筒形に形成し、その互いに突き合わされた端部同士をシーム溶接などによって接合して胴部を作り、その上下両方の開口部に蓋を取り付けて構成される。従来、この種の金属缶における資源の有効利用や低コスト化などのために薄肉化することが試みられており、その一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された3ピース缶では、表面処理鋼板をシーム溶接して形成された缶胴の中央部を帯状に窪ませて複数本のビードが形成されている。したがって缶胴の表面は、そのビードによって上下に二分されることになるので、文字や図柄などの印刷を、ビードによって区分された上側の部分と下側の部分とに施すこととしている。
なお、特許文献1に記載されている缶とは反対に缶胴の一部を外周側に膨出させた構成の異形缶が特許文献2に記載されている。この異形缶は、缶胴にエキスパンド成形を施して、軸線方向(上下方向)に向けた凹部および凸部を形成し、さらにこれらの凹凸部に交差するように、傾斜凹凸部を形成した金属缶である。
特許文献1に記載された3ピース缶では、ビードを設けたことにより耐圧強度が増大するので、素材としての表面処理鋼板の板厚を0.12mm〜0.16mm程度に薄くすることができる、とされている。しかしながら、特許文献1にも記載されているように、缶胴の表面がビードによって上下に区分された状態になるために、缶胴表面で上下に連続した図柄などの表面装飾を施すことが困難であるなど、缶容器もしくは内容物を充填した商品の意匠性もしくは装飾性が制限され、あるいは損なわれるおそれがあった。
また、特許文献2に記載された異形缶は、缶形状を特異な形状もしくは個性的な形状とすることを目的としたものであり、したがって内容物の制約の少ない汎用性の高いものではなく、また上記の特許文献1に記載されている金属缶と同様に、凹凸部が印刷あるいは表面装飾の支障になる不都合がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、缶胴を薄肉化しても強度を確保できると同時に、印刷性もしくは装飾性を向上させることのできる極薄エキスパンド缶を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、上蓋および下蓋が巻き締められる缶胴が薄板金属板を円筒形状に形成するとともに突き合わされた端部同士を溶接して構成された極薄エキスパンド缶において、前記薄板金属板は、板厚が0.15mm以下の鋼板であり、前記缶胴の軸線方向での両端部のそれぞれに径を増減させていない元径部が形成されるとともに、これらの元径部の間の部分がその外径を全周に亘って拡大させるエキスパンド加工が施された拡径部とされ、その拡径部における軸線方向での中央部の部分が径が一定であることにより円筒状をなす最大外径部とされ、前記最大外径部の軸線方向での長さが、前記上蓋および下蓋を缶胴に巻き締めた缶の軸線方向での長さの5%以上30%以下であり、その最大外径部から前記缶胴の一端部側の前記元径部に繋がる部分、および前記最大外径部から前記缶胴の他端部側の前記元径部に繋がる部分が、前記最大外径部側から前記各元径部側に向けて次第に外径が小さくなる形状の連続部とされるとともに各連続部と前記最大外径部とが凸円弧面によって滑らかに連続し、前記各連続部の軸線方向でのそれぞれの長さが、前記缶の軸線方向での長さの20〜50%でかつ各連続部の軸線方向での長さの合計が前記缶の軸線方向での長さの75%以下であることを特徴とするものである。
また、この発明では、前記エキスパンド加工による外径の拡大量を、前記元径の9.8%以下とし、かつ前記各連続部の軸線方向での長さの合計に対する前記エキスパンド加工による外径の拡大量の比率である膨出率が2.4%以上とすることができる。
さらに、この発明では、前記最大外径部および各連続部の軸線方向での合計の長さを、前記上蓋および下蓋を缶胴に巻き締めた缶の軸線方向での長さの65〜85%とすることができる。
そして、この発明では、前記各連続部の少なくともいずれか一方の連続部は、テーパ面とそのテーパ面を前記最大外径部に滑らかに連続させるとともに軸線方向に沿う平面で切断した場合の切断面が凸円弧状となる凸円弧面とによって形成されていてよい。
この発明によれば、缶胴の軸線方向での中央部がエキスパンド加工によって拡径されており、その最大外径部から軸線方向での両端側の元径部に繋がる連続部が、外径が連続的に変化する滑らかな面によって形成されている。しかも、その最大外径部の軸線方向での長さ(もしくは幅)が缶の全長の5%以上30%以下、かつ各連続部の軸線方向でのそれぞれの長さが、前記缶の軸線方向での長さの20〜50%でかつ各連続部の軸線方向での長さの合計が前記缶の軸線方向での長さの75%以下に設定されるので、缶の外圧が高くなった場合の変形し難さである耐圧強度が高くなり、軸線方向の荷重に対する座屈強度も確保できる。また、この発明に係るエキスパンド缶は、缶胴の中央部の外径を全周に亘って拡大させたものであって、その外表面は軸線方向および円周方向のいずれにも滑らかに連続した面となり、そのため印刷やフィルムの貼着などによって表面装飾を施す場合に、表面の形状に起因する障害がなく、製品としての缶の意匠性あるいは商品性を、強度と併せて、向上させることができる。
この発明に係る缶は、例えばコーヒや緑茶などの飲料が充填される飲料缶であって、缶胴の上下両端部のそれぞれに蓋が巻き締められるいわゆる3ピース缶である。特に、レトルト処理などによって外圧が加わることのある飲料缶である。その缶胴は金属板を円筒形状に成形するとともに、互いに突き合わせた端部同士を溶接して製造される。缶胴を構成する金属板は溶融亜鉛メッキ鋼板、ティンフリースチール、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、ターンメッキ鋼板、その他の各種合金メッキ鋼板などの表面処理鋼板などの薄板鋼板であって、厚さが例えば0.15mm以下の極薄板である。このような極薄板を使用することに伴う強度不足を回避するために、あるいは強度を損なうことなく極薄板の使用を可能にするために、缶胴にはその軸線方向の中央部を拡径(膨出)するエキスパンド加工が施されている。その形状の一例を図1に示してある。
図1において符号1は缶胴を示し、缶胴1の上端部に上蓋2が巻き締められ、また下端部に下蓋3が巻き締められている。缶胴1の上端部は縮径されたネッキング部4となっていて、そのネッキング部4の下側に連続している部分が、径を増減させていない元径部5となっている。また、同様の元径部6が、下蓋3が巻き締められている下端部に設けられている。そして、これらの上下の元径部5,6の間の部分がエキスパンド加工を施した拡径部7となっている。
この拡径部7は、缶胴1の上下方向での中央部の最大外径部8と、その最大外径部8と上側の元径部5との間の連続部9と、前記最大外径部8と下側の元径部6との間の連続部10との三つの部分で構成されている。これらいずれの部分8,9,10も、円周方向での一部を外側に拡径した部分ではなく、全周に亘って拡径されており、したがって中心軸線に対して垂直な面(軸直角方向の平面)で切断した場合の断面形状が真円もしくはそれに近い形状となる。そして、この拡径部7の高さ(缶胴1の軸線方向での長さ)Lは、缶の高さHの65〜85%である。65%より小さいと、耐圧強度を確保できないなどの不都合が生じ、また85%を超えると、ネック成型時にエキスパンド成形部がネック成形部に干渉し成形不良などの不都合が生じる。
最大外径部8は、缶胴1を最も大きく拡径させた部分であり、その拡径率は9.8%以下である。拡径率とは、拡径前の径に対する径の増大量の比率であり、元の径をD0 とし、最大外径部8の径をD1 とすると、拡径率は
((D1 −D0 )/D0)×100
である。拡径率が9.8%を超えると、缶胴1の破断が生じる頻度が高くなり、安定したエキスパンド加工を行えなくなる。
((D1 −D0 )/D0)×100
である。拡径率が9.8%を超えると、缶胴1の破断が生じる頻度が高くなり、安定したエキスパンド加工を行えなくなる。
また、拡径量の下限値は、拡径量の各連続部9,10の合計長さ(軸線方向での長さ)に対する割合によっても規制される。ここで、缶の高さ(缶の軸線方向の長さ)をH、缶の上端部から拡径部7の上端までの長さをLu、拡径部7の下端から缶の下端部までの長さをLb、最大拡径部8の幅(缶胴1の上下方向での長さ)をCとすると、拡径量(D1 −D0 )の各連続部9,10の合計長さに対する割合は、
{(D1 −D0 )/(H−Lu−Lb−C)}×100
となり、これを仮に膨出率と称すると、この発明では膨出率が2.4%以上である。膨出率が2.4%を下回ると缶強度(パネリング強度)が不足する。この膨出率の2.4%を拡径率に置き換えると、2.8%である。膨出率は、拡径部7の元径部9.10に対する勾配に関係する値であり、この値が大きいほど、元径部9,10から缶胴1の外側に膨らんでいる部分の勾配が大きいことになる。言い換えれば、膨出率が小さいと缶胴1の表面は単純な円筒形に近くなる。缶胴1のパネリングは、缶胴1を内側に窪ませる変形であるから、膨出率が大きいほど、パネリング強度が高くなるものと考えられる。
{(D1 −D0 )/(H−Lu−Lb−C)}×100
となり、これを仮に膨出率と称すると、この発明では膨出率が2.4%以上である。膨出率が2.4%を下回ると缶強度(パネリング強度)が不足する。この膨出率の2.4%を拡径率に置き換えると、2.8%である。膨出率は、拡径部7の元径部9.10に対する勾配に関係する値であり、この値が大きいほど、元径部9,10から缶胴1の外側に膨らんでいる部分の勾配が大きいことになる。言い換えれば、膨出率が小さいと缶胴1の表面は単純な円筒形に近くなる。缶胴1のパネリングは、缶胴1を内側に窪ませる変形であるから、膨出率が大きいほど、パネリング強度が高くなるものと考えられる。
また、最大外径部8の幅(長さ)Cは、缶の高さHの0〜30%である。最大外径部8の幅Cが缶高さHに対して0%と言うことは、上下の連続部9,10の境界部分が線として現れることであり、また0%を超えて30%であれば、最大外径部8は径が一定の単純な円筒部となり、したがってその表面の母線が缶胴1の中心軸線に対して平行な直線で表される。ある程度の幅(長さ)のある最大外径部8をストレート部と呼ぶことがある。最大外径部8の幅Cが缶高さHの30%を超えると、エキスパンド加工を施しても単純な円筒形状の部分が大きくなってしまい、後述するように、缶強度の実質的な向上効果が得られなくなる。
上下の連続部9,10は、元径部5,6から最大外径部8に向けて次第に径が増大する部分であり、その径の変化は連続的であって、円周方向に沿う凹溝や凸条などの局部的もしくは部分的な凹部や凸部がなく、したがって表面が滑らかな部分である。これらの連続部9,10は、テーパ部であってもよいが、軸線方向に沿う平面で切断した場合の切断面が凸円弧状となる曲面とテーパ面とを繋げた面で形成されていてもよい。その場合、元径部5,6側をテーパ面とし、最大外径部8側を円弧面とすることが好ましい。また、テーパ面と円弧面との境界部、ならびに前記元径部5,6との境界部に過度な屈曲部もしくは折れ曲がり部が生じないように、隣接する面の接線がほぼ一致する面とする。そして、各連続部9,10の幅(缶胴1の上下方向での長さ)A,Bは、それぞれ、缶の高さHの20〜50%に設定されている。なお、これらの幅A,Bの合計(A+B)は、拡径部7の高さL以下((A+B)≦L)である。これらの幅A,Bは、一方が大きくなると他方が小さくなる関係にあり、そのため、いずれかの幅A(B)が上記の範囲を超えると、幅が広いことが要因で、もしくは他方の幅B(A)が小さくなることが要因で、製品として必要なパネリング強度を得られなくなる。
以下、この発明による効果を確認するために行った実施例を示す。
この発明に係る缶のパネリング強度および座屈強度を、現行の缶(比較例)についてのそれらの強度と併せて測定した。パネリング強度は、上下の蓋を巻き締めた缶を、加圧室の内部に配置し、その加圧室の内圧を次第に高くして缶胴の一部が窪む変形であるパネリングが生じた圧力を測定し、これをパネリング強度とした。また、座屈強度は、上記の缶に軸線方向の圧力を加え、座屈した圧力を測定してこれを座屈強度とした。
実施品は、厚さ(t)が0.15mm、幅が108.70mm、長さが158.20mmのクロムメッキ鋼板のブランクを使用して、従来の3ピース缶と同様にして缶胴を作成し、これに上下の蓋を巻き締めて、満注容量が207mlの飲料缶とした。最大外径部8の幅や拡径率、各連続部9,10の幅などは、上述した範囲内に設定した。なお、エキスパンド加工を施したことにより、最大外径部8での板厚は0.145mmに減少し、またロックウェル硬さが61.7から65.0に増大していた。
また、比較例としての現行缶は、実施品と同一の素材で、厚さが0.18mm、幅が107.95mm、長さが165.65mmのブランクを使用し、従来の3ピース缶と同様にして缶胴を作成し、これに上下の蓋を巻き締めて、満注容量が214mlの飲料缶とした。
これら実施品および比較例について、空缶パネリング強度(要求強度:0.16MPa以上)、実缶パネリング強度(要求強度:0.11MPa以上)、空缶座屈強度(要求強度:1470N以上)を測定した。表1に測定結果を示してある。なお、空缶パネリング強度は、内容物を充填していない状態でのパネリング強度であり(内圧は、ほぼ大気圧101.325kPaである)、実缶パネリング強度は、内容物を規定量(190g)、充填し、−33kPaの真空状態にしたパネリング強度である。
実施品は、厚さ(t)が0.15mm、幅が108.70mm、長さが158.20mmのクロムメッキ鋼板のブランクを使用して、従来の3ピース缶と同様にして缶胴を作成し、これに上下の蓋を巻き締めて、満注容量が207mlの飲料缶とした。最大外径部8の幅や拡径率、各連続部9,10の幅などは、上述した範囲内に設定した。なお、エキスパンド加工を施したことにより、最大外径部8での板厚は0.145mmに減少し、またロックウェル硬さが61.7から65.0に増大していた。
また、比較例としての現行缶は、実施品と同一の素材で、厚さが0.18mm、幅が107.95mm、長さが165.65mmのブランクを使用し、従来の3ピース缶と同様にして缶胴を作成し、これに上下の蓋を巻き締めて、満注容量が214mlの飲料缶とした。
これら実施品および比較例について、空缶パネリング強度(要求強度:0.16MPa以上)、実缶パネリング強度(要求強度:0.11MPa以上)、空缶座屈強度(要求強度:1470N以上)を測定した。表1に測定結果を示してある。なお、空缶パネリング強度は、内容物を充填していない状態でのパネリング強度であり(内圧は、ほぼ大気圧101.325kPaである)、実缶パネリング強度は、内容物を規定量(190g)、充填し、−33kPaの真空状態にしたパネリング強度である。
表1に示すように、この発明に係る実施品は、各強度が比較例よりも劣るものの、空缶パネリング強度が0.164MPa(>0.16MPa)、実缶パネリング強度が0.128MPa(>0.11MPa)、空缶座屈強度が1924N(>1470N)となっていて、要求される強度を十分に満たしている。したがって、この発明によれば、実用上要求される強度を十分に満たしつつ、素材を薄板化してコストを低減できる。これに加えて、缶胴1の表面に局部的もしくは部分的な目立った凹凸部が存在せず、全体として滑らかになっているから、印刷やフィルムの貼着による表面装飾に支障を来すことがなく、また図柄や文字などの装飾の制約がない。
また、この発明に係る缶では、エキスパンド加工を施すことにより材料硬度が高くなり、それに伴ってパネリング強度を向上させることができる。さらに、この発明において缶胴に施されるエキスパンド加工は、全周に亘って拡径する加工であるから、缶胴1の真円度が向上し、シーム溶接部などの部分的に曲率が小さくそのためにパネリングの発生要因となる箇所が解消され、この点においてもパネリング強度を向上させることができる。
つぎに各部の寸法範囲について検討した実施例を示す。
最大外径部8および各連続部9,10の幅C,A,Bを異ならせた複数の供試缶を用意し、要求される実缶パネリング強度である0.11MPaの圧力を掛けてパネリングの発生(変形)の有無を調べた。供試缶は缶胴が呼称200径の缶であって、板厚は0.15mm、缶高さHは104.7mm、最大外径部8の拡径率は4.8%とした。結果を表2に示してある。なお、表2で「A寸法」は上側の連続部9の幅、「B寸法」は下側の連続部10の幅、「ストレート」は最大外径部8の幅である。また、「○」印はパネリングが生じなかったこと、「×」印はパネリングが生じたことをそれぞれ示す。
表2に示す結果から知られるように、各連続部9,10の幅A,Bが20mmから50mm(缶高さHに対しては20%から50%)の範囲に入り、かつ最大外径部8の幅Cが30mm以下(缶高さHに対しては30%以下)であれば、要求される実缶パネリング強度を満たすことが認められる。なお、いずれかの連続部9,10の幅が上記の範囲を外れた15mm(缶高さHに対しては15%)の場合であってもパネリングが生じない例が存在するが、パネリング強度が不安定になる可能性を払拭できないので、この発明では、各連続部9,10の幅の範囲を20mmから50mm(缶高さHに対しては20%から50%)とした。
さらに、拡径量を規制する拡径率および前記膨出率について検討した実施例を示す。
呼称200径(缶胴の元径:50.3mm)を板厚0.15mmのクロムメッキ鋼板で作り、缶の高さHを88mm、97mm、104.7mm、109mm、133mmとし、それぞれのストレート部の長さを10mm、缶の上端部から拡径部の上端までの長さLuおよび拡径部の下端から缶の下端部までの長さLbをそれぞれ12.35mm(合計長さ24.7mm)として、それぞれ膨出率を異ならせた場合の強度を測定した。拡径量は1.4mm、2.4mm、3.0mm、4.0mm、5.0mmとした。したがって、拡径率は2.8%、4.8%、6.0%、8.0%、9.9%である。また、膨出率は、最小で1.4%、最大で9.4%となった。結果を表3にまとめて示してある。なお、表3で「強度○」は前述したパネリング強度の試験でパネリングが生じなかったことを示し、「強度×」は前述したパネリング強度の試験でパネリングが生じたことを示し、さらに「破胴×」はエキスパンド加工によって破断もしくは亀裂が生じたことを示す。
表3に示す結果から知られるように、拡径率が9.9%に達すると、缶胴に破断もしくは亀裂が生じて製品とならなくなる。したがって、この発明では拡径率を9.8%以下とする。また、前述した膨出率が2.2%程度に小さいと、強度が不足してしまう。したがって、この発明では、膨出率を2.4%以上とする。これは、拡径率に換算すれば2.8%以上、好ましくは4.8%である。
1…缶胴、 2…上蓋、 3…下蓋、 4…ネッキング部、 5,6…元径部、 7…拡径部、 8…最大外径部、 9,10…連続部。
Claims (4)
- 上蓋および下蓋が巻き締められる缶胴が薄板金属板を円筒形状に形成するとともに突き合わされた端部同士を溶接して構成された極薄エキスパンド缶において、
前記薄板金属板は、板厚が0.15mm以下の鋼板であり、
前記缶胴の軸線方向での両端部のそれぞれに径を増減させていない元径部が形成されるとともに、
これらの元径部の間の部分がその外径を全周に亘って拡大させるエキスパンド加工が施された拡径部とされ、
その拡径部における軸線方向での中央部の部分が径が一定であることにより円筒状をなす最大外径部とされ、
前記最大外径部の軸線方向での長さが、前記上蓋および下蓋を缶胴に巻き締めた缶の軸線方向での長さの5%以上30%以下であり、
その最大外径部から前記缶胴の一端部側の前記元径部に繋がる部分、および前記最大外径部から前記缶胴の他端部側の前記元径部に繋がる部分が、前記最大外径部側から前記各元径部側に向けて次第に外径が小さくなる形状の連続部とされるとともに各連続部と前記最大外径部とが凸円弧面によって滑らかに連続し、
前記各連続部の軸線方向でのそれぞれの長さが、前記缶の軸線方向での長さの20〜50%でかつ各連続部の軸線方向での長さの合計が前記缶の軸線方向での長さの75%以下である
ことを特徴とする極薄エキスパンド缶。 - 前記エキスパンド加工による外径の拡大量は前記元径の9.8%以下であり、かつ
前記各連続部の軸線方向での長さの合計に対する前記エキスパンド加工による外径の拡大量の比率である膨出率が2.4%以上であることを特徴とする請求項1に記載の極薄エキスパンド缶。 - 前記最大外径部および各連続部の合計の軸線方向での長さが、前記上蓋および下蓋を缶胴に巻き締めた缶の軸線方向での長さの65〜85%であることを特徴とする請求項1または2に記載の極薄エキスパンド缶。
- 前記各連続部の少なくともいずれか一方の連続部は、テーパ面とそのテーパ面を前記最大外径部に滑らかに連続させるとともに軸線方向に沿う平面で切断した場合の切断面が凸円弧となる凸円弧面とによって形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の極薄エキスパンド缶。
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