JP5620402B2 - 発酵プロセスにおけるマロン酸副産物生成の低下 - Google Patents

発酵プロセスにおけるマロン酸副産物生成の低下 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本明細書は、その開示全体を参照によって本明細書に援用する、2008年12月18日に出願された米国仮特許出願第61/138922号明細書の優先権を主張する。
本発明は生物工学分野にある。さらに具体的には、本発明は、マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子の発現に基づいて、生物の発酵中に有機酸、特にマロン酸副産物の生成を低下させるのに有用な方法に関する。
発酵は、生体触媒の使用を通じて1つ以上の基質から1つ以上の生成物を生じる過程であり、生体触媒は微生物全体、単離された酵素、またはあらゆるその組み合わせであり得る。
バッチ発酵では、発酵は、培地に所望の微生物を接種する培養プロセスに始まる。次に成長または代謝活動が起きる。システムの代謝産物および生物体組成物は、培養が終結する時点まで絶えず変化する典型的に微生物細胞の成長速度は、静止遅滞期を経て、高成長対数期(または指数増殖期)、そして最後に成長が減弱しまたは停止する定常期まで進行する。微生物生成物の生成は典型的に高成長対数期の間に起きるが、培養生物の成長の結果として、培地の栄養素が枯渇し、生成物が分泌される場合は生成物が濃縮し、副産物が濃縮するために、この成長期は無期限に継続し得ない。副産物としては、とりわけ多糖類;炭水化物;アミノ酸;タンパク質;塩;および乳酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ピルビン酸、フマル酸、クエン酸、イソクエン酸、グリオキシル酸、コハク酸、α−ケトグルタル酸、およびマロン酸などの様々な有機酸が挙げられる。
発酵は、アミノ酸、エタノール、多価不飽和脂肪酸、および抗生物質をはじめとする多様な微生物生成物を生合成する重要な技術である。いくつかの化学物質の発酵生産および商業化が報告されている(W.Crueger and A.Crueger,Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Sinauer Associates:Sunderland,MA.,pp124−174(1990);B.Atkinson and F.Mavituna,Biochemical Engineering and Biotechnology Handbook,2nd ed.;Stockton:New York,pp243−364(1991))。
しかし生体触媒によるプロセスは、以下をはじめとするいくつかの良く知られている制限に悩まされることが多い。1)比較的小さな製品系列;2)低い収率、力価、および生産性;3)生成物を水溶液から回収し精製することの困難さ;および4)望まれない副産物の発生。加工限界は、対象の生成物の製造原価を増大させるので、上流代謝エンジニアリング(すなわち生成物の合成)と、下流バイオプロセスエンジニアリング(すなわち生成物の分離および加工デザイン)とを統合することは、工業発酵から大きな価値を得る上で重要である。
様々な生化学的、生理学的および化学/物理的要因が、生体触媒によるプロセスの生産性に影響を及ぼし得るが、重要な要因としては、基質から生成物への転換効率、そして対象の生成物をもたらす生化学経路へのエネルギー/炭素の流れの最適化が挙げられる。これらの要因を鑑みて、望ましい生化学的経路のアップレギュレートを促進し、対象の生合成経路と競合したりまたは特定の最終産物の生成を妨げるような望ましくない生化学的経路のダウンレギュレートを促進する、多様な代謝工学技術が開発されている。
本開示は、生物による生成物の発酵合成中の副産物としてのマロン酸の蓄積に関する。具体的には、マロン酸+ATP+CoA→マロニル−CoA+AMP+ピロリン酸[PPi]の反応を可能にする異種性マロニル−CoAシンセターゼを発現する生物を遺伝子操作することで、高生産性および最小廃棄副産物が達成される。副産物マロン酸からマロニル−CoAへの転換は生体内での脂肪酸合成を可能にし、それによってそれ以上利用し得ないマロン酸「副産物」の発酵中の蓄積を回避する。これによって生体内の炭素およびエネルギー浪費が回避され、発酵工程中に最適pH範囲を保つのに要する塩基量が低下し、発酵廃棄蒸気内の中和を要する副産物有機酸の量が低下する。
異種性マロニルCoAシンセターゼは、以前に様々な微生物中で発現されており、様々なポリケチドの生成を改善する。(米国特許第6,939,691号明細書、米国特許出願公開第2003/0073205号明細書)。Lombo,F.,et al.(Biotechnol.Prog.,17(4):612−7(2001))で概説されるように、天然宿主および異種宿主中でのポリケチド発酵過程の生産性は、マロニル−CoAおよび(2S)−メチルマロニル−CoAなどのα−カルボキシル化CoAチオエステルから誘導される前駆物質の生体内可用性によって制限されることが多い。マロニル−CoAシンセターゼの発現はこの制限を軽減して、ポリケチド生成を顕著に増大し得る。以前の開示は、マロン酸生成を低下させ、それによって生物による炭素およびエネルギー浪費を回避する異種性マロニルCoAシンセターゼの発現を考察していない。
出願人らは、生物の発酵中にマロン酸「副産物」を蓄積させて炭素およびエネルギー浪費、対象の生成物の合成低下、および中和を要する廃液流の生成をもたらす(それによって総製造原価を増大させる)既述の問題を解決した。異種性マロニルCoAシンセターゼタンパク質を発現する新しい生物が本明細書に記載される。
第1の実施態様では、本発明は、少なくとも1つの制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、少なくとも1つの生成物の発酵に有用であるトランスジェニック生物であって、前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するトランスジェニック生物に関するが、ただし前記同一の生物は、
a)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
b)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる。
好ましくは、生物はその乾燥細胞重量の少なくとも約25%の量の油を蓄積する。生物は、藻類、真菌、ユーグレナ属、酵母、細菌、およびストラメノパイルからなる群から選択し得る。より好ましくは生物は、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)からなる群から選択される油性酵母である。
第2の実施態様では、発明のトランスジェニック生物によって含まれる制御は、強力なプロモーターをさらに含んでなる。
第3の実施態様では、本発明のトランスジェニック生物は、マルチコピーであり得る、マロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子を含んでなる。
第4の実施態様では、本発明のトランスジェニック生物は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、マロニル−CoAシンセターゼポリペプチドをコードする少なくとも1つの配列を含んでなる。
第5の実施態様では、本発明のトランスジェニック生物は、マロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの配列を含んでなり、前記配列は配列番号1および配列番号3からなる群から選択される。
第6の実施態様では、本発明のトランスジェニック生物は、前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物によって生成される少なくとも1つの生成物の力価と比較して低下していない、少なくとも1つの生成物の力価を生じるが、ただし前記同一の生物は、
a)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
b)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる。
第7の実施態様では、本発明のトランスジェニック生物は、少なくとも1つの遺伝的変異をさらに含んでなる。この少なくとも1つの遺伝的変異は、少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質の欠損であり得る。
第8の実施態様では、本発明は、
a)適切な制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、少なくとも1つの生成物の発酵に有用なトランスジェニック生物を提供するステップと、
b)前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するように、トランスジェニック生物を成長させてマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子を発現させるステップを含んでなる、トランスジェニック生物中のマロン酸含量を操作する方法を含んでなるが、ただし前記同一の生物は、
(i)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
(ii)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる。
好ましくは、マロニル−CoAシンセターゼポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。さらに少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子は、配列番号1および配列番号3からなる群から選択される。
第9の実施態様では、トランスジェニックヤロウィア(Yarrowia)種宿主細胞は、
a)少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質の欠損である少なくとも1つの遺伝的変異、および
b)少なくとも1つの制御配列の制御下のマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子、および
c)機能性多価不飽和脂肪酸生合成経路をコードする遺伝子
を含んでなる。
図1B、図1C、図1Dと合わせて、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子(GenBank登録番号YP_766603;配列番号1)のDNA配列と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(配列番号3)との比較を示す。 図1A、図1C、図1Dと合わせて、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子(GenBank登録番号YP_766603;配列番号1)のDNA配列と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(配列番号3)との比較を示す。 図1A、図1B、図1Dと合わせて、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子(GenBank登録番号YP_766603;配列番号1)のDNA配列と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(配列番号3)との比較を示す。 図1A、図1B、図1Cと合わせて、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子(GenBank登録番号YP_766603;配列番号1)のDNA配列と、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のためにコドン最適化された合成遺伝子(配列番号3)との比較を示す。 pZP2−MCSのプラスミドマップを提供する。 図3Bと合わせてω−3/ω−6脂肪酸生合成経路を図示し、この経路の説明を考察する際には図3Bと合わせて見るべきである。 図3Aと合わせてω−3/ω−6脂肪酸生合成経路を図示し、この経路の説明を考察する際には図3Aと合わせて見るべきである。 ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305株の開発を図示する。
本発明は、本明細書の一部を形成する以下の詳細な説明および添付の配列説明からより完全に理解され得る。
配列一覧
以下の配列は、37C.F.R.§1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則第208号および附属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822で述べられる規則に従う。
配列番号1〜22は、表1に同定される遺伝子またはタンパク質またはプラスミドをコードするORFである。
表1:核酸およびタンパク質配列番号の概要
Figure 0005620402

Figure 0005620402
本明細書に記載されるのは、発酵中、生成物の生産中に、さらに利用され得ないマロン酸「副産物」の蓄積を避けるための一般的方法である。これらの方法は、宿主中の異種性マロニル−CoAシンセターゼタンパク質の発現に依存する。これらの方法は、発酵を通じた多様な生成物の生産中に、藻類、真菌、ユーグレナ属、酵母、細菌、およびストラメノパイルをはじめとする多様な生物によるマロン酸副産物生成を低下させるので、幅広い適用性を有する。これらの方法は、油性酵母、具体的にはあらかじめ遺伝子改変されて多価不飽和脂肪酸[「PUFA」]を生成するヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で実施された。PUFA生成操作に関わる遺伝的変異は、発酵中にマロン酸副産物の生成増大をもたらすことが分かった(マロン酸は蓄積する総有機酸の約45%を占めた)。異種性マロニル−CoAシンセターゼの発現はこの効果を逆転させ、実質的に低下したマロン酸副産物生成をもたらした。
本開示では、以下の略語を使用する。
「読み取り枠」は、「ORF」と略記する。
「ポリメラーゼ連鎖反応」は、「PCR」と略記する。
「米国微生物系統保存機関」は、「ATCC」と略記する。
「多価不飽和脂肪酸」は、「PUFA」と略記する。
「トリアシルグリセロール」は、は、「TAG」と略記する。
「総脂肪酸」は、「TFA」と略記する。
「脂肪酸メチルエステル」は、「FAME」と略記する。
「乾燥細胞重量」は、「DCW」と略記する。
「補酵素A」は、「CoA」と略記する。
本明細書での用法では、「発明」または「本発明」という用語は制限を意図せず、特許請求の範囲で定義され、または本明細書に記載される本発明のいずれかに一般に適用される。
国際純正応用化学連合[「IUPAC」]体系的命名法に従ってプロパン二酸とも称される「マロン酸」という用語は、CH2(COOH)2で記載される化学構造を有するジカルボン酸を指す。マロン酸またはプロパン二酸イオンは、2個の水素イオンの喪失によってマロン酸から誘導される(すなわちCH2(COO)2 2-)。マロン酸の塩およびエステルとしては、ジエチルマロン酸[(C252(C324)]、ジメチルマロン酸[(CH32(C324)]および二ナトリウムマロン酸[Na2(C324)]が挙げられるがこれに限定されるものではない。
本明細書での用法では、「マロン酸」とは、マロン酸のイオン化形態、ならびにそのエステルおよび塩を指す。これらは本明細書では全て集合的に「マロン酸」と称される。
本明細書での用法では、「マロニル−CoA」[CAS登録番号524−14−1]は、アセチル−CoAからマロニル−CoAへのカルボキシル化によって形成され得るアシルチオエステルを指す。代案としては、マロニル−CoAは、マロニル−CoAシンセターゼによってマロン酸基質から酵素的に生成される。
本明細書での用法では、「マロニル−CoAシンセターゼ」[EC6.2.1.−]は、以下の酵素反応を触媒する。マロン酸+ATP+CoA→マロニル−CoA+AMP+ピロリン酸[「PPi」]。酵素は最初マロン酸で成長させた蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)から精製されたが(Kim,Y.S.およびS.K.Bang,J.Biol.Chem.,260:5098〜5104頁(1985年))、その後様々な根粒菌ホモログが、マメ科植物根粒内の根粒菌から単離されている(例えばKim,Y.S.and H.Z.Chae,Biochem.J.,273:511−516(1991)およびKim,Y.S.and S.W.Kang,Biochem.J.,297:327−333(1994)を参照されたい)。
「rMCS」という用語は、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)(GenBank登録番号YP_766603)からのマロニル−CoAシンセターゼ酵素(配列番号2)をコードする遺伝子(配列番号1)を指す。同様に「MCS」という用語は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のために最適化されたリゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)に由来するマロニル−CoAシンセターゼをコードする合成遺伝子を指す(すなわち配列番号3および4)。
「リゾビウム(Rhizobium)」という用語は、窒素を固定化する、すなわちジアゾ栄養性の(30を超える異なる種が含まれる)グラム陰性土壌細菌属を指す。リゾビウム(Rhizobium)は、エンドウマメ、マメ、クローバー、およびダイズなどのマメ科植物の根と、内共生的窒素固定共生を形成する。細菌は、根粒中の植物細胞にコロニー形成して、大気中の窒素をアンモニアに転換し、次にグルタミンまたはウレイドなどの有機窒素化合物を植物に提供する。植物は、光合成によって生成する有機化合物を細菌に提供する。最近の研究によれば、R.トリフォリイ(R.trifolii)は、R.レグミノサルム(R.leguminosarum)の後の異名である(M.H.Ramirez−Bahena et al.,Int.J.Syst.Evol.Microbiol.,58:2484−2490(2008))。
「発酵」とは、生体触媒の使用を通じて基質から生成物を生じる反応を触媒する工程を指す。
「生体触媒」とは、基質と生成物間の化学反応を開始または変更する。生体触媒は、微生物全体、単離酵素、またはあらゆるその組み合わせであり得る。本明細書に記載される目的では、生体触媒は藻類、真菌、ユーグレナ属の、酵母、細菌またはストラメノパイルなどの微生物全体である。
「発酵槽」または「バイオリアクター」とは、発酵工程を収容できる容器を指す。発酵槽は、例えば液体、気体、固体などの2つ以上の相を有する不均一系である。発酵のための最適条件には、効率的な物質移動、熱、および1つの成長期から別の成長期への推進力が必要である。発酵槽は以下を提供する。1)撹拌(細胞と培地を混合するための);2)O2供給のための曝気;3)温度、pH、圧力、曝気、栄養素補給、液体レベルなどの要素の制御;4)滅菌および無菌性の維持;および5)細胞/培地の抜き取り(連続発酵槽の場合)。一般に液飛び、気泡、および曝気を考慮して、発酵槽容量の20〜25%は「ヘッドスペース」として培地で満たされない。発酵槽の設計は、それを使用する発酵タイプに応じて多種多様である。近代の発酵槽は、効率的なプロセス監視、データ取得などのために、通常、コンピュータと一体化されている。
「ブロス」または「培地」という用語は、微生物培養のための栄養素を含有する溶液を指し、一般に水、エネルギー源、炭素源、窒素源、および微量栄養素を含んでなる。発酵中および/または発酵終了時に、ブロスはまた、生体触媒;生体触媒によって合成される生成物;代謝中間体;副産物;塩、ビタミン、アミノ酸、補助因子、および抗生物質などのその他の培地構成要素をさらに含有してもよい。
「生成物」とは、発酵から得られる、対象の生体触媒的に生成されるあらゆる一次産物を指す。これは天然で生体触媒によって生成される化合物であってもよく、または非天然遺伝子を発酵中のそれらの機能的発現のために微生物に遺伝子操作で組み込んでもよい。
対照的に「副産物」という用語は、生体触媒による基質から生成物への転換に由来する二次的または偶発的生成物を指す。発酵系から「副産物」を選択的に除去して、フィードバック阻害を排除し、および/または生体触媒活性を最大化することが望ましいことが多い。典型的な発酵副産物としては、例えば多糖類;炭水化物;アミノ酸;タンパク質;塩;および乳酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ピルビン酸、フマル酸、クエン酸、イソクエン酸、グリオキシル酸、コハク酸、α−ケトグルタル酸、およびマロン酸などの様々な有機酸が挙げられる。
「容積生産性」とは、グラム/(リットル時間)(略号g/(Lhr))単位で、所定容積中時間当たり、発酵槽内で生じる生成物質量を指す。この量は、生体触媒比活性および生体触媒濃度によって定まる。これは力価、実行時間、および発酵槽の作業容積から計算される。
「力価」とは、グラム/リットル(略号g/L)単位の生成物濃度を指す。
「保存ドメイン」または「モチーフ」という用語は、進化的に関連したタンパク質の整合配列に沿って、特定位置で保存されているアミノ酸セットを指す。その他の位置のアミノ酸は相同的なタンパク質間で変動し得るが、特定位置で高度に保存されるアミノ酸は、タンパク質の構造、安定性、または活性に必須のアミノ酸を示唆する。それらはタンパク質ホモログファミリーの整合配列中のそれらの高度な保存によって同定されるので、それらは新たに判定された配列のタンパク質が、先に同定されたタンパク質ファミリーに属するかどうかを判定する識別子または「シグネチャー」として使用し得る。
「油性」という用語は、それらのエネルギー源を油の形態で貯蔵する傾向がある生物を指す(Weete,In:Fungal Lipid Biochemistry,2nd Ed.,Plenum,1980)。一般に油性微生物の細胞含油量はS字形曲線に従い、脂質濃度は対数後期または初期定常期で最大に達するまで増大し、次に静止期後期および死滅期中に徐々に減少する(Yongmanitchai and Ward,Appl.Environ.Microbiol.,57:419−25(1991))。油性微生物が、それらの乾燥細胞重量の約25%超を油として蓄積することは一般的である。
「油性酵母」という用語は、油を生成し得る酵母に分類される微生物を指す。油性酵母の例としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)属が挙げられるがこれに限定されるものではない。
「脂質」という用語は、あらゆる脂溶性(すなわち親油性)の天然分子を指す。脂質は、細胞膜構成成分、エネルギー保存源、およびシグナル伝達経路中の中間体などの多数の重要な生物学的機能を有する多様な化合物群である。脂質は、ケトアシルまたはイソプレン基のどちらかに完全にまたは部分的に由来する、疎水性または両親媒性小型分子とおおまかに定義してもよい。国立一般医科学研究所(Bethesda,MD)は、Lipid Metabolites and Pathways Strategy(LIPID MAPS)分類体系に基づく脂質の概説を提供する。
「油」という用語は、25℃で液体であり、通常は多価不飽和である脂質物質を指す。油性生物中では、油が総脂質の大部分を構成する。「油」は主としてトリアシルグリセロール[「TAG」]からなるが、その他の中性脂質、リン脂質、および遊離脂肪酸もまた含有してもよい。油中の脂肪酸組成と総脂質中の脂肪酸組成は一般に類似しており、したがって総脂質中のPUFA濃度の増大または減少は、油中のPUFA濃度の増大または減少に一致し、逆もまた然りである。
「トリアシルグリセロール」[「TAG」]という用語は、グリセロール分子とエステル結合している3つの脂肪酸アシル残基から構成される中性脂質を指す。TAGは長鎖PUFAおよび飽和脂肪酸、ならびにより短い鎖長の飽和および不飽和脂肪酸を含有し得る。
「脂肪酸」という用語は、約C12〜C22の異なる鎖長の長鎖脂肪酸(アルカン酸)を指すが、より長い鎖長の脂肪酸とより短い鎖長の脂肪酸の双方が知られている。最多数を占める鎖長は、C16〜C22である。脂肪酸の構造は簡易表記体系「X:Y」によって表され、式中、Xは特定の脂肪酸中の炭素[「C」]原子総数であり、Yは二重結合の数である。「飽和脂肪酸」対「不飽和脂肪酸」、「一不飽和脂肪酸」対「多価不飽和脂肪酸」[「PUFA」]、および「ω−6脂肪酸」[「ω−6」または「n−6」]対「ω−3脂肪酸」[「ω−3」または「n−3」]の区別に関する追加的詳細は、参照によって本明細書に援用する米国特許第7,238,482号明細書に提供される。
本明細書でPUFAを記載するのに使用される命名法を表2に示す。「略記法」と題された列ではω−基準系を使用して、炭素数、二重結合数、およびこの目的では1と番号付けされるω炭素から数えたω炭素に最も近い二重結合の位置を示す。表の残りの部分は、ω−3およびω−6脂肪酸の一般名とそれらの前駆物質、明細書全体を通じて使用される略語、および各化合物の化学名を要約する。
表2:多価不飽和脂肪酸および前駆物質の命名法
Figure 0005620402
表2に列挙されるω−3/ω−6PUFAが、本明細書に記載される方法を使用して油性酵母の油画分中に蓄積する可能性が最も高いが、一覧は限定的または完全なものとみなすべきではない。
「PUFA生合成経路」という用語は、オレイン酸をLA、EDA、GLA、DGLA、ARA、DTA、およびDPAn−6などのω−6脂肪酸に;およびALA、STA、ETrA、ETA、EPA、DPA、およびDHAなどのω−3脂肪酸に転換する代謝過程を指す。この過程については文献で十分に記載されている(例えば国際公開第2006/052870号パンフレットを参照されたい)。簡単に述べるとこの過程は、小胞体膜内に存在する「PUFA生合成経路酵素」と称される一連の特有な延長酵素および不飽和化酵素による、炭素原子の付加を通じた炭素鎖の延長、および二重結合の付加を通じた延長分子の不飽和化を伴う。より具体的には「PUFA生合成経路酵素」とは、PUFAの生合成と関連付けられている以下の酵素のいずれか(およびそれらをコードする遺伝子)を指す。Δ4デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ9デサチュラーゼ、Δ8デサチュラーゼ、Δ9エロンガーゼ、C14/16エロンガーゼ、C16/18エロンガーゼ、C18/20エロンガーゼおよび/またはC20/22エロンガーゼ。
「デサチュラーゼ」という用語は、隣接する炭素の1つから水素を取り去り、それによってそれらの間に二重結合を導入することによって脂肪酸中の隣接する炭素を不飽和化し得るポリペプチドを指す。不飽和化からは対象の脂肪酸または前駆物質が生じる。特定の脂肪酸に言及するための明細書全体を通じたオメガ基準系の使用にもかかわらず、デルタ系を使用して基質のカルボキシル末端から数えることによって、デサチュラーゼ活性を示す方がより都合よい。本明細書で特に興味深いのは、Δ8デサチュラーゼ、Δ5デサチュラーゼ、Δ17デサチュラーゼ、Δ12デサチュラーゼ、Δ4デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼ、Δ15デサチュラーゼ、およびΔ9デサチュラーゼである。当該技術分野では、Δ15およびΔ17デサチュラーゼはまた、ω−6脂肪酸をそれらのω−3対応物に転換するそれらの能力に基づいて、(例えばそれぞれLAのALAへの、およびARAのEPAへの転換)「オメガ−3デサチュラーゼ」、「w−3デサチュラーゼ」、および/または「ω−3デサチュラーゼ」と称されることもある。適切な宿主を脂肪酸デサチュラーゼ遺伝子で形質転換し、宿主の脂肪酸プロフィールに対するその影響を判定することによって、特定の脂肪酸デサチュラーゼの特異性を経験的に判定することが望ましいかもしれない。
「エロンガーゼ」という用語は、作用する脂肪酸基質の脂肪酸炭素鎖を延長して炭素2個分だけ長い酸を生成し得るポリペプチドを指す。この延長過程は、米国特許出願公開第2005/0132442号明細書および国際公開第2005/047480号パンフレットに記載されるように、脂肪酸シンターゼと結びついた多段階機序で起きる。エロンガーゼ系によって触媒される反応の例は、GLAからDGLAへ、STAからETAへ、およびEPAからDPAへの転換である。一般にエロンガーゼの基質選択性はいくらか広いが、鎖長と不飽和の程度およびタイプとの双方によって区別される。例えばC14/16エロンガーゼは例えばミリスチン酸などのC14基質を利用し、C16/18エロンガーゼは例えばパルミチン酸などのC16基質を利用し、C18/20エロンガーゼはC18基質(例えばGLA、STA、LA、ALA)を利用し、C20/22エロンガーゼ[Δ5エロンガーゼとも称される]はC20基質(例えばARA、EPA)を利用する。本明細書の目的では、2つの異なるタイプのC18/20エロンガーゼを定義し得る。Δ6エロンガーゼはそれぞれGLAおよびSTAからDGLAおよびETAへの転換を触媒するのに対し、Δ9エロンガーゼはそれぞれLAおよびALAからEDAおよびETrAへの転換を触媒できる。
いくつかのエロンガーゼは幅広い特異性を有し、したがって単一酵素がいくつかのエロンガーゼ反応を触媒できるかもしれないことに留意することが重要である。例えば単一酵素が、C16/18エロンガーゼとC18/20エロンガーゼの双方として機能してもよい。適切な宿主を脂肪酸エロンガーゼ遺伝子で形質転換し、宿主の脂肪酸プロフィールに対するその影響を判定することによって、脂肪酸エロンガーゼの特異性を経験的に判定することが望ましいかもしれない。
「転換効率」および「%基質転換」という用語は、それによってデサチュラーゼなどの特定酵素が基質を生成物に転換し得る効率を指す。転換効率は、式、([生成物/[基質+生成物])*100に従って判定され、式中、「生成物」は、直接生成物およびそれから誘導される経路中の全ての生成物を含む。
「ペルオキシソーム形成因子タンパク質」、「ペルオキシン」、および「Pexタンパク質」という用語は同義であり、ペルオキシソーム生合成に関与するタンパク質、および/またはペルオキシソーム膜を通じたATP加水分解の手段による細胞タンパク質の輸送過程に関与するタンパク質を指す。これらのタンパク質のいずれかをコードする遺伝子の頭字語は「Pex遺伝子」である。Pex遺伝子の命名システムは、Distel et al.,J.Cell Biol.,135:1−3(1996)に記載される。様々な真核生物中で、これまでに少なくとも32個の異なるPex遺伝子が同定されている。異常なペルオキシソーム機能または構造を示す突然変異体の分析から、多数のPex遺伝子が単離されている。17の異なる真菌種のゲノム配列のコンピュータシミュレーションによる分析が実施されたKiel,J.A.K.W.,et al.(Traffic,7:1291−1303(2006))によるレビューに基づいて、以下のPexタンパク質が同定された。Pex1p、Pex2p、Pex3p、Pex3Bp、Pex4p、Pex5p、Pex5Bp、Pex5Cp、Pex5/20p、Pex6p、Pex7p、Pex8p、Pex10p、Pex12p、Pex13p、Pex14p、Pex15p、Pex16p、Pex17p、Pex14/17p、Pex18p、Pex19p、Pex20p、Pex21p、Pex21Bp、Pex22p、Pex22p−like、およびPex26p。したがってこれらの各タンパク質は、本明細書で「Pexタンパク質」、「ペルオキシン」または「ペルオキシソーム形成因子タンパク質」と称され、少なくとも1つの「Pex遺伝子」によってコードされる。
「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」、「核酸配列」、「核酸断片」、および「単離された核酸断片」という用語は、本明細書で同義的に使用される。これらの用語は、ヌクレオチド配列などを包含する。ポリヌクレオチドは、合成、非天然または改変ヌクレオチド塩基が含有されていてもよい、一本鎖または二本鎖のRNAまたはDNAのポリマーであってもよい。DNAポリマーの形態のポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNA、またはそれらの混合物の1つ以上のセグメントを含んでなってもよい。ヌクレオチド(通常それらの5’一リン酸の形態で見られる)は、次のような一文字名によって言及される。「A」はアデニル酸またはデオキシアデニル酸(それぞれRNAまたはDNA)、「C」はシチジル酸またはデオキシシチジル酸、「G」はグアニル酸またはデオキシグアニル酸、「U」はウリジル酸、「T」はデオキシチミジル酸、「R」はプリン(AまたはG)、「Y」はピリミジン(CまたはT)、「K」はGまたはT、「H」はAまたはCまたはT、「I」はイノシン、および「N」はあらゆるヌクレオチドである。
核酸断片は、適切な温度および溶液イオン強度条件下で、核酸断片の一本鎖形態が別の核酸断片とアニールし得る場合、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸断片と「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件については良く知られており、参照によって本明細書に援用する、Sambrook,J.,Fritsch,E.F. and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989)の特に第11章および表11.1で例示される。温度およびイオン強度条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を定める。ストリンジェントな条件は、(遠縁の生物からの相同的配列などの)中程度に類似の断片をスクリーニングするため、そして(近縁の生物からの機能性酵素を複製する遺伝子などの)高度に類似した断片をスクリーニングするために調節し得る。ハイブリダイゼーション後の洗浄が、ストリンジェントな条件を決定する。1つの好ましい条件のセットは、室温において6×SSC、0.5%SDSで15分間に始まり、次に45℃において2×SSC、0.5%SDSで30分間を反復し、次に50℃において0.2×SSC、0.5%SDSを30分間を2回反復する、一連の洗浄を使用する。より好ましいストリンジェントな条件のセットはより高い温度を使用し、そこでは洗浄は、最後の0.2×SSC、0.5%SDS中での2回の30分間の洗浄の温度を60℃に増大させること以外は上述したのと同一である。別の好ましい高度にストリンジェントな条件のセットは、65℃において0.1×SSC、0.1%SDS中での2回の最終洗浄を使用する。さらに別のストリンジェントな条件のセットは、例えば0.1×SSC、0.1%SDSで65℃でのハイブリダイゼーション、および2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSを含む。
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第で塩基間のミスマッチは可能であるが、ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含有することを要とする。核酸がハイブリダイゼーションする適切なストリンジェンシーは、技術分野で良く知られた変数である、核酸の長さおよび相補性の程度に左右される。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高い程、これらの配列を有する核酸ハイブリッドの熱融点[「Tm」または「Tm」]値は大きくなる。より高いTmに対応する核酸ハイブリダイゼーションの相対安定性は、次の順に低下する。RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さがヌクレオチド100個を超えるハイブリッドでは、Tmを計算する式が導かれている(Sambrook et al.、前出9.50〜9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションのためにはミスマッチの配置がより重要になり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook et al.、前出11.7〜11.8参照)。一実施態様では、ハイブリダイゼーション可能な核酸の長さは少なくともヌクレオチド約10個である。ハイブリダイゼーション可能な核酸の好ましい最小の長さは少なくともヌクレオチド約15個、より好ましくは少なくともヌクレオチド約20個、そして最も好ましくは長さが少なくともヌクレオチド約30個である。さらに当業者は、プローブの長さなどの要因次第で、温度および洗浄液の塩濃度を必要に応じて調節してもよいことを認識する。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的部分」とは、当業者による配列の手動評価によって、または基本的局所アラインメント検索ツール(Basic Local Alignmant Search Tool)[「BLAST」](Altschul、S.F.,et al.、J.Mol.Biol.,215:403−410(1993))などのアルゴリズムを使用したコンピュータ自動化配列比較および同定によって、遺伝子またはポリペプチドの推定上の同定を得るのに十分なポリペプチドまたは遺伝子のヌクレオチド配列のアミノ酸配列を含んでなる部分である。一般に推定的にポリペプチドまたは核酸配列が、既知のタンパク質または遺伝子に相同的であると同定するためには、10個以上の隣接するアミノ酸または30個以上のヌクレオチド配列が必要である。さらにヌクレオチド配列に関して、微生物コロニーまたはバクテリオファージプラークの原位置ハイブリダイゼーションなどの配列依存遺伝子同定(例えばサザンハイブリダイゼーション)および単離において、20〜30個の隣接するヌクレオチドを含んでなる遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用しても良い。さらにプライマーを含んでなる特定の核酸断片を得るために、塩基12〜15個の短いオリゴヌクレオチドを増幅プライマーとしてPCRで使用しても良い。したがってヌクレオチド配列の「実質的部分」は、配列を含んでなる核酸断片を特異的に同定、および/または単離できるようにする十分な配列を含んでなる。当業者は本願明細書に報告される配列の恩恵を受けて、本願明細書に記載される方法に基づいて、当業者に既知の目的のために、今や開示された配列の全てまたは実質的部分を使用してもよい。
「相補的」という用語は、互いにハイブリダイゼーションできるヌクレオチド塩基間の関係について述べるために使用される。例えばDNAについて、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって本発明は添付の配列表で報告される完全な配列、ならびに実質的に類似した核酸配列に相補的な単離された核酸断片も含む。
「相同性」および「相同的」」という用語は、区別なく使用される。これらは、その中において1つ以上のヌクレオチド塩基の変化が、遺伝子発現を仲介するまたは特定の表現型を生成する核酸断片の能力に影響を及ぼさない核酸断片を指す。これらの用語はまた、最初の未変性断片と比べて、得られる核酸断片の機能特性を実質的に変化させない、1つ以上のヌクレオチドの欠失または挿入などの核酸断片の修飾も指す。
さらに、当業者は、相同的な核酸配列がまた、0.5×SSC、0.1%SDSで60℃などの中程度にストリンジェントな条件下で、本明細書で例証される配列と、または本明細書で開示されるヌクレオチド配列と機能的に同等であるそのあらゆる部分とハイブリダイズするそれらの能力によって、定義されることを認識する。ストリンジェンシー条件は、中程度に類似した断片をスクリーニングするように調節し得る。
「選択的にハイブリダイズする」という用語は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、その非標的核酸配列へのハイブリダイゼーションよりも検出可能な程度に大きい(例えば少なくともバックグラウンドの2倍の)規定核酸標的配列への核酸配列のハイブリダイゼーション、および非標的核酸の実質的排除を指す。選択的にハイブリダイズする配列は、典型的に互いに少なくとも約80%の配列同一性、または90%の配列同一性、100%までの配列同一性(すなわち完全に相補的)を有する。
「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、その下でプローブがその標的配列に選択的にハイブリダイズする条件を指す。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、異なる状況では異なる。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することで、プローブに100%相補的な標的配列を同定し得る(相同的プロービング)。代案としては、より低い類似性が検出されるようにストリンジェンシー条件を調節して、配列中のいくつかのミスマッチを許し得る(異種性プロービング)。一般にプローブは、約1000ヌクレオチド未満の長さであり、500ヌクレオチド未満の長さであってもよい。
典型的にストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3において、塩濃度が約1.5MのNaイオン未満、典型的に約0.01〜1.0MのNaイオン(またはその他の塩)濃度であり、温度は短いプローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)で少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば50ヌクレオチドを超える)で少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によって達成されてもよい。例示的な低ストリンジェンシー条件としては、37℃で30〜35%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝液溶液でのハイブリダイゼーション、および50〜55℃での1〜2×SSC(20×SSC=3.0MのNaCl/0.3Mのクエン酸三ナトリウム)中での洗浄が挙げられる。例示的な中度のストリンジェンシー条件としては、37℃で40〜45%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および55〜60℃での0.5〜1×SSC中での洗浄が挙げられる。例示的な高ストリンジェンシー条件としては、37℃で50%ホルムアミド、1MのNaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および60〜65℃での0.1×SSC中での洗浄が挙げられる。追加的なストリンジェントな条件の組としては、例えば0.1×SSC、0.1%SDSで65℃でのハイブリダイゼーション、および2×SSC、0.1%SDSでの洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDSが挙げられる。
特異性は、典型的にハイブリダイゼーション後洗浄の関数であり、重要な要因は最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA−DNAハイブリッドでは、熱融点[「Tm」]は、Meinkoth et al.,Anal.Biochem.,138:267−284(1984)の式、Tm=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/Lから近似し得て、式中、Mは一価のカチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびトシシンヌクレオチドの百分率であり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドの百分率であり、Lは塩基対中のハイブリッドの長さである。Tmは、相補的標的配列の50%が、完全にマッチするプローブにハイブリダイズする(規定のイオン強度およびpH下における)温度である。Tmは、1%のミスマッチあたり約1℃低下するので、Tm、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を調節して、所望の同一性がある配列にハイブリダイズさせ得る。例えば≧90%同一の配列を求める場合、Tmを10℃低下させ得る。一般にストリンジェントな条件は、規定のイオン強度とpHにおいて、特定の配列およびその相補体のTmよりも約5℃低くなるように選択される。しかし厳しくストリンジェントな条件は、Tmよりも1、2、3または4℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得て、中度にストリンジェントな条件は、Tmよりも6、7、8、9または10℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得て、低ストリンジェンシー条件は、Tmよりも11、12、13、14、15または20℃低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用し得る。数式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、および所望のTmを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーのバリエーションが、本質的に記載されることを理解するであろう。所望のミスマッチ程度が、45℃未満(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)のTmをもたらす場合、より高い温度を使用し得るようにSSC濃度を増大させることが好ましい。核酸ハイブリダイゼーションに関する広範な指針は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Chapter 2“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”,Elsevier,New York(1993);およびCurrent Protocols in Molecular Biology,Chapter 2,Ausubel et al.,Eds.,Greene Publishing and Wiley−Interscience,New York(1995)にある。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件は、少なくとも10、30、60、90、120または240分間にわたり適用し得る。
「%同一性」と言う用語は、配列を比較して判定される2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の関係を指す。「%同一性」は、場合によっては、比較される配列間の整合百分率によって判定される、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「%同一性」および「%類似性」は、1)Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,Ed.)Oxford University:NY(1988);2)Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,Ed.)Academic:NY(1993);3)Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M., and Griffin,H.G.,Eds.)Humania:NJ(1994);4)Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,Ed.)Academic(1987);および5)Sequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.)Stockton:NY(1991)に記載されるものをはじめとするが、これに限定されるものではない既知の方法によって容易に計算し得る。
%同一性を判定する好ましい方法は、試験される配列間に最良の整合を与えるようにデザインされる。%同一性および%類似性を判定する方法は、一般に入手できるコンピュータプログラムで体系化されている。配列アラインメントおよび%同一性の計算は、LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegAlignTMプログラムを使用して実施してもよい。配列の多重アラインメントは、「アラインメントのClustal V法」および「アラインメントのClustal W法」をはじめとするアルゴリズムのいくつかのバリエーションを包含する「アラインメントのClustal法」を使用して実施される(Higgins and Sharp,CABIOS,5:151−153(1989);Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.,8:189−191(1992)により記載され、LASERGENEバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.)のMegAlignTM(バージョン8.0.2)プログラムにある)。どちらかのClustalプログラムを使用した配列のアラインメント後、プログラムの「配列距離」表を見ることで「%同一性」を得ることが可能である。
アラインメントのClustal V法を使用した多重アラインメントでは、デフォルト値はGAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10に相当する。Clustal V法を使用したタンパク質配列のペアワイズ配列比較および%同一性計算のデフォルトパラメーターは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸ではこれらのパラメーターは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4、およびDIAGONALS SAVED=4である。アラインメントのClustal W法を使用した多重アラインメントのデフォルトパラメーターは、GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、Delay Divergent Seqs(%)=30、DNA Transition Weight=0.5、Protein Weight Matrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUBに相当する。
「配列比較のBLASTN法」が、デフォルトパラメーターを使用してヌクレオチド配列を比較する、National Center for Biotechnology Information[「NCBI」]が提供するアルゴリズムであるのに対し、「BLASTPアラインメント法」は、デフォルトパラメーターを使用してタンパク質配列を比較する、NCBIによって提供されるアルゴリズムである。
その他の種から同一または同様の機能または活性を有するポリペプチドを同定する上で、多くのレベルの配列同一性が有用であることを当業者はよく理解している。適切な核酸断片、すなわち本明細書に記載される方法および宿主細胞中でポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドは、本明細書で報告されるアミノ酸配列と少なくとも約70〜85%同一のポリペプチドをコードする一方、より好ましい核酸断片は少なくとも約85〜95%同一のアミノ酸配列をコードする。好ましい範囲は上述のようであるが、%同一性の有用な例としては、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%などの50%〜100%のあらゆる整数百分率が挙げられる。またこの単離されたヌクレオチド断片のあらゆる全長または部分的補体も興味深い。
適切な核酸断片は上の相同性を有するだけでなく、典型的に少なくとも50個のアミノ酸、好ましくは少なくとも100個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも150個のアミノ酸、なおもより好ましくは少なくとも200個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも250個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。
「コドン縮重」という用語は、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響を及ぼさないヌクレオチド配列の変動を可能にする遺伝子コードの性質を指す。当業者は、特定のアミノ酸を特定化するヌクレオチドコドンの使用における、特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス」についてよく知っている。したがって宿主細胞中の改善された発現のために遺伝子を合成する場合、そのコドン使用頻度が、宿主細胞の好むコドン使用頻度に近くなるように遺伝子をデザインすることが望ましい。
「合成遺伝子」は、当業者に知られる手順を使用して、化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位から構築し得る。これらのオリゴヌクレオチド構成単位をアニールし、次にライゲーションして遺伝子断片を形成し、次にそれを酵素的に構築して所望の遺伝子全体を構成する。したがって遺伝子をヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために調整し、宿主細胞のコドンバイアスを反映させ得る。当業者は、コドン利用が宿主によって好まれるコドンに偏っている場合の遺伝子発現成功の見込みを理解する。好ましいコドンの判定は、配列情報が利用できる宿主細胞から誘導される遺伝子の調査に基づき得る。例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のコドン使用頻度プロフィールは、米国特許第7,125,672号明細書で提供される。
「遺伝子」とは特定のタンパク質を発現する核酸断片を指し、それはコード領域のみを指してもよく、またはコード配列に先行する(5’非コード配列)およびそれに続く(3’非コード配列)制御配列を含んでもよい。「天然遺伝子」とは、自然界にそれ自体の制御配列と一緒に見られる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、自然界に一緒に見られない制御およびコード配列を含んでなる天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は、異なる供給源から誘導される制御配列およびコード配列、あるいは同一供給源から誘導されるが、自然界に見られるのとは異なるやり方で配列される制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。「内在性遺伝子」とは、生物体ゲノムにおいてその天然位置にある天然遺伝子を指す。「外来性」遺伝子とは、遺伝子移入によって宿主生物体に導入された遺伝子を指す。外来性遺伝子は、非天然生物体中に挿入された天然遺伝子、天然宿主内の新しい位置に導入された天然遺伝子、あるいはキメラ遺伝子を含んでなり得る。「導入遺伝子」とは、形質転換によってゲノム中に導入される遺伝子である。「コドン最適化遺伝子」とは、そのコドン使用頻度が宿主細胞の好むコドン使用頻度を模倣するようにデザインされる遺伝子である。
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適切な制御配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、その中、または下流(3’非コード配列)に位置して、関連コード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。制御配列としては、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、(例えば転写開始部位と翻訳開始コドン間の)5’非翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造が挙げられる。
「プロモーター」とは、コード配列または機能的RNAの発現を制御できるDNA配列を指す。一般にコード配列は、プロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターは、その全体を天然遺伝子から誘導され、または自然界に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成され、または合成DNAセグメントを含んでなってさえもよい。”当業者は、異なる組織または細胞型中で、または異なる成長段階で、または異なる環境的または生理学的条件に応じて、異なるプロモーターが遺伝子発現を誘導してもよいことを理解する。ほとんどの細胞型でほとんどの場合に遺伝子発現を引き起こすプロモーターは、「構成的プロモーター」と一般に称される。ほとんどの場合において、制御配列の正確な境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有してもよいことがさらに認識される。
「3’非翻訳配列」および「転写ターミネーター」という用語は、コード配列の下流に位置するDNA配列を指す。これには、mRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響を及ぼせる調節シグナルをコードするポリアデニル化認識配列およびその他の配列が含まれる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの付加に影響を及ぼすことで特徴付けられる。3’領域は、転写、RNAプロセッシングまたは安定性、または関連コード配列の翻訳に影響を及ぼし得る。
「RNA転写物」とは、DNA配列のRNAポリメラーゼが触媒する転写から得られる生成物を指す。RNA転写物がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写物と称され、あるいはそれは一次転写物の転写後プロセッシングから誘導されるRNA配列であるかもしれず、成熟RNAと称される。「メッセンジャーRNA」または「mRNA」はイントロンがなく、細胞によってタンパク質に翻訳され得るRNAを指す。「cDNA」は、mRNAに対して相補的であり、それから誘導される二重鎖DNAを指す。「センスRNA」は、mRNAを含み、細胞によってタンパク質に翻訳され得るRNA転写物を指す。「アンチセンスRNA」は、標的一次転写物またはmRNAの全部または一部に相補的であり、標的遺伝子の発現をブロックするRNA転写物を指す(米国特許第5,170,065号明細書、国際公開第99/28508号パンフレット)。
「作動可能に連結する」という用語は、1つの機能が他方の機能によって影響される、単一核酸断片上の核酸配列のつながりを指す。例えばプロモーターがコード配列の発現に影響を及ぼせる場合、それはそのコード配列と作動可能に連結する。すなわちコード配列は、プロモーターの転写調節下にある。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で制御配列に作動可能に連結し得る。
「組み換え」という用語は、例えば化学合成による、または遺伝子操作技術による核酸の単離されたセグメントの操作による、2つのさもなければ分離した配列のセグメントの人為的組み合わせを指す。
「発現」という用語は、本明細書での用法では、核酸断片から誘導されるセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指しても良い。したがって「発現」という用語は、本明細書での用法ではまた、機能性最終産物(例えばmRNAまたはタンパク質[前駆型または成熟型のどちらか])の生成をも指す。
「形質転換」とは、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす、宿主生物体または宿主生物体中への核酸分子の転移を指す。核酸分子は、例えば自律的に複製するプラスミドであってもよく、またはそれは宿主生物体のゲノムに組み込まれてもよい。形質転換核酸断片を含有する宿主生物は、「トランスジェニック」、「組み換え」、「形質転換」または「形質転換体」生物と称される。
「プラスミド」および「ベクター」という用語は、多くの場合遺伝子を運ぶ、細胞の中心的代謝の一部でない染色体外要素を指し、それは通常、環状二本鎖DNA断片の形態である。このような要素は、あらゆる起源に由来する、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの、直鎖または環状の、自己複製配列、ゲノム一体化配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってもよく、その中ではいくつかのヌクレオチド配列が、発現カセットを細胞中に導入できる独自の構成に連結または組み換えされている。
「発現カセット」という用語は、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて、異種宿主中での遺伝子の増強された発現ができるようにする要素を有するDNA断片を指す。一般に発現カセットは、選択された遺伝子のコード配列と、選択された遺伝子産物の発現に必要である、コード配列に先行する(5’非コード配列)およびそれに続く(3’非コード配列)制御配列とを含んでなる。したがって発現カセットは、典型的に1)プロモーター配列;2)コード配列、すなわち読み取り枠[「ORF];および3)3’非翻訳領域、すなわち真核生物では通常はポリアデニル化部位を含有するターミネーターから構成される。発現カセットは通常はベクターに含まれて、クローニングおよび形質転換を容易にする。各宿主に対して妥当な制御配列を使用しさえすれば、異なる発現カセットを細菌、酵母、植物、および哺乳類細胞をはじめとする異なる生物に形質転換し得る。
「組み換え構築物」、「発現構築物」、および「構築物」という用語は、本明細書で同義的に使用される。組み換え構築物は、例えば自然界に一緒には見られない、制御配列およびコード配列などの核酸断片の人為的組み合わせを含んでなる。例えば組み換え構築物は、異なる起源に由来する制御配列およびコード配列、または同一起源に由来する制御配列およびコード配列を含んでなってもよいが、自然界に見られるのとは異なる様式で配列される。このような構築物はそれ自体を使用してもよく、またはベクターと併せて使用してもよい。ベクターを使用する場合、当業者によく知られているように、ベクターの選択は宿主細胞の形質転換に使用する方法に左右される。例えばプラスミドベクターを使用し得る。当業者は、本明細書に記載の単離された核酸断片のいずれかを含んでなる宿主細胞を成功裏に形質転換し、選択し、増殖するためにベクター上に存在しなくてはならない遺伝的要素について十分承知している。当業者はまた、異なる独立した形質転換事象が、異なるレベルおよびパターンの発現をもたらし(Jones et al.,EMBO J.,4:2411 2418(1985);De Almeida et al.,Mol.Gen.Genetics,218:78−86(1989))、したがって所望の発現レベルおよびパターンを示す系統を得るために多数の事象をスクリーニングしなくてはならないことを認識する。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析に有用なあらゆるコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は、市販のものでも、あるいは独立して開発されてもよい。典型的な配列分析ソフトウェアとしては、1)GCGパッケージソフトウェア(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,WI);2)BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,215:403−410(1990))、および3)DNASTAR(DNASTAR,Inc.Madison,WI);4)Sequencher(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI);および5.)Smith−Watermanアルゴリズムを組み入れたFASTAプログラム(W.R.Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Plenum:New York,NY)が挙げられるが、これに限定されるものではない。本明細書の記述では、分析のために配列分析ソフトウェアを使用する場合は常に、分析結果は特に断りのない限り、言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づく。本明細書での用法では、「デフォルト値」とは、最初に初期化されるときにソフトウェアに元からロードされる、あらゆる値またはパラメーターの組を意味する。
本明細書で使用される標準リコンビナントDNAおよび分子クローニング技術については技術分野で良く知られており、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989)(以下「Maniatis」);Silhavy,T.J.,Bennan,M.L.and Enquist,L.W.,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1984);およびAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,published by Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,Hoboken,NJ(1987)で述べられている。
マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子は、リゾビウム(Rhizobium)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、メソリゾビウム(Mesorhizobium)、アゾリゾビウム(Azorhizobium)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、ニトロバクター(Nitrobacter)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、オリゴトロファ(Oligotropha)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、およびキサントバクター(Xanthobacter)などの多様な生物に見られる。例えば配列番号8〜22に相当する、実施例1の表3に提供されるものを参照されたい。マロニル−CoAシンセターゼの主な役割は、マロニル−CoAを生じる基質マロン酸とCoAの転換であり、それは次に脂肪酸の生成に使用される。
マロニル−CoAシンセターゼを特性解析するためのいくつかの研究が実施されている。例えばNMR分光法、部位特異的変異誘発、および比較モデリング法から判定されたリゾビウム・トリフォリイ(Rhizobium trifolii)マロニル−CoAシンセターゼの活性部位および基質結合は、折り畳みタンパク質構造に関する詳細を明らかにし、反応中間体マロニル−AMPを発生させるその役割に基づいて、その中の206番目のヒスチジン残基(His206)が酵素の機能性に重要であるという裏付けを提供する(Jung,J.W.,et al.,Protein Sci.,9:1294−1303(2000))。酵素はJungらの図3Aで強調表示されるようにいくつかのAMP結合モチーフを有する。ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)USDA 110のマロニル−CoAシンセターゼに関する同様の分析がKoo,H.M.およびY.S.Kim(Arch.Biochem.Biophys.,378(1):167−74(2000))によって実施された。
表3中のマロニル−CoAシンセターゼ配列、またはその一部を使用し、配列分析ソフトウェアを使用して、同一種または別種においてマロニル−CoAシンセターゼホモログを検索してもよい。一般にこのようなコンピュータソフトウェアは、様々な置換、欠失、およびその他の修飾に相同性の程度を割り当てることにより、類似した配列をマッチさせる。表3中のあらゆるマロニル−CoAシンセターゼタンパク質を核酸またはタンパク質配列データベースと比較して、それによって好ましい生物中の類似した既知の配列を同定するために、低複雑配列フィルターおよび以下のパラメーターを用いたBLASTPアラインメント法などのソフトウェアアルゴリズムの使用が良く知られている。expect value=10、matrix=Blosum 62(Altschul,et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389−3402(1997))。
既知の配列のデータベースを綿密にチェックするためのソフトウェアアルゴリズムの使用は、表3に記載されるような公的に入手可能なマロニル−CoAシンセターゼ配列に対して比較的低い%同一性を有するホモログの単離に特に適している。公的に入手可能なマロニル−CoAシンセターゼ配列と少なくとも約70%〜85%の同一性があるマロニル−CoAシンセターゼホモログは、単離が比較的容易であろうことが予想できる。さらに少なくとも約85%〜90%同一の配列は特に単離に適し、少なくとも約90%〜95%同一の配列は最も容易に単離されるであろう。
マロニル−CoAシンセターゼ酵素にユニークなモチーフを使用して、いくつかのマロニル−CoAシンセターゼホモログが単離されている。例えばマロニル−CoAシンセターゼは全て、AMP結合モチーフを有することが良く知られている。この「保存ドメイン」領域は特定位置で高度に保存されたアミノ酸の組に相当し、タンパク質の構造、安定性または活性に必須であるマロニル−CoAシンセターゼタンパク質の領域を示す可能性が高い。モチーフは、タンパク質ホモログファミリーの整合配列中におけるそれらの高度な保存によって同定される。それらはユニークな「シグネチャー」として、新たに決定された配列のタンパク質が、以前に同定されたタンパク質ファミリーに属するかどうかを判定し得る。これらのモチーフは、新しいマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子の迅速な同定のための診断用ツールとして有用である。
代案としては、公的に入手可能なマロニル−CoAシンセターゼ配列またはそれらのモチーフが、ホモログを同定するハイブリダイゼーション試薬であってもよい。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本的構成要素には、プローブ、対象の遺伝子または遺伝子断片を含有することが疑われるサンプル、および特定のハイブリダイゼーション法が含まれる。プローブは典型的に、検出される核酸配列に相補的な一本鎖核酸配列である。プローブは検出される核酸配列にハイブリダイズ可能である。プローブ長は5個の塩基から数万個の塩基まで変動するが、典型的に約15塩基から約30塩基のプローブ長が適切である。プローブ分子の一部のみが、検出される核酸配列に相補的であればよい。さらにプローブと標的配列間の相補性は、必ずしも完全である必要はない。ハイブリダイゼーションは不完全に相補的な分子間で起き、その結果ハイブリダイズ領域内の塩基の特定画分は、適切な相補的塩基と対合形成しない。
ハイブリダイゼーション法については良く知られている。典型的にプローブおよびサンプルは、核酸ハイブリダイゼーションをできるようにする条件下で混合されなくてはならない。これは、適切な濃度および温度条件下において、無機または有機塩存在下でプローブとサンプルを接触させることを伴う。プローブおよびサンプル核酸は、プローブとサンプル核酸間のあらゆる可能なハイブリダイゼーションが起きるように、十分な時間接触させなくてはならない。混合物中のプローブまたは標的の濃度は、ハイブリダイゼーションが起きるための所用時間を決定する。プローブまたは標的濃度が高いほど、ハイブリダイゼーションインキュベーションの所要時間はより短くなる。塩化グアニジニウム、グアニジウムチオシアネート、チオシアン酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラクロロ酢酸ルビジウム、ヨウ化カリウムまたはトリフルオロ酢酸セシウムなどのカオトロピック剤が添加されていてもよい。所望ならばホルムアミドを典型的に30〜50%(v/v)[「体積基準」]でハイブリダイゼーション混合物に添加し得る。
様々なハイブリダイゼーション溶液を採用し得る。典型的にこれらは、約20〜60%体積、好ましくは30%の極性有機溶剤を含んでなる。一般的なハイブリダイゼーション溶液には、約30〜50%v/vのホルムアミド、約0.15〜1Mの塩化ナトリウム、約0.05〜0.1Mの緩衝液(例えばクエン酸ナトリウム、Tris−HCl、PIPESまたはHEPES(pH範囲約6〜9))、約0.05〜0.2%の洗剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、または0.5〜20mMのEDTA、FICOLL(Pharmacia Inc.)(約300〜500kdal)、ポリビニルピロリドン(約250〜500kdal)、および血清アルブミンが用いられる。典型的なハイブリダイゼーション溶液にはまた、約0.1〜5mg/mLの未標識キャリア核酸、および仔ウシ胸腺またはサケ精子DNAまたは酵母RNAなどの断片化核酸DNAも含まれ、約0.5〜2%wt/vol[「体積当たり重量」]のグリシンが含まれていてもよい。極性水溶性または膨潤剤(例えばポリエチレングリコール)、アニオン性ポリマー(例えばポリアクリレートまたはポリメチルアクリレート)、および硫酸デキストランなどのアニオン性糖鎖ポリマーをはじめとする体積排除剤などのその他の添加剤を含めてもよい。
核酸ハイブリダイゼーションは、多様なアッセイ様式に適応できる。最も適切なものの1つがサンドイッチアッセイ様式である。サンドイッチアッセイは、非変性条件下のハイブリダイゼーションに特に適応できる。サンドイッチタイプアッセイの主要構成要素は固体担体である。固体担体は、未標識であり配列の一部分と相補的である固定化核酸プローブを吸着しており、またはそれと共有結合的に共役している。
本明細書または公共文献に記載されるマロニル−CoAシンセターゼ核酸断片のいずれか、またはあらゆる同定されたホモログを使用して、同一種または別種から相同タンパク質をコードする遺伝子を単離してもよい。配列依存プロトコルを使用した相同遺伝子の単離については、当該技術分野で良く知られている。配列依存プロトコルの例としては、以下が挙げられるがこれに限定されるものではない。1)核酸ハイブリダイゼーション法;2)ポリメラーゼ連鎖反応[「PCR「](米国特許第号4,683,202明細書);リガーゼ連鎖反応[「LCR」](Tabor,S.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,82:1074(1985));または鎖置換増幅[「SDA」](Walker,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,89:392(1992))などの様々な核酸増幅技術の使用によって例証されるDNAおよびRNA増幅法;および3)相補性によるライブラリー構築およびスクリーニング法。
公的に入手可能な核酸断片の全部または一部をDNAハイブリダイゼーションプローブとして使用し、良く知られている方法を使用してあらゆる所望の生物からライブラリーをスクリーニングし、例えば公的に入手可能なマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子と類似したタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子、またはそれらのモチーフを直接単離し得る。公的に入手可能な核酸配列に基づく特定のオリゴヌクレオチドプローブを当該技術分野で知られている方法によりデザインし、合成し得る(Maniatis、前出)。さらにランダムプライマーDNA標識、ニックトランスレーションまたは末端標識技術、または利用可能な生体外転写系を使用したRNAプローブなどの当業者に知られている方法によって、配列全体を直接使用してDNAプローブを合成し得る。さらに特定のプライマーをデザインして使用し、公的に入手可能な配列またはそれらのモチーフの一部または全長を増幅し得る。得られる増幅産物を増幅反応中に直接標識し、または増幅反応後に標識し、プローブとして使用して、適切なストリンジェンシー条件下で完全長DNA断片を単離し得る。
典型的にPCRタイプの増幅技術では、プライマーは異なる配列を有して互いに相補的でない。所望の試験条件次第で、プライマー配列は、標的核酸の効率的複製かつ忠実な複製の双方を提供するようにデザインすべきである。PCRプライマーデザインの方法は一般的であり、良く知られている(Thein and Wallace,”The use of oligonucleotides as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders”,in Human Genetic Diseases:A Practical Approach,K.E.Davis Ed.,(1986)pp33−50,IRL:Herndon,VA;Rychlik,W.,In Methods in Molecular Biology,White,B.A.Ed.,(1993)Vol.15,pp31−39,PCR Protocols:Current Methods and Applications.Humania:Totowa,NJ)。
一般に、入手できるマロニル−CoAシンセターゼ配列の2つの短いセグメントをPCRプロトコルで使用して、相同遺伝子をコードするより長い核酸断片をDNAまたはRNAから増幅してもよい。PCRはまた、クローンされた核酸断片のライブラリーに対して実施されてもよく、入手できる核酸断片またはそれらのモチーフから1つのプライマーの配列が誘導される。その他のプライマーの配列は、mRNA前駆物質をコードする遺伝子の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの存在を利用する。
第2のプライマー配列はまた、クローニングベクターから誘導される配列に基づいてもよい。例えば当業者はPCRを使用して転写物中の一点と3’または5’末端の間の領域のコピーを増幅し、RACEプロトコル(Frohman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,85:8998(1988))に従って、cDNAを作成し得る。3’および5’方向に配向したプライマーは、入手できる配列からデザインし得る。市販される3’RACEまたは5’RACEシステム(例えばBRL,Gaithersburg,MD)を使用して、特定の3’または5’cDNA断片を単し得る(Ohara et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,86:5673(1989);Loh et al.,Science,243:217(1989))。
すぐ上で論じた良く知られている方法のいずれかに基づいて、あらゆる好ましい選択された生物中でマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子ホモログを同定および/または単離することが可能であろう。あらゆる推定上のマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子の活性は標準生化学的アッセイによって容易に確認し得る(例えばKim,Y.S.およびS.K.Bang.Anal Biochem.,170(1):45−9(1988)を参照されたい)。
アセチル−CoAは脂肪酸の新規生合成の主要構成単位である。効果的に代謝されてアセチル−CoAを生じ得るあらゆる化合物が、脂肪酸前駆物質の役割を果たし得るが、グルコースが炭素の主要供給源であることが多い。グルコースは解糖を通じてピルビン酸に転換され、それはミトコンドリア内に輸送されて、ピルビン酸デヒドロゲナーゼによってアセチル−CoAに転換される。アセチル−CoAはミトコンドリア膜を越えて細胞質内に直接輸送され得ないので、アセチル−CoAからの2個の炭素がオキサロ酢酸と縮合してクエン酸を生じる(クエン酸シンターゼによって触媒される)。クエン酸は細胞質内に直接輸送され、そこでATP−クエン酸リアーゼにより切断されてアセチル−CoAとオキサロ酢酸が再生する。オキサロ酢酸はリンゴ酸への転換を通じて、トリカルボン酸サイクルに再び入る。
マロニル−CoAの合成は、細胞質内で起きる脂肪酸生合成の最初の関与段階である。マロニル−CoAは、アセチル−CoAカルボキシラーゼ[「ACC」;EC6.4.1.2]によるアセチル−CoAのカルボキシル化を通じて生成する。脂肪酸合成は多酵素脂肪酸合成酵素複合体[「FAS」;EC2.3.1.85]によって触媒され、8個の二炭素断片(アセチル−CoAからのアセチル基)の縮合によって起き、C16飽和脂肪酸であるパルミチン酸が形成する。より具体的にはFASは下に要約する7つの一連の反応を触媒する(Smith,S.,FASEBJ.,8(15):1248−59(1994))。最初にアセチル−CoAおよびマロニル−CoAが、FASのアシルキャリアペプチド[「ACP」]に転移される。次にアセチル基がマロニル基に転移されて、β−ケトブチリル−ACPが形成し、CO2が放出される。次にβ−ケトブチリル−ACPが還元(β−ケトアシル還元酵素による)および脱水(β−ヒドロキシアシルデヒドラターゼによる)を被り、トランス−単不飽和脂肪アシル基が形成する。二重結合がNADPHによって還元され、最初のものよりも炭素2個分長い飽和脂肪−アシル基が生じる。次に新しいマロニル基と縮合して延長プロセスを繰り返すブチリル基の能力が、再生する。脂肪アシル基が炭素16個の長さになったら、チオエステラーゼ活性がそれを加水分解して遊離パルミチン酸を放出する。
脂肪酸合成は、次式によって要約し得る(H+および水を無視する):アセチル−CoA+7マロニル−CoA+14NADPH→パルミチン酸+7CO2+14NADP++8CoA。
パルミチン酸のさらなる延長および酸化は、ミトコンドリアまたは小胞体どちらかの中で起こり得る。パルミチン酸(16:0)およびC2延長された形態のステアリン酸(18:0)は、それぞれの一不飽和形態、すなわちパルミトレイン酸(16:1)およびオレイン酸(18:1)に不飽和化し得る。この過程は小胞体膜で触媒されて、リン脂質生合成のための脂肪酸を提供する。パルミチン酸は、酸化のためにミトコンドリアマトリックスまたはペルオキシソームマトリックスに運び戻されてもよい。
脂肪酸の主要な貯蔵単位であるトリアシルグリセロール[「TAG」]は、以下が関与する一連の反応によって形成される。1)リゾホスファチジン酸を生じる、アシルトランスフェラーゼによるアシル−CoAの1分子のグリセロール−3−リン酸塩へのエステル化;2)一般にホスファチジン酸として同定される1,2−ジアシルグリセロールリン酸塩を生じる、アシルトランスフェラーゼによるアシル−CoAの第2の分子のエステル化;3)1,2−ジアシルグリセロール[「DAG」]を生じる、ホスファチジン酸ホスファターゼによるホスフェートの除去;および4)TAGを形成する、アシルトランスフェラーゼの作用による第3の脂肪酸の付加。
飽和および不飽和脂肪酸および短鎖および長鎖脂肪酸をはじめとする、幅広い脂肪酸をTAGに組み込み得る。アシルトランスフェラーゼによってTAGに組み込み得る脂肪酸の制限を意図しない例のいくつかとしては、カプリン(10:0)、ラウリン(12:0)、ミリスチン(14:0)、パルミチン(16:0)、パルミトレイン(16:1)、ステアリン(18:0)、オレイン(18:1)、バクセン(18:1)、リノール(18:2)、エレオステアリン(18:3)、γ―リノレン(18:3)、α−リノレン(18:3)、ステアリドン(18:4)、アラキジン(20:0)、エイコサジエン(20:2)、ジホモ−γ−リノレン酸(20:3)、エイコサトリエン(20:3)、アラキドン(20:4)、エイコサア−テトラエン(20:4)、エイコサ−ペンタエン(20:5)、ベヘン(22:0)、ドコサ−ペンタエン(22:5)、ドコサ−ヘキサエン(22:6)、リグノセリン(24:0)、ネルボン(24:1)、セロチン(26:0)、およびモンタン(28:0)脂肪酸が挙げられる。
本明細書に記載されるのはトランスジェニック生物中のマロン酸含量を操作する方法であり、前記マロン酸はイオン化形態のマロン酸、ならびにそのエステルおよび塩を含んでなる。方法は、
a)適切な制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、少なくとも1つの生成物の発酵に有用なトランスジェニック生物を提供するステップと、
b)前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するように、トランスジェニック生物を成長させてマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子を発現させるステップ
を含んでなるが、ただし前記同一の生物は、
(i)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
(ii)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる。
いくつかの実施態様では、マロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子は、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸列によってコードされる。例えば配列番号2のマロニル−CoAシンセターゼは、配列番号1または配列番号3に記載のヌクレオチド配列によってコードされてもよい。
好ましくは、マロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの配列は、少なくとも1つの強力なプロモーターの制御下にあり、当業者は遺伝子発現もまた、マルチコピー中での発現によって増大されてもよいことを理解するであろう。
また本明細書に記載されるのは、上述の方法によって生成される、少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼタンパク質を含んでなるトランスジェニック生物である。さらに具体的には、本明細書は、少なくとも1つの制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、少なくとも1つの生成物の発酵に有用なトランスジェニック生物であって、前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するトランスジェニック生物について記載するが、ただし前記同一の生物は、
a)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まず、または
b)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる。
トランスジェニック生物は、好ましくは藻類、真菌、ユーグレナ属、酵母、細菌、およびストラメノパイルからなる群から選択される。より好ましいのはそれらの乾燥細胞重量の少なくとも約25%を油として蓄積するような、油性生物に分類される生物である。例えば好ましい油性酵母としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)属からのものが挙げられる。
「少なくとも1つの生成物」とは、発酵によって生じる、あらゆる生体触媒的に生成された対象の一次産物を指す。生成物は天然で生物によって生成される化合物であってもよく、または非天然遺伝子を発酵中のそれらの機能的発現のために生物に遺伝子操作で組み込んで、それによって天然では生物によって生成されない生成物をもたらしてもよい。顕著には異種性マロニル−CoAシンセターゼの発現は、(トランスジェニックか非トランスジェニックかに関わらず同一生物の生産性と比較して)少なくとも1つの生成物容積生産性または最終力価に対して実質的な悪影響を与えない(が、ただし同一生物は、(i)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まず、または(ii)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる)。
いくつかの実施態様では、少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼを含んでなるトランスジェニック生物は少なくとも1つの遺伝的変異をさらに含んでなる。例えば出願人らは、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株中の少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質[「PEX」]の欠損が、副産物マロン酸の生成増大と併行して、有利には総脂質画分中および油画分中の多価不飽和脂肪酸[「PUFA」]の生成増大をもたらすことを観察した。PEX欠損を含んでなるいくつかのY.リポリティカ(Y.lipolytica)株の構築については、米国特許出願第12/244950号明細書[E.I.du Pont de Nemours & Co.Inc.代理人整理番号CL3847]に記載され;好ましい欠損は、以下のPex遺伝子のいずれかの中にある:YlPex1p(GenBank登録番号CAG82178)、YlPex2p(GenBank登録番号CAG77647)、YlPex3p(GenBank登録番号CAG78565)、YlPex3Bp(GenBank登録番号CAG83356)、YlPex4p(GenBank登録番号CAG79130)、YlPex5p(GenBank登録番号CAG78803)、YlPex6p(GenBank登録番号CAG82306)、YlPex7p(GenBank登録番号CAG78389)、YlPex8p(GenBank登録番号CAG80447)、YlPex12p(GenBank登録番号CAG81532)、YlPex13p(GenBank登録番号CAG81789)、YlPex14p(GenBank登録番号CAG79323)、YlPex16p(GenBank登録番号CAG79622)、YlPex17p(GenBank登録番号CAG84025)、YlPex19p(GenBank登録番号AAK84827)、YlPex20p(GenBank登録番号CAG79226)、YlPex22p(GenBank登録番号CAG77876)、およびYlPex26p(GenBank登録番号NC_006072、ヌクレオチド117230〜118387のアンチセンス翻訳)。実施例に記載されるように、これらのPex欠損ヤロウィア(Yarrowia)株中の増大するマロン酸副産物生成は、異種性マロニル−CoAシンセターゼの発現によってPUFA生産性に悪影響を与えることなく実質的に低下される。
したがって本発明の好ましい一実施態様では、トランスジェニックヤロウィア(Yarrowia)種宿主細胞について記載され、
宿主細胞は、
a)少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質の欠損である少なくとも1つの遺伝的変異、および
b)少なくとも1つの制御配列の制御下のマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子、および
c)機能性多価不飽和脂肪酸生合成経路をコードする遺伝子
を含んでなる。
当業者は、少なくとも1つの生成物の発酵中に許容できない量のマロン酸の生成をもたらす、トランスジェニック生物中のその他の遺伝的変異を同定できるであろう。少なくとも1つの制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子の発現は、前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するトランスジェニック生物をもたらすが、ただし前記同一の生物は、(i)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または(ii)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる。
マロニル−CoAシンセターゼをコードする読み取り枠[「ORF」]を含んでなる組み換え構築物作り出して、発酵に有用な生物に導入する必要がある。当業者は、1)DNA分子、プラスミドなどの巨大分子構築、操作、および単離のための特定条件および処置;2)組み換えDNA断片および組み換え発現構築物の作成;および3)クローンのスクリーニングおよび単離について記載する、標準的資料について承知している。Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989);Maliga et al.,Methods in Plant Molecular Biology,Cold Spring Harbor,NY(1995);Birren et al.,Genome Analysis:Detecting Genes,v.1,Cold Spring Harbor,NY(1998);Birren et al., Genome Analysis:Analyzing DNA,v.2,Cold Spring Harbor:NY(1998);Plant Molecular Biology:A Laboratory Manual,Clark,ed.Springer:NY(1997)を参照されたい。
一般に構築物に含める配列の選択は、所望の発現産物、宿主細胞の性質、および非形質転換細胞から形質転換細胞を分離するのに提案される手段に左右される。当業者は、キメラ遺伝子を含有する宿主細胞を成功裏に形質転換し、選択し、増殖させるのに、プラスミドベクター上に存在しなくてはならない遺伝的要素を承知している。しかし典型的にベクターまたはカセットは、関連遺伝子の転写および翻訳を指示する配列、選択可能なマーカー、および自律複製または染色体の組み込みを可能にする配列を含有する。適切なベクターは、転写開始を制御する遺伝子の領域5’、すなわちプロモーターと、転写終結を制御するDNA断片の領域3’、すなわちターミネーターとを含んでなる。双方の制御領域が、形質転換宿主細胞からの遺伝子に由来することが最も好ましい。
所望の宿主細胞中において異種遺伝子またはその部分の発現を促進するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは多数あり、良く知られている。これらの制御領域としては、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、イントロン配列、3’UTRおよび/または5’UTR領域、およびタンパク質および/またはRNA安定化要素が挙げられる。このような要素はそれらの強度および特異性が異なっていてもよい。実質的に、選択された宿主細胞中においてこれらの遺伝子の発現を指示できるあらゆるプロモーター、すなわち天然、合成、またはキメラが適切である。宿主細胞中における発現は、誘導的または構成的に起こり得る。誘導的発現は、対象のマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子と作動的に連結する調節可能なプロモーターの活性を誘導することによって起きる。構成的発現は、対象の遺伝子と作動的に連結する構成的プロモーターを使用することによって起きる。
宿主細胞が例えば酵母である場合、酵細胞中で機能する転写および翻訳領域は特に宿主種から提供される。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で使用するのに好ましい転写開始調節領域については、国際公開第2006/052870号パンフレットを参照されたい。構成的または誘導的転写が所望されるかどうか、対象のORFを発現するプロモーターの効率、構築の容易さなどに応じて、いくつもの制御配列を使用してもよい。
転写終結シグナルをコードする3’非コード配列、すなわち「終結領域」が、組み換え構築物中に提供されなくてはならず、開始領域を得た遺伝子からの3’領域、または異なる遺伝子からの3’領域であってもよい。多数の終結領域が知られており、それらが由来するのと同一のおよび異なる属および種のどちらで利用しても、多様な宿主中で満足に機能する。終結領域は特定の特質についてでなく、より便宜的に選択される。終結領域はまた、好ましい宿主に天然の様々な遺伝子に由来してもよい。
酵母中で使用するのに特に有用な終結領域は、酵母遺伝子、特にサッカロミセス(Saccharomyces)、分裂酵母(Schizosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、ヤロウィア(Yarrowia)またはクリヴェロミセス(Kluyveromyces)に由来する。哺乳類のγ−インターフェロンおよびα−2インターフェロンをコードする遺伝子3’領域は、酵母中でもまた機能することが知られている。当業者は入手できる情報を利用して、転写ターミネーターとして機能する3’領域配列をデザインおよび合成し得るので、3’領域もまた合成し得る。終結領域は不要かもしれないが、高度に好ましい。
ベクターは、上述の制御要素に加えて、選択可能なおよび/またはスコア可能なマーカーを含んでなってもよい。好ましくはマーカー遺伝子は抗生物質耐性遺伝子であり、細胞を抗生物質で処理することで、非形質転換細胞の成長阻害または死滅と、形質転換細胞の阻害されない成長がもたらされる。酵母形質転換体の選択のためには、カナマイシン、ハイグロマイシン、およびアミノグリコシドG418に対する抵抗性がある、酵母中で機能するあらゆるマーカーが有用であり、ウラシル、リジン、ヒスチジンまたはロイシンを欠く培地上の成長能力が特に有用である。
遺伝子をクローニングベクターに単に挿入することは、所望の速度、濃度、量などでのその発現を保証しない。高発現率に対する必要に応えて、転写、RNA安定性、翻訳、タンパク質安定性および位置、酸素制限、および宿主細胞からの分泌を制御する、いくつかの異なる遺伝的要素を操作することにより、多数の特殊発現ベクターが作り出されている。操作される特徴のいくつかとしては、次が挙げられる。関与する転写プロモーターおよびターミネーター配列の性質、クローン遺伝子コピー数、遺伝子がプラスミド由来であるかまたは宿主細胞のゲノム中に組み込まれているかどうか、合成外来性タンパク質の最終的細胞内所在、宿主生物中のタンパク質翻訳および正しい折りたたみの効率、宿主細胞中のクローン遺伝子のmRNAおよびタンパク質の固有の安定性、およびその使用頻度が宿主細胞の好ましいコドン使用頻度に近くなるようなクローン遺伝子中のコドン使用頻度。これらのそれぞれを本明細書に記載される方法および宿主細胞中で使用して、マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子の発現をさらに最適化してもよい。
プロモーター、マロニル−CoAシンセターゼORF、およびターミネーターを含んでなる、少なくとも1つのキメラ遺伝子を含んでなる組み換え構築物を作り出した後、それを宿主細胞中で自律複製できるプラスミドベクターに入れ、または宿主細胞のゲノムに直接組み込む。発現カセットの組み込みは、宿主ゲノム内で無作為に起こり得て、または宿主遺伝子座との遺伝子組み換えを標的とするのに十分な宿主ゲノムとの相同性領域を含有する構築物の使用を通じて、標的を定め得る。構築物が内在性遺伝子座に標的を定めると、全てのまたは一部の転写および翻訳調節領域を内在性遺伝子座によって提供し得る。
別々の複製ベクターから2つ以上の遺伝子が発現する場合、各ベクターは異なる選択手段を有してもよく、他の構築物に対する相同性を欠いて、安定した発現を維持し、構築物中の要素の再集合を防止すべきである。調節領域、選択手段、および導入構築物増殖方法の思慮深い選択は、全ての導入された遺伝子が必要なレベルで発現して、所望の生成物の合成を提供するように実験的に判定し得る。
対象の遺伝子を含んでなる構築物は、あらゆる標準的技術によって宿主細胞に導入してもよい。これらの技術としては、形質転換(例えば酢酸リチウム形質転換(Methods in Enzymology,194:186−187(1991))、プロトプラスト融合、微粒子銃衝撃、電気穿孔、マイクロインジェクション、真空濾過または宿主細胞中に対象の遺伝子を導入するその他のあらゆる方法が挙げられる。
便宜上、例えば発現カセット内にDNA配列を取り込むように、あらゆる方法によって操作されている宿主細胞を「形質転換された」または「組み換え」と本願明細書中で称する。形質転換された宿主は、遺伝子がゲノム中に組み込まれるか、増幅されるか、または複数のコピー数を有する染色体外因子上に存在するかどうか次第で、発現構築物の少なくとも1つのコピーを有し、2つ以上を有してもよい。
形質転換宿主細胞は、導入される構築物上に含有されるマーカーを選択することで同定し得る。代案としては、多数の形質転換技術は多数のDNA分子を宿主細胞に導入するので、別個のマーカー構築物を所望の構築物と共に同時形質転換してもよい。
典型的に、形質転換された宿主は、選択培地上で成長するそれらの能力について選択され、選択培地には抗生物質が組み込まれていてもよく、または栄養素または成長因子などの非形質転換宿主の成長に必要な要素が欠如していてもよい。導入されたマーカー遺伝子は、形質転換された宿主中で発現すると抗生物質抵抗性を与えても、または必須成長因子または酵素をコードしてもよく、それによって選択培地上での成長を可能にする。形質転換された宿主の選択はまた、発現したマーカータンパク質を直接または間接に検出し得る場合にも起こり得る。マーカータンパク質は、単独で、または別のタンパク質との融合物として発現されてもよい。マーカータンパク質またはタグを発現する細胞は、例えば視覚的に、または蛍光活性化細胞選別または抗体を使用したパニングなどの技術によって選択し得る。
異なる独立した形質転換事象は異なるレベルとパターンの発現をもたらすので、選択される宿主または発現構築物に関わらず、複数の形質転換体をスクリーニングして所望の発現レベル、制御、およびパターンを示す株または系統を得なくてはならない(Jones et al.,EMBO J.,4:2411−2418(1985);De Almeida et al.,Mol.Gen.Genetics,218:78−86(1989))。このようなスクリーニングは、DNAブロットのサザン分析(Southern,J.Mol.Biol.,98:503(1975))、mRNA発現のザン分析(Kroczek,J.Chromatogr.Biomed.Appl.,618(1−2):133−145(1993))、タンパク質発現のウェスタンおよび/またはElisa分析、有機酸レベルのあらゆる変化を検出する、発酵ブロスの表現型分析またはイオンクロマトグラフィー分析によって達成されてもよい。
本開示の方法で記載されるように、多様な真核生物が、異種性マロニル−CoAシンセターゼを含んでなるトランスジェニック生物の役割を果たすのに適切である。発酵槽内で成長し得る様々な真菌、藻類、卵菌綱、酵母、ストラメノパイル、細菌および/またはユーグレナ属が有用な宿主かもしれない。
場合によっては、油性生物が好ましい。油性生物は天然で油を合成および蓄積でき、一般にそれらの乾燥細胞重量の約25%超を油として累積する。様々な藻類、コケ、真菌、酵母、ストラメノパイル、および植物が天然で油性に分類される。代案の実施態様では、例えばサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)のような酵母などの非油性生物を遺伝子改変して油性にし得る。
より好ましい油性の微生物としては、ω−3/ω−6PUFAを自然に生成する藻類、ストラメノパイルおよび真菌生物が挙げられる。例えばARA、EPAおよび/またはDHAが、キクロテラ(Cyclotella)種、ニッチア(Nitzschia)種、クサレカビ(Pythium)、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)種、シゾキトリウム(Schizochytrium)種、およびモルティエラ(Mortierella)によって生成される。M.アルピナ(M.alpina)の形質転換法については、Mackenzie et al.(Appl.Environ.Microbiol.,66:4655(2000))に記載される。同様に、ヤブレツボカビ目(Thraustochytriales)微生物(例えばスラウストキトリウム(Thraustochytrium)、シゾキトリウム(Schizochytrium))の形質転換法については、米国特許第7,001,772号明細書で開示される。
より好ましいのは、ω−3/ω−6PUFAを自然に生成するもの、および生成するように遺伝子改変されたものをはじめとする油性酵母である(後述)。油性酵母として典型的に同定された属としては、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)が挙げられるがこれに限定されるものではない。さらに具体的には、例証的な油合成酵母としては、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、リポマイセス・スターケイ(Lipomyces starkeyii)、L.リポフェラス(L.lipoferus)、カンジダ・レブカウフィ(Candida revkaufi)、C.プリケリーマ(C.pulcherrima)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C.ユチリス(C.utilis)、トリコスポロン・プランズ(Trichosporon pullans)、T.クタネウム(T.cutaneum)、ロドトルラ・グルチヌス(Rhodotorula glutinus)、R.グラミニス(R.graminis)、およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)(以前はカンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)に分類された)が挙げられる。
最も好ましい油性酵母は、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)であり、最も好ましいのはATCC#76982、ATCC#20362、ATCC#8862、ATCC#18944および/またはLGAM S(7)1と称されるY.リポリティカ(Y.lipolytica)株である(Papanikolaou S.,and Aggelis G.,Bioresour.Technol.,82(1):43−9(2002))。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の形質転換に関する特定の教示としては、米国特許第4,880,741号明細書および米国特許第5,071,764号明細書、およびChen,D.C.et al.(Appl.Microbiol.Biotechnol.,48(2):232−235(1997))が挙げられる一方、適切な選択技術については米国特許第7,238,482号明細書、米国特許第7,259,255号明細書、および国際公開第2006/052870号パンフレットに記載される。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で遺伝子を発現する好ましい方法は、宿主のゲノムへの線状DNAの組み込みによる。Ura3遺伝子座(GenBank登録番号AJ306421)、Leu2遺伝子座(GenBank登録番号AF260230)、Lys5遺伝子座(GenBank登録番号M34929)、Aco2遺伝子座(GenBank登録番号AJ001300)、Pox3遺伝子座(Pox3:GenBank登録番号XP_503244またはAco3:GenBank登録番号AJ001301)、Δ12デサチュラーゼ遺伝子座(米国特許第号明細書.7,214,491)、Lip1遺伝子座(GenBank登録番号Z50020)、Lip2遺伝子座(GenBank登録番号AJ012632)、SCP2遺伝子座(GenBank登録番号AJ431362)、Pex3遺伝子座(GenBank登録番号CAG78565)、Pex16遺伝子座(GenBank登録番号CAG79622)および/またはPex10遺伝子座(GenBank登録番号CAG81606)など、ゲノム内の複数の位置への組み込みは、遺伝子の高レベル発現が所望される場合に特に有用であり得る。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で使用される好ましい選択法としては、カナマイシン、ハイグロマイシン、およびアミノグリコシドG418抵抗性と、ウラシル、ロイシン、リジン、トリプトファンまたはヒスチジンを欠く培地上で成長する能力とが挙げられる。5−フルオロオロト酸[5−フルオロウラシル−6−カルボン酸一水和物または「5−FOA」]もまた、酵母Ura-変異体の選択のために使用してもよい。この化合物は、オロチジン5’−一リン酸脱炭酸酵素[OMPデカルボキシラーゼ]をコードする機能性URA3遺伝子を有する酵母細胞にとって有毒であるので、この毒性に基づいて、5−FOAはUra-変異体酵母株の選択および同定に特に有用である(Bartel,P.L.and Fields,S.,Yeast 2−Hybrid System,Oxford University:New York,v.7,pp109−147,1997;ヤロウィア(Yarrowia)中での5−FOA使用については、国際公開第2006/052870号パンフレットもまた参照されたい)。
ヤロウィア(Yarrowia)で使用される代案の好ましい選択法は、スルホニル尿素(クロリムロンエチル;E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.,(Wilmington,DE))抵抗性に基づいた、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のための優性非抗生物質マーカーに依存する。より具体的にはマーカー遺伝子は、スルホニル尿素除草剤抵抗性を与える単一アミノ酸変化、すなわちW497Lを有する天然アセトヒドロキシ酸シンターゼ(「AHAS」またはアセト乳酸シンターゼ、E.C.4.1.3.18)である(国際公開第2006/052870号パンフレット)。AHASは、分枝鎖アミノ酸、すなわちバリン、ロイシン、イソロイシンの生合成経路中の最初の共通酵素であり、それはスルホニル尿素およびイミダゾリノン除草剤の標的である。
トランスジェニック生物は、マロン酸の生成を制御しながら、少なくとも1つの生成物の生成を最適化する条件下で成長させる。これは生物中の炭素およびエネルギー浪費を低下させ、ならびに発酵廃棄蒸気中の最適pH範囲を保ちながら、発酵中に中和を要する有機酸副産物の量を低下させる。最適には、異種性マロニル−CoAシンセターゼを含んでなる生物の発酵は、少なくとも1つの生成物の総製造費用を低下させるであろう。
一般に培地条件は、炭素源のタイプおよび量、窒素源のタイプおよび量、炭素−対−窒素比、異なる無機イオンの量、酸素レベル、成長温度、pH、バイオマス生成相の長さ、油蓄積相の長さ、および細胞収集時間と方法を修正することで最適化してもよい。例えばヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)などの対象の油性酵母を一般に、酵母抽出物−ペプトン−デキストロースブロス[「YPD」]などの天然培地内で、合成最少培地内で、または成長に必要な構成要素を欠いて所望の発現カセットの選択を強制する合成最少培地(例えばYeast Nitrogen Base(DIFCO Laboratories,Detroit,MI))内で、成長させる。
本明細書に記載される方法およびトランスジェニック生物のための発酵培地は、米国特許.7,238,482号明細書で教示されるような適切な炭素源を含有しなくてはならない。適切な炭素源は多種多様な原料を包含し、グルコースや果糖などの糖、グリセロールおよび/または脂肪酸が好ましい。最も好ましいのはグルコースおよび/または10〜22個の炭素を含有する脂肪酸である。
窒素は、無機原料(例えば(NH42SO4)または有機原料(例えば尿素またはグルタメート)から供給されてもよい。適切な炭素および窒素源に加えて、発酵培地はまた、適切なミネラル、塩、補助因子、緩衝液、ビタミン、および生物の成長と、少なくとも1つの生成物を生じられるようにする酵素的経路の促進とに適することが当業者に知られている、その他の構成要素を含有しなくてはならない。
少なくとも1つの生成物を生じるために、多様な発酵工程デザイン(例えばバッチ、流加または連続)を応用してもよいことが考察される。バッチ発酵プロセスは閉鎖システムであり、培地組成がプロセス開始時に固定され、プロセス中にpHおよび酸素レベル維持のために必要とされるもの以外は、さらなる追加を受けない。したがって培養プロセスの始めに所望の生物体を培地に接種し、培地への追加的原料(すなわち炭素および窒素源)の添加なしに、成長または代謝活動が起きる。バッチプロセスでは、システムの代謝産物およびバイオマスの組成は、培養が終結するまで絶えず変化する。典型的なバッチプロセスでは、細胞は静止遅滞期から高対数増殖期を通過して、最終的に発育速度が低下または停止する定常期に進行する。処置されない場合、定常期の細胞は次第に死滅する。
標準バッチプロセスのバリエーションが供給バッチプロセスであり、発酵プロセス経過中に炭素源が発酵槽に連続的に添加される。供給バッチプロセスもまた、本明細書では適している。供給バッチプロセスは、分解産物抑制が細胞代謝を阻害する傾向がある場合に、またはあらゆる時点で培地中に限定量の炭素源を有することが望ましい場合に有用である。供給バッチシステム中の炭素源濃度の測定は困難であるので、pH、溶解酸素、および排ガス(例えばCO2)などの測定可能な要素の変化に基づいて推定してもよい。バッチおよび供給バッチ培養方法は一般的であって技術分野でよく知られており、実例はThomas D. Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,2nd ed.,(1989)Sinauer Associates:Sunderland,MA;またはDeshpande,Mukund V.,Appl.Biochem.Biotechnol.,36:227(1992)にある。
代案としては、生成物の回収のため等量の培養物を除去するのと同時に、合成培地をバイオリアクター内に連続的に添加すると、連続発酵プロセスが起きる。連続培養は、一般に細胞を一定細胞密度の対数増殖期に保つ。連続または半連続培養法は、細胞の成長または最終生成物濃度に影響する1つの因子、またはあらゆる数の因子の調節を可能にする。例えば1つのアプローチでは炭素源を制限して、あらゆるその他のパラメーターが代謝を調節できるようにしてもよい。別のシステムでは、培地濁度によって測定される細胞濃度を一定に保ちながら、成長に影響するいくつかの因子を連続的に変化させてもよい。連続システムは定常状態の成長を維持することを目指すので、細胞成長率は、培養から培地が抜き取られることによる細胞損失に対してバランスが取れていなくてはならない。連続培養プロセスのために栄養素および成長因子を調節する方法、ならびに生成物形成速度を最大化する技術は工業微生物学の技術分野でよく知られており、多様な方法がBrock、前出で詳述される。
好ましい実施態様の説明
オレイン酸(18:1)がω−3/ω−6脂肪酸に転換される代謝過程は、炭素原子の付加を通じた炭素鎖の延長、および二重結合の付加を通じた分子の不飽和化を伴う。これは小胞体膜中に存在する一連の特有な延長および不飽和化酵素を必要とする。しかし図3に示されまた下述するように、特定のω−3/ω−6脂肪酸生成のための複数の代案の経路が存在することが多い。
具体的には、図3は下述の経路を描写する。全ての経路は、オレイン酸がΔ12デサチュラーゼによって、第1のω−6脂肪酸であるリノール酸[「LA」]に最初に転換されることを要する。次に「Δ6デサチュラーゼ/Δ6エロンガーゼ経路」および基質としてLAを使用して、長鎖ω−6脂肪酸が次のように形成される。1)LAがΔ6デサチュラーゼによってγ−リノレン酸[「GLA」]に転換され;2)GLAがC18/20エロンガーゼによってジホモ−γ−リノレン酸[「DGLA」]に転換され;3)DGLAがΔ5デサチュラーゼによってアラキドン酸[「ARA」]に転換され;4)ARAがC20/22エロンガーゼによってドコサテトラエン酸[「DTA」]に転換され;5)DTAがΔ4デサチュラーゼによってドコサペンタエン酸[「DPAn−6」]に転換される。
代案としては、「Δ6デサチュラーゼ/Δ6エロンガーゼ経路」はまた、基質としてα−リノレン酸[「ALA」]を使用して長鎖ω−3脂肪酸を次のように生成し得る。1)LAがΔ15デサチュラーゼによって第1のω−3脂肪酸ALAに転換され;2)ALAがΔ6デサチュラーゼによってステアリドン酸[「STA」]に転換され;3)STAがC18/20エロンガーゼによってエイコサテトラエン酸[「ETA」]に転換され;4)ETAがΔ5デサチュラーゼによってエイコサペンタエン酸[「EPA」]に転換され;5)EPAがC20/22エロンガーゼによってドコサペンタエン酸[「DPA」]に転換され;6)DPAがΔ4デサチュラーゼによってドコサヘキサエン酸[「DHA」]に転換される。ω−6脂肪酸がω−3脂肪酸に転換されていてもよい。例えばETAおよびEPAはΔ17デサチュラーゼ活性によって、それぞれDGLAおよびARAから生成される。
ω−3/ω−6脂肪酸の生合成のための代案の経路は、Δ9エロンガーゼおよびΔ8デサチュラーゼ、すなわち「Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路」を利用する。さらに具体的には、Δ9エロンガーゼによって、LAおよびALAがそれぞれEDAおよびETrAに転換されてもよい。次にΔ8デサチュラーゼは、EDAをDGLAにおよび/またはETrAをETAに転換する。引き続いて下流PUFAが上述のように形成される。
本明細書のトランスジェニック生物は、好ましくは天然で、または遺伝子操作技術を通じてのどちらかでPUFAを生成する能力を有する。多数の微生物が通常の細胞代謝過程において(ω−3/ω−6脂肪酸をはじめとする)PUFAを合成し得て、そのいくつかは商業的に培養し得るが、医薬品、食餌代用物、メディカルフード、栄養補給剤、その他の食品、工業油脂化学またはその他の最終用途で使用するのに所望される含油量と組成を有する油を生成する生物は、わずかまたは皆無である。したがって「デザイナー」脂質および油の生成のために微生物を操作する能力がさらに重要視されるようになっており、脂肪酸含量および組成は遺伝子操作によって注意深く規定される。これに基づいて、宿主は機能性PUFA生合成経路をコードする異種遺伝子を含んでなる可能性が高いが、必ずしも必須ではないことが予期される。
宿主生物が天然では所望のPUFAを生成しない、または所望の脂質プロフィールを有さない場合、当業者は、選択された宿主生物に、PUFA生合成のための適切な酵素をコードする1つ以上の発現カセットを導入するのに必要な考察事項、および技術に精通している。文献において、このような発現カセットを様々な宿主生物に導入するための多数の教示が、当業者に提供される。宿主生物ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)を使用した、次のようないくつかの参考文献が提供される。米国特許第7,238,482号明細書、米国特許第7,465,564号明細書、米国特許第7,550,286号明細書、米国特許第7,588,931号明細書、米国特許出願公開第2006/0115881−A1号明細書、および米国特許出願公開第2009−/0093543−A1号明細書。この一覧は網羅的でなく、制限的と見なすべきではない。
簡単に述べると、宿主細胞中に存在するまたはそれに形質転換される、ω−3/ω−6脂肪酸生合成経路の脂肪酸基質および特定遺伝子次第で、多様なω−3/ω−6PUFA生成物を生じた後に、それらをTAGに転移し得る。したがって所望の脂肪酸生成物の生成は、直接または間接的に起こり得る。直接生成は、脂肪酸基質が、いかなる中間過程も経路中間体もなしに所望の脂肪酸生成物に直接転換される場合に起きる。間接生成は、所望のPUFAを生成する一連の反応が起きるような組み合わせで、PUFA生合成経路をコードする同義遺伝子が使用されてもよい場合に起きる。具体的にはEPAの過剰生成のために、Δ12デサチュラーゼ、Δ6デサチュラーゼ、C18/20エロンガーゼ、Δ5デサチュラーゼ、およびΔ17デサチュラーゼを含んでなる発現カセットで油性酵母を形質転換することが望ましいかもしれない。米国特許第7,238,482号明細書および国際公開第2006/052870号パンフレットを参照されたい。当業者に良く知られているように、PUFA生合成経路の酵素をコードする遺伝子のその他の様々な組み合わせが、油性生物中での発現に有用かもしれない(図3参照)。特定の発現カセット内に含まれる特定の遺伝子は宿主生物、そのPUFAプロフィールおよび/またはデサチュラーゼ/エロンガーゼプロフィール、基質可用性、および所望の最終産物に左右される。
GenBank、特許文献、およびPUFA生成能力を有する生物の実験解析などの公的に入手可能な文献に従って、所望のデサチュラーゼおよび/またはエロンガーゼ活性を有するいくつかの候補遺伝子が同定し得る。有用なデサチュラーゼおよびエロンガーゼ配列は、例えば細菌、藻類、真菌、卵菌類、酵母、植物、動物などからの天然原料から単離されたあらゆる起源に由来してもよく、半合成経路または新規合成によって生成される。これらの候補遺伝子の同定に続いて、デサチュラーゼまたはエロンガーゼ活性を有する特定のポリペプチドを選択する上での検討事項としては、次が挙げられる。1)ポリペプチドの基質特異性;2)ポリペプチドまたはその構成要素が律速酵素であるかどうか;3)デサチュラーゼまたはエロンガーゼが所望のPUFAの合成に必須であるかどうか;4)ポリペプチドに必要な補助因子;5)ポリペプチドの生成後に、それがキナーゼまたはプレニル基転移酵素などによって修飾されるかどうか;および/または6)ポリペプチドがその生成に続いて物理的に適切な細胞内の位置にあるかどうか。
発現されるポリペプチドは、好ましくは宿主細胞中のその位置の生化学的環境に適したパラメーターを有する。米国特許第7,238,482号明細書を参照されたい。特定の各デサチュラーゼおよび/またはエロンガーゼの転換効率を考慮することもまた、有用かもしれない。より具体的には各酵素は、基質を生成物に転換する際、滅多に100%の効率では機能しないので、宿主細胞中に生じる未精製油の最終脂質プロフィールは、典型的に所望のω−3/ω−6脂肪酸、ならびに様々な上流中間PUFAからなる様々なPUFAの混合物である。したがって各酵素の転換効率もまた、所望の脂肪酸の生合成を最適化する際に考慮すべき変数である。
典型的に油性酵母菌細胞中の相当量のPUFAおよびTAGの蓄積は、代謝状態が成長と脂肪合成/貯蔵との間で「平衡状態」でなくてはならないので、二段階プロセスを必要とする(米国特許第7,238,482号明細書参照)。このアプローチでは、発酵の第1段階は細胞集団の生成および蓄積のみを行い、迅速な細胞成長および細胞分割によって特徴づけられる。発酵の第2段階では、培養内の窒素欠乏条件を確立して、高レベルの脂質蓄積を促進することが好ましい。炭素/窒素比は約40を超えることが多く、好ましくは約50を超え、より好ましくは約60を超える。この窒素欠乏の効果は、細胞内のAMPの有効濃度を低下させることにより、ミトコンドリアのNAD−依存イソクエン酸デヒドロゲナーゼ活性を低下させることである。これが起きるとクエン酸が蓄積するので、細胞質中に豊富なアセチル−CoAのプールが形成し、脂肪酸合成の下準備をする。したがってこの相は、細胞分割休止と、それに続く脂肪酸合成および油蓄積によって特徴づけられる。
本明細書に記載される方法および宿主細胞に好ましい増殖培地は、酵母菌窒素ベース(DIFCO Laboratories(Detroit,MI))などの一般的な市販の調製培地である。その他の合成または人工増殖培地もまた使用してもよく、トランスジェニック生物の成長に適する培地は、微生物学または発酵科学で良く知られている。発酵に適したpH範囲は、典型的に約pH4.0〜pH8.0の間であり、pH5.5〜pH7.5が初期成長条件の範囲として好ましい。発酵は好気性または好気性条件下で実施されてもよく、微好気条件が好ましい。
脂質およびPUFAの合成を促進する、Fe+2、Cu+2、Mn+2、Co+2、Zn+2、Mg+2などのいくつかの金属イオンが注目されている(Nakahara,T. et al.,Ind.Appl.Single Cell Oils,D.J.Kyle and R.Colin,eds.pp61−97(1992)。
本発明が具体的に完成することを例証するが、その可能なバリエーションの全てを完全には定義しない、以下の実施例で本発明をさらに説明する。
一般方法
実施例で使用される標準組み換えDNAおよび分子クローニング技術は、技術分野でよく知られており、1)Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory: Cold Spring Harbor,NY(1989)(Maniatis);2)T.J.Silhavy,M.L.Bennan,and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1984);および3)Ausubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,published by Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience,Hoboken,NJ(1987)で述べられている。
微生物培養の維持および成長に適した材料および方法は、技術分野でよく知られている。以下の実施例で使用するのに適した技術は、次で述べられる。Manual of Methods for General Bacteriology(Phillipp Gerhardt,R.G.E.Murray,Ralph N.Costilow,Eugene W.Nester,Willis A.Wood,Noel R.Krieg and G. Briggs Phillips,Eds),American Society for Microbiology:Washington,D.C.(1994));またはThomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,2nd ed.,Sinauer Associates:Sunderland,MA(1989)。微生物細胞の成長および維持のために使用される全ての試薬および材料は、特に断りのない限りAldrich Chemicals(Milwaukee,WI),DIFCO Laboratories(Detroit,MI),New England Biolabs,Inc.(Beverly,MA),GIBCO/BRL(Gaithersburg,MD)、またはSigma Chemical Company(St.Louis,MO)から得た。特に断りのない限り大腸菌(E.coli)株は、典型的に37℃でルリア・ベルターニ(LB)プレート上で成長させた。
一般分子クローニングは、標準法(Sambrook et al.、前出)に従って実施した。DNA配列は、ベクターと挿入断片特異的プライマーとの組み合わせを使用し、染料ターミネーター技術(米国特許第5,366,860号明細書;欧州特許第272,007号明細書)を使用してABI自動配列決定装置上で作成した。Sequencher(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI)内で配列編集を実施した。全ての配列は、双方向に少なくとも2回のカバレッジを表す。本明細書で特に断りのない限り、遺伝子配列比較はDNASTARソフトウェア(DNASTAR Inc.,Madison,WI)を使用して行った。略語の意味は次の通り。「sec」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「d」は日を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「μM」はマイクロモル濃度を意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「U」は単位を意味し、「bp」は塩基対を意味し、「kB」はキロベースを意味する。
発現カセット命名法:
発現カセットの構造は簡易表記体系「X::Y::Z」によって表され、式中Xはプロモーター断片を記載し、Yは遺伝子断片を記載し、Zはターミネーター断片を記載し、これらは全て互いに作動的に連結する。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の形質転換および培養
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362株は、米国微生物系統保存機関(Rockville,MD)から購入した。ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株は、下記の配合に従ったいくつかの培地で28〜30℃で慣例的に成長させた。
高グルコース培地(HGM)(リットル当たり:80のグルコース、2.58gのKH2PO4、および5.36gのK2HPO4、pH7.5(調節不要)。
発酵培地(FM)(per liter):6.70g/Lの酵母窒素ベース、6.00gのKH2PO4、2.00gのK2HPO4、1.50gのMgSO4 *7H2O、20gのグルコース、および5.00gの酵母抽出物(BBL)。
Y.リポリティカ(Y.lipolytica)の形質転換は、参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2009/0093543−A1号明細書に記載されるように実施した。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305U株の単離
Δ9エロンガーゼ/Δ8デサチュラーゼ経路発現を通じて総脂質との比較でEPAを生成するY4305U株は、参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2008/0254191号明細書の一般方法に記載されるようにして作成した。簡単に述べると、図4に略図で示すように、Y4305U株は、Y2224株(野生型ヤロウィア(Yarrowia)ATCC#20362株Ura3遺伝子の自律突然変異からのFOA抵抗性変異体)、Y4001株(Leu−表現型で17%EDA産生)、Y4001U1株(Leu−およびUra−)、Y4036株(Leu−表現型で18%DGLA産生)、Y4036U株(Leu−およびUra−)、Y4070株(Ura−表現型で12%ARAの産生)、Y4086株(14%EPA産生)、Y4086U1株(Ura3−)、Y4128株(37%EPA産生;ATCC PTA−8614の名称で2007年8月23日に米国微生物系統保存機関に寄託)、Y4128U3株(Ura−)、Y4217株(42%EPA産生)、Y4217U2株(Ura−)、Y4259株(46.5%EPA産生)、Y4259U2株(Ura−)、およびY4305株(総TFAに対して53.2%EPA産生)の構築を通じて、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362から誘導される。
Y4305株の完全な脂質プロフィールは、次の通りであった:16:0(2.8%)、16:1(0.7%)、18:0(1.3%)、18:1(4.9%)、18:2(17.6%)、ALA(2.3%)、EDA(3.4%)、DGLA(2.0%)、ARA(0.6%)、ETA(1.7%)、およびEPA(53.2%)。乾燥細胞総脂質重量%[「DCW」]は27.5であった。
野性型ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ATCC#20362と比較したY4305株の最終遺伝子型は、次の通りであった。SCP2−(YALI0E01298g),YALI0C18711g−,Pex10−,YALI0F24167g−,unknown 1−,unknown 3−,unknown 8−,GPD::FmD12::Pex20,YAT1::FmD12::OCT,GPM/FBAIN::FmD12S::OCT,EXP1::FmD12S::Aco,YAT1::FmD12S::Lip2,YAT1::ME3S::Pex16,EXP1::ME3S::Pex20(3copies),GPAT::EgD9e::Lip2,EXP1::EgD9eS::Lip1,FBAINm::EgD9eS::Lip2,FBA::EgD9eS::Pex20,GPD::EgD9eS::Lip2,YAT1::EgD9eS::Lip2,YAT1::E389D9eS::OCT,FBAINm::EgD8M::Pex20,FBAIN::EgD8M::Lip1(2copies),EXP1::EgD8M::Pex16,GPDIN::EgD8M::Lip1,YAT1::EgD8M::Aco,FBAIN::EgD5::Aco,EXP1::EgD5S::Pex20,YAT1::EgD5S::Aco,EXP1::EgD5S::ACO,YAT1::RD5S::OCT,YAT1::PaD17S::Lip1,EXP1::PaD17::Pex16,FBAINm::PaD17::Aco,YAT1::YlCPT1::ACO,GPD::YlCPT1::ACO(ここでFmD12はフザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)Δ12デサチュラーゼ遺伝子[米国特許第7,504,259号明細書];FmD12Sはフザリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)に由来するコドン最適化Δ12デサチュラーゼ遺伝子[米国特許第7,504,259号明細書];ME3Sはモルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)に由来するコドン最適化C16/18エロンガーゼ遺伝子[米国特許第7,470,532号明細書];EgD9eはミドリムシ(Euglena gracilis)Δ9エロンガーゼ遺伝子[国際公開第2007/061742号パンフレット];EgD9eSはミドリムシ(Euglena gracilis)に由来するコドン最適化Δ9エロンガーゼ遺伝子[国際公開第2007/061742号パンフレット];E389D9eSはユートレプチエラ(Eutreptiella)種CCMP389に由来するコドン最適化Δ9エロンガーゼ遺伝子[国際公開第2007/061742号パンフレット];EgD8Mはミドリムシ(Euglena gracilis)に由来する[米国特許第7,256,033号明細書]合成変異Δ8デサチュラーゼ[国際公開第2008/073271号パンフレット];EgD5はミドリムシ(Euglena gracilis)Δ5デサチュラーゼ[米国特許出願公開第2007/0292924号明細書];EgD5Sはミドリムシ(Euglena gracilis)に由来するコドン最適化Δ5デサチュラーゼ遺伝子[米国特許出願公開第2007−/0292924号明細書];RD5Sはペリディニウム(Peridinium)種CCMP626に由来するコドン最適化Δ5デサチュラーゼ[米国特許出願公開第2007/0271632]号明細書;PaD17はピシウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)Δ17デサチュラーゼ[米国特許第7,556,949号明細書];PaD17Sはピシウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)に由来するコドン最適化Δ17デサチュラーゼ[米国特許第7,556,949号明細書];およびYlCPT1はヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)ジアシルグリセロールコリンリン酸転移酵素遺伝子[国際公開第2006/052870号パンフレット]である)。
引き続いて(米国特許出願公開第2008/0254191号明細書の一般方法に記載されるように)Ura3変異遺伝子がY4305株のUra3遺伝子に組み込まれるように、Ura3遺伝子をY4305株中で破壊した。形質転換体の選択およびFAMEの分析に続いて、MM+5−FOAプレート上で成長させると、形質転換体#1、#6、および#7は総脂質の37.6%、37.3%、および36.5%のEPAを生成することが測定された。これらの3つ株をそれぞれY4305U1、Y4305U2、およびY4305U3株と称し、集合的にY4305U株と同定する。
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の脂肪酸分析
脂肪酸分析のために、Bligh,E.G. & Dyer,W.J.(Can.J.Biochem.Physiol.,37:911−917(1959))に記載されるようにして、遠心分離によって細胞を収集し脂質を抽出した。ナトリウムメトキシドを用いた脂質抽出物のエステル交換によって、脂肪酸メチルエステル[「FAME」]を調製し(Roughan,G.,and Nishida I.,Arch Biochem Biophys.,276(1):38−46(1990))、引き続いて30m×0.25mm(内径)HP−INNOWAX(Hewlett−Packard)カラムを装着したHewlett−Packard 6890 GCを用いて分析した。オーブン温度は3.5℃/分で170℃(25分間保持)〜185℃であった。
直接塩基エステル交換のために、ヤロウィア(Yarrowia)培養物(3mL)を収集し、蒸留水で1回洗浄し、Speed−Vac内で真空下で5〜10分間乾燥させた。ナトリウムメトキシド(100μlの1%)をサンプルに添加し、次にサンプルをボルテックスして20分間振盪した。3滴の1M NaClおよび400μl ヘキサンを添加した後、サンプルをボルテックスし遠沈した。上層を取り出して、上述のようにGCによって分析した。
実施例1
公的に入手可能なマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子の同定
遺伝子クラスターはリゾビウム・トリフォリイ(Rhizobium trifolii)中で、マロニル−CoAデカルボキシラーゼ(MatA)、マロニル−CoAシンセターゼ(MatB)、および推定上のジカルボキシレートキャリアタンパク質(MatC)をコードすると定同された(An,J.H, & Y.S.Kim,Eur.J.Biochem.,257:395−402(1998))。
リゾビウム・トリフォリイ(Rhizobium trifolii)マロニル−CoAシンセターゼをコードするタンパク質配列(GenBank登録番号AF117694およびNo.AAC83455;配列番号5)を使用して、国立バイオテクノロジー情報センター[「NCBI」]BLASTP 2.2.19(Basic Local Alignment Search Tool;Altschul,S.F.,et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389−3402(1997);Altschul,S.F.,et al.,FEBS J.,272:5101−5109(2005))検索を実施して、BLAST「nr」データベース(全ての非重複性GenBank CDS翻訳、Protein Data Bank[「PDB」]タンパク質配列データベース、SWISS−PROTタンパク質配列データベース、タンパク質情報資源[「PIR」]タンパク質配列データベース、およびタンパク質Protein Research Foundation[「PRF」]タンパク質配列データベースを含んでなり、全ゲノムショットガン[「WGS」]プロジェクトからの環境サンプルを除外する)中の類似性を有する配列を同定した。
配列番号5がそれに対して最も類似性の高い配列を要約するBLASTP比較の結果は、%同一性、%類似性、および期待値によって報告される。「%同一性」は、2つのタンパク質間で同一のアミノ酸の百分率と定義される。「%類似性」は、2つのタンパク質間で同一のまたは保存されているアミノ酸の百分率と定義される。「期待値」は、絶対的に偶然にこの大きさのデータベース検索で期待される、特定スコアでのマッチ数を特定してマッチの統計学的有意さを推定する。
多数のタンパク質が、リゾビウム・トリフォリイ(Rhizobium trifolii)マロニル−CoAシンセターゼ(GenBank登録番号AAC83455;配列番号5)との顕著な類似性を有すると同定された。表3は、「0.0」に等しい期待値と、タンパク質を「マロニル−CoAシンセターゼ」と具体的に同定するアノテーションとを有するヒットの部分的概要を提供するが、これは本明細書の開示を制限するものではない。表3中のタンパク質は、配列番号5と64%〜94%の同一性を有する。
表3:いくつかの公的に入手可能なマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子
Figure 0005620402
実施例2
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)のためのリゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)のコドン最適化マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子の合成
リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)のマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子のコドン使用頻度を米国特許第7,125,672号明細書に記載されるのと同様の方法で、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中での発現のために最適化した。具体的には、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)(「rMCS」;配列番号1および2、GenBank登録番号YP_766603に相当する)からのマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子のコード配列に基づいて、ヤロウィア(Yarrowia)コドン使用頻度パターン(米国特許第7,125,672号明細書)、「ATG」翻訳開始コドン周辺の共通配列、およびRNA安定性の原則に従って、コドン最適化マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子(「MCS」と称する、配列番号3)をデザインした(Guhaniyogi,G. and J.Brewer,Gene,265(1−2):11−23(2001))。翻訳開始部位の修飾に加えて、1515bpのコード領域の内233bp(停止コドンを含む)を修飾し(15.4%;図1)、219コドンを最適化した(43.4%)。GC含量を野性型遺伝子(すなわちrMCS)中の61.4%から、合成遺伝子(すなわちMCS)中の55.6%に低下させた。ヤロウィア(Yarrowia)は翻訳開始のために「GTG」コドンを使用し得ないので、翻訳開始コドン「ATG」をrMCS遺伝子(配列番号1)の前に付加した。NcoI部位およびNotI部位をそれぞれ翻訳開始コドン周辺と、MCSの停止コドンの後に組み込んだ。コドン最適化MCS遺伝子(配列番号3)は1518bpであり、505個のアミノ酸のペプチドと停止コドンをコードする(配列番号4)。デザインされたdMCS遺伝子はGenScript Corporation(Piscataway,NJ)によって合成され、pUC57(GenBank登録番号Y14837)にクローンしてpMCS(配列番号6)を作成した。
実施例3
合成マロニル−CoAシンセターゼを含んでなる構築物pZP2−MCSの作成
プラスミドpZP2−MCS(図2)を構築して、油性酵母ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)中で、リゾビウム・レグミノサルムbv.ビシアエ3841(Rhizobium leguminosarum bv.viciae 3841)(実施例2)に由来する合成コドン最適化マロニル−CoAシンセターゼ遺伝子の発現を可能にした。pZP2−MCSプラスミドは、以下の表4に列挙する構成要素を含有した。
表4:プラスミドpZP2−MCS(配列番号7)の説明
Figure 0005620402
実施例4
ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305U株中のマロン酸に対するマロニル−CoAシンセターゼ遺伝子発現の効果
プラスミドpZP2−MCSをSphIおよびAscIで消化した。Y.リポリティカ(Y.lipolytica)POX2遺伝子の5’および3’領域で挟まれて、FBAINプロモーター制御下にあるMCS遺伝子と、Y.リポリティカ(Y.lipolytica)URA3遺伝子とを含有する6.4kBの直鎖断片をアガロースゲル電気泳動法によって分離し、Qiagenゲル精製キットを用いて製造業者のプロトコルに従って精製した。精製されたDNA断片を使用して、標準形質転換手順を使用し、Y4305、Y4305UのUra3−株(一般方法)を形質転換した。
3個のUra+形質転換体を脂質含量、脂肪酸プロフィール、およびマロン酸生成について試験し、また対照としてY4305株も同様に分析した。簡単に述べると、125mLフラスコ内の25mLのFM培地中で細胞を48時間成長させた。各培養物(5mL)を遠心分離して、細胞を収集した。各培養物からの細胞を25mLのHGM培地に再懸濁し、さらに5日間30℃、250rpmで成長させた。脂肪酸プロフィールおよび総脂質含量を一般方法に記載されるように測定した。
培養物上清中のマロン酸濃度をイオンクロマトグラフィーによって分析するために、サンプルを次のように調製した。1mLの培養液サンプルを13,000rpmで10分間遠心分離した。上清を収集した。次に上清(0.5mL)をPALL nanosep MF 0.2μm(PALL Corporation,East Hills,NY;カタログ番号P/N ODM02C35)スピンチューブに入れてスピンチューブを微量遠心管に入れ、13,000rpmで15分間遠沈した。次に濾液をナノ純水で希釈して0.001g/L〜0.250g/Lの濃度を得た。分析で使用した分析バイアルは、AgilentTechnologies(PaloAlto,CA)ねじ蓋バイアル(カタログ番号P/N 5182−0715)であった。
マロン酸濃度は、Dionex DX600 System およびThermoFinnigan MSQ質量分光計を用いたイオンクロマトグラフィーによって測定した。Dionex Corporation(Sunnyvale,CA)によって提供されるシステムの詳細は次の通り。IonPac AG11−HC 2×50mmガードカラム、カタログ番号P/N 052963;IonPac AS11−HC 2×250mm分析カラム、カタログ番号P/N 052961;ASRS Ultra−II 2mm自己再生型サプレッサー、カタログ番号P/N 061562;Chromeleon Controlソフトウェア、バージョン6.80。方法は対象の化合物の導電率分析および質量分析の双方のために、2つの検出器を逐次使用した。移動相、すなわちKOHの勾配濃度を実行時間全体に適用して、多様な有機酸を分離した。勾配は典型的に64分間にわたり0.5mM〜60mMのKOHで、全ての有機酸および無機アニオンについて良好なピーク分離および分解能が達成された。導電率検出器は、外部標準から作成した標準較正曲線に基づいて化合物を定量的に判定した。質量分析計は、各化合物を検出および同定するために、そして場合によっては共溶出されて導電率では分離し得ない化合物を定量化するために、総イオン電流[「TIC」]および選択的イオンモニタリング[「SIM」]モードの双方で使用した。
マロン酸は28.49分に溶出した。ピーク面積を既知の量のマロン酸標準のピーク面積と比較することにより定量化を行った(Fluka,Aigma−Aldrich,Switzerland)。
各培養物中のマロン酸濃度に加えて、各株の総脂質(TFA%DCW)、TFAの%としてのEPA、およびDCWの%としてのEPAを下の表5に示す。Y.リポリティカ(Y.lipolytica)Y4305対照株、およびコドン最適化マロニル−CoAシンセターゼを発現するY4305U株の平均脂肪酸組成と平均マロン酸濃度を太字で強調表示する。
さらに具体的には、「総脂肪酸」[「TFA」]という用語は、本明細書では所定のサンプル中において、(当該技術分野で知られているような)塩基エステル交換法によって脂肪酸メチルエステル[「FAME」]に誘導体化し得る細胞性脂肪酸の総和を指し、それは例えば生物由来資源または油であってもよい。したがって総脂肪酸は、(ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、およびTAGをはじめとする)中性脂質画分からの脂肪酸と、(ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミン画分をはじめとする)極性脂質画分からの脂肪酸とを含むが、遊離脂肪酸は含まない。
細胞の「総脂質含量」という用語は乾燥細胞重量[「DCW」]の%としてのTFAの測定値であるが、総脂質含量はDCWの%としてのFAME[「FAME%DCW」]の測定値として近似し得る。したがって総脂質含量[「TFA%DCW」]は、例えば100ミリグラムのDCWの中の総脂肪酸のミリグラムに相当する。
総脂質の脂肪酸濃度は、本明細書では、例えば100ミリグラムのTFAあたりの所定の脂肪酸のミリグラムなど、TFAの重量%[「%TFA」]として表される。本明細書の開示で特に断りのない限り、総脂質との比較での所定の脂肪酸の%への言及は、%TFAとしての脂肪酸濃度に相当する(例えば総脂質の%EPAはEPA%TFAに相当する)。
場合によっては細胞中の所定の脂肪酸の含量は、乾燥細胞重量の重量%[「%DCW」]として表すことが有用である。したがって例えばエイコサペンタエン酸%DCWは、次式に従って判定される:[(エイコサペンタエン酸%TFA)*(TFA%DCW)]/100。しかし乾燥細胞重量の重量%[「%DCW」]としての細胞中の所定の脂肪酸の含量は、次のように近似し得る:[(エイコサペンタエン酸%TFA)*(FAME%DCW)]/100。
表5:形質転換ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)Y4305U株中のマロン酸濃度
Figure 0005620402
表5に示すように、pZP2−MCS形質転換体(Y4305U−MCS−1、Y4305U−MCS−2、およびY4305U−MCS−3と同定される)は全て、Y4305株の複製培養物中のマロン酸レベルとの比較で著しく低レベルのマロン酸を培養物上清中に示した。脂肪酸プロフィールおよび総脂質収率は、対照Y4305細胞と同様である。マロニル−CoAシンセターゼ、すなわち配列番号3の発現は、脂肪酸プロフィールまたは%DCWとしての総脂質収のどちらにも影響を及ぼすことなくマロン酸総量(g/g DCW)を約94%低下させた。
以下に本発明の具体的実施態様を列挙する。
(1)少なくとも1つの制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、少なくとも1つの生成物の発酵に有用なトランスジェニック生物であって、
前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するトランスジェニック生物であり、前記同一の生物は
c)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
d)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、トランスジェニック生物。
(2)藻類、真菌、ユーグレナ属、酵母、細菌、およびストラメノパイルからなる群から選択される、(1)に記載のトランスジェニック生物。
(3)乾燥細胞重量の少なくとも約25%の量の油を蓄積する、(2)に記載のトランスジェニック生物。
(4)ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)からなる群から選択される油性酵母である、(3)に記載のトランスジェニック生物。
(5)少なくとも1つの制御配列が強力なプロモーターを含んでなる、(1)に記載のトランスジェニック生物。
(6)マロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子がマルチコピーである、(1)または(5)に記載のトランスジェニック生物。
(7)マロニル−CoAシンセターゼポリペプチドをコードする少なくとも1つの配列が、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、(1)に記載のトランスジェニック生物。
(8)マロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの配列が、配列番号1および配列番号3からなる群から選択される、(7)に記載のトランスジェニック生物。
(9)少なくとも1つの生成物の力価が、(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一生物によって生成される少なくとも1つの生成物の力価と比較して低下していないトランスジェニック生物であり、前記同一生物は
a)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
b)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、
(1)に記載のトランスジェニック生物。
(10)少なくとも1つの遺伝的変異をさらに含んでなる、(1)に記載のトランスジェニック生物。
(11)少なくとも1つの遺伝的変異が、少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質の欠損である、(10)に記載のトランスジェニック生物。
(12)a)適切な制御配列の制御下にある少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、少なくとも1つの生成物の発酵に有用なトランスジェニック生物を提供するステップと、
b)前記トランスジェニック生物と(トランスジェニックか非トランスジェニックかにかかわらず)同一の生物が生成するマロン酸量と比較して低下した量のマロン酸を発酵副産物として生成するように、前記トランスジェニック生物を成長させてマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子を発現させるステップ
を含んでなるが、ただし前記同一の生物は
(i)マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含まない、または
(ii)発現されないマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子を含んでなる、
トランスジェニック生物中のマロン酸含量を操作する方法。
(13)マロニル−CoAシンセターゼポリペプチドをコードする前記少なくとも1つの遺伝子が、配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、および配列番号22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、(12)に記載の方法。
(14)少なくとも1つのマロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子が、配列番号1および配列番号3からなる群から選択される、(13)に記載の方法。
(15)トランスジェニック生物が、ヤロウィア(Yarrowia)、カンジダ(Candida)、ロドトルラ(Rhodotorula)、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、トリコスポロン(Trichosporon)、およびリポマイセス(Lipomyces)からなる群から選択される、(13)に記載の方法。
(16)d)少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質の欠損である少なくとも1つの遺伝的変異、および
e)少なくとも1つの制御配列の制御下のマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子、および
f)機能性多価不飽和脂肪酸生合成経路をコードする遺伝子
を含んでなる、トランスジェニックヤロウィア(Yarrowia)種宿主細胞。

Claims (5)

  1. d)少なくとも1つの天然ペルオキシソーム形成因子タンパク質の欠損である少なくとも1つの遺伝的変異、および
    e)少なくとも1つの制御配列の制御下のマロニル−CoAシンセターゼをコードする少なくとも1つの遺伝子、および
    f)機能性多価不飽和脂肪酸生合成経路をコードする遺伝子
    を含んでなる、トランスジェニックヤロウィア(Yarrowia)種宿主細胞。
  2. 乾燥細胞質量の少なくとも25%の量の油として蓄積する、請求項1記載の宿主細胞。
  3. マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子がマルチコピーである、請求項1または2記載の宿主細胞。
  4. マロニル−CoAシンセターゼが配列番号2、配列番号4、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、または配列番号22のアミノ酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の宿主細胞。
  5. マロニル−CoAシンセターゼをコードする遺伝子が配列番号3のヌクレオチド配列を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の宿主細胞。
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