JP5620304B2 - 太陽光発電システム、及び、当該システムを構成する電力変換装置 - Google Patents

太陽光発電システム、及び、当該システムを構成する電力変換装置 Download PDF

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Description

本発明は、系統連系型のシステムであって、負荷による消費電力を太陽光発電装置による発電電力及び系統からの受電電力で賄う太陽光発電システムに関する。
太陽光は石油等の化石燃料に依存しない無限のエネルギーであり、この太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池を利用した太陽光発電システムは、地球温暖化防止対策の一つとして普及・拡大が期待されている。また、エネルギーセキュリティー上からもエネルギー源として重要である。
太陽光発電システムで用いられる太陽電池の最小単位である太陽電池セルは、それ単体では出力が小さいため、通常は、出力電圧を上げるために直列接続して太陽電池モジュールを構成したり、さらに出力電圧を上げるために太陽電池モジュールを直列接続して太陽電池ストリングを構成したり、出力電力を上げるために太陽電池モジュール又は太陽電池ストリングを並列接続して太陽電池アレイを構成する。
そして、一般によく知られている太陽光発電システムでは、これら太陽電池モジュール、太陽電池ストリング、又は太陽電池アレイから出力される直流の発電電力を、パワーコンディショナにて交流電力に変換して、負荷に供給したり交流系統に連系したりしている。このとき、太陽光発電システムによる発電電力が負荷よりも小さい場合には交流系統からの受電が行われる。一方、太陽光発電システムによる発電電力が負荷よりも大きくなると、余剰分の発電電力が系統へ逆流させられる、いわゆる「逆潮流」が発生する。
ところで、太陽電池ユニットの一般的な電圧−発電出力(電力)特性(以下単に「発電特性」という)を、図6(a)に示す。ここに示すように、太陽電池ユニットの発電出力は、太陽電池ユニットの出力電圧の上昇に伴って増加していき、ある電圧(最大出力電圧Vm)で発電出力が最大値(最大電力Pm)となり、そこから更に出力電圧が上昇すると発電電力は低下していく。
このような発電特性は、太陽電池の発電特性として周知であるが、太陽電池ユニットを構成する太陽電池モジュールの種類(延いては太陽電池セルの種類)によって異なったり、また、同一種類の太陽電池ユニットであっても日射量、周囲温度、更には影の影響などによって変化したりする。
そこで、太陽電池ユニットから発電電力を有効に取り出すために、パワーコンディショナでは、通常、最大電力点追従制御(MPPT制御;Maximum Power Point Tracking制御)が行われる。MPPT制御とは、パワーコンディショナに接続された太陽電池ユニットのトータルの発電電力(動作点)が、その発電特性における発電電力が最大となる最大電力点(図6(a)における、発電出力がPmとなる点)に追従するように制御するものである。このようなMPPT制御機能を備えたパワーコンディショナは、従来、一般によく知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−176474号公報
ところで、上述した「逆潮流」が不可とされる場合がある。例えば、「逆潮流」では電力会社が発電電力を買い上げることになり「売電」が行われることになるが、太陽光発電システムが益々普及するに連れ、「売電」が制限されることがあり得る。逆潮流を不可とする制約がある場合、逆潮流が発生すると、即座に遮断機によってシステム全体が遮断され、負荷への電力供給もできなくなる。この場合、手動による復帰を余儀なくされ、結果として、太陽光発電システムの有効利用が阻害される事態が生じる。
例えば図7(a)に示すように、負荷100が100kWであって太陽光発電システム200の発電電力が80kWである場合、系統から20kWの電力が供給される。このとき、図7(b)に示すように、負荷100が70kWに減ると、太陽光発電システム200の発電電力80kWが負荷を上回るため、余剰分の10kWが系統へ逆流する「逆潮流」が生じる。ここで特に「逆潮流」が不可となっている場合、図7(c)に示すように、遮断機300によってシステム全体が遮断される。結果として、80kWの発電が可能であるにもかかわらず、その恩恵を受けることができず、負荷100への電力も供給されなくなる。
また、別の手法として、逆潮流を不可とする制約がある場合、系統からの受電電力を基準に太陽光発電システムを停止させる手法がある。この場合も、太陽光発電システムの有効利用が阻害される事態が生じる。
例えば図8(a)に示すように、負荷100が100kWであって太陽光発電システム200の発電電力が80kWである場合、系統から20kWの電力が供給される。ここで受電電力の閾値が10kWに設定されているものとする。このとき、図8(b)に示すように、負荷100が85kWに減ると、受電電力が5kWとなり受電電力の閾値10kWを下回るため、「逆潮流」の防止を目的として開放指示が送出される。これにより、図8(c)に示すように、遮断機400(あるいは、PCS)によって太陽光発電システム200の発電電力が遮断される。結果として、80kWの発電が可能であるにもかかわらず、その恩恵を受けることができず、系統より85kWを受電することになってしまう。
さらにまた、別の手法として、逆潮流を不可とする制約がある場合、予め太陽光発電システムの運転スケジュールを決めておき、太陽光発電システムを停止させておく手法もある。この場合も、太陽光発電システムの有効利用が阻害される事態が生じる。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、その目的は、逆潮流の発生を防止することができ、逆潮流を不可とする制約がある場合にも有効利用することが可能な太陽光発電システムを提供することにある。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の太陽光発電システムは、系統連系型のシステムであって、負荷による消費電力を、発電電力及び系統からの受電電力で賄うものであり、太陽電池と電力変換装置とを備える。
太陽電池は、太陽光を受光することにより直流の電力を発電する。太陽電池は、複数の太陽電池セルが直列接続されてなる太陽電池モジュール、複数の太陽電池モジュールが直列接続されてなる太陽電池ストリング、又は、複数の太陽電池モジュール若しくは複数の太陽電池ストリングが並列接続されてなる太陽電池アレイで構成することが例示される。ただし、これらの他にも、太陽光受光により発電可能なあらゆる形態のものを含む。
電力変換装置は、直流の発電電力を交流電力に変換するものであり、パワーコンディショナとも呼ばれる。この電力変換装置は、制御部を有しており、この制御部により、太陽電池の発電特性に基づく最大電力点追従制御が実行されることで発電電力が制御される。発電特性については、図6(a)を用いて既に述べた通りである。
このシステムでは、負荷による消費電力を太陽電池からの発電電力と系統からの受電電力とで賄うため、太陽電池からの発電電力が増加したり、負荷による消費電力が減少したりすると、系統からの受電電力は減少する。
ここで特に本発明では、最大電力点追従制御において、逆潮回避のためのリミット電力が設定されており、当該リミット電力以下となるよう発電電力が制御される。つまり、従来は発電電力を最大値とするような制御が行われるのが一般的であるが、本発明では、リミット電力以下となるように発電電力を積極的に制御するのである。このようにすれば、リミット電力を適切に設定することで、太陽電池の発電電力を抑え、余剰分の電力が発生することを抑えることができる。その結果、逆潮流の発生を防止することができ、逆潮流を不可とする制約がある場合にもシステムを有効利用することができる。
ところで、逆潮を生じさせる発電電力の余剰分は、刻一刻と変化する。そこで、制御部は、系統からの受電電力が所定の下方閾値を下回ると、リミット電力を減少させて設定しなおすリミット電力下方修正制御を実行する構成が例示される。この場合、受電電力の低下によって逆潮が発生する可能性が高くなったことを下方閾値との比較で判断し、リミット電力を減少させる。このようにすれば、受電電力の低下に合わせて適切に発電電力を抑えることができ、逆潮流の発生を確実に防止することができる。
このとき、リミット電力下方修正制御において、予め設定された減少分を用いて、リミット電力を算出することが考えられる。このようにすれば、比較的簡単にリミット電力を算出することができる。ただし、受電電力を上述の下方閾値以上に保持する目的の下では、系統からの受電電力と下方閾値との差分に基づく減少分を用いて、リミット電力を算出することが好ましい。このようにすれば、リミット電力がより適切なものとなる。
また、システムの有効利用という観点からは、請求項に示すように、電力点追従制御では、リミット電力以下の範囲で発電電力が最大値となるよう発電電力が制御されることが好ましい。つまり、逆潮流の発生を防止できる範囲で発電電力を最大値とするのである。このようにすれば、発電電力を有効に取り出すことができ、システムの有効利用に寄与する。
一方、逆潮が生じないような状況では、発電電力をなるべく大きくすることが好ましい。そこで、請求項に示すように、制御部は、系統からの受電電力が上方閾値を上回ると、リミット電力を増加させて設定しなおすリミット電力上方修正制御を実行する構成が例示される。ここで上方閾値は、上述した下方閾値以上に設定される。ただし、上方閾値と下方閾値とが等しい場合には、ハンチングなどの問題が生じるため、上方閾値は下方閾値を上回るものとすることが望ましい。このようにすれば、逆潮流発生の可能性が小さくなった場合、リミット電力上方修正制御によってリミット電力が増加させられるため、発電電力を大きくすることができ、システムの有効利用に寄与する。
このとき、請求項に示すように、リミット電力上方修正制御において、予め設定された増加分を用いて、リミット電力を算出することが考えられる。このようにすれば、比較的簡単にリミット電力を算出することができる。ただし、受電電力を上述の下方閾値以上に保持するという目的の下では、請求項に示すように、系統からの受電電力と下方閾値との差分に基づく増加分を用いて、リミット電力を算出することが好ましい。このようにすれば、リミット電力がより適切なものとなる。
また、請求項に示すように、系統からの受電電力が下方閾値以上で且つ上方閾値以下である場合、リミット電力を維持するリミット電力維持制御を実行することが考えられる。このようにすれば、発電電力が安定する可能性が高くなり、これに伴って受電電力も安定する可能性が高くなるため、適切な制御が実現される。
ところで、逆潮を回避するという観点からは、請求項に示すように、リミット電力の減少分を、リミット電力の増加分に比べ、大きく設定することが好ましい。つまり、発電電力を減少させる側の制御は迅速に行い、発電電力を増加させる側の制御は緩慢に行うのである。このようにすれば、逆潮流の発生を防止するという効果が際だつ。
なお、ここまで太陽光発電システムの発明として説明してきたが、請求項11に示すような太陽光発電システムを構成する電力変換装置の発明として実現することもできる。
太陽光発電システムの概略構成を示すブロック図である。 リミット電力演算処理を示すフローチャートである。 リミット電力の算出根拠を示す説明図である。 MPPT制御処理の前半部分を示すフローチャートである。 MPPT制御処理の後半部分を示すフローチャートである。 (a)は太陽電池ユニットの発電特性を示す説明図であり、(b)はリミット電力を用いたMPPT制御を示す説明図である。 従来の逆潮流回避の手法を示す説明図である。 従来の逆潮流回避の手法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、太陽光発電システム1の概略構成を示すブロック図である。
太陽光発電システム1は、電力を消費する構成である負荷30に接続されると共に、系統連系システムとして系統に連系されている。系統への連系部分には、系統からの受電電力を計測するための受電計測部40が設けられている。
また、太陽光発電システム1は、太陽電池ユニット10、及び、パワーコンディショナ(以下「PCS」という)20を備えている。
太陽電池ユニット10は、太陽光が照射されることで発電を行い、複数の太陽電池セルが直列接続されてなる太陽電池モジュール、複数の太陽電池モジュールが直列接続されてなる太陽電池ストリング、又は、複数の太陽電池モジュール若しくは複数の太陽電池ストリングが並列接続されてなる太陽電池アレイで構成されている。
PCS20は、太陽電池ユニット10からの発電電力(直流電力)を交流電力に変換して出力する。PCS20は、DC/DCコンバータ21、インバータ22、及び、発電計測部23を有している。DC/DCコンバータ21は、太陽電池ユニット10からの入力される直流の入力電圧をその入力電圧よりも高い所定の直流電圧に昇圧する。また、インバータ22は、DC/DCコンバータ21にて昇圧された直流電圧を交流電圧に変換する。このインバータ22にて出力される発電電力(交流電圧、交流電流)を計測するのが、発電計測部23である。
ここでDC/DCコンバータ21は、制御部21aを有しており、この制御部21aによって、MPPT制御処理が実行される。MPPT制御では、基本的に、太陽電池ユニット10からの発電電力を有効に取り出すために、入力される電圧を変動させながら、太陽電池ユニット10の発電電力を制御する。なお、制御部21aには、受電計測部40にて計測される受電点の電圧と電流とが入力される。また、発電計測部23にて計測される発電電力が入力される。
本実施形態におけるMPPT制御処理では、「逆潮流」を発生させない範囲で発電電力が最大となるように制御する。この「逆潮流」を発生させない範囲が、リミット電力として設定される。
そこで次に、リミット電力演算処理を説明する。図2は、リミット電力演算処理を示すフローチャートである。
最初のS100では、受電電力Pr及び発電電力Ppvを計測する。この処理は、受電計測部40からの信号及び発電計測部23からの信号に基づくものである。
次のS110では、受電電力Prが閾値αを下回っているか否かを判断する。閾値αは、逆潮が生じる(受電電力Pr<0となる)可能性が大きくなったことを判断するため、受電電力Prの閾値として設定されるものである。ここでPr<αである場合(S110:YES)、S120へ移行する。一方、Pr≧αである場合(S110:NO)、S130へ移行する。
S120では、リミット電力Plimitを下げる。この処理は、後述するMPPT制御における発電電力Ppvの上限を下げることを意味する。つまり、MPPT制御では、後述するように発電電力Ppvをリミット電力Plimit以下に抑えるのであるが、逆潮回避のために、このリミット電力Plimitを下げるのである。
S130では、受電電力Prが閾値βを上回っているか否かを判断する。閾値βは、逆潮が生じる可能性が小さくなったことを判断するため、受電電力Prの閾値(β>α)として設定されるものである。ここでPr>βである場合(S130:YES)、S140へ移行する。一方、Pr≦βである場合(S130:NO)、S140〜S160の処理を実行せず、S170へ移行する。
S140では、リミット電力Plimitを上げる。この処理は、後述するMPPT制御における発電電力の上限を上げることを意味する。つまり、MPPT制御では、後述するように発電電力Ppvをリミット電力Plimit以下に抑えるのであるが、逆潮回避の必要性が小さくなると、電力の有効に取り出すため、このリミット電力Plimitを上げるのである。
続くS150では、リミット電力Plimitが上限値Pmaxを越えたか否かを判断する。上限値Pmaxは、予め設定されるものである。ここで上限値Pmaxを越えたと判断された場合(S150:YES)、リミット電力Plimitに上限値Pmaxを設定する。一方、上限値Pmax以下である場合(S150:NO)、S160の処理を実行せず、S170へ移行する。つまり、リミット電力Plimitは、受電電力との関係で増加し続けることが考えられる(S130,S140)。そこで適当な上限値Pmaxを設定しておくことにより、リミット電力Plimitを上限値Pmax以下にするのである。
S170では、リミット電力Plimitを記憶する。この処理は、MPPT制御に際しリミット電力Plimitを利用可能なように、リミット電力Plimitを記憶しておくものである。
ここで、S120及びS140に示したPlimitの算出について説明する。
図3は、受電電力Prの推移と閾値α,βとの関係を示す説明図である。本実施形態では、逆潮回避のため受電電力Prが閾値αを下回らないようにすることが目的である。したがって、記号Aで示す時点では、記号aで示す発電量(α−Pr)だけ発電電力を減らすことが必要となる。つまり、発電電力Ppvが負荷Plとの関係で大きくなった分だけ受電電力Prが減少するため、受電電力Prが閾値αを下回った分(α−Pr)だけ発電電力Ppvを減らすことが必要となる。一方、記号Bで示す時点では、記号bで示す発電量(Pr−α)だけ発電電力を増やすことが許容される。
したがって、一例として、次の式1及び式2でPlimitを算出することが考えられる。

Plimit = Ppv−a(α−Pr) ・・・式1

Plimit = Ppv+b(Pr−α) ・・・式2

ここで、係数aは、リミット電力Plimitの減少度合いを決める係数である。同様に、係数bは、リミット電力Plimitの増加度合いを決める係数である。本実施形態では、係数aは1よりも大きな数値(例えば1.2)として、係数bは、1よりも小さな数値(例えば0.8)として設定されているものとする。なお、図2中のS100で計測される発電電力Ppvは、このリミット電力Plimitの算出に用いられる。
次に、MPPT制御処理を説明する。図4及び図5は、MPPT制御処理を示すフローチャートである。このMPPT制御処理は、DC/DCコンバータ21の制御部21aにて繰り返し実行される。なお、このMPPT制御は、一般的な山登り法を改良したものである。図4は電圧VDCを減少させた場合の発電電力Pnの変化を見るものであり、図6(a)に示す発電特性において、右側から最大電力点を探す場合に該当する。図5は電圧VDCを増加させた場合の発電電力Pnの変化を見るものであり、図6(a)に示す発電特性において、左側から最大電力点を探す場合に該当する。
最初のS200において、電圧を変動させる。この処理は、太陽電池ユニット10からの出力電圧VDCから所定分ΔVDCを減じるものである。
続くS210では、電圧VDCを変動させたときの発電電力Pnを求める。発電電力Pnは、太陽電池ユニット10からの出力電圧VDCと出力電流IDCを掛け合わせることで得られる。
次のS220では、リミット電力Plimitを読み込む。このリミット電力Plimitは、図2中のS170で記憶されるものである。
続くS230では、発電電力Pnがリミット電力Plimitを上回っているか否かを判断する。ここでPn>Plimitである場合(S230:YES)、S240にて出力電圧VDCに所定分ΔVDCを加え、その後、S210からの処理を繰り返す。一方、Pn≦Plimitである場合(S230:NO)、S250へ移行する。
S250では、今回の発電電力Pnが前回の発電電力Pn−1よりも大きいか否かを判断する。ここでPn>Pn−1である場合(S250:YES)、S200からの処理を繰り返す。一方、Pn≦Pn−1である場合(S250:NO)、S260にて今回の発電電力PnをPn−1として記憶し、図5中のS270へ移行する。
図5中のS270では、電圧を変動させる。この処理は、太陽電池ユニット10からの出力電圧VDCに所定分ΔVDCを加えるものである。
続くS280では、電圧VDCを変動させたときの発電電力Pnを求める。発電電力Pnは、太陽電池ユニット10からの出力電圧VDCと出力電流IDCを掛け合わせることで得られる。
次のS290では、リミット電力Plimitを読み込む。このリミット電力Plimitは、図2中のS170で記憶されるものである。
続くS300では、発電電力Pnがリミット電力Plimitを上回っているか否かを判断する。ここでPn>Plimitである場合(S300:YES)、S310にて出力電圧VDCから所定分ΔVDCを減じ、その後、S280からの処理を繰り返す。一方、Pn≦Plimitである場合(S300:NO)、S320へ移行する。
S320では、今回の発電電力Pnが前回の発電電力Pn−1よりも大きいか否かを判断する。ここでPn>Pn−1である場合(S320:YES)、S270からの処理を繰り返す。一方、Pn≦Pn−1である場合(S320:NO)、S330にて今回の発電電力PnをPn−1として記憶し、MPPT制御処理を終了する。
ここで、MPPT制御処理に対する理解を容易にするため、図6(b)を用いた説明を加える。
MPPT制御処理では、電圧VDCから所定分ΔVDCを減じ(図4中のS200)、発電電力Pnを求める(S210)。これは、図6(b)に示すP−Vカーブを、記号Hで示すように、向かって右側から登っていくことに相当する。このとき、通常のMPPT制御であれば最大電力点まで制御していくのであるが、本実施形態では、リミット電力Plimitを読み込み(S220)、発電電力Pnがリミット電力Plimitを上回っている場合(S230:YES)、電圧VDCに所定分ΔVDCを加える(S240)。これにより、図6(b)に示すリミット電力Plimit以下に発電電力Pnが抑えられる。そして、リミット電力Plimitを越えない範囲で最大の発電電力に制御される(S250)。なお、図5中のS270からの処理は、図6(b)に示すP−Vカーブを向かって左側から登る処理に相当する。
次に、本実施形態の太陽光発電システム1の発揮する効果を説明する。
本実施形態では、受電電力Prが閾値αを下回っている場合(図2中のS110:YES)、リミット電力Plimitを下げ(S120)、リミット電力Plimitを記憶する(S170)。また、受電電力Prが閾値α以上で且つ閾値β以下である場合(S130:NO)、リミット電力Plimitは、そのまま維持される(S170)。さらにまた、受電電力Prが閾値βを上回っている場合(S130:YES)、リミット電力Plimitを上げ、リミット電力Plimitを記憶する(S170)。そして、MPPT制御においては、電圧を変動させ(図4中のS200,図5中のS270)、電圧を変動させたときの発電電力Pnを求める(S210,S280)。このとき、今回算出した発電電力Pnが前回算出された発電電力Pn−1を越えている場合(S250:YES,S320:YES)、さらに同方向へ電圧を変動させ(S200,S270)、最大電力点を求める。ここで特に、本実施形態のMPPT制御では、リミット電力Plimitを読み込み(S220,S290)、発電電力Pnがリミット電力Plimitを越えている場合には(S230:YES,S300:YES)、反対方向へ電圧を変動させる(S240,S310)。
つまり、従来は発電電力Ppvを最大値とするような制御が行われるのが一般的であるが、本実施形態では、発電電力Ppvがリミット電力Plimit以下となるように発電電力Ppvを積極的に制御するのである。これにより、発電電力Ppvを抑え、余剰分の電力が発生することを抑えることができる。その結果、逆潮流の発生を防止することができ、逆潮流を不可とする制約がある場合にもシステムを有効利用することができる。
また、本実施形態では、今回算出した発電電力Pnが前回算出された発電電力Pn−1を越えている場合は(図4中のS250:YES,図5中のS320:YES)さらに同方向へ電圧を変動させるため(S200,S270)、リミット電力Plimit以下の範囲で発電電力Ppvが最大値となる。これにより、発電電力Ppvを有効に取り出すことができ、システムの有効利用に寄与する。
さらにまた、本実施形態では、受電電力Prが閾値αを下回っている場合(図2中のS110:YES)、リミット電力Plimitを減少させて設定しなおす(S120)。すなわち、受電電力Prの低下によって逆潮が発生する可能性が高くなったことを閾値αとの比較で判断し、リミット電力Plimitを減少させる。これにより、受電電力Prの低下に合わせて適切に発電電力Ppvを抑えることができ、逆潮流の発生を確実に防止することができる。
このとき、リミット電力Plimitは、次の式1で算出することができる。これは、図3に示したように、受電電力Prが閾値αを下回った分(α−Pr)だけ発電電力Ppvを減らすことが必要となるためである。

Plimit = Ppv−a(α−Pr) ・・・式1

これにより、リミット電力Plimitがより適切なものとなる。
一方、本実施形態では、受電電力Prが閾値β(>α)を上回っている場合(図2中のS130:YES)、リミット電力Plimitを増加させて設定しなおす(S140)。すなわち、受電電力Prの増加によって逆潮が発生する可能性が低くなったことを閾値βとの比較で判断し、リミット電力Plimitを増加させる。これにより、逆潮流発生の可能性が小さくなった場合、リミット電力Plimitが増加させられるため、発電電力Ppvを大きくすることができ、システムの有効利用に寄与する。
このとき、リミット電力Plimitは、次の式2で算出することができる。これは図3に示したように、受電電力Prが閾値αを上回った分(Pr−α)だけ発電電力Ppvを増やすことが許容されるためである。

Plimit = Ppv+b(Pr−α) ・・・式2

これにより、リミット電力Plimitがより適切なものとなる。
また、受電電力Prが閾値α以上で且つ閾値β以下である場合(S130:NO)、リミット電力Plimitは、そのまま維持される(S170)。これにより、発電電力Ppvが安定する可能性が高くなり、これに伴って受電電力Prも安定する可能性が高くなるため、適切な制御が実現される。
上記式1及び式2に用いられる係数a,bについて言えば、係数aは1よりも大きな数値(例えば1.2)として、係数bは、1よりも小さな数値(例えば0.8)として設定されている。つまり、発電電力Ppvを減少させる側の制御は迅速に行い、発電電力Ppvを増加させる側の制御は緩慢に行うのである。これにより、逆潮流の発生を防止するという効果が際だつ。
以上、本実施形態における太陽光発電システム1が「太陽光発電システム」を構成し、太陽電池ユニット10が「太陽電池」を構成し、PCS20が「電力変換装置」を構成し、DC/DCコンバータ21の制御部21aが「制御部」を構成し、負荷30が「負荷」を構成する。
また、閾値αが「下方閾値」に相当し、閾値βが「上方閾値」に相当する。
さらにまた、図4及び図5に示したMPPT制御処理が「最大電力点追従制御」に相当し、図2中のS100、S110、120及びS170の処理が「リミット電力下方修正制御」に相当し、S100、S110、及びS130〜S170の処理が「リミット電力上方修正制御」及び「リミット電力維持制御」に相当する。
以上、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施できる。
例えば上記実施形態では、リミット電力Plimitを、式1及び式2に示したように、受電電力Prと閾値αとの差分に基づく減少分を考慮して演算していた(図2中のS120,S140)。これに対し、予め定められた減少分を用いてリミット電力Plimitを演算するようにしてもよい。次の式3及び式4に示すごとくである。

Plimit = Ppv − x ・・・式3

Plimit = Ppv + y ・・・式4

このようにすれば、比較的簡単にリミット電力を演算することができるという点で有利である。
1:太陽光発電システム
10:太陽電池ユニット
20:パワーコンディショナ(PCS)
21:DC/DCコンバータ
21a:制御部
22:インバータ
23:発電計測部
30:負荷
40:受電計測部

Claims (9)

  1. 負荷による消費電力を、発電電力及び、系統からの受電電力で賄う系統連系型の太陽光発電システムであって、
    太陽光を受光することにより直流の電力を発電する太陽電池と、
    前記太陽電池の発電特性に基づく最大電力点追従制御を実行することで前記発電電力を制御する制御部を有し、直流の発電電力を交流電力に変換する電力変換装置と、を備え、
    前記最大電力点追従制御において、逆潮回避のためのリミット電力が設定されており、当該リミット電力以下となるよう前記発電電力が制御され、
    前記制御部は、前記系統からの受電電力が下方閾値を下回ると、予め設定された減少分を用いて、前記リミット電力を減少させて設定しなおすリミット電力下方修正制御を実行すること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  2. 負荷による消費電力を、発電電力及び、系統からの受電電力で賄う系統連系型の太陽光発電システムであって、
    太陽光を受光することにより直流の電力を発電する太陽電池と、
    前記太陽電池の発電特性に基づく最大電力点追従制御を実行することで前記発電電力を制御する制御部を有し、直流の発電電力を交流電力に変換する電力変換装置と、を備え、
    前記最大電力点追従制御において、逆潮回避のためのリミット電力が設定されており、当該リミット電力以下となるよう前記発電電力が制御され、
    前記制御部は、前記系統からの受電電力が下方閾値を下回ると、前記系統からの受電電力と前記下方閾値との差分に基づく減少分を用いて、前記リミット電力を減少させて設定しなおすリミット電力下方修正制御を実行すること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  3. 請求項1または2に記載の太陽光発電システムにおいて、
    前記電力点追従制御では、前記リミット電力以下の範囲で前記発電電力が最大値となるよう前記発電電力が制御されること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の太陽光発電システムにおいて、
    前記制御部は、前記系統からの受電電力が前記下方閾値以上に設定される上方閾値を上回ると、前記リミット電力を増加させて設定しなおすリミット電力上方修正制御を実行すること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  5. 請求項に記載の太陽光発電システムにおいて、
    前記リミット電力上方修正制御では、予め設定された増加分を用いて、前記リミット電力が算出されること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  6. 請求項に記載の太陽光発電システムにおいて、
    前記リミット電力上方修正制御では、前記系統からの受電電力と前記下方閾値との差分に基づく増加分を用いて、前記リミット電力が算出されること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  7. 請求項4〜6の何れか一項に記載の太陽光発電システムにおいて、
    前記制御部は、前記系統からの受電電力が前記下方閾値以上で且つ前記上方閾値以下である場合、前記リミット電力を維持するリミット電力維持制御を実行すること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  8. 請求項4〜7の何れか一項に記載の太陽光発電システムにおいて、
    前記リミット電力の減少分が、前記リミット電力の増加分に比べ、大きく設定されていること
    を特徴とする太陽光発電システム。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の太陽光発電システムを構成する電力変換装置。
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