JP5619960B1 - 印刷装置の空調システム - Google Patents

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Abstract

【課題】室内環境を悪化させることなく、印刷装置内部における結露の発生を確実に防止すると共に、電動機盤の耐久性の向上を図る。【解決手段】本発明は、被印刷物に印刷する印刷装置本体13,14,15,16と印刷装置本体13,14,15,16に近接配置される電動機盤36,37,38,39とを備えた印刷装置10の空調システム50であって、電動機盤36,37,38,39から排出された熱排気を印刷装置本体13,14,15,16の内部へ供給することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷装置で被印刷物を印刷する際に装置内部で結露が発生するのを防止するための空調システムに関する。
一般に、被印刷物にオフセット印刷する際に用いられる印刷装置として、輪転機が知られている。従来の輪転機は、通常、被印刷物に印刷する印刷装置本体と該印刷装置本体を駆動させるための電動機盤とを備えており、版胴の外周面に設けられる刷版の湿し水が付着された非画線部へのインキの付着を防止すると共に湿し水が付着されていない画線部にインキを付着させ、このインキをブランケット胴に転写することで、被印刷物に印刷を行うように構成されている。
この種の従来の印刷装置では、印刷している間、刷版から蒸発した湿し水によって印刷装置内の相対湿度が上昇し、フィンガーガードやブランケットウォッシャー等の金属製部材で多湿な空気が冷却されて結露を発生し易い。そして、この結露水が前記版胴やブランケット胴の外周面に滴下した場合には、印刷工程に悪影響を与え、損紙が発生し生産性が下がる虞がある。
そこで、従来、印刷装置内でこのような結露が発生するのを防止するため、印刷装置の外部に送風機を配置し、この送風機からの空気を配管によって印刷装置の内部に吹き付けたりすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2007−130840号公報
しかしながら、上記した特許文献1に記載された従来の印刷装置では、外部の空気をそのまま装置内部に導いて吹き付けているため、外部の空気の温湿度によっては、印刷装置内部における結露の発生を十分に防止することができないといった問題がある。
また、配管から吹き付けられた空気が印刷装置内部において拡散してしまい、印刷装置内部で水蒸気や粉塵を含んだ多湿で汚染された空気を効率良く外部に排出することが難しいといった問題や、この多湿で汚染された空気が印刷装置の周辺に排出、拡散されることで、印刷装置を設置している室内の環境を悪化させるといった問題もある。
さらに、印刷装置の電動機盤から排出された熱排気をそのまま室内に排出する場合には、室温が上昇して室内環境を悪化させるといった問題がある。また、その熱排気を専用のファン等で屋外へ排出する場合には、その排気量に相当する新鮮外気を室温に調整するために冷却又は加熱する設備を設ける必要があり、設備コスト及びランニングコストが増大するといった問題がある。さらにまた、印刷装置の電動機盤内に室内空気を取り込んで電動機盤を冷却する場合には、室内空気中の粉塵が電動機盤内の電装部品に付着することによって電動機盤の故障や寿命低下の要因になるといった問題もある。
本発明は、上記した各種課題を解決すべくなされたものであり、室内環境を悪化させることなく、印刷装置内部における結露の発生を確実に防止することができると共に、電動機盤の耐久性の向上を図ることのできる印刷装置の空調システムを提供することを目的とするものである。
上記した目的を達成するため、本発明は、被印刷物に印刷する印刷装置本体と該印刷装置本体に近接配置される電動機盤とを備えた印刷装置の空調システムであって、前記電動機盤から排出された熱排気を前記印刷装置本体の内部へ供給することを特徴とする。
本発明のこの特徴によれば、印刷装置本体の内部での結露の発生及び結露水の滴下を防止することができるため、印刷装置による印刷工程での損紙の発生を防止し、歩留まりを上げることができる。また、損紙の発生を防止することにより、印刷工程中に損紙を取り除いたりする作業を行う必要がなくなるため、印刷作業の効率化を図ることができる。さらに、電動機盤からの熱排気を印刷装置本体の内部の加熱に再利用することにより印刷装置全体からの排気量を削減することができ、省エネルギー性の向上を図ることができる。
また、本発明は、所定の温湿度に調整された空気を前記電動機盤に供給する電動機盤用空調設備と、前記電動機盤で発生した排熱を利用して得られた熱排気を前記印刷装置本体の内部に供給する熱排気供給設備と、を備えていることを特徴としてもよい。
本発明のこの特徴によれば、上記した効果をさらに高めることができることに加えて、電動機盤用空調設備からの所定の温湿度に調整された空気によって電動機盤をより確実に冷却することができる。また、空気中の粉塵等が電動機盤内の電装部品に付着するのを防止することができ、電動機盤の耐久性を高めることができる。
また、本発明に係る印刷装置の空調システムにおいて、前記印刷装置本体は、外周面に刷版が設けられる版胴と、該版胴の刷版に湿し水を供給する湿し水供給装置と、前記版胴の刷版にインキを供給するインキ供給装置と、前記版胴の刷版と当接することで転写されたインキを被印刷物に転写するブランケット胴と、該ブランケット胴を清掃するブランケットウォッシャーと、前記版胴と前記ブランケット胴との当接部を覆うように設けられるフィンガーガードと、を有する印刷部を備えていることを特徴としてもよい。
本発明のこの特徴によれば、非発熱部である、ブランケットウォッシャー、フィンガーガード等における結露の発生及び結露水が版胴の刷版やブランケット胴の外周面に滴下するのを確実に防止することができる。したがって、印刷装置による印刷工程において、損紙の発生を防止し、歩留まりを上げることができる。また、損紙の発生を防止することにより、印刷工程中に損紙を取り除いたりする作業を行う必要がなくなるため、印刷作業の効率化を図ることができる。
また、本発明に係る印刷装置の空調システムにおいて、前記印刷部の側方には、前記電動機盤からの熱排気で前記ブランケットウォッシャー及び前記フィンガーガードを加熱する気流が形成される空間が設けられていることを特徴としてもよい。
本発明のこの特徴によれば、印刷部の側方の空間においてブランケットウォッシャー及びフィンガーガードを加熱する気流を形成することにより、非発熱部である、ブランケットウォッシャー、フィンガーガード等の表面温度が装置内部の空気の露点温度より高くなり、前記表面上での結露の発生及び結露水が版胴の刷版やブランケット胴の外周面に滴下するのを確実に防止することができる。したがって、印刷装置による印刷工程において、損紙の発生を防止し、歩留まりを上げることができる。また、損紙の発生を防止することにより、印刷工程中に損紙を取り除いたりする作業を行う必要がなくなるため、印刷作業の効率化を図ることができる。さらに、電動機盤からの熱排気を印刷装置本体の内部の加熱に再利用することにより印刷装置全体からの排気量を削減することができ、省エネルギー性の向上を図ることができる。
また、本発明に係る印刷装置の空調システムにおいて、前記印刷装置本体が上下方向に複数積み重ねられて構成され、前記印刷部の上方又は下方にはメンテナンススペースが形成され、前記電動機盤からの熱排気が前記メンテナンススペース内を流通するように構成されていることを特徴としてもよい。
本発明のこの特徴によれば、印刷装置本体の内部全体を加熱することができ、印刷装置本体内での結露の発生及び結露水の滴下を確実に防止することができるため、印刷装置による印刷工程での損紙の発生を防止し、歩留まりを上げることができる。また、損紙の発生を防止することにより、印刷工程中に損紙を取り除いたりする作業を行う必要がなくなるため、印刷作業の効率化を図ることができる。さらに、電動機盤からの熱排気を印刷装置本体の内部の加熱に再利用することにより印刷装置全体からの排気量を削減することができ、省エネルギー性の向上を図ることができる。
本発明によれば、印刷装置本体の内部での結露の発生及び結露水の滴下を防止することができるため、印刷作業の効率化を図ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムを示す全体構成図である。 本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムにおける印刷装置本体を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムにおける印刷装置本体を示す正面図である。 図2のA−A断面図である。 本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムにおける印刷装置本体を示す正面図である。 図2のB−B断面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムについて説明する。ここで、図1は本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムを示す全体構成図、図2は本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムにおける印刷装置本体を示す断面図、図3は本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムにおける印刷装置本体を示す正面図、図4は図2のA−A断面図、図5は本発明の実施形態に係る印刷装置の空調システムにおける印刷装置本体を示す正面図、図6は図2のB−B断面図である。
まず、本発明の実施形態に係る空調システム50が設置される印刷装置10について説明する。
図1に示すように、この印刷装置10は、多色印刷用の輪転機であり、給紙場11に載置される給紙装置12と、給紙装置12の上方に4段に渡って積み重ねられる第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16と、最上段の第4の印刷装置本体16の上方に載置される排紙装置17と、により構成されるタワーユニット18を備えており、印刷装置10全体では、通常複数台のタワーユニット18が並設されている。
タワーユニット18の周囲には、給紙場11の上方に順次、下段メンテナンス床19、中段メンテナンス床20、及び上段メンテナンス床21が形成されている。下段メンテナンス床19は給紙装置12と第1の印刷装置本体13と間の高さに水平配置され、中段メンテナンス床20は第2の印刷装置本体14と第3の印刷装置本体15との間の高さに水平配置され、上段メンテナンス床21は第4の印刷装置本体16の高さに水平配置されている。
図2は第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16の内部構造を示す断面図である。図2に示すように、被印刷物は、最下段の第1の印刷装置本体13から最上段の第4の印刷装置本体16に向かって搬送されるようにセットされる。第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16には、この被印刷物の搬送経路Pを中心として左右対称となるように左側印刷部23L,24L,25L,26L及び右側印刷部23R,24R,25R,26Rがそれぞれに対向して配設されており、被印刷物の両面に画線が印刷可能となっている。
左側印刷部23L,24L,25L,26L及び右側印刷部23R,24R,25R,26Rには、それぞれ、外周面に刷版が設けられる版胴27と、ローラ列28aにより版胴27の刷版に湿し水を供給する湿し水供給装置28と、ローラ列29aにより版胴27の刷版にインキを供給するインキ供給装置29と、版胴27の刷版と当接することで転写されたインキを被印刷物に転写するブランケット胴30と、印刷終了後にブランケット胴30の外周面に付着したインキの汚れや紙粉等をブラシや不織布等で清掃するブランケットウォッシャー31と、版胴27とブランケット胴30との当接部を覆うように設けられる断面矩形状の金属製バーから成るフィンガーガード32と、が設けられている。
第1の印刷装置本体13の左側及び右側の印刷部23L,23R及び第3の印刷装置本体15の左側及び右側の印刷部25L,25Rでは、湿し水供給装置28及びインキ供給装置29が版胴27の下方に配設されているのに対して、第2の印刷装置本体14の左側及び右側の印刷部24L,24R及び第4の印刷装置本体16の左側及び右側の印刷部26L,26Rでは、湿し水供給装置28及びインキ供給装置29が版胴27の上方に配設されている。
給紙装置12と第1の印刷装置本体13の間であって第1の印刷装置本体13の印刷部23L,23Rの下方には、下段メンテナンススペース34が形成されており、下段メンテナンススペース34は下段メンテナンス床19からアクセス可能となっている。また、第2の印刷装置本体14と第3の印刷装置本体15との間であって第2の印刷装置本体14の上方且つ第3の印刷装置本体15の下方には、中段メンテナンススペース35が形成されており、中段メンテナンススペース35は中段メンテナンス床20からアクセス可能となっている。
再度、図1を参照すると、印刷装置10は、第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16のそれぞれに対応して第1〜第4の電動機盤36,37,38,39を備えており、第1〜第4の電動機盤36,37,38,39は第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16の近接位置にそれぞれ配設されている。
次に、本発明の実施形態に係る印刷装置10の空調システム50について説明する。
図1に示すように、この空調システム50は、電動機盤用空調設備61と、熱排気供給設備62と、排気設備63と、を備えて構成されている。
電動機盤用空調設備61は、専用に設置される電動機盤用空調機64と、電動機盤用空調機64から第1〜第4の電動機盤36,37,38,39まで配設される風導設備65と、を備えている。
電動機盤用空調機64には、特に図示しないが、フィルター、冷却コイル、加熱コイル、加湿設備、送風機、及び自動制御設備等が設けられており、電動機盤用空調機64からは所定の温湿度に調整された空気SAが供給されるようになっている。
風導設備65は、電動機盤用空調機64に接続される主給気ダクト66と、主給気ダクト66から分岐されて第1〜第4の電動機盤36,37,38,39に接続される第1〜第4の分岐給気ダクト67,68,69,70と、により構成されている。
熱排気供給設備62は、第1の印刷本体用供給設備71と、第2の印刷本体用供給設備72と、第3の印刷本体用供給設備73と、を備えている。
第1の印刷本体用供給設備71は、第1の電動機盤36から第1の印刷本体装置13に接続される第1の熱排気供給ダクト74と、第1の熱排気供給ダクト74の途中に設置される第1の熱排気供給ファン75と、により構成されている。
図2及び図5に示されているように、第1の熱排気供給ダクト74の印刷装置本体側端部は、下段メンテナンススペース34に臨むように設置された第1の吹出口76に接続されており、第1の電動機盤36からの熱排気HA1が下段メンテナンススペース34内を流通するようになっている。第1の吹出口76は、二重ノズル形状を有し、2個並設されており、ルーバ等により吹出方向の調整可能且つダンパー等により風量設定可能に構成されている。
第2の印刷本体用供給設備72は、第2の電動機盤37から第2の印刷装置本体14に接続される第2の熱排気供給ダクト77と、第2の熱排気供給ダクト77の途中に設置される第2の熱排気供給ファン78と、により構成されている。
図2及び図5,6に示されているように、第2の熱排気供給ダクト77の印刷装置本体側端部は、中段メンテナンススペース35に臨むように設置されたノズル状の第2の吹出口79に接続されており、第2の電動機盤37からの熱排気HA2が中段メンテナンススペース35内を流通するようになっている。第2の吹出口79は、二重ノズル形状を有し、2個並設されており、ルーバ等により吹出方向の調整可能且つダンパー等により風量設定可能に構成されている。
第3の印刷本体用供給設備73は、第3の電動機盤38から第3の印刷装置本体15と第4の印刷装置本体16の間に接続される第3の熱排気供給ダクト80と、第3の熱排気供給ダクト80の途中に設置される第3の熱排気供給ファン81と、により構成されている。
図1〜図4に示されているように、第3の熱排気供給ダクト80の印刷装置本体側端部は、第3及び第4の印刷装置本体15,16の左側及び右側の印刷部25L,25R,26L,26Rの側方の空間82に臨むように設置された第3の吹出口83に接続されており、第3の吹出口83から吹き出された第3の電動機盤38からの熱排気HA3でブランケットウォッシャー31及びフィンガーガード32等を加熱する気流を形成するようになっている。第3の吹出口83は、カバー22の内面に沿って吹出可能なように縦型スリット形状を成しており、2箇所に設けられ、ルーバ等により吹出方向の調整可能且つダンパー等により風量設定可能に構成されている。
図1〜図4に示されているように、排気設備63は、第3の吹出口83の上方且つ上段メンテナンス床21の下方においてタワーユニット18のカバー22に近接して配設される複数の集気口84と、各集気口84から外部に配設される排気ダクト85と、排気ダクト85の外部側端部に接続される排気ファン86と、により構成されている。
次に、上記した構成を備えた印刷装置10及びその空調システム50の作用について説明する。
印刷装置10において、まず、被印刷物は給紙装置12から最下段の第1の印刷装置本体13に供給される。第1の印刷装置本体13の左側印刷部23L,24L,25L,26L及び右側印刷部23R,24R,25R,26Rでは、湿し水装置28のローラ列28aを介して版胴27の刷版に湿し水が供給され、この湿し水は刷版の親水性の非画線部にのみ付着する。
また、この時、インキ供給処置29のローラ列29aを介して版胴27の刷版に所定の色(例えば、ブラック)のインキが供給される。このインキは油性であるため、湿し水が付着した刷版の非画線部でははじかれ、親油性の画線部にのみ付着する。
次いで、この画線部に付着された所定の色のインキは、ブランケット胴30の外周面に転写された後、左右一対のブランケット胴30間に供給される被印刷物の両面に転写され、印刷される。
以降、順次、上段の第2〜第4の印刷装置本体14,15,16の各印刷部24L,24R,25L,25R,26L,26Rにおいて、同様に、被印刷物の両面にそれぞれ所定の色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー)の画線が印刷され、所定の各色の画線が印刷された被印刷物は排紙装置17から排出される。
上記したように印刷装置10で被印刷物に画線を印刷している間、電動機盤用空調機64により所定の温湿度(例えば、26℃DB,50%RH)に調整された所定風量(例えば、1,700m/h)の空気SAが供給される。この空気SAは、風導設備65の主給気ダクト66及び第1〜第4の分岐給気ダクト67,68,69,70を通って第1〜第4の電動機盤36,37,38,39の内部に供給され、第1〜第4の電動機盤36,37,38,39をそれぞれ冷却する。
電動機盤用空調機64から第1の電動機盤36に供給された所定風量(例えば、450m/h)の空気SA1は第1の電動機盤36を冷却すると共に内部の空気と混合されることで温度が上昇且つ相対湿度が低下し(実測で、30.4〜31.7℃DB、33.0〜34.0%RHとなる)、そのうちの所定風量(例えば、400m/h)の空気が熱排気HA1として、第1の印刷本体用供給設備71の第1の熱排気供給ファン75の駆動により第1の熱排気供給ダクト74を通って第1の吹出口76から下段メンテナンススペース34内に吹き出され、主に、第1の印刷装置本体13の内部を加熱する。
また、電動機盤用空調機64から第2の電動機盤37に供給された所定風量(例えば、450m/h)の空気SA2は第2の電動機盤37を冷却すると共に内部の空気と混合されることで温度が上昇且つ相対湿度が低下し(実測で、31.2〜32.8℃DB、31.0〜32.0%RHとなる)、そのうちの所定風量(例えば、400m/h)の空気が熱排気HA2として、第2の印刷本体用供給設備72の第2の熱排気供給ファン78の駆動により第2の熱排気供給ダクト77を通って第2の吹出口79から中段メンテナンススペース35内に吹き出され、主に、第2の印刷装置本体14及び第3の印刷装置本体15の内部を加熱する。
さらに、電動機盤用空調機64から第3の電動機盤38に供給された所定風量(例えば、400m/h)の空気SA3は第3の電動機盤38を冷却すると共に内部の空気と混合されることで温度が上昇且つ相対湿度が低下し(実測で、31.7〜32.0℃DB、32.0〜35.0%RHとなる)、そのうちの所定風量(例えば、180m/h)の空気が熱排気HA3として、第3の印刷本体用供給設備73の第3の熱排気供給ファン81によって第3の熱排気供給ダクト80を通って第3の吹出口83から第3及び第4の印刷装置本体15,16の左右の印刷部25L,25R,26L,26Rの側方の空間82に向けて吹き出される。これにより、熱排気HA3はブランケットウォッシャー31、フィンガーガード32等の非発熱部表面を加熱する気流を形成し、主に、第3及び第4の印刷装置本体15,16の内部を加熱する。
その後、このように第1〜第3の吹出口76,79,83から第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16内にそれぞれ吹き出されて該装置本体内を加熱した熱排気HA1,HA2,HA3は、排気ファン86の駆動により各集気口84から排気ダクト85を通って印刷装置を設置している部屋の外部に排出される。
ところで、上記したように印刷装置10において被印刷物に画線を印刷している間、湿し水装置28により供給された湿し水の一部分が蒸発し、第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16内の相対湿度は高くなる。そのため、第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16の内部を熱排気HA1,HA2,HA3で加熱しない場合には、非発熱部である、ブランケットウォッシャー31、フィンガーガード32等の金属表面温度と装置内部の空気の露点温度との温度差がほとんどゼロ(実測では、0.0〜0.6℃)となり、前記金属表面上で結露が発生し、結露水が滴下するおそれがある。
これに対して、上記した本実施形態のように、第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16の内部を熱排気HA1,HA2,HA3で加熱した場合には、第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16内の相対湿度が熱排気HA1,HA2,HA3との混合により低下し、非発熱部である、ブランケットウォッシャー31、フィンガーガード32等の金属表面温度が装置内部の空気の露点温度より十分(実測では、1.2〜2.9℃)高くなり、前記金属表面上での結露の発生及び結露水が版胴27の刷版やブランケット胴30の外周面に滴下するのを確実に防止することができる。したがって、印刷装置10による印刷工程において、損紙の発生を防止し歩留まりを上げることができる。また、損紙の発生を防止することにより、印刷工程中に損紙を取り除いたりする作業を行う必要がなくなるため、印刷作業の効率化を図ることができる。
また、上記した実施形態に係る印刷装置10の空調システム50によれば、第1〜第3の吹出口76,79,83から装置内部に吹き出された空気が印刷装置内部において、非発熱部である、ブランケットウォッシャー31、フィンガーガード32等を効率良く加熱し、外部に排出することができるため、装置内部における結露の発生を確実に防止することができると共に、印刷装置を設置している室内の環境を良好に保つことができる。
さらに、第1〜第3の電動機盤36,37,38からの熱排気HA1,HA2,HA3を第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16の内部の加熱に再利用することにより、印刷装置10全体からの排気量を削減することができる。例えば、上記した実施形態では、1台のタワーユニット18当たり、電動機盤用空調機64から供給される風量SAに対する熱排気HA1,HA2,HA3の割合は、
(400m/h+400m/h+180m/h)÷1,700m/h≒0.58
となる。すなわち、約58%の排気を再利用することができるため、省エネルギー化を図ることができる。
さらにまた、電動機盤用空調機64からの清浄な空気によって第1〜第4の電動機盤36,37,38,39を冷却することができるため、空気中の粉塵等が電動機盤内の電装部品に付着するのを防止することができ、第1〜第4の電動機盤36,37,38,39の耐久性を高めることができる。
なお、上記した実施形態では、被印刷物の両面に画線が印刷可能なように左右両側に印刷部23L,23R,24L,24R,25L,25R,26L,26Rを対向して配設しているが、印刷部23L,23R,24L,24R,25L,25R,26L,26Rの版胴27、湿し水供給装置28、及びインキ供給装置29等を左右いずれか一方側にのみ配設し、被印刷物の片面にのみ画線が印刷可能なように構成してもよい。
また、上記した実施形態では、第1〜第4の印刷装置本体13,14,15,16の左側及び右側の印刷部23L,23R,24L,24R,25L,25R,26L,26Rにおいて、湿し水供給装置28及びインキ供給装置29を版胴27の上方と下方に交互に配設しているが、すべての印刷部23L,23R,24L,24R,25L,25R,26L,26Rにおいて、湿し水供給装置28及びインキ供給装置29を版胴27の下方に配設してもよい。
また、上記した実施形態では、本発明を多色印刷用の輪転機に適用した場合について説明したが、これは単なる例示に過ぎず、本発明はモノクロ用の印刷装置等、他のタイプの印刷装置に適用可能であることは言う迄もない。
さらに、上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係る印刷装置の空調システムにおける好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
10 印刷装置
13 第1の印刷装置本体
14 第2の印刷装置本体
15 第3の印刷装置本体
16 第4の印刷装置本体
27 版胴
28 湿し水供給装置
29 インキ供給装置
30 ブランケット胴
31 ブランケットウォッシャー
32 フィンガーガード
34 下段メンテナンススペース
35 中段メンテナンススペース
36 第1の電動機盤
37 第2の電動機盤
38 第3の電動機盤
61 電動機盤用空調設備
62 熱排気供給設備
82 空間

Claims (4)

  1. 被印刷物に印刷する印刷装置本体と該印刷装置本体に近接配置される電動機盤とを備えた印刷装置の空調システムであって、
    所定の温湿度に調整された空気を前記電動機盤に供給する電動機盤用空調設備と、
    前記電動機盤で発生した排熱を利用して得られた熱排気を前記印刷装置本体の内部に供給する熱排気供給設備と、
    を備えていることを特徴とする印刷装置の空調システム。
  2. 前記印刷装置本体は、外周面に刷版が設けられる版胴と、該版胴の刷版に湿し水を供給する湿し水供給装置と、前記版胴の刷版にインキを供給するインキ供給装置と、前記版胴の刷版と当接することで転写されたインキを被印刷物に転写するブランケット胴と、該ブランケット胴を清掃するブランケットウォッシャーと、前記版胴と前記ブランケット胴との当接部を覆うように設けられるフィンガーガードと、を有する印刷部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置の空調システム。
  3. 前記印刷部の側方には、前記電動機盤からの熱排気で前記ブランケットウォッシャー及び前記フィンガーガードを加熱する気流が形成される空間が設けられていることを特徴とする請求項に記載の印刷装置の空調システム。
  4. 前記印刷装置本体が上下方向に複数積み重ねられて構成され、前記印刷部の上方又は下方にはメンテナンススペースが形成され、前記電動機盤からの熱排気が前記メンテナンススペース内を流通するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の印刷装置の空調システム。
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