JP5618301B2 - イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1とその利用 - Google Patents

イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1とその利用 Download PDF

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Description

本発明は、イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子に関する。
インディカ品種「Modan」由来のいもち病圃場抵抗性は、穂いもちに対する高度な抵抗性および長期に亘る安定した抵抗性という特徴を持つ。これを支配する抵抗性遺伝子Pb1は穂いもち圃場抵抗性遺伝子として初めて同定された(非特許文献1)。Pb1は罹病性病斑を形成するなど圃場抵抗性としての作用を示すが、単一の主働遺伝子に支配され通常育種により導入が容易なため、実用的な抵抗性遺伝子源として品種育成に用いられている。
藤井潔, 早野由里子ら (1999).イネ縞葉枯ウイルス抵抗性品種が有する穂いもち抵抗性の遺伝子分析.育種学研究 1:203-210.
本発明は、Pb1遺伝子を単離、同定することにより、新規なDNAを提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究の結果、イネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1を初めて単離・同定することに成功した。
発病が直接被害に結びつくため問題とされる穂いもちに対する圃場抵抗性遺伝子として単離された事例はない。本発明によって明らかになったPb1遺伝子は,CC-NBS-LRR型の抵抗性遺伝子であり、新規の配列をもつ。これまでに報告されたいもち病抵抗性遺伝子とは異なり成体抵抗性の特徴をもつ遺伝子であり、これを改変することによってイネに実用性の高いいもち病圃場抵抗性を付与できることを明らかにした。
本発明は、新規なイネ穂いもち圃場抵抗性遺伝子Pb1に関し、より具体的には、
〔1〕 下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAであって、いもち病抵抗性機能を有するタンパク質をコードするDNA、
(a)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
〔2〕 前記いもち病がイネ穂いもち病である、〔1〕に記載のDNA、
〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載のDNAによりコードされるタンパク質、
〔4〕 〔1〕または〔2〕に記載のDNAを含むベクター、
〔5〕 〔4〕に記載のベクターが導入された宿主細胞、
〔6〕 〔4〕に記載のベクターが導入された植物細胞、
〔7〕 〔6〕に記載の植物細胞を含む形質転換植物体、
〔8〕 〔7〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体、
〔9〕 〔7〕または〔8〕に記載の形質転換植物体の繁殖材料、
〔10〕 〔5〕に記載の宿主細胞を培養し、該細胞またはその培養上清から組換えタンパク質を回収する工程を含む、〔3〕に記載のタンパク質の製造方法、
〔11〕 下記(a)〜(c)のいずれかを有効成分として含有する、いもち病抵抗性付与剤、
(a)〔1〕もしくは〔2〕に記載のDNA
(b)〔3〕に記載のタンパク質
(c)〔4〕に記載のベクター
〔12〕 前記いもち病がイネ穂いもち病である、〔11〕に記載の薬剤、
〔13〕 〔1〕もしくは〔2〕に記載のDNA、または、〔4〕に記載のベクターを植物細胞へ導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む、形質転換植物体の製造方法、
〔14〕 〔1〕もしくは〔2〕に記載のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、植物にいもち病抵抗性を付与する方法、
〔15〕 〔1〕もしくは〔2〕に記載のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、いもち病抵抗性植物の製造方法、
〔16〕 〔1〕もしくは〔2〕に記載のDNA、または〔4〕に記載のベクターを植物細胞へ導入する工程を含む、〔14〕または〔15〕に記載の方法、
〔17〕 植物がイネである、〔13〕〜〔16〕のいずれかに記載の方法、
〔18〕 下記(a)または(b)のいずれかに記載のDNAであって、プロモーター活性を有するDNA、
(a)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
〔19〕以下(A)〜(G)のいずれかに示す、少なくとも1つのプライマーセットからなる分子マーカー、
(A)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:8に記載の塩基配列からなるDNA
(B)配列番号:11に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:12に記載の塩基配列からなるDNA
(C)配列番号:13に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:14に記載の塩基配列からなるDNA
(D)配列番号:15に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:16に記載の塩基配列からなるDNA
(E)配列番号:17に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:18に記載の塩基配列からなるDNA
(F)配列番号:19に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:20に記載の塩基配列からなるDNA
(G)配列番号:21に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:22に記載の塩基配列からなるDNA
を、提供するものである。
Pb1領域の遺伝マップを示す図である。 P15導入個体がいもち病抵抗性を有することを示す図である。下図は、本発明の遺伝子(Pb1)によってコードされるタンパク質の構造を模式的に示す図である。 本発明の遺伝子(Pb1)の近傍に存在する分子マーカーの位置を模式的に示す図(連鎖地図)である。 いもち病に対する抵抗性とPb1遺伝子の発現量をみた図である。いもち病に対する抵抗性は、2L, 6Lでは低いが、10Lあたりから強くなった。そして止期でもっとも強くなった。一方、Pb1の発現量は、生育ステージとともに上昇し、止葉でユビキチンの0.2%まで増加した。穂ではさらに高くなった。このことは、Pb1品種が示す成体抵抗性は、遺伝子の発現量に依存していることを示す。 Pb1の過剰発現による葉いもち抵抗性付与を示す図および写真である。 Pb1'の過剰発現による葉いもち抵抗性付与を示す図および写真である。図(グラフ)は、Pb1'過剰発現体および対照(日本晴)の葉いもちに対する抵抗性を示す。Pb1'過剰発現体も葉いもち抵抗性を示した。
本発明者らによって、穂いもち圃場抵抗性遺伝子が同定された(該遺伝子を本明細書において「本発明の遺伝子」と記載する場合あり)。本発明の遺伝子はいもち病抵抗性機能を有する遺伝子であり、「Pb1遺伝子」あるいは「P15遺伝子」と表記される場合がある。
本発明の遺伝子のDNA配列を配列番号:1に、該遺伝子によってコードされるタンパク質(本明細書において「本発明のタンパク質」と記載する場合あり)のアミノ酸配列を配列番号:2に記載する。
また、本発明の遺伝子の上流に位置するプロモーター領域の配列を、配列番号:3に記載する。さらに、本発明の遺伝子の3'-UTRを、配列番号:4に記載する。
ただし、本発明の遺伝子は、必ずしも、配列表に具体的に記載された配列からなるDNAに限定されない。また、本発明のタンパク質は、必ずしも、配列表に具体的に記載されたアミノ酸配列からなるタンパク質に限定されない。
上記以外のタンパク質であっても、例えば配列表に記載された配列と高い相同性(通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)を有し、かつ、本発明のタンパク質が有する機能(例えば、いもち病抵抗性機能)を持つタンパク質は、本発明のタンパク質に含まれる。
後述の実施例で示すように、Pb1と1アミノ酸が異なるPb1'は、nativeプロモーターでは発現量が低いものの、過剰発現させることにより、いもち病抵抗性機能を有することが示された。即ち、Pb1のアミノ酸改変体であっても、いもち病抵抗性機能を有するタンパク質は、本発明のタンパク質に含まれる。
上記タンパク質とは、例えば、配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が付加、欠失、置換、挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、通常変化するアミノ酸数が30アミノ酸以内、好ましくは10アミノ酸以内、より好ましくは5アミノ酸以内、最も好ましくは3アミノ酸以内である。
本発明の遺伝子には、例えば、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAに対応する他の植物における内在性の遺伝子(他の植物のイネPb1遺伝子のホモログ等)が含まれる。
また、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAに対応する他の植物の内在性のDNAは、一般的に、配列番号:1に記載のDNAと高い相同性を有する。高い相同性とは、50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上(例えば、95%以上、さらには96%、97%、98%または99%以上)の相同性を意味する。この相同性は、mBLASTアルゴリズム(Altschul et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 2264-8; Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873-7)によって決定することができる。また、該DNAは、生体内から単離した場合、配列番号:1に記載のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすると考えられる。ここで「ストリンジェントな条件」としては、例えば「2×SSC、0.1%SDS、50℃」、「2×SSC、0.1%SDS、42℃」、「1×SSC、0.1%SDS、37℃」、よりストリンジェントな条件として「2×SSC、0.1%SDS、65℃」、「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」および「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」の条件を挙げることができる。当業者においては、他の植物における本発明の遺伝子に相当する内在性の遺伝子を、本発明の遺伝子の塩基配列を基に適宜取得することが可能である。なお、本明細書においては、イネ以外の植物におけるPb1タンパク質(遺伝子)に相当するタンパク質(遺伝子)、または、これらのタンパク質と機能的に同等なタンパク質(遺伝子)を、単に「本発明のタンパク質(遺伝子)」と記載する場合がある。
本発明のタンパク質は、天然のタンパク質のほか、遺伝子組み換え技術を利用した組換えタンパク質として調製することができる。天然のタンパク質は、例えば本発明のタンパク質が発現していると考えられる細胞(組織)の抽出液に対し、本発明のタンパク質に対する抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーを用いる方法により調製することが可能である。一方、組換えタンパク質は、本発明のタンパク質をコードするDNAで形質転換した細胞を培養することにより調製することが可能である。
本発明の好ましい態様としては、いもち病抵抗性機能を有するタンパク質をコードする、下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAを提供する。
(a)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(c)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
(d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
また、上記DNAによってコードされるタンパク質もまた、本発明に含まれる。
本発明において「いもち病抵抗性」とは、通常、イネのいもち病に対する抵抗力が高まり、いもち病にかかりにくくなること等をいう。本発明における「いもち病」とは、好ましくはイネ穂いもち病である。
また、後述の実施例で示すように、本発明のタンパク質(Pb1)を過剰発現させることにより、葉いもちに対しても抵抗性を示す。従って、本発明における「いもち病」には、「葉いもち病」も含まれる。
本明細書におけるタンパク質とは、複数のアミノ酸からなる重合体を意味し、そのアミノ酸の長さは特に制限されない。従って、本発明のタンパク質には、所謂「ポリペプチド」、および「オリゴペプチド」も含まれる。本発明のタンパク質は、天然に存在する状態から修飾されていないもの、および修飾されているものの双方を含む。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化のようなタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加、ユビキチン化等が含まれる。
本発明のポリペプチドは、そのアミノ酸配列に従って、一般的な化学合成法により製造することが可能であり、該方法には、通常の液相法および固相法によるペプチド合成法が包含される。かかるペプチド合成法は、より詳しくはアミノ酸配列の情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次合成させて鎖を延長していくステップワイズエロンゲーション法と、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法を包含し、本発明のタンパク質の合成は、いずれの方法を用いてもよい。
このようなペプチド合成法にて用いられる縮合法も、各種方法に従って行うことができる。その具体例としては、例えばアジド法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法、DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、ウッドワード法等を例示できる。
これら各種方法に利用できる溶媒もまた、一般的に使用されるものを適宜利用することができる。その例としては、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサホスホロアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等及びこれらの混合溶媒等を挙げることができる。なお、上記ペプチド合成反応に際して、反応に関与しないアミノ酸およびペプチドにおけるカルボキシル基は、一般にはエステル化により、例えばメチルエステル、エチルエステル、第三級ブチルエステル等の低級アルキルエステル、例えばベンジルエステル、P−メトキシベンジルエステル、P−ニトロベンジルエステルアラルキルエステル等として保護することができる。また、側鎖に官能基を有するアミノ酸、例えばTyrの水酸基は、アセチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカルボニル基、第三級ブチル基等で保護されてもよいが、必ずしもかかる保護は必須ではない。
上記のようにして得ることが可能な本発明のタンパク質は、通常の方法に従って、例えばイオン交換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎用されている方法に従って、適宜、精製を行うことができる。
本発明のタンパク質は、例えば、配列番号:2に記載のポリペプチド、または配列番号:1に記載のDNA核酸分子を合成し、次いで適当な発現ベクターへ導入した後、宿主細胞内において発現させる遺伝子工学的手法によっても取得することができる。
本発明のタンパク質には、例えば、Pb1タンパク質と機能的に同等なタンパク質(ポリペプチド)が含まれる。ここで「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質が本発明のタンパク質と同様の(同等の)生物学的あるいは生化学的機能(活性)を有することを指す。このような機能としては、例えば、植物体へいもち病抵抗性を付与する機能等を挙げることができる。
対象となるタンパク質(ポリペプチド)が、本発明のタンパク質と同等の生物学的あるいは生化学的な機能(活性)を有しているか否かは、例えば、該タンパク質を発現させた植物におけるいもち病抵抗性を評価することにより判定することができる。具体的には、被検植物へいもち病菌を接種し、いもち病を呈するか否かを観察することによって評価することができる。
あるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製するための、当業者によく知られた方法としては、例えばポリペプチド中のアミノ酸配列に変異を導入する方法が挙げられる。具体的には当業者であれば部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T. et al. (1995) Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer, W. et al. (1984) Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Proc Natl Acad Sci USA. 82, 488-492、Kunkel (1988) Methods Enzymol. 85, 2763-2766)などを用いて、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に適宜変異を導入することにより、該ポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製することができる。また、ポリペプチド中のアミノ酸の変異は自然に生じることもある。このように、人工的か自然に生じたものかを問わず、本発明者らにより同定されたPb1タンパク質(配列番号:2)のアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸配列が変異したアミノ酸配列を有し、該ポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドは、本発明のタンパク質(ポリペプチド)に含まれる。
上記変異体における、変異するアミノ酸数は、本発明のタンパク質の有する機能が保持される限り制限はないが、通常15アミノ酸以内であり、好ましくは10アミノ酸以内であり、より好ましくは5アミノ酸以内であり、さらに好ましくは1〜4アミノ酸である。
変異するアミノ酸残基としては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが望ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字表記を表す)。
あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加及び/又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的機能(活性)を維持し得ることはすでに知られている(Mark, D. F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1984) 81, 5662-5666 、Zoller, M. J. & Smith, M. Nucleic Acids Research (1982) 10, 6487-6500 、Wang, A. et al., Science 224, 1431-1433 、Dalbadie-McFarland, G. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982) 79, 6409-6413)。
具体的なアミノ酸配列(例えば、配列番号:2)が開示された場合においては、当業者であれば、これらアミノ酸配列を基に、適宜アミノ酸が改変された配列からなるポリペプチドを作製し、当該ポリペプチドについて、上述の機能を有するか否かを評価し、本発明のタンパク質(ポリペプチド)を適宜選択することが可能である。
本発明のタンパク質のアミノ酸配列に複数個のアミノ酸残基が付加されたタンパク質には、これらタンパク質を含む融合ポリペプチドが含まれる。融合ポリペプチドは、これらポリペプチドと他のペプチド又はポリペプチドとが融合したものである。融合ポリペプチドを作製する方法は、本発明のタンパク質(例えば、配列番号:2)をコードするDNA(例えば、配列番号:1)と他のペプチド又はポリペプチドをコードするDNAをフレームが一致するように連結してこれを発現ベクターに導入し、宿主で発現させればよく、当業者に公知の手法を用いることができる。本発明のタンパク質との融合に付される他のペプチド又はポリペプチドは、特に制限されない。
本発明のポリペプチドとの融合に付される他のペプチドとしては、例えば、GST(グルタチオン−S−トランスフェラーゼ)、イムノグロブリン定常領域、β−ガラクトシダーゼ、MBP(マルトース結合タンパク質)等が挙げられる。市販されているこれらペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと融合させ、これにより調製された融合ポリヌクレオチドを発現させることにより、融合ポリペプチドを調製することができる。
またあるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドを調製する当業者によく知られた他の方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook,J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press, 1989)を利用する方法が挙げられる。即ち、当業者であれば、本発明のタンパク質をコードするDNA(配列番号:1)もしくはその一部をもとに、同種または異種植物由来のDNA試料から、これと相同性の高いDNAを単離して、該DNAから本発明のタンパク質と機能的に同等なポリペプチドを単離することも通常行いうることである。
本発明には、本発明のタンパク質をコードするDNAとハイブリダイズするDNAによってコードされるタンパク質であって、本発明のタンパク質と機能的に同等なタンパク質が含まれる。このようなタンパク質としては、例えばイネあるいは他の植物のホモログが挙げられる。
本発明のタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードするDNAを単離するためのハイブリダイゼーションの条件は、当業者であれば適宜選択することができる。ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、低ストリンジェントな条件が挙げられる。低ストリンジェントな条件とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄において、例えば42℃、0.1×SSC、0.1%SDSの条件であり、好ましくは50℃、0.1×SSC、0.1%SDSの条件である。より好ましいハイブリダイゼーションの条件としては、高ストリンジェントな条件が挙げられる。高ストリンジェントな条件とは、例えば65℃、5×SSC及び0.1%SDSの条件である。これらの条件において、温度を上げる程に高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。但し、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度や塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
また、ハイブリダイゼーションにかえて、遺伝子増幅技術(PCR)(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons Section 6.1-6.4)を用いて、本発明のタンパク質をコードするDNA(例えば、配列番号:1)の一部を基にプライマーを設計し、本発明者らにより同定されたタンパク質をコードするDNAと相同性の高いDNA断片を単離し、該DNAを基に本発明者らにより同定されたタンパク質と機能的に同等なタンパク質を取得することも可能である。
本発明のタンパク質は「成熟」ポリペプチドの形であっても、融合ポリペプチドのような、より大きいポリペプチドの一部であってもよい。本発明のタンパク質には、リーダー配列、プロ配列、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、または組換え生産の際の安定性を確保する付加的配列などが含まれていてもよい。
これらハイブリダイゼーション技術や遺伝子増幅技術により単離されるDNAによってコードされる、本発明のタンパク質と機能的に同等なタンパク質は、通常、本発明のタンパク質(例えば、配列番号:2)とアミノ酸配列において高い相同性を有する。本発明のタンパク質には、Pb1タンパク質と機能的に同等であり、かつ該タンパク質のアミノ酸配列と高い相同性を有するタンパク質も含まれる。高い相同性とは、アミノ酸レベルにおいて、通常、少なくとも50%以上の同一性、好ましくは75%以上の同一性、さらに好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは95%以上(例えば、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)の同一性を指す。タンパク質の相同性を決定するには、文献(Wilbur, W. J. and Lipman, D. J. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80, 726-730)に記載のアルゴリズムに従えばよい。
アミノ酸配列の同一性は、例えば、Karlin and Altschul によるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268, 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877, 1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al. J. Mol. Biol.215: 403-410, 1990)。BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えば、score = 50、wordlength = 3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
本発明のタンパク質は、当業者に公知の方法により、組み換えポリペプチドとして、また天然のポリペプチドとして調製することが可能である。組み換えポリペプチドであれば、例えば、本発明のタンパク質をコードするDNA(例えば、配列番号:1に記載のDNA)を、適当な発現ベクターに組み込み、これを適当な宿主細胞に導入して得た形質転換体を回収し、抽出物を得た後、イオン交換、逆相、ゲル濾過などのクロマトグラフィー、あるいは本発明のタンパク質に対する抗体をカラムに固定したアフィニティークロマトグラフィーにかけることにより、または、さらにこれらのカラムを複数組み合わせることにより精製し、調製することが可能である。
また、本発明のタンパク質をグルタチオンS-トランスフェラーゼタンパク質との融合ポリペプチドとして、あるいはヒスチジンを複数付加させた組み換えポリペプチドとして宿主細胞(例えば、植物細胞や微生物細胞等)内で発現させた場合には、発現させた組み換えポリペプチドはグルタチオンカラムあるいはニッケルカラムを用いて精製することができる。融合ポリペプチドの精製後、必要に応じて融合ポリペプチドのうち、目的のポリペプチド以外の領域を、トロンビンまたはファクターXaなどにより切断し、除去することも可能である。
天然のタンパク質であれば、当業者に周知の方法、例えば本発明のタンパク質を発現している組織や細胞の抽出物に対し、本発明のタンパク質と親和性を有する抗体が結合したアフィニティーカラムを作用させて精製することにより単離することができる。抗体はポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。
また、本発明のタンパク質は例えば、本発明のタンパク質を認識する抗体の作製等に利用することが可能である。
本発明のDNAは、本発明のタンパク質をコードし得るものであればいかなる形態でもよい。即ち、mRNAから合成されたcDNAであるか、ゲノムDNAであるか、化学合成DNAであるかなどを問わない。また、本発明のタンパク質をコードしうる限り、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。
本発明のDNAは、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、本発明のタンパク質を発現している細胞よりcDNAライブラリーを作製し、本発明のDNA(例えば、配列番号:1に記載の塩基配列)の一部をプローブとしてハイブリダイゼーションを行うことにより調製できる。cDNAライブラリーは、例えば、文献(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))に記載の方法により調製してもよく、あるいは市販のDNAライブラリーを用いてもよい。また、本発明のタンパク質を発現している細胞よりRNAを調製し、逆転写酵素によりcDNAを合成後、本発明のDNA(例えば、配列番号:1に記載の塩基配列)に基づいてオリゴDNAを合成し、これをプライマーとして用いてPCR反応を行い、本発明のタンパク質をコードするcDNAを増幅させることにより調製することも可能である。
また、得られたcDNAの塩基配列を決定することにより、それがコードする翻訳領域を決定でき、本発明のタンパク質のアミノ酸配列を得ることができる。また、得られたcDNAをプローブとしてゲノムDNAライブラリーをスクリーニングすることにより、ゲノムDNAを単離することができる。
具体的には、次のようにすればよい。まず、本発明のタンパク質を発現する細胞、組織、器官からmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry (1979) 18, 5294-5299)、AGPC法(Chomczynski, P. and Sacchi, N., Anal. Biochem. (1987) 162, 156-159)等により全RNAを調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia) 等を使用して全RNAからmRNAを精製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit (Pharmacia) を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いてcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit (生化学工業)等を用いて行うこともできる。また、本明細書に記載されたプライマー等を用いて、5'-Ampli FINDER RACE Kit (Clontech製)およびポリメラーゼ連鎖反応 (polymerase chain reaction ; PCR)を用いた5'-RACE法(Frohman, M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988) 85, 8998-9002 ; Belyavsky, A. et al., Nucleic Acids Res. (1989) 17, 2919-2932) に従い、cDNAの合成および増幅を行うことができる。得られたPCR産物から目的とするDNA断片を調製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とするDNAの塩基配列は、公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法により確認することができる。
また、本発明のDNAの作成においては、発現に使用する宿主のコドン使用頻度を考慮し、より発現効率の高い塩基配列を設計することができる(Grantham, R. et al., Nucelic Acids Research (1981) 9, r43-74)。また、本発明のDNAは、市販のキットや公知の方法によって改変することができる。改変としては、例えば、制限酵素による消化、合成オリゴヌクレオチドや適当なDNAフラグメントの挿入、リンカーの付加、開始コドン(ATG)及び/又は終止コドン(TAA、TGA、又はTAG)の挿入等が挙げられる。
また本発明は、本発明のDNAが挿入されたベクターを提供する。本発明のベクターとしては、組み換えタンパク質の生産に用いる上記ベクターの他、形質転換植物体作製のために植物細胞内で本発明のDNAを発現させるためのベクターも含まれる。このようなベクターとしては、好ましくは、植物細胞で転写可能なプロモーター配列と転写産物の安定化に必要なポリアデニレーション部位を含むターミネーター配列を含む。植物細胞の形質転換に用いられるベクターとしては、該細胞内で挿入遺伝子を発現させることが可能なものであれば特に制限はない。例えば、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター)を有するベクターや外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることも可能である。上記「植物細胞」には、種々の形態の植物細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片、カルス等が含まれる。
本発明のベクターは、本発明のタンパク質を恒常的または誘導的に発現させるためのプロモーターを含有してもよい。恒常的に発現させるためのプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター、イネのアクチンプロモーター、トウモロコシのユビキチンプロモーター等が挙げられる。該プロモーターとして好ましくは、Pb1遺伝子の上流に存在する配列番号:3で示すDNAからなるプロモーターが挙げられる。
後述の実施例で示すように、本発明のタンパク質を過剰発現させることにより、葉いもち、および穂いもちに対して抵抗性を付与することが可能である。したがって、本発明のベクターの好ましい態様としては、本発明の遺伝子(Pb1)が過剰発現可能なプロモーターと機能的に連結した構造のベクターを例示することができる。該過剰発現可能なプロモーターとしては、例えば、トウモロコシユビキチンプロモーター等を好適に示すことができる。
本発明には、下記(a)または(b)のいずれかに記載のDNAであって、プロモーター活性を有するDNAが含まれる。
(a)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA
当業者においては、所望のDNAを有するベクターを、一般的な遺伝子工学技術によって、適宜、作製することが可能である。通常、市販の種々のベクターを利用することができる。
本発明のベクターは、宿主細胞内において本発明のDNAを保持したり、本発明のタンパク質を発現させるためにも有用である。
本発明におけるDNAは、通常、適当なベクターへ担持(挿入)され、宿主細胞へ導入される。該ベクターとしては、挿入したDNAを安定に保持するものであれば特に制限されず、例えば宿主に大腸菌を用いるのであれば、クローニング用ベクターとしてpBluescriptベクター(Stratagene社製)などが好ましいが、市販の種々のベクターを利用することができる。本発明のタンパク質を生産する目的としてベクターを用いる場合には、特に発現ベクターが有用である。発現ベクターとしては、試験管内、大腸菌内、培養細胞内、植物個体内でポリペプチドを発現するベクターであれば特に制限されないが、例えば、試験管内発現であればpBESTベクター(プロメガ社製)、大腸菌であればpETベクター(Invitrogen社製)、培養細胞であればpME18S-FL3ベクター(GenBank Accession No. AB009864)、生物個体であればpME18Sベクター(Mol Cell Biol. 8:466-472(1988))などを例示することができる。ベクターへの本発明の核酸の挿入は、常法により、例えば、制限酵素サイトを用いたリガーゼ反応により行うことができる。
上記宿主細胞としては特に制限はなく、目的に応じて種々の宿主細胞が用いられる。本発明のタンパク質を発現させるための細胞としては、例えば、細菌細胞(例:ストレプトコッカス、スタフィロコッカス、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌)、昆虫細胞(例:ドロソフィラS2、スポドプテラSF9)、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C127、3T3、BHK、HEK293、Bowes メラノーマ細胞)および植物細胞を例示することができる。宿主細胞へのベクター導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿法、電気パルス穿孔法(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley & Sons.Section 9.1-9.9)、リポフェクション法(GIBCO-BRL社製)、マイクロインジェクション法などの公知の方法で行うことが可能である。
宿主細胞において発現したタンパク質を小胞体の内腔に、細胞周辺腔に、または細胞外の環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを目的のタンパク質に組み込むことができる。これらのシグナルは目的のタンパク質に対して内因性であっても、異種シグナルであってもよい。
上記製造方法におけるタンパク質の回収は、本発明のタンパク質が培地に分泌される場合は、培地を回収する。本発明のタンパク質が細胞内に産生される場合は、その細胞をまず溶解し、その後にタンパク質を回収する。
組換え細胞培養物から本発明のタンパク質を回収し精製するには、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法を用いることができる。
また、植物の生体内で本発明のDNAを発現させる方法としては、本発明のDNAを適当なベクターに組み込み、例えば、エレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、リポソーム法、カチオニックリポソーム法などにより生体内に導入する方法などが挙げられる。ベクターへの本発明のDNAの挿入などの一般的な遺伝子操作は、常法に従って行うことが可能である(Molecular Cloning, 5.61-5.63)。植物体内への投与は、ex vivo法であっても、in vivo法であってもよい。また、植物体内へ本発明のDNAを導入する方法としては、好ましくは、アグロバクテリウムを介して遺伝子を導入する方法が挙げられる。
また、後述する手法で、本発明のDNAが導入された形質転換植物体を作成し、該植物体から本発明のタンパク質を調製することも可能である。
また、上述のようにして取得される組換えタンパク質を用いれば、これに結合する抗体を調製することができる。例えば、ポリクローナル抗体は、精製した本発明のタンパク質もしくはその一部のペプチドをウサギなどの免疫動物に免疫し、一定期間の後に血液を採取し、血ぺいを除去することにより調製することが可能である。また、モノクローナル抗体は、上記タンパク質若しくはペプチドで免疫した動物の抗体産生細胞と骨腫瘍細胞とを融合させ、目的とする抗体を産生する単一クローンの細胞(ハイブリドーマ)を単離し、該細胞から抗体を得ることにより調製することができる。これにより得られた抗体は、本発明のタンパク質の精製や検出などに利用することが可能である。本発明には、本発明のタンパク質に結合する抗体が含まれる。これらの抗体を用いることにより、植物体における本発明のタンパク質の発現部位の判別、または、植物種が本発明のタンパク質を発現するか否かの判別を行うことが可能である。
本発明のDNAを利用して、いもち病抵抗性の形質転換植物体を作製する場合には、本発明のタンパク質をコードするDNAを適当なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させる。本発明者等により単離されたタンパク質は、植物へいもち病抵抗性を付与する機能を有し、本発明のタンパク質を任意の植物種(イネ品種等)に導入し発現させることによりそれらの植物体へいもち病抵抗性を付与させることが可能である。この形質転換に要する期間は、従来のような交雑による遺伝子移入に比較して極めて短期間であり、また、他の形質の変化を伴わない点で有利である。
上述のように、本発明のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、植物体へいもち病抵抗性を付与する方法もまた本発明に含まれる。該方法によって、いもち病抵抗性の植物体もしくはその種子が作出される。従って本発明は、本発明のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、いもち病抵抗性植物体もしくはその種子の製造方法を提供する。
また本発明は、本発明のベクターが導入された形質転換細胞を提供する。本発明のベクターが導入される細胞には、組み換えタンパク質の生産に用いる上記した細胞の他に、形質転換植物体作製のための植物細胞が含まれる。植物細胞としては特に制限はなく、例えば、種々の品種のイネが挙げられる。本発明の植物細胞には、培養細胞の他、植物体中の細胞も含まれる。また、プロトプラスト、苗条原基、多芽体、毛状根も含まれる。植物細胞へのベクターの導入は、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など当業者に公知の種々の方法を用いることができる。形質転換植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。例えば、イネにおいては、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し植物体を再生させる方法、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し植物体を再生させる方法、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法、およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法など、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
本発明のDNAを含むベクターの導入により形質転換した植物細胞を効率的に選択するために、上記組み換えベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子を含む、もしくは選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に植物細胞へ導入することが好ましい。この目的に使用される選抜マーカー遺伝子は、例えば抗生物質ハイグロマイシンに耐性であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、カナマイシンまたはゲンタマイシンに耐性であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、および除草剤ホスフィノスリシンに耐性であるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。
組み換えベクターを導入した植物細胞は、導入された選抜マーカー遺伝子の種類に従って適当な選抜用薬剤を含む公知の選抜用培地に置床し培養する。これにより形質転換された植物培養細胞を得ることができる。
形質転換された植物細胞は、再分化させることにより植物体を再生させることが可能である。再分化の方法は植物細胞の種類により異なるが、例えば、イネであればFujimuraら(Plant Tissue Culture Lett. 2:74 (1995))の方法が挙げられる。
一旦、ゲノム内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。
このようにして作出された植物体もしくはその種子はいもち病抵抗性であることが期待される。
上述のように、本発明のDNAもしくはベクターを植物細胞へ導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む、形質転換植物体の製造方法もまた本発明に含まれる。
本発明のいもち病抵抗性の植物体もしくはその種子は、育種法によっても作出することが可能である。
上記育種法としては、例えば、本発明のDNAを有する品種と交雑させることを特徴とする一般的な育種法(交雑育種法等)を挙げることができる。該方法によって、いもち病抵抗性の植物体もしくはその種子を作出することができる。
育種法によって本発明の植物体もしくは種子を作製する際には、公知の種々の文献を参照して適宜実施することができる(細胞工学別冊・植物細胞工学シリーズ15「モデル植物の実験プロトコール」秀潤社、2001年、加藤鎌司著「2.1 イネ・コムギの交配」p.6-9; 高牟礼逸朗、佐野芳雄著「2. 交配法」p.46-48)。
本発明の上記育種方法の好ましい態様としては、以下の工程(a)および(b)を含む方法である。
(a)本発明のDNAを有する植物と交雑させる工程を含む、
(b)前記DNAを有する植物改変体を選抜する工程
本発明の上記方法を育種法によって実施する場合には、より具体的には、以下のような工程を含む方法を挙げることができる。
(a)植物Aと、本発明のDNAを有する他の植物Bを交雑させ、F1を作出する工程
(b)前記F1と前記植物Aを交雑させる工程
(c)前記DNAを有する植物を選抜する工程
(d)工程(c)によって選抜された植物と、前記植物Aを交雑させる工程
上記方法においては、本発明のDNAを有する植物Bと、いもち病抵抗性を付与したい植物(これら植物を「植物A」と記載する。)を交雑し、Bのもつ本発明のDNAが受け継がれ、かつ植物Aに近い個体を選抜し、これに植物Aによる交雑を重ねていく「戻し交雑」を行って、Bが有する本発明のDNAの形質を意図的に導入する。その際、一般的にゲノム育種に利用されるDNAマーカーを利用して本発明のDNAを有する植物を選抜することにより、上記「戻し交雑」による置換を効率的に行うことが可能である。その結果、育種期間の短縮に繋がり、また、余分なゲノム領域の混入を正確に除くことができる。通常、「戻し交雑」では、本発明のDNAと非常に強く連鎖する他のDNAに依存する形質がどうしても排除できないという現象が問題となることがあるが、本発明のDNAの近傍に存在するDNAマーカーを利用することにより、所望の植物の正確な選抜が可能となる。
上記方法においては、必要に応じて、本発明のDNA以外のゲノム全域が目的の遺伝形質でホモ固定するまで、繰り返して行うことができる。即ち、本発明の好ましい態様においては、上記工程(d)によって交雑された個体について、一般的なDNAマーカーを利用して、本発明のDNAを有し、かつ、ゲノム構造が植物Aに近い植物個体を選抜することができる。さらに、この選抜された植物個体は、必要に応じて、「戻し交雑」(イネ品種Aと交雑)させることができる。
特にDNAマーカーを利用したゲノム育種方法では、置換率の高い個体を選抜して次の交雑に進むことができるため、世代を進めるほどに選抜効率が良くなる。また、本方法では、少ない個体数を扱えば済むので、省スペースでの育種が可能になる。さらに、温室や人工気象室を利用して1年に複数回もの交雑が可能になる。
上記工程(c)において、DNAマーカーを用いて選抜するとは、当該DNAマーカーを特徴付ける塩基配列(例えば、多型等)についての塩基種の情報を基に、選抜を行うことを言う。例えば、本発明のDNAの近傍に多型変異が存在する場合、当該多型変異と同一の多型変異を有する個体を選抜すること等を言う。
本発明の育種方法は、好ましくは、DNAマーカーを利用した「ゲノム育種」方法である。該「ゲノム育種」は「マーカー育種」とも呼ばれる。
「ゲノム育種」とは、ゲノム全域に高密度で存在するDNAマーカーを利用し、交雑のたびに後代個体のゲノム全域についての染色体置換状況を図示したものを描写し、最も目的に適った染色体置換を有する個体を幼苗期に選抜して次の交雑に用いることを連続して行う育種方法である。従来の育種法では、次の交雑に用いる個体を選抜するために形質評価を用いていたため、多数の個体収穫期まで成長させる必要があり、1年に1回、あるいは2年に1回の交雑しかできず、また多数の個体を均一に栽培し正しく形質評価するには多大な労力と経験を要した。また、育種過程の最後に、染色体全域をホモ接合体とするために、複数回の自殖が必要であり、結果的に品種の完成までに10年以上を要することが多かった。また、この手法は長年の経験と勘に依存するものである。これに対して、ゲノム育種の戦略を用いれば、交雑して得られた多数の種子を発芽させ、幼苗期に選抜して少数の個体を育てて交雑することを繰り返し、形質評価も最終段階まで不要のため、温室や人工気象室を利用して1年に複数回もの交雑が可能である。さらに、染色体全域がホモ固定しているかどうかは選抜の過程で確認できるため、通常、交雑を終了した時点で品種が完成する。このため、開始から短期間で目的の植物を作出することが可能である。加えて、用いるDNAマーカーの密度を十分に高めることにより、形質転換に匹敵する精度で、目的の遺伝子領域のみを導入することも可能である。形質転換を用いないため、遺伝子組換え作物が受け入れられない国や地域でも問題なく栽培できる植物体を作製できる。
上述のように、本発明の育種方法の好ましい態様としては、本発明のDNA配列、またはその周辺配列に存在するDNAマーカーを利用して選抜することを特徴とする方法である。
本発明の育種方法において利用可能なDNAマーカーは、特に制限されず、一般的に知られている種々のDNAマーカーを好適に用いることができる。例えば、RFLP(制限酵素断片長多型)マーカー、SSR(単純反復配列)マーカー、SNP(一塩基多型)マーカー等を例示することができる。
本発明は、Pb1遺伝子領域あるいはその近傍領域に存在する分子マーカーを提供する。該分子マーカーの好ましい態様としては、イネのいもち病抵抗性遺伝子Pb1と連鎖する分子マーカーであって、図3の連鎖地図に示される分子マーカーを提供する。
図3に記載された分子マーカーに関する詳細を表1へ記載する。
Figure 0005618301
本発明の分子マーカーとしては、具体的には、以下の(A)から(G)のいずれかに示す、少なくとも1つのプライマーセットからなる分子マーカーが挙げられる。
(A)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:8に記載の塩基配列からなるDNA
(B)配列番号:11に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:12に記載の塩基配列からなるDNA
(C)配列番号:13に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:14に記載の塩基配列からなるDNA
(D)配列番号:15に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:16に記載の塩基配列からなるDNA
(E)配列番号:17に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:18に記載の塩基配列からなるDNA
(F)配列番号:19に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:20に記載の塩基配列からなるDNA
(G)配列番号:21に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:22に記載の塩基配列からなるDNA
本発明の分子マーカーのうち、少なくとも1つの分子マーカーを指標に、いもち病抵抗性植物体の識別あるいは選別を行うことができる。
本発明の分子マーカーを用いていもち病抵抗性植物体を識別あるいは選抜する方法(本明細書において「本発明の方法」と記載する場合あり)もまた本発明に含まれる。
本発明の方法においては、被検イネがいもち病抵抗性遺伝子Pb1を有するか否かを調べることにより、被検イネのいもち病抵抗性を特異的かつ効率的に識別あるいは選別できる。
本発明の識別方法においては、いもち病抵抗性の有無を識別したい所望のイネ(以下において、「被検植物」と記載する場合あり)において、Pb1遺伝子を有する場合に、被検植物はいもち病抵抗性を有するイネであるものと判定され、Pb1遺伝子を有しない場合に、被検植物はいもち病抵抗性を有しないイネであるものと判定される。
本発明の方法の好ましい態様においては、Pb1と連鎖する分子マーカーを用いることを特徴とする。本発明における「分子マーカー」とは、Pb1と遺伝的に連鎖するDNA領域であって、他のDNA領域と識別可能なDNA領域をいう。本発明において好ましい分子マーカーとしては、図3または表1に記載の分子マーカーを例示できる。
一般に分子マーカーとは、単位cMで表す地図距離が短いほどその遺伝子の近傍に位置し、その遺伝子と同時に遺伝するため、有用性が高い。
本発明の方法の一つの態様としては、いもち病抵抗性の形質を有するイネと同様の遺伝子型を示す場合に、被検イネがいもち病抵抗性であると判定される方法である。上記「いもち病抵抗性の形質を有するイネ」とは、いもち病抵抗性遺伝子Pb1を有することが確認されているイネのことをいう。例えば、被検植物における分子マーカーが「いもち病抵抗性の形質を有するイネ」と同じ遺伝子型を示すとき、被検植物はいもち病抵抗性を有すると判定される。被検植物における分子マーカーと「いもち病抵抗性の形質を有するイネ」における分子マーカーとの比較は、分子マーカーのDNA配列の比較だけではなく、該DNA配列によって特徴付けられる情報の比較によっても実施することができる。分子マーカーのDNA配列によって特徴づけられる情報としては、分子マーカーの存在の有無についての情報、分子マーカーに含まれる変異部位や多型部位の存在の有無についての情報が挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、被検植物のDNAを鋳型として分子マーカー領域増幅用のプライマーによってPCR法を行ったときの増幅産物の分子量が、「いもち病抵抗性の形質を有するイネ」増幅産物の分子量を電気泳動で比較し、分子量が同じであれば「同様の遺伝子型を示す」ということができる。よって、「同様の遺伝子型を示す」には、分子マーカーのDNA配列が完全に同一である場合だけではなく、該DNA配列によって特徴づけられる情報が同一である場合も含まれる。
また本発明の一つの態様においては、図3の連鎖地図に示される2つ以上の分子マーカーを適宜選択し、本発明の識別方法を実施することにより、より確度の高い識別が可能となる。
本発明において「分子マーカーを用いる」とは、該分子マーカーをイネのいもち病抵抗性の識別もしくは選別のための指標として利用することを意味する。つまり本発明の好ましい態様においては、被検植物について分子マーカーがいもち病抵抗性の形質を有するイネと同様の遺伝子型を示す場合に、被検植物はいもち病抵抗性の形質を有するものと判断される。
本発明において「被検イネ」とは、イネであれば特に制限されず、インディカ種であっても、ジャポニカ種であってもよく、または、インディカ種とジャポニカ種との交配品種・系統や野生イネ、あるいは栽培品種と野生イネの交配・交雑品種であってもよい。本発明における「いもち病抵抗性の形質を有するイネ」としては、Pb1を有するイネであればよく、例えば、「Modan」を挙げることができる。既にPb1を有していることが判明しているイネの品種・系統における分子マーカーの型を対照(コントロール)とすることにより、上記識別方法を実施することができる。
また、本発明の好ましい態様においては、「被検植物」は、好ましくは、親が判明している育成途中の系統等を指す。つまり、被検植物において、「いもち病抵抗性」の親と同じ遺伝子型を示すものが、高い確率でいもち病抵抗性の形質を有する(Pb1遺伝子を有する)ものと判定される。この場合の確率とは、組換え価をP(%)とした場合、1-0.01xPで表わすことができる。
また、本発明の識別方法に供される、DNA試料は、特に制限されるものではないが、通常、被検植物であるイネから抽出するゲノムDNAを用いる。また、ゲノムDNAの採取源としては特に限定されるものではなく、イネのいずれの組織からも抽出できる。例えば、穂、葉、根、茎、種子、胚乳部、フスマ、胚等から抽出することができる。
本発明の上記DNA試料の調製(抽出)方法としては、当業者においては、公知の方法によって行うことができる。好ましい調製方法として、例えば、CTAB法を用いてDNAを抽出する方法を挙げることができる。
さらに本発明の上記電気泳動分析は常法にしたがって行えばよい。例えば、アガロースまたはポリアクリルアミドのゲル中で電圧をかけて電気泳動し、分離したDNAパターンを分析する。
本発明はまた、配列番号:1、3、4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖に相補的な少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを提供する。
ここで「相補鎖」とは、A:T(ただしRNAの場合はU)、G:Cの塩基対からなる2本鎖核酸の一方の鎖に対する他方の鎖を指す。また、「相補的」とは、少なくとも15個の連続したヌクレオチド領域で完全に相補配列である場合に限られず、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の塩基配列上の相同性を有すればよい。相同性を決定するためのアルゴリズムは当業者に周知のものを使用すればよい。
本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号:1、3、4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖に特異的にハイブリダイズする。ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA,第2版1989に記載の条件)において、他のDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。
本発明のオリゴヌクレオチドは、配列番号:1、3、4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAの検出や増幅に用いるプローブやプライマーとして使用することができる。また、本発明のオリゴヌクレオチドは、DNAアレイの基板の形態で使用することができる。
該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、本発明のDNAまたはその相補鎖の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。また、プライマーとして用いる場合、3'側の領域は相補的とし、5'側には制限酵素認識配列やタグなどを付加することができる。また、配列番号:1、3、4に記載の塩基配列からなるDNAの検出や増幅に用いるプライマーセットとしては、例えば、上述の(a)から(g)のいずれかに示す、少なくとも1つのプライマーセットを例示することできる。
また、上記オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する場合、該プローブは、配列番号:1、3、4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAまたはその相補鎖の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするものであれば、特に制限されない。該プローブは、合成オリゴヌクレオチドであってもよく、通常少なくとも15bp以上の鎖長を有する。
本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、適宜標識して用いることが好ましい。標識する方法としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、オリゴヌクレオチドの5'端を32Pでリン酸化することにより標識する方法、およびクレノウ酵素等のDNAポリメラーゼを用い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチド等をプライマーとして32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を取り込ませる方法(ランダムプライム法等)を例示することができる。
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成機により作製することができる。プローブは、制限酵素処理等によって取得される二本鎖DNA断片として作製することもできる。
本発明のイネのいもち病抵抗性を識別するための試薬においては、有効成分であるオリゴヌクレオチド以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤等が必要に応じて混合されていてもよい。
本発明の識別方法を利用すれば、いもち病抵抗性と識別されるイネを早期に選抜することが可能となる。本発明はこのようないもち病抵抗性と識別されるイネを早期に選抜する方法も提供する。ここでいう「早期」とは、イネの出穂より前の状態を指し、好ましくは発芽直後の状態を指す。本発明の選抜方法を利用すれば、いもち病抵抗性の形質を有する品種の育成を従来よりも短期間で成し遂げることが可能となる。
また本発明は、本発明の植物体もしくはその種子の製造方法、またはこれらの育種方法に用いるためのオリゴヌクレオチドを含む、試薬(例えば、植物体育種用試薬等)を提供する。
本発明の試薬は、より具体的には、以下の(a)および(b)のオリゴヌクレオチドを含有する試薬である。
(a)本発明のDNA(例えば、配列番号:1、3、4のいずれかに記載の配列)の全配列もしくはその一部の配列を増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマー
(b)本発明のDNA領域とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドプローブ
本発明の試薬には、上述の(A)から(G)のいずれかに示す、少なくとも1つのプライマーセットからなる分子マーカーを含有する試薬が含まれる。
本発明のプライマー、またはプローブは、それを構成する塩基配列をもとに、任意の方法によって合成することができる。本発明のプライマーまたはプローブの、ゲノムDNAに相補的な塩基配列の長さは、通常15〜100、一般に15〜50、好ましくは15〜30である。与えられた塩基配列に基づいて、当該塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを合成する手法は公知である。更に、オリゴヌクレオチドの合成において、蛍光色素やビオチンなどで修飾されたヌクレオチド誘導体を利用して、オリゴヌクレオチドに任意の修飾を導入することもできる。あるいは、合成されたオリゴヌクレオチドに、蛍光色素などを結合する方法も公知である。
また本発明は、本発明の各種方法に使用するためのキット、例えば、本発明の植物育種方法に使用するための育種用キットを提供する。本発明のキットの好ましい態様においては、上記(a)または(b)の少なくとも1種のオリゴヌクレオチドを含む。
また、本発明の好ましい態様においては、上記(A)から(G)のいずれかに示す、少なくとも1つのプライマーセットからなる分子マーカーを含む、いもち病抵抗性識別キットが挙げられる。本発明のキットには、適宜、陽性や陰性の標準試料、使用方法を記載した指示書等をパッケージしておくこともできる。
本発明のDNAもしくはベクターは、例えば、いもち病抵抗性が付与された植物体、もしくはその種子の作出等に利用することが可能である。
本発明のDNAもしくはベクターを、所望の植物体もしくはその種子において発現させることにより、いもち病抵抗性植物体もしくはその種子を作製することが可能である。
従って本発明は、本発明のDNA、該DNAによってコードされるタンパク質、または本発明のベクターを有効成分とする、いもち病抵抗性付与剤を提供する。
本発明における「いもち病抵抗性付与剤」とは、植物体へいもち病抵抗性を付与させることを用途とする本発明のDNA、該DNAによってコードされるタンパク質、または本発明のベクターを有効成分とする物質、もしくは組成物(混合物)を指す。
本発明の薬剤(例えば、いもち病抵抗性付与剤)においては、有効成分であるDNAまたはベクター以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤等が必要に応じて混合されていてもよい。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
〔実施例1〕
(1)方法
(ア)Pb1 領域の遺伝学的同定
「農林8号」/「St.No. 1」のF2 分離集団、また組換え頻度の向上が期待される「St.No. 1」/Kasalath 染色体断片置換系統「SL234」・「SL235」・「SL51」のF2 分離集団を養成し、Pb1領域278 kbの両端に位置するDNAマーカーにより、この領域内で組換えを起こした系統を選抜し、自殖し固定系統とした。
(イ)穂いもち抵抗性の検定
愛知県農業総合試験場山間農業研究所内のいもち病常発圃場において、2005〜2007年まで3年間、穂いもち抵抗性を検定した。組換え自植固定(F4)系統または個体を1列13株、2反復で栽培し、浅賀の基準による罹病籾率の調査後、出穂期毎の比較品種シリーズの罹病程度から判定日を決定し、各供試系統の穂いもち抵抗性を評価した。抵抗性の評価においては、同一F3から由来する対照系統を隣接して配置し、その発病程度との比較により判定した。
(ウ)St.No.1の塩基配列取得と形質転換体の作出
St.No.1のBACライブラリーの作成、DNAマーカーによるクローン選抜、塩基配列解読によりPb1領域の一部に対応するSt.No.1の配列情報を得た。候補遺伝子をバイナリーベクターpPZP2H-lacに組み込み、穂いもち抵抗性弱品種農林8号に導入し、組換え体を作出した。
(エ)相補性試験
形質転換体(T0およびT1)にイネいもち病菌を接種し、抵抗性が相補されるかどうか検討した。形質転換体(T0) は、穂揃期に胞子懸濁液を噴霧接種した。形質転換体(T1)は10葉期、止葉期、穂揃期のイネに胞子懸濁液の噴霧または有傷により接種した。
(オ)発現解析
遺伝子発現の面からPb1遺伝子を確定するため、Pb1領域近傍の異なるゲノム配列を含む系統および同質遺伝子系統を用い、生育ステージ毎に候補遺伝子の発現をリアルタイム-PCRで解析した。
(2)結果
(ア)候補遺伝子の絞り込み
St.No.1のPb1領域を含むBACクローン49J11が選抜された。全長は151 kbで58.7 kbの配列が28 bpの配列を挟みタンデムに2個並ぶ構造をしていた。58.7 kbの反復配列(以下反復配列)間には5カ所にそれぞれ1〜3 bpの違いが見られた。この領域を「日本晴」と比較すると反復配列のほぼ1個分が対応していたが、そのセントロメア側末端1 kbの相同性は低かった。農林8号/St.No.1、コシヒカリ背景Kasalath染色体断片置換系統/St.No.1などのF2分離集団(n=約11,500)から選抜した組換え固定系統の生物検定とマーカーにより、Pb1領域を25.9 kb内に位置づけた。この領域には5個の遺伝子(P14、P15、P16、P17、P18)が予測された(図1)。このうちP15、P18の発現がRT-PCRにより確認された。
(イ)相補性検定
P15及びP18の相補性検定のため、St.No.1のBACクローン49J11由来候補領域のゲノムDNAを導入した形質転換体イネを作製した。T0における検定では、P15に強い抵抗性を示す個体がみられた。T1では止葉期および穂揃期にいもち病菌胞子液を噴霧接種した時、独立した6系統においてP15導入個体に抵抗性が確認され相補した(図2)。P15は塩基数3,897 bp、アミノ酸数1,296でイントロンはなく、7回繰り返しのコイルドコイル、nucleotide-binding site、13個のLRRドメインを持つCC-NBS-LRR構造をとる(図2)。
(ウ)発現解析
Pb1の同質遺伝子系統におけるP15遺伝子の生育ステージ別発現パターンは、Pb1によるいもち病抵抗性の推移と相関を示した。P15およびP5(P15と1アミノ酸異なる)を、単独または両方もつ組換え固定系統におけるPb1の発現解析から、P15はP5の約50倍の発現量を示した。
〔実施例2〕
(1)イネの生長に伴う、Pb1発現といもち病抵抗性の検討
Pb1をもつコシヒカリと同質のイネ品種「コシヒカリ愛知SBL」と持たない「コシヒカリ」を供試し、生長の異なるステージ、2L(葉期)、6L、10L、止葉期、穂揃期でのPb1遺伝子の発現量及び各時期のいもち病抵抗性を、それぞれリアルタイムPCR及びいもち病菌胞子懸濁液の噴霧接種により調べた。
その結果、2L(葉期)、6LではPb1遺伝子の発現量は低かったが、生長ステージの推移に従い増加し、穂で最大になった(図4)。
一方、「コシヒカリ」に対する「コシヒカリ愛知SBL」の比で示した抵抗性(2L〜止葉期は葉いもち、穂揃い期は穂いもち)の程度は、生長ステージの推移に従い強くなり、Pb1遺伝子の発現量と抵抗性は相関した。このことからPb1による圃場抵抗性の成体抵抗性の特性は発現量による作用と考えられた。
(2)Pb1過剰発現による葉いもち抵抗性の付与
トウモロコシユビキチンプロモーターにPb1を連結したプラスミドpZH1を日本晴に形質転換させたPb1過剰発現日本晴の9葉期苗にいもち病菌レース003.0を接種した。
過剰発現体は接種7日後における罹病性病斑数および接種10〜12日後における病斑面積率とも抑制され、葉いもちにも抵抗性を示した(図5)。Nativeでは葉いもちに効果がないが、発現量を制御することで葉いもち、穂いもちにも抵抗性にすることができると考えられる。
(3)Pb1'過剰発現による葉いもち抵抗性の付与
Pb1の約60 kb上流に位置し、Pb1とは1アミノ酸しか違わないPb1'はPb1と異なりnativeプロモーターでは発現量が低く、穂いもち、葉いもちともに抵抗性を示さない。
しかし、Pb1'をトウモロコシユビキチンプロモーターにより過剰発現させた日本晴に、いもち病菌レース003.0を接種したところ、Pb1'過剰発現体は病斑数および病斑面積率とも抑制され、葉いもちに抵抗性を示した(図6)。
なお、Pb1'の塩基配列を配列番号:25に、Pb1'のアミノ酸配列を配列番号:26に示す。
Pb1遺伝子は主動遺伝子であり、生育ステージ後半から抵抗性が発揮される成体抵抗性、および一般農家に普及後20年以上の長期に亘る抵抗性の持続など抵抗性品種として望ましい。また育種により導入しやすい特長をもつが、構造、機能、遺伝子発現様式は全く明らかでなかった。Pb1遺伝子の発現量の変化は、イネでみられる成体抵抗性の変化と一致したことにより、成体抵抗性や持続的な抵抗性を示すものと考えられる。また、穂いもち圃場抵抗性に関与する遺伝子の組織発現特異性、発現レベルを変更することによって、抵抗性と実用性の高い特性を兼ね備えた品種を育成することが可能となった。

Claims (18)

  1. 下記(a)〜(d)のいずれかに記載のDNAであって、いもち病抵抗性機能を有するタンパク質をコードするDNA。
    (a)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
    (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (c)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAと95%以上の同一性を有するDNA
    (d)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
  2. 前記いもち病がイネ穂いもち病である、請求項1に記載のDNA。
  3. 請求項1または2に記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  4. 請求項1または2に記載のDNAを含むベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターが導入された宿主細胞。
  6. 請求項4に記載のベクターが導入された植物細胞。
  7. 請求項6に記載の植物細胞を含む形質転換植物体。
  8. 請求項7に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
  9. 請求項7または8に記載の形質転換植物体の繁殖材料。
  10. 請求項5に記載の宿主細胞を培養し、該細胞またはその培養上清から組換えタンパク質を回収する工程を含む、請求項3に記載のタンパク質の製造方法。
  11. 下記(a)または(b)を有効成分として含有する、いもち病抵抗性付与剤。
    (a)請求項1もしくは2に記載のDNA
    )請求項4に記載のベクター
  12. 前記いもち病がイネ穂いもち病である、請求項11に記載のいもち病抵抗性付与剤
  13. 請求項1もしくは2に記載のDNA、または、請求項4に記載のベクターを植物細胞へ導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む、形質転換植物体の製造方法。
  14. 請求項1もしくは2に記載のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、植物にいもち病抵抗性を付与する方法。
  15. 請求項1もしくは2に記載のDNAを植物体の細胞内で発現させる工程を含む、いもち病抵抗性植物の製造方法。
  16. 請求項1もしくは2に記載のDNA、または請求項4に記載のベクターを植物細胞へ導入する工程を含む、請求項14または15に記載の方法。
  17. 植物がイネである、請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 以下(A)〜(G)のいずれかに示す、少なくとも1つのプライマーセットを用いて検出される分子マーカー。
    (A)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:8に記載の塩基配列からなるDNA
    (B)配列番号:11に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:12に記載の塩基配列からなるDNA
    (C)配列番号:13に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:14に記載の塩基配列からなるDNA
    (D)配列番号:15に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:16に記載の塩基配列からなるDNA
    (E)配列番号:17に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:18に記載の塩基配列からなるDNA
    (F)配列番号:19に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:20に記載の塩基配列からなるDNA
    (G)配列番号:21に記載の塩基配列からなるDNA、および配列番号:22に記載の塩基配列からなるDNA
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