JP5613993B2 - 構造体および構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電気回路が接着剤を介することなくポリアリーレンスルフィドフィルムの間に挟まれた構造体に関する。
従来、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略称することがある。)は、優れた耐熱性、難燃性、耐加水分解性、耐薬品性、電気絶縁性および低吸湿性などの性質を有しており、電気回路用部材として使用されることが開示されている。例えば、(1)未延伸ポリフェニレンスルフィドシートを接着剤として金属板と積層されてなる積層体が開示されている(特許文献1)。また、(2)ポリフェニレンスルフィドの間に電気回路を有する回路基板が開示されている(特許文献2)。また、(3)ポリフェニレンスルフィドをカバーレイとして使用することが開示されている(特許文献3)。(1)の積層体においては、融点付近の温度にさらされると急激に強度が低下する場合があり、また、150℃以上の高温下で長時間使用されると、ポリマの結晶化が進み、機械特性が低下する危険性があった。(2)(3)の回路基板においては、接着剤を用いて積層しているため、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムの耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性などの優れた特性を低下させてしまうなどの問題があった。
特開平3−90349号公報 特開平6−91812号公報 特開2007−287974号公報
電気回路を示す上面図である。 電気回路を示す上面図である。
本発明は、接着剤を介さずに、ポリアリーレンスルフィドの優れた特性を低下させることなく、かつ接着性に優れたポリアリーレンスルフィドに挟まれた電気回路構造体を提供することを目的とするものである。
ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に導電体からなるエレメント(C)が形成され、該導電体からなるエレメントが電気回路であって、さらにその導電体からなるエレメント(C)をポリアリーレンスルフィドフィルム(B)で覆ってなり、前記ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)は積層構造であり、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と接する側が、p−フェニレンスルフィド以外の少なくとも1種以上の共重合成分を有する共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層されており、かつ、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)の厚みが電気回路の回路高さ以上であること特徴とする構造体。また、本発明の構造体は、共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)の融点(Tm)−20℃以上、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)の融点(Tm)以下の温度でポリアリーレンスルフィドフィルム(A)/共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)/導電体からなるエレメント(C)/共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の順に熱圧着して積層されることを特徴とする構造体の製造方法であり、また、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)の融点(Tm)−20℃以上、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の融点(Tm)以下の温度でポリアリーレンスルフィドフィルム(A)/導電体からなるエレメント(C)/共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の順に熱圧着して積層されることを特徴とする構造体の製造方法である。

本発明によれば、ポリアリーレンスルフィドの優れた特性を低下させることなくポリアリーレンスルフィドに挟まれた電気回路構造体を得ることができる。
本発明の構造体は、電気回路用として幅広く用いることが可能であり、特にポリフェニレンスルフィドの耐熱性、耐薬品性を活かし、高温高圧下、水分共存下、液体化学物質雰囲気下で好適に用いられる。また、難燃剤を添加することなく難燃性を有するため、非ハロゲン性が要求される電気部品としても好適に用いられる。
本発明の構造体を構成するポリアリーレンスルフィドは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するホモポリマーあるいはコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などで表される構成単位などが挙げられる。
Figure 0005613993
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)
本発明で用いるポリアリーレンスルフィドの繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、耐熱性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく例示され、ポリマの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を好ましくは92モル%以上、より好ましくは95モル%以上含む樹脂であることが好ましい。かかるp−フェニレンスルフィド単位が92モル%未満では、ポリマの結晶性やガラス転移温度などが低く、PPSの特徴である耐熱性、電気特性、耐薬品性、耐液体化学物質性などを損なうことがある。
Figure 0005613993
上記PPS樹脂中繰り返し単位の8モル%未満、好ましくは5モル%未満であれば、共重合可能な他のスルフィド結合を含有する単位が含まれていても差し支えない。共重合可能なスルフィド結合を含有する単位としては、例えば、3官能単位、エーテル単位、スルホン単位、ケトン単位、メタ結合単位、アルキル基などの置換基を有するアリール単位、ビフェニル単位、ターフェニレン単位、ビニレン単位およびカーボネート単位などが例として挙げられる。これらのうち一つまたは二つ以上共存させて構成することができる。この場合、該構成単位は、ランダム型またはブロック型のいずれの共重合方法であってもよい。
PPS樹脂の溶融粘度は、溶融混練が可能であれば特に限定されないが、温度315℃で剪断速度1,000(1/sec)のもとで、1、000〜20、000ポイズの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは2、000〜10,000ポイズの範囲である。
上記で得られたPPS樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水および酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネートおよび官能基ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など、種々の処理を施した上で使用することも可能である。
次に、PPS樹脂の製造法を例示するが、本発明では特にこれに限定されない。例えば、硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンをN-メチル-2ーピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で、高温高圧下で反応させる。必要に応じて、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることも可能である。重合度調整剤として苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し230〜280℃で重合反応させる。重合後にポリマを冷却し、ポリマを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃、10〜60分攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃で数回洗浄、乾燥してPPS粉末を得る。この粉末ポリマを酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃のイオン交換水で数回洗浄し、5トール以下の減圧下で乾燥する。
PPS樹脂の加熱による架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気や酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。加熱処理温度は、通常170〜280℃が選択され、より好ましくは200〜270℃であり、また、加熱処理時間は、通常0.5〜100時間が選択され、より好ましくは2〜50時間であるが、この両者を制御することにより目標とする粘度レベルを得ることができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置であってもよいが、効率よくしかも均一に処理するためには、回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。
PPS樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間は0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間加熱処理する方法を例示することができる。加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置でもよいが、効率よく、しかもより均一に処理するためには回転式あるいは攪拌翼つきの加熱装置を用いることが好ましい。本発明で用いるPPS樹脂は、熱酸化架橋処理による高分子量化を行わない実質的に直鎖状のPPSであることが好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂は、脱イオン処理を施されたPPS樹脂を少なくとも含んでいることが好ましい。脱イオン処理の具体的方法としては、酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理、および有機溶剤洗浄処理などを例示することができ、これらの処理は2種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。
PPS樹脂の有機溶剤洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、有機溶剤としては、PPS樹脂を分解する作用などを有していないものであれば特に制限はなく、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒の中で、N−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムが特に好ましく用いられる。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について特に制限はなく、常温〜300℃の範囲で任意の温度を選択することができる。洗浄温度が高くなるほど、洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の温度で十分効果が得られる。また、有機溶媒洗浄を施されたPPS樹脂は残留している有機溶媒を除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
PPS樹脂の熱水洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱し攪拌することにより行われる。PPS樹脂と水との割合は、水の方が多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
PPS樹脂の酸水溶液洗浄処理の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要に応じて適宜攪拌または加熱することも可能である。用いられる酸は、PPS樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸および酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸やジクロロ酢酸などのハロゲン置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸やクロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸やサリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸およびフマル酸などのジカルボンン酸、硫酸、リン酸、塩酸、炭酸および珪酸などの無機酸性化合物などが挙げられる。中でも酢酸と塩酸が好ましく用いられる。酸処理を施されたPPS樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、洗浄に用いられる水は、酸処理によりPPS樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
本発明の構造体は、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に導電体からなるエレメントが形成され、さらにこの導電体からなるエレメントをポリアリーレンスルフィドフィルム(B)で覆い固定化することを特徴とする構造体である。
本発明のポリアリーレンスルフィドフィルムとは、上記PPS樹脂を溶融成形してシート状とし、少なくとも一軸延伸、好ましくは二軸延伸した後、熱処理してなる二軸配向フィルムであることが好ましい。本発明においては、電気回路などの導電体からなるエレメントがポリアリーレンスルフィドフィルム(A)とポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の間に挟まれることが構造体の耐熱性、耐薬品性、耐液体化学物質性、電気特性、難燃性を発現する観点から好ましい。
本発明構造体を構成する、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)は、上記PPS樹脂を90重量%以上含有していることが好ましく、10重量%未満では、PPS樹脂以外のポリマを含むことができる。PPS樹脂以外のポリマは、例えば、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトンなどの各種ポリマおよびこれらのポリマの少なくとも1種を含むブレンド物を挙げることができる。本発明の場合、ポリエーテルイミドがPPS樹脂との親和性がよく、製膜性の観点から好ましい。
本発明に用いられるポリエーテルイミドとしては、脂肪族、脂環族または芳香族系のエーテル単位と環状イミド基を繰り返し単位として含有するポリマであり、溶融成形性を有するポリマであれば、特に限定されない。例えば、米国特許第4141927号、特許第2622678号、特許第2606912号、特許第2606914号、特許第2596565号、特許第2596566号、特許第2598478号のポリエーテルイミド、特許第2598536号、特許第2599171号、特開平9−48852号公報、特許第2565556号、特許第2564636号、特許第2564637号、特許第2563548号、特許第2563547号、特許第2558341号、特許第2558339号、特許第2834580号に記載のポリマである。本発明の効果を阻害しない範囲であれば、ポリエーテルイミドの主鎖に環状イミド、エーテル単位以外の構造単位、例えば、芳香族、脂肪族、脂環族エステル単位、オキシカルボニル単位等が含有されていても良い。本発明では、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンまたはp−フェニレンジアミンとの縮合物が、溶融成型性等の観点から好ましい。このポリエーテルイミドは、“Ultem”(登録商標)の商標名で、General Electric社より入手可能である。
さらに、PPS樹脂中にポリエーテルイミドを添加する際には、相溶化剤を添加することが好ましく、好ましい相溶化剤の例としては、例えば、エポキシ基、アミノ基、イソシアネ−ト基から選択される一種以上の官能基を有するアルコキシシランが挙げられる。かかる化合物の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナネ−トプロピルトリクロロシランなどのイソシアネ−ト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。中でも、γ−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアネ−トプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナネ−トプロピルトリクロロシランなどのイソシアネ−ト基含有アルコキシシラン化合物を用いると、ポリエーテルイミドの分散性を向上させることができるため好ましく用いられる。
ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)には、無機または有機フィラー、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、核剤などの添加剤を含むこともできる。
また、本発明のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)は、積層構造であってもよく、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)のポリアリーレンスルフィドフィルム(B)と接する側が、p−フェニレンスルフィド以外の少なくとも1種以上の共重合成分を有する共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)が積層されていることが本発明の構造体の接着性、耐熱性、耐薬品性、耐液体化学物質性、電気特性、難燃性を発現する観点から好ましい。
また、本発明のポリアリーレンスルフィドフィルム(B)は、積層構造であってもよく、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と接する側が、p−フェニレンスルフィド以外の少なくとも1種以上の共重合成分を有する共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層されていることが本発明の構造体の接着性、耐熱性、耐薬品性、耐液体化学物質性、電気特性、難燃性を発現する観点から好ましい。
本発明で用いる共重合ポリフェニレンスルフィドとは、好ましくは繰り返し単位の80モル%以上92モル%以下が主成分としてp−フェニレンスルフィド単位で構成されていることが好ましい。かかる主成分が80モル%未満では、構造体の耐熱性低下が著しくなる場合があり、92モル%を超えるとポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と電気回路などの導電体からなるエレメントとをポリアリーレンスルフィドフィルム(B)ではさみ固定化する際、接着性を十分高めることができない場合がある。
共重合単位としては、下記式に示すm−フェニレンスルフィド単位、
Figure 0005613993
Figure 0005613993
Figure 0005613993
(ここでXは、アルキレン、CO、SO単位を示す。)
Figure 0005613993
Figure 0005613993
(ここでRはアルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、これらの複合の単位が存在してもかまわない。好ましい共重合単位は、m−フェニレンスルフィド単位である。これらの単位の共重合量は、8モル%以上20モル%以下が好ましく、より好ましくは10モル%以上18モル%以下である。かかる共重合成分が8モル%未満では、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と電気回路とをポリアリーレンスルフィドフィルム(B)ではさみ固定化する際、接着性を十分高めることができない場合があり、20モル%を超えると構造体の耐熱性が低下する場合がある。
本発明で用いられる共重合ポリフェニレンスルフィドの上記主成分と共重合成分との共重合の態様は特に限定はないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明においては、共重合ポリフェニレンスルフィドを構成する共重合体の繰り返し単位の残りの部分においては、さらに他の共重合可能な構成単位で構成されてもよいが、例えば、下記式に代表される3官能性フェニルスルフィドは、共重合体全体の1モル%以下であることが好ましい。
Figure 0005613993
本発明においては、上記共重合ポリフェニレンスルフィドを、溶融成形してシート状とし、二軸延伸、熱処理して用いることが好ましい。このようにして得られた共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)により、構造体の耐熱性、耐薬品性、耐液体化学物質性、電気特性を向上することが可能となる。
共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)の融点は、ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および/または(B)の融点より1〜100℃低いことが好ましく、より好ましくは、10℃〜50℃であり、さらに好ましくは、20℃〜40℃である。共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)の融点とポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および/または(B)の融点との差が1℃未満の場合、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と電気回路などの導電体からなるエレメントとをポリアリーレンスルフィドフィルム(B)ではさみ固定化する際、接着性を十分高めることができない場合があり、共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)とポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および/または(B)との融点差が100℃を超える場合、構造体の耐熱性の低下が著しくなる場合がある。共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)の融点は、共重合成分のモル比によって適宜調製できる。例えば、共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)の融点を210℃とする場合は、共重合成分のモル比を20モル%とすることにより得ることができる。
共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および(BC)を製造する方法は、特に限定されないが、共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂を単独で溶融成形してシート状とし、二軸延伸、熱処理する方法や、p−フェニレンスルフィド単位を主成分とするPPS樹脂の少なくとも片面に共押出して積層シートとし、該積層シートを二軸延伸、熱処理する方法などが挙げられる。本発明においては、共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂をPPS樹脂と共押出しして製造する方法が、構造体を構成するポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)の接着性向上および耐薬品性、耐液体化学物質性、電気特性向上の観点で好ましく用いられる。
共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)の厚みは、特に限定されないが、5μm以上、50μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以上30μm以下である。共重合ポリフェニレンスルフィド層の厚みが5μm未満の場合、電気回路などの導電体からなるエレメントとの接着性が十分高められない場合があり、また、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)ではさみ固定化する際、B層との接着性を十分高めることができない場合があり、50μmを超えると、構造体の耐熱性が低下する場合がある。
共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)の厚みは、特に限定されないが、本発明の構造体に形成された導電体からなるエレメントである電気回路の回路高さ以上であることが好ましい。電気回路の高さとは、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に形成される場合、A層の表面から電気回路の頂点までの距離を表す。回路の高さが5μm未満の場合においては、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)層の厚みは、5μm以上、50μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以上30μm以下である。共重合ポリフェニレンスルフィド層の厚みが5μm未満の場合、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)との接着性を十分高めることができない場合があり、50μmを超えると、構造体の耐熱性が低下する場合がある。一方、電気回路の高さが5μm以上の場合、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)との接着性向上の観点から、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)層の厚みは、5μm以上、50μm以下であることが好ましく、より好ましくは、10μm以上、30μm以下である。また、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)との間の空隙率低減の観点から、BC層の厚さは、電気回路の高さ以上であることが好ましい態様である。
本発明のポリアリーレンスルフィドフィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
本発明のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)の配向は、レーザーラマン分光により測定することができる。ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)が共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)あるいは(BC)を積層していない場合、配向しているとは、レ−ザ−ラマン分光により得られる配向パラメータが、2.0〜8.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは、2.5〜6.0である。配向パラメータが8.0を超えると、分子鎖配向が進み過ぎたり、結晶化が進行しすぎたりして、フィルムの加工時や使用時に破損したり、実用上使用に耐えない場合がある。また、配向パラメータが2.0未満の場合、分子鎖配向が不十分であったり、結晶化の進行が不十分であったりして、構造体の耐熱性が低下する場合がある。一方、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)が共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)あるはい(BC)を積層している場合、レーザーラマン分光により得られるAC層あるいはBC層の配向パラメータが1.3以上であれば配向しているものと言うことができる。
ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)、(B)共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)または(BC)の配向パラメータを上記範囲とするためには、例えば、縦延伸における延伸温度や延伸倍率、横延伸前の予熱温度、横延伸における延伸温度や延伸倍率、さらに、延伸後の熱固定温度を本発明の好ましい範囲にすることにより得ることが可能となる。
上記レーザーラマン分光による測定方法は特に限定されないが、例えば、レーザーラマン装置(PDP320(フォトンデザイン社製))を用い、マイクロプロ−ブ対物レンズ100倍、対物レンズは、近赤外域(1064〜1300nm)に透過性を有し、NA0.95、色収差補正されているものを使用することができる。クロススリット1mm、スポット径1μm、光源Nd−YAG(波長1064nm、出力:1W)、回折格子 Spectrograph300g/mm、スリット:100μm、検出器InGaAs(Roper Scientific 512)が好ましく用いられる。
測定に用いるフィルムは、サンプリングしてエポキシ樹脂に包理後、ミクロト−ムでフィルム 断面を作製した。フィルム断面がフィルム長手方向または幅方向に平行なものを調整し、各試料の 中央点を測定点として、長手方向および幅方向のそれぞれに対して5個の試料を測定して平均値を算出した。測定は、入射光の偏光方向に平行な偏光方向に配置した偏光子を通して検出し、試料 を回転させ、レーザー光の偏光方向に対して、フィルム面に平行な偏光方向と垂直な偏光方向を でスペクトルを得た。配向パラメータは、下記式により算出した。
(配向パラメータ)=(I1575/I740)(平行)/(I1575/I740)(垂直)
I1575/I740(平行):フィルム面に平行な偏光方向で測定したラマンスペクトルにおいて、1575cm-1付近のラマンバンドを740cm-1付近のラマンバンド強度で除したもの。
I1575/I740(垂直):フィルム面に垂直な偏光方向で測定したラマンスペクトルにおいて、1575cm-1付近のラマンバンドを740cm-1付近のラマンバンド強度で除したもの。
本発明の構造体は、導電体からなるエレメントがポリアリーレンスルフィドフィルムとの間に挟まれて固定化されてなる構造体である。本発明においてはポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と導電体からなるエレメントが接着剤を用いることなくポリアリーレンスルフィドフィルム(B)と積層されることが好ましい態様である。
上記接着剤とは、ポリアリーレンスルフィド樹脂以外の組成を有するものであり、特に限定されないが、ポリウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、シリコーン系などを挙げることができる。
本発明の構造体は、ポリアリーレンスルフィドフィルム上に形成された導電体からなるエレメントがポリアリーレンスルフィドフィルムで覆われた構成となっている。これは、導電体からなるエレメントである電気回路のとき、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に電気回路を形成したのち、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)で覆うことが好ましい態様である。勿論、上記構成に限定されるものではない。例えば、上記構成以外に、A層の片表面に共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)を積層し、該AC層上に電気回路を形成したのち、電気回路側表面をポリアリーレンスルフィドフィルム(B)で覆う構成、または、A層の片表面に共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)が積層され、該AC層上に電気回路を形成したのち、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層された二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)をBC層側が電気回路側となるよう覆う構成、または、二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に電気回路を形成したのち、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層された二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)のBC層側が電気回路側となるよう覆う構成などが挙げられる。構造体作製後の電気回路形状保持の観点、およびフィルム積層界面の接着性の観点、さらには、電気回路の樹脂埋め込み性の観点から、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に電気回路を形成したのち、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層されたポリアリーレンスルフィドフィルム(B)のBC層側が電気回路側となるよう覆う構成が好ましく用いられる。
本発明の構造体を構成する導電体からなるエレメント(C)において、導電体とは、導電性材料、例えば金属、炭素、グラファイト、これら物質の単体もしくは混合物で形成されるものであり、導電体からなるエレメントとは、導電体をパターン化することにより形成された電極やアンテナ等、電気回路などを挙げることができる。導電体パターンの形成方法は周知の方法、例えば、積層、蒸着、メッキなどの方法で金属層を設けてパターンにエッチングすることによって形成できる。また、金属はやカーボンなどの導電体を含有する導電ペーストをスクリーン印刷、シルク印刷、インクジェット印刷法などの方法でパターンを形成することもできる。
また、本発明における電気回路は、導電体をパターン化した電気の通路であり、導電体としては、銅、アルミニウム、鉄などの金属または2種以上の合金や銅、銀などの金属またはカーボンなどの導電体を含有するペーストなどを挙げることができる。また、本発明の回路層は上記導電体が2層以上積層されていてもよく、同種の導電体は勿論、異種の導電体を積層することが可能である。
本発明のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)の厚みは、5μm以上1000μm以下が好ましい。より好ましくは、10μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは、20μm以上300μm以下である。厚みが5μm未満の場合、機械強度が十分でない場合があり、厚みが1000μmを超えると電気回路との熱圧着性が低下する場合がある。
本発明のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と導電体からなるエレメントとをポリアリーレンスルフィドフィルム(B)で固定化する方法は、特に限定されないが、AおよびB層の融点未満の温度で、電気回路の形状が損なわれない程度に圧力をかけて熱圧着させる方法、A層および/またはB層の片表面に共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および/または(BC)が積層されている場合は、AC層および/またはBC層の融点―20℃以上、Aおよび/またはB層の融点未満の温度で、電気回路などの形状が損なわれない程度に圧力をかけて熱圧着させる方法が用いられる。特に後者の方法は、電気回路などの形状保持の観点から好ましく用いられる。
本発明においては、導電体からなるエレメントがポリアリーレンスルフィドフィルムで固定化されていることが重要であるが、導電体からなるエレメントがポリアリーレンスルフィドフィルムで固定化されているとは、ポリアリーレンスルフィドフィルムとしてポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)を用いる場合、B層が材料破壊する強度以上でA層に接着していることを表し、B層を剥がそうとしたとき、B層の表面が元々の表面として現れる場合、固定化されていないとみなす。また、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)に共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層されている場合、固定化されているとは、BC層が材料破壊する強度以上でA層あるいはAC層に接着していることを表し、BC層を剥がそうとしたとき、BC層の表面が元々の表面として現れる場合、固定化されていないとみなす。また、電気回路とポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および(B)においては、電気回路などの導電体からなるエレメントとA層あるいはB層の界面に空隙を有していないことが好ましく、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および/または(B)が積層フィルムの場合、電気回路などの導電体からなるエレメントと共重合ポリフェニレンスルフィド(AC)および/または(BC)の界面に空隙を有していないことが好ましい。
本発明の構造体のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)層とポリアリーレンスルフィドフィルム(B)層の間のボイド率は10%以下であることが、構造体の積層界面接着性の観点から好ましく、より好ましくは5%以下である。また、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)が共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)層を積層している場合、A層とBC層の間のボイド率が10%以下、より好ましくは5%以下であることが好ましい態様である。上記ボイド率は、BC層の積層厚みを前記した好ましい範囲とし、後述する熱圧着法により得ることが可能となる。特に、本発明の構造体においては、熱圧着法のうち、加熱ロールプレス法が上記ボイド率を達成する観点で好ましく用いられる。
次いで、本発明の構造体を製造する方法として、ポリアリーレンスルフィドとしてポリフェニレンスルフィド(PPS)を用い、ポリアリーレンスルフィドフィルムとして二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム単体あるいは、共重合ポリフェニレンスルフィド層を積層した二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを用いた場合について説明するが、本発明は、下記の記載に限定されないことは無論である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で高温高圧下で反応させる。必要によって、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることもできる。重合度調整剤として、苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し、230〜280℃の温度で重合反応させる。重合後にポリマを冷却し、ポリマを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃の温度で10〜60分間攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃の温度で数回洗浄、乾燥してPPS粒状ポリマを得る。得られた粒状ポリマを、酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃の温度のイオン交換水で数回洗浄し、副生塩、重合助剤および未反応モノマ等を分離しPPS樹脂を得る。上記で得られたPPS樹脂に必要に応じて、他のポリマ、あるいは無機または有機の添加剤等を本発明の目的に支障を与えない程度添加し、PPS樹脂組成物を得る。
共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法としては、例えば、次のような方法がある。硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンおよび副成分モノマを本発明でいう比率で配合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で重合助剤の存在下、高温高圧下で反応させる。副成分モノマとしては、
Figure 0005613993
Figure 0005613993
Figure 0005613993
(ここでXは、アルキレン、CO、SO単位を示す。)
Figure 0005613993
Figure 0005613993
(ここでRは、アルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、これらの複数の副成分モノマが存在してもかまわない。好ましい副成分モノマは、化12である。
Figure 0005613993
上記で得られたポリマに必要に応じて、あるいは無機または有機の添加剤等を本発明の目的に支障を与えない程度添加し、共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂を得る。
次に、本発明の二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムの製造方法について説明する。上記のPPS樹脂組成物と、共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂を別々の溶融押出装置に供給し、個々の原料の融点以上に加熱する。加熱により溶融された各原料は、溶融押出装置と口金出口の間に設けられた合流装置で溶融状態で2層または3層に積層され、スリット状の口金出口から押し出される。かかる溶融積層体を冷却ドラム上でPPS樹脂のガラス転移点以下に冷却し、実質的に非晶状態の2層積層シートを得る。二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム単体を製造する場合は、PPS樹脂組成物のみを溶融押出装置に供給して非晶質のシートを得る。溶融押出装置は周知の装置が適用可能であるが、1軸または2軸のエクストルーダが簡便であり好ましく用いられる。
次に、この未延伸フィルムを一軸延伸し、一軸配向、もしくは、二軸延伸し、二軸配向させる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法(長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行う方法などの一方向ずつの延伸を組み合わせた延伸法)、同時二軸延伸法(長手方向と幅方向を同時に延伸する方法)、又はそれらを組み合わせた方法を用いることができる。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。
未延伸フィルムを加熱ロール群で加熱し、延伸倍率は電気特性向上させる観点から長手方向(MD方向)に3〜4倍、好ましくは3.0〜3.5倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(MD延伸)。延伸温度は、Tg(ガラス転移温度)〜(Tg+40)℃、好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲である。ここで、Tgとはポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度を表すが、ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および(B)が積層フィルムの場合、すなわち、A層および/またはB層に共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および/または(BC)が積層されている場合、Tgが高いAおよびB層に合わせて上記範囲で延伸することが好ましい。その後20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。
MD延伸に続く幅方向(TD方向)の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。このフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、幅方向の延伸を行う(TD延伸)。延伸温度はTg〜(Tg+40)℃が好ましく、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲である。ここで、Tgとは上記同様であり、ポリフェニレンスルフィドのガラス転移温度を表すが、ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および/または(B)が積層フィルムの場合、すなわち、A層およびB層に共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)および/または(BC)が積層されている場合、Tgが高いAおよびB層に合わせて上記範囲で延伸することが好ましい。延伸倍率は破断伸度を向上させる観点から3〜4倍、好ましくは3.0〜3.5倍に1段もしくは2段以上の多段で延伸する(TD延伸)。
次に、この延伸フィルムを緊張下で熱固定する。1段熱固定の場合の好ましい熱固定温度は240〜280℃であり、熱固定工程と緩和処理工程の合計時間は1〜60秒、好ましくは5〜30秒である。より好ましい熱処理は多段熱固定である。この場合、1段目の熱固定温度は160〜220℃、好ましくは180〜220℃であり、処理時間は1〜15秒、好ましくは1〜10秒である。続いて行う後段の熱固定の最高温度は220〜280℃、好ましくは、220〜260℃である。さらにこのフィルムを220〜280℃、より好ましく220〜260℃で幅方向に弛緩処理する。弛緩率は、0.1〜8%であることが好ましく、より好ましくは2〜5%の範囲である。220℃以上の後段の熱固定工程および弛緩処理工程の合計時間は1〜30秒が好ましく、さらに好ましくは5〜20秒である。
さらに、フィルムを室温まで、必要ならば、長手および幅方向に弛緩処理を施しながら、フィルムを冷やして巻き取り、目的とする二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得る。
本発明で用いられる二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムはより強固な接着性を付与する観点から、導電体からなるエレメントが形成された面側にコロナ放電処理やプラズマ処理を施すことも本発明の好ましい態様に含まれる。
このようにして得られた二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムに電気回路などの導電体からなるエレメントを形成する。例えば、電気回路の形成方法は周知の方法、例えば、積層、蒸着、メッキ等の方法で金属層を設けて電気回路のパターンにエッチングすることによって形成できる。エッチング液としては、塩化第2鉄水溶液などが通常用いられる。また、金属やカーボン等の導電体を含有する導電ペーストをシルク印刷法などの方法で回路パターンを形成することもできる。
以上のようにして得られた電気回路などの導電体からなるエレメントを有する共重合ポリフェニレンスルフィド(AC)を積層したポリフェニレンスルフィドフィルム(A)と共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)を積層したポリアリーレンスルフィドフィルム(B)とを共重合ポリフェニレンスルフィド層AC、BCが重なるようにA/AC/導電体からなるエレメント/BC/Bの順に重ね合わせ加熱プレスロール法、熱板プレス法などで熱圧着して積層する。勿論、二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムが単膜の場合、A/導電体からなるエレメント/Bの順に積層し、加熱プレスロール法、熱板プレス法で熱圧着して積層してもよいが、積層界面の接着性の観点から前者が好ましく用いられる。熱圧着条件は、200℃以上、AあるいはB層を構成するPPS樹脂組成物の融点以下の温度で、1〜300kg/cmの圧力で熱圧着することが加工性、接着性等の観点で好ましい。
[特性の測定方法]
(1)樹脂およびフィルムの融解温度
JIS K7121―1987に準じて示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上で室温から340℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、340℃で5分間溶融保持し、急冷固化して5分間保持した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融解温度(Tm)とした。
(2)ガラス転移温度
JIS K7121−1987に準じて測定した。示差走査熱量計セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上350℃で5分間溶融保持し、急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。なお、ガラス転移温度(Tg)は下記式により算出した。
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(3)溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mmとして、予熱時間を5分に設定して、310℃で測定した。
剪断速度1000/sでの溶融粘度は、剪断速度500〜1000/sおよび1000〜2000/sでの溶融粘度をそれぞれn=2で測定し、両対数プロット上で直線近似して得られる相関線の剪断速度1000/sでの値とした。
(4)共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC層)の厚み測定
ミクロトームを用いて積層フィルムのフィルム厚み方向に平行な断面となるよう切断した後、スパッタリング装置を用いて、フィルム断面に金スパッタを施した後、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍にて断面観察し、積層厚みを測定した。
(5)接着力
熱圧着して得られた構造体を5cm×10cmにサンプリングし、二軸配向ポリフェニレンスルフィド単膜、あるいは積層二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを剥離し、B層あるいはBC層が材料破壊することなく、元々の表面を有して剥離した場合を不良品とし、不良品発生率を次の基準で評価した。なお、加工個数は各試料100個ずつとする。◎、○、△が合格である(◎は○に勝り、○は△に勝る)。
◎:不良率が0%を超え5%以下
○:不良率が6%を超え15%以下
△:不良率が15%を超え30%以下
×:不良率が30%を超える。
(6)ボイド率
測定にはハイビジョン画像解析装置を用い、測定装置としてハイビジョンパーソナル画像解析システムとして(株)ピアス製PIAS−IV、光学顕微鏡としてLeitz社製Metalopanを使用した。
光学顕微鏡の透過法で検鏡し、画像解析装置のハイビジョンモニターにその画像を取り込む。このときのモニター上での観察倍率は1560倍となる。このときの画像を入力する場合は、白黒画像で緑色フィルターをかけた条件で行い、入力した画像は2値化を行って輝度変換する。ボイド像を2値化して得られた個々のボイドの画素数の和を測定して、測定視野の全画素数を除してボイド部分の面積比率を求めたものを次式のようにボイド指数とした。1視野あたりの全画素数は約200万でこの時の測定面積は0.41mmであり、場所を変えてこれを10回繰り返す。なお、ボイドは等価円の直径が0.28μm以上のものと定義した。○および△が合格である(○は△に勝る)。
ボイド指数=(ボイド部分の画素数の総和)/(測定視野の全画素数)×100(%)
○:ボイド率が5%以下
△:ボイド率が5%を超え、10%未満
×:ボイド率が10%以上。
(参考例1)共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造
オートクレ−ブに100モルの硫化ナトリウム9水塩、45モルの酢酸ナトリウムおよび25リットルのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する。)を仕込み、撹拌しながら徐々に220℃の温度まで昇温して、含有されている水分を蒸留により除去した。脱水の終了した系内に、主成分モノマとして91モルのp−ジクロベンゼン、副成分モノマとして10モルのm−ジクロロベンゼン、および0.2モルの1,2,4−トリクロルベンゼンを5リットルのNMPとともに添加し、170℃の温度で窒素を3kg/cmで加圧封入後、昇温し、260℃の温度にて4時間重合した。重合終了後冷却し、蒸留水中にポリマを沈殿させ、150メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマを採取した。このようにして得られた小塊状ポリマを90℃の蒸留水により5回洗浄した後、減圧下120℃の温度にて乾燥して、溶融粘度が1000ポイズであり、融点が250℃の共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。次いで、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム粉末0.3重量%を添加し均一に分散配合して、320℃の温度にて30mmφ2軸押出機によりガット状に押出し、共重合ポリフェニレンスルフィドのペレットを得た。
(参考例2)PPS樹脂の製造
p−フェニレンスルフィド単位を主成分とするPPS樹脂は、主成分モノマとして101モルのp−ジクロベンゼンを用い、副成分モノマを用いないこと以外は参考例(1)の共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造と同様に実施して、PPS樹脂を製造した。なお、PPS樹脂の溶融粘度は、3000ポイズであり、融点は283℃であった。
(参考例3)積層フィルムの製造
参考例(1)および(2)で得られた共重合ポリフェニレンスルフィド樹脂およびPPS樹脂を、それぞれ180℃の温度で3時間、1mmHgの減圧下で乾燥後、別々のエクストルーダに供給し、溶融状態で口金上部にある二重管型の積層装置で2層になるように導き、続いて設けられたTダイ型口金から吐出させ、25℃の温度の冷却ドラムで急冷し、実質的に共重合ポリフェニレンスルフィド/PPSの2層積層シートを得た。次いで、得られた各積層シートを、表面温度95℃の複数の加熱ロールに接触走行させ、加熱ロールの次に設けられた周速の異なる30℃の冷却ロールとの間で長手方向に3.5倍延伸した。このようにして得られた1軸延伸シートを、テンターを用いて長手方向と直交方向に100℃の温度で3.7倍に延伸し、引き続いて温度260℃20秒間熱処理(2段目熱処理)を行った。引き続き、260℃の弛緩処理ゾーンで10秒間横方向に5%弛緩処理を行った後、室温まで冷却した後、フィルムエッジを除去し、共重合ポリフェニレンスルフィド/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(10/65μm)の積層フィルムを得た。
(参考例4)単膜フィルムの製造
参考例(2)のPPS樹脂単体を用いる以外は、参考例3と同様にして厚み75μmの二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルムを得た。
(実施例1)
参考例4で得られた二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)に銅メッキし、塩化第2鉄水溶液で図1に示す電気回路を形成せしめた。該A層のメッキ側には、あらかじめ6000J/mのコロナ放電処理を施した。また銅メッキの回路高さは、5μm、幅10μmであった。
次いで、参考例3で得られた積層フィルムのポリフェニレンスルフィド層(BC)側に6000J/mのコロナ放電処理を施し、該表面がメッキ層と隣合わせになるように配置し、熱圧着し構造体を作製した。熱圧着方法は、熱板プレス法であり、条件は、260℃の温度で、予熱30秒、300kg/cm、60秒間加圧したのち、圧抜き5回行い、熱板プレスをAおよびB層を構成するPPS樹脂のガラス転移温度以下まで急冷した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中10個であり、不良率が10%であった。
(実施例2)
参考例4で得られた二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)に6000J/mのコロナ放電処理を施したのち、該表面に銀を含有する導電ペーストを用いシルク印刷法で電気回路を形成し、さらに該電気回路の表面に、銅の無電解メッキを行った。得られた電気回路を図2に示すが、回路高さは15μm、幅30μmであった。次いで、実施例1と同様にして熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中20個であり、不良率が20%であった。(実施例3)
参考例3で積層フィルムの共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム層(B)の積層厚みを20/55μmとする以外は、実施例2と同様にして熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中12個であり、不良率が12%であった。
(実施例4)
参考例3で積層フィルムの共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム層(B)の積層厚みを30/45μmとする以外は、実施例2と同様にして熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中8個であり、不良率が8%であった。
(実施例5)
実施例4で用いた電気回路形成二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および積層フィルムがゴムロール/A/電気回路/BC/B/金属ロールとなるように配置し、加熱プレスロールで積層した。条件は、金属ロール260℃、ゴムロール温度220℃、金属ロール側の抱き角90度、ゴムロール側の抱き角90度、圧力10kg/cm、1m/分で加熱プレスしたのち、冷却エアでAおよびB層を構成するPPS樹脂のガラス転移温度以下まで急冷し構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中5個であり、不良率が5%であった。
(実施例6)
実施例2で用いた電気回路形成二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(A)および積層フィルムを実施例5と同様の方法で加熱プレスロールにより熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中10個であり、不良率が10%であった。また、ボイド率は、4%であった。
(比較例1)
参考例3で積層フィルムの共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム層(B)の積層厚みを3/72μmとする以外は、実施例2と同様にして熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中100個であり、不良率が100%であった。
(比較例2)
参考例3で積層フィルムの共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム層(B)の積層厚みを3/72μmとする以外は、実施例5と同様にして熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中100個であり、不良率が100%であった。
(比較例3)
参考例3で積層フィルムの共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム層(B)の積層厚みを3/72μmとする以外は、実施例1と同様にして熱圧着し、構造体を作製した。得られた構造体の共重合ポリフェニレンスルフィド(BC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)の積層フィルムを剥離した結果、不良率は、成形体100個中100個であり、不良率が100%であった。
(比較例4)
参考例3で得られた共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)/二軸配向ポリフェニレンスルフィド層(A)積層フィルムのAC層側に6000J/mのコロナ放電処理を施したのち、実施例2と同様にAC層表面に銀を含有する導電ペーストを用いシルク印刷法で電気回路を形成し、さらに該電気回路の表面に、銅の無電解メッキを行った。次いで、 参考例4で得られた二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)側に6000J/mのコロナ放電処理を施し、該表面がメッキ層と隣合わせになるように配置し、実施例2と同様にして熱圧着し構造体を作製した。得られた構造体の二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム(B)を剥離した結果、不良率は、成形体100個中80個であり、不良率が80%であった。また、ボイド率は、30%であった。
本発明の成形体は、電気回路がポリアリーレンスルフィドフィルムの間に接着剤を介することなく固定化された構造体であり、電気回路用として幅広く用いることが可能であり、特にポリフェニレンスルフィドの耐熱性、耐薬品性を活かし、高温高圧下、水分共存下、液体化学物質雰囲気下で好適に用いられる。また、難燃剤を添加することなく難燃性を有するため、非ハロゲン性が要求される電気部品としても好適に用いられる。
1 二軸配向ポリフェニレンスルフィドフィルム
2 電気回路などの導電体からなるエレメント

Claims (7)


  1. ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)上に導電体からなるエレメント(C)が形成され、該導電体からなるエレメントが電気回路であって、さらにその導電体からなるエレメント(C)をポリアリーレンスルフィドフィルム(B)で覆ってなり、前記ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)は積層構造であり、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)のポリアリーレンスルフィドフィルム(A)と接する側が、p−フェニレンスルフィド以外の少なくとも1種以上の共重合成分を有する共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)が積層されており、かつ、共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)の厚みが電気回路の回路高さ以上であること特徴とする構造体。
  2. ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)および/またはポリアリーレンスルフィドフィルム(B)が二軸配向ポリアリーレンスルフィドフィルムである請求項1に記載の構造体。
  3. ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)とポリアリーレンスルフィドフィルム(B)が接着剤を用いることなく積層されてなる請求項1または2に記載の構造体。
  4. ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)が積層構造であり、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)のポリアリーレンスルフィドフィルム(B)と接する側が、p−フェニレンスルフィド以外の少なくとも1種以上の共重合成分を有する共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)が積層されてなる請求項1〜のいずれかに記載の構造体。
  5. ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)層とポリアリーレンスルフィドフィルム(B)層の間のボイド率が10%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造体。
  6. 請求項4に記載の構造体が共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)の融点(Tm)−20℃以上、ポリアリーレンスルフィドフィルム(A)の融点(Tm)以下の温度でポリアリーレンスルフィドフィルム(A)/共重合ポリフェニレンスルフィド層(AC)/導電体からなるエレメント(C)/共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の順に熱圧着して積層されることを特徴とする構造体の製造方法。
  7. 請求項1に記載の構造体が共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)の融点(Tm)−20℃以上、ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の融点(Tm)以下の温度でポリアリーレンスルフィドフィルム(A)/導電体からなるエレメント(C)/共重合ポリフェニレンスルフィド層(BC)/ポリアリーレンスルフィドフィルム(B)の順に熱圧着して積層されることを特徴とする構造体の製造方法。
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