前記課題を解決するためになされた第1の発明は、画像表示装置を装置本体に形成されたドライブベイに収容する携帯型情報処理装置であって、前記画像表示装置は、スクリーン上に画面を投写するとともに投写角度を上下方向に変更可能に設けられた投写ユニットと、この投写ユニットの投写角度を検出する投写角度検出部と、この投写角度検出部により検出された投写角度に応じて画面の台形歪みを補正すると共に画面の上下を反転させる処理を行う画面補正部と、を有し、前記画面補正部は、前記投写角度が所定値未満のときに壁面上向き投写と判別して画面の上辺側を圧縮する補正を行い、前記投写角度が所定値以上のときに天井面投写と判別して、ユーザと画面との位置関係によって画面を反転表示させない状態では画面の下辺側を圧縮する補正を行い、ユーザと画面との位置関係によって画面を反転表示させた状態では画面の上辺側を圧縮する補正を行う構成とする。
これによると、画像表示装置を装置本体に形成されたドライブベイに収容する携帯型情報処理装置において、壁面上向き投写、天井面投写のいずれの投写形態であるかを判別して、その投写形態に応じて画面の台形歪み補正の補正方向を変更し、さらに、前記画面補正部は、天井面投写の場合に、画面の台形歪みを補正するとともに画面の上下を反転させるため、天井面を下から見上げるユーザにとって天井面に投射された画面を見やすくすることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記画像表示装置が、筐体と、この筐体に対して出し入れ可能に設けられ、前記投写ユニットと該投写ユニットをヒンジ部を介して上下方向に回動可能に支持する支持ユニットとを有した可動体とで構成され、前記筐体を前記装置本体に取り付けることで、前記可動体を前記装置本体への格納位置と突出位置で保持する構成とする。
これによると、携帯型情報処理装置の利便性を高めることができる。また、携帯型情報処理装置に取り付けられた画像表示装置の筐体から可動体を引き出すことで、投写ユニットを大きく回動させて投写角度を大きく変化させることができ、これにより、壁面上向き投写、天井面投写、壁面下向き投写、および床面投写といったように多様な投写形態を採用することができる。
なお、携帯型情報処理装置に形成されたドライブベイは、ブルーレイディスク、DVDおよびCDなどの光ディスクにおける情報の記録および再生の少なくとも一方を行う光ディスク装置が取り付けられるスペースである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明による画像表示装置1を携帯型情報処理装置2に内蔵した例を示す斜視図である。携帯型情報処理装置(電子機器)2は、CPUやメモリなどが実装された制御基板(図示せず)などが内蔵された本体部3と、液晶パネルを備えた表示部4とを有し、本体部3と表示部4とがヒンジ部5で連結され、本体部3と表示部4とを重ね合わせた折りたたみ状態として携帯性を高めるようにしている。
本体部3の筐体8の上面8aには、キーボード6およびタッチパッド7が設けられている。また、本体部3の筐体8におけるキーボード6の裏面側には、光ディスク装置などの周辺機器が取り替え可能に収容される収容スペース、いわゆるドライブベイが形成されており、このドライブベイに画像表示装置1が取り付けられている。
画像表示装置1は、筐体11と、筐体11に対して出し入れ可能に設けられた可動体12と、を有している。可動体12は、スクリーン15に画面16を投写するための光学部品が収容された光学エンジンユニット(投写ユニット)13と、この光学エンジンユニット13内の光学部品を制御するための基板などが収容された制御ユニット(支持ユニット)14とで構成されている。
図2は、光学エンジンユニット13に内蔵される光学エンジン部21の概略構成図である。この光学エンジン部21は、緑色レーザ光を出力する緑色レーザ光源装置22と、赤色レーザ光を出力する赤色レーザ光源装置23と、青色レーザ光を出力する青色レーザ光源装置24と、映像信号に応じて各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光の変調を行う液晶反射型の光変調素子25と、各レーザ光源装置22〜24からのレーザ光を反射させて光変調素子25に照射させるとともに光変調素子25から出射された変調レーザ光を透過させる偏光ビームスプリッタ26と、各レーザ光源装置22〜24から出射されるレーザ光を偏光ビームスプリッタ26に導くリレー光学系27と、偏光ビームスプリッタ26を透過した変調レーザ光をスクリーンに投射する投射光学系28と、を備えている。
この光学エンジン部21は、いわゆるフィールドシーケンシャル方式でカラー画像を表示するものであり、各レーザ光源装置22〜24から各色のレーザ光が時分割で順次出力され、各色のレーザ光による画像が視覚の残像効果によってカラー画像として認識される。
リレー光学系27は、各レーザ光源装置22〜24から出射される各色のレーザ光を平行ビームに変換するコリメータレンズ31〜33と、コリメータレンズ31〜33を通過した各色のレーザ光を所要の方向に導く第1および第2のダイクロイックミラー34,35と、ダイクロイックミラー34,35により導かれたレーザ光を拡散させる拡散板36と、拡散板36を通過したレーザ光を収束レーザに変換するフィールドレンズ37と、を備えている。
投射光学系28からスクリーンに向けてレーザ光が出射される側を前側とすると、青色レーザ光源装置24から青色レーザ光が後方に向けて出射され、この青色レーザ光の光軸に対して緑色レーザ光の光軸および赤色レーザ光の光軸が互いに直交するように、緑色レーザ光源装置22および赤色レーザ光源装置23から緑色レーザ光および赤色レーザ光が出射され、この青色レーザ光、赤色レーザ光、および緑色レーザ光が、2つのダイクロイックミラー34,35で同一の光路に導かれる。すなわち、青色レーザ光と緑色レーザ光が第1のダイクロイックミラー34で同一の光路に導かれ、青色レーザ光および緑色レーザ光と赤色レーザ光が第2のダイクロイックミラー35で同一の光路に導かれる。
第1および第2のダイクロイックミラー34,35は、表面に所定の波長のレーザ光を透過および反射させるための膜が形成されたものであり、第1のダイクロイックミラー34は、青色レーザ光を透過するとともに緑色レーザ光を反射させる。第2のダイクロイックミラー35は、赤色レーザ光を透過するとともに青色レーザ光および緑色レーザ光を反射させる。
これらの各光学部材は、筐体41に支持されている。この筐体41は、各レーザ光源装置22〜24で発生した熱を放熱する放熱体として機能し、アルミニウムや銅などの熱伝導性の高い材料で形成されている。
緑色レーザ光源装置22は、側方に向けて突出した状態で筐体41に形成された取付部42に取り付けられている。この取付部42は、リレー光学系27の収容スペースの前方と側方にそれぞれ位置する前壁部43と側壁部44とが交わる角部から側壁部44に直交する向きに突出した状態で設けられている。赤色レーザ光源装置23は、ホルダ45に保持された状態で側壁部44の外面側に取り付けられている。青色レーザ光源装置24は、ホルダ46に保持された状態で前壁部43の外面側に取り付けられている。
赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、いわゆるCANパッケージで構成され、レーザ光を出力するレーザチップが、ステムに支持された状態で缶状の外装部の中心軸上に光軸が位置するように配置されたものであり、外装部の開口に設けられたガラス窓からレーザ光が出射される。この赤色レーザ光源装置23および青色レーザ光源装置24は、ホルダ45,46に開設された取付孔47,48に圧入するなどしてホルダ45,46に対して固定される。青色レーザ光源装置24および赤色レーザ光源装置23のレーザチップの発熱は、ホルダ45,46を介して筐体41に伝達されて放熱され、各ホルダ45,46は、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い材料で形成されている。
緑色レーザ光源装置22は、励起用レーザ光を出力する半導体レーザ51と、半導体レーザ51から出力された励起用レーザ光を集光する集光レンズであるFAC(Fast-Axis Collimator)レンズ52およびロッドレンズ53と、励起用レーザ光により励起されて基本レーザ光(赤外レーザ光)を出力する固体レーザ素子54と、基本レーザ光の波長を変換して半波長レーザ光(緑色レーザ光)を出力する波長変換素子55と、固体レーザ素子54とともに共振器を構成する凹面ミラー56と、励起用レーザ光および基本波長レーザ光の漏洩を阻止するガラスカバー57と、各部を支持する基台58と、各部を覆うカバー体59と、を備えている。
この緑色レーザ光源装置22は、基台58を筐体41の取付部42に取り付けて固定され、緑色レーザ光源装置22と筐体41の側壁部44との間に所要の幅(例えば0.5mm以下)の間隙が形成される。これにより、緑色レーザ光源装置22の熱が赤色レーザ光源装置23に伝わりにくくなり、赤色レーザ光源装置23の昇温を抑制して、温度特性の悪い赤色レーザ光源装置23を安定的に動作させることができる。また、赤色レーザ光源装置23の所要の光軸調整代(例えば0.3mm程度)を確保するため、緑色レーザ光源装置22と赤色レーザ光源装置23との間に所要の幅(例えば0.3mm以上)の間隙が設けられている。
図3は、緑色レーザ光源装置22におけるレーザ光の状況を示す模式図である。半導体レーザ51のレーザチップ61は、波長808nmの励起用レーザ光を出力する。FACレンズ52は、レーザ光のファースト軸(光軸方向に対して直交し且つ図の紙面に沿う方向)の拡がりを低減する。ロッドレンズ53は、レーザ光のスロー軸(図の紙面に対して直交する方向)の拡がりを低減する。
固体レーザ素子54は、いわゆる固体レーザ結晶であり、ロッドレンズ53を通過した波長808nmの励起用レーザ光により励起されて波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)を出力する。この固体レーザ素子54は、Y(イットリウム)VO4(バナデート)からなる無機光学活性物質(結晶)にNd(ネオジウム)をドーピングしたものであり、より具体的には、母材であるYVO4のYに蛍光を発する元素であるNd+3に置換してドーピングしたものである。
固体レーザ素子54におけるロッドレンズ53に対向する側には、波長808nmの励起用レーザ光に対する反射防止と、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜62が形成されている。固体レーザ素子54における波長変換素子55に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜63が形成されている。
波長変換素子55は、いわゆるSHG(Second Harmonics Generation)素子であり、
固体レーザ素子54から出力される波長1064nmの基本波長レーザ光(赤外レーザ光)の波長を変換して波長532nmの半波長レーザ光(緑色レーザ光)を生成する。
波長変換素子55における固体レーザ素子54に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する反射防止と、波長532nmの半波長レーザ光に対する高反射の機能を有する膜64が形成されている。波長変換素子55における凹面ミラー56に対向する側には、波長1064nmの基本波長レーザ光および波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜65が形成されている。
凹面ミラー56は、波長変換素子55に対向する側に凹面を有し、この凹面には、波長1064nmの基本波長レーザ光に対する高反射と、波長532nmの半波長レーザ光に対する反射防止の機能を有する膜66が形成されている。これにより、固体レーザ素子54の膜62と凹面ミラー56の膜66との間で、波長1064nmの基本波長レーザ光が共振して増幅される。
波長変換素子55では、固体レーザ素子54から入射した波長1064nmの基本波長レーザ光の一部が波長532nmの半波長レーザ光に変換され、変換されずに波長変換素子55を通過した波長1064nmの基本波長レーザ光は、凹面ミラー56で反射されて波長変換素子55に再度入射し、波長532nmの半波長レーザ光に変換される。この波長532nmの半波長レーザ光は、波長変換素子55の膜64で反射されて波長変換素子55から出射される。
ここで、固体レーザ素子54から波長変換素子55に入射して波長変換素子55で波長変換されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB1と、凹面ミラー56で一旦反射されて波長変換素子55に入射して膜64で反射されて波長変換素子55から出射されるレーザ光のビームB2とが互いに重なり合う状態では、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光とが干渉を起こして出力が低下する。
そこでここでは、波長変換素子55を光軸方向に対して傾斜させて、入射面および出射面での屈折作用により、レーザ光のビームB1、B2が互いに重なり合わないようにして、波長532nmの半波長レーザ光と波長1064nmの基本波長レーザ光との干渉を防ぐようにしており、これにより出力低下を避けることができる。
なお、図2に示したガラスカバー57には、波長808nmの励起用レーザ光および波長1064nmの基本波長レーザ光が外部に漏洩することを防止するため、これらのレーザ光を透過しない膜が形成されている。
図4は、画像表示装置1を示す斜視図であり、図4(A)に、可動体12を筐体11内に格納した格納状態を、図4(B)に、可動体12を筐体11から引き出した使用状態をそれぞれ示している。
可動体12を構成する光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体は、高さ方向の寸法が短い扁平な箱形状をなしている。光学エンジンユニット13および制御ユニット14の各筐体の両側縁には、筐体11内に設けられた図示しないガイドレールに沿ってスライドするスライダ71,72が設けられており、使用者による押し引き操作で、矢印Aで示すように、筐体11に対して可動体12が出し入れされる。
光学エンジンユニット13と制御ユニット14とはヒンジ部73を介して連結されており、光学エンジンユニット13が制御ユニット14に回動可能に支持されている。光学エンジンユニット13におけるヒンジ部73と相反する側の端部には出射窓74が設けられており、この出射窓74から光学エンジン部21の投射光学系28(図2参照)を通過したレーザ光が出射される。
図1に示したように、画像表示装置1の収容スペースは、携帯型情報処理装置2の筐体8の側面に開口しており、携帯型情報処理装置2の筐体8の側面に対して略直交する向きに可動体12を出し入れする構成となっている。画像表示装置1の筐体11は携帯型情報処理装置2の筐体8に収容され、使用状態では光学エンジンユニット13と制御ユニット14の一部が、携帯型情報処理装置2の筐体8の側方に突出した状態となる。携帯型情報処理装置2はその側面がスクリーンに正対するように配置され、これにより光学エンジンユニット13に設けられた出射窓74をスクリーンに正対させることができる。
また、図4に示したヒンジ部73は直交2軸構造を有し、図4(B)に示す使用状態では、制御ユニット14が筐体11のガイドレールに支持される一方で、光学エンジンユニット13は筐体11から完全に抜け出し、矢印Bで示すように、光学エンジンユニット13を上下方向に回動させることができ、また、矢印Cで示すように、前後方向、すなわち可動体12の出し入れ方向の軸回りに光学エンジンユニット13を回動させることができる。
なお、制御ユニット14の上面には、操作部75が設けられており、操作部75には、電源用の操作ボタン76と、輝度切り替え用の操作ボタン77と、台形歪み補正用の2つの操作ボタン78,79と、が設けられている。この他に筐体11内には、可動体12を格納位置に保持するために、図示しないラッチロックが設けられている。
図5は、画像表示装置1の概略構成を示すブロック図である。画像表示装置1の制御部81は、各色のレーザ光源装置22〜24を制御するレーザ光源制御部82と、携帯型情報処理装置2から入力される映像信号に基づいて光変調素子25を制御する光変調素子制御部83と、携帯型情報処理装置2から供給される電力をレーザ光源制御部82および光変調素子制御部83に供給する電源部84と、各部を総括的に制御する主制御部85と、を有している。この制御部81は、制御ユニット14に設けられている。
光学エンジン部21には、各色のレーザ光源装置22〜24および光変調素子25の他に、光変調素子25に入射する光量を検出するフォトセンサ86と、光変調素子25の近傍の温度を検出する温度センサ87と、が設けられている。この光学エンジン部21は、光学エンジンユニット13に設けられているが、この光学エンジンユニット13には、光学エンジン部21の他に、光学エンジン部21を冷却する冷却ファン88が設けられている。
画像表示装置1の筐体11(図4を併せて参照されたい)には、携帯型情報処理装置2から電力を供給するための給電線および携帯型情報処理装置2から映像信号を送信するための信号線が接続されるインタフェイス部91が設けられており、このインタフェイス部91と制御ユニット14とが配線ケーブル92で結ばれている。この配線ケーブル92は、可撓性を有し、筐体11に対して可動体12を出し入れする際には、制御ユニット14に追随するように屈曲変形する。
また、制御ユニット14と光学エンジンユニット13とは配線ケーブル93で結ばれている。この配線ケーブル93は、制御部81内の各部と光学エンジン部21内の各部との間で信号を送受するための信号線や、冷却ファン88などに電力を供給する給電線で構成されている。この配線ケーブル93も、可撓性を有し、制御ユニット14に対して光学エンジンユニット13を回動させる際には、光学エンジンユニット13の回動に伴って配線ケーブル93が屈曲変形する。
なお、ここでは、制御部81を制御ユニット14に設けたが、この制御部81の一部、例えば電源部84を、インタフェイス部91とともに筐体11側に設けるようにしてもよい。
また、光学エンジンユニット13内の光学エンジン部21には、加速度センサ(投写角度検出部)95が設けられている。この加速度センサ95は、図4に示したように、光学エンジンユニット13の出射窓74から出射される投写光の光軸に沿う方向(前後方向)と、図4(B)に示す初期状態での重力方向(高さ方向)との2方向について重力加速度を計測することで、投写角度、すなわち投写光の光軸の水平方向に対する傾斜角度を求めることができる。
また、図5に示したように、制御部81は、スクリーンに対して斜め方向に画面を投写した際に生じる台形歪みを補正する画面補正部96を備えている。この画面補正部96では、画素の間引きあるいは補間により、矩形の出力画面を、スクリーン上の投写画面に生じる台形歪みと逆向きの台形状に変換するスケーラ処理(画素変換処理)が行われる。この台形歪み補正は、加速度センサ95の出力信号から求められる傾斜角度に基づいて行われ、これについては以下に詳しく説明する。
図6は、携帯型情報処理装置2を載置台100に載置し、壁面101をスクリーンとして画像表示装置1により画面を真横に投写する状況を示す側面図である。図7は、壁面101をスクリーンにして画面を斜め上向きに投写する状況を示す側面図である。図8は、天井面102をスクリーンにして画面を斜め上向きに投写する状況を示す側面図である。図9は、壁面101をスクリーンにして画面を斜め下向きに投写する状況を示す側面図である。図10は、床面103をスクリーンにして画面を斜め下向きに投写する状況を示す側面図である。
図6に示すように、光学エンジンユニット13は矢印Bで示すように上下方向に回動可能に制御ユニット14に支持されており、光学エンジンユニット13を回動させることで、投写角度を調整することができ、特にここでは、図6に示す初期状態を中立位置として、光学エンジンユニット13を上下方向にそれぞれ90度ずつ回動させることができ、投写角度を−90度から+90度の範囲で変えて、図7〜図10に示すように、壁面上向き投写、天井面投写、壁面下向き投写、および床面投写の各投写形態とすることができる。
図6に示したように、壁面101をスクリーンとして画面を真横に投写する場合、壁面101までの距離が投写画面の上辺と下辺とで等しいため、壁面101上の投写画面は、上辺と下辺とが同一長さの歪みのない矩形に表示される。一方、図7〜図10に示したように、壁面101、天井面102、および床面103に対して斜め方向から画面を投写した場合、壁面101、天井面102、および床面103までの距離が投写画面の上辺と下辺とで異なるため、矩形の出力画面が、壁面101、天井面102、および床面103上では上辺と下辺とが異なる台形状に表示され、台形歪みを補正する台形歪み補正が必要になる。
図11は、本発明による投写角度と補正係数の関係を示す図である。ここで、投写角度θは、光学エンジンユニット13の出射窓74から出射される投射光の光軸の水平方向に対する傾斜角度であり(図7参照)、投射光の光軸が水平方向となる場合を0として、光学エンジンユニット13を上側に回動させる場合、すなわち仰角側をプラス、光学エンジンユニット13を下側に回動させる場合、すなわち俯角側をマイナスとしている。
図5に示した画面補正部96では、図11に示す補正係数を用いて台形歪み補正が行われ、ここでは加速度センサ95の出力値が示す投写角度に応じて台形歪み補正の補正量を変更するとともに、投写角度に基づいて壁面上向き投写、天井面投写、壁面下向き投写、および床面投写のいずれの投写形態であるかを判別し、その投写形態に応じて台形歪み補正の補正方向を変更するようにしている。
補正係数は、台形状に表示される投写画面の上辺と下辺との比を表し、投写角度θが0、すなわち画面を真横に投写する場合には、補正係数が1となり、台形歪み補正は行われない。また、補正係数は、投写角度θが大きくなるのに応じて大きくなり、この補正係数の値に応じて台形歪み補正の補正量も大きくなるため、投写角度θが大きくなるのに応じて顕著になる画面の歪みを適切に補正することができる。
補正係数の符号は、台形歪み補正の補正方向を規定するものであり、画面の上辺側を圧縮する場合をプラス、画面の下辺側を圧縮する場合をマイナスとしており、投写形態に応じて定まる補正係数の符号にしたがって画面の上辺側あるいは下辺側を圧縮する処理が行われる。具体的には、壁面上向き投写および床面投写の場合に、補正係数がプラスとなり、画面の上辺側を圧縮する補正が行われ、天井面投写および壁面下向き投写の場合に、補正係数がマイナスとなり、画面の下辺側を圧縮する補正が行われる。
投写形態を判別するにあたっては、投写角度θ=45度を境にして壁面上向き投写と天井面投写とを判別し、また投写角度θ=−45度を境にして壁面下向き投写と床面投写とを判別するようにしており、投写角度θが0〜45度の場合に壁面上向き投写、投写角度θが45〜90度の場合に天井面投写、投写角度θが−45〜0度の場合に壁面下向き投写、投写角度θが−90〜−45度の場合に床面投写となる。なお、この投写形態の判別の基準となる投写角度はこれに限定されるものではなく、適宜に定めればよい。
なお、ここでは、台形歪み補正において画面の上辺側あるいは下辺側を圧縮するものとしたが、この台形歪み補正の方法はこれに限定されるものではなく、最終的にスクリーン上に歪みのない投写画面が表示されるように補正すればよく、公知の各種の手法を用いることができる。
また、図4に示した台形歪み補正用の操作ボタン78,79は、台形歪み補正を手動で調整するものであり、例えば投写角度に基づいて自動で行われる台形歪み補正で得られた投写画面に歪みが残っている場合に、台形歪み補正の微調整を行うことができる。
図12は、壁面上向き投写、天井面投写、壁面下向き投写、および床面投写での画面の状況を示す図である。図7に示した壁面上向き投写では、壁面101までの距離が投写画面の上辺側で大きくなる。また、図10に示した床面投写でも、壁面上向き投写と同様に、床面103までの距離が投写画面の上辺側で大きくなる。このため、壁面上向き投写および床面投写の場合に、図12(A−1)に示す矩形の出力画面をそのまま壁面101および床面103に投写すると、図12(B−1)に示すように、壁面101および床面103上の投写画面は、上辺が下辺より大きくなった台形状に表示される。
ここで、図11に示した補正係数を用いて台形歪み補正を行うと、壁面上向き投写および床面投写の場合には補正係数がプラスとなるため、画面の上辺側を圧縮する補正が行われ、図12(C−1)に示すように、補正済みの出力画面は、上辺が下辺より小さくなった台形状をなし、これを壁面101および床面103に投写すると、図12(D−1)に示すように、上辺と下辺とが同一長さの歪みのない矩形の画面が表示される。
一方、図8に示した天井面投写では、天井面102までの距離が投写画面の下辺側で大きくなる。また、図9に示した壁面下向き投写でも、天井面投写の場合と同様に、壁面101までの距離が投写画面の下辺側で大きくなる。このため、天井面投写および壁面下向き投写の場合に、図12(A−2)に示す矩形の出力画面を天井面102および壁面101に投写すると、図12(B−2)に示すように、天井面102および壁面101上の投写画面は、下辺が上辺より大きくなった台形状に表示される。
ここで、図11に示した補正係数を用いて台形歪み補正を行うと、天井面投写および壁面下向き投写の場合には補正係数がマイナスとなるため、画面の下辺側を圧縮する補正が行われ、図12(C−2)に示すように、補正済みの出力画面は、下辺が上辺より小さくなった台形状をなし、これを天井面102および壁面101に投写すると、図12(D−2)に示すように、上辺と下辺とが同一長さの歪みのない矩形の画面が表示される。
図13は、天井面投写の場合に画面を反転表示させる例を示す斜視図である。図8に示した天井面投写の場合に台形歪み補正のみを行うと、天井面102に図13(A)に示すように画面が表示されるが、天井面102を下から見上げるユーザと画面との位置関係によっては画面が逆向きに見える場合があり、この場合、図13(B)に示すように画面を反転表示させた方が見やすくなる。また、図10に示した床面投写の場合も同様に、画面を反転表示させた方が見やすくなる場合がある。
そこでここでは、画面補正部96において、加速度センサ95の出力値が示す投写角度に基づいて天井面投写および床面投写と判別されると、画面の台形歪みを補正するとともに画面の上下を反転させる処理を行うようにしている。
図14は、画面を反転表示させる場合の投写角度と補正係数の関係を示す図である。天井面投写および床面投写で画面を反転表示させる場合、上辺と下辺との位置関係が逆になる。このため、台形歪み補正では、図11に示した例とは逆の補正が行われ、具体的には、天井面投写の場合、補正係数がプラスとなり、画面の上辺側を圧縮する補正が行われ、一方、床面投写の場合に、補正係数がマイナスとなり、画面の下辺側を圧縮する補正が行われる。
図15は、天井面投写および床面投写での画面の状況を示す図である。天井投写の場合には、補正係数がプラスとなり、図15(B−1)に示すように、画面の上辺側を圧縮する補正が行われ、ついで図15(C−1)に示すように、画面の上下を反転させる処理が行われ、これにより得られた出力画面を天井面102に投写すると、図15(D−1)に示すように、上下が反転した歪みのない矩形の画面が表示される。
一方、床面投写の場合には、補正係数がマイナスとなり、図15(B−2)に示すように、画面の下辺側を圧縮する補正が行われ、ついで図15(C−2)に示すように、画面の上下を反転させる処理が行われ、これにより得られた出力画面を床面103に投写すると、図15(D−2)に示すように、上下が反転した歪みのない矩形の画面が表示される。
なお、前記の例では、可動体12が、光学エンジン部21が収容された第1のユニット(光学エンジンユニット)と、これを回動可能に支持する第2のユニット(制御ユニット)とからなり、第2のユニットに制御部81を収容する構成としたが、この制御部81を光学エンジン部21とともに第1のユニットに収容した構成としたり、あるいは制御部81を画像表示装置1が内蔵される電子機器の筐体側に設けて、第2のユニットを単に第1のユニットを支持する支持体とした構成としてもよい。
また、前記の例では、投射角度を−90度から+90度の範囲で調整することができる構成として、壁面上向き投写、天井面投写、壁面下向き投写、および床面投写の4つの投写形態に対応するようにしたが、投射角度を0度からプラス側にのみ調整することができる構成として、壁面上向き投写および天井面投写の2つの投写形態に対応するようにしてもよい。
また、投射角度を+90度からさらにプラス側に調整することができる構成としてもよく、この場合、+90度を境にして画面の台形歪みの方向が逆になるため、天井面投写を2つの投写形態に分けて補正係数を設定する。また、投射角度を−90度からさらにマイナス側に調整することができる構成としてもよく、この場合、−90度を境にして画面の台形歪みの方向が逆になるため、床面投写を2つの投写形態に分けて補正係数を設定する。
また、前記の例では、壁面101、天井面102および床面103に対して画面を投写するものとしたが、本発明における壁面上向き投写、天井面投写、壁面下向き投写、および床面投写の各投写形態は、実際の室内の壁面、天井面および床面に画面を投写する他に、室内の壁面、天井面および床面に沿って鉛直方向あるいは水平方向に配置されたスクリーン部材に画面を投写する場合も含む。
なお、ここでは、本発明による画像表示装置1を携帯型情報処理装置2に内蔵した例を示したが、他の携帯型の情報端末装置などの電子機器に内蔵することも可能である。
また、前記の例では、携帯型情報処理装置2の収容スペースに、本発明による画像表示装置1が光ディスク装置と取り替え可能に収容される構成としたが、携帯型情報処理装置などの電子機器に光ディスク装置などの他の装置と取り替えできない状態で収容される構成も可能である。
また、前記の例では、投写角度を上下方向に変化させるために回動可能に設けられる投写ユニットを、光学エンジン部全体が収容される光学エンジンユニットとしたが、本発明における投写ユニットは、光学エンジン部の一部である投写光学系を少なくとも備えた構成であればよく、例えば投写光学系を構成するミラーで投写角度を変化させる構成も可能である。