JP5613367B2 - ケミカルフィルタ及びその梱包体並びにレチクル保管ボックス - Google Patents
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本発明のレチクル保管ボックスはかかる知見に基づきなされたもので、請求項1記載の通り、通気性シートで粒状吸着剤を挟持した汚染ガスを吸着する板状ろ材を通気性袋体に収容し、前記通気性袋体は区画壁で仕切られた複数の区画室を備え、各前記区画室は、前記汚染ガスの組成に合せて有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の三種の板状ろ材から選択された板状ろ材を収容したケミカルフィルタを、レチクル保管ボックスのレチクルの少なくとも下方中央部に設置するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2記載のレチクル保管ボックスは、請求項1記載のレチクル保管ボックスにおいて、前記通気性袋体は多孔膜を重ねてヒートシールして区画壁を形成したものであることを特徴とする。
また、請求項3記載のレチクル保管ボックスは、請求項2記載のレチクル保管ボックスにおいて、前記多孔膜がHEPA用ろ材、或いは、ULPA用ろ材であり、密面を外側に、粗面を内側に向けて重ねるようにしたことを特徴とする。
また、本発明のケミカルフィルタは、請求項4記載の通り、通気性シートで粒状吸着剤を挟持した汚染ガスを吸着する板状ろ材を通気性袋体に収容し、前記通気性袋体は多孔膜を重ねてヒートシールして形成された区画壁で仕切られた複数の区画室を備え、各前記区画室は、前記汚染ガスの組成に合せて有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の三種の板状ろ材から選択された板状ろ材を収容し、前記多孔膜は、HEPA用ろ材、或いは、ULPA用ろ材であり、密面を外側に、粗面を内側に向けて重ねるようにしたことを特徴とする。
また、本発明のケミカルフィルタ梱包体は、請求項5に記載の通り、前記請求項4に記載のケミカルフィルタを密封化シートで脱気密封化したことを特徴とする。
また、前記通気性袋体を区画壁で仕切られた複数の区画室を備えるようにした場合、通気性袋が区画されているため、板状ろ材が通気性袋内で大きく移動することがない。
また、前記区画室に、有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の三種の板状ろ材から適宜選択して収容するようにした場合、板状ろ材の面積により吸着容量のコントロールができるため、有機ガス、酸性ガス、アルカリ性ガスの汚染ガスの組成に合わせ、対策がし易い。
また、前記通気性袋体を多孔膜を重ねてヒートシールして区画壁を形成するようにした場合、多孔膜は通気性があり、かつ発塵性が低いため、板状ろ材から粒子の脱落を防止できる。
また、前記多孔膜をHEPAろ材、或いは、ULPA用ろ材とし、密面を外側に向け、粗面を内側に向けて重ねるようにし場合、密封化した板状ろ材が粗面の抵抗により中で動きにくくなる。しかも、粗面が外側に向いた場合の、粗面からの発塵のおそれもない。また、内部の発塵を粗密効果により効果的に抑えることができる。
また、ケミカルフィルタを密封化シートで脱気密封化した場合、密封化シートに遮光性とガスバリアー性があるため、長期間保存してもフィルタの寿命低下がない。また、脱気密封化したため、密封時に混入した汚染ガスを取り除けて性能低下がない。
また、前記ケミカルフィルタをレチクル保管ボックスのレチクルの少なくとも下方中央部に設置するようにした場合、レチクル上部からの汚染物や、物体の落下によるレチクルの汚染、損傷などの問題がない。また、繊維状吸着剤に比べて吸着能力が高いため特開平10−181881号公報のようにボックス内壁全面にフィルタを敷き詰める必要がない。
また、前記ケミカルフィルタのガス吸着性能が85%以上であるようにした場合、レチクル保管ボックス内のボックスから発生するガスによるレチクルのガス汚染を防止することができる。
また、前記ケミカルフィルタの静的及び強制発塵レベルが10個以下であるようにした場合、レチクル保管ボックス内のケミカルフィルタから発生する塵埃によるレチクルの粒子汚染を防止することができる。
板状のろ材を構成する通気性シートとしては、熱可塑性樹脂等の合成繊維からなる不織布が好ましく、例えば、乾式法、湿式法、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法等の方法により製造されるもの等が挙げられ、前記通気性シートは起毛を施されたものが特に好ましい。尚、通気性シートを構成する不織布に起毛が施されていると、起毛によって粒状吸着剤の散布時の分散性が向上し、また、粒状吸着剤と不織布の固着強度が増し、粒状吸着剤が空間的に接着され、除去対象となるガスとの接触がよくなるため、粒状吸着剤の除去効率が向上する。尚、前記不織布への粒状吸着剤の固定は粉末状ホットメルト樹脂による固定が好ましいが、不織布を熱融着繊維で構成したり、熱融着繊維を含ませて、この熱融着繊維で固定する等、固定手段は特に限定されるものではない。
保管ボックス本体21はその底部21aの中央に、ケミカルフィルタ10を敷設するための矩形の額縁状リブ21bを備えている。該額縁状リブ21bは、その内周の底部側に前記ケミカルフィルタ10の外周部を収容できる枠状の隙間部21cを備えると共に、対向する一対のリブ21b、21bにケミカルフィルタ10の押さえ板22を固定するための爪部21dを備えている。前記押さえ板22は、板状ろ材A、B、C、Dをボックス本体21内に露出させるための窓22aを備えている。尚、保管ボックス本体21には、レチクル30の支持部材21eが4本立設されるとともに、一辺側に沿って2本のストッパ21fが立設されている。尚、図中23は保管ボックス本体21に被せるカバーを示す。
図5及び図6によく示されるように、前記ケミカルフィルタ10は、保管ボックス本体21の額縁状リブ21bの隙間部21cにその外周をはめ込むようにして敷設し、その上から板状ろ材A、B、C、Dの向きに合わせて押さえ板22を被せ、各窓22aから板状ろ材A、B、C、Dが露出されるようにした状態で、押さえ板22を爪部21dで固定する。
その後、図5に示す様に、レチクル30を支持部材21e上に支持し、カバー23を被せ、保管状態にする。
尚、前記ケミカルフィルタのガス吸着性能は90%以上、静的及び強制発塵レベルは10個以下程度とすることが好ましい。
まず、粒状吸着材を有機繊維製不織布からなる通気性シートで挟持して、粉末状ホットメルト樹脂で通気性シートと粒状吸着剤、通気性シート同士を固定して、次の三種の吸着ろ材を用意した。
a.有機ガス用:吸着材として粒状活性炭、目付569g/m2
b.酸性ガス用:吸着材としてアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の100質量%:20質量%で混合、目付510g/m2
c.アルカリ性ガス用:吸着材としてカチオン交換樹脂、目付460g/m2
次に、これらを裁断し、縦90mm×横14mm×厚み1.2mmの板状ろ材を得た。
このようにして得られた3種の板状ろ材を、HEPA用ろ材(PTFE膜)からなる袋体に収容した。尚、この袋体は、粗面を内側にして2枚のHEPA用ろ材を重ね合わせ、周囲をヒートシールするとともに2本の区画壁を設け、3個の区画室を設け、各区画室に前記板状ろ材を、それぞれ1つ宛収容させてケミカルフィルタを作成した。
具体的には、P&T(日本分析工業製 JHS―100A)付きのGC―MS(日立製 M―9000)を用い、下記の条件で発ガス分析を行った。
<ガスクロマトグラフ分析条件>
カラム:J&Wキャピラリカラム DB―5MS(長さ30mm 内径0.25mm)
カラム温度:40℃、3分ホールド
40〜220℃、20分(昇温速度:9℃/分)
220〜300℃、 8分(昇温速度:10℃/分)
300℃、3分ホールド
注入口温度:250℃
キャリアガス:He 1.5ml/min
スプリット比:1:10
<質量分析計条件>
イオン化法:EL(エレクトロンイオン化法)
検出器(3DQ)温度:250℃
フォトマルチプライア:350V
<P&T条件>
吸着管パージ温度:230℃
コールドトラップ温度:−60℃
パージガス流量:He 50ml/min
吸着管パージ時間:15分
発塵レベルは、具体的には、次のようにして測定、評価した。
2ヶ所開口がある密閉容器内にケミカルフィルタを入れ、一方の開口部を空気吸込み口、もう一方を測定口とする。空気吸込み口には外部からの塵埃が混入しないようフィルタを設け、測定口にRION製パーティクルカウンタ(KC―01E)をつなぎ、2.83Lの空気を吸引したときの0.3μm以上の粒径の塵埃個数を計数する。
この操作を(1)静止状態で測定、(2)20回振とう後に測定という2種類の測定を行い、
(1)レチクルをレチクル保管ボックスに静置した状態を想定した静的発塵レベル、(2)レチクル保管ボックスへ外的振動が与えられる状態を想定した強制発塵レベルとする。
その測定結果を次の表2に示す。
2 通気性袋体
3 区画室
10 ケミカルフィルタ
20 レチクルボックス
21 レチクルボックス本体
21 保管ボックス本体
21a底部
21b額縁状リブ
21c隙間部
21d爪部
21e支持部材
21fストッパ
22 押さえ板
22a窓
23 カバー
30 レチクル
a ヒートシール(外周)
b ヒートシール(区画壁)
A 板状ろ材
B 板状ろ材
C 板状ろ材
D 板状ろ材
Claims (5)
- 通気性シートで粒状吸着剤を挟持した汚染ガスを吸着する板状ろ材を通気性袋体に収容し、
前記通気性袋体は区画壁で仕切られた複数の区画室を備え、
各前記区画室は、前記汚染ガスの組成に合せて有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の三種の板状ろ材から選択された板状ろ材を収容したケミカルフィルタを、
レチクル保管ボックスのレチクルの少なくとも下方中央部に設置するようにしたことを特徴とするレチクル保管ボックス。 - 前記通気性袋体は多孔膜を重ねてヒートシールして区画壁を形成したものであることを特徴とする請求項1記載のレチクル保管ボックス。
- 前記多孔膜がHEPA用ろ材、或いは、ULPA用ろ材であり、密面を外側に、粗面を内側に向けて重ねるようにしたことを特徴とする請求項2記載のレチクル保管ボックス。
- 通気性シートで粒状吸着剤を挟持した汚染ガスを吸着する板状ろ材を通気性袋体に収容し、
前記通気性袋体は多孔膜を重ねてヒートシールして形成された区画壁で仕切られた複数の区画室を備え、
各前記区画室は、前記汚染ガスの組成に合せて有機ガス用、酸性ガス用、アルカリ性ガス用の三種の板状ろ材から選択された板状ろ材を収容し、
前記多孔膜は、HEPA用ろ材、或いは、ULPA用ろ材であり、密面を外側に、粗面を内側に向けて重ねるようにしたことを特徴とするケミカルフィルタ。 - 前記請求項4に記載のケミカルフィルタを密封化シートで脱気密封化したことを特徴とするケミカルフィルタ梱包体。
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