以下、本発明によるコミック画稿配置装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1によるコミック画稿配置装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態によるコミック画稿配置装置は、画稿データを自動的に配置するものである。
図1は、本実施の形態によるコミック画稿配置装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態によるコミック画稿配置装置1は、画稿データ記憶部11と、セリフデータ記憶部12と、ページデータ記憶部13と、配置情報記憶部14と、余白取得部15と、拡縮率取得部16と、選択部17と、受付部18と、生成部19と、出力部20とを備える。
画稿データ記憶部11では、1以上の画稿データが記憶される。画稿データとは、コミック画像を含む画像データである。コミック画像は、1以上のコマから構成される。画稿データに2以上のコマの画像が含まれる場合には、その2以上のコマの画像のすべてを含む領域がコミック画像となる。したがって、一の画稿データには、一のコミック画像が含まれることになる。通常、一の画稿データに含まれるコミック画像が一のページに配置されることになるが、そうでなくてもよい(例えば、一の画稿データに含まれるコミック画像が見開きの2ページに配置されてもよい)。本実施の形態では、一の画稿データに含まれるコミック画像が、一のページに配置される場合について説明する。この画稿データは、例えば、ラスタデータであってもよく、ベクタデータであってもよい。その画稿データの形式は問わないが、例えば、TIFFや、EPS等であってもよい。この画稿データは、例えば、図5で示されるように、上下左右に余白を有している。なお、いずれか1以上の余白が0であってもよい。
画稿データ記憶部11に画稿データが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されるようになってもよく、あるいは、スキャナ等の入力デバイスを介して入力された画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されるようになってもよい。画稿データ記憶部11での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。画稿データ記憶部11は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
セリフデータ記憶部12では、1以上のセリフデータが記憶される。セリフデータとは、画稿データのコミック画像の吹き出しに表示されるセリフのデータである。そのセリフデータは、吹き出しに対応する位置に配置されたテキストフレームと、テキストフレーム内に位置するテキストと、テキストのフォントサイズと間隔とを含むデータである。なお、間隔とは、文字の間隔であってもよく、行の間隔であってもよく、その両方であってもよい。本実施の形態では、文字の間隔と行の間隔との両方である場合について説明する。また、文字の間隔は、例えば、字間であってもよく、あるいは、字送りであってもよい。また、行の間隔は、例えば、行間であってもよく、あるいは、行送りであってもよい。また、フォントサイズや間隔以外のテキストの属性、例えば、フォントの種類、テキストの強調(例えば、太字、斜体、下線、色等)がセリフデータに含まれていてもよい。また、テキストのルビもセリフデータに含まれていてもよい。このセリフデータは、通常、画稿データと同じ大きさの台紙上に、吹き出しごとのテキストフレームが配置されたデータであり、画稿データと、セリフデータとを重ねて表示することによって、コミック画像の吹き出しの位置にセリフが表示されるようになるデータであるが、そうでなくてもよい。例えば、セリフデータは、ページと同じ大きさの台紙上に、吹き出しごとのテキストフレームが配置されたデータであってもよい。本実施の形態では、セリフデータが画稿データと同じ大きさであり、両者を重ねることによって、吹き出しの位置にセリフが表示される場合について説明する。
なお、画稿データと、セリフデータとの対応が分かるようになっていることが好適である。例えば、互いに対応する画稿データとセリフデータとに対して、同じ識別子が付与されていてもよく、あるいは、互いに対応する画稿データとセリフデータとが対応付けられて蓄積されていてもよい。後者の場合には、互いに対応する画稿データとセリフデータとが、一の画像データの2個のレイヤ−であってもよい。通常、一の画稿データに一のセリフデータが対応しているが、セリフのない画稿データのように、セリフデータに対応していない画稿データが存在してもよい。
セリフデータ記憶部12にセリフデータが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介してセリフデータがセリフデータ記憶部12で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信されたセリフデータがセリフデータ記憶部12で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力されたセリフデータがセリフデータ記憶部12で記憶されるようになってもよい。セリフデータ記憶部12での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。セリフデータ記憶部12は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
ページデータ記憶部13では、ページデータが記憶される。ページデータは、画稿データが配置されるページのデータである。そのページデータは、ページにおいてコミック画像が配置される枠(版面線)の基準辺側のマージンを含むデータである。そのマージンは、枠と、仕上がり線(裁ち切り線)との間のマージンである。したがって、基準辺は、仕上がり線で囲われる矩形の1以上の辺である。基準辺は、1個でもよく、2個以上でもよい。基準辺は、コミック画像の位置決めを行うための基準となる辺であるため、基準辺が2個である場合には、直交する2個の辺が基準辺となることが好適である。例えば、ノドの辺が基準辺であってもよく、小口の辺が基準辺であってもよく、天の辺が基準辺であってもよく、地の辺が基準辺であってもよく、ノドの辺と天の辺とが基準辺であってもよく、ノドの辺と地の辺とが基準辺であってもよく、小口の辺と天の辺とが基準辺であってもよく、小口の辺と地の辺とが基準辺であってもよい。なお、ノドの辺とは、書籍になった際に背表紙側となる辺である。小口の辺とは、書籍になった際に、背表紙と反対側の綴じていない辺である。また、天の辺、地の辺とは、書籍になった際に、それぞれ上側、下側となる辺である。ページデータには、基準辺以外の辺側のマージンが含まれていてもよい。例えば、対向する辺の各マージンがページデータに含まれていてもよい。対向する辺は、例えば、天地の辺でもよく、ノド小口の辺でもよい。また、4辺すべてのマージンがページデータに含まれていてもよい。また、対向する辺のマージンがページデータに含まれる場合に、その対向する辺(この辺は、仕上がり線で囲われる矩形の辺である)間の長さがページデータに含まれていてもよい。また、すべての辺のマージンがページデータに含まれる場合に、天地の長さと、ノド小口の長さとがページデータに含まれていてもよい。その天地の長さ、ノド小口の長さは、仕上がり線で囲われる矩形の辺の長さである。
なお、コミック画像が配置される枠の内側は、通常、版面と呼ばれるところであり、その枠の線は、版面線と呼ばれることもある。また、ページデータには、ページの外縁を示す仕上がり線が含まれていてもよく、その仕上がり線の位置を示すトンボ(内トンボ)が含まれていてもよい。その仕上がり線で囲われる矩形のことをページと呼ぶこともある。また、ページデータにおいて、ノンブル(ページ番号)の位置や、ヘッダやフッタ等の柱の位置が設定されていてもよい。このページデータは、DTPにおいてマスタページと呼ばれることもある。なお、ページデータは、マスタページのように、マージンや、仕上がり線の設定された台紙のデータであってもよい。この場合には、その台紙のデータにおいて、仕上がり線や版面の枠等が設定されている場合にも、ページデータに、マージンや、天地の長さ、ノド小口の長さが含まれていると考えられる。そのページデータから、マージンや天地の長さ等を取得することができるからである。また、ページデータは、マージンや仕上がり線の位置、仕上がり線で囲われる矩形の辺の長さ等を示す数値のデータであってもよい。本実施の形態では、ページデータがマスタページのような台紙のデータである場合について説明する。
また、ページデータは、一のページに対するデータであってもよく、あるいは、見開きの2ページに対するデータであってもよい。ページ物のレイアウトが行われる場合には、通常、見開きのページデータに対する画稿データの配置が行われる。
ページデータ記憶部13にページデータが記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介してページデータがページデータ記憶部13で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信されたページデータがページデータ記憶部13で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力されたページデータがページデータ記憶部13で記憶されるようになってもよい。ページデータ記憶部13での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。ページデータ記憶部13は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
配置情報記憶部14では、配置情報が記憶される。配置情報は、画稿データに含まれるコミック画像の基準辺側の余白と、画稿データの拡縮率とを有する情報である。なお、コミック画像の外縁が矩形である場合には、コミック画像の余白は、その矩形に対する余白である。一方、コミック画像の外縁が、図5で示されるように矩形からはみ出した部分を有する場合には、そのはみ出した部分を除外した矩形に対する余白である。コミック画像において、はみ出した部分を除外した矩形とは、画稿データに含まれるコミック画像の各端辺によって構成される矩形である。コミック画像の端辺とは、その端辺がそれ以上、コミック画像の中心側に移動したとすると、その端辺がコミック画像の内部に含まれてしまう位置の辺である。換言すれば、内側がすべてコミック画像に含まれる矩形のうち、最も大きい矩形を構成する各辺がコミック画像の端辺となる。すなわち、コミック画像において、はみ出した部分を除外した矩形は、内側がすべてコミック画像に含まれる最大の矩形であるということもできる。なお、その矩形の内側に、コミック画像のコマとコマとの間の空間は含まれてもよいことは言うまでもない。ここで、画稿データが見開きのページデータに配置される場合であって、基準辺がノド側の辺、または、小口側の辺である場合には、右側のページに配置される場合と、左側のページに配置される場合とで基準辺が異なることになる。例えば、基準辺がノド側の辺である場合には、見開きのページデータの右側に配置される際には、画稿データの左側の辺が基準辺となり、見開きのページデータの左側に配置される際には、画稿データの右側の辺が基準辺となる。したがって、そのような場合には、コミック画像の基準辺側の余白とは、右側の余白と左側の余白となる。また、配置情報に、画稿データに含まれるコミック画像の基準辺以外の辺側の余白が含まれていてもよい。例えば、上下左右のすべての辺の余白が配置情報に含まれていてもよい。また、拡縮率は、画稿データを配置する際に、その画稿データを拡大したり、縮小したりする率を示すものである。
配置情報記憶部14に配置情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して配置情報が配置情報記憶部14で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された配置情報が配置情報記憶部14で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された配置情報が配置情報記憶部14で記憶されるようになってもよい。また、後述するように、余白取得部15や拡縮率取得部16によって取得された余白や拡縮率が配置情報記憶部14に蓄積されてもよい。配置情報記憶部14での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、あるいは、長期的な記憶でもよい。配置情報記憶部14は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
余白取得部15は、画稿データから、その画稿データに含まれるコミック画像の基準辺側の端辺と基準辺との幅である余白を取得し、配置情報記憶部14に蓄積する。その余白を取得する方法について、簡単に説明する。余白取得部15は、例えば、画稿データに含まれるコミック画像に対して、輪郭抽出を行う。この場合には、コミック画像のコマごとの輪郭抽出が行われることになる。すなわち、コマの数だけの輪郭が抽出される。その後、余白取得部15は、基準辺の長さ方向のラインを、基準辺に対して平行に、基準辺から所定のピクセルごと(例えば、1ピクセルごとなど)に画稿データの内側に移動させていく。そして、余白取得部15は、そのライン上における抽出された輪郭の長さ(ピクセル数であってもよい)を測定し、一時的に記憶する。この処理を繰り返すと、そのラインが、コミック画像の基準辺側の端辺と一致する際に、ライン上の抽出された輪郭の長さが長くなり、そのラインが、端辺よりも所定のピクセルだけ画稿データの中心側に移動した際に、ライン上の抽出された輪郭の長さが急に減ることになる。したがって、その変化を検出することによって、余白取得部15は、輪郭の長さが急減したラインの位置の近傍の、抽出された輪郭の長さが長かったラインの位置を、コミック画像の端辺の位置として特定することができる。そして、余白取得部15は、その特定した端辺と、基準辺との幅を取得することによって、余白を取得することができる。幅の取得は、例えば、その幅に応じたピクセル数の取得であってもよい。また、そのピクセル数を、画稿データの解像度を用いることによって、センチメートルやミリメートルに変換してもよい。なお、画稿データの解像度は、例えば、画稿データに含まれていてもよく、あるいは、画稿データ記憶部11等で画稿データとは別途、記憶されていてもよい。
また、余白取得部15は、画稿データにおいて、基準辺に平行なラインをパターンとして用いてパターンマッチングを行うことによって、端辺の位置を特定してもよい。その場合には、そのパターンとマッチする箇所のうち、最も基準辺に近い箇所を端辺に特定してもよい。端辺を特定した後の余白の取得は、前述のようにして行うことができる。
また、余白取得部15は、前述のようにして、コミック画像のコマごとの輪郭抽出を行い、輪郭の抽出されたコマのうち、基準辺との間に輪郭の抽出された他のコマの存在しないコマであって、基準辺側の辺が直線であるコマを特定する。そして、その特定されたコマのうち、基準辺側の辺が基準辺から最も離れているコマの基準辺側の辺を延ばした直線を、コミック画像の基準辺側の端辺として特定してもよい。端辺を特定した後の余白の取得は、前述のようにして行うことができる。なお、ここでは、余白を取得するいくつかの方法について説明したが、それ以外の方法によって余白を取得してもよいことは言うまでもない。
また、複数の画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されている場合に、余白取得部15は、各画稿データに対して余白の抽出を行ってもよく、あるいは、いずれか1個の画稿データに対して余白の抽出を行ってもよい。前者の場合には、画稿データごとの余白が取得されるため、生成部19は、ある画稿データの配置を行う際には、その画稿データに対応する余白を用いてもよい。なお、その場合には、余白取得部15は、画稿データを識別する識別情報に対応付けて、その識別情報で識別される画稿データの余白を配置情報記憶部14に蓄積してもよい。また、後者の場合、すなわち、1個の画稿データに対して余白を抽出する場合には、その画稿データは、1番目の画稿データであってもよく、あらかじめ決められた方法によって選択された1個の画稿データであってもよい。
また、画稿データが見開きのページデータに配置される場合であって、基準辺がノド側の辺、または、小口側の辺である場合には、前述のように、画稿データの基準辺は、画稿データの右側や左側となる。したがって、そのような場合には、余白取得部15は、画稿データの余白として、右側の余白と左側の余白の両方を取得してもよい。また、余白取得部15は、上下左右のすべての辺の余白を取得して、配置情報記憶部14に蓄積してもよい。
拡縮率取得部16は、ページデータの対向する辺間の枠の長さと、その枠の長さに対応する画稿データに含まれるコミック画像の長さとの比である拡縮率を取得し、配置情報記憶部14に蓄積する。対向する辺とは、天の辺と地の辺との組、または、ノドの辺と小口の辺との組である。例えば、天地方向の長さを用いて拡縮率を取得する場合には、拡縮率取得部16は、ページデータにおける天地方向の枠の長さを、ページデータから取得する。この取得は、例えば、ページデータに枠の図形が含まれる場合には、その枠の図形の天地方向の長さ(例えば、ピクセル数など)を取得することによって行われてもよい。また、ページデータに、仕上がり線の天地方向の長さと、天側のマージンと、地側のマージンとが含まれている場合には、それらを用いて、枠の天地方向の長さを算出してもよい。具体的には、仕上がり線の天地方向の長さから、天側のマージンと、地側のマージンとを減算したものが、枠の天地方向の長さとなる。その長さは、ピクセル数であってもよく、センチメートルやミリメートル等であってもよい。また、拡縮率取得部16は、その枠の長さに対応する、画稿データに含まれるコミック画像の長さを取得する。そのコミック画像の長さは、コミック画像の端辺によって構成される矩形における長さである。端辺の位置は、余白の取得の際と同様にして求めることができる。なお、拡縮率取得部16は、余白取得部15が取得した端辺の位置を用いてもよい。枠の長さが天地方向の長さである場合には、画稿データにおいても、コミック画像の天地方向の長さを取得する。そして、拡縮率取得部16は、取得した枠の長さを、取得したコミック画像の長さで割ることによって、拡縮率を取得することができる。なお、拡縮率をパーセントで示す場合には、拡縮率取得部16は、その除算後の値に100を掛けたものを拡縮率としてもよい。
また、拡縮率取得部16は、天地方向の長さを用いた拡縮率である天地方向拡縮率と、ノド小口方向の長さを用いた拡縮率であるノド小口方向拡縮率とを取得し、両者のうち、選択部17が選択した拡縮率を配置情報記憶部14に蓄積してもよい。本実施の形態では、この場合について説明する。なお、この拡縮率取得部16による拡縮率の取得に必要な情報が、ページデータや画稿データに含まれているものとする。
選択部17は、天地方向拡縮率とノド小口方向拡縮率とのそれぞれを用いて画稿データを拡大または縮小した場合における、ページデータの枠外に位置するコミック画像の割合が小さい方の拡縮率を選択する。なお、この選択において、結果として、ページデータの枠外に位置するコミック画像の割合が小さい方の拡縮率が選択されるのであれば、ページデータの枠外に位置するコミック画像の割合以外の情報、例えば、ページデータの枠外に位置するコミック画像の面積やデータ量等の情報を用いて拡縮率が選択されてもよいことは言うまでもない。また、通常は、天地方向拡縮率とノド小口方向拡縮率とのうち、拡縮率の大きい方を用いて画稿データを配置した場合に、ページデータの枠外に位置するコミック画像の割合が大きくなると考えられる。したがって、天地方向拡縮率とノド小口方向拡縮率と用いて拡縮率が選択されてもよい。その場合には、拡縮率の小さい方が選択されることになる。選択部17が拡縮率を選択する方法については、後述する。
受付部18は、コミック画稿配置装置1に対する種々の入力を受け付ける。受付部18は、例えば、配置情報を受け付け、その受け付けた配置情報を配置情報記憶部14に蓄積してもよい。また、受付部18は、例えば、画稿データの配置を行う旨の指示を受け付け、その指示を生成部19に渡してもよい。受付部18は、例えば、入力デバイス(例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど)から入力された情報を受け付けてもよく、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された情報を受け付けてもよい。なお、受付部18は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、受付部18は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
生成部19は、画稿データを、ページデータに配置した画稿配置データを生成する。その配置のことを、割り付け、流し込みと呼ぶこともある。また、その画稿データが配置された後のページデータである画稿配置データのことを、ドキュメントやパブリケーションと呼ぶこともある。生成部19は、配置情報の余白と、ページデータのマージンとを用いて、配置情報の拡縮率で拡大または縮小された画稿データを、画稿データに含まれるコミック画像の基準辺側の端辺(この端辺は、コミック画像の辺である)が、ページデータにおける枠の基準辺側の端辺(この端辺は、枠の辺である)にそろうようにページデータに配置した画稿配置データを生成する。ここで、基準辺がノドの辺であり、拡縮率をM、ノド側の余白をA(mm)、ノド側のマージンをB(mm)とした場合について説明する。なお、拡縮率Mは、その値が1の場合に等倍であるものとする。生成部19は、まず、ページデータ記憶部13からページデータを読み出し、その読み出したページデータ上に、画稿データを配置する。具体的には、生成部19は、画稿データをM倍する。そして、画稿データの基準辺を、配置対象のページデータの基準辺から「A×M−B」だけ外側の位置に設定する。なお、その場合に、画稿データの基準辺と、ページデータの基準辺とは平行であるとする。ここで、「A×M−B」が正の値である場合には、画稿データの基準辺は、ページの外側に存在することになり、「A×M−B」が負の値である場合には、画稿データの基準辺は、ページの内側に存在することになる。なお、天地センターにあわせて描かれている画稿データをページデータに配置する際には、その画稿データの天地センターがページのセンターとなるように配置し、上述のようにしてノド側の位置合わせを行えばよいことになる。一方、天側または地側に寄せられて描かれている画稿データをページデータに配置する際には、前述のようにしてノド側の位置合わせを行った後に、天側または地側の位置合わせを行うことが好適である。例えば、天側の余白がC(mm)、天側のマージンがD(mm)である場合には、画稿データの天側の辺が、ページデータの天側の仕上がり線から「C×M−D」だけ外側となるように配置を行えばよい。地側の余白やマージンを用いて位置合わせを行う場合も同様である。なお、結果としてこのような配置が行われるのであれば、生成部19が画稿データを配置する具体的な方法は問わない。例えば、生成部19は、まず画稿データの位置合わせを行った後に、基準辺を基点として拡縮率に応じた拡大または縮小を行ってもよい。
また、生成部19は、セリフデータをもページデータに配置する。その場合に、生成部19は、配置対象のセリフデータに対応する画稿データが配置されるページデータに、そのセリフデータを配置するものとする。したがって、本実施の形態では、画稿データとセリフデータとが配置された画稿配置データが生成されることになる。なお、セリフデータが画稿データと同じ大きさであり、両者を重ねることによって、吹き出しの位置にセリフが表示される場合には、生成部19は、画稿データを配置する際に、その画稿データに対して行う処理と全く同じ処理をセリフデータに対して行うことによって、セリフデータを配置することができる。また、セリフデータが画稿データと同じ大きさであり、両者を重ねることによって、吹き出しの位置にセリフが表示される場合ではないのであれば、生成部19は、セリフデータを画稿データにあわせるのと同じ処理(例えば、拡大・縮小や、位置合わせ等)を行った後に、画稿データに対して行う処理と全く同じ処理をセリフデータに対して行うことによって、セリフデータを配置することができる。また、生成部19は、セリフデータを配置する際に、セリフデータのフォントサイズと間隔を拡縮率に応じて変更する。すなわち、セリフデータのフォントサイズがNであり、拡縮率がMであるとすると、生成部19は、そのセリフデータのフォントサイズをN×Mに変更する。また、セリフデータの行の間隔がKであるとすると、生成部19は、そのセリフデータの行の間隔をK×Mに変更する。また、セリフデータの文字の間隔がLであるとすると、生成部19は、そのセリフデータの文字の間隔をL×Mに変更する。なお、変更後のフォントサイズ等は、N×M等について端数を丸めた値であってもよい。その丸める処理は、例えば、切り捨てであってもよく、四捨五入であってもよい。
また、生成部19は、画稿データ記憶部11で記憶されている画稿データの数に応じた数の画稿配置データを生成することが好適である。例えば、ページデータが見開きの2ページのデータである場合であって、2P個または2P−1個(Pは1以上の整数である)の画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されている場合には、生成部19は、P個の画稿配置データを生成してもよい。また、例えば、ページデータが1ページのデータである場合であって、P個の画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されている場合には、生成部19は、P個の画稿配置データを生成してもよい。
生成部19が生成する画稿配置データは、ページデータに、拡縮率と配置位置との設定された画稿データやセリフデータをリンクしたデータであってもよい。その場合には、画稿配置データに、画稿データやセリフデータそのものが含まれていてもよく、あるいは、含まれていなくてもよい。また、その場合には、例えば、画稿配置データは、HTMLやXML等のマークアップ言語で記述されるものであってもよい。また、生成部19は、例えば、M倍した画稿データの基準辺を、配置対象のページデータの基準辺から「A×M−B」だけ外側の位置に設定した際のページデータの座標系における画稿データの所定の位置(例えば、頂点など)の座標値を配置位置として算出し、その配置位置に画稿データやセリフデータがリンクされる画稿配置データを生成してもよい。この場合には、ページデータに画稿データ等を配置するとは、その画稿データ等の配置位置の座標を取得することであると考えることもできる。また、生成部19が生成する画稿配置データは、画稿データやセリフデータがページデータに配置された後の画像データであってもよい。その画稿データである画稿配置データは、例えば、ラスタデータであってもよく、ベクタデータであってもよい。その場合には、例えば、画稿配置データは、ビットマップの画像データやPDFであってもよい。
出力部20は、生成部19が生成した画稿配置データを出力する。ここで、この出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。出力部20は、2以上の出力を行ってもよい。例えば、出力部20は、画稿配置データを表示すると共に、記録媒体に蓄積してもよい。なお、出力部20は、出力を行うデバイス(例えば、表示デバイスやプリンタなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部20は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
なお、画稿データ記憶部11で記憶される画稿データと、セリフデータ記憶部12で記憶されるセリフデータとは、コミック雑誌を作成する際に用いられたデータであってもよい。その場合には、例えば、コミック画稿配置装置1は、コミック雑誌で用いられた画稿データ等を用いて、コミックの単行本で用いられる画稿配置データを自動的に生成するものであってもよい。
また、画稿データ記憶部11と、セリフデータ記憶部12と、ページデータ記憶部13と、配置情報記憶部14とのうち、任意の2以上の記憶部は、同一の記録媒体によって実現されてもよく、あるいは、別々の記録媒体によって実現されてもよい。前者の場合には、例えば、画稿データを記憶している領域が画稿データ記憶部11となり、セリフデータを記憶している領域がセリフデータ記憶部12となる。
次に、本実施の形態によるコミック画稿配置装置1の動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)生成部19は、配置情報記憶部14で記憶されている配置情報に余白が含まれているかどうか判断する。そして、含まれている場合には、ステップS103に進み、そうでない場合には、ステップS102に進む。
(ステップS102)余白取得部15は、画稿データ記憶部11の余白を取得し、配置情報記憶部14に蓄積する。なお、後述する拡縮率の取得で必要な場合には、余白取得部15は、天地ノド小口のすべての辺に関する余白を取得してもよい。
(ステップS103)生成部19は、配置情報記憶部14で記憶されている配置情報に拡縮率が含まれているかどうか判断する。そして、含まれている場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS104に進む。
(ステップS104)拡縮率取得部16は、画稿データの拡縮率を取得し、配置情報記憶部14に蓄積する。なお、その処理については、図3のフローチャートを用いて後述する。
(ステップS105)生成部19は、カウンタiを1に設定する。
(ステップS106)生成部19は、ページデータ記憶部13からページデータを読み出し、画稿配置データを生成するための記録媒体に一時的に記憶する。
(ステップS107)生成部19は、画稿データ記憶部11からi番目の画稿データを読み出すと共に、配置情報記憶部14から配置情報を読み出す。そして、生成部19は、ページデータのマージンと、配置情報の余白と拡縮率とを用いて、前述のようにして、i番目の画稿データを配置する。
(ステップS108)生成部19は、セリフデータ記憶部12からi番目の画稿データに対応するセリフデータを読み出し、ステップS107における画稿データの配置と同様にしてセリフデータを配置する。なお、生成部19は、このセリフデータの配置の際に、前述のように、拡縮率に応じたフォントサイズと行の間隔と文字の間隔との変更を行うものとする。また、i番目の画稿データに対応するセリフデータが存在しない場合には、生成部19は、このセリフデータを配置する処理を行わなくてもよい。
(ステップS109)生成部19は、カウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS110)生成部19は、画稿データ記憶部11でi番目の画稿データが記憶されているかどうか判断する。そして、記憶されている場合には、ステップS110に進み、そうでない場合には、ステップS113に進む。
(ステップS111)生成部19は、現在作業中のページデータに、画稿データが配置されていないページが存在するかどうか判断する。そして、存在する場合には、ステップS107に戻って、そのページに対する画稿データの配置を行う。一方、存在しない場合には、ステップS112に進む。
(ステップS112)出力部20は、生成部19が生成した画稿配置データを出力する。そして、ステップS106に戻る。
(ステップS113)出力部20は、生成部19が生成した画稿配置データを出力する。そして、画稿データ等を配置する一連の処理が終了となる。
なお、図2のフローチャートには、受付部18が配置情報を受け付け、配置情報記憶部14に蓄積する処理は含まれていない。また、図2のフローチャートでは、配置の終了した画稿配置データから順番に出力する場合について説明したが、すべての画稿データの配置が終了した後に、画稿配置データを一括して出力してもよい。その場合には、その出力が行われるまで、画稿データ等の配置の終了した画稿配置データを一時的に図示しない記録媒体で保持していてもよい。
図3は、図2のフローチャートにおける拡縮率の取得の処理(ステップS104)の詳細を示すフローチャートである。
(ステップS201)拡縮率取得部16は、ページデータにおける天地方向の枠の長さを、画稿データにおける天地方向のコミック画像の長さで割った値である天地方向拡縮率を算出する。
(ステップS202)選択部17は、ステップS201で算出された天地方向拡縮率を用いて、生成部19と同様に画稿データをページデータに配置する。
(ステップS203)選択部17は、ステップS202で配置した画稿データに含まれるコミック画像のうち、枠の外側にはみ出たコミック画像の面積を、枠の面積で割った値である枠外の割合を算出し、図示しない記録媒体に蓄積する。
(ステップS204)拡縮率取得部16は、ページデータにおけるノド小口方向の枠の長さを、画稿データにおけるノド小口方向のコミック画像の長さで割った値であるノド小口方向拡縮率を算出する。
(ステップS205)選択部17は、ステップS204で算出されたノド小口方向拡縮率を用いて、生成部19と同様に画稿データをページデータに配置する。
(ステップS206)選択部17は、ステップS205で配置した画稿データに含まれるコミック画像のうち、枠の外側にはみ出たコミック画像の面積を、枠の面積で割った値である枠外の割合を算出し、図示しない記録媒体に蓄積する。
(ステップS207)選択部17は、ステップS203で算出した割合と、ステップS206で算出した割合とのうち、その割合の小さい方の拡縮率を選択する。
(ステップS208)拡縮率取得部16は、ステップS207で選択された拡縮率を配置情報記憶部14に蓄積する。そして、図2のフローチャートに戻る。
なお、図3のフローチャートにおいて、複数の画稿データが画稿データ記憶部11で記憶されている場合に、拡縮率取得部16は、各画稿データについて拡縮率の取得を行ってもよく、あるいは、いずれか1個の画稿データに対して拡縮率の取得を行ってもよい。前者の場合には、画稿データごとの拡縮率が取得されるため、生成部19は、ある画稿データの配置を行う際には、その画稿データに対応する拡縮率を用いてもよい。なお、その場合には、拡縮率取得部16は、画稿データを識別する識別情報に対応付けて、その識別情報で識別される画稿データの拡縮率を配置情報記憶部14に蓄積してもよい。また、後者の場合、すなわち、1個の画稿データに対して拡縮率を抽出する場合には、その画稿データは、1番目の画稿データであってもよく、あらかじめ決められた方法によって選択された1個の画稿データであってもよい。
また、図3のフローチャートにおいて、選択部17による選択を行う際に、複数の画稿データに対する天地方向拡縮率とノド小口方向拡縮率とを比較することによって、その選択が行われてもよい。例えば、選択部17は、奇数個の画稿データに対して選択を行い、天地方向拡縮率とノド小口方向拡縮率とのうち、より多く選択した方を最終的に選択してもよい。
ここで、図4を用いて、その拡縮率の選択の処理について説明する。図4の画稿データで示されるように、ノド小口方向が細いコミック画像の場合には、天地方向拡縮率を用いて画稿データを配置すると枠からはみ出さないが、ノド小口方向拡縮率を用いて画稿データを配置すると枠からはみ出してしまう。したがって、この場合には、天地方向拡縮率が選択され、配置情報記憶部14に蓄積されることによって、配置されたコミック画像が枠外にはみ出すことを防止することができる。
次に、本実施の形態によるコミック画稿配置装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例において、画稿データ記憶部11では、図5で示される画稿データを含む複数の画稿データが記憶されているものとする。図5において、コミック画像は、4個のコマを有している。また、図5で示されるように、破線と、画稿データの各辺との幅が余白である。また、各破線の位置がコミック画像の端辺の位置である。なお、画稿データ記憶部11において、図5以外の画稿データが記憶されていることは言うまでもない。また、この具体例において、セリフデータ記憶部12では、図6で示されるセリフデータを含む複数のセリフデータが記憶されているものとする。図6のセリフデータは、図5の画稿データに対応するものである。図6において、図5の2個の吹き出しに対応する位置にそれぞれテキストフレームが設定されており、そのテキストフレームにセリフに対応するテキストが含まれている。なお、そのテキストのフォントサイズは、「12ポイント」であり、行送りが「18ポイント」であり、字送りが「14ポイント」であるとする。なお、ページデータ記憶部13において、図6以外のセリフデータが記憶されていることは言うまでもない。また、この具体例において、ページデータ記憶部13では、図7で示されるページデータが記憶されているものとする。図7において、ページデータには、ページの外縁を示す仕上がり線(裁ち切り線)と、版面の外縁を示す枠とが含まれている。枠と仕上がり線との間の幅がマージンである。また、この具体例では、画稿データの配置を開始する時点では、配置情報記憶部14に余白や拡縮率が記憶されていないものとする。
まず、ユーザが、画稿データの配置を開始する旨の指示を入力したとする。すると、その指示が受付部18で受け付けられ、生成部19に渡される。生成部19は、その指示を受け取ると、配置情報記憶部14で記憶されている配置情報に余白が含まれているかどうか判断する(ステップS101)。この場合には、含まれていないため、生成部19は、図示しない経路で余白取得部15に余白を取得する旨の指示を渡す。すると、余白取得部15は、図5の画稿データから、左側の余白と、右側の余白と、上側の余白と、下側の余白とを取得し、配置情報記憶部14に蓄積する(ステップS102)。なお、左側の余白が39mmであり、右側の余白が38mmであり、上側の余白が45mmであり、下側の余白が48mmであったとする。
次に、生成部19は、配置情報記憶部14で記憶されている配置情報に拡縮率が含まれているかどうか判断する(ステップS103)。この場合には、含まれていないため、生成部19は、図示しない経路で拡縮率取得部16に拡縮率を取得する旨の指示を渡す。すると、拡縮率取得部16は、拡縮率を取得する処理を行う(ステップS104)。具体的には、拡縮率取得部16は、図7のページデータから、天地方向の枠の長さを取得すると共に、図5の画稿データから、天地方向のコミック画像の長さを取得する。なお、このコミック画像の長さは、コミック画像の端辺で形成される矩形(図5で示される破線で形成される矩形)の長さである。そして、枠の長さをコミック画像の長さで割った天地方向拡縮率を算出する(ステップS201)。その天地方向拡縮率は、0.837であったとする。すると、選択部17は、天地方向拡縮率「0.837」を用いて図5の画稿データを図7のページデータに配置し、枠外にはみ出たコミック画像の割合を算出して一時的に蓄積する(ステップS202,S203)。その割合は、7.1%であったとする。次に、選択部17は、図7のページデータから、ノド小口方向の枠の長さを取得すると共に、図5の画稿データから、ノド小口方向のコミック画像の長さを取得する。なお、このコミック画像の長さも、コミック画像の端辺で形成される矩形(図5で示される破線で形成される矩形)の長さである。そして、枠の長さをコミック画像の長さで割ったノド小口方向拡縮率を算出する(ステップS204)。そのノド小口方向拡縮率は、0.852であったとする。すると、選択部17は、ノド小口方向拡縮率「0.852」を用いて図5の画稿データを図7のページデータに配置し、枠外にはみ出たコミック画像の割合を算出して一時的に蓄積する(ステップS205,S206)。その割合は、7.3%であったとする。選択部17は、天地方向拡縮率と、ノド小口方向拡縮率とのうち、枠外にはみ出たコミック画像の割合の少ないほうである天地方向拡縮率を選択し、その旨を拡縮率取得部16に渡す(ステップS207)。すると、拡縮率取得部16は、拡縮率として、天地方向拡縮率「0.837」を配置情報記憶部14に蓄積する(ステップS208)。その結果、配置情報記憶部14で記憶されている配置情報は、図8で示されるようになる。
次に、生成部19は、ページデータ記憶部13からページデータを読み出し、図示しない記録媒体に蓄積する(ステップS105,S106)。そして、生成部19は、画稿データ記憶部11から、図5で示される画稿データを読み出して図示しない記録媒体で記憶しているページデータの右側のページ上に配置する(ステップS107)。なお、奇数番目の画稿データは、ページデータの右側のページ上に配置され、偶数番目の画稿データは、ページデータの左側のページ上に配置されると決まっているものとする。したがって、奇数番目の画稿データのノド側は左側となり、偶数番目の画稿データのノド側は右側となる。画稿データの配置の際に、生成部19は、配置情報記憶部14で記憶されている配置情報から、拡縮率「0.837」と、左側の余白「39(mm)」とを読み出し、ページデータの右側のページのノド側のマージン「11(mm)」を取得し、それらを用いて画稿データを配置する。具体的には、前述の「A×M−B」に対応する値が21.643(mm)となる。したがって、生成部19は、0.837倍した画稿データのセンターを右側のページの枠のセンターにあわせた後に、図9で示されるように、画稿データのノド側(左側)の辺が、仕上がり線のノド側の辺よりも21.643(mm)だけ左側になるように、画稿データをノド側に平行移動させる。このようにして画稿データの配置を行うことができる。その後、生成部19は、図5の画稿データに対応する図6のセリフデータをセリフデータ記憶部12から読み出し、フォントサイズを10(≒12×0.837)に変更し、行送りを15.1(≒18×0.837)に変更し、字送りを11.7(≒14×0.837)に変更する。また、画稿データと同様に0.837倍して、ノド側(左側)の辺が、仕上がり線のノド側の辺よりも21.643(mm)だけ左側になるようにセリフデータを配置する(ステップS108)。その結果、ページデータに画稿データとセリフデータとの配置された画稿配置データは、図10で示されるようになる。その後、2番目以降の画稿データやセリフデータについても、順次、ページデータへの配置が行われ、出力部20によって図示しない記録媒体に蓄積されていく(ステップS106〜S113)。このようにして、画稿データやセリフデータをページデータに自動的に流し込む一連の処理が行われることになる。
なお、この具体例では、天地の余白は用いないため、余白取得部15は、天地の余白を取得しなくてもよい。また、その場合には、配置情報記憶部14で記憶される図8の配置情報において、上下の余白が含まれていなくてもよい。
以上のように、本実施の形態によるコミック画稿配置装置1によれば、自動的に画稿データや、セリフデータの配置を行うことができ、画稿データ等を配置する際の作業負荷が軽減されることになる。また、画稿データを配置する際の間違いの発生を低減させることができるようになる。また、セリフデータを配置する際には、拡縮率に応じてフォントサイズや間隔も調整するため、適切なフォントサイズや間隔にすることができる。また、配置情報記憶部14において配置情報が記憶されていない場合には、余白取得部15や拡縮率取得部16によって自動的に余白等を取得するため、それらを手動で設定しなくてもよいことになる。また、拡縮率については、選択部17による選択を行うことで、より適切な拡縮率を選択することができるようになる。
なお、本実施の形態では、生成部19が配置情報記憶部14で記憶されている配置情報を用いて画稿データ等の配置を行う場合について説明したが、配置情報記憶部14で複数の配置情報が記憶されている場合に、その配置情報をユーザが選択できるようにしてもよい。コミックの作家が画稿データを作成する場合に、通常、作品ごとに、あるいは、作家ごとに余白が決まっている。したがって、その場合には、作家ごと、あるいは、作品ごとに、配置情報を選択できるようにしてもよい。具体的には、配置情報は、創作識別子と、その創作識別子に対応する画稿データの余白及び拡縮率とを有していてもよい。創作識別子とは、作品及び/または作家を識別する情報である。そして、受付部18は、そのいずれかの創作識別子を受け付ける。また、生成部19は、受付部18が受け付けた創作識別子に対応する画稿データの余白及び拡縮率を用いて画稿配置データを生成することになる。具体的には、例えば、図11で示されるように、創作識別子と、余白と、拡縮率とを有する配置情報が配置情報記憶部14で記憶されているとする。創作識別子は、作家名と、作品名とのうち少なくとも一方を有する。そして、画稿データ等の配置を開始する前に、コミック画稿配置装置1は、図12で示される選択画面を図示しないモニタに表示し、ユーザによる作家、作品の選択を受け付ける。例えば、ユーザがプルダウンメニューで作家/作品「DEF/−」を選択したとすると、その選択は受付部18で受け付けられ、生成部19に渡される。そして、生成部19は、その受け付けられた「DEF/−」に対応する余白や拡縮率を配置情報記憶部14から読み出して用いることによって、画稿データ等の配置を行うことになる。
また、本実施の形態において、画稿データ記憶部11で見開きの2ページに対応する画稿データが記憶されていてもよい。そして、生成部19が、その見開きの2ページに対応する画稿データをページデータに配置する際には、天の辺または地の辺を基準辺として、画稿配置データを生成してもよい。例えば、その画稿データが図13で示されるものであるとする。その場合には、生成部19は、拡縮率に応じて拡大または縮小した図13の画稿データのセンターが見開きの2ページのセンターになるように配置し、その後に、天側または地側の辺を基準として、画稿データの配置位置を設定する。その結果、図14で示されるように、画稿データが配置されるようになる。なお、この場合の拡縮率は、天地方向の長さを用いて算出されることが好適である。また、この場合には、セリフデータも見開きの2ページに対応するものであってもよく、その場合には、生成部19は、見開きの画稿データと同様に、その見開きのセリフデータをも配置してもよい。なお、画稿データ記憶部11で記憶されている画稿データが見開きの2ページに対応するものであるかどうかは、例えば、その画稿データに設定されているフラグ等によって判断してもよく、あるいは、その画稿データの縦横比や、画稿データの長さ等を用いて自動的に判断してもよい。フラグ等によって判断する場合には、例えば、見開きの2ページに対応する画稿データに対して、その画稿データが見開きの2ページに対応するものであることを示すフラグ等が手動で設定されていてもよい。また、自動的に判断する場合には、例えば、横の方が長い画稿データについては、見開きの2ページに対応するものであると判断してもよく、画稿データの横方向の長さが、見開き2ページの横方向の長さとほぼ同じ範囲内(例えば、0.7倍から1.3倍の範囲内など)である場合に、見開きの2ページに対応するものであると判断してもよい。
また、本実施の形態では、画稿データ等を見開きのページデータに配置する場合について説明したが、そうでなくてもよい。画稿データ等を1ページに対応するページデータに配置してもよいことは言うまでもない。
また、本実施の形態では、セリフデータをも配置する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、セリフの存在しないコミックについて処理を行う場合や、セリフの画像がコミック画像に含まれる場合には、生成部19は、セリフデータの配置を行わなくてもよい。その場合には、コミック画稿配置装置1は、セリフデータ記憶部12を備えていなくてもよい。
また、本実施の形態では、拡縮率を取得する際に選択部17による選択を行う場合について説明したが、そうでなくてもよい。拡縮率取得部16は、あらかじめ決められた天地方向、あるいは、ノド小口方向の拡縮率を取得して配置情報記憶部14に蓄積してもよい。その場合には、コミック画稿配置装置1は、選択部17を備えていなくてもよい。また、その場合には、ページデータは、その拡縮率の取得で用いる方向についてのみ枠の長さを取得できるものであってもよい。
また、本実施の形態では、拡縮率取得部16によって拡縮率を取得しうる場合について説明したが、そうでなくてもよい。拡縮率取得部16が取得する以外の方法によって、拡縮率が配置情報記憶部14で記憶されるようになってもよい。その場合には、コミック画稿配置装置1は、拡縮率取得部16を備えていなくてもよい。また、その場合には、ページデータは、対向する辺間の枠の長さを取得することができるものでなくてもよい。
また、本実施の形態では、余白取得部15によって余白を取得しうる場合について説明したが、そうでなくてもよい。余白取得部15が取得する以外の方法によって、余白が配置情報記憶部14で記憶されるようになってもよい。
また、上記実施の形態では、コミック画稿配置装置1がスタンドアロンである場合について説明したが、コミック画稿配置装置1は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、情報を出力したりしてもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いるしきい値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していない場合であっても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いるしきい値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していない場合であっても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、コミック画稿配置装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。なお、上記実施の形態におけるコミック画稿配置装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コミック画像を含む画像データである画稿データが1以上記憶される画稿データ記憶部と、画稿データが配置されるページのデータであり、ページにおいてコミック画像が配置される枠の基準辺側のマージンを含むデータであるページデータが記憶されるページデータ記憶部と、画稿データに含まれるコミック画像の基準辺側の余白と、画稿データの拡縮率とを有する配置情報が記憶される配置情報記憶部とにアクセス可能なコンピュータを、配置情報の余白と、ページデータのマージンとを用いて、配置情報の拡縮率で拡大または縮小された画稿データを、画稿データに含まれるコミック画像の基準辺側の端辺が、ページデータにおける枠の基準辺側の端辺にそろうようにページデータに配置した画稿配置データを生成する生成部、生成部が生成した画稿配置データを出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
図15は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態によるコミック画稿配置装置1を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図15において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図16は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図16において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態によるコミック画稿配置装置1の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態によるコミック画稿配置装置1の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。