JP5612396B2 - 誘導加熱装置および誘導加熱方法 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導加熱装置および方法に係り、特に、複数の誘導加熱コイルを隣接して配置して電力制御を行う際に、各誘導加熱コイル間に生ずる相互誘導電圧の影響を抑制するのに好適な誘導加熱装置および方法に関する。
近年、加熱昇温性、発熱効率の良い誘導加熱は、様々な分野で使用されている。しかし、複数の誘導加熱コイルを隣接配置して、これらに供給する電力を個別に制御する場合、隣接配置された誘導加熱コイル間には相互誘導電圧の影響による干渉が生ずる。このため、誘導加熱コイルを隣接配置した場合には投入電力の制御が不能となり、被加熱物の温度制御行うことができなくなってしまうことがある。
このような相互誘導の影響を回避、抑制する手段として、特許文献1や特許文献2に開示されている技術が知られている。特許文献1に開示されている技術は、隣接配置した誘導加熱コイル間に、高周波回路同士を逆結合させる逆結合トランスを配置し、この逆結合トランスにより、誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスを相殺するというものである。
また、特許文献2に開示されている技術は、隣接配置された誘導加熱コイル間に逆結合トランスを配置すると共に、各誘導加熱コイルに供給する電流の周波数を一致させると共に電流のゼロクロスを同期させて運転するというものである。このような構成、および制御を行うことによれば、逆結合トランスにより相互インダクタンスの少なくとも一部を相殺し、電流同期制御により相互誘導電圧の影響を回避することで、電力制御を行うインバータの容量を大型化することなく、各誘導加熱コイルに対して所望される電力を投入することが可能となる。
特開2000−100552号公報 特開2004−259665号公報
確かに、上記のような構成の誘導加熱装置であれば、隣接配置された誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスの影響による相互誘導起電力のうちの少なくとも一部は回避することができる。また、特許文献2に開示されているような構成とした場合には、電流同期制御においても、相互誘導起電力の影響を回避することができる。
しかし、上記特許文献1、2に開示されている誘導加熱装置はいずれも、逆結合トランスが固定されているため、相殺可能な相互インダクタンスが固定されることとなってしまう。このため、誘導加熱コイルを流れる電流が過大なものとなった場合、相殺されなかった相互インダクタンスに起因して生ずる相互誘導起電力も大きくなる可能性があり、こうした場合には、電源側に配置されたインバータの負荷が大きくなってしまう。
本発明では、隣接配置された誘導加熱コイル間における相互インダクタンスを適切に相殺し、容量の小さなインバータであっても相互誘導の影響を回避して運転することのできる誘導加熱装置および方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱装置は、隣接して配置され、相互インダクタンスを生じさせる複数の誘導加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、隣接配置された誘導加熱コイルを備える回路間に備えられ、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと逆極性の相互インダクタンスを生じさせる逆結合トランスと、前記逆結合トランスの結合係数を変化させる結合係数可変手段とを有し、前記結合係数可変手段は、前記誘導加熱コイル間に生ずる相互誘導インダクタンスの絶対値と前記逆結合トランス間に生ずる逆極性の相互誘導インダクタンスとの絶対値が等しくなるように、前記逆結合トランスの結合係数を変化させることを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱装置において前記誘導加熱コイルを備える各回路には、当該各回路に投入される電流と電圧の位相差を検出する電流電圧位相差検出手段を備え、前記電流電圧位相差検出手段は、予め検出した各回路における単独運転時の位相差を基準として、各回路において実運転時に検出される位相差との偏差を求め、前記偏差が正の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を大きくするように前記結合係数可変手段を駆動させる調整信号を出力し、前記偏差が負の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を小さくするように前記結合係数可変手段を駆動させる調整信号を出力するようにすると良い。
このような構成とすることにより、誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと、逆結合トランスにより生じさせる逆極性の相互インダクタンスとを一致させることができる。よって、相互インダクタンスを相殺し、結果として相互誘導起電力の発生を抑制(相殺)することが可能となる。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱コイルでは、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互誘導起電力を検出する相互誘導起電力検出手段を備え、前記相互誘導起電力検出手段は、検出された前記相互誘導起電力に基づいて算出される相互インダクタンスの絶対値と、前記逆極性の相互誘導インダクタンスとの絶対値が等しくなる前記逆結合トランスの結合係数を算出し、算出された結合係数を得るように前記結合係数可変手段を駆動させる調整信号を出力するようにしても良い。
このような構成とすることにより、誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと、逆結合トランスにより生じさせる逆極性の相互インダクタンスとを一致させることができる。よって、相互インダクタンスを相殺し、結果として相互誘導起電力の発生を抑制(相殺)することが可能となる。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱装置において前記逆結合トランスは、前記隣接配置された誘導加熱コイルのうちの一方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた一次巻線と、他方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた二次巻線とより構成され、前記結合係数可変手段は、前記一次巻線と前記二次巻線との間隔を変化させるアクチュエータとすると良い。
このような構成とすることにより、逆結合トランスの結合係数を変化させることができる。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱装置では、隣接配置された誘導加熱コイルのそれぞれに接続され、各誘導加熱コイルに投入する電流波形の位相を同期させ、各誘導加熱コイルに投入する電力を個別に制御することを可能としたインバータを備えることが望ましい。
このような構成とすることにより、負荷コイル部に生じた相互誘導電圧を逆結合トランスの作用により相殺し、その後さらに電力制御信号による電力制御にて相互誘導電圧の影響を回避した運転を行うこととなる。このため、被加熱物の温度制御をより精度良く行うことが可能となる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱方法は、隣接して配置され、相互インダクタンスを生じさせる複数の誘導加熱コイルと、各誘導加熱コイルを備える回路間に設けられ、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと逆極性の相互インダクタンスを生じさせる逆結合トランスとを有する誘導加熱装置による誘導加熱方法であって、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互誘導インダクタンスの絶対値と、前記逆結合トランス間に生ずる逆極性の相互インダクタンスの絶対値とが等しくなるように、前記逆結合トランスの結合係数を変化させ、被加熱物の誘導加熱を行なうことを特徴とする。
上記のような特徴を有する誘導加熱方法では、各誘導加熱コイルを備える回路における単独運転時の電流と電圧の位相差を予め検出し、前記単独運転時の位相差を基準として各回路において実運転時に検出される電流と電圧の位相差との偏差を求め、前記偏差が正の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を大きくし、前記偏差が負の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を小さくすると良い。
このような方法を採ることにより、誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと、逆結合トランスにより生じさせる逆極性の相互インダクタンスとを一致させることができる。よって、相互インダクタンスを相殺し、結果として相互誘導起電力の発生を抑制(相殺)することが可能となる。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱方法では、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互誘導起電力を検出し、検出された前記相互誘導起電力に基づいて算出される相互インダクタンスの絶対値と、前記逆極性の相互誘導インダクタンスとの絶対値が等しくなる前記逆結合トランスの結合係数を算出し、算出された結合係数を得るように、前記逆結合トランスの結合係数を変化させるようにしても良い。
このような方法を採ることによっても、誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと、逆結合トランスにより生じさせる逆極性の相互インダクタンスとを一致させることができる。よって、相互インダクタンスを相殺し、結果として相互誘導起電力の発生を抑制(相殺)することが可能となる。
また、上記のような特徴を有する誘導加熱方法において前記逆結合トランスは、前記隣接配置された誘導加熱コイルのうちの一方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた一次巻線と、他方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた二次巻線とより構成され、前記逆結合トランスにおける前記結合係数の変化は、前記一次巻線と前記二次巻線との間隔を変化させることで成されるようにすることができる。
このような方法を採用することにより、逆結合トランスの結合係数を確実に変化させることができる。
さらに、上記のような特徴を有する誘導加熱方法では、各誘導加熱コイルに投入する電流波形の位相を同期させ、各誘導加熱コイルに投入する電力を個別に制御するようにすると良い。
このような方法を採ることにより、負荷コイル部に生じた相互誘導電圧を逆結合トランスの作用により相殺し、その後さらに電力制御信号による電力制御にて相互誘導電圧の影響を回避した運転を行うこととなる。このため、被加熱物の温度制御をより精度良く行うことが可能となる。
上記のような特徴を有する誘導加熱装置および方法によれば、隣接配置された誘導加熱コイル間に生ずる相互誘導電圧の大小に係わらず、適切に相互誘導電圧を相殺することができる。これにより、各誘導加熱コイルへの投入電力の制御を適正に行うことが可能となり、被加熱物の温度分布制御を精度良く行うことが可能となる。
実施形態に係る誘導加熱装置の構成を示すブロック図である。 逆結合トランスの調整機構を説明するためのブロック図である。 実施形態に係る誘導加熱装置における他の形態を示すブロック図である。
以下に本発明に係る誘導加熱装置および誘導加熱方法の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態を示す概要構成図である。この誘導加熱装置10は、電力を供給する電源部30と、供給電流を整流する順変換部40、駆動制御回路20(20m、20s)、負荷コイル部22(22m、22s)、および相互誘導起電力検出手段70とから構成される複数の加熱ユニットとから成る。
本実施形態では、複数の誘導加熱コイル56の相互誘導電圧の影響(干渉)により生ずる干渉起電力(相互誘導起電力)を後述する逆極性の相互インダクタンスを発生させる逆結合トランス64により相殺(抑制)しつつ、複数の誘導加熱コイル56に投入する電流の周波数と、電流波形のゼロクロス位置をそれぞれ制御することが可能なインバータ52により個別に電力制御することで、相互誘導電圧の影響を回避するようにしている。これにより、隣接配置された個々の誘導加熱コイル56への投入電力を相互誘導電圧の影響を受ける事無く個別に制御することが可能となり、被加熱物をその要求温度分布となるようにゾーンコントロールすることができる。
前記逆結合トランス64は、隣り合う誘導加熱コイル56を有する負荷コイル部22等に備えられ、例えばコイルの巻き方向が逆向きである等により各々の極性が逆になるように向かい合わせに、あるいは図2に示すように直線上に並べて備えられる調整コイル63a,63bにより構成される。つまり、トランスの一次巻線と二次巻線の双方に、対向する方向の電流を流すようにすれば、一次巻線を構成する調整コイル63aと二次巻性を構成する調整コイル63bとの間には、コイルの巻方向、電流の向きを同一とする隣接配置された誘導加熱コイル56間に生ずる相互インダクタンスと逆極性の相互インダクタンスが生ずることとなり、結果として相互誘導電圧(磁場による起電力)の発生を抑制することができるという原理である。
例えば、隣接配置した2つの誘導加熱コイルとこれに接続された回路(インバータ)が存在した場合、各誘導加熱コイルを単独で稼動させた場におけるインバータの出力電圧Vは、数式1により示すことができる。
Figure 0005612396
ここで、iはインバータからの出力電流、jωLは、インピーダンスにおけるインダクタンス成分(誘導リアクタンス)であり、j(1/ωC)は、インピーダンスにおけるキャパシタンス成分(容量リアクタンス)であり、Rはインピーダンスにおける抵抗成分である。
これに対し、2つの誘導加熱コイルを同時に稼動させた場合、第1回路における電圧Vは数式2、第2回路における電圧Vは数式3で示すようなものとなる。なお、数式2、3における下付文字は、第1回路、第2回路における各成分であることを示す。
Figure 0005612396
Figure 0005612396
数式2、3においてそれぞれ、ijωM12、ijωM12が相互誘導電圧であり、−ijωM、−ijωMが逆結合トランスに起因した相互誘導電圧である。ここで、各回路における相互誘導電圧成分において、誘導加熱コイル間の相互インダクタンスを示すM12と、逆結合トランスにおける相互インダクタンスを示すMの係数であるijωは共通である。このため、誘導加熱コイル間における相互インダクタンスM12と、逆結合トランスにおける相互インダクタンスMが同一となれば、相互誘導電圧成分が相殺され、単独運転時における出力電圧Vと同一視することができるということである。
このため、逆結合トランス64を備えることにより、相互誘導電圧の影響(干渉)が最も大きい隣り合う回路中に発生する相互誘導電圧(誘導起電力)、または影響を及ぼしている相互誘導電圧全体の内の一部を相殺することができ、インバータ52の負荷を軽減することができる。
逆結合トランスには、結合係数可変手段が設けられる。結合係数可変手段は、図2に示すように、一方の誘導加熱コイル56(例えば誘導加熱コイル56m)を備える負荷コイル部22に設けられた調整コイル63aと、一方の誘導加熱コイル56に隣接配置された他方の誘導加熱コイル56(例えば誘導加熱コイル56s1)を備える負荷コイル部22に設けられた調整コイル63bとの間の距離を物理的に変化させるアクチュエータである。アクチュエータは、例えば調整コイル63a,63bのうちの少なくとも一方(図2に示す例では双方)の配置位置を他方の調整コイル63b,63aへ近接または離反させることを可能としたスライダ66と、このスライダ66を駆動可能なモータ68などにより構成される。このような構成とすることで、モータ68が、詳細を後述する相互誘導起電力検出手段70からの信号(調整信号)に基づいて駆動することで、調整コイル63aと調整コイル63bとの間隔が変わり、逆結合トランス64における結合係数が変化することとなる。
本実施形態に係る誘導加熱装置10では、任意の誘導加熱コイル56mとその駆動制御回路20mとをメインユニットとし、その他の誘導加熱コイル56s1、56s2・・・56sxと駆動制御回路20s1、20s2・・・20sxとをサブユニットとしている。
この実施形態では、メインユニット並びにサブユニットの各々は、共通の電源部30から順変換部40を介して電源供給を受けて駆動されるようになっており、メインチョッパ50m、サブチョッパ50s(s1〜sx以下同じ)を備えて電圧調整ができるようになっている。チョッパ50の出力側にはインバータ52(52m、52s)が接続されている。各インバータ52の出力側の誘導加熱コイル56を含む負荷コイル部22(22m、22s)には、誘導加熱コイル56と直列に、コンデンサ54(54m、54s)が接続され、直列共振回路を構成している。さらに、前記負荷コイル部22(22m、22s)には、前記誘導加熱コイル56と直列に1個または2個の逆結合トランス64が構成されている。逆結合トランス64を構成する調整コイル63は、対向するコイルと極性を逆とするため、相互誘導電圧の影響が最も大きい隣り合う回路間の相互誘導電圧を相殺させるようにすることが望ましい。これらの構成により、各誘導加熱コイル56を制御しつつ、被加熱物の加熱制御をすることができる。
ところで、本実施形態では、複数の誘導加熱コイル56を作動させることによって生ずる相互誘導電圧の影響を回避するために、隣り合う誘導加熱コイル56間に生じる干渉起電力(誘導起電力)を相殺し、かつ複数の加熱ユニットにおける誘導加熱コイル56への投入電力をインバータ52の制御をすることにより調整するようにしている。このため、各サブユニットには、投入電力検出制御器62を付帯させており、メインユニットの負荷コイル部22mに投入される電力と、サブユニットの負荷コイル部22sに投入される電力とを入力し、両者に発生する相互誘導電圧の影響を回避するようにインバータ52sを駆動制御するようにしている。これにより、メインユニットとサブユニットの各チョッパ50にて誘導加熱コイル56が必要とする投入電力の電圧を調整しても、隣接する誘導加熱コイル56間で相互誘導による影響を完全に又は、最小限に抑制することができるので、電力調整を安定して行わせることができ、各誘導加熱コイル56で加熱される被加熱物の温度を任意に設定することができ、昇温を高速に行わせつつ、ゾーンコントロールをすることが可能となるのである。また、相互誘導電圧が生ずる各負荷コイル部22に逆結合トランス64を設けるようにしたことにより、隣接誘導加熱コイル間における相互インダクタンスを相殺することができるため、最も大きい相互誘導電圧の影響を相殺することができる。このため、誘導加熱コイル56への入力電力が増大した場合であっても、それに伴い相互誘導電圧が増大することが無く、投入電力を制御するインバータ52の出力及び容量を増大させる必要性を無くすことができる。さらに、負荷コイル部22(22m、22s)には、誘導加熱コイル56と直列に変流器58(58m、58s)が設けられると共に、誘導加熱コイル56に平行に変圧器(計器用)59(59m、59s)が設けられており、その出力電流と出力電圧を投入電力検出制御器62にフィードバックするようになっている。このフィードバック値を基にインバータ52に電力制御信号が送られる。
電力制御信号は、負荷コイル部22において検出された電流における電流波形のゼロクロスに基づいて算出された電流波形の位相補正値と、出力電力値を定める信号である。複数の駆動制御回路20から出力される電流は、周波数を一致させ、電流波形のゼロクロスをメインユニットから出力される電流波形に同期、または予め定めた位相角度を維持するように制御されて出力される。このような電流制御を行うことにより、メインユニットの負荷コイル部22mに投入される電力と、サブユニットの負荷コイル部22sに発生する相互誘導電圧の影響を回避することが可能となる。
相互誘導起電力検出手段70は、例えば上述した投入電力検出制御器62により検出された負荷コイル部22における電圧と、インバータ52における出力電圧との差から、各負荷コイル部22間に生じた相互誘導電圧(相互誘導起電力)を検出する役割を担う。相互誘導起電力検出手段70は例えば、相互誘導起電力eを求める数式4に基づいて、
Figure 0005612396
相互インダクタンスMを算出する。ここで、dIは、単位時間あたりに1次巻線側(例えば誘導加熱コイル56m)に流れる電流値であり、dtは、単位時間を示す。
これに対し、逆結合トランス64における1次巻線と2次巻線(例えば調整コイル63aと調整コイル63b)における自己インダクタンスL(L、L)はそれぞれ計測により予め求めておく。なお、実際には困難であるが、自己インダクタンスについて、単位時間あたりの磁束dφと、単位時間dt、およびコイルの巻数を用いて算出する場合には、数式5を用いることができる。
Figure 0005612396
計測、あるいは算出により導いた自己インダクタンスLを求めた後、この自己インダクタンスL用い、誘導加熱コイル56間における相互インダクタンスの絶対値と絶対値が同じとなる逆極性の相互インダクタンスを得るための結合係数kについて、数式6、7より求める。
Figure 0005612396
Figure 0005612396
調整コイル63a,63b間に所望する結合係数を算出した後、当該結合係数を得るための調整コイル63aと調整コイル63bとの間の間隔を算出、あるいは予め定められた対応表、または相互誘導起電力のフィードバック値等に基づいて、調整コイル63a,63b間の距離を変化させる駆動信号をアクチュエータを構成するモータ68に出力する。
このような構成とすることにより、各誘導加熱コイル56間の特性に合わせて、逆結合トランス64の結合係数を変化させ、相互インダクタンスを効果的に相殺することが可能となる。このため、隣接する誘導加熱コイル56間における相互誘導電圧の影響を回避し、インバータ52への負担を低減させた運転を実施することができる。
上記のような実施形態において、誘導加熱コイル56を有する複数の加熱ユニットの負荷コイル部22の各々に、逆結合トランス64を構成するようにしたことにより、大きな影響を奏する相互誘導電圧を相殺、又は一部相殺した後、さらにインバータ制御により相互誘導電圧の影響を回避することとなるため、相互誘導の影響の略全てを回避することができ、かつインバータ52の容量を低減させることができる。また、相互誘導電圧の回避手段を逆結合トランス64と、インバータ52との2通りとしたことにより、どちらか片方の手段で相互誘導電圧の回避を行おうとする場合に比べ、装置にかかる負担又は装置自体を軽減することができる。例えば、インバータ制御のみの場合は、相互誘導電圧の増大に伴う容量の増大が否めない。また、逆結合トランス64のみで相互誘導電圧の回避を完全に行おうとする場合は、誘導加熱コイル56の数が増えるに従い、当該逆結合トランス64の数を、相互誘導電圧の影響が及ぶコイルの数に従って増やさなければならない。このため、設置コスト、メンテナンス、制御・調整等の面から考えると現実的でなくなる。
また、上記実施形態において、逆結合トランス64の調整コイル63に図示しない鉄心を入れて逆誘導の効率を上げるようにしても良い。
また、上記実施形態に係る誘導加熱装置では、自己インダクタンスLに基づいて結合係数kを算出し、逆結合トランス64における調整コイル63a,63b間の間隔を制御し、相互インダクタンスを相殺する旨記載した。しかしながら本発明に係る誘導加熱装置10は、図3に示すような形態として、逆結合トランス64における調整コイル63a,63b間の間隔を制御し、相互インダクタンスを相殺することもできる。
図3に示す形態に係る誘導加熱装置10は、相互誘導起電力検出手段70に替えて、電流電圧位相差検出手段72を備えた点を特徴としている。電流電圧位相差検出手段72は、各負荷コイル部22(22m、22s)における変流器58により検出される電流の波形と、変圧器59により検出される電圧の波形又は、インバータ52に与えるゲート駆動信号との間における位相差を検出すると共に、検出された位相差に基づいて、逆結合トランス64のモータ68に対して駆動信号を出力するための手段である。
ここで、各インバータ52を単独運転させた際の電流と電圧の位相角θは、数式8により示すことができる。
Figure 0005612396
これに対し、隣接配置した誘導加熱コイルを備える2つのインバータを同時に運転した場合における電流と電圧の位相角θ、θは、それぞれ数式9、10により示すことができる。
Figure 0005612396
Figure 0005612396
数式8から10を参酌すると、誘導加熱コイル間における相互インダクタンスM12と逆結合トランスにおける相互インダクタンスMとが等しければ、tanθ、tanθは、単独運転時におけるtanθの計算式と同一視することが可能であることが解る。そして、数式9、10によれば、M12よりもMが大きい場合にはtanθ、tanθの値がtanθよりも小さくなり、M12よりもMが小さい場合にはtanθ、tanθの値がtanθよりも大きくなることを読み取ることができる。
このため、各インバータ52における電流と電圧の位相角(位相差)を予め求めておくことで、実運転時における各負荷コイル部22の電流と電圧の位相角(位相差)を検出し、単独運転時における位相角を基準として実運転時の位相角との偏差を求め、偏差が正であるか負であるかに応じて逆結合トランス64における調整コイル63a,63bの間隔を調整することで、相互インダクタンスを相殺することが可能となる。
具体的には、偏差が正であった場合には、逆結合トランス64における相互インダクタンスMが、M12に比べて小さいということがいえる。このため、逆結合トランス64における結合係数kを大きくすることで、偏差を零に近付けることができる。よってこの場合、電流電圧位相差検出手段72は、調整コイル63a,63b間の距離を縮めるようにモータ68に対して駆動信号を出力する。
逆に、偏差が負であった場合には、逆結合トランス64における相互インダクタンスMは、M12に比べて大きいということになる。このため、逆結合トランス64における結合係数kを小さくすることで、偏差を零に近付けることができる。よってこの場合、電流電圧位相差検出手段72は、調整コイル63a,63b間の距離を広げるようにモータ68に対して駆動信号を出力する。
駆動信号の出力は、フィードバック制御等により自動で行うようにしても良いし、図示しないモニタ等に位相角の偏差を出力し、作業者の判断に応じて作業者がモータに対する駆動信号の出力指示を出すようにしても良い。このような制御を繰り返し行うことで、M12とMとを一致させることができ、相互インダクタンスを完全にキャンセルすることが可能となる。
このような制御形態であっても、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。
10………誘導加熱装置、20………駆動制御回路、22………負荷コイル部、30………電源部、40………順変換部、50………チョッパ、52………インバータ、54………コンデンサ、56………誘導加熱コイル、58………変流器、59………変圧器、62………投入電力検出制御器、63a,63b………調整コイル、64………逆結合トランス、66………ステージ、68………モータ、70………相互誘導起電力検出手段。

Claims (6)

  1. 隣接して配置され、相互インダクタンスを生じさせる複数の誘導加熱コイルを有する誘導加熱装置であって、
    隣接配置された誘導加熱コイルを備える回路間に備えられ、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと逆極性の相互インダクタンスを生じさせる逆結合トランスと、
    前記逆結合トランスの結合係数を変化させる結合係数可変手段とを有しすると共に
    前記誘導加熱コイルを備える各回路には、当該各回路に投入される電流と電圧の位相差を検出する電流電圧位相差検出手段を備え、
    前記電流電圧位相差検出手段は、予め検出した各回路における単独運転時の位相差を基準として、各回路において実運転時に検出される位相差との偏差を求め、
    前記偏差が正の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を大きくするように前記結合係数可変手段を駆動させる調整信号を出力し、
    前記偏差が負の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を小さくするように前記結合係数可変手段を駆動させる調整信号を出力することを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記逆結合トランスは、前記隣接配置された誘導加熱コイルのうちの一方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた一次巻線と、他方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた二次巻線とより構成され、
    前記結合係数可変手段は、前記一次巻線と前記二次巻線との間隔を変化させるアクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 隣接配置された誘導加熱コイルのそれぞれに接続され、各誘導加熱コイルに投入する電流波形の位相を同期させ、各誘導加熱コイルに投入する電力を個別に制御することを可能としたインバータを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導加熱装置。
  4. 隣接して配置され、相互インダクタンスを生じさせる複数の誘導加熱コイルと、各誘導加熱コイルを備える回路間に設けられ、隣接配置された前記誘導加熱コイル間に生ずる相互インダクタンスと逆極性の相互インダクタンスを生じさせる逆結合トランスとを有する誘導加熱装置による誘導加熱方法であって、
    各誘導加熱コイルを備える回路における単独運転時の電流と電圧の位相差を予め検出し、
    前記単独運転時の位相差を基準として各回路において実運転時に検出される電流と電圧の位相差との偏差を求め、
    前記偏差が正の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を大きくし、
    前記偏差が負の場合には、前記逆結合トランスの結合係数を小さくして、被加熱物の誘導加熱を行なうことを特徴とする誘導加熱方法。
  5. 前記逆結合トランスは、前記隣接配置された誘導加熱コイルのうちの一方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた一次巻線と、他方の誘導加熱コイルを備える回路に設けられた二次巻線とより構成され、
    前記逆結合トランスにおける前記結合係数の変化は、
    前記一次巻線と前記二次巻線との間隔を変化させることで成されることを特徴とする請求項4に記載の誘導加熱方法。
  6. 各誘導加熱コイルに投入する電流波形の位相を同期させ、各誘導加熱コイルに投入する電力を個別に制御することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の誘導加熱方法。
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