JP5611278B2 - 船舶用ボイラ - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたコンポジットボイラは、熱源として主機となる船舶エンジンの排ガスの保有する排熱を利用するボイラに、燃焼装置を備えた補助ボイラを付設し、エンジンの負荷の変動或いは停止により排ガスの熱量が不足したときは、補助ボイラの燃焼装置にて追い焚きを行い、所要の熱量を得ている。
本発明者等は、このような問題点を解決するため研究を重ねた結果、船舶に備えられた発電機等、メインエンジン以外の機器(以下、補機という。)が排出する排ガスの熱を利用することに着目し、本発明を完成するに至った。
また、前記補機排熱回収ボイラの缶水と前記コンポジットボイラの缶水とが連通するように連結管で連結して接続しているので、どの補機の熱回収を行っても常に蒸気を発生させることができるとともに、前記コンポジットボイラの前記上部管寄せに設定圧力に等しい飽和温度の飽和水を貯留することができ、負荷の要求に対して直ぐの蒸気供給が可能となる。
また、個々の補機の排ガスの熱を回収する複数台の補機排熱回収ボイラをコンポジットボイラに接続すると、複数の補機から排出される排ガスの熱を効率よく回収し、蒸気を発生させることができる。
さらに、補機の排ガスの熱を回収する補機排熱回収ボイラは、前記コンポジットボイラの缶水との連通だけで他に相互に共通する構成はなく、排ガス流入ダクト及び排ガス放出ダクトを独立した構成とすることにより、船舶規格に求められる船級を満たすものとすることができる。
図1、図2は本発明に係る船舶用ボイラの実施の形態の第1例を示すものであり、図1は本例の全体構造説明図、図2は図1のA−A線端面図である。
環状に形成された上部管寄せ1の炉内側10には燃焼装置11が設けられている。上部管寄せ1と下部管寄せ2を連結する水管群4のうちの水管4aが、上部管寄せ1に開口する部分を囲むように密に配置されて、円筒状の水管壁12を形成し、燃焼室3を形成している。さらに、この燃焼室3となる水管壁12と連通し、外周壁9に達するように水管4bが密に配置されて水管壁14が形成され、燃焼室3で燃焼した燃焼ガスを燃焼ボイラ排ガス排出口16へ導く排ガス流路15が形成されている。燃焼ボイラ排ガス排出口16には船外へ排ガスを排出するための排ガス排出ダクトが接続される。
燃焼室3を形成する水管4aで構成される水管壁12と排ガス流路15を形成する水管4bで構成される水管壁14の外側にある水管群4の水管4cは、所定の間隔をおいて配置されている。上部管寄せ1と下部管寄せ2の間を覆っている外周壁9には主機排ガス流入口17と主機排ガス流出口18が設けられており、主機排ガス流入口17から外周壁9内に入った主機排ガスは水管群4の水管4cの外面を流れ、主機排ガス流出口18から外周壁9外に排出される。外周壁9の主機排ガス流入口17には外周壁9内に主機排ガスを導入する主機排ガス導入ダクトが接続され、主機排ガス流出口18には船外で主機排ガスを排出するための主機排ガス排出ダクトが接続される。
前記主機排熱回収ボイラ6は、燃焼室3を形成する水管壁12と排ガス流路15を形成する水管壁14の外側にある水管群4と、主機排ガス流入口17と主機排ガス流出口18が設けられている外周壁9で構成されている。
排ガス流入口22には補機の排ガスを排ガス流入口22に導入する補機排ガス導入ダクトが接続される。また、排ガス流出口23には補機排熱回収ボイラ8で熱回収され温度が低下した補機の排ガスを船外へ排出するための補機排ガス排出ダクトが接続される。
このように構成された補機排熱回収ボイラ8の水室21とコンポジットボイラ7の缶水が連通するように、水室21の上部を仕切る上部管板19とコンポジットボイラ7の上部管寄せ1が上部連結管29で連結され、水室21の下部を仕切る下部管板20とコンポジットボイラ7の下部管寄せ2が下部連結管30で連結されている。
消音手段32としてはパンチングメタルで円筒状に形成された筒の外周と排ガス流出口23の内周面間にガラスウールなどの吸音効果を持つ材料を挟持させた構成のものが使用されたり、また、排ガス流出口23の長さを長くしたり、排ガス流出口23に段差を付けた構成のものが使用されるが、特に限定されない。
また、補機排熱回収ボイラ8にあっては、煙管24を下方から上方へ流れる補機排ガスにより水室21内の水は加熱され、上部連結管29から蒸気を含む缶水が上部管寄せ1に流れ、上部管寄せ1で気液分離して、燃焼ボイラ5と主機排熱回収ボイラ6で構成されるコンポジットボイラ7で生成される蒸気とともに蒸気使用機器へ供給される。
また、停泊中など主機が停止している場合であっても、補機の熱回収を行うことで、蒸気を常時供給することができるとともにボイラ内の缶水は設定圧力に等しい飽和温度の飽和水を貯留することができ、負荷の要求に対して直ぐの蒸気供給が可能になるとともに、燃焼ボイラ5側の燃料消費量の削減を図り、コストを低減することができる。
また、本例では、排ガス流出口23に補機の排気騒音を低減するための消音手段32が備えられているので、停泊域周辺の環境を良好にすることができる。
また、図1において、補機排熱回収ボイラ8は、コンポジットボイラ7に隣接しているが、上部連結管29と下部連結管30の長さをコンポジットボイラ7と補機(図示せず。)の船内配置に合わせて変更し、補機排熱回収ボイラ8をコンポジットボイラ7に自由に接続することも可能である。
なお、補機排熱回収ボイラ8の水室21の上部を仕切る上部管板19とコンポジットボイラ7の上部管寄せ1を連結する上部連結管29と、水室21の下部を仕切る下部管板20とコンポジットボイラ7の下部管寄せ2を連結する下部連結管30に、それぞれバルブを設け、そのバルブを閉じて補機排熱回収ボイラ8とコンポジットボイラ7との縁切りを行うことにより、補機排熱回収ボイラ8の修理や交換を容易に行うことも可能になる。
本例の船舶用ボイラについて、前記第1例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
本例と第1例と異なる構成は、補機排熱回収ボイラ8の構成だけである。
本例の補機排熱回収ボイラ8にあっては、筒状をなす耐圧の上室部33と下室部34との間を複数の水管35で連結し、上室部33と下室部34の間は円筒状に形成された外周壁36で覆われている。外周壁36には補機の排ガス流入口22と補機の排ガス流出口23が設けられており、水管35内の水が外周壁36内に導入され水管35の外面を流れる補機排ガスの熱と熱交換するように構成した水管式となっている。
排ガス流入口22には補機の排ガスを外周壁36に導入する補機排ガス導入ダクトが接続される。また、排ガス流出口23には補機排熱回収ボイラ8で熱回収され温度が低下した補機の排ガスを船外へ排出するための補機排ガス排出ダクトが接続される。
このように構成された補機排熱回収ボイラ8とコンポジットボイラ7とは、補機排熱回収ボイラ8の上室部33とコンポジットボイラ7の上部管寄せ1とは、液相部同士と気相部同士がそれぞれ、または液相部同士と気相部同士のいずれかが上部連結管29a、29bで連結され、下室部34とコンポジットボイラ7の下部管寄せ2が下部連結管30で連結されている。本例では、補機排熱回収ボイラ8の上室部33とコンポジットボイラ7の上部管寄せ1とは、液相部と気相部同士がそれぞれ上部連結管29a、29bで連結されている。上部連結管29a、29bと下部連結管30にはバルブを設けてもよい。
消音手段32としてはパンチングメタルで円筒状に形成された筒の外周と排ガス流出口23の内周面間にガラスウールなどの吸音効果を持つ材料を挟持させた構成のものが使用されたり、また、排ガス流出口23の長さを長くしたり、排ガス流出口23に段差を付けた構成のものが使用されるが、特に限定されない。
また、停泊中など主機が停止している場合であっても、補機の熱回収を行うことで、蒸気を常時供給することができ、燃焼ボイラ5側の燃料消費量の削減を図り、コストを低減することができる。
また、補機排熱回収ボイラ8の上室部33とコンポジットボイラ7の上部管寄せ1とは液相部と気相部同士がそれぞれ上部連結管29a、29bで連結する構造では、缶水の循環を行いながら補機排熱回収ボイラ8から発生した蒸気を単独で供給できるので、起蒸を早めることが可能となる。
また、図3において、補機排熱回収ボイラ8は、コンポジットボイラ7に隣接しているが、上部連結管29a,29bと下部連結管30の長さをコンポジットボイラ7と補機(図示せず。)の船内配置に合わせて変更し、補機排熱回収ボイラ8をコンポジットボイラ7に自由に接続することも可能である。
その他の効果は、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
本例の船舶用ボイラについて、前記第1例、第2例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
本例と第1例と異なる構成は、補機排熱回収ボイラ8の台数だけである。
本例では、個々の補機の排ガスの熱を回収する複数台の補機排熱回収ボイラ8をコンポジットボイラ7に接続している。
本例の補機排熱回収ボイラ8として、第1例、第2例で示すいずれの方式の補機排熱回収ボイラ8も適用できる。
このように構成された本例の船舶用ボイラによれば、簡単な構成で補機の台数分の熱回収ボイラをコンパクトにコンポジットボイラ7に接続でき、補機のいずれかが作動していれば、蒸気を常時供給することが可能となる。
また、上部連結管29と下部連結管30の長さをコンポジットボイラ7と補機(図示せず。)の船内配置に合わせて変更して、補機排熱回収ボイラ8を自由に設置することも可能となる。
その他の効果は、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
本例の船舶用ボイラについて、前記第1例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1例と異なる構成についてのみ説明する。
排ガス流入口22から補機排ガス流入空間38に入った補機排ガスは、補機排ガス流入空間38で上部管寄せ1と下部管寄せ2の間を連結している水管4cの外面を流れ、排ガス流出口23に接続されている補機排ガス排出ダクトから排出される。
消音手段32としてはパンチングメタルで円筒状に形成された筒の外周と排ガス流出口23の内周面間にガラスウールなどの吸音効果を持つ材料を挟持させた構成のものが使用されたり、また、排ガス流出口23の長さを長くしたり、排ガス流出口23に段差を付けた構成のものが使用されるが、特に限定されない。
その他の効果は、前記第1例と同様なので、第1例の説明を援用する。
本例の船舶用ボイラについて、前記第1参考例と同一の構成については同一の符号を付しその説明を省略し、第1参考例と異なる構成についてのみ説明する。
本例が第1参考例と異なる構成は、本例の船舶用ボイラは、上部管寄せ1と下部管寄せ2の間を覆っている外周壁9内で、上部管寄せ1と下部管寄せ2の間が仕切板37で仕切られた他方の空間S2の構成だけである。
その他の効果は、前記第1参考例と同様なので、第1参考例の説明を援用する。
2 下部管寄せ
3 燃焼室
4 水管群
4a、4b、4c 水管
5 燃焼ボイラ
6 主機排熱回収ボイラ
7 コンポジットボイラ
8 補機排熱回収ボイラ
9 外周壁
10 炉内側
11 燃焼装置
12、14 水管壁
15 排ガス流路
16 燃焼ボイラ排ガス排出口
17 主機排ガス流入口
18 主機排ガス流出口
19 上部管板
20 下部管板
21 水室
22 排ガス流入口
23 排ガス流出口
24 煙管
25 胴板
29、29a、29b 上部連結管
30 下部連結管
32 消音手段
33 上室部
34 下室部
35 水管
36 外周壁
37 仕切板
38 補機排ガス流入空間
39 仕切板
S1 一方の空間
S2 他方の空間
Claims (4)
- 上部管寄せと下部管寄せとの間を、内部に燃焼室を形成して多数の水管群で連結した燃焼ボイラと、前記水管の外面を主機排ガスが流れるようにして熱回収を行うようにした主機排熱回収ボイラとを組み合わせたコンポジットボイラにおいて、
補機の排ガスの熱を回収する補機排熱回収ボイラを前記コンポジットボイラに、前記補機排熱回収ボイラの缶水と前記コンポジットボイラの缶水とが連通するように連結管で連結して接続し、前記補機排熱回収ボイラから発生する蒸気を前記コンポジットボイラの前記上部管寄せを介して蒸気使用機器へ供給するようにしたことを特徴とする船舶用ボイラ。 - 前記補機排熱回収ボイラは、水室に煙管を内装して構成され、前記水室と前記コンポジットボイラの前記上部管寄せおよび前記下部管寄せとが前記連結管で連結されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶用ボイラ。
- 前記補機排熱回収ボイラは、上室部と下室部との間を水管で連結し、前記水管の外面を補機排ガスが流れるように構成され、前記上室部と前記コンポジットボイラの前記上部管寄せとが上部に配置された前記連結管で、前記下室部と前記コンポジットボイラの前記下部管寄せとが下部に配置された前記連結管で、それぞれ連結されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶用ボイラ。
- 前記補機排熱回収ボイラには、補機排ガスの流入口または流出口のいずれか一方若しくは双方に消音手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の船舶用ボイラ。
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