JP5611087B2 - 高分子架橋前駆体、刺激応答性高分子架橋体およびそれらの製造方法 - Google Patents

高分子架橋前駆体、刺激応答性高分子架橋体およびそれらの製造方法 Download PDF

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本発明は、刺激応答性の高分子架橋体およびその製造方法、ならびに刺激応答性の高分子架橋体の製造に使用可能な高分子架橋前駆体およびその製造方法に関するものである。
特許文献1には、環状分子としてシクロデキストリン、環状分子に包接される直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いたポリロタキサンを架橋した、ロタキサン構造を含む高分子架橋体(高分子ゲル)が開示されている。
この高分子ゲルは、従来の化学ゲルとは違い、化学的な架橋構造とは異なる機械的な結合からなる物理的な架橋構造(インターロック構造)を利用しており、環状分子が直鎖状分子上を自由に動けることから、従来にない優れた柔軟性を示し得る。
ところで、温度等の刺激に応答して物性が変化する刺激応答性の物質が知られている。この刺激応答性の物質は、高分子のコンフォメーション変化を利用して刺激応答性を示すことが多い。その観点で、上記高分子ゲルは高分子同士の結合が機械的な結合であることから、コンフォメーション変化に有利と考えられる。
ここで、上記の高分子ゲルに刺激応答性を付与した刺激応答性ゲルを製造するには、包接される直鎖状分子として刺激応答性のポリマーを使用するか、ポリロタキサンを合成した後、直鎖状分子に刺激応答性化合物を導入する必要がある。
しかしながら、上記高分子ゲルは、直鎖状分子を環状分子に包接させた擬ポリロタキサンを合成および単離し、その擬ポリロタキサンを別の溶媒に再度溶解した後、キャッピング剤を用いて末端をキャッピングすることによりポリロタキサンを得て、再度、単離精製し、さらに架橋剤を作用させてポリロタキサンの環状分子部分を架橋させる必要がある。工業化を考えた場合、このような多段階の反応は製造コストの面から非常に不利であるし、また、各段階の収率も決して高いものではない。
また、上記高分子ゲルによる刺激応答性ゲルは、前者の方法では、刺激応答性のポリマーを環状分子に貫通させるのが困難であり、後者の方法では、ポリロタキサン合成後に、直鎖状分子に刺激応答性化合物を導入すること自体が困難であり、いずれの方法でも簡便に製造することはできない。
これに対し、特許文献2には、2個以上の環状部分を有するポリマーと、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子とから包接錯体を形成させ、次いで、直鎖状分子の重合性官能基を介して、直鎖状分子と刺激応答性化合物とを共重合する刺激応答性高分子架橋体の製造方法が開示されている。
特許第3475252号公報 特開2010−155880号公報
特許文献2に記載の方法によれば、インターロック構造を有する刺激応答性高分子架橋体を、前述した方法よりは簡便に、そして効率良く製造することができる。ただし、あらかじめ2個以上の環状部分を有するポリマーを製造しなくてはならないため、その点においては簡便性が十分ではない。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、より簡便に製造し得る刺激応答性高分子架橋体およびその製造方法、ならびにその刺激応答性高分子架橋体の製造に使用することのできる高分子架橋前駆体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子とを混合し、その全部又は一部について、前記環状分子の開口部に前記直鎖状分子が2本以上貫通した包接錯体を形成させることを特徴とする高分子架橋前駆体の製造方法を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、擬ロタキサンや2個以上の環状部分を有するポリマーを製造することなく、インターロック構造を有する刺激応答性高分子架橋体の製造に使用することのできる高分子架橋前駆体を、極めて簡便に製造することができる。
第2に本発明は、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子とを混合し、その全部又は一部について、前記環状分子の開口部に前記直鎖状分子が2本以上貫通した包接錯体を形成させ、次いで、前記直鎖状分子の重合性官能基を介して、前記直鎖状分子と刺激応答性化合物とを共重合することを特徴とする刺激応答性高分子架橋体の製造方法を提供する(発明2)。
上記発明(発明2)によれば、擬ロタキサンや2個以上の環状部分を有するポリマーを製造することなく、インターロック構造を有する刺激応答性高分子架橋体を、極めて簡便に効率良く製造することができる。
第3に本発明は、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子とを混合して得られることを特徴とする高分子架橋前駆体を提供する(発明3)。
第4に本発明は、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子とを混合して得られた高分子架橋前駆体の前記直鎖状分子の重合性官能基を介して、前記直鎖状分子と刺激応答性化合物とを共重合させることにより得られることを特徴とする刺激応答性高分子架橋体を提供する(発明4)。
第5に本発明は、直鎖状分子が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子の前記開口部に、側鎖末端にブロック基を有する第1の高分子の少なくとも1つの側鎖が串刺し状に貫通し、かつ、同一の前記環状分子の前記開口部に、側鎖末端にブロック基を有する第2の高分子の少なくとも1つの側鎖が串刺し状に貫通した構造を有し、前記第1の高分子および前記第2の高分子の少なくとも1箇所に、刺激応答性化合物またはその残基が含まれた箇所を有することを特徴とする刺激応答性高分子架橋体を提供する(発明5)。
第6に本発明は、直鎖状分子が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子の前記開口部に、第1の高分子と第2の高分子とを連結する連結鎖が串刺し状に貫通し、かつ、同一の前記環状分子の前記開口部に、第3の高分子と第4の高分子とを連結する連結鎖が串刺し状に貫通した構造を有し、前記第1〜第4の高分子の少なくとも1箇所に、刺激応答性化合物またはその残基が含まれた箇所を有することを特徴とする刺激応答性高分子架橋体を提供する(発明6)。
上記発明(発明4〜6)に係る刺激応答性高分子架橋体は、擬ロタキサンや2個以上の環状部分を有するポリマーを製造することなく、極めて簡便に製造することができる。また、当該刺激応答性高分子架橋体は、柔軟性に非常に優れ、それに応じて刺激応答性にも優れる。また、上記発明(発明3)に係る高分子架橋前駆体を使用すれば、上記のような刺激応答性高分子架橋体を簡便に製造することができる。
上記発明(発明5,6)においては、重合体としての前記刺激応答性化合物が、前記複数の高分子のうちの少なくとも一の高分子の主鎖を構成することが好ましい(発明7)。
上記発明(発明4〜7)においては、前記環状分子の開口部の直径が、5〜100Åであることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明4〜8)においては、前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン、シクロアミロースおよび環状構造を有する高分子のデキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(発明9)。
上記発明(発明4〜9)においては、前記刺激応答性化合物が、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであることが好ましい(発明10)。
本発明によれば、インターロック構造を有する刺激応答性高分子架橋体を、極めて簡便に効率良く製造することができる。得られる刺激応答性高分子架橋体は柔軟性に非常に優れ、当該刺激応答性高分子架橋体を使用して形成したプラスチック材料は応力緩和性等に優れる。また、本発明に係る高分子架橋前駆体を使用すれば、上記のような刺激応答性高分子架橋体を、簡便に効率良く製造することができる。
本発明の一実施形態に係る刺激応答性高分子架橋体の製造工程を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る刺激応答性高分子架橋体の製造工程を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る刺激応答性高分子架橋体は、図1または図2に模式的に示す方法により製造することができる。この刺激応答性高分子架橋体(E)は、高分子架橋前駆体(C)を経由して製造される。
最初に、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子(以下「直鎖状分子(A1)」という。)および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子(以下「直鎖状分子(A2)」という。)と、直鎖状分子(A1)および/または直鎖状分子(A2)が2本以上貫通し得る開口部を有する環状分子(以下「環状分子(B)」という。)とを用意する(図1・図2参照)。なお、直鎖状分子(A1)と直鎖状分子(A2)とを纏めて「直鎖状分子(A)」という。
直鎖状分子(A)は、環状分子(B)に包接され得る分子であって、かつ一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有するか(直鎖状分子(A1))、両末端に重合性官能基を有するものである(直鎖状分子(A2))。なお、本明細書において、「直鎖状分子」の「直鎖」は、実質的に「直鎖」であることを意味する。すなわち、直鎖状分子(A)上で環状分子(B)が移動可能であれば、直鎖状分子(A)は分岐鎖を有していてもよい。
直鎖状分子(A)の両末端(ブロック基・重合性官能基)を除いた部分(本体部分)を構成する分子としては、上記環状分子(B)の開口部に2本以上貫通することのできる大きさの分子であればよい。例えば、上記環状分子(B)がγ−シクロデキストリンである場合、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラヒドロフラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカプロラクトン等が好ましく、これらの分子から構成される本体部分を有する直鎖状分子(A)は、高分子架橋前駆体(C)または刺激応答性高分子架橋体(E)中で2種以上混在していてもよい。
直鎖状分子(A)の本体部分の数平均分子量(Mn)は、100〜300,000であることが好ましく、特に200〜200,000であることが好ましく、さらには300〜100,000であることが好ましい。数平均分子量が100未満であると、環状分子(B)の直鎖状分子(A)上での移動量が小さくなり、得られる刺激応答性高分子架橋体(E)において柔軟性が十分に得られないおそれがある。また、数平均分子量が300,000を超えると、溶媒への溶解性が悪くなり、ゲルを形成できなくなるおそれがある。なお、本明細書における分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
ブロック基は、直鎖状分子(A)を包接している環状分子(B)が離脱せず、包接錯体の形態を保持し得る基であれば、特に限定されない。このような基としては、かさ高い基、イオン性基等が挙げられる。
ブロック基としては、例えば、ジアルキルフェニル基類、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、アダマンタン基類、トリチル基類、フルオレセイン類、ピレン類、アントラセン類等が好ましく、これらのブロック基は、包接錯体または高分子架橋体中で2種以上混在していてもよい。直鎖状分子(A)の片末端に結合してブロック基を形成するキャッピング剤としては、例えば、ジメチルフェニルイソシアネート、トリチルフェニルイソシアネート、2,4-ジニトロフルオロベンゼン、アダマンタンアミン等が好適に用いられる。
直鎖状分子(A1)の他方の末端における重合性官能基および直鎖状分子(A2)の両末端における重合性官能基は、当該重合性官能基を介して直鎖状分子(A)と後述する刺激応答性化合物(D)とを共重合することができるものであれば、特に限定されない。かかる重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、アセチレン基、オキセタニル基等が好ましい。
直鎖状分子(A1)は常法によって合成することができる。例えば、一方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子、または両方の末端に互いに異なる重合性官能基を有する直鎖状分子と、ブロック基用のキャッピング剤とを反応させ、一方の末端に上記重合性官能基を残し、他方の末端にブロック基を付加することにより、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子(A1)を得ることができる。
一例として、一方の末端にヒドロキシル基、他方の末端に(メタ)アクリロイル基を有する直鎖状分子と、イソシアネート基を有するジアルキルフェニル基類とを混合し、所望により触媒を加え、両者を反応させることにより、一方の末端にブロック基としてのジアルキルフェニル基、他方の末端に重合性官能基としての(メタ)アクリロイル基を有する直鎖状分子(A1)が得られる。
一方、両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子(A2)は、市販のものをそのまま使用するか、例えば、直鎖状分子の両末端の非重合性官能基を重合性官能基に置換することにより得ることができる。
一例として、両末端にヒドロキシル基を有する直鎖状分子と、イソシアネート基を有する(メタ)アクリロイル化合物とを混合し、所望により触媒を加え、両者を反応させることにより、両末端に重合性官能基としての(メタ)アクリロイル基を有する直鎖状分子(A2)が得られる。
ここで、直鎖状分子(A)としては、一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子(A1)を単独で使用してもよいし、両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子(A2)を単独で使用してもよいし、あるいは直鎖状分子(A1)および直鎖状分子(A2)を併用してもよい。
環状分子(B)は、直鎖状分子(A)が2本以上貫通し得る開口部を有するものであり、すなわち、2本以上の直鎖状分子(A)を包接することができ、その状態で当該直鎖状分子(A)上を移動できるものである。なお、本明細書において、「環状分子」の「環状」は、実質的に「環状」であることを意味し、直鎖状分子(A)上で包接したまま移動可能であれば、環状分子(B)は完全には閉環でなくてもよく、例えば螺旋構造であってもよい。
環状分子(B)の開口部の直径は、5〜100Åであることが好ましく、7〜70Åであることがより好ましく、8〜20Åであることが特に好ましい。開口部の直径がかかる範囲にあることで、2本以上の直鎖状分子(A)を包接することができ、かつ包接した直鎖状分子(A)が抜け難いものとなる。
環状分子(B)としては、具体的には、γ−シクロデキストリン、あるいは、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミン、ブドウ糖が環状につながったシクロアミロース、環状構造を有する高分子のデキストリン(高度分岐環状デキストリンを含む)等が好ましく、これらの環状分子(B)は、高分子架橋前駆体(C)または刺激応答性高分子架橋体(E)中で2種以上混在していてもよい。
環状分子(B)としては、2本以上の直鎖状分子(A)が串刺し状に貫通し易いことから、γ−シクロデキストリン、環状構造を有する高分子のデキストリン(高度分岐環状デキストリンを含む)およびクラウンエーテルがさらに好ましく、水中で容易に直鎖状分子(A)と包接錯体を形成することから、γ−シクロデキストリンが特に好ましい。
ここで、γ−シクロデキストリンの開口部の直径が8.5〜9Åであり、2本のポリエチレングリコール鎖を包接できることは、Haradaら,「Double-stranded inclusion complexes of cyclodextrin threaded on poly(ethylene glycol)」, NATURE, 14 July 1994, Vol.370, p.126-128 に開示されている。一方、α−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリンは、それらの開口部の直径が小さすぎることから、2本以上の直鎖状分子(A)を包接することは困難である。
γ−シクロデキストリン以外の環状分子(B)の重量平均分子量(Mw)は、500〜10万であることが好ましく、特に1000〜5万であることが好ましい。重量平均分子量が500未満であると、開口部の直径が小さくなりすぎて、2本以上の直鎖状分子(A)を包接することが困難となる場合がある。一方、重量平均分子量が10万を超える場合、開口部が大きくなりすぎて、直鎖状分子(A)の適切なブロック基を選択することが困難になる場合がある。
一方、環状分子(B)は、水溶性であることが好ましいが、疎水性溶媒中で扱うことも許容される。フィルム厚の調整やフィルム製膜性の向上を考えると、疎水性溶媒中で扱うことの方が好ましい場合もあるからである。
環状分子(B)の各種溶液への溶解性は、環状分子(B)の側鎖に高分子鎖および/または置換基を導入することにより調整することができる。かかる高分子鎖としては、例えば、オキシエチレン鎖、アルキル鎖、アクリル酸エステル鎖等が挙げられる。一方、上記置換基としては、例えば、水酸基、チオニル基、アミノ基、スルホニル基、ホスホニル基、アセチル基、アルキル基、トリチル基、トシル基、トリメチルシラン基、フェニル基等が挙げられる。
以上説明した直鎖状分子(A)と環状分子(B)とを用意したら、直鎖状分子(A)および環状分子(B)を混合し、その全部又は一部について、環状分子(B)の開口部に直鎖状分子(A)が2本以上貫通した包接錯体を形成させることにより、高分子架橋前駆体(C)を製造する(図1・図2参照)。この高分子架橋前駆体(C)は、インターロック構造を形成するためのロタキサン構造を含む。かかる高分子架橋前駆体(C)は、新規物質である。なお、単に重合させてもフィルムを形成できない直鎖状分子(A)を、環状分子(B)との共存下で重合することにより、後述のとおりフィルムを形成できるようになることから、高分子架橋前駆体(C)の存在は間接的に証明される。
上記高分子架橋前駆体(C)の製造においては、2本以上の直鎖状分子(A)が一の環状分子(B)のみに包接されていてもよいし、一の直鎖状分子(A)が複数の環状分子(B)に包接されていてもよい。一の直鎖状分子(A)が複数の環状分子(B)に包接されている場合、一の環状分子(B)にて一緒に包接されている他の直鎖状分子(A)と、他の環状分子(B)にて一緒に包接されている他の直鎖状分子(A)とは、同じ直鎖状分子(A)であってもよいし、別の直鎖状分子(A)であってもよい。
なお、高分子架橋前駆体(C)は上記の包接錯体が形成された構造を有することを特徴とするが、全ての環状分子(B)がそのような状態になっていることを要しない。すなわち、混合物としての環状分子(B)中において、一部の環状分子(B)の開口部に1本だけの直鎖状分子(A)が串刺し状に貫通された構造が含まれていてもよい。また、環状分子(B)に包接されない混合物としての直鎖状分子(A)が含まれていてもよい。
環状分子(B)の配合量は、直鎖状分子(A)1質量部に対して、通常0.01〜30質量部であり、好ましくは0.05〜10質量部であり、特に好ましくは0.1〜5質量部である。環状分子(B)の配合量が、直鎖状分子(A)1質量部に対して0.01質量部未満であると、後述の高分子架橋体(E)としたときのインターロック構造部分が少なすぎ、ゲルを維持できないおそれがある。一方、環状分子(B)の配合量が、直鎖状分子(A)1質量部に対して30質量部を超える場合、後述の高分子架橋体(E)としたときのインターロック構造部分が多くなりすぎて、高分子の自由度が過度に制限され、十分な刺激応答性が得られなくなるおそれがある。
上記のような高分子架橋前駆体(C)の製造は、直鎖状分子(A)および環状分子(B)を溶媒中、例えば水、水酸化ナトリウム水溶液、ジメチルホルムアミド(DMF)と水の混合溶液、メタノールと水の混合溶液等の中に存在させた状態にして(例えば、環状分子(B)の溶液に直鎖状分子(A)を添加して)、その溶液を撹拌することによって行うことができる。高分子架橋前駆体(C)が得られたことは、白色沈殿または白濁を生じることや、溶液の粘度が上昇することによって判断することができる。
撹拌方法については特に制限はなく、常温または適当に制御された温度で、機械的撹拌処理、超音波処理などの方法で撹拌することができ、特に、超音波処理で撹拌することが好ましい。撹拌時間は、数分〜1時間の条件で行うことが好ましい。超音波の照射条件については特に制限はないが、周波数20〜40kHzで行うことが好ましい。
上記のようにして高分子架橋前駆体(C)を製造したら、環状分子(B)に包接された直鎖状分子(A)の重合性官能基を介して、当該直鎖状分子(A)と刺激応答性化合物(D)とを共重合し、刺激応答性高分子架橋体(E)を得る(図1・図2参照)。この刺激応答性高分子架橋体(E)は、インターロック構造としてのロタキサン構造を含む。
本実施形態における刺激応答性化合物(D)とは、直鎖状分子(A)の重合性官能基を介して直鎖状分子(A)と共重合可能であり、かつ高分子ゲルを形成した場合に刺激応答性を発現するモノマーをいい、この刺激応答性化合物(D)も重合性官能基を有する。かかる重合性官能基としては、例えば炭素−炭素二重結合のような重合性基が挙げられる。モノマーの分子量は特に限定はされない。
ここで、刺激応答性化合物(D)の詳細について説明する。刺激応答性の刺激としては、温度の変化;光、磁場、電流または電界の付与;pH、イオン濃度または溶媒組成の変化;化学物質の吸脱着等が挙げられる。また、応答挙動としては、溶媒の吸脱(吸収・放出)による体積変化(膨潤・収縮)が挙げられる。この体積変化は一方的なものでも可逆的なものであってもよいが、可逆的であるものが好ましい。
刺激応答性化合物(D)の具体的なモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。温度応答性の高分子ゲルを形成するモノマーとして、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル置換(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸およびその塩、ビニルメチルエーテル、またはオクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基等の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルなどが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
光応答性の高分子ゲルを形成するモノマーとしては、トリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などが挙げられる。
電流または電界で応答する高分子ゲルを形成するモノマーとしては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ置換(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、スチレン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ジメチルアミノスチレンなどが挙げられる。
pH応答性の高分子ゲルを形成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
イオン濃度応答性の高分子ゲルを形成するモノマーとしては、前述したpH応答性高分子ゲルを形成するモノマーと同様のものが使用できる。
化学物質の吸脱着によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲルを形成するモノマーとしては、強イオン性のものが好ましく、その例として、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドアルキルスルホン酸などが挙げられる。
溶媒組成の変化によって刺激応答する刺激応答性高分子ゲルを形成するモノマーとしては、ほとんどの高分子ゲルを形成するモノマーが該当する。良溶媒と貧溶媒とを利用することで、膨潤、収縮を引き起こすことが可能である。
以上の刺激応答性高分子ゲルの特性より、直鎖状分子(A)と共重合する刺激応答性化合物(D)として特に好ましいものとしては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
なお、刺激応答性化合物(D)の配合量は、直鎖状分子(A)1質量部に対して、通常0.01〜500質量部であり、好ましくは0.1〜100質量部であり、特に好ましくは1〜50質量部である。刺激応答性化合物(D)の配合量が、直鎖状分子(A)1質量部に対して0.01質量部未満であると、刺激応答性が不十分になるおそれがあり、500質量部を超える場合は、相対的にインターロック構造部位が少なくなりすぎ、ゲルの維持が困難になるおそれがある。
上記刺激応答性化合物(D)を、前述の作製方法で説明したように高分子架橋前駆体(C)に含まれる重合性官能基を介して共重合すると、刺激応答性化合物(D)を構成単位として含む刺激応答性高分子架橋体(E)が得られる。この刺激応答性高分子架橋体(E)をフィルムにした刺激応答性高分子架橋体フィルムは、従来の架橋により作製した刺激応答性高分子架橋体よりも、刺激に応じて大きい膨潤・収縮挙動を示し、収縮速度が著しく速いという特徴を有する。
例えば、上記N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドを刺激応答性化合物(D)として用い、前述の作製方法で説明したように高分子架橋前駆体(C)に含まれる重合性官能基を介して共重合すると、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドを構成単位として含む刺激応答性高分子架橋体(E)を得る。この刺激応答性高分子架橋体(E)をフィルムにした刺激応答性高分子架橋体フィルムは、高温にすることでフィルムが透明または半透明から白色に顕著に変化するとともに、表面状態が親水性から疎水性に変化する。また、従来の化学的な架橋構造により作製した刺激応答性高分子架橋体よりも大きい膨潤・収縮挙動を示すとともに、その収縮速度が著しく速い。
図1に示すように、直鎖状分子(A1)を使用した場合の刺激応答性高分子架橋体(E)は、具体的には、環状分子(B)の開口部に、側鎖末端にブロック基を有する第1の高分子の側鎖が串刺し状に貫通し、かつ、同一の環状分子(B)の開口部に、側鎖末端にブロック基を有する第2の高分子の側鎖が串刺し状に貫通し(同一の環状分子(B)がさらに第3の高分子、第4の高分子・・・第nの高分子等と同様な包接錯体を形成している場合も含む)、すなわち、同一の環状分子(B)の開口部に別個の高分子の側鎖が包接されてなる構造を有する。そして、第n(nは1、2を含む整数)の高分子の主鎖の少なくとも1箇所に、刺激応答性化合物(D)またはその残基が含まれる。第nの高分子の主鎖は、刺激応答性化合物(D)の重合体であってもよいし、刺激応答性化合物(D)と直鎖状分子(A1)との共重合体であってもよいし、直鎖状分子(A1)の重合体であってもよい。なお、第nの高分子の側鎖は、直鎖状分子(A)由来である。得られる刺激応答性高分子架橋体(E)は、新規物質である。
また、図2に示すように、直鎖状分子(A2)を使用した場合の刺激応答性高分子架橋体(E)は、具体的には、環状分子(B)の開口部に、第1の高分子と第2の高分子とを連結(架橋)する連結鎖が串刺し状に貫通し、かつ、同一の環状分子(B)の開口部に、第3の高分子と第4の高分子とを連結(架橋)する連結鎖が串刺し状に貫通し(同一の環状分子(B)がさらに第5の高分子および第6の高分子、第7の高分子および第8の高分子、・・・第nの高分子および第n+1の高分子等と同様な包接錯体を形成している場合も含む)、すなわち、同一の環状分子(B)の開口部に別個の高分子ペアの連結鎖が包接されてなる構造(ロタキサン構造)を有する。これにより、第1の高分子および第2の高分子のペアと、第3の高分子および第4の高分子のペアとは、同一の環状分子(B)を介して可動性をもって機械的に結合された構造(インターロック構造)を形成する。環状分子(B)を貫通する連結鎖は、直鎖状分子(A2)由来である。そして、第n(nは1、2を含む整数)の高分子の主鎖の少なくとも1箇所に、刺激応答性化合物(D)またはその残基が含まれる。第nの高分子の主鎖は、刺激応答性化合物(D)の重合体であってもよいし、刺激応答性化合物(D)と直鎖状分子(A2)との共重合体であってもよいし、直鎖状分子(A2)の重合体であってもよい。なお、第nの高分子と第n+1の高分子との連結鎖は、直鎖状分子(A)由来である。得られる刺激応答性高分子架橋体(E)は、新規物質である。
高分子架橋前駆体(C)における直鎖状分子(A)と刺激応答性化合物(D)との重合反応は常法によって行えばよく、例えばラジカル重合によって反応させる。そのような反応として、例えば高分子架橋前駆体(C)および刺激応答性化合物(D)を含有する溶液に、所望により光重合開始剤を添加して紫外線を照射することにより、あるいは、熱重合開始剤を添加して加熱することにより、直鎖状分子(A)と刺激応答性化合物(D)とは共重合する。
光重合開始剤としては、通常使用されるものであれば特に制限されることなく、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等を使用することができる。なお、光重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記紫外線は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cmである。
一方、熱重合開始剤としては、通常使用されるものであれば特に制限されることなく、例えば、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等を使用することができる。熱重合開始剤を使用する場合の加熱温度は、熱重合開始剤の分解温度によって適宜選択すればよいが、通常0〜130℃程度である。また、加熱時間は、熱重合開始剤の半減期にもよるが、通常1分〜24時間程度である。
上記光重合開始剤および熱重合開始剤のいずれも、直鎖状分子(A)および刺激応答性化合物(D)の合計100質量部に対して、通常0.1〜50質量部の割合で配合され、好ましくは0.5〜20質量部で配合される。
刺激応答性高分子架橋体(E)は、例えば水溶液中で重合した場合、未精製であっても刺激応答性を発現するが、精製してもよい。精製する場合は、常法によって行えばよく、例えば、水、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドで順次洗浄すればよい。
以上の方法によれば、擬ロタキサンや2個以上の環状部分を有するポリマーの合成を経ることなく、直鎖状分子(A)と環状分子(B)とを混合攪拌するだけで、簡便に高分子架橋前駆体(C)を製造することができ、さらに得られた高分子架橋前駆体(C)の直鎖状分子(A)と刺激応答性化合物(D)とを共重合することで、インターロック構造を有するロタキサン構造を含む刺激応答性高分子架橋体(E)を簡便に製造することができる。
得られた刺激応答性高分子架橋体(E)においては、環状分子(B)が高分子の側鎖または連結鎖上を移動し得るため柔軟性に優れ、特に、複数の環状分子(B)同士は、化学結合を介して互いに連結されているわけではないので、より柔軟性に優れる。したがって、刺激応答性高分子架橋体(E)を使用して形成したプラスチック材料は応力緩和性に非常に優れる。また、得られた刺激応答性高分子架橋体(E)は、従来の化学的な架橋構造により作製した刺激応答性高分子架橋体よりも、刺激に応じて大きい膨潤・収縮挙動を示し、収縮速度が著しく速いという優れた性質を有する。さらに、刺激応答性化合物(D)としてN−イソプロピル(メタ)アクリルアミドを使用した場合に、得られた刺激応答性高分子架橋体(E)をフィルムにした刺激応答性高分子架橋体フィルムは、加熱によりフィルムが透明または半透明から白色に顕著に変化するとともに、表面状態が親水性から疎水性に変化するという特性を示す。特に本実施形態に係る刺激応答性高分子架橋体(E)は、複数の環状分子(B)同士が化学結合を介して互いに連結されていないことで、直鎖状分子(A)、刺激応答性化合物(D)およびそれらの共重合体との相溶性に優れることから、透明時における光線透過率が高いという特徴を有する。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、インターロック構造は、ロタキサン構造であることが好ましいが、それ以外にも、例えばカテナン構造であってもよい。カテナン構造を有する刺激応答性高分子架橋体としては、カテナン構造を有する環状分子を相互に連結する部分に刺激応答性化合物が導入されたもの等が例示される。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)直鎖状分子(A)の合成
ポリエチレングリコール(PEG1000;和光純薬工業社製,Mn:1000)5gを塩化メチレン50mlに溶解させ、この溶液に3,5−ジメチルフェニルイソシアネート(Aldrich社製)1.6gと、錫触媒であるジブチル錫ジラウレート(東京化成社製)200mgとを加え、室温で20時間攪拌した。続いて、その溶液に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製,製品名「カレンズMOI」)1.7gと、ジブチル錫ジラウレート(東京化成社製)100mgとを加え、更に室温で20時間撹拌した。得られた溶液を濃縮後、−75℃に冷却したジエチルエーテルに沈澱させて沈殿物を回収し、一方の末端に3,5−ジメチルフェニル基からなるブロック基を有し、他方の末端にメタクリロイル基を有するポリエチレングリコール(以下「MA−PEG−DPI」という;直鎖状分子(A))3.8gを得た。
(2)高分子架橋前駆体(C)の製造
環状分子(B)としてのγ−シクロデキストリン(γ−CD;ナカライテスク社製)98.5mg(0.076mmоl)を0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液1mlに溶解させ、この溶液に直鎖状分子(A)269mg(0.21mmоl)を加え、機械的に攪拌しながら超音波照射(35Hz)を5分行ったところ、溶液が白濁した。この白濁物は、環状分子(B)が2本以上の直鎖状分子(A)を包接してなる高分子架橋前駆体(C)であると考えられる。
(3)刺激応答性高分子架橋体(E)の製造
上記白濁物に、刺激応答性化合物(D)としてN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)2.0g(18mmоl)を加え、均一になるまで攪拌した。次いで、光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン/ベンゾフェノン共融混合物(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製,製品名「IRGACURE 500」)40μlを加え、撹拌後、紫外線を3分間照射した(照射条件:照度3.0mW/cm,光量500mJ/cm)。
得られた物質は、上記高分子架橋前駆体(C)における直鎖状分子(A)の重合性官能基(メタクリロイル基)を介して、直鎖状分子(A)と刺激応答性化合物(D)とが共重合してなる刺激応答性高分子架橋体(E)(環状分子(B)に、末端にブロック基を有する高分子の側鎖が2本以上包接され、刺激応答性化合物(D)の重合体がその高分子の主鎖を構成してなる刺激応答性高分子架橋体(E))であると考えられる。
得られた物質(刺激応答性高分子架橋体(E))を水、テトラヒドロフランおよびジメチルホルムアミドに順次浸漬して洗浄し、その後乾燥させて刺激応答性高分子架橋体フィルム(厚さ:1.0mm,非延伸)を得た。
〔実施例2〜8,比較例1〜2,参考例〕
直鎖状分子(A)、環状分子(B)、刺激応答性化合物(D)、重合開始剤および溶媒の種類および/または使用量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして刺激応答性高分子架橋体フィルムを製造した。
なお、実施例3では、直鎖状分子(A)として、MA−PEG−DPIの替わりに、以下のようにして合成した、両末端にメタクリロイル基を有するポリエチレングリコール(以下「MA−PEG−MA」という。)を用いた。
〔MA−PEG−MAの合成〕
ポリエチレングリコール(PEG;和光純薬工業社製,Mn:1000)5gを塩化メチレン50mlに溶解させ、この溶液に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社製,製品名「カレンズMOI」)3.4gと、ジブチル錫ジラウレート(東京化成社製)300mgとを加え、室温で20時間撹拌した。撹拌後の溶液を濃縮し、その後、−75℃に冷却したジエチルエーテル中に沈澱させ、その沈殿物を回収した。このようにして、両末端にメタクリロイル基を有するポリエチレングリコール(直鎖状分子(A2))4.1gを合成した。
実施例5では、光重合開始剤に替えて熱重合開始剤として、過硫酸カリウム(KPS)23mg、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン24μLを使用し、光照射に替えて、室温(23℃)下で一晩静置した。実施例7では、直鎖状分子(A)として、MA−PEG−DPIの替わりにMA−PEG440−DPIを用いた。MA−PEG440−DPIは下記のように合成した。
〔MA−PEG440−DPIの合成〕
ポリエチレングリコールメタクリレート(アルドリッチ社製,Mn:526、PEG部位Mn:440)3.5gを塩化メチレン15mlに溶解させ、この溶液に3,5−ジメチルフェニルイソシアネート(Aldrich社製)1.2gと、錫触媒であるジブチル錫ジラウレート(東京化成社製)200mgとを加え、室温で20時間攪拌した。反応溶液を濾過した後、蒸発乾燥し、ヘキサンを加えて洗浄を行った。このようにして、透明粘性液体である、一方の末端に3,5−ジメチルフェニル基からなるブロック基を有し、他方の末端にメタクリロイル基を有するポリエチレングリコール(MA−PEG440−DPI)3.0gを合成した。
また、比較例1では、環状分子(B)の替わりに、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG400DA:ダイセル・ユーシービー社製)を使用した。比較例2では、環状分子(B)として、α−シクロデキストリン(α−CD;ナカライテスク社製)を使用した。参考例では、環状分子(B)の替わりに、次のようにして合成した環状部分含有オリゴマーを使用した。なお、参考例の刺激応答性高分子架橋フィルムは、特許文献2で開示されるものと同一のものである。
〔環状部分含有オリゴマーの合成〕
α−シクロデキストリン(ナカライテスク社製)5gをジメチルホルムアミド50mlに溶解させ、この溶液にトリレン2,4−ジイシアネート末端ポリプロピレングリコール(Aldrich社製,Mn:1,000)3.4gと、錫触媒であるジブチル錫ジラウレート(東京化成社製)200mgとを加え、20時間室温で攪拌した。この反応溶液をジエチルエーテルに注いで沈殿させ、回収した固体を乾燥させた後、水で洗浄して再び乾燥させた。このようにして、環状部分としてα−シクロデキストリン、連結部分分子としてポリプロピレングリコールを有する、環状部分が約4個つながった環状部分含有オリゴマー4.6gを合成した。
〔試験例1〕(膨潤率の測定)
実施例、比較例および参考例で得られた刺激応答性高分子架橋体フィルムを23℃の水および50℃の水にそれぞれ24時間浸漬して膨潤させ、各々の刺激応答性高分子架橋体フィルムの質量を測定し、膨潤率を算出した。結果を表1に示す。
膨潤率は、乾燥したフィルムの質量(Wdry)と膨潤後のフィルムの質量(Wswell)との差から求めた。計算式は以下の通りである。
膨潤率[%]={(Wswell−Wdry)/Wdry}×100
〔試験例2〕(膨潤・収縮繰り返し特性の評価)
実施例、比較例および参考例で得られた刺激応答性高分子架橋体フィルム(室温)を23℃の水に24時間浸漬した後、50℃の水に10分間浸漬させた。これを3回繰り返し、膨潤・収縮繰り返し特性を評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
○:膨潤および収縮を繰り返した後でもフィルム形状を保持できた。
×:膨潤および収縮を繰り返す途中で、フィルムの破れや表面の荒れなどが発生し、フィルム形状を保持できなかった。
Figure 0005611087
表1から明らかなように、実施例の刺激応答性高分子架橋体フィルムは、環状部分含有オリゴマー等を合成する必要がなく、簡単に製造することができるにもかかわらず、温度に応じて非常に大きい膨潤・収縮挙動を示すとともに、膨潤・収縮繰り返し特性に優れていた。
一方、比較例1では、インターロック構造ではなく、化学的な架橋構造のみを介することから、温度応答性および膨潤・収縮繰り返し特性のいずれも劣るものとなった。比較例2では、環状分子(B)としてγ−シクロデキストリンに替えてα−シクロデキストリンを使用したため、高分子架橋体フィルムを得ることができなかった。これは、α−シクロデキストリンでは開口部が小さすぎるため、1つの環状分子(B)に2本以上の直鎖状分子(A)が挿入された構造を形成することができなかったため、本発明のインターロック構造が形成できなかったものと考えられる。
本発明は、応力緩和性および刺激応答性に優れた高分子架橋体の製造に好適である。また、得られる高分子架橋体は、刺激応答性に優れたフィルム等として使用でき、例えばセンサー、ゲル材料、医療材料等に用いられる機能性材料として有用である。

Claims (9)

  1. 一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通する開口部を有する環状分子(2個以上の環状部分を有するポリマーを除く)とを混合し、その全部又は一部について、前記環状分子の開口部に前記直鎖状分子が2本以上貫通した包接錯体を形成させる高分子架橋前駆体の製造方法であって、
    前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミンおよびシクロアミロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする高分子架橋前駆体の製造方法。
  2. 一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通する開口部を有する環状分子(2個以上の環状部分を有するポリマーを除く)とを混合し、その全部又は一部について、前記環状分子の開口部に前記直鎖状分子が2本以上貫通した包接錯体を形成させ、
    次いで、前記直鎖状分子の重合性官能基を介して、前記直鎖状分子と刺激応答性化合物とを共重合する刺激応答性高分子架橋体の製造方法であって、
    前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミンおよびシクロアミロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする刺激応答性高分子架橋体の製造方法。
  3. 一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通する開口部を有する環状分子(2個以上の環状部分を有するポリマーを除く)とを混合して得られる高分子架橋前駆体であって、
    前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミンおよびシクロアミロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする高分子架橋前駆体。
  4. 一方の末端にブロック基を有し他方の末端に重合性官能基を有する直鎖状分子および/または両末端に重合性官能基を有する直鎖状分子と、前記直鎖状分子が2本以上貫通する開口部を有する環状分子(2個以上の環状部分を有するポリマーを除く)とを混合して得られた高分子架橋前駆体の前記直鎖状分子の重合性官能基を介して、前記直鎖状分子と刺激応答性化合物とを共重合させることにより得られる刺激応答性高分子架橋体であって、
    前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミンおよびシクロアミロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする刺激応答性高分子架橋体。
  5. 直鎖状分子が2本以上貫通する開口部を有する環状分子(2個以上の環状部分を有するポリマーを除く)の前記開口部に、側鎖末端にブロック基を有する第1の高分子の少なくとも1つの側鎖が串刺し状に貫通し、かつ、同一の前記環状分子の前記開口部に、側鎖末端にブロック基を有する第2の高分子の少なくとも1つの側鎖が串刺し状に貫通した構造を有し、
    前記第1の高分子および前記第2の高分子の少なくとも1箇所に、刺激応答性化合物またはその残基が含まれた箇所を有する刺激応答性高分子架橋体であって、
    前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミンおよびシクロアミロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする刺激応答性高分子架橋体。
  6. 直鎖状分子が2本以上貫通する開口部を有する環状分子(2個以上の環状部分を有するポリマーを除く)の前記開口部に、第1の高分子と第2の高分子とを連結する連結鎖が串刺し状に貫通し、かつ、同一の前記環状分子の前記開口部に、第3の高分子と第4の高分子とを連結する連結鎖が串刺し状に貫通した構造を有し、
    前記第1〜第4の高分子の少なくとも1箇所に、刺激応答性化合物またはその残基が含まれた箇所を有する刺激応答性高分子架橋体であって、
    前記環状分子が、γ−シクロデキストリン、環状ポリエーテル、環状ポリエステル、環状ポリエーテルアミン、環状ポリアミンおよびシクロアミロースからなる群から選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする刺激応答性高分子架橋体。
  7. 重合体としての前記刺激応答性化合物が、前記複数の高分子のうちの少なくとも一の高分子の主鎖を構成することを特徴とする請求項5または6に記載の刺激応答性高分子架橋体。
  8. 前記環状分子の開口部の直径が、5〜100Åであることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の刺激応答性高分子架橋体。
  9. 前記刺激応答性化合物が、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドであることを特徴とする請求項4〜のいずれか一項に記載の刺激応答性高分子架橋体。
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