JP5610543B2 - イオンソース - Google Patents

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Description

イオン注入機は、集積回路(IC)及び薄型ディスプレイの製造に広く使用されており、通常シリコンからなる半導体ウェハに、p型又はn型ドーピングを行うことにより様々な導電率の領域を形成する。このようなデバイスでは、ドーパントのガスをイオン化するのに、プラズマソースが使用される。ソースから抽出された正イオンビームは、所望のエネルギーに加速され、質量フィルタでフィルタされた後、ウェハに向かう。イオンがウェハに衝突すると、(イオンの運動エネルギー及び質量に応じて)イオンが、一定の深さまで進入し、ウェハに、(ドーパントの元素濃度に応じた)様々な導電率の領域が形成される。領域のn型ドーピング又はp型ドーピングの性質と、ウェハ上の幾何学的形状によって、例えば、トランジスタにおけるNPN接合又はPNP接合といった機能が規定される。このようなドープ領域を多数接続することにより、ウェハを複雑なICへと転換することができる。
図1は、典型的なイオン注入機50のブロック図である。電源1は、必要なエネルギー(DC又はRF)を、プラズマソース2に供給し、ドーピングガスのイオン化を可能にする。真空ポンプシステムにより提供されるミリトル(mTorr)単位の圧力下で、質量流量制御システム(図せず)を介して、ガスがプラズマチャンバに供給される。所望のドーパントに応じて、例えば、BF、PF、AsF、GeF、B、PH、AsH、GeH等の様々なフッ化ドーピングガス又は水素化物ドーピングガス、及び/又はこれらのガスを搬送するための搬送ガスが、導入される。プラズマチャンバは、一組の電極4によって抽出されるイオンが通過する開口部3を有する。典型的な構造では、3極管の組み合わせが採用されており、プラズマチャンバの開口部は、高い正の電位を有し、第2電極(サプレッション電極)は負の電位を有し、第3電極は、接地電位に設定される。第2電極の役割は、二次電子がプラズマチャンバに逆流するのを防ぐことである。上記に限らず、4極管、5極管又はアインツェルレンズのような引き出し電極の組み合わせを採用してもよい。励起されたイオンがビーム20を形成し、質量分析器6を通過する。抽出されたイオンビームは、複数イオンの混合で構成されている。例えば、BFガスから抽出されたビームは、主に、BF 、BF 、BF、B及びFイオンから構成される。したがって、質量分析器を使用して、イオンビームから望まない成分を取り除くことが必要であり、それによって、所望のエネルギーを有し1つのイオン種からなる(BFの場合は、Bイオン)イオンビームが得られる。エネルギーを所望のレベルに下げるため、所望種のイオンを、1以上の電極を含む減速ステージ8を通過させる。減速ステージからの出力は、発散イオンビームとなる。角度修正マグネット10は、イオンビームを拡張するのに使用され、イオンビームを平行リボンイオンビームに変換する。角度修正マグネット10を通過した後、リボンビームを、ターゲットであるウェハ又はワークピースへと向ける。ある実施形態では、第2の減速ステージ12を追加してもよい。ウェハ又はワークピースは、ウェハ支持台14に取り付けられている。ウェハ支持台14は、垂直方向に可動であり、ウェハがビーム経路に配置され、固定されたイオンリボンビーム中をウェハが上下に移動して通過できるようにする。また、ウェハ支持台は回転可能であり、ウェハ表面に対して様々な入射角でイオン注入を行うことができる。ウェハがビーム経路から外れている場合には、ファラデーカップ16によりビーム電流を計測することができる。計測されるビーム電流の値及び所望のドーズ量に基づいて、ウェハの暴露時間又はリボンイオンビームを通過させる回数を計算する。
プラズマソースからのイオン抽出率は、dNextr/dt≒Anvで与えられること考慮すると、イオンソースとして利用可能な程度のプラズマ密度を有するプラズマソースは、限られた数しかないとこが証明されている。ここで、Aは抽出開口の面積、nはプラズマ密度、v=(k/m1/2はボーム速度(k、T及びmはそれぞれ、ボルツマン定数、電子温度及びイオン質量)である)。ある実施形態では、バーナス型のソースのようなアーク放電により、プラズマが生成される。この場合、高いアークプラズマ密度を維持するのに必要な電子束を、タングステンフィラメントを使用して生成する。他の実施形態では、アーク放電の一形態である間接的に加熱された陰極(IHC)を使用して、フィラメントがプラズマに晒されることによる悪影響を防ぎ、ソースの寿命を延ばし、間接的に加熱された陰極からの熱電子放射によって、必要な電子が提供される。これらの熱プラズマ源は、所望のイオンの生成に有用であるが、アークチャンバー内で高熱が発生することから、通常は、原子イオンを生成するためだけにのみ使用される。また、通常、解離エネルギーが低いため、アークプラズマの熱エネルギーは分子結合を切り離すのに十分高く、供給されたガスは、より小さな分子や原子に分解される。
低いイオンエネルギーが必要となる浅いイオン注入では、空間電荷による悪影響を取り除き、イオン注入プロセスの生産性を向上させるため、C1012、B1014及びB1822のような分子活性ドーパントの含有量が高い分子ガスを使用してもよい。生成される分子イオンは、高いエネルギーへと加速されて、ビームに対する空間電荷からの悪影響を防ぐことができる。それと同時に、質量が重いため、浅い注入を行うことができる。活性ドーパントに、ドーパントの原子イオンよりも分子イオンを多く必要とするようなイオン注入プロセスでは、RF誘導結合放電のような低温のプラズマソースが適している。これらの放電では、アンテナを介して供給されるRF生成器からの電力と結合することにより、プラズマが生成される。アンテナを通じて流れる高RF電流が、マクスウェルの電気力学の第3方程式に従って振動する磁場を誘起する。
Figure 0005610543
そして、限られた空間領域(表皮の厚さ)に、RF励起周波数及びガス圧の関数である強い電場が生成される。これらの電場によって加速される電子は、ガス分子をイオン化するのに十分に高いエネルギーを取得し、プラズマを生成する。電子は、イオン温度又は中性温度(通常は、室温よりも僅かに高い温度)よりも非常に高い温度を有するため(通常、〜2−7eV)、生成されたプラズマは、熱平衡状態とはなっていない。この放電は、分子イオンの生成に有用であるが、プラズマ密度が、≦1011cm−3と、アーク放電の大きさと比較しておよそ1、2桁低いことから、効率が低くなってしまっている。
イオン注入に利用可能なプラズマソースとして、ヘリコン放電が考えられ、これは、相対的に低いガス温度で、高いプラズマ密度を生成できる。他のRFプラズマソースと異なり、ヘリコン放電では、ヘリコン波の衝突減衰に基づいて、電子加熱が起こる。これらのヘリコン波、特にホイスラー波の場合、RFアンテナをDC磁場に浸漬することにより、ヘリコン波が励起される。低圧作動ガスを、典型的には、水晶又はパイレックス(登録商標)のシリンダである誘電体のチャンバに供給し、アンテナがチャンバの周りに巻きつけられている。電子は、ヘリコン波からエネルギーを得て、エネルギーがイオン化エネルギーの閾値を超えると、中性ガス原子又は分子とのイオンイオン衝突により、新たな電子イオン対が生成される。イオン化事象の後、ヘリコン波は、新たなイオン化プロセスに備えて、直ちに電子を適切なエネルギーにすることができる。また、ヘリコン波の励起の管理に加えて、磁場の存在により、プラズマを閉じ込めるのを確実にすることができ、チャンバ壁で電荷粒子を失ってしまう効果を低減させることができる。ヘリコンソースが高イオン化効率を提供できる背景として、ランダウ減衰(ヘリコン波の位相速度が、ガスイオン化断面積におけるピークに対応するエネルギーでの電子速度に近いときに、共振減衰が発生する)が関連していると考えられている。しかしながら、ランダウ減衰は、電子に移動する全エネルギーのほんの数%にしか寄与していないことが実験で示されている。早い減衰の他に、ヘリコン放電の高イオン化効率に寄与するエネルギー移送メカニズムとしては、チャンバ壁の表面近くの電子サイクロトロン波の励起、トリベルピースグルード・モードがある。また、早い減衰の他に、別の可能性のあるメカニズムとしては、ヘリコン波の、イオン音波又は低ハイブリッド波との非線形結合又は寄生結合がある。未だ解明されていないが、ヘリコン放電におけるエネルギー付与メカニズムの効率は高く、高イオン化効率を可能とし、所定の入力電力に対するプラズマ密度は、容量結合放電(CCP)又は誘導結合放電(ICP)のようなRFプラズマソースの場合と比較して、1〜3桁大きい密度となる。電子サイクロトロン共鳴プラズマソース(ECR)と比較して、これは、プラズマ密度の観点から比較できるのだが、ヘリコンは、低い磁場で実行可能であるという利点を有する。すなわち、2.45GHzでは、ECRソースの場合875ガウスの磁場が必要であるが、ヘリコンでは、200〜300ガウスの磁場でよい。より高い周波数では、ECRソースは、より高い磁場を必要とする。
上述のようなヘリコンプラズマソースの特性が、イオン注入の分子イオンソースとして、魅力的な選択肢となる理由である。ヘリコン放電自体は、40年前に発明されていたが、産業への実際の適用は、少なくとも10〜15年前に始まった。産業への適応では、多くの場合が、半導体産業におけるプラズマエッチング及びプラズマ蒸着である。しかしながら、以下に指摘するように、今日、ヘリコンは、そのプラズマ密度の不均一性から、産業利用におけるイオンソースとして有効に利用されていない。
ヘリコンモードで動作する時、プラズマ柱は中心に非常に明るい中心核を有し、放電軸において非常に高い密度のピークを有するプロファイルとなる。したがって、典型的には、ソースと共に拡散チャンバが使用され、ヘリコンソースで生成されたプラズマが、チャンバ内で広がり、ピークを有する密度プロファイルが緩和されるようにしている。図2に示すように、拡散チャンバによる平滑化の後であっても、密度プロファイルには、ソースプロファイルの痕跡が依然として残っており、放電軸付近では相対的に高いプラズマ密度が示されており、半径方向に離れるに従って密度は急激に減少している。また、電力を上げても、このような特性を倍加させるだけである、すなわち、ピークにおける密度を増加させ、密度が均一になる半径範囲を狭めてしまう。このように半径方向に沿った非均一なプラズマ密度プロファイル特性が存在するため、このソースを、広範囲なプラズマ処理に適用することが難しくなっている。
以前から、このヘリコン生成プラズマの欠点、すなわち、半径方向のプラズマ密度の負均一性を克服する試みがなされてきた。今日まで、ヘリコンは、プラズマエッチング及びプラズマ蒸着で使用されており、これらよりも少ない頻度ではあるが、イオンビーム形成でも使用されている。特に、ヘリコンは、イオン注入機で多く使用されているリボンイオンビームの生成には使用されていない。したがって、ヘリコンソースにより生成された高いプラズマ密度を効率的に利用でき、広く均一なリボンイオンビームが生成できるようなイオンソースが提供できれば、イオン注入の観点で、有益である。
本開示は上述のような従来の問題の解決に取り組むものであり、1つ又は2つのヘリコンプラズマソースを利用して、ワイドリボンイオンビームを生成可能なイオンソースを提供する。イオンソースは、ヘリコンプラズマソースに加えて、拡散チャンバも含む。拡散チャンバは、ヘリコンプラズマソースの誘電体シリンダの軸と同軸方向に向けられた抽出開口を有する。このように構成することにより、図2のグラフで見られたようなヘリコンプラズマソースの放射密度のピークは、見られなくなる。
従来技術においては、半径方向のプラズマ密度の不均一性のお問題があった。以下に記載される装置の実施形態は、ヘリコンソースにより生成された高いプラズマ密度を効率的に利用し、広く均一なリボンイオンビームを生成する。
一実施形態において、拡散チャンバの向かい合う両端に位置する2つのヘリコンプラズマソースが設けられ、軸方向に均一なイオンビームが生成され、その結果、均一なリボンイオンビームを抽出することができる。
また、他の実施形態において、マルチカスプ磁場を使用することにより、抽出されたイオンビームの不均一性を改善する。
ビームの均質性は、幾つかの独立した手段で制御することが可能であり、例えば、ガス流量、入力するRF電力及び周波数、及びヘリコンプラズマソースそれぞれの磁場強度が含まれる。
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
典型的な高電流イオン注入機ツールのブロック図である。 典型的なヘリコンプラズマソースの拡散チャンバにおけるプラズマ密度の半径方向のプロファイルを示した図である。 典型的なヘリコンプラズマソースの主な構成要素を示した図である。図示されているアンテナは、m=+1のshoji型であるが、ボズウェル型アンテナ又はナゴヤIII型アンテナも利用可能である。 図3aのヘリコンプラズマソースの横断面図である。 平らな渦巻き形状のアンテナを使用した場合のヘリコンプラズマソースを示した図である。 図4aに示したヘリコンプラズマソースの横断面図である。 2つのヘリコンソースの第1実施形態を示した側面図である。 1つの抽出開口を有する拡散チャンバの横断面図である。 複数の抽出開口を有する拡散チャンバの横断面図である。 図5aに示したイオンソースの端面図である。 2つのヘリコンイオンソースの第2実施形態を示した側面図である。 抽出開口部に平行且つ直径を含む面の拡散チャンバの縦断面図である。 抽出開口部及び直径を含む面の拡散チャンバの縦断面図である。 図6aに示したイオンソースの端面図である。 ヘリコンソース及び拡散チャンバにおける軸方向の磁界誘導の分布を示したグラフである。 様々なヘリコン+拡散チャンバ配置構成における軸方向のプラズマ密度を示した典型的なグラフである。 シリコンウェハに形成されたドープ太陽電池に使用されるイオンソース配置構成を示している。 ドープ太陽電池箔に使用されるイオンソース配置を示した図である。
図3aは、典型的なヘリコンプラズマソース100の構成要素の縦断面図であり、図3bは、これらの構成要素の横断面図である。誘電体シリンダ110は、低圧ガスを収容し、アンテナ120からのRFとプラズマとを結合させる。高密度ヘリコンモード(ブライト・コア)で正しく機能させるために、シリンダ内のガス圧は、20mTorr未満に維持される。誘電体シリンダ110は、水晶、パイラックス(登録商標)又はアルミナのような好適な誘電体材料によって構成することができる。アンテナ120が、誘電体シリンダ周囲に密着されて巻き付けられており、これによってヘリコン波が生成される。これらに限定されないが、ボズウェル・サドル型アンテナ、ナゴヤIII型アンテナ、又は半波長ヘリカルアンテナ等の各種アンテナを利用してもよい。アンテナ120は、好ましくは、銀メッキされた銅で形成されており、RF電源(図示せず)により電力が供給され、L型又はPI型整合回路(図示せず)によりプラズマインピーダンスに対するRF整合を行ってもよい。アンテナ長及び磁場強度によって一部規定される(磁場に沿った)並列波長を有し、m=0又はm=±1モードを設定するのに、多くの場合、シリンダ状のプラズマ柱の外部に設けられたこのようなアンテナ構造が使用される。他の実施形態では、アンテナ120は、誘電体シリンダ110内に配置されていてもよいし、誘電体のシリンダの壁部分に埋め込まれていてもよい。
ヘリコン波は、有界の電磁波であり、ウィスラー範囲の周波数(イオンと電子サイクロトロンとの間の周波数)を有し、右旋円偏波及び左旋円偏波の両方を有する。ヘリコン波を励起するために、マグネット130により必要な磁場が生成され、最も好ましくは、数百ガウスを超える軸方向の磁場を形成可能なソレノイド又は複数の軸対称ソレノイドが使用される。このように構成することにより、典型的な商業用RF周波数である13.56MHzでヘリコンソースを動作させることが可能となる。しかしながら、他のRF周波数で動作させてもよい。高い強度の磁場は、Sm‐Co又はNd‐Fe‐Bの永久磁石のスタックを利用することにより、提供可能である。本開示では、マグネット130とは、1つ以上のソレノイド又は永久磁石構成を表す。ヘリコンソースの一端は、フランジ140で終端し、フランジは、好ましくは、所望の作動ガスを一定の流速でチャンバに導入するガス注入口150を含む。反対側に位置する他端は、開放端となっており、好ましくは、壊れやすい弾性体ヘリコンチューブを金属製の拡散チャンバに接続するための弾性結合160を有する。1つ又は複数のソレノイド130は、DC電流電源から電流の供給を受ける。電流の方向又は永久磁石の向きは、磁界誘導(B)が誘電体シリンダ110の開放端に向かう方向に向けられるように選択される。ソレノイド130に関連して使用されている記号はそれぞれ、図面の紙面に対して、電流が流れ込む又は流れ出ていること表している。
上述のようにして、アンテナ励起モードの適切な選択を行うことにより、生成されたヘリコン波は、端部フランジ140及びガス注入口150から離れる方向に、チューブの軸に沿って伝播する。動作中に発生する熱を拡散させるために、アンテナ及びソレノイドの両方が、冷却ライン180を通じて、好ましくは水冷される。冷却に他の流体を使用してもよい。周りを囲むアンテナに入射するRF放射を低減するため、ヘリコンソースの周りにファラデーケージ170を配置するのが好ましい。
別の実施形態である、アンテナ190が平らな渦巻き形状である場合が、図4a及び図4bに示されている。アンテナは、ヘリコンソースの閉口端に位置している。この場合、アンテナ190からプラズマへのRF電力伝送は、誘電体窓195(パイレックス(登録商標)、水晶、アルミナ)を介して行われる。このような構成の場合、第2の弾性結合体を使用して誘電体チューブの閉口端を真空封止し、異なる位置に設けられているガス注入口150が使用される。
ヘリコン放電の理論では、プラズマ密度及びプラズマ並列波の数字は、所与の磁場強度に対するヘリコン分散方程式(1)と関係している。
Figure 0005610543
ここで、kは波数、ω=(ne/ε1/2はプラズマ周波数、nはプラズマ密度、ω=eB/mは、均一背景軸方向磁場Bにおける電子サイクロトロン周波数、μは真空中の透磁率、v=ω/kは、チューブ軸方向のヘリコン波の位相速度、mは、電子質量である。"‖"及び"⊥"はそれぞれ、磁場誘導ベクトルに対して、平行な方向及び垂直な方向を表す。
通常、kは、チューブ半径J(ka)=0(Jは第1種ベッセル関数、aはチューブの内径)で決まる定数である。イオン化断面積におけるピークが数十eV(エレクトロンボルト)、例えば約50eVであるガスの場合、ヘリコン共鳴には、以下の式(2)に示すように、
Figure 0005610543
が必要となる。ここで、それぞれの単位は、fがMHz、aはcm、nは1013cm−3、Bはガウスである。典型的な産業利用周波数である、f=13.56MHzの場合、直径〜5cmのチューブでは、5×1012cm−3のプラズマ密度を提供するのに、〜275ガウスの磁場が必要となる。
上述したヘリコンソースでは、多くの場合、誘電体シリンダ110の中心軸に沿ったピークを有する半径方向密度プロファイルを有するプラズマが生成される。異なるチャンバで使用された場合、多少平坦なプロファイルにはなるが、拡散チャンバにおける密度プロファイルは、依然として図2に示したような非均一な半径方向プロファイルと同様なものとなる。したがって、誘電体シリンダの中心軸に垂直な方向の軸に沿った方向に向けられたスリットからのイオンビームの引き出しは、ピークを有するリボンイオンビームプロファイルとなり、中心部分では高い電流密度を有し、ビーム周辺においては、低いビーム電流密度となる。このような特性は、非均一な注入ドーズ量が生じ、製造する半導体デバイスの品質が悪くなってしまうことから、イオン注入目的では望ましくない特性となっている。
イオンソース200の第1実施形態が、図5a及び図5bに示されている。図3及び図4を参照して説明したソースと同様な2つのヘリコンプラズマソース100及び300が、軸方向に拡散チャンバ210と結合している。拡散チャンバ210は、好ましくはシリンダ形状を有し、また、誘電体シリンダ110よりも大きな直径である、例えば、20‐50cmの直径を有する。2つのヘリコンソース及び拡散チャンバは、これら3つの要素の中心軸が、同一線上に並ぶように配置される、すなわち、同軸配列となるようにする。抽出開口部230は、拡散チャンバの中心軸と平行に拡散チャンバに位置する。抽出開口部230の高さは、小さい方が好ましく、例えば、3‐5mmである。拡散チャンバの長さは、幅35cmのリボンイオンビーム引き出しスリットを収容可能なように選択され、この場合、300mmウェハのイオン注入が可能である。拡散チャンバの長さに特に制限は無く、次世代の直径450mmウェハのイオン注入を可能とするべく、より幅の大きい50cmの抽出開口を設けてもよい。
図5bは、代表的な拡散チャンバの断面図である。拡散チャンバ210のチャンバハウジング240は、好ましくは、アルミニウム又は同様に磁場を透過する材料で形成される。ある実施形態では、導電ライナー245を、チャンバハウジングの内面周辺に設ける。好ましくは、ドープ炭化シリコン又はグラファイトで形成されたライナー245は、2つの役割を持つ。1つ目は、スパッタリングを低減し、プラズマ260及び生成されたイオンビーム270が、チャンバの壁240の金属によって汚染されてしまうのを防ぐ役割をする。そして、2つ目に、ライナーの電気伝導性により、プラズマ電位を抑制する役割がある。
正イオンを抽出するために、チャンバは、高圧DC電源(図示せず)により、正の電位に電気的にバイアスされる。一実施形態では、図5bに示したように、1つの抽出開口が設けられ、抽出光学系250と共に、ビーム抽出に利用される。典型的な抽出光学系250は、様々な電位の複数の電極のセットを含み、プラズマ260から正イオンを引き出す役割をする。図5bには、3極管抽出光学系が示されているが、4極管又は5極管の構成も採用可能である。一実施形態において、開口部の高さは3mm、長さは350mmであるが、他の大きさ及び構成も可能である。図5cに示す第2の実施形態では、複数の平行な開口が使用されており、これにより、複数のビームレット275が引き出され、より高さのある高電流リボンイオンビーム270が形成される。
プラズマ260の不均一性を改善するために、マルチカスプ磁場配置を採用してもよく、これは好ましくは、Sm‐Co又はNb‐Fe‐Bの複数の永久磁石バー280の列を、拡散チャンバの長さ方向に沿った方向向けて配置することにより実現される。これらのマグネット280は、磁極が、拡散チャンバ210のチャンバハウジング240の外面を向き、且つ極性が交互になるように配置される。すなわち、1つのマグネット列は、N極がチャンバハウジング240を向くように配置され、この1つのマグネット列に隣接する両側のマグネット列におけるマグネットは、S極がチャンバハウジング240を向くように配置される。このようなパターンを繰り返すように、マグネット列が、抽出開口部230の近くを除いたチャンバハウジングの外周に沿って配置される。可能な限り多くの磁力線285を閉じ込めるために、拡散チャンバの左右両側の壁において、複数のマグネット280を連続的に且つ縦方向の列のマグネット280が同じ極性を持つように配置することにより、マルチカスプ場を生成することができ、図5dに示すような放射パターンとなる。磁場強度B及び磁力線285のプラズマへの侵入深さyは、交互の磁極を有する複数のマグネットの編集方向の離間距離d、マグネット表面における磁場強度B0及びマグネットの幅Δで制御でき、以下の式で表される。
Figure 0005610543
これらのパラメータを適切に調整することにより、プラズマ束に磁場を形成することなく、チャンバ壁の近くに強い磁場を形成することができる。このようにして、荷電粒子(電子及びイオン)が、磁力線285に捉えられ、チャンバ壁240で失う粒子が減り、均一性の高い高密度プラズマを生成できると考えられる。マグネットを囲む鋼板290を追加することにより"ヨーク効果"を引き起こして、磁場強度を上げることができる。四角い形の断面積形状を有し、Δ=3/8及びd=3/4であるSm−Coマグネットの実施形態の場合、チャンバから1.5″において、50Gの磁場強度を得ることができる。提案された配置では、生成されるマルチカスプ磁場は、抽出開口部230に向う方向に、プラズマ260をシフトさせる。抽出開口部には磁場が存在しないので、荷電粒子は抽出開口部230に向かって自由に移動でき、したがって、高密度イオンビームを引き出すことができる。図5b及び図5cに示されている点線は、バルク、磁場なしプラズマ、及び強い磁場が存在する領域の間の境界を表している。
図6a〜dに示す別の実施形態では、マルチカスプ磁場285を生成する複数の永久磁石バー280は、円周状に配置され、同じ磁性のマグネットの列、例えば、N極がチャンバ内部を向いているマグネットの列が、抽出開口が位置する部分を除いたチャンバの円周に沿って配置される。磁極が交互になるように配置された複数のマグネットによりマルチカスプ磁場が生成される、すなわち、円周状に配置され長手方向に距離d離間して配置されたマグネット列は、チャンバの内部方向に向けられたS極と、チャンバの外側方向に向けられたN極を有する。図6dに示すように、同心円に沿って極性が交互になるように複数のマグネットが配置され、左右の側壁までこのような配列が続く。オペレーションの間に生成された熱からマグネットを保護するため、冷却システム295(図6a〜c)を、拡散チャンバ周辺に配置してもよい。冷却剤として水を利用でき、その他の冷却液体又は冷却ガスを使用してもよい。
図5及び図6には、マルチカスプ磁場を生成するのに使用される代表的な2つの構成が示されている。どちらの実施形態においても、望ましくない磁場の影響からビームを守るために、イオンビーム引き出し領域及びバルクプラズマは、磁場のない領域となっている。すなわち、マルチカスプ磁場は、抽出開口部が位置する部分を除く拡散チャンバの円周部に広がる。当業者であれば、この分野において、その他の技術及び構成を採用可能であることは明らかである。
2つのヘリコンソースは、共通の拡散チャンバにプラズマを注入する。2つのヘリコンソースにおける軸方向の磁場は、互いに反対方向になっており、各ソレノイドで生成される磁場が、拡散チャンバに入る前にゼロにまで減衰していることが重要である。これは、拡散チャンバに対してソレノイドを適切に配置すること、及び拡散チャンバの左右に設けられたフランジのマルチカスプ場によって実現可能である。局所マルチカスプ場の強度は相対的に高く、拡散チャンバ内のソレノイドで生成される磁場の弱い軸方向成分は0とされる。図7には、最終的に生じる軸方向の磁場のプロファイルが示されており、ヘリコンモードで適切にオペレーション可能な程度に十分高い磁場が各ヘリコンソースで形成され、拡散チャンバ内では、軸方向の磁場は0となり、マルチカスプ場によって、プラズマは、壁からはじかれると同時に、抽出開口部に向けて押される。
図8は、様々な配置構成におけるプラズマ密度を示した典型的なグラフである。線"H1"及び"H2"は、軸方向位置の関数としてのプラズマ密度の、典型的な関係を示しており、1つのヘリコンソースのみでプラズマを拡散チャンバに注入する場合が示されている。グラフに示すように、プラズマソース100からの距離が大きくなるに従って、プラズマ密度は減少している。線"H1+H2"は、2つのヘリコンソースが両方とも使用されている場合のプラズマ密度を示した典型的なグラフである。すなわち、共通の拡散チャンバ内にプラズマが供給されているが、拡散チャンバには、マルチカスプ磁場が存在しない場合のグラフである。プラズマソースそれぞれからのプラズマ密度が足し合せられて、拡散チャンバの軸方向に沿って、より均一なプラズマ密度が形成されている。このように、第1のヘリコンソース100からの距離が大きくなるに従い、拡散チャンバ210内のプラズマ密度が減少する効果が、第2のヘリコンプラズマソース300の存在により打ち消される。線"H1+H2+MM"は、両方のヘリコンソースが動作し、マルチカスプ磁場が存在する場合のプラズマ密度の典型的なプロファイルを示している。マルチカスプ磁場は、プラズマ均一性の長手方向の範囲にわたって存在する。
この好ましい実施形態では、2つのヘリコンソースが使用されているが、拡散チャンバに結合された1つのヘリコンソースを使用する場合も無論考えられる。この実施形態において、線"H1"で示されるような縦軸に沿ったプラズマ密度の減少によって生じる不均一なビームプロファイルを、別の技術を利用して是正してもよく、例えば、様々な高さを有する引き出しスリット(プラズマ密度が減少する方向に向かって、漸次高さが大きくなるようなスリット)を使用する、及び/又は、拡散チャンバ内のマルチカスプ磁場が勾配を有するようにする等が考えられる。
上述したイオンソースによれば、拡散チャンバ内に生成されるプラズマ密度を、複数通りに変化させることができる。各ヘリコンソースには、動作ガスが独立して供給され、また真空引きは、共通の拡散チャンバの抽出開口部を介して行われるので、各ヘリコンソースに供給されるガス流量を、それぞれ独立して変更することができる。これにより、縦軸方向に沿ったプラズマ密度プロファイルを、細かく調整することができる。プラズマ密度、及び間接的にビームの不均一性を調整する第2の方法は、各ヘリコンソースにおける磁場強度を変更することである。プラズマ密度及びヘリコン波の波長は、磁場強度に対応しているため、各ソースにおける磁場強度を増加又は減少させることにより、プラズマの不均一性を制御することができ、間接的には、抽出されるビームプロファイルを制御することができる。不均一性を制御するのに適用可能な第3の方法は、各アンテナに供給する電力量を変更することである。不均一性を制御するのに適用可能な第4の方法は、RF電源の周波数を変更することである。これらの値を適切に調整することにより、幅の広い範囲にわたって良好な均一性を有する高いリボンイオンビーム電流を抽出することが可能となる。その結果、大きな直径のウェハにも、均一なドーズ量の注入を行うことができる。
上述したように、このデバイスを、イオン注入に利用可能である。このイオンソースを使用して、300〜500ミリの幅を有する数百ミリアンペアの均一なリボンイオンビームを生成することができる。
しかしながら、このデバイスの適用は、従来の典型的なイオン注入にとどまらない。このデバイスは、他のアプリケーションでも利用可能であり、例えば、図9に示すようなウェハ上に形成される太陽電池のドープにも利用できる。非常に高い電流が引き出されることが期待され、所望のドーピングを迅速に実現でき、好ましくは1回通過させるだけで実現可能となる。このような場合、リボンイオンビーム270が入射する箇所の下であって、ウェハ510を運ぶコンベアベルト520のような表面に、ウェハ510が配置される。一実施形態において、ロボットアーム500を使用して、ウェハ510をコンベアベルト520に配置する。この実施形態では、所望のドーズ量は、ビーム電力及びコンベアベルトの速度を調整することにより設定される。イオン注入後に、ウェハ520は、例えば第2のロボットアーム530によってベルト510から取り除かれる。
同様にして、図10に示すような太陽電池箔400もドープすることができる。現在、p型CuIn1−xGaxS2箔型太陽電池は、温度135℃の中間アニール工程を伴う475℃の複雑な硫化プロセスによって形成されている。このプロセスは、90分以上掛かるため、生産性が低くなってしまっている。上述したイオンビームソースによれば、モータによって駆動される2つのリール410、420に巻きつけられるフォイル(箔)400を、連続的に真空チャンバを通過させて、ビーム経路を横切らせることができる。高ビーム電流は、所望のドーピングを短時間で実現可能であり、好ましくは、1度の通過で実現し、ドーズ量は、ビーム電流及びリールの回転スピードで設定することができる。図10は、このプロセスを単純化して示した図である。チャンバハウジングと拡散チャンバの断面が示されており、イオンビーム270が入射している。構成を明確に示す目的から、図では、イオンソースの他の構成要素が省略されているが、実際には存在する。イオンビームは、図10の面に垂直な方向に長さを有するリボンの形をしている。一実施形態において、太陽電池箔は、放射されるリボンイオンビームの幅と同じか、僅かに小さな幅を有する。イオンビームは、拡散チャンバ210の抽出開口部の直下を通過して、太陽電池箔400の一部に当たる。また、一実施形態において、太陽電池箔400は、回転するリール410、420によって運ばれる。これらのリールの速度を調整することにより、太陽電池箔400の各部分がイオンビームに暴露される時間を調整することができる。
[項目12]
a.中心軸、閉口端及び開放端を含む誘電体シリンダ、前記中心軸の方向に磁場を形成し、前記誘電体シリンダを囲み前記誘電体シリンダの前記開放端の方向に向けられるマグネット、及び、前記誘電体シリンダ内にヘリコン波を生成可能なアンテナを有するヘリコンプラズマソースと、
b.拡散チャンバを画定し、第1端、第2端及び抽出開口部を含むチャンバハウジングと
を備え、
前記チャンバハウジングの前記第1端は、前記誘電体シリンダの前記開放端と連通し、前記抽出開口部は、第2寸法よりも大きい第1寸法を有し、前記第1寸法は、前記誘電体シリンダの前記中心軸に平行であるイオンソース。
[項目13]
前記チャンバハウジングを囲み、マルチカスプ磁場を形成する複数のマグネットをさらに備える項目11に記載のイオンソース。
[項目14]
前記第1閉口端に設けられたガス注入口をさらに備える項目11に記載のイオンソース。
[項目15]
前記マグネットは、ソレノイドを含み、
前記イオンソースは、前記ソレノイドによって形成される前記磁場を制御する電源をさらに備える項目11に記載のイオンソース。
[項目16]
前記マグネットは、永久磁石を含む項目11に記載のイオンソース。
[項目17]
前記アンテナに接続され前記アンテナに電力を供給するRF電源をさらに備える項目11に記載のイオンソース。
[項目18]
前記RF電源の電力は、整合回路を介して、前記アンテナに供給される項目17に記載のイオンソース。
[項目19]
前記抽出開口部の付近に位置し、前記拡散チャンバからのイオン放出を促進する抽出光学系をさらに備える項目11に記載のイオンソース。
[項目20]
イオンビームの不均一性を調整する方法であって、
a. i.第1中心軸、第1閉口端及び第1開放端を含む第1誘電体シリンダ、前記第1中心軸の方向に磁場を形成し、前記第1誘電体シリンダを囲み前記第1誘電体シリンダの前記開放端の方向に向けられる第1ソレノイド、及び、前記第1誘電体シリンダ内にヘリコン波を生成可能な第1アンテナを有する第1のヘリコンプラズマソースと、
ii.第2中心軸、第2閉口端及び第2開放端を含む第2誘電体シリンダ、前記第2中心軸の方向に磁場を形成し、前記第2誘電体シリンダを囲み前記第2誘電体シリンダの前記開放端の方向に向けられる第2ソレノイド、及び、前記第2誘電体シリンダ内にヘリコン波を生成可能な第2アンテナを有する第2のヘリコンプラズマソースと、
iii.拡散チャンバを画定し、第1端、第2端及び抽出開口部を含むチャンバハウジングと、
iv.前記第1のヘリコンプラズマソースの前記第1閉口端及び前記第2のヘリコンプラズマソースの前記第2閉口端にそれぞれ設けられたガス注入口と、
v.前記第1ソレノイド及び前記第2ソレノイドによって形成される前記磁場を制御する電源と、
vi.前記第1アンテナ及び前記第2アンテナに接続され、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナに電力を供給するRF電源と
を有し、前記チャンバハウジングの前記第1端は、前記第1誘電体シリンダの前記開放端と連通し、前記チャンバハウジングの前記第2端は、前記第2誘電体シリンダの前記開放端と連通し、前記抽出開口部は、第2寸法よりも大きい第1寸法を有し、前記第1寸法は、前記第1誘電体シリンダの前記第1中心軸に平行であるイオンソースを提供する段階と、
b.軸方向の前記磁場を調整するDC電源の出力電流、前記RF電源の出力、及び前記注入口へのガス流量からなる群から選択される、前記イオンソースの特性を調整する段階と
を備える方法。
[項目21]
前記RF電源の前記出力は、電力成分及び周波数成分を含み、前記RF電源の調整は、前記電力成分を調整することを含む項目20に記載の方法。
[項目22]
前記RF電源の前記出力は、電力成分及び周波数成分を含み、前記RF電源の調整は、前記周波数成分を調整することを含む項目20に記載の方法。
[項目23]
前記イオンソースは、前記電源として、第1電源及び第2電源を含み、前記第1電源及び前記第2電源はそれぞれ、対応する前記第1ソレノイド及び前記第2ソレノイドを制御し、前記調整する段階は、前記第1電源及び前記第2電源の出力をそれぞれ調整することを含む項目20に記載の方法。
[項目24]
前記イオンソースは、前記RF電源として、第1RF電源と第2RF電源とを含み、前記第1RF電源及び前記第2RF電源はそれぞれ、対応する前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを制御し、前記調整する段階は、前記第1RF電源及び前記第2RF電源の出力をそれぞれ調整することを含む項目20に記載の方法。

Claims (11)

  1. a.第1中心軸、第1閉口端及び第1開放端を含む第1誘電体シリンダ、前記第1中心軸の方向に磁場を形成し、前記第1誘電体シリンダを囲み前記第1誘電体シリンダの前記第1開放端の方向に向けられる第1マグネット、及び、前記第1誘電体シリンダ内にヘリコン波を生成可能な第1アンテナを有する第1のヘリコンプラズマソースと、
    b.第2中心軸、第2閉口端及び第2開放端を含む第2誘電体シリンダ、前記第2中心軸の方向に磁場を形成し、前記第2誘電体シリンダを囲み前記第2誘電体シリンダの前記第2開放端の方向に向けられる第2マグネット、及び、前記第2誘電体シリンダ内にヘリコン波を生成可能な第2アンテナを有する第2のヘリコンプラズマソースと、
    c.拡散チャンバを画定し、第1端、第2端及び抽出開口部を含むチャンバハウジングと
    を備え、
    前記チャンバハウジングの前記第1端は、前記第1誘電体シリンダの前記第1開放端と連通し、前記チャンバハウジングの前記第2端は、前記第2誘電体シリンダの前記第2開放端と連通し、前記抽出開口部は、第2寸法よりも大きい第1寸法を有し、前記第1寸法は、前記第1誘電体シリンダの前記第1中心軸に平行であるイオンソース。
  2. 前記第2中心軸は、前記抽出開口部の前記第1寸法と平行であり、且つ前記第1誘電体シリンダの前記第1中心軸と同軸である請求項1に記載のイオンソース。
  3. 前記チャンバハウジングを囲み、マルチカスプ磁場を形成する複数のマグネットをさらに備える請求項2に記載のイオンソース。
  4. 前記第1のヘリコンプラズマソースの前記第1閉口端及び前記第2のヘリコンプラズマソースの前記第2閉口端にそれぞれ設けられたガス注入口をさらに備える請求項2または3に記載のイオンソース。
  5. 前記第1マグネット及び前記第2マグネットはそれぞれ、ソレノイドを含み、
    前記イオンソースは、前記ソレノイドによって形成される前記磁場を制御する電源をさらに備える請求項2から4の何れか1項に記載のイオンソース。
  6. 前記第1マグネット及び前記第2マグネットはそれぞれ、ソレノイドを含み、
    前記イオンソースは、第1電源及び第2電源をさらに備え、
    前記ソレノイドはそれぞれ、対応する電源によって制御される請求項2から5の何れか1項に記載のイオンソース。
  7. 前記第1マグネット及び前記第2マグネットは、永久磁石を含む請求項2から6の何れか1項に記載のイオンソース。
  8. 前記第1アンテナ及び前記第2アンテナに接続され、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナに電力を供給するRF電源をさらに備える請求項2から7の何れか1項に記載のイオンソース。
  9. 前記第1アンテナに接続され前記第1アンテナに電力を供給する第1のRF電源と、前記第2アンテナに接続され前記第2アンテナに電力を供給する第2のRF電源とをさらに備える請求項2から7の何れか1項に記載のイオンソース。
  10. 前記RF電源からRF電力は、2つの独立した整合回路を介して、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナに供給される請求項8に記載のイオンソース。
  11. 前記抽出開口部の付近に位置し、前記拡散チャンバからのイオン放出を促進する抽出光学系をさらに備える請求項2から10の何れか1項に記載のイオンソース。
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