JP5609455B2 - 鍛造方法 - Google Patents
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そして、プーリ本体をプーリシャフトに対してスライドすること、すなわち、プーリ本体とプーリシャフトとの嵌合位置を変更することによって、プーリとベルトとの接触位置を変更し、動力伝達用ベルトの有効径を変更可能である。
また、内スプラインは、スプラインを切るための下穴を機械加工により設けてから成形することによって得られる。
しかしながら、特許文献1の製造方法では、内スプラインは機械加工によって設けられる下穴の内周面に成形されている。このため、粗材表面の潤滑が悪くなり成形型との間で焼きつきが生じやすい、下穴の底部をスプラインとして利用できない等の不利な点が含まれることとなる。
本鍛造方法では、熱間鍛造によって所定形状に成形されたワークを、冷間鍛造によって製品に成形する。この冷間鍛造は、鍛造装置1・30を用いて行われる。鍛造装置1・30は、無段変速機(CVT)を構成するプーリの一部であるプーリ部品2を成形する。
プーリ面3は、ベルトとの接触面として形成される斜面(テーパー面)であり、プーリ部品2の軸方向一側(外側)に形成される。パーキングギア4は、パーキング機構を構成する部位であり、適宜のラチェットと歯合する歯面を有する。パーキングギア4は、プーリ面3と反対側である軸方向他側(内側)の外周面に形成されるギアである。内スプライン5は、平行な凹溝であり、パーキングギア4と同じ側(内側)に形成されている。内スプライン5は、薄肉の底部を有する凹部の内周面に形成されている。
軽量化溝6は、パーキングギア4と内スプライン5との間(略中間位置)に設けられる軸方向を深さ方向とする凹部であり、プーリ部品2の内側面に形成される。このように軽量化溝6によって係る部位の厚みを薄くすることによって、その重量分だけプーリ部品2を軽量化している。
こうして、プーリ部品2とシャフト部品7とが一体的に回転運動可能に固定される。言い換えれば、本実施形態におけるプーリシャフトは、プーリ部品2とシャフト部品7との分割構造を有する。
プーリ本体8には、プーリ面3と対向するプーリ面9が形成される。プーリ面9は、プーリ面3と同形状に形成され、かつ、対称位置に配置される。このように形成されるプーリ面3・9によってベルトを挟持するとともに、プーリ面3・9を介してベルトの回転がプーリに伝達される。
鍛造装置1は、上型10と下型20とを具備し、上型10と下型20との間にワークWを配置し、ワークWを上型10と下型20とで挟み込んで押圧することによって、上型10及び下型20の表面形状(成形形状)に沿った鍛造品(中間品M)に鍛造する。
図2に示すように、ワークWは、円柱状の素材から熱間鍛造によって成形されるものであり、略円柱形状に成形される。ワークWは、プーリ部品2のパーキングギア4に対応する部位、すなわち略円柱形状の軸方向他側の外周面に、パーキングギア4の荒歯Rを含む形状に成形される。荒歯Rは、パーキングギア4の製品としての面粗度、形状精度を満たしていないものの、パーキングギア4の概略形状を有する歯面として成形されている。この荒歯Rは、鍛造装置1による冷間鍛造によって、パーキングギア4、つまり所定の製品精度を有する歯面に仕上げられる。
また、ワークWには、荒歯Rと同時に軽量化溝6の一部(詳細には、軽量化溝6における外周側の壁面)が成形されており、ワークWにおいて、プーリ部品2の内側(軸方向他側)、つまり内スプライン5が成形される側の面には、軸方向を深さ方向とし、軽量化溝6の外周壁面を含む凹部が成形される。
開口部13は、スリーブパンチ12の内周側(上型10の中央部)に設けられる。言い換えれば、開口部13によって上型10の中央が上方に向けて開放されている。これにより、上型10による押圧によって、ワークWの一部がスリーブパンチ12より内周側の開口部13に流出することとなる。
上型10のパンチ11を下方に向けて移動させることによって、ワークWの外周部をパンチ11とパーキングギアダイス21とで挟み込み、パンチ11によってプーリ面3を成形するとともに、パーキングギアダイス21によってワークWの荒歯Rをパーキングギア4に成形する。
上型10のパンチ11を下方に向けて移動させることによって、ワークWの荒歯R形成部分よりも半径方向内側の部分をパンチ11とガイドダイス22とで挟み込み、ワークWの内側部分(軸方向他側部;図6における下部)に軽量化溝6を成形する。
ガスクッション23は、その押圧力によって、所定の加工中にパーキングギアダイス21及びガイドダイス22を上昇位置に保持する。また、ガスクッション23の押圧力よりも大きい外力が上方から加わった場合は、ガスクッション23が縮み、これに伴って、パーキングギアダイス21及びガイドダイス22が上昇位置から下降する。
なお、ガスクッション23の下死点は、下型20の下死点であり、鍛造装置1の成形下死点である。
パンチ11及びスリーブパンチ12によりワークWを上方から押圧することによってガスクッション23を縮ませて、ワークWをスプラインパンチ25に対して押圧する。こうして、スプラインパンチ25によって押し出し成形が行われ、ワークWの中央部にスプラインパンチ25の形状に応じた有底の凹部および内スプライン5が成形される。
また、スプラインパンチ25によってワークWが成形される領域の上方(成形方向)には、開口部13が設けられている。このため、スプラインパンチ25による押し出し成形時に、ワークWの上部(軸方向一側端部)中央が開口部13側へ向けて流動し、ワークWの上端面(軸方向一側端面)から捨て軸Xが突出するように成形される。捨て軸Xは内スプライン5が形成される凹部の底部の背面側から上方に向けて突出して成形される軸状の部位であり、所定の径を有するように開口部13の内径が設定されている。なお、捨て軸Xは、鍛造装置30による次工程にて排除されるものであり、プーリ部品2の製品形状をなす部位ではない。
このように、スプラインパンチ25による押し出し成形がワークWの上部(軸方向一側端部)に近づくにつれて、素材の流動が上型10の開口部13に逃げるように構成しているので、スプラインパンチ25による成形荷重を低減でき、型寿命を向上できる。
ノックアウトピン26は、鍛造装置1による成形終了後、より厳密には、ガスクッション23によって、下型20のパーキングギアダイス21、ガイドダイス22及びスペーサ24を上昇させて、先にワークW(中間品M)からスプラインパンチ25を外した後に、パーキングギアダイス21とワークW(中間品M)とが接触した状態で作動される。これにより、ワークW(中間品M)は下型20から押し出されることによって取り外される。
図4(b)に示すように、鍛造装置30は、鍛造装置1によって成形された中間品Mの捨て軸X部分を打ち抜いて排除するとともに、プーリ部品2の中央部にシャフト部品7が貫通可能な孔を成形する。
このように、本鍛造方法では、鍛造装置1・30による鍛造工程によって、ワークWをプーリ部品2に成形する。ただし、鍛造装置1と鍛造装置30を同一の鍛造装置によって実現しても良い。
図5に示すように、鍛造工程S1は、熱間鍛造工程S10、熱処理工程S20、潤滑処理工程S30、冷間鍛造工程S40を具備する。また、冷間鍛造工程S40は、成形工程S41、打ち抜き工程S42を具備する。
このように、熱間鍛造工程S10によって、所定形状を有するワークWを成形する。
潤滑処理工程S30では、次工程である冷間鍛造工程S40に備えてワークWの表面に潤滑処理を施す。
まず、図6を参照して、鍛造装置1によってワークWを中間品Mに成形する際の装置の動きについて説明する。
このスプラインパンチ25による押し出し成形とともに、ガイドダイス22による成形も同時に行われ、ワークWに軽量化溝6が成形される。すなわち、スプラインパンチ25によって流動する素材の一部が下方、つまりガイドダイス22側へ流動し、ガイドダイス22の表面形状に沿って変形することによって、軽量化溝6の内周側壁面を成形する。
ガスクッション23が下死点まで縮むと、鍛造装置1の成形下死点を迎え、スプラインパンチ25によって内スプライン5が成形され、ガイドダイス22によって軽量化溝6が成形される。
このように、スプラインパンチ25による押し出し成形は、十分な潤滑処理が施されているワークWの表面に対して行われるため、成形時の焼きつきが防止される。さらに、内スプライン5は、スプラインパンチ25による押し出し成形によって成形されるため、下穴を設ける必要がなく、内スプライン5として最大限に利用できるという利点がある。
また、一つの鍛造装置1を用いた一連の成形によって、パーキングギア4及び内スプライン5を成形するので、これらの相対的な位置精度を高く保つことができる。
さらに、軽量化溝6を冷間鍛造にて成形しているため、ガイドダイス22の早期摩耗を抑制でき、型寿命を向上できる。
図7(a)に示すように、上型10を上方へ移動させて、中間品Mからパンチ11及びスリーブパンチ12を取り外す。また、これにより、ガスクッション23による押圧力が再度付与されて、パーキングギアダイス21、ガイドダイス22、スペーサ24が上昇する。このとき、中間品Mは、パーキングギアダイス21及びガイドダイス22と接触した状態(取り付いた状態)で、スプラインパンチ25から取り外される。
図7(b)に示すように、ノックアウトピン26を作動させて、中間品Mを上方へ押し出す。これにより、中間品Mがパーキングギアダイス21から外れ、下型20から排出される。
打ち抜き工程S42では、中間品Mの捨て軸Xと内スプライン5が形成される凹部の底部の一部とを打ち抜いて排除し、中間品Mを製品であるプーリ部品2の形状に成形する。
2 プーリ部品(製品)
4 パーキングギア(ギア)
5 内スプライン
6 軽量化溝
10 上型
20 下型
R 荒歯
W ワーク
M 中間品
X 捨て軸
Claims (2)
- 円筒状部材の外周面にギアが形成され、内周面に内スプラインが形成される製品を鍛造する方法であって、
円柱状部材の外周面に前記ギアの荒歯を形成することにより構成されたワークを、上型と下型を具備する鍛造装置を用いた冷間鍛造によって前記製品形状に成形する工程を具備し、
前記成形工程は、
前記荒歯を前記ギアに仕上げるとともに、押し出し成形により前記ワークに有底の凹部および前記凹部の内周面に形成される内スプラインを成形する第一工程と、
前記第一工程の押し出し成形によって、前記凹部の底部に生じる捨て軸を打ち抜き、前記製品形状を得る第二工程と、を含み、
前記第一工程における前記内スプラインの成形時に、前記上型の中央に設けられた開口部に前記ワークの一部を流動させることで前記捨て軸を成形する鍛造方法。 - 前記第一工程において、前記ギアと内スプラインとの間に、部品軽量化のための軽量化溝を同時に成形する請求項1に記載の鍛造方法。
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