JP5608087B2 - C型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2に結合する抗体及びそれを用いたc型肝炎ウイルスの遺伝子型の同定方法 - Google Patents

C型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2に結合する抗体及びそれを用いたc型肝炎ウイルスの遺伝子型の同定方法 Download PDF

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Description

本発明は、C型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2に結合する抗体及びそれを用いたC型肝炎ウイルスの遺伝子型の同定方法に関する。
C型肝炎ウイルス(Hepatitis C virus;以下、HCV)は非A非B肝炎の主要な原因ウイルスであり、主に輸血及び性的接触を介して感染する(非特許文献1)。日本におけるHCVの保有者は、肝炎の症状を示していない人(ウイルスキャリア)を含めると200万人以上であり、世界では1億7000万人以上であると推定されている。HCVの保有者が増加する主な原因は、HCV感染による肝炎の慢性化率が70〜80%と高いことや、インターフェロン以外に有効な抗ウイルス剤がないことである。
C型慢性肝炎患者の半数以上の病態は、悪化の一途を辿ることがほぼ確実で、肝硬変や肝癌へと進行することが知られているため、C型肝炎は予後の悪い深刻な感染症であるといえる。このため、C型肝炎の治療及びHCVの検出に関する研究は、医学的に重要であり、新たな治療法及び治療薬の開発が望まれている。
HCVは、約9.6kbの+鎖の一本鎖RNAをゲノムとして有するRNAウイルスであり、このゲノムには翻訳後に宿主由来のシグナルペプチダーゼやHCV由来のプロテアーゼで10種類のウイルスタンパク質(Core、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A及びNS5B)に切断される前駆体タンパク質がコードされている。HCVは、ゲノムの塩基配列を系統解析することによって10種類以上の遺伝子型(例えば、1a、1b、2a、2b、3a及び3b)に分類されている(非特許文献1〜4)。
最近では、HCVの遺伝子型の違いによって、インターフェロンの効果に大きな差があることがわかってきており、インターフェロンの抗ウイルス作用は、遺伝子型が1a又は1bのHCVに対して発揮されにくいことが明らかになっている(非特許文献5及び6)。
さらに、インターフェロンの効果が比較的良好に認められる、遺伝子型2aのHCVと遺伝子型2bのHCVの間においても、インターフェロンの抗ウイルス作用の強さには差があることがわかってきており、遺伝子型が2bのHCVよりも遺伝子型が2aのHCVに対してより強い作用が認められることが示唆されている(非特許文献7)。
HCVの診断方法としては、C型肝炎患者の血清中には70〜80%の割合でHCVの非構造領域のNS4領域(C100−3抗原)を認識する抗HCV抗体が存在するため、C100−3抗原を用いて血清中の抗HCV抗体を検出するHCV抗体検査が知られている(非特許文献1)。また、その改良法としてC100−3抗原、コア抗原及びNS3領域の抗原を組み合わせて検出感度を上げた第二世代の抗体アッセイ系、さらには、NS5領域の抗原も含めた第三世代の抗体アッセイ系が開発され、これらのアッセイ系によるHCV抗体検査が利用されている(非特許文献8)。
また、これらのHCV抗体検査以外にも、血清中のHCVコアタンパク質の量を直接測定するHCVコア抗原検査(非特許文献9)や、PCR法によってHCVのゲノムの有無を確認する核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test:NAT)(非特許文献10)がある。
しかしながら、HCV抗体検査では、過去にHCV感染があった被検者の場合には、C型肝炎が完治している場合であっても陽性と判定されることは避けられず、さらに、抗HCV抗体が血液中で検出されるには感染後1〜3ヶ月の期間を要するため、この時期に検査を行った場合には、HCVが検出されずに陰性と判断されてしまうという問題点がある。
また、HCVコア抗原検査では、標的分子であるコアタンパク質がHCV粒子の内部に存在するため、SDSを使用してエンベロープを壊してコアタンパク質を遊離させる処理が必要となり、SDSの処理時間によっては、コアタンパク質を変性させたり、抗原抗体反応を阻害する物質が遊離したりして、検出感度に影響を与えることがある。
さらに、HCV抗体検査及びHCVコア抗原検査では、HCV陽性であると判断された場合であっても、HCVの遺伝子型までは同定できないのが現状であり、インターフェロン療法を行うには、核酸増幅検査等のさらなる検査を行ってHCVの遺伝子型を同定する必要がある。すなわち、HCVの遺伝子型によってインターフェロンの抗ウイルス作用が大きく異なり、特に、遺伝子型が1a及び1bの場合には、有効な抗ウイルス作用が認められず、逆にインターフェロンの副作用によって患者を苦しめることになるからである。
一方、核酸増幅検査では、被験者の血清中のRNAを標的分子とするため、検査試料の保存性と安定性とに欠け、RT−PCR法を利用する点でもさまざまな課題と注意点がある。例えば、標的分子であるRNAをDNAに転写してPCRを行うため、RNAの分解や逆転写酵素の失活・阻害によって擬陰性となったり、反応系へのクロスコンタミネーションによって擬陽性となったりする。このため、タンパク質を標的分子とするHCV抗体検査やHCVコア抗原検査と比較して、精度の面で劣るとされている。
Chooら、Science、1989年、244巻、p.359〜362 Simmondsら、Hepatology、1994年、10巻、p.1321〜1324 Okamotoら、J. Gen. Virol.、1992年、73巻、p.73〜679 Moriら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、1992年、183巻、p.334〜342 Friedら、N. Engl. J.Med.、2002年、347巻、p.975〜982 Lusidaら、J. Clin. Microbiol.、2001年、39巻、p.3858〜3864 Murakamiら、Hepatology、1999年、30巻、p.1045〜1053 Aucellaら、Blood Purif.、2000年、18巻、p.110〜114 Fabriziら、 J. Clin. Microbiol.、2005年、43巻、p.414〜420 Velatiら、Euro Serveill.、2005年、10巻、p.12〜14
そこで本発明は、HCVの表面にあるエンベロープに結合し、遺伝子型が1a、1b及び2aであるHCVの遺伝子型の同定に利用できる抗体及びこれらの抗体を用いたHCVの遺伝子型の同定方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、遺伝子型が2aのHCVのエンベロープタンパク質2を抗原とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを取得し、その中から、HCVの遺伝子型2aのエンベロープタンパク質2のみに特異的に結合する抗体、HCVの遺伝子型2a及び1bのエンベロープタンパク質2の双方のみに結合する抗体並びにHCVの遺伝子型2a、1b及び1aのエンベロープタンパク質2のいずれにも結合する抗体を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、遺伝子型が2aであるHCVのエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、遺伝子型が1aであるHCVのエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しない抗体を提供する。
上記抗体は、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体であることが好ましく、このような抗体として、受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体を例示できる。
また上記抗体は、遺伝子型が2aであるHCVのエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、遺伝子型が1aであるHCVのエンベロープタンパク質2及び遺伝子型が1bであるHCVのエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しない抗体であることが好ましい。
上記抗体は、配列表の配列番号2又は3記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体であることがより好ましく、このような抗体として、受託番号がFERM BP−11180又はFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体を例示できる。
さらに上記抗体は、J6CF株のエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、JFH1株のエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しない抗体であることが好ましく、このような抗体として、配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体、さらには、受託番号がFERM BP−11183であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体、を例示できる。
また本発明は、受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合し、受託番号がFERM BP−11180及びFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体のいずれにも結合しないHCVの遺伝子型を1bであると同定し、受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合し、受託番号がFERM BP−11180及びFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合するHCVの遺伝子型を2aであると同定し、受託番号がFERM BP−11182であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合し、受託番号がFERM BP−11181、FERM BP−11180及びFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体のいずれにも結合しないHCVの遺伝子型を1aであると同定する、HCVの遺伝子型の同定方法を提供する。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2008-254338号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明によれば、遺伝子型が1a、1b及び2aであるHCVの遺伝子型を簡易かつ精度よく同定することを可能にし、インターフェロン療法に適したC型肝炎患者を効率的に選別できる。特に、インターフェロン療法による治療効果が望めない遺伝子型が1a又は1b型のHCVに感染したC型肝炎患者に対して、副作用を軽減するとともに新たな治療方法を選択する機会を与えることができる。
HCVの前駆タンパク質の模式図である。黒の四角は膜貫通領域を示す。 3×FLAGタンパク質と抗原E2タンパク質の融合タンパク質の模式図である。 抗原E2タンパク質とヒト免疫グロブリンFcドメインとの融合タンパク質の模式図である。 3×FLAGJ6E2dTMタンパク質の精製工程の各画分のSDS−PAGEの結果を示した図である。3XFLAG−J6E2dTMのCOS1細胞での発現と精製が示されている。溶出画分に3×FLAGJ6E2dTMタンパク質が検出された。図中の電気泳動写真の各レーンは以下の通り:1.分子量マーカー、2.培養上清、3.抗FLAG抗体カラムVoid画分、4.抗FLAG抗体カラム溶出画分1、5.抗FLAG抗体カラム溶出画分2、6.抗FLAG抗体カラム溶出画分3、7.抗FLAG抗体カラム溶出画分4、8.分子量マーカー。 J6E2−Fc、JFH1E2−Fc、THE2−Fc、Con1E2−Fc、J1E2−Fc及びH77E2−Fcタンパク質のSDS−PAGEの結果を示した図である。各種E2Fcタンパク質は、還元下では、約97kDaであることを示す。精製された各HCV株由来の抗原E2タンパク質とヒト免疫グロブリンFcドメインとの融合タンパク質が示されている。図中の電気泳動写真の各レーンは以下の通り:1.分子量マーカー、2.J6E2−Fc、3.JFH1E2−Fc、4.THE2−Fc、5.Con1E2−Fc、6.J1E2−Fc、7.H77E2−Fc、8.分子量マーカー。 各モノクローナル抗体の種々の遺伝子型/株のHCVのE2タンパク質への結合性及び抗体サブタイプを示した図である。抗体が抗原E2タンパク質に結合する強度を−から+++で示している。−: OD450nm<0.1、+: 0.1≦OD450nm<0.25、++: 0.25≦OD450nm<0.4、+++: 0.4≦OD450nm。8D10−3は遺伝子型1a、1b及び2aのHCVの抗原E2タンパク質に結合し、1G2−32及び2F2−7は遺伝子型2aの抗原E2タンパク質に結合し、4E8−8は遺伝子型1bと2aの抗原E2タンパク質に結合する抗体であることを示し、M1E12−1はJ6CF株の抗原E2タンパク質に、9A5−4はJ6CF株とH77株の抗原E2タンパク質に結合するモノクローナルであることを示している。 8D10−3モノクローナル抗体(図7A)、1G2−32モノクローナル抗体(図7B)、4E8−8モノクローナル抗体(図7C)、2F2−7モノクローナル抗体(図7D)及びM1E12−1モノクローナル抗体(図7E)のJ6CF株のHCVの抗原E2タンパク質由来のアミノ酸配列を有するペプチドに対する結合強度を示した図である。 モノクローナル抗体1G2−32及び8D10−3を用いたサンドイッチELISAにおける種々の遺伝子型のHCV/HCV株由来の抗原E2タンパク質の検出感度を示した図である。図中、黒丸はJ6E2−Fc、白抜き丸はJFH1E2−Fc、黒四角はTHE2−Fc、白抜き四角はCon1E2−Fc、黒菱形はJ1E2−Fc、白抜き菱形はH77E2−Fcを表す。 モノクローナル抗体8D10−3を用いたウェスタンブロット法における種々の遺伝子型/株のHCVE2タンパク質の検出の有無を示した図である。
以下、本発明を実施するための好ましい実施形態について説明する。
本発明の抗体は、遺伝子型が2aであるHCV(以下、HCV2a)のエンベロープタンパク質2(以下、E2タンパク質)に特異的に結合し、遺伝子型が1aであるHCV(以下、HCV1a)のE2タンパク質には免疫学的に反応しないことを特徴としており、HCV1aのE2タンパク質及び遺伝子型が1bであるHCV(以下、HCV1b)のE2タンパク質の双方に免疫学的に反応しない抗体がより好ましい実施形態である。
上記抗体は、HCVのE2タンパク質の膜貫通領域(膜貫通ドメインとも呼ぶ)を含まない領域からなる抗原タンパク質又は該タンパク質の一部からなるペプチドを抗原として動物に免疫し、E2タンパク質に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製して、HCV2aのE2タンパク質に特異的に結合し、HCV1a遺伝のE2タンパク質には免疫学的に反応しない抗体、さらには、HCV1aのE2タンパク質及びHCV1bのE2タンパク質の双方に免疫学的に反応しない抗体、を産生するハイブリドーマをスクリーニングすれば調製できる。
ここで、E2タンパク質は、HCVの前駆体タンパク質が宿主細胞由来のシグナルペプチダーゼとHCV自身がコードしている2種類のプロテアーゼによって開裂することによって生じる機能的ウイルスタンパク質の1つであり、HCV2aであるJ6CF株を例に挙げると、前駆体タンパク質のN末端に位置するメチオニンを1番目のアミノ酸とした場合に、第384番目〜第750番目に位置するタンパク質(367アミノ酸)である。E2タンパク質の第722番目〜第750番目のアミノ酸の領域は、膜貫通ドメインである(Cocquerelら、J. Virol.、2000年、74巻、p.3623〜3633)。図1は、HCVの前駆体タンパク質の模式図である。
以下に、上記抗体を得るための手法について、順次説明する。
1)抗原となるE2タンパク質由来のタンパク質又はペプチドの選定
上記抗体を得るために動物に免疫する抗原としては、HCV2aのE2タンパク質の膜貫通領域を含まない領域からなるタンパク質(以下、抗原E2タンパク質)又は該タンパク質の一部からなるペプチド(抗原E2ペプチド)を利用できるが、抗原E2ペプチドの場合は、遺伝子型が2a以外のHCVのE2タンパク質に対してホモロジーの低い領域からなることが必要である。
抗原E2タンパク質としては、HCV2aの前駆体タンパク質(例えば配列番号5)の第384番目〜第720番目のアミノ酸からなるタンパク質を選定すればよいが、前駆体タンパク質の第530番目〜第562番目のアミノ酸からなるアミノ酸配列を含むタンパク質を選定することが好ましく、前駆体タンパク質の第465番目〜第484番目のアミノ酸からなるアミノ酸配列、第559番目のアミノ酸〜第584番目のアミノ酸からなるアミノ酸配列及び第683番目〜第719番目のアミノ酸からなるアミノ酸配列、からなる群からなる1以上のアミノ酸配列を含むタンパク質を選定することがより好ましい。
また、抗原E2ペプチドとしては、HCV2aの前駆体タンパク質(例えば配列番号5)の第530番目〜第562番目のアミノ酸(より好ましくは、第531番目〜第549番目のアミノ酸、さらに好ましくは、第531番目〜第540番目のアミノ酸)を含み、ペプチドの長さが10〜19アミノ酸(より好ましくは、10アミノ酸)であるペプチドを選定すればよいが、前駆体タンパク質の第465番目〜第484番目のアミノ酸(より好ましくは、第465番目〜第477番目のアミノ酸、さらに好ましくは第468番目〜第477番目のアミノ酸)を含み、ペプチドの長さが10〜13アミノ酸(より好ましくは、10アミノ酸)であるペプチド、前駆体タンパク質の第559番目〜第584番目のアミノ酸(より好ましくは、第564番目〜第576番目のアミノ酸、さらに好ましくは、第567番目〜第576番目のアミノ酸)を含み、ペプチドの長さが10〜13アミノ酸(より好ましくは、10アミノ酸)であるペプチド、又は、前駆体タンパク質の第683番目〜第719番目のアミノ酸(好ましくは、第704番目〜第719番目のアミノ酸、より好ましくは、第709番目〜第719番目のアミノ酸)を含み、ペプチドの長さが10〜19アミノ酸(より好ましくは、10アミノ酸)であるペプチド、を選定することがより好ましい。
なお、HCV2aのゲノムの塩基配列は、既にいくつものウイルス株で明らかとなっており(Yanagiら、Virology,1999年、262巻、p.250〜263)、GenBankから入手可能である。例えば、HCV2aであるJFH1株のゲノムの塩基配列を開示するGenBank アクセッション番号は、AB047639であり、J6CF株のゲノムの塩基配列を開示するGenBank アクセッション番号は、AF177036である。
2)抗原E2ペプチドの調製
上記のように選定された抗原E2ペプチドは、HCV2aの前駆体タンパク質をアミノ酸配列情報に基づいて、直接、化学合成することができ、例えば、ペプチド合成機を使用すれば、動物への免疫に使用可能な抗原を容易に大量調製できる。
3)抗原E2タンパク質の調製
上記のように選定された抗原E2タンパク質は、HCV2aの前駆体タンパク質をコードする領域の塩基配列情報に基づいて、抗原E2タンパク質をコードするDNA断片を合成し、得られたDNA断片から抗原E2タンパク質を細胞で翻訳させれば、動物への免疫に使用可能な抗原を大量に調製できる。以下、具体的に説明する。
抗原E2タンパク質は、抗原E2タンパク質をコードするDNA断片が組み込まれた発現ベクターを構築し、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母、大腸菌等に形質導入することによって、各細胞で生産させることができるが、哺乳動物細胞で分泌発現させることが好ましい。この場合、抗原E2ペプチドをコードするDNA断片を、シグナルペプチド配列の下流にコドンのフレームが合うように連結し、その3’末端に停止コドンを付加して発現ベクターに挿入すればよい。
抗原E2タンパク質を分泌発現させる哺乳動物細胞としては、例えば、COS−1、COS−7、Vero、CV−1、CHO(以下、CHO、dhfr遺伝子欠損CHO、ハムスター細胞BHK、ラットGH3、ラット褐色腫由来細胞PC12、マウスL細胞、マウスC127細胞、マウスミエローマ細胞SP2/0、NSO、NS−1、マウスリンパ腫細胞EL4、マウス線維芽細胞NIH3T3、10T1/2、マウス筋芽細胞C2C12、マウスストローマ細胞PA6、ST2、OP9、Tst−4、ヒト巨核芽球細胞CMK、ヒトT細胞Jurkat、ヒト腎上皮細胞293、ヒト肝臓ガン細胞Huh7、HepG2、IMY−N9、ヒト骨肉腫細胞MG−63、ヒトFL細胞、白色脂肪細胞、卵細胞、ES細胞を挙げることができる。
細胞で抗原E2タンパク質を組換え発現させるためにプロモーターの制御下に当該タンパク質をコードするDNAを挿入して用いることができる。哺乳動物細胞で抗原E2タンパク質を組換え発現させるために使用可能なプロモーターとしては、例えば、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、アクチンプロモーター、EF−1α(elongation factor−1α)プロモーター、ユビキチンプロモーター、PGK(ホスフォグリセリン酸キナーゼ)プロモーターを挙げることができる。
抗原E2タンパク質を哺乳動物細胞で分泌発現させるための発現ベクターとしては、例えば、pSecTag/FRT/V5−His(インビトロジェン社)、p3×FLAG−CMV−9(シグマ社)、p3×FLAG−CMV13(シグマ社)、pFUSE−Fc2(インビボジェン社)及びpTriEx−7(ノバジェン社)を挙げることができる。発現ベクターに組み込まれているシグナルペプチド配列としては、プレプロトリプシンのシグナルペプチドが好ましく、プレプロトリプシンのシグナルペプチド配列を有するベクターとしては、p3×FLAG−CMV−9(シグマ社)、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)を例示できる。なお、シグナルペプチドを含むタンパク質が哺乳動物細胞で発現されるとシグナルペプチドは除去されるため、抗原E2タンパク質を使用する際にシグナルペプチドが問題となることはない。
抗原E2タンパク質を哺乳動物細胞で分泌発現させる際には、目的とする抗原E2タンパク質を標識タンパク質(例えば、Tag)との融合タンパク質として発現させ、標識タンパク質に対する抗体や特異的に結合する分子を利用して、抗原E2タンパク質の検出や精製を行うことができる。標識タンパク質としては、FLAGペプチド、3×FLAGペプチド、HAペプチド、3×HAペプチド、mycペプチド、6×Hisペプチド、GSTポリペプチド、MBPポリペプチド、PDZドメインポリペプチド、アルカリフォスファターゼ、免疫グロブリンFcドメイン、アビジン等を挙げられる。抗原E2タンパク質の調製に使用する標識タンパク質としては、FLAGペプチド、HAペプチド及び免疫グロブリンFcドメインが適しており、免疫グロブリンFcドメインがより適している。
図2は、抗原E2タンパク質と3×FLAGタンパク質との融合タンパク質の模式図であり、図3は、抗原E2タンパク質と免疫グロブリンFcドメインとの融合タンパク質の模式図である。
免疫グロブリンFcドメインは、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ニワトリ由来のものが使用でき、ヒト由来のものが好適である。なお、免疫グロブリンFcドメインを構成する免疫グロブリンの重鎖のクラスは、IgM、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4の何れであっても良い。
ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列は、Edelmanらにより報告されている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1969年、63巻、p.78〜85)。また、ヒト免疫グロブリンの重鎖のcDNAの塩基配列情報は、GenBankより入手可能であり(重鎖のアクセッション番号:BX640627等)、入手した塩基配列に基づいてPCRプライマーを設計し、ヒト脾臓細胞のcDNAライブラリーやヒトゲノミックDNAを鋳型にPCRを行えば、免疫グロブリンFcドメインのcDNAをクローニングできる。
HCVのE2タンパク質と免疫グロブリンFcドメインとの連結部位は直接連結することができるが、リンカーとなるペプチドを挿入して連結してもよい。リンカーとなるペプチドとしては、Ser−Gly、Asp−Pro、Asp−Pro−Glu、Gly−Asp−Pro−Glu、Gly−Gly−Gly−Ser及び(Gly−Gly−Gly−Ser)×3等が挙げられる。
なお、昆虫細胞に抗原E2タンパク質を分泌発現させる場合には、例えば、Sf21、Sf9、High FiveTM等の昆虫細胞に、ポリヘドリン(多角体)プロモーター、p10プロモーター等を使用した発現ベクターを用いて形質導入して、抗原E2タンパク質又は抗原E2タンパク質と標識タンパク質の融合タンパク質を発現させればよい。
また、酵母に抗原E2タンパク質を分泌発現させる場合には、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)に、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショック蛋白質蛋白質プロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、AOX1プロモーター等を使用した発現ベクターを用いて形質導入して、抗原E2タンパク質又は抗原E2タンパク質と標識タンパク質の融合タンパク質を発現させればよい。
大腸菌に抗原E2タンパク質を分泌発現させる場合には、例えば、XL1−Blue株、BL−21株、JM107株、TB1株、JM109株、C600株、HB101株等の大腸菌株に、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、T7プロモーター、tacプロモーター等を使用した発現ベクターを用いて形質転換して、抗原E2タンパク質又は抗原E2タンパク質と標識タンパク質の融合タンパク質を発現させればよい。
哺乳動物細胞及び昆虫細胞に抗原E2タンパク質を分泌発現させるための発現ベクターを形質導入する方法としては、リポフェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、DEAE−デキストラン法、マイクロインジェクション法等が挙げられる。より具体的には、Molecular Cloning 3rd. Ed.の16.1−16.62(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、2001年)に記載の方法に従って行なうことができる。
大腸菌への発現ベクターの導入方法は、大腸菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法(Cohenら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1972年、69巻、p.2110〜2114)、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母への発現ベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法(Beckerら、Methods. Enzymol.、1990年、194巻、p.182〜187)、スフェロプラスト法(Hinnenら、Proc. Natl. Acad. Sci., USA、1978年、75巻、p.1929〜1933)、酢酸リチウム法(Itohら、J. Bacteriol.、1983年、153巻、p.163〜168)等が挙げられる。
形質導入された細胞の培養はそれ自体公知の方法で行えばよいが、哺乳動物細胞を培養する培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清(FBS)を含むMEM培地、DMEM培地、RPMI 1640培地、199培地(Proceeding of the Society for the Biological Medicine、1950年、73巻、p.1)等が用いられ、pHは約6〜8であるのが好ましい。無血清培地としては、CD−CHO、293 SFM−II、Hybridoma−SFM(いずれもインビトロジェン社)を使用でき、必要に応じて血清やサプリメントを添加してもよい。細胞の培養は、30〜40℃で15〜60時間行えばよく、必要に応じて通気や撹拌をすることが好ましい。
細胞培養が終了した後は、培養液を遠心分離等により細胞を除去し、得られた培養上清から抗原E2タンパク質又は抗原E2タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質を精製することができる。抗原E2タンパク質又は抗原E2タンパク質と標識タンパク質の融合タンパク質の精製は、当業者に公知のタンパク質分離精製手法に従って行えばよく、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を組み合わせることによって単離精製できる。
例えば、培養液中の抗原E2タンパク質は、ヘパリンカラム、レクチンカラムを使用すれば容易に精製できるが、3×FLAGペプチドとの融合タンパク質の場合は、抗FLAG抗体カラムを、6×Hisペプチドとの融合タンパク質の場合は、ニッケルカラム、亜鉛カラム、コバルトカラムを、免疫グロブリンFcドメインとの融合タンパク質の場合は、プロテインAカラム、プロテインGカラムが、HAペプチドを持つキメラタンパク質は、抗HA抗体カラムを使用すればより効率的に精製できる。
精製された抗原E2タンパク質又は抗原E2タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質は、SDS−PAGEで分画後にクマシーブリリアントブルー染色又は銀染色で検出できるが、融合タンパク質の場合は融合させた標識タンパク質に対する抗体を用いて、ウェスタンブロット法で検出することもできる。
4)抗原E2ペプチド又は抗原E2タンパク質を用いた免疫
HCV2aのE2タンパク質に特異的に結合し、HCV1aのE2タンパク質には免疫学的に反応しない抗体、より好ましくは、HCV1aのE2タンパク質及びHCV1bのE2タンパク質の双方に免疫学的に反応しない抗体を得るには、上記の抗原E2ペプチド又は抗原E2タンパク質を用いて動物を免疫して、ポリクローナル抗体を取得したり、目的とするモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングする必要がある。
免疫する動物としては、ハイブリドーマ細胞を作製することが可能な脾細胞を有する非ヒト動物であればよく、例えば、マウス、ラット、ハムスター、ラビット、ニワトリが挙げられるが、マウスがより好ましく使用できる。
免疫の方法としては、例えば、4〜10週令のマウスの皮下又は腹腔内に、アジュバントとともに上記の抗原E2ペプチド又は抗原E2タンパク質を数回投与し、血中抗体価の上昇が確認された後に抗原E2ペプチド又は抗原E2タンパク質のみを静脈内又は腹腔内に投与することによりブーストし、3〜10日目(好適には4日目)に、血液又は脾臓細胞を採取すればよい。この場合、採取した血液から得られる血清は、抗体価を測定し、目的とする抗原を特異的に認識するものであればポリクローナル抗体として利用できる。
アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムゲルと百日咳菌ワクチンの混合物、Titer Max Gold(Vaxel社)又はGERBUアジュバント(GERBU Biotechnik社)等を例示できる。
血中抗体価の測定は、免疫した動物の眼底静脈叢又は尾静脈より採血し、得られた血液中に抗原E2ペプチド又は抗原E2タンパク質に反応する抗体が有無を酵素免疫測定法(EIA)で調べればよい。
5)ハイブリドーマ細胞の作製
血中抗体価の上昇が確認され、ブーストを行った後3〜10日目に採取した免疫動物の脾臓細胞を骨髄腫細胞と細胞融合させれば、自律増殖能を持ったハイブリドーマ細胞を作製することができ、目的の特異性をもった抗体を産生するハイブリドーマ細胞をスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体を大量に調製することができる。
細胞融合に使用する骨髄腫細胞としては、例えば、マウス由来の株化細胞であるP3−X63Ag8−U1(P3−U1)、SP2/0−Ag14(SP2/0)、P3−X63−Ag8653(653)、P3−X63−Ag8(X63)、P3/NS1/1−Ag4−1(NS1)等を使用でき、これらの細胞株は、理化学研究所バイオリソースセンター、ATCC(American Type Culture Collection)又はECACC(European Collection of Cell Cultures)から入手可能である。
脾細胞と骨髄腫細胞との細胞融合は、両細胞を洗浄した後、骨髄腫細胞1に対し脾細胞を1〜10の割合で混合し、融合促進剤として、平均分子量1000〜6000のポリエチレングリコール又はポリビニールアルコールを加えたり、電気刺激(例えば、エレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて行えばよい。
細胞融合のための処理が完了した後は、融合細胞を培地に懸濁して洗浄し、限界希釈法又はメチルセルロース培地中でのコロニー形成法によってクローニングを行うこととなる。ここで、限界希釈法としては、例えば、10〜10細胞/mLとなるよう希釈後、96ウェルの細胞培養用マイクロプレートに10〜10細胞/ウェルとなるように播種して培養する方法が例示できる。
ハイブリドーマ細胞のクローニングを行う際の培養培地には、目的とする融合細胞のみを選択的に得られるように、HATサプリメントを添加することが好ましい。より詳細には、Antibodies:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory、1988年)やSelected Methods in Cellular Immunology(W.H.Freeman and Company、1980年)に記載された方法に従って、目的とするハイブリドーマ細胞を取得し、クローニングすればよい。
6)ハイブリドーマ細胞のスクリーニング
目的とするハイブリドーマ細胞のスクリーニングは、例えば、以下に記載するEIA法により行うことができる。
具体的には、まず、抗原E2ペプチド又は抗原E2タンパク質を担体に固定(固相化)し、クローニングした各ハイブリドーマ細胞が産生する抗体を加え、抗体/抗原複合体を形成するのに十分な時間、4〜37℃の条件で反応させる。
次に、酵素、色素又はラジオアイソトープ等で標識され、形成された抗体/抗原複合体の抗体部分に特異的に結合可能な二次抗体を、形成された抗体/抗原複合体に接触させ、抗体/抗原/二次抗体複合体を形成するのに十分な時間、4〜37℃の条件で反応させる。
最後に、二次抗体に標識されている酵素、色素又はラジオアイソトープのシグナルを指標に、形成された抗体/抗原/二次抗体複合体の有無を検出し、目的とする特性を有する抗体であるか否かを判断することとなる。
7)モノクローナル抗体の調製
上記の方法により選択されたハイブリドーマ細胞を無血清培地、例えば、Hybridoma−SFM(インビトロジェン社)に馴化させ、無血清培地にて培養した上清からモノクローナル抗体を調製できる。培養には、フラスコ、シャーレ、スピナーカルチャーボトル、ローラーボトルあるいは高密度培養フラスコCELLine(ベクトンデッキンソン社)を使用することができる。
また、大量にモノクローナル抗体を調製する場合には、例えば、6〜8週令のヌードマウス又はSCIDマウスの腹腔内に、0.5mLのプリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)を投与し、2週間飼育した後に5×10〜2×10細胞/匹のハイブリドーマ細胞を腹腔内に投与し、10〜21日間飼育することによって得られる腹水からモノクローナル抗体を調製できる。
回収した腹水からは、遠心分離することによって細胞やその破砕物が除去され、40〜50%飽和硫酸アンモニウムによる塩析、カプリル酸沈殿法、DEAE−セファロースカラム、プロテインA−カラム、プロテインG−カラム、HiTrap IgM Purification HP−カラム(GEヘルスケア社)、mannan binding protein−カラム(ピアス社)及びゲル濾過カラム等の精製手段を単独又は組み合わせることによって、IgG又はIgM画分が回収され、精製モノクローナル抗体として利用できる。
8)モノクローナル抗体のエピトープ解析
モノクローナル抗体の線形エピトープを解析するには抗原E2タンパク質中の8〜12個の連続するアミノ酸を1から数アミノ酸ずつずらして設計したアミノ酸配列からなるペプチドを合成し、これを抗原として、モノクローナル抗体がどのペプチドに結合するかを調べ、抗体のエピトープを決定することができる。
具体的には、合成したペプチドをプレートに固相化し、精製抗体と反応させる。標識した二次抗体を加えて静置し、その結合能を酵素免疫測定法(ELISA)、放射線免疫測定法(RIA)によって測定する。
なお、本方法により、エピトープが決定できない場合もあるが、このような場合は、モノクローナル抗体のエピトープはコンフォメーションエピトープであり、その抗体は抗原の立体構造を認識する可能性が考えられる。
HCV2aのE2タンパク質に特異的に結合し、HCV1aのE2タンパク質には免疫学的に反応しないことを特徴とする抗体としては、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体を例示でき、その具体的な抗体として、受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体を例示できる。
また、HCV2aのE2タンパク質に特異的に結合し、HCV1aのE2タンパク質及びHCV1bのE2タンパク質の双方に免疫学的に反応しない抗体としては、配列表の配列番号2又は3記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体を例示でき、その具体的な抗体として、受託番号がFERM BP−11180又はFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体を例示できる。
さらに、HCV2aのJ6CF株のエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、JFH1株のエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しない抗体としては、配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する抗体を例示でき、その具体的な抗体として、受託番号がFERM BP−11183であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体を例示できる。この抗体は、遺伝子型が2aのHCVの中から、J6CF株を識別することができるため、J6CF株の同定に利用できる。
なお、受託番号がFERM BP−11181、FERM BP−11180、FERM BP−11179、FERM BP−11183及びFERM BP−11182である上記ハイブリドーマ細胞株は、国際寄託当局である独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(郵便番号305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されており(寄託日:2008年9月19日)、入手可能である。これらの細胞株は、それぞれ、受託番号FERM P−21677(受領番号FERM AP−21677)、FERM P−21676(受領番号FERM AP−21676)、FERM P−21675(受領番号FERM AP−21675)、FERM P−21679(受領番号FERM AP−21679)、FERM P−21678(受領番号FERM AP−21678)として同寄託機関に国内寄託されていた原寄託(原受託についての受領日:2008年9月19日)がブダペスト条約に基づく国際寄託に移管されたものである。
また本発明のHCVの遺伝子型の同定方法は、受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合し、受託番号がFERM BP−11180及びFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体のいずれにも結合しないHCVの遺伝子型を1bであると同定し、受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合し、受託番号がFERM BP−11180及びFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合するHCVの遺伝子型を2aであると同定し、受託番号がFERM BP−11182であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に結合し、受託番号がFERM BP−11181、FERM BP−11180及びFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体のいずれにも結合しないHCVの遺伝子型を1aであると同定することを特徴としている。
受託番号がFERM BP−11181、FERM BP−11180、FERM BP−11179又はFERM BP−11182であるハイブリドーマ細胞株により生産される抗体に、遺伝子型が不明であるHCVが結合するか否かは、抗原抗体反応の有無を検出できるアッセイ系であれば特に限定はなく利用できるが、例えば、以下に記載するイムノアッセイやウェスタンブロット法を例示できる。
(イムノアッセイ)
まず、結合の有無を調べる上記抗体を一次抗体として固相化した担体又はプレートに、遺伝子型が不明であるHCVを含む試験サンプルを接触させ、抗体/抗原複合体を形成するのに十分な時間、4〜37℃の条件で反応させる。
次に、酵素、色素又はラジオアイソトープ等で標識された、HCVに対して遺伝子型非特異的に結合する二次抗体を、抗体/抗原複合体に接触させ、抗体/抗原/2次抗体複合体を形成するのに十分な時間、4〜37℃の条件で反応させる。
最後に、2次抗体に標識されている酵素、色素又はラジオアイソトープのシグナルを指標に、形成された抗体/抗原/2次抗体複合体の有無を検出し、上記抗体との結合の有無を判断すればよい。
(ウェスタンブロット法)
まず、遺伝子型が不明であるHCVを含む試験サンプルをニトロセルロース膜又はPVDF膜等のメンブレンにスポットし、試験サンプルに含まれるタンパク質を固相化する。
次に、5%スキムミルク、1%BSA溶液又は市販のブロッキング剤にメンブレンを浸してブロッキングし、十分に緩衝液で洗浄した後に、酵素、色素又はラジオアイソトープ等で標識された結合の有無を調べる上記抗体を含む緩衝液にメンブレンを移し、抗体/抗原複合体を形成するのに十分な時間、4〜37℃の条件で反応させる。
その後、メンブレンを十分に洗浄し、結合の有無を調べる上記抗体に標識された酵素、色素又はラジオアイソトープのシグナルを検出し、上記抗体との結合の有無を判断すればよい。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
(実施例1)各HCV株の抗原E2タンパク質に標識タンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの作製
(1)HCV2aのJ6CF株由来の抗原E2タンパク質に3×FLAGタグを付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
HCV2aのJ6CF株由来の抗原E2タンパク質、すなわち、HCV2aのJ6CF株のE2タンパク質の膜貫通領域を含まない領域からなるタンパク質、は以下に示すようにして調製した。
まず、HCV2aのJ6CF株のゲノムRNAのcDNA(GenBankアクセッション番号:AF177036)を鋳型として、J6CF株の前駆体タンパク質(配列番号5)のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第720番目に相当する領域からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、J6E2dTM−s(配列番号6:CACAAGCTTCGCACCCATACTGTTGGGG)及びJ6E2dTM−as(配列番号7:GCTCTAGATTACCATCGGACGATGTATTTTGT)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとBamHIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−9(シグマ社)のHindIIIとBamHI部位間に読み枠が合うように挿入し、3×FLAGタグが付加された抗原E2タンパク質(以下、3×FLAG−J6E2dTMタンパク質)を発現するベクターをCMV−3XFLAGJ6E2dTMを得た。
(2)HCV2aのJ6CF株由来の抗原E2タンパク質にヒトIgGのFcタンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
まず、HCV2aのJ6CF株のゲノムRNAのcDNA(GenBankアクセッション番号:AF177036)を鋳型として、J6CF株の前駆体タンパク質(配列番号5)のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第720番目に相当する領域からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、J6E2Fc−s(配列番号8:CACAAGCTTCGCACCCATACTGTTGGGG)及びJ6E2Fc−as(配列番号9:ACAGGATCCCATCGGACGATGTATTTTGTG)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとBamHIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)のシグナルペプチド配列の下流のHindIII部位とBamHI部位間に読み枠(読みとりフレーム)が合うように(すなわちイン・フレームで)挿入し、このベクターをCMV−13−J6E2と名付けた。
引き続き、CMV−13−J6E2をSacIとBamHIで消化し、シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするDNA断片をそれぞれアガロースゲル電気泳動で分離し、GeneElute(シグマ社)で精製した。
その後、マウスIL−7受容体−ヒト免疫グロブリンFcドメインからなるキメラタンパク質を発現するベクターCDM−mIL7R−Ig(Sudoら、Proc Natl. Acad Sci USA、1993年、90巻、p.9125〜9129)のSacI部位とBamHI部位間に、上記シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするそれぞれのDNA断片を読み枠が合うように挿入して、ヒト免疫グロブリンのFcドメインが付加された抗原E2タンパク質(以下、J6E2−Fcタンパク質)を発現するベクターCDM−J6E2Fcを得た。
(3)HCV2aのJFH1株由来の抗原E2タンパク質にヒトIgGのFcタンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
まず、HCV2aのJFH1株のゲノムRNAのcDNA(GenBankアクセッション番号:AB047639)を鋳型として、JFH1株の前駆体タンパク質のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第721番目に相当する領域からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、JFE2Fc−s(配列番号10:CACAAGCTTGGCACCACCACCGTTGGAG)及びJFE2Fc−as(配列番号11:ACAGGATCCTCCCATCGAACGACGTATTTTGTG)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとBamHIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)のシグナルペプチド配列の下流のHindIII部位とBamHI部位間に読み枠が合うよう挿入した。このベクターをCMV−13−JFH1E2と名付けた。
引き続き、CMV−13−JFH1E2をSacIとBamHIで消化し、シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするDNA断片をそれぞれアガロースゲル電気泳動で分離し、GeneElute(シグマ社)で精製した。
その後、CDM−mIL7R−IgのSacI部位とBamHI部位間に、上記シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするそれぞれのDNA断片を読み枠が合うように挿入して、ヒト免疫グロブリンのFcドメインが付加された抗原E2タンパク質(以下、JFH1E2−Fcタンパク質)を発現するベクターCDM−JFH1E2Fcを得た。
(4)HCV1bのTH株由来の抗原E2タンパク質にヒトIgGのFcタンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
まず、HCV1bのTH株のゲノムRNAのcDNA(国際公開WO2006/022422)を鋳型として、TH株の前駆体タンパク質のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第717番目に相当する領域からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、THE2Fc−s(配列番号12:CAAAGCTTGCGACCTACGTGACGGGGGGGTCG)及びTHE2Fc−as(配列番号13:CCTCTAGATTATGGATCCCATTTGATTGCATAGGAGACAACCG)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとBamHIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)のシグナルペプチド配列の下流のHindIII部位とBamHI部位間に読み枠が合うよう挿入した。このベクターをCMV−13−THE2と名付けた。
引き続き、CMV−13−THE2をSacIとBamHIで消化し、シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするDNA断片をそれぞれアガロースゲル電気泳動で分離し、GeneElute(シグマ社)で精製した。
その後、CDM−mIL7R−IgのSacI部位とBamHI部位間に、上記シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするそれぞれのDNA断片を読み枠が合うよう挿入して、ヒト免疫グロブリンのFcドメインが付加された抗原E2タンパク質(以下、THE2−Fcタンパク質)を発現するベクターCDM−THE2Fcを得た。
(5)HCV1bのCon1株由来の抗原E2タンパク質にヒトIgGのFcタンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
まず、HCV1bのCon1株のゲノムRNAのcDNA(GenBankアクセッション番号:AJ238799)を鋳型として、Con1株の前駆体タンパク質のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第716番目に相当する領域化からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、Con1E2Fc−s(配列番号14:CAAAGCTTGGAACCTATGTGACAGGGGGGACGAT)及びCon1E2Fc−as(配列番号15:CCTCTAGATTATGGATCCCATTTGATTGCAAAGGAGACAAC)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとBamHIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)のシグナルペプチド配列の下流のHindIII部位とBamHI部位間に読み枠が合うよう挿入し、このベクターをCMV−13−Con1E2と名付けた。
引き続き、CMV−13−Con1E2をSacIとBamHIで消化し、シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするDNA断片をそれぞれアガロースゲル電気泳動で分離し、GeneElute(シグマ社)で精製した。
その後、CDM−mIL7R−IgのSacI部位とBamHI部位間に、上記シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするそれぞれのDNA断片を読み枠が合うよう挿入して、ヒト免疫グロブリンのFcドメインが付加された抗原E2タンパク質(以下、Con1E2−Fcタンパク質)を発現するベクターCDM−Con1E2Fcを得た。
(6)HCV1bのJ1株由来の抗原E2タンパク質にヒトIgGのFcタンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
まず、HCV1bのJ1株由来のゲノムRNAのcDNA(GenBankアクセッション番号:D89815)を鋳型として、J1株の前駆体タンパク質のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第716番目に相当する領域からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、J1E2Fc−s(配列番号16:CAAAGCTTCATACCCGCGTGACGGGGGGGGTGC)及びJ1E2Fc−as(配列番号17:CCTCTAGATTATGGATCCCACTTGATGGCAATGGAGACGACC)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとBamHIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)のシグナルペプチド配列の下流のHindIII部位とBamHI部位間に読み枠が合うよう挿入し、このベクターをCMV−13−J1E2と名付けた。
引き続き、CMV−13−J1E2をTth111Iで消化し、T4 DNAポリメラーゼにて平滑末端とした後にBamHIで消化し、シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするDNA断片をそれぞれアガロースゲル電気泳動で分離し、GeneElute(シグマ社)で精製した。
その後、CDM−mILR7R−IgをBamHIとXbaIで消化して、ヒト免疫グロブリンFcドメインをコードする配列を含むDNA断片を切り出し、pcDL−SRα296(Takebeら、Proc Natil Acad Sci. USA、1987年、84巻、p.7388〜7392)のプロモーター領域の下流に挿入し、SRαIgG1Fcを作製した。さらに、SRαIgG1FcのEcoRV部位とBamHI部位間に、上記シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするそれぞれのDNA断片を読み枠が合うよう挿入し、ヒト免疫グロブリンのFcドメインが付加された抗原E2タンパク質(以下、J1E2−Fcタンパク質)を発現するベクターSRα−J1E2Fcを得た。
(7)HCV1aのH77株由来の抗原E2タンパク質にヒトIgGのFcタンパク質を付加した融合タンパク質を発現させるためのベクターの構築
まず、HCV1aのH77株のゲノムRNAのcDNA(GenBankアクセッション番号:AF011751)を鋳型として、H77株の前駆体タンパク質のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合における第384番目〜第716番目に相当する領域からなるタンパク質をコードする遺伝子を、Advantage GC2 PCRキット(タカラバイオ社)で、H77E2Fc−s(配列番号18:CAAAGCTTGAAACCCACGTCACCGGGGGAAA)及びH77E2Fc−as(配列番号19:CCTCTAGATTATGGATCCCACTTAATGGCCCAGGACGCGAT)をプライマーに用いてPCR法で増幅した。
次に、増幅したDNA断片をpCR−TOPO(インビトロジェン社)中にクローニングし、3つのクローンについて塩基配列の解析を行った。正しい塩基配列のインサートを有するクローンから、抗原E2タンパク質をコードする遺伝子断片をHindIIIとXbaIで消化して切り出し、p3×FLAG−CMV−13(シグマ社)のSacI部位をXhoI部位に変換したベクター、p3xFLAG−CMV−13Xhoのシグナルペプチド配列の下流のHindIII部位とXbaI部位間に読み枠が合うよう挿入し、このベクターをCMV−13−XhoH77E2と名付けた。
引き続き、CMV−13−XhoH77E2をXhoIとBamHIで消化し、シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離し、GeneElute(シグマ社)で精製した。
その後、上記5)で作製したSRα−IgG1FcのXhoI部位とBamHI部位間に、上記シグナルペプチド配列と抗原E2タンパク質とをコードするそれぞれのDNA断片を読み枠が合うよう挿入して、ヒト免疫グロブリンのFcドメインが付加された抗原E2タンパク質(以下、H77E2−Fcタンパク質)を発現するベクターSRα−H77E2Fcを得た。
(実施例2)抗原E2タンパク質に標識タンパク質を付加した融合タンパク質の発現
実施例1で作製したCMV−3XFLAGJ6E2dTM、CDM−J6E2Fc、CDM−JFH1E2Fc、CDM−THE2Fc、CDM−Con1E2Fc、SRα−J1E2Fc及びSRα−H77E2Fcを、以下のようにしてサル腎臓由来COS1細胞に導入して各融合タンパク質を発現させた。
まず、10%ウシ胎児血清(インビトロジェン社)、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを含有するRPMI1640培地(インビトロジェン社)でCOS1細胞を継代培養し、遺伝子導入の前日に、2倍のスプリットレシオで、150cm培養フラスコ(コーニングコースター社)に播き、37℃、5%COインキュベーターで一晩培養した。
その後、RPMI1640培地に終濃度がそれぞれ400μg/ml、100μMとなるようにDEAEデキストラン(GEヘルスケア社)とクロロキン(シグマ社)とを加え、13ml当たり0.1μg/μlの濃度で上記発現ベクター(CMV−3×FLAGJ6E2dTM、CDM−J6E2Fc、CDM−JFH1E2Fc、CDM−THE2Fc、CDM−Con1E2Fc、SRα−J1E2Fc又はSRα−H77E2Fc)を50μg加えて3〜4日間培養した。
その後、培養したCOS1細胞の上清を吸引除去し、10mlのPBS(−)(ニッスイ製薬社)を添加し、再度、PBS(−)を吸引除去することにより細胞を洗浄し、引き続き、DEAEデキストラン−DNA混合液を13ml/150cmフラスコで加えて、37℃、5%CO存在下で静置した。
4時間後、DEAEデキストラン−DNA混合液を吸引除去し、10mlのPBSで1回洗浄し、Hybridoma−SFM培地(インビトロジェン社)を50ml/フラスコにて加え、37℃、5%CO存在下で4日間培養した。その後、培養上清を50mlの遠心管(コーニングコースター社)に回収し、2500rpm、30分、4℃で遠心分離し、その上清を0.2μmの濾過フィルター(ワットマン社)で濾過した。
(実施例3)抗原E2タンパク質に標識タンパク質を付加した融合タンパク質の精製
CMV−3×FLAG−J6E2dTMを導入した細胞の培養上清は、抗FLAG M2アガロース(シグマ社)を用いて以下のように精製した。
まず、500mlの培養上清に対し、1mlの抗FLAG M2アガロースを添加し、スピナーボトルで撹拌しながら、4℃で2時間反応させた。2時間後、上清と抗FLAG M2アガロースの混合液をエコノカラム(バイオラド社)に移し、Void画分を除去し、抗FLAG M2アガロースを回収した。
次に、抗FLAG M2アガロースを10mlのTBS(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、0.1M Glycine−HCl(pH3.5)で1ml/画分となるように6画分(抗FLAG抗体カラム溶出画分1〜6)を溶出した。溶出後、直ちに1M Tris−HCl(pH9.5)を添加し、中性に戻した。各画分の20μl分を還元下にてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分画し、クマシーブリリアントブルーにて染色した。その結果、J6CF株由来の抗原E2タンパク質と3×FLAGタグの融合タンパク質(3×FLAG−J6E2dTMタンパク質)が精製されていることが確認された(図4)。
CDM−J6E2Fc、CDM−JFH1E2Fc、CDM−THE2Fc、CDM−Con1E2Fc、SRα−J1E2Fc又はSRα−H77E2Fcを導入したそれぞれの細胞の培養上清については、Protein−Aを結合させた担体であるProsep−A(ミリポア社)を用いて以下のように精製した。
まず、1mlのProsep−Aをエコノカラムに充填し、500mlの培養上清を流速1〜1.5mL/minで通過させた後、20mlのPBS(−)で洗浄した。
次に、0.1M Glycine−HCl(pH3.0)で1ml/画分となるように5画分溶出した。溶出後、直ちに1M Tris−HCl(pH9.5)を添加し、中性に戻した。各画分の20μl分を還元下にてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分画し、クマシーブリリアントブルーにて染色した。その結果、各HCV株由来の抗原E2タンパク質とヒト免疫グロブリンFcドメインとの融合タンパク質が精製され、還元下の分子量は、約97kDaであることが示された(図5)。
(実施例4)HCV2aのJ6CF株の抗原E2タンパク質のマウスへの免疫
10μgの3×FLAG−J6E2dTMタンパク質を含む0.3mlのPBS溶液と0.3mlのフロイントの完全アジュバントを混合し、エマルジョンを調製した。そのエマルジョンの半量を7週齢のBalb/cマウス(雌)の皮下に接種した。
2週間後、10μgの3×FLAG−J6E2dTMタンパク質を含む0.3mlのPBS溶液と0.3mlのフロイントの不完全アジュバントを混合し、エマルジョンを調製した。そのエマルジョンの半量をマウスの皮下に投与した。さらに2週間後、10μgの3×FLAG−J6E2dTMタンパク質を含む0.15mlのPBS溶液をマウスの腹腔内に投与した。3日後にマウスから脾臓細胞を調製した。
また別の実験として、20μgのJ6E2−Fcタンパク質を含む0.3mlのPBS溶液と0.3mLのAlum (ピアース社)とを混合し、投与液を調製した。そのエマルジョンの全量を7週齢のBalb/cマウス(雌)の腹腔に接種した。
2、4、6週間後、同様に20μgのJ6E2−Fcタンパク質を含む0.3mlのPBS溶液と0.3mLのAlumとを混合し投与液を調製し、そのエマルジョンの全量をマウスの腹腔に投与した。さらに2ヶ月後、20μgのJ6E2−Fcタンパク質を含む0.3mlのPBS溶液をマウスの腹腔内に投与した。3日後にマウスから脾臓細胞を調製した。
(実施例5)ハイブリドーマ細胞の作製
まず、マウス骨髄腫細胞株であるSP2/0(ECACCより入手)を55μMの2−メルカプトエタノール、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン及び10%の牛胎児血清(FCS;インビトロジェン社)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;インビトロジェン社)にて培養し、対数増殖期のSP2/0細胞を得た。その細胞を、血清を含まないDMEMにて3回洗浄した。
次に、3×FLAG−J6E2dTMタンパク質又はJ6E2−Fcタンパク質を投与したマウスより脾細胞を調製し、血清を含まないDMEMにて3回洗浄した。SP2/0細胞とマウス脾細胞とを1:5の比率になるように50mlの遠心チューブに入れ、1,000rpmで10分間遠心分離し、上清を完全に吸引して除去した。その後、遠心チューブをタッピングしてペレットをほぐし、そこに37℃にて温めておいた50%ポリエチレングリコール−1500溶液(ロシュ社)を1分間かけて1ml加え、37℃で1分間反応を続けた。
引き続き、上記の遠心チューブに1mlの血清不含DMEMを1分間かけて加え、再度、1mlの血清不含DMEMを1分間かけて加え、最後に7mlの血清不含DMEMを3分間かけて加えることにより、エチレングリコール溶液を希釈した。その後、上記の遠心チューブを1,000rpmで10分間遠心して細胞を回収し、1×10個/mlとなるように55μMの2−メルカプトエタノール、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、15%のFCS及び10%ハイブリドーマクローニング因子(バイオベリス社)を含有するDMEMに細胞を懸濁した。
こうして得られた細胞懸濁液は、100μl/ウェルで96ウェルプレートの各ウェルに播種し、37℃、5%COインキュベーターで培養し、翌日、2倍濃度のHAT(インビトロジェン社)、15%FCS、10%ハイブリドーマクローニング因子を含むDMEMを各ウェルに100μl加え、37℃、5%COインキュベーターで引き続き培養した。
10〜14日間の培養を行った後、各ウェルの培養上清を回収し、培養上清中に含まれる抗原E2タンパク質を認識する抗体を実施例6に示すようにスクリーニングした。
(実施例6)抗原E2タンパク質に結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞のスクリーニング
ハイブリドーマ細胞のスクリーニングは、抗原E2タンパク質をプレートに固定し、ハイブリドーマ細胞の培養上清中の抗体がプレートに固定した抗原E2タンパク質に結合するかどうかをEIAにて評価することによって行った。
(1)抗原E2タンパク質の固相化プレートの作製
3×FLAG−J6E2dTMタンパク質又はJ6E2−Fcタンパク質を1μg/mlとなるようにPBSで希釈して、イムノプレート(ヌンク社)の各ウェルに50μlずつ添加し、4℃にて一晩静置することによってタンパク質をプレートに固相化した。各ウェルからタンパク質溶液を除き、添付マニュアルに従って調製したブロッキング・ワン溶液(ナカライテスク社)を各ウェルに200μlずつ添加し、室温で2時間ブロッキングした。
(2)ハイブリドーマ細胞のスクリーニング
ブロッキングした上記の固相化プレートをハイブリドーマ細胞の培養上清中の抗E2タンパク質抗体のスクリーニングに使用した。その際、3×FLAG−J6E2dTMタンパク質を投与したマウスから作製したハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体のスクリーニングにはJ6E2−Fcタンパク質を固相化したプレートを、J6E2−Fcタンパク質を投与したマウスから作製したハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体のスクリーニングには3×FLAG−J6E2dTMタンパク質を固相化したプレートを使用した。
具体的には、上記の固相化したプレートを0.1%Tween20(シグマ社)を含むPBSで4回洗浄し、実施例5で得られた各ハイブリドーマ細胞の上清サンプルを各ウェルに50μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。反応終了後、0.1%Tween20を含むPBSで4回洗浄した後、0.1%Tween20を含むPBSで5,000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体(GEヘルスケア社)を各ウェルに50μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。反応終了後、0.1%Tween20を含むPBSで4回洗浄し、ペルオキシダーゼ発色キット(住友ベークライト社)を用いて発色させ、450nmでの吸光度を測定し、陽性クローンを選抜した。
その結果、3×FLAG−J6E2dTMタンパク質を投与したマウスから作製したハイブリドーマ細胞については、スクリーニングした980ウェル中、11クローンを選択できた。それらのクローンを限界希釈法にてクローニングし、増殖性と抗体産生性の良いハイブリドーマ細胞株1G2−32、2F2−7、2F3−7、4E8−8、5D4−6、9G3−2、9A5−4、9C4−2、8D10−3、10G4−1を得た。
一方、J6E2−Fcタンパク質を投与したマウスから作製したハイブリドーマ細胞については、スクリーニングした2064ウェル中、10クローンを選択できた。これらのクローンを限界希釈法にてクローニングし増殖性と抗体産生性の良いハイブリドーマ細胞株M1E12−1を得た。
(3)アイソタイプ及びサブタイプの解析
得られたハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体のアイソタイプ及びサブタイプの解析は、ImmunoPure Monoclonal Antibody Isotyping Kit(ピアース社)を用いて、添付マニュアルに従って行った。その結果、各クローンの抗体のサブタイプは図6中に示した通りであり、イムノグロブリン軽鎖については全てκ鎖であった。
(4)IgG抗体の精製
得られた各ハイブリドーマ細胞は、培養培地中のFCS濃度を段階的に減少させていくことによって最終的に無血清培養に馴化させた。
無血清培地 Hybridoma SFM(インビトロジェン社)にて、各ハイブリドーマ細胞をコンフルエントになるまで培養した後、培養液を遠沈管に回収し、1500 rpmで5分間遠心した。培養上清をProsep−G(ミリポア社)に添加し、30ベッドボリュームのPBSで洗浄し、続いて1ベッドボリュームの0.1Mグリシン−HCl(pH3.0)にて6画分溶出した。溶出後、直ちに1M Tris−HCl(pH9.5)を添加し、中性に戻した。各画分の20μl分を還元下及び非還元下にてSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供して分画し、クマシーブリリアントブルーにて染色することによってタンパク質の有無を確認した。IgG画分をプールしてPBSにて透析又はゲル濾過にて脱塩し抗体サンプルとした。
(実施例7)抗原E2タンパク質に対するモノクローナル抗体のHCVの遺伝子型特異性について
HCV2aのJ6CF株の抗原E2タンパク質で免疫して作製した各ハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体が、遺伝子型2aのJ6CF株及びJFH1株由来のE2タンパク質、遺伝子型1bのTH株、J1株及びCon1株由来のE2タンパク質、遺伝子型1aのH77株由来のE2タンパク質に結合するかどうかについて検討した。
抗原としては、抗原E2タンパク質とヒト免疫グロブリンのFcドメインとの融合タンパク質である、実施例1〜3で作製したJ6E2−Fcタンパク質、JFH1E2−Fcタンパク質、THE2−Fcタンパク質、J1E2−Fcタンパク質、Con1E2−Fcタンパク質及びH77E2−Fcタンパク質を用い、実施例6に示したようにこれらのタンパク質をプレートに固相化して評価に用いた。
具体的には、上記の各融合タンパク質を1μg/mlとなるようにPBSで希釈してイムノプレートの各ウェルに50μlずつ添加し、4℃にて一晩静置することによって各融合タンパク質をプレートに固相化した。タンパク質溶液を除き、添付マニュアルに従って調製したブロッキング・ワン溶液(ナカライテスク社)を各ウェルに200μlずつ添加し、室温で2時間ブロッキングした。
次に、各ハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体をPBSで1μg/mlとなるように希釈して、上記の固相化したプレートの各ウェルに50μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。反応終了後、0.05%Tween20を含むPBSで4回洗浄した後、0.05%Tween20を含むPBSで5,000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体を各ウェルに50μlずつ添加し、室温で1時間反応させた。反応終了後、0.05%Tween20を含むPBSで4回洗浄し、ペルオキシダーゼ発色キットを用いて発色させ、450nmの吸光度を測定した。
図6は、各モノクローナル抗体の種々のHCVの遺伝子型/株の抗原E2タンパク質への結合性を示している。吸光度の数値が0.1未満を−、0.1以上0.25未満を+、0.25以上0.4未満を++、0.4以上を+++として示し、抗原E2タンパク質に結合する強度を表している。8D10−3は遺伝子型1a、1b、2aのHCVの抗原E2タンパク質に結合し、1G2−32及び2F2−7は遺伝子型2aの抗原E2タンパク質に結合し、4E8−8は遺伝子型1bと2aの抗原E2タンパク質に結合する抗体であることを示している。さらに、M1E12−1はJ6CF株の抗原E2タンパク質に結合するモノクローナルであることを示している。
これらの結果は、上記のモノクローナル抗体のセットを用いることにより、遺伝子型やHCV株の同定に使用できることを示している。
また、モノクローナル抗体8D10−3を生産するハイブリドーマ細胞(8D10−3)は受託番号FERM BP−11182として、モノクローナル抗体1G2−32を生産するハイブリドーマ細胞(1G2−32)は受託番号FERM BP−11179として、モノクローナル抗体2F2−7を生産するハイブリドーマ細胞(2F2−7)は受託番号FERM BP−11180として、モノクローナル抗体4E8−8を生産するハイブリドーマ細胞(4E8−8)は受託番号FERM BP−11181として、モノクローナル抗体M1E12−1を生産するハイブリドーマ細胞(M1E12−1)は受託番号FERM BP−11183として、2008年9月19日付で、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に寄託されている。
(実施例8)モノクローナル抗体のエピトープ解析
J6CF株の前駆体タンパク質(配列番号5)のN末端の開始メチオニンを1番目とした場合に第384番目〜第720番目までに相当する抗原E2タンパク質に相当するアミノ酸について、10個の連続するアミノ酸をN末端から3アミノ酸ずつずらして設計したアミノ酸配列からなるペプチド群(ペプチド番号1〜110)を合成した。各ペプチドのN末端はビオチン化し、C末端はグリシンアミドとした(JPT社に合成委託)。
合成したペプチドをDMSOに溶解し、PBSに0.01nmol/μlとなるように溶解した。このペプチド溶液をストレプトアビジンコーティングプレート(ヌンク社)の各ウェルに50μl加え、室温で2時間反応させた。ペプチド溶液を捨て、添付マニュアルに従って調製したブロッキング・ワン溶液(ナカライテスク社)を各ウェルに200μlずつ添加し、4℃で一晩静置することによってブロッキングした。
その後、ブロッキング溶液を捨て、0.05% Tween20含有PBSで4回洗浄し、0.05% Tween20 含有PBSで1μg/mlに希釈した各モノクローナル抗体を各ウェルに50μlずつ添加し、室温にて1.5時間反応させた。反応終了後、抗体溶液を捨て、0.05% Tween20 含有PBSで4回洗浄し、続いて0.05% Tween20含有PBSで5000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgGヤギ抗体(GEヘルスケア)を50μl/ウェル加え、室温にて1時間反応させた。反応後、抗体溶液を捨て、0.05% Tween20 含有PBSで5回洗浄した。洗浄後、ペルオキシダーゼ発色キット発色させ、450nmの吸光度を測定することによってペプチドに結合した抗体を検出した。
図7A〜Eは、J6CF株由来の抗原E2タンパク質由来のペプチド群に対する各モノクローナル抗体の結合強度を示したものである。OD450nmでの測定値(図7A〜Eの縦軸の値)が高い場合には、そのペプチドに対するモノクローナル抗体の結合強度が強く、その抗体が当該ペプチドを特異的に認識することが示される。各モノクローナル抗体は、J6CF株の抗原E2タンパク質由来のペプチドのいくつかを認識した。
8D10−3モノクローナル抗体の特に強いエピトープは、DRLGAPTYTW(配列番号20;ペプチド番号47)であり、このペプチドとオーバーラップしているGAPTYTWGEN(配列番号21;ペプチド番号48)であった(図7A)。このことから、エピトープは、アミノ酸配DRLGAPTYTWGEN(配列番号22)中の少なくとも10個の連続するアミノ酸配列であると考えられた。また、YPYRLWHYPC(配列番号23;ペプチド番号78)も弱いエピトープであった(図7A)。
4E8−8モノクローナル抗体の特に強いエピトープは、WGENETDVFL(配列番号1;ペプチド番号50)であり、このペプチドとオーバーラップしているNETDVFLLNS(配列番号24;ペプチド番号51)、DVFLLNSTRP(配列番号25;ペプチド番号52)及びLLNSTRPPLG(配列番号26;ペプチド番号53)は弱いエピトープであった(図7C)。このことから、エピトープはWGENETDVFLLNSTRPPLG(配列番号27)中の少なくとも10個の連続するアミノ酸配列であると考えられた。
2F2−7モノクローナル抗体の特に強いエピトープは、GWGALQYEDN(配列番号2;ペプチド番号29)であった(図7D)。このペプチドとオーバーラップしているFRVGWGALQY(配列番号28;ペプチド番号28)は弱いエピトープであった(図7D)。このことから、エピトープは、アミノ酸配FRVGWGALQYEDN(配列番号29)中の少なくとも10個の連続するアミノ酸配列であると考えられた。
1G2−32モノクローナル抗体の特に強いエピトープは、KTCGAPPCRT(配列番号3;ペプチド番号61)及びGAPPCRTRAD(配列番号30;ペプチド番号62)であった(図7B)。このことから、エピトープは、アミノ酸配KTCGAPPCRTRAD中(配列番号31)の少なくとも10個の連続するアミノ酸配列であると考えられた。
M1E12−1モノクローナル抗体の特に強いエピトープは、NYTIFKIRMY(配列番号4;ペプチド番号82)及びIFKIRMYVGG(配列番号32;ペプチド番号83)であった(図7E)。このことから、エピトープは、アミノ酸配NYTIFKIRMYVGG(配列番号33)中の少なくとも10個の連続するアミノ酸配列であると考えられた。
(実施例9)モノクローナル抗体を用いたHCVエンベロープタンパク質の検出
作製したハイブリドーマ細胞から調製したモノクローナル抗体を用いて、遺伝子型1aのH77株由来の抗原E2タンパク質、遺伝子型2aのJ6CF株及びJFH1株由来の抗原E2タンパク質、遺伝子型1bのTH株、J1株及びCon1株由来の抗原E2タンパク質を検出できるかどうかについて、サンドイッチELISA法及びウェスタンブロット法を用いて検討した。
(1)サンドイッチELISA
モノクローナル抗体1G2−32を1μg/mlとなるようにPBSで希釈し、この抗体溶液をイムノプレート(ヌンク社)の各ウェルに50μlずつ添加し、室温にて2時間静置することによって抗体をプレートに固相化した。抗体溶液を除き、添付マニュアルに従って調製したブロッキング・ワン溶液(ナカライテスク社)を各ウェルに200μlずつ添加し、室温にて2時間静置することによってブロッキングした。
次に、抗原E2タンパク質にヒト免疫グロブリンFcドメインが付加された各融タンパク質(JFH1E2−Fcタンパク質、J6E2−Fcタンパク質、THE2−Fcタンパク質、Con1E2−Fcタンパク質、J1E2−Fcタンパク質及びH77E2−Fcタンパク質)をPBSで希釈して、上記のモノクローナル抗体を固相化したプレートの各ウェルに50μl加え、室温で1.5時間反応させた。反応終了後、0.05%Tween20を含むPBSで3回洗浄した後、各ウェルに、0.05% Tween20を含むPBSで1μg/mlとなるように希釈したビオチン化8D10−3モノクローナル抗体を各ウェルに50μl加え、室温にて2時間反応させた。反応後、0.05% Tween20を含むPBSで3回洗浄し、0.05% Tween20を含むPBSで5,000倍に希釈したHRP標識抗ストレプトアビジン(GEヘルスケア社)を50μl加え、室温で1.5時間反応させた。
反応後、0.05% Tween20を含むPBSで4回洗浄し、ペルオキシダーゼ発色キット(住友ベークライト社)を用いて発色させ、490nmの吸光度を測定した。その結果を図8に示す。
図8は、モノクローナル抗体1G2−32及び8D10−3を用いたサンドイッチELISAにおける種々の遺伝子型/株の抗原E2タンパク質の検出感度を示している。横軸は抗原E2タンパク質の量を示し、縦軸は490nmの吸光度、すなわち検出された抗原E2タンパク質の量を示している。モノクローナル抗体1G2−32及び8D10−3を用いたサンドイッチELISAでは、遺伝子型2aのHCVの抗原E2タンパク質のみを検出することが可能であり、遺伝子型1aと1bの抗原E2タンパク質は検出されないことを示している。これらの結果は、本発明で得られた抗体のセットを用いることにより、HCVの遺伝子型や株を同定できることを示している。
(2)ウェスタンブロット法
抗原E2タンパク質にヒト免疫グロブリンFcドメインが付加された各融タンパク質(JFH1E2−Fcタンパク質、J6E2−Fcタンパク質、THE2−Fcタンパク質、Con1E2−Fcタンパク質、J1E2−Fcタンパク質及びH77E2−Fcタンパク質)の0.1〜0.3μgに、5分の1容量の5×sample buffer (0.3125M Tris−HCl、pH6.8、5% SDS、50% glycerol、0.05% BPB、5% 2−ME)を加え、100℃で5分間処理したものをサンプルとした。各サンプルを4〜20%グラジエントゲル(テフコ社)にアプライし、40mA定電流で電気泳動後、セミドライ型ブロッティング装置を用いてPVDF膜に120mA定電流でブロッティングした。
ブロッティング後のPVDF膜をブロックエース(雪印乳業)に室温にて1時間浸すことによってブロッキングし、0.1% Tween20を含むTBSで洗浄後、Can Get Signal(東洋紡)で1μg/mLに希釈したモノクローナル抗体8D10−3に浸して室温にて1時間反応させた。反応後、0.1% Tween20を含むTBSで洗浄し、続いてCan Get Signalで5000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG抗体に浸して室温にて1時間反応させた。0.1% Tween20を含むTBSで洗浄し、ECLキット(GEヘルスケア社)を使用してバンドを検出した。
図9は、モノクローナル抗体8D10−3を用いたウェスタンブロット法における種々の遺伝子型/株の抗原E2タンパク質の検出の有無を示している。モノクローナル抗体8D10−3は、6種の株全ての抗原E2タンパク質を検出することができた。
本発明の抗体は、遺伝子型が1a、1b及び2aであるHCVの遺伝子型を簡易かつ精度よく同定することを可能にし、インターフェロン療法による治療効果が望めない遺伝子型が1a又は1b型のHCVに感染したC型肝炎患者に対して、副作用を軽減するとともに新たな治療方法を選択する機会を与えることができる。

Claims (7)

  1. 遺伝子型が2aであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、遺伝子型が1aであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2及び遺伝子型が1bであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しないモノクローナル抗体であって、配列表の配列番号2又は配列番号3記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する、モノクローナル抗体
  2. 配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する、受託番号がFERM BP−11180であるハイブリドーマ細胞株により生産される、請求項記載のモノクローナル抗体。
  3. 配列表の配列番号3記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する、受託番号がFERM BP−11179であるハイブリドーマ細胞株により生産される、請求項記載のモノクローナル抗体。
  4. 遺伝子型が2aであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、遺伝子型が1aであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2及び遺伝子型が1bであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応せず、J6CF株のエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、JFH1株のエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しない、配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する、受託番号がFERM BP−11183であるハイブリドーマ細胞株により生産されるモノクローナル抗体。
  5. 遺伝子型が2aであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2に特異的に結合し、遺伝子型が1aであるC型肝炎ウイルスのエンベロープタンパク質2には免疫学的に反応しないモノクローナル抗体であって、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列をエピトープとして認識する、モノクローナル抗体。
  6. 受託番号がFERM BP−11181であるハイブリドーマ細胞株により生産される、請求項5記載のモノクローナル抗体。
  7. 請求項記載のモノクローナル抗体に結合し、請求項及び記載のモノクローナル抗体のいずれにも結合しないC型肝炎ウイルスの遺伝子型を1bであると同定し、
    請求項記載のモノクローナル抗体に結合し、請求項及び記載のモノクローナル抗体に結合するC型肝炎ウイルスの遺伝子型を2aであると同定し、
    受託番号がFERM BP−11182であるハイブリドーマ細胞株により生産されるモノクローナル抗体に結合し、請求項2、3及び6記載のモノクローナル抗体のいずれにも結合しないC型肝炎ウイルスの遺伝子型を1aであると同定する、
    C型肝炎ウイルスの遺伝子型の同定方法。
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