以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
本発明を適用する第1実施形態について図1〜図5を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る非接触給電システムの概略図である。図2は、非接触給電システムに係るブロック図である。
図1及び図2に示すように、非接触充電システムは、主に車両10の外部に設置された送電設備1と、車両10に搭載される車両側受電装置11と、非接触で電力を送電する設備側コイル61,62(設備側送電部)を覆い地上に露出する設備側パッド6と、非接触で電力を受電する車両側コイル161(車両側受電部)を覆い車外に露出する車両側パッド16と、を備えて構成されている。
非接触給電システムは、例えば電気自動車、およびプラグインハイブリッド自動車等のメインバッテリに充電する場合に適用することができる。非接触給電システムは、蓄電装置14と車両10の外部に設置される外部電源の一例である系統電源20との間で、磁気的に結合された状態、例えば、電磁誘導を利用した電力の授受によって非接触で電力を伝送する電力授受ステムである。この電磁誘導方式は、送電側と受電側との間で発生する誘導磁束を利用して電力を送る方式のことである。
車両10には、車両側パッド16、車両側受電装置11等が搭載されており、例えば電磁結合により車両側コイル161に電流が流れることによって車両10に搭載された蓄電装置14が充電可能になっている。車両側受電装置11は、例えば、整流回路110、昇降圧回路111、充電制御装置12、通信機13、共振コンデンサ113、スイッチ112、蓄電装置14等を含む装置であり、車両10において系統電源20から供給される電力を充電する際に動作する装置である。
車両10には、負荷機器15が搭載され、負荷機器15は蓄電装置14に蓄えられた電力、または系統電源20から供給される電力を使用して駆動されるようになっている。蓄電装置14の蓄電力によって駆動される負荷機器15には、モータジェネレータ、空調装置、ナビゲーション装置、照明、電動パワーステアリングユニット、その他の補機類等を適用することができる。車両の走行に用いられるモータジェネレータの作動は、車両10に搭載された車両制御装置によって制御される。蓄電装置14として用いられる二次電池は、その端子電圧が高圧となるように設定されている。この二次電池は、充放電可能に構成された電池であり、例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池等を使用することができる。
ハイブリッド自動車の場合、モータジェネレータは、電動機および発電機の両機能を有する三相交流の回転電機である。モータジェネレータの回転軸の一方の端部は、内燃機関(図示せず)の出力軸に直結されており、他方の端部は、変速装置(図示せず)を介して駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータは、回転数および駆動トルクが制御されて、駆動輪に必要とされる駆動力を与える電動機として機能する。またモータジェネレータは、減速時において駆動輪からの駆動力によって回転駆動されると、交流の回生電力を発生する発電機として機能する。モータジェネレータの作動は、車両制御装置によって制御される。
共振コンデンサ113,32は、スイッチ112がONすると、効率よく電力伝送するため、高周波インバータ31の出力電力の電圧と電流との位相を一致するように変換し整流回路110に与える。整流回路110は、ダイオード及びコンデンサから構成されており、ダイオードにより、車両側コイル161から供給された高周波電力を整流し、コンデンサで平滑化した後、昇降圧回路111に供給する。昇降圧回路111は、整流回路110からの電力の電圧を所定電圧まで昇降圧し、蓄電装置14に供給する。また昇降圧回路111は、設備側コイル61,62から送電された電圧を蓄電装置14に充電するときに蓄電装置14の設定電圧よりも高い場合には、降圧チョッパとして作用し整流回路110で整流された電圧を降圧して蓄電装置14に与える。
車両側パッド16は、非接触で電力を受電する車両側コイル161を内部に有し、車両10に設けられる。車両側コイル161は、車両側パッド16に内蔵される。車両側コイル161は、設備側コイル61,62との間で非接触による電力の受け渡しを行う。車両側コイル161は、設備側コイル61,62が発生した電磁界の影響により、車両側コイル161にも電磁界が発生することで車両側コイル161に電流が流れ、電圧が発生する。車両側コイル161は、車両側受電装置11に接続され、発生した高周波電力を車両側受電装置11に与える。
車両側受電装置11は、車両10において、外部の系統電源20から供給される電力を充電する際に動作する受電回路を備えている。受電回路は、車両側パッド16に内蔵される車両側コイル161から送電された電力を直流電圧として出力し、蓄電装置14を充電する。通信機13は、充電制御装置12によって制御され、設備側の通信機5を介して設備側送電装置3と通信し、通信した情報は、送電制御装置4に入力される。
設備側送電装置3は、送電設備1に設けられる送電回路を構成し、例えば、家庭、集合住宅、コインパーキング等の駐車設備、商業施設、公共施設等に設けられ、プラグ2が接続された系統電源20から、車両10に対して電力を送電する装置である。設備側送電装置3は、整流回路30、高周波インバータ31、送電制御装置4、通信機5、共振コンデンサ32、リレースイッチ33,34等を含む送電回路であり、車両10の車両側コイル161に送電する際に動作する。
送電制御装置4は、設備側送電装置3の各部を制御し、送電の開始および停止などを制御する。高周波インバータ31は、系統電源20から供給された電力を高周波の電力に変換し、共振コンデンサ32に与える高周波変換回路である。共振コンデンサ32は、効率よく電力伝送するため、高周波インバータ31から与えられた電力の電圧と電流との位相を一致するように変換し、設備側パッド6に与える。通信機5は、送電制御装置4によって制御され、車両10の通信機13を介して車両側受電装置11と通信し、通信した情報は、充電制御装置12に入力される。
本実施形態では、設備側コイルは、設備側コア60に巻回される2個のコイルであり、駐車設備に画成された駐車スペース内に各々設置または埋設され、所定の通電によって電磁界を発生するように構成されている。この設備側コイル61,62は、駐車スペースへの車両の進入を検知するとともに、車両10側に設けられた車両側コイル161との間で非接触による電力の受け渡しを行う。
設備側パッド6は、非接触で電力を送電する設備側コイル61,62を内部に有し、地上、または地中に設けられる。設備側パッド6に含まれる設備側コイルには、設備側の第1コイル61と第2コイル62の2個ある。リレースイッチ33がONされると、第1コイル61に電流が流れ、リレースイッチ34がONされると、第2コイル62に電流が流れるようになっている。これらの設備側コイル61,62は設備側コア60に対して異なる向きに巻回されている。ここでいうコイルの巻回の向きとは、平板状のコアに巻回されたコイルが、設備側コア60について厚み方向に垂直な平面に平行に延びる方向のことである。つまり、平板状のコアの厚み方向に対して垂直な広い平面に沿うようにコイルが延びる方向である。
第1コイル61及び第2コイル62のそれぞれは、設備側コア60の厚み方向の両面に配置されている。巻回される両方のコイル61,62の巻回軸線は、設備側コア60における厚み方向に垂直な方向に延びている。車両側コイル161は、車両側コア160の厚み方向の両面に配置されている。巻回される車両側コイル161の巻回軸線は、車両側コア160における厚み方向に垂直な方向に延びている。
第1コイル61の巻回の向きは、図3に示すY方向であり、第2コイル62の巻回の向きは、図3に示すX方向である。なお、図3においてZ方向は、上方向である。各設備側コイル61,62は、平面視すると、つまり下方向にみると、他方のコイルに対して所定の角度をなしており、両者は交差している。第1実施形態では、第1コイル61と第2コイル62は、90度の角度をなしている。設備側パッド6の外郭は、両方の設備側コイル61,62を覆っている。なお、設備側コア60及び車両側コア160は、透磁率が高い材料からなり、たとえばフェライトで成形される。設備側コイル61,62及び車両側コイル161は、電気抵抗が少ない材料からなり、例えばリッツ線が用いられる。
各設備側コイル61,62は、設備側パッド6とともに駐車設備に画成された駐車スペース内に各々設置または埋設され、所定の通電によって電磁界を発生するように構成されている。各設備側コイル61,62は、車両10側に設けられた車両側コイル161との間で非接触による電力の受け渡しを行う。各設備側コイル61,62は、電流が流れることにより、磁束を発生し、設備側送電装置3から与えられる高周波電力を電磁誘導によって、車両側コイル161が搭載される車両10に対して送電する。
設備側コア60に巻回された設備側コイル61,62のいずれかに高周波電流が流れると、右ねじの法則にしたがった所定の向きに磁束が発生する。そして、給電時に、電流が流れる設備側コイルから車両側の車両側コイル161に鎖交する磁束の向きに対して、車両側コイル161が適切な向きになるように停車された場合には、車両側コイル161には誘導電流が流れる。しかし、図3に示すように、車両側コイル161が適切な向きに対してずれる向きになるように停車された場合には、車両側コイル161には誘導電流が生じない。
車両側コイル161が設備側コイル61,62に対して図3に示す向きになるように停車した場合に、設備側の第1コイル61に送電が行われると、第1コイル61に流れる電流によって破線で示す磁束経路が矢印の向きに発生する。つまり、このとき、車両側パッド16には、車両側コイル161の巻回の向きと同じ向き(X方向)の磁束が作用するため、誘導電流は車両側コイル161に発生し難い。
このように、車両10が送電設備1に対して停車した場合に、本実施形態では、設備側のもう一方の第2コイル62に送電を切り換える。図4に示すように、設備側の第2コイル62に送電が行われると、第2コイル62に流れる電流によって破線で示す磁束経路が矢印の向きに発生する。このときの磁束の向きは、図3に示す磁束経路、すなわち、第1コイル61に送電した場合の磁束経路を90度回転させた形態となる。このように、第1コイル61への送電によって車両側コイル161に誘導電流が発生し難い場合に、第2コイル62への送電に切り換えることにより、車両側パッド16には、車両側コイル161の巻回の向き(X方向)に対して直交する磁束(例えばY方向)が作用するため、車両側コイル161には右ねじの法則にしたがった向きに誘導電流が流れるようになる。したがって、第2コイル62と車両側コイル161との間で電磁場を介して、設備側から車両側への送電が行われる。
次に、本実施形態の非接触給電システムにおける給電時の処理を図5に示すフローチャートにしたがって説明する。図5に示すように、送電設備1と車両10は、互いに情報を通信し、一方が他方から受信した情報を用いて後の処理を実行する。例えば、情報の通信は、設備側の通信機5と車両側の通信機13との間のデータ送受信により実施する。
送電設備1では、送電制御装置4は、ステップ10で、車両10から充電のための給電要求があるか否かを判定する。この給電要求は、例えば、車両10が給電可能な駐車完了状態になっており、さらに車両10のユーザー操作等に基づいた蓄電装置14への充電要求や補機類の駆動要求がある場合に満たされる。ステップ10で給電要求があると判定すると、送電制御装置4は、ステップ20で設備側の第1コイル61に電流を流す送電処理を実行して、まず第1の給電処理を実施する。この第1の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。また、ステップ20では、第1の給電処理を実行することをその処理実行前に車両10の充電制御装置12に対して送信しておく。この送信により、充電制御装置12は、後で要求される受電量の算出または測定の準備をすることができる。
ステップ20で第1の給電処理を所定時間実施後、ステップ22において、送電制御装置4は、第1の給電処理実施による「第1コイル61への送電量」を算出または測定するとともに、第1の給電処理実施において車両側コイル161で実際に受電した受電量を車両10に対して送信するように要求する。車両10の充電制御装置12は、送電設備1からの「受電量要求」に対して、第1の給電処理開始からの合計の受電電力量を測定または算出し、これを「第1の給電処理による実際の受電量」として、通信機13及び通信機5を介して送電制御装置4に送信する。そして、送電制御装置4は、ステップ24で車両10からの「第1の給電処理による実際の受電量」を受信する。
次に、送電制御装置4は、ステップ30で、第1コイル61への送電から切り換えて第2コイル62に電流を流す送電処理を実行して、第2の給電処理を実施する。この第2の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。また、ステップ30では、第2の給電処理を実行することをその処理実行前に車両10の充電制御装置12に対して送信しておく。この送信により、充電制御装置12は、後で要求される受電量の算出または測定の準備をすることができる。
ステップ30で第2の給電処理を所定時間実施後、ステップ32において、送電制御装置4は、第2の給電処理実施による「第2コイル62への送電量」を算出または測定するとともに、第2の給電処理実施において車両側コイル161で実際に受電した受電量を車両10に対して送信するように要求する。車両10の充電制御装置12は、送電設備1からの「受電量要求」に対して、第2の給電処理開始からの合計の受電電力量を測定または算出し、これを「第2の給電処理による実際の受電量」として、通信機13及び通信機5を介して送電制御装置4に送信する。そして、送電制御装置4は、ステップ34で車両10からの「第2の給電処理による実際の受電量」を受信する。
次に、送電制御装置4は、ステップ40で、第1の給電の能力が第2の給電の能力以上であるか否かを判定する。このステップでは、先のステップで実施した第1の給電処理と第2の給電処理のいずれが高い能力を発揮する結果となったかを判定する。つまり、高い能力を発揮した方の給電方式を今回の給電に採用することを判定する。
具体的には、第1の給電の能力は、ステップ24で受信した「第1の給電処理による実際の受電量」をステップ22で算出または測定した「第1コイル61への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1がした仕事である「第1コイル61への送電量」に対する、車両10が得たエネルギーである「第1の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第1の給電処理を行った場合の能力として採用する。同様に、第2の給電の能力は、ステップ34で受信した「第2の給電処理による実際の受電量」をステップ32で算出または測定した「第2コイル62への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1がした仕事である「第2コイル62への送電量」に対して、車両10が得たエネルギーである「第2の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第2の給電処理を行った場合の能力として採用する。
送電制御装置4は、ステップ40で第1の給電の能力が第2の給電の能力以上であると判定すると、今回の給電において、第1コイル61に送電することを選択する(ステップ50)。一方、ステップ40で第2の給電の能力が第1の給電の能力を上回ると判定すると、今回の給電において、第2コイル62に送電することを選択する(ステップ50A)。ステップ40での判定は、第1コイル61及び第2コイル62の中から、送電回路に通電可能に接続するコイルを、車両10側において実際に受電できる受電量が最も高くなるコイルに選択することでもある。このような判定により、その時の停車状況に応じて最もエネルギー効率に優れた非接給電を実施することができる。
そしてステップ60で、送電制御装置4は、選択した方の給電方式に対応するコイルに送電し、車両10は、設備側パッド6からの鎖交磁束によって車両側コイル161に生じる誘導電流に応じた電力の受電を開始する。以後、ステップ70で給電終了条件が成立したと判定するまで給電運転の制御を継続する。給電終了条件が成立する場合とは、例えば、充電終了SOC(蓄電装置14に充電終了までに蓄える必要のある蓄電量)の条件が成立することである。
ステップ70で給電終了条件が成立していないと判定すると、ステップ60に戻り、給電制御を継続する。ステップ70で給電条件が成立したと判定すると、給電運転を停止して、本フローを終了する。以上のように図5に示すフローでは、給電運転時に車両10の停車状態によって、設備側コイル61,62に対する車両側コイル161の位置が、適切であるか否かを判定する。そして、適切でないと判定した場合には、設備側パッド6に設けた複数のコイルのうち、より給電能力が高くなる方のコイルに送電を行うことで、電力供給能力を確保することができる給電運転を実施するのである。
本実施形態の非接触給電システムがもたらす作用効果について説明する。非接触給電システムは、車両10に設けられる車両側パッド16と送電設備1に設けられる設備側パッド6の間で電磁界を発生して非接触の給電を行う。設備側パッド6の内部には、設備側コア60に対して巻回の向きが異なる複数個のコイルとして第1コイル61と第2コイル62が設けられている。第1コイル61及び第2コイル62のそれぞれは、送電設備1に設けられる送電回路に接続可能に構成されている。非接触給電システムは、非接触の給電を行う際に、設備側の第1コイル61及び第2コイル62の中から、送電回路に通電可能に接続するコイルを選択して、当該コイルに送電する。
この構成によれば、設備側コア60に対して巻回の向きが異なる第1コイル61及び第2コイル62(複数個のコイル)を設備側パッド6に備える場合に、非接触給電の際の停車状態が、車両側コイル161と設備側のコイルとの位置関係が車両10側で受電量を確保できない状況であるときには、設備側で、複数個のコイルの中から受電量を多くできるコイルを選択することができる。よって、設備側のコイルに対して車両10の位置や向きを変える動作を行わず、車両側コイル161と設備側のコイルとの位置関係がそのままであっても、設備側のコイル側から車両側コイル161に作用する電磁界を車両側コイル161に対してより適切な向きにするように送電設備1側で適切なコイルの選択を行い、選択したコイルに送電することによって、給電時の電力供給を確保できるのである。
また、非接触給電システムは、非接触給電の際に、第1コイル61及び第2コイル62(複数個のコイル)の中から、送電回路に通電可能に接続するコイルを、車両10側において実際に受電できる受電量が最も高くなるコイルに選択する。
これによれば、非接触給電の際に、車両側コイル161と設備側のコイルとの位置関係が車両10側で受電量を確保できない状況であっても、複数個のコイルのうち、車両10側において実際に受電できる受電量が最も高くなるコイルが選択されるため、その時々の状況で最大となる電力供給量を車両10に受電させることができる。したがって、送電設備1からの送電量に対する車両10での受電量の比率を最も高めた状態での非接触給電を実施できるので、エネルギー効率に優れた非接触給電システムを提供できる。
また、非接触給電システムによれば、巻回の向きが異なる複数個のコイル(第1コイル61及び第2コイル62)は、送電設備1側に設けられる。複数個のコイルのそれぞれは、送電設備1に設けられる送電回路に接続可能に構成される。
この構成によれば、非接触給電時に、車両側のコイルと設備側コイル61との位置関係に応じて、送電設備1側で複数個のコイルの中から最適なコイルを選択し、当該コイルに対して送電を行う。このように、本実施形態のような送電設備があれば、当該送電設備を利用する多数の車種が、送電設備からの送電量に対する車両での受電量の比率を最も高めた状態で非接触給電を実施できる。したがって、送電設備1は、車両の形態に関わらず、充電のたびに、エネルギー効率に優れた非接触給電を実施できるので、環境にやさしい電力供給装置として有用である。
また、複数個のコイル(第1コイル61及び第2コイル62)が接続可能に構成される送電回路には、リレースイッチ33,34が設けられる。非接触給電システムは、選択したコイルと送電回路との接続を、リレースイッチ33,34の入り切り状態を切り換えることにより行う。
この構成によれば、給電時に、車両10側がより多くの電力を受電できるように、複数個のコイルの中から選択されたコイルに切り換える場合に、対応するリレースイッチの入り切り状態を制御することで、当該コイルと送電回路を接続できる。したがって、複雑な電子部品を必要としない簡単な構成で、コイルの切換えを行うことができる。車両側のコイルが設備側コイル61に対して適切でない向きで停車した場合でも、円滑な給電運転と十分な電力供給とが実現できる非接触給電システムを提供できる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る非接触給電システムは、設備側コア60に巻回される第1コイル61Aと第2コイル62Aのなす角度が、第1実施形態に記載したシステムとは異なる形態となっている。第2実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、給電運転時のフローチャート、作用効果等については第1実施形態と同様である。図6は、第2実施形態の非接触給電システムにおいて、給電時に車両側コイル161Aが設備側の第1コイル61Aに対して適切でない向きになるように停車された状態を示す斜視図である。図7は、図6の状態に停車された場合に、設備側の第2コイル62Aに送電して車両側コイル161Aに誘導電流を発生させる処理を説明するための斜視図である。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、設備側コア60に2個のコイルが巻回されており、車両側コア160に1個のコイルが巻回されている。設備側の第1コイル61Aの巻回の向きは、図6に示すY方向である。第2コイル62Aの巻回の向きは、XY平面上においてY方向と−X方向の間であって、Y方向と45度の角度をなす図6に示す方向である。すなわち、設備側の第1コイル61Aと第2コイル62Aは、平面視すると、つまり下方向にみると、他方のコイルに対して45度の角度をなしており、両者は交差している。
車両側コイル161Aが設備側コイル61A,62Aに対して図6に示す向きになるように停車した場合に、設備側の第1コイル61Aに送電が行われると、第1コイル61Aに流れる電流によって破線で示す磁束経路が矢印の向きに発生する。つまり、このとき、車両側パッド16には、車両側コイル161Aの巻回の向きに対して交差する向き(X方向)の磁束が作用し、車両側コイル161Aには十分な誘導電流が発生せず、給電能力が十分に得られない。
図6に示すように、車両10が送電設備1に対して停車した場合に、本実施形態では、設備側のもう一方の第2コイル62Aに送電を切り換える。図7に示すように、設備側の第2コイル62Aに送電が行われると、第2コイル62Aに流れる電流によって破線で示す磁束経路が矢印の向きに発生する。このときの磁束の向きは、図6に示す磁束経路、すなわち、第1コイル61Aに送電した場合の磁束経路を45度回転させた形態となる。このように、第1コイル61Aへの送電によって車両側コイル161Aに十分な誘導電流が発生しない場合に、もう一つの第2コイル62Aへの送電に切り換えることにより、車両側パッド16には、車両側コイル161Aの巻回の向きに対して直交する向きに磁束が作用するため、車両側コイル161Aには右ねじの法則にしたがった向きに誘導電流が流れるようになる。したがって、第2コイル62Aと車両側コイル161Aとの間で電磁場を介して、設備側から車両側への送電が行われる。
(第3実施形態)
第3実施形態に係る非接触給電システムは、設備側コア60B及び車両側コア160Bの形状が第1実施形態のものとは異なる形態であり、この形態に伴って、設備側コア60B及び車両側コア160Bのそれぞれに巻回されるコイルの巻回の態様も第1実施形態に記載したシステムとは異なる形態となっている。第3実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、給電運転時のフローチャート、作用効果等については第1実施形態と同様である。図8は、第3実施形態の非接触給電システムにおける設備側コア60Bを示す斜視図である。図9は、給電時に車両側コイル161Bが設備側の第1コイル61Bに対して適切でない向きになるように停車された状態を示す斜視図である。図10は、図9の状態に停車された場合に、設備側の第2コイル62Bに送電して車両側コイル161Bに誘導電流を発生させる処理を説明するための斜視図である。
図8に示すように、設備側コア60Bは、平板部60B5の表面から突出する4個の角形状の巻回用突部60B1,60B2,60B3,60B4を備えている。各巻回用突部は、平板部60B5の四隅から上方に突出し、各巻回用突部の側面には第1コイル61Bと第2コイル62Bが水平方向に巻回されている。
具体的には、設備側コア60Bに巻かれる第1コイル61Bの巻回状態を電流が流れる順に説明すると、第1コイル61Bは、まず、第1巻回用突部60B1と第2巻回用突部60B2における、平板部60B5の中央部寄りに位置する側面から平板部60B5の外周縁に沿う側面にかけて一周して、第1巻回用突部60B1及び第2巻回用突部60B2を取り囲むように巻かれている。引き続き第1コイル61Bは、第3巻回用突部60B3と第4巻回用突部60B4における、平板部60B5の中央部寄りに位置する側面から平板部60B5の外周縁に沿う側面にかけて一周して、第3巻回用突部60B3及び第4巻回用突部60B4を取り囲むように巻かれている(以上、図9参照)。
さらに設備側コア60Bに巻かれる第2コイル62Bの巻回状態を電流が流れる順に説明すると、第2コイル62Bは、まず、第2巻回用突部60B2と第4巻回用突部60B4における、平板部60B5の中央部寄りに位置する側面から平板部60B5の外周縁に沿う側面にかけて一周して、第2巻回用突部60B2及び第4巻回用突部60B4を取り囲むように巻かれている。引き続き第2コイル62Bは、第1巻回用突部60B1と第3巻回用突部60B3における、平板部60B5の中央部寄りに位置する側面から平板部60B5の外周縁に沿う側面にかけて一周して、第1巻回用突部60B1及び第3巻回用突部60B3を取り囲むように巻かれている(以上、図9参照)。つまり、第2コイル62Bは、第1コイル61Bに対して90度回転させた形態で、設備側コア60Bに巻回されている。
これに対して、図9に示すように、車両側コア160Bは、設備側コア60Bと同様の形状であり、平板部160B5の表面から突出する4個の角形状の巻回用突部160B1,160B2,160B3,160B4を備えている。各巻回用突部は、平板部160B5の四隅から上方に突出し、各巻回用突部の側面には車両側コイル161Bが水平方向に巻回されている。
具体的には、車両側コア160Bに巻かれる車両側コイル161Bの巻回状態を電流が流れる順に説明すると、車両側コイル161Bは、まず、第1巻回用突部160B1と第2巻回用突部160B2における、平板部160B5の中央部寄りに位置する側面から平板部160B5の外周縁に沿う側面にかけて一周して、第1巻回用突部160B1及び第2巻回用突部160B2を取り囲むように巻かれている。引き続き車両側コイル161Bは、第3巻回用突部160B3と第4巻回用突部160B4における、平板部160B5の中央部寄りに位置する側面から平板部160B5の外周縁に沿う側面にかけて一周して、第3巻回用突部160B3及び第4巻回用突部160B4を取り囲むように巻かれている。
給電時に、車両側コイル161Bが設備側の各コイル61B,62Bに対して図9に示す向きになるように停車した場合に、設備側の第1コイル61Bに送電が行われると、第1コイル61Bに流れる電流によって、第1巻回用突部60B1及び第2巻回用突部60B2には上方に向かう磁束経路が発生し、第3巻回用突部60B3及び第4巻回用突部60B4には下方に向かう磁束経路が発生する。この磁束経路の発生により、車両側コア160Bには、第1巻回用突部160B1及び第3巻回用突部160B3に上方に向かう磁束経路が発生し、第2巻回用突部160B2及び第4巻回用突部160B4には下方に向かう磁束経路が発生する。したがって、誘導電流は車両側コイル161Bには、発生し難い。
このように車両10が送電設備1に対して停車した場合に、本実施形態では、設備側のもう一方の第2コイル62Bに送電を切り換える。図10に示すように、設備側の第2コイル62Bに送電が行われると、第2コイル62Bに流れる電流によって、第2巻回用突部60B2及び第4巻回用突部60B4には上方に向かう磁束経路が発生し、第1巻回用突部60B1及び第3巻回用突部60B3には下方に向かう磁束経路が発生する。この磁束経路の発生により、車両側コア160Bには、第1巻回用突部160B1及び第2巻回用突部160B2に上方に向かう磁束経路が発生し、第3巻回用突部160B3及び第4巻回用突部160B4には下方に向かう磁束経路が発生する。
このときの磁束の向きは、図9に示す磁束経路、すなわち、第1コイル61Bに送電した場合の磁束経路を90度回転させた形態となる。このように、第1コイル61Bへの送電によって車両側コイル161Bに誘導電流が発生し難い場合に、第2コイル62Bへの送電に切り換えることにより、車両側コイル161には右ねじの法則にしたがった向きに誘導電流が流れるようになる。したがって、第2コイル62Bと車両側コイル161Bとの間で電磁場を介して、設備側から車両側への送電が行われる。
本実施形態によれば、第1コイル61B及び第2コイル62Bという複数個のコイルは、対向する相手側のコア(車両側コア160B)に向かう方向に2つの磁束が鎖交するように、当該相手側のコアに対向する側の設備側コア60Bの部分において巻回されている。
この構成によれば、複数個のコイルは、相手側のコア(車両側コア160B)と対向しない設備側コア60の背面側には巻回されていないため、地上または車両への設置が実施し易く、設備側コア60の対向面側から相手側のコア(車両側コア160B)に向かって2つの磁束が鎖交するため、設備側コア60の背面側からの漏れ電磁界を少なくすることができる。
(第4実施形態)
第4実施形態に係る非接触給電システムは、車両側パッド16Cの車両側コアに巻回される2個の車両側コイルを備え、設備側パッド6Cの設備側コアに巻回される1個の設備側コイル61Cを備える点が第1実施形態と異なっている。第4実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態と同様である。図11は、第4実施形態の非接触給電システムに係るブロック図である。図12は、第4実施形態の非接触給電システムにおいて、給電時の処理を説明するためのフローチャートである。
設備側パッド6Cは、非接触で電力を送電する1個の設備側コイル61Cを内部に有し、地上に露出するように設けられる。設備側コイル61Cは、駐車設備に画成された駐車スペース内に各々設置または埋設され、所定の通電によって電磁界を発生するように構成されている。この設備側コイル61Cは、駐車スペースへの車両の進入を検知するとともに、車両10A側に設けられた2個の車両側コイルのいずれかとの間で非接触による電力の受け渡しを行う。
設備側送電装置3Aは、送電設備1Aに設けられ、例えば、家庭、集合住宅、コインパーキング等の駐車設備、商業施設、公共施設等に設けられ、プラグ2が接続された系統電源20から、車両10Aに対して電力を送電する装置である。図11に示すように、設備側送電装置3Aは、整流回路30、高周波インバータ31、送電制御装置4、通信機5、共振コンデンサ32、スイッチ35等を含む装置であり、車両10Aの車両側コイルに送電する際に動作する。スイッチ35がONされると、設備側コイル61Cに電流が流れるようになっている。
送電制御装置4は、設備側送電装置3Aの各部を制御し、送電の開始および停止などを制御する。高周波インバータ31は、系統電源20から供給された電力を高周波の電力に変換し、共振コンデンサ32に与える高周波変換回路である。共振コンデンサ32,113は、効率よく電力伝送するため、高周波インバータ31から与えられた電力の電圧と電流との位相を一致するように変換し、設備側パッド6Cに与える。通信機5は、送電制御装置4によって制御され、車両10Aの通信機13を介して車両側受電装置11Aと通信し、通信した情報は、充電制御装置12に入力される。
車両側パッド16Cは、車両側コアにそれぞれ巻回された第1コイル161Cと第2コイル162Cを内部に有している。第1コイル161C及び第2コイル162Cは、設備側コイル61Cとの間で非接触による電力の受け渡しを行う。第1コイル161C及び第2コイル162Cは、設備側コイル61Cに発生した電磁界の影響によって車両10A側でも電磁界が発生することで第1コイル161Cまたは第2コイル162Cに電流が流れ、電圧が発生する。誘導電流が生じた車両側のコイルは、発生した高周波電力を車両側受電装置11Aに与える。
車両側受電装置11Aは、車両10Aにおいて、外部の系統電源20から供給される電力を充電する際に動作する受電回路を備えている。受電回路は、第1コイル161Cまたは第2コイル162Cから送電された電力を直流電圧として出力し、蓄電装置14を充電する。通信機13は、充電制御装置12によって制御され、設備側の通信機5を介して設備側送電装置3Aと通信し、通信した情報は、送電制御装置4に入力される。
車両側パッド16Cに含まれる車両側コイルは、第1コイル161Cと第2コイル162Cの2個であり、リレースイッチ112AがONされると、第1コイル161Cが共振コンデンサ113、整流回路110等に接続され、リレースイッチ114がONされると、第2コイル162Cが共振コンデンサ113、整流回路110等に接続されるようになっている。
第1コイル161Cと第2コイル162Cは、車両側コアに対して異なる方向に巻回されている。ここでいうコイルの巻回の向きとは、平板状のコアに巻回されたコイルが、車両側コアについて厚み方向に垂直な平面に平行に延びる方向のことである。つまり、平板状のコアの厚み方向に対して垂直な広い平面に沿うようにコイルが延びる方向である。
第1コイル161C及び第2コイル162Cのそれぞれは、車両側コアの厚み方向の両面に配置されている。巻回される両方のコイル161C,162Cの巻回軸線は、車両側コアにおける厚み方向に垂直な方向に延びている。
各コイル161C,162Cは、平面視すると、つまり下方向にみると、他方のコイルに対して所定の角度をなしており、両者は交差している。例えば、両者は、90度角度をなすように、車両側コアに巻回されている。
設備側コイル61Cに高周波電流が流れると、右ねじの法則にしたがった所定の向きに磁束が発生する。そして、給電時に、電流が流れる設備側コイル61Cから車両側のコイルに鎖交する磁束の向きに対して、車両側のコイルが適切な向きになるように停車された場合には、いずれかのコイルに誘導電流が流れる。
しかし、車両側のコイルが適切な向きに対してずれる向きになるように停車された場合には、リレースイッチがONされて整流回路110等と接続された方の車両側のコイルに誘導電流が生じないことがある。この場合に、充電制御装置12は、車両側のもう一方のコイルが整流回路110等と接続されるようにもう一つのリレースイッチをONして通電経路を切り換える。充電制御装置12は、この通電経路の切換えを通じて、より多く受電できる方の通電経路を決定し、当該決定した通電経路を構築できるように、各リレースイッチのON、OFFを制御する。
具体的には、設備側コイル61Cに送電が行われている状態で、充電制御装置12は、リレースイッチ112Aを所定時間ONして第1コイル161Cと整流回路110等を接続することで第1の給電を実施し、第1コイル161Cが実際に受電した電力量を算出または測定により求める。充電制御装置12は、送電設備1Aから、第1の給電実施により送電された送電量を取得し、第1の給電の能力を算出する。第1の給電の能力は、「第1の給電による実際の受電量」を「第1の給電時の送電量」で除した値によって求める。
さらに、充電制御装置12は、リレースイッチ112AをOFFするとともにリレースイッチ114を所定時間ONして第2コイル162Cと整流回路110等を接続することで第2の給電を実施し、第2コイル162Cが実際に受電した電力量を算出または測定により求める。充電制御装置12は、送電設備1Aから、第2の給電実施により送電された送電量を取得し、第2の給電の能力を算出する。第2の給電の能力は、「第2の給電による実際の受電量」を「第2の給電時の送電量」で除した値によって求める。
そして、充電制御装置12は、第1の給電の能力と第2の給電の能力とを比較して高い能力が得られる方の選択し、当該選択した給電を構築できるように、各リレースイッチのON、OFFを制御する。
次に、本実施形態の非接触給電システムにおける給電時の処理を図12に示すフローチャートにしたがって説明する。図12に示すように、送電設備1Aと車両10Aは、互いに情報を通信し、一方が他方から受信した情報を用いて後の処理を実行する。例えば、情報の通信は、設備側の通信機5と車両側の通信機13との間のデータ送受信により実施する。
車両10Aでは、充電制御装置12は、ステップ100で、充電のための給電要求があるか否かを判定する。この給電要求は、例えば、車両10Aが給電可能な駐車完了状態になっており、さらに車両10Aのユーザー操作等に基づいた蓄電装置14への充電要求や補機類の駆動要求がある場合に満たされる。ステップ100で給電要求があると判定すると、充電制御装置12は、ステップ110で、リレースイッチ112AをON、リレースイッチ114をOFFして第1コイル161Cが整流回路110に通電するように回路を形成する。さらに充電制御装置12は、通信機13及び通信機5を介して送電制御装置4に対して送電要求を送信する。この要求を受けて、送電制御装置4は、設備側コイル61Cに電流を流す送電処理を実行して、まず第1の給電処理が行われる。この第1の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。
次に第1の給電処理を所定時間実施後、充電制御装置12は、ステップ112において、第1の給電処理の実施による「第1コイル161Cで実際に受電した受電量」を算出または測定するとともに、送電設備1Aに対して、第1の給電処理の実施における「設備側コイル61Cへの送電量」を送信するように要求する。そして、充電制御装置12は、ステップ114で送電設備1Aから、「設備側コイル61Cへの送電量」を受信する。
次に、充電制御装置12は、ステップ120で、リレースイッチ112AをOFF、リレースイッチ114をONして第2コイル162Cが整流回路110に通電するように回路を形成する。さらに充電制御装置12は、通信機13及び通信機5を介して送電制御装置4に対して送電要求を送信する。この要求を受けて、送電制御装置4は、設備側コイル61Cに電流を流す送電処理を実行して、第2の給電処理が行われる。この第2の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。
次に第2の給電処理を所定時間実施後、充電制御装置12は、ステップ122において、第2の給電処理の実施による「第2コイル162Cで実際に受電した受電量」を算出または測定するとともに、送電設備1Aに対して、第2の給電処理の実施における「設備側コイル61Cへの送電量」を送信するように要求する。そして、充電制御装置12は、ステップ124で送電設備1Aから、「設備側コイル61Cへの送電量」を受信する。
次に、充電制御装置12は、ステップ130で、第1の給電の能力が第2の給電の能力以上であるか否かを判定する。このステップでは、先のステップで実施した第1の給電処理と第2の給電処理のいずれが高い能力を発揮する結果となったかを判定する。つまり、高い能力を発揮した方の給電方式を今回の給電に採用することを判定する。
具体的には、第1の給電の能力は、ステップ112で求めた「第1の給電処理による実際の受電量」をステップ114で受信した「第1コイル61への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1Aがした仕事である「第1コイル61への送電量」に対する、車両10Aが得たエネルギーである「第1の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第1の給電処理を行った場合の能力として採用する。同様に、第2の給電の能力は、ステップ122で求めた「第2の給電処理による実際の受電量」をステップ124で受信した「第2コイル62への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1Aがした仕事である「第2コイル62への送電量」に対して、車両10Aが得たエネルギーである「第2の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第2の給電処理を行った場合の能力として採用する。
充電制御装置12は、ステップ130で第1の給電の能力が第2の給電の能力以上であると判定すると、今回の給電において、第1コイル161Cと整流回路110を接続する通電回路を形成することを選択する(ステップ140)。一方、ステップ130で第2の給電の能力が第1の給電の能力を上回ると判定すると、今回の給電において、第2コイル162Cと整流回路110を接続する通電回路を形成することを選択する(ステップ140A)。
そしてステップ150で、充電制御装置12は、設備側パッド6Cからの鎖交磁束によって、選択した方のコイルに生じる誘導電流に応じた電力の受電を開始する。以後、ステップ160で給電終了条件が成立したと判定するまで給電運転の制御を継続する。給電終了条件が成立する場合とは、例えば、充電終了SOC(蓄電装置14に充電終了までに蓄える必要のある蓄電量)の条件が成立することである。
ステップ160で給電終了条件が成立していないと判定すると、ステップ150に戻り、給電制御を継続する。ステップ160で給電条件が成立したと判定すると、給電運転を停止して、本フローを終了する。以上のように図12に示すフローでは、給電運転時に車両10Aの停車状態によって、設備側コイル61Cに対して、車両側におけるいずれのコイルの位置が適切であるかを判定する。そして、より給電能力が高くなる方のコイルで受電することにより、電力供給能力を確保することができる給電運転を実施するのである。
本実施形態の非接触給電システムがもたらす作用効果について説明する。非接触給電システムは、車両10Aに設けられる車両側パッド16Cと送電設備1Aに設けられる設備側パッド6Cの間で電磁界を発生して非接触の給電を行う。車両側パッド16Cの内部には、車両側コア160に対して巻回の向きが異なる複数個のコイルとして第1コイル161Cと第2コイル162Cが設けられている。第1コイル161C及び第2コイル162Cのそれぞれは、車両10Aに設けられる受電回路に接続可能に構成されている。非接触給電システムは、非接触の給電を行う際に、車両側の第1コイル161C及び第2コイル162Cの中から、受電回路に通電可能に接続するコイルを選択して、当該コイルに送電する。
この構成によれば、車両側コア160に対して巻回の向きが異なる第1コイル161C及び第2コイル162C(複数個のコイル)を車両側パッド16Cに備える場合には、車両側のコイルと設備側コイル61Cとの位置関係が車両10A側で受電量を確保できない状況において非接触給電を行うときに、設備側コイル61Cからの送電量に対して、設備側で、複数個のコイルの中から受電量を多くできるコイルを選択することができる。よって、設備側コイル61Cに対して車両10Aの位置や向きを変える動作を行わずとも、設備側コイル61C側から車両側のコイルに作用する電磁界を車両側のコイルに対してより適切な向きにするように車両10A側で適切なコイルの選択を行うことにより、給電時の電力供給を確保できる。以上から、車両側のコイルの巻回の向きが設備側コイル61Cに対して適切な向きからずれるように停車された場合でも、給電時の電力供給能力を確保することができるのである。
また、非接触給電システムは、非接触給電の際に、第1コイル161C及び第2コイル162Cの中から、受電回路に通電可能に接続するコイルを、車両10A側において実際に受電できる受電量が最も高くなるコイルに選択する。
これによれば、非接触給電の際に、車両側のコイルと設備側コイル61Cとの位置関係が車両10A側で受電量を確保できない状況であっても、複数個のコイルのうち、車両10A側において実際に受電できる受電量が最も高くなるコイルが選択されるため、その時々の状況で最大となる電力供給量を車両10Aに受電させることができる。したがって、送電設備1Aからの送電量に対する車両10Aでの受電量の比率を最も高めた状態での非接触給電を実施できるので、エネルギー効率に優れた非接触給電システムを提供できる。
また、非接触給電システムでは、巻回の向きが異なる複数個のコイル(第1コイル161C及び第2コイル162C)は、車両10A側に設けられる。複数個のコイルのそれぞれは、車両に設けられる受電回路に接続可能に構成される。
この構成によれば、非接触給電時に、車両側のコイルと設備側コイル61Cとの位置関係に応じて、車両10A側で複数個のコイルの中から最適なコイルを選択し、当該コイルによって効率的に受電するようにする。このように、車両10A側で複数個のコイルを備えているため、当該車両10Aは、様々な場所の送電設備を利用するたびに、送電設備からの送電量に対する車両10Aでの受電量の比率を最も高めた状態で非接触給電を実施することができる。したがって、当該車両10Aは、送電設備の形態に関わらず、充電のたびに、エネルギー効率に優れた非接触給電を実施できるので、環境にやさしい車両として有用である。
(第5実施形態)
第5実施形態に係る非接触給電システムは、車両側コア及び設備側コアのそれぞれに2個のコイルが巻回されている点が第1実施形態と異なっている。第5実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、作用効果等については第1実施形態、第4実施形態と同様である。図13は、第5実施形態の非接触給電システムに係るブロック図である。図14は、第5実施形態の非接触給電システムにおいて、給電時の処理を説明するためのフローチャートである。
すなわち、図13に示すように、第5実施形態の非接触給電システムは、送電設備1の構成が第1実施形態のものと同一であり、車両10A側の構成が第4実施形態のものと同一である。
次に、本実施形態の非接触給電システムにおける給電時の処理を図14に示すフローチャートにしたがって説明する。図14に示すように、送電設備1と車両10Aは、互いに情報を通信し、一方が他方から受信した情報を用いて後の処理を実行する。例えば、情報の通信は、設備側の通信機5と車両側の通信機13との間のデータ送受信により実施する。
送電設備1では、送電制御装置4は、ステップ200で、車両10Aから充電のための給電要求があるか否かを判定する。この給電要求は、例えば、車両10Aが給電可能な駐車完了状態になっており、さらに車両10Aのユーザー操作等に基づいた蓄電装置14への充電要求や補機類の駆動要求がある場合に満たされる。ステップ10Aで給電要求があると判定すると、送電制御装置4は、ステップ210で設備側の第1コイル61に電流を流す送電処理を実行して、まず第1の給電処理を実施する。例えば、第1の給電処理は、設備側の第1コイル61に送電して車両側の第1コイル161Cで受電する方式である。
この第1の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。また、ステップ210では、第1の給電処理を実行することをその処理実行前に車両10Aの充電制御装置12に対して送信しておく。この送信により、充電制御装置12は、後で要求される受電量の算出または測定の準備をすることができる。
ステップ210で第1の給電処理を所定時間実施後、ステップ212において、送電制御装置4は、第1の給電処理実施による「第1コイル61への送電量」を算出または測定するとともに、第1の給電処理実施において車両側のコイルで実際に受電した受電量と、第1コイル161C、第2コイル162Cのいずれのコイルで受電したかを、車両10Aに対して送信するように要求する。車両10Aの充電制御装置12は、送電設備1からの要求に対して、第1の給電処理開始からの合計の受電電力量を測定または算出することにより求めた「第1の給電処理による実際の受電量」の情報と、受電したコイルの情報(例えば、第1コイル161Cによる受電情報)とを送電制御装置4に送信する。そして、送電制御装置4は、ステップ214で車両10Aから送信された情報を受信するとともに、車両10Aに対して、リレースイッチ112A,114を切り換えて他のコイルを整流回路110に通電するように要求する。
次に、送電制御装置4は、ステップ220で設備側の第1コイル61に電流を流す送電処理を実行して、第2の給電処理を実施する。例えば、第2の給電処理は、設備側の第1コイル61に送電して車両側の第2コイル162Cで受電する方式である。この第2の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。また、ステップ220では、第2の給電処理を実行することをその処理実行前に車両10Aの充電制御装置12に対して送信しておく。この送信により、充電制御装置12は、後で要求される受電量の算出または測定の準備をすることができる。
ステップ220で第1の給電処理を所定時間実施後、ステップ222において、送電制御装置4は、第2の給電処理実施による「第1コイル61への送電量」を算出または測定するとともに、第2の給電処理実施において車両側のコイルで実際に受電した受電量と、第1コイル161C、第2コイル162Cのいずれのコイルで受電したかを、車両10Aに対して送信するように要求する。車両10Aの充電制御装置12は、送電設備1からの要求に対して、第2の給電処理開始からの合計の受電電力量を測定または算出することにより求めた「第2の給電処理による実際の受電量」の情報と、受電したコイルの情報(例えば、第2コイル162Cによる受電情報)とを送電制御装置4に送信する。そして、送電制御装置4は、ステップ224で車両10Aから送信された情報を受信する。
次に、送電制御装置4は、ステップ230で設備側の第2コイル62に電流を流す送電処理を実行して、第3の給電処理を実施する。例えば、第3の給電処理は、設備側の第2コイル62に送電して車両側の第2コイル162Cで受電する方式である。
この第3の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。また、ステップ230では、第3の給電処理を実行することをその処理実行前に車両10Aの充電制御装置12に対して送信しておく。この送信により、充電制御装置12は、後で要求される受電量の算出または測定の準備をすることができる。
ステップ230で第3の給電処理を所定時間実施後、ステップ232において、送電制御装置4は、第3の給電処理実施による「第2コイル62への送電量」を算出または測定するとともに、第3の給電処理実施において車両側のコイルで実際に受電した受電量と、第1コイル161C、第2コイル162Cのいずれのコイルで受電したかを、車両10Aに対して送信するように要求する。車両10Aの充電制御装置12は、送電設備1からの要求に対して、第3の給電処理開始からの合計の受電電力量を測定または算出することにより求めた「第3の給電処理による実際の受電量」の情報と、受電したコイルの情報(例えば、第2コイル162Cによる受電情報)とを送電制御装置4に送信する。そして、送電制御装置4は、ステップ234で車両10Aから送信された情報を受信するとともに、車両10Aに対して、リレースイッチ112A,114を切り換えて他のコイルを整流回路110に通電するように要求する。
次に、送電制御装置4は、ステップ240で設備側の第2コイル62に電流を流す送電処理を実行して、第4の給電処理を実施する。例えば、第4の給電処理は、設備側の第2コイル62に送電して車両側の第1コイル161Cで受電する方式である。この第4の給電処理は予め定めた所定時間継続実施される。また、ステップ240では、第4の給電処理を実行することをその処理実行前に車両10Aの充電制御装置12に対して送信しておく。この送信により、充電制御装置12は、後で要求される受電量の算出または測定の準備をすることができる。
ステップ240で第4の給電処理を所定時間実施後、ステップ242において、送電制御装置4は、第4の給電処理実施による「第2コイル62への送電量」を算出または測定するとともに、第4の給電処理実施において車両側のコイルで実際に受電した受電量と、第1コイル161C、第2コイル162Cのいずれのコイルで受電したかを、車両10Aに対して送信するように要求する。車両10Aの充電制御装置12は、送電設備1からの要求に対して、第4の給電処理開始からの合計の受電電力量を測定または算出することにより求めた「第4の給電処理による実際の受電量」の情報と、受電したコイルの情報(例えば、第1コイル161Cによる受電情報)とを送電制御装置4に送信する。そして、送電制御装置4は、ステップ244で車両10Aから送信された情報を受信する。
次に、送電制御装置4は、ステップ250で、第1の給電処理、第2の給電処理、第3の給電処理、及び第4の給電処理のうち、最も能力が高い給電処理を決定して、選択する。このステップでは、第1の給電の能力は、ステップ214で取得した「第1の給電処理による実際の受電量」をステップ212で求めた「第1コイル61への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1がした仕事である「第1コイル61への送電量」に対する、車両10Aが得たエネルギーである「第1の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第1の給電処理を行った場合の能力として採用する。同様に、第2の給電の能力は、ステップ224で取得した「第2の給電処理による実際の受電量」をステップ222で求めた「第1コイル61への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1がした仕事である「第1コイル61への送電量」に対する、車両10Aが得たエネルギーである「第1の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第2の給電処理を行った場合の能力として採用する。
第3の給電の能力は、ステップ234で取得した「第3の給電処理による実際の受電量」をステップ232で求めた「第2コイル62への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1がした仕事である「第2コイル62への送電量」に対する、車両10Aが得たエネルギーである「第3の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第3の給電処理を行った場合の能力として採用する。第4の給電の能力は、ステップ244で取得した「第4の給電処理による実際の受電量」をステップ242で求めた「第2コイル62への送電量」で除した値によって求める。つまり、送電設備1がした仕事である「第2コイル62への送電量」に対する、車両10Aが得たエネルギーである「第4の給電処理による実際の受電量」の比率を求め、これを第4の給電処理を行った場合の能力として採用する。
そしてステップ260では、このようにして求めた各給電処理の能力の中から最も高い値を示す給電方式を開始する。以後、ステップ270で給電終了条件が成立したと判定するまで給電運転の制御を継続する。給電終了条件が成立する場合とは、例えば、充電終了SOC(蓄電装置14に充電終了までに蓄える必要のある蓄電量)の条件が成立することである。
ステップ270で給電終了条件が成立していないと判定すると、ステップ260に戻り、給電制御を継続する。ステップ270で給電条件が成立したと判定すると、給電運転を停止して、本フローを終了する。以上のように図14に示すフローでは、給電運転時に車両10Aの停車状態によって、4パターンの給電方式の中から、最も高い給電能力を発揮し得る給電を選択する。そして、最も給電能力が高くなる組み合わせのコイルで給電を行うことにより、電力供給能力を確保することができる給電運転を実施するのである。
(第6実施形態)
第6実施形態に係る非接触給電システムは、送電設備1Bに含まれる送電回路に第1コイル61及び第2コイル62のそれぞれに高周波電力を供給する2個の高周波インバータ31A,31Bを備える点が第1実施形態に対して異なっている。第6実施形態は、以下に特に説明しない実施形態、例えば、構成、各部の作動、フローチャート、作用効果等については第1実施形態と同様である。図15は、第5実施形態の非接触給電システムに係るブロック図である。
図15に示すように、第6実施形態の非接触給電システムは、車両10側の構成が第1実施形態のものと同一であり、送電設備1Bの構成が第1実施形態とは上記の点で異なっている。以下、送電設備1Bの構成について、第1実施形態の送電設備1と異なる点を説明する。
送電設備1Bに含まれる設備側送電装置3Bは、整流回路30、2個のリレースイッチ33A,33B、2個の高周波インバータ31A,31B、2個の共振コンデンサ32A,32B等、送電制御装置4、通信機5等を含む。整流回路30から出力された電流の経路は、リレースイッチ33A,33Bによって、第1コイル61に至る通電経路と、第2コイル62に至る通電経路とに切換え可能になっている。リレースイッチ33Aは、第1コイル61に接続される経路をON,OFFし、リレースイッチ33Aと第1コイル61の間には、高周波インバータ31Aと、共振コンデンサ32Aとがこの順に設けられている。リレースイッチ33Bは、第2コイル62に接続される経路をON,OFFし、リレースイッチ33Bと第2コイル62の間には、高周波インバータ31Bと、共振コンデンサ32Bがこの順に設けられている。したがって、第1の送電回路は、整流回路30、リレースイッチ33A、高周波インバータ31A、共振コンデンサ32A、第1コイル61で構成される回路である。第2の送電回路は、整流回路30、リレースイッチ33B、高周波インバータ31B、共振コンデンサ32B、第2コイル62で構成される回路である。
送電制御装置4がリレースイッチ33BをOFFしリレースイッチ33AをONすると、整流回路30から出力された電流は、高周波インバータ31Aで高周波の電力に変換され、共振コンデンサ32Aで電圧と電流との位相を一致するように変換された後、第1コイル61に送電される。また、リレースイッチ33AをOFFしリレースイッチ33BをONすると、整流回路30から出力された電流は、高周波インバータ31Bで高周波の電力に変換され、共振コンデンサ32Bで電圧と電流との位相を一致するように変換された後、第2コイル62に送電される。
以上のように、本実施形態の非接触給電システムによれば、設備側の第1コイル61及び第2コイル62が接続可能に構成される送電回路のそれぞれには、電力変換を行う電力変換回路である高周波インバータ31A,31Bが設けられている。そして、非接触給電システムは、給電時に送電するコイルとして選択された第1コイル61または第2コイル62と送電回路との接続は、高周波インバータ31A,31Bの作動を制御することにより行う。
この構成によれば、給電時に、車両側がより多くの電力を受電できるために選択された設備側コイルに切り換える場合に、該当する高周波インバータの作動を制御することによって、円滑な切換え処理と、送電量の制御とを同時に行うことができる。したがって、設備側パッド6に対する停車状態が適切でない場合でも、円滑な給電運転と十分な電力供給が得られる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記の実施形態では、設備側コア及び車両側コアのそれぞれに巻回されるコイルは、1個または2個としているが、本発明の範囲はこの個数に限定するものではない。つまり、各コアに巻回される複数個のコイルは、3個以上であってもよく、さらに各コイルは他のコイルに対して異なる方向に巻回されていることはいうまでもない。
上記の実施形態では、コアに対して巻回の向きが異なる複数個のコイルを備える場合、2個のコイルの巻回の向きがなす角度は、90度、45度の例を示しているが、本発明の範囲はこの例示角度に限定するものではない。
上記の実施形態では、各コアは、フェライト以外の磁性体材料、例えば、ダストコアや珪素鋼板など交流損失の少ない強磁性体を用いて形成してもよい。また、各コイルは、リッツ線以外の線で構成してもよい。
上記の第2実施形態または第3実施形態に記載の構成は、上記の第4実施形態のシステム、第5実施形態のシステム、及び第5実施形態のシステムのそれぞれに適用可能である。
上記実施形態で例示した各コイルの巻数は、一例であって、図に示す数に限るものではない。