JP5604693B2 - 核燃料要素 - Google Patents

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Description

本発明は、MOXペレットを用いる高速炉の核燃料要素に関し、更に詳しく述べると、MOXペレットからなる炉心燃料の上に、断熱ペレットを介して、チタン又は金属ウランを用いた低密度の酸素ゲッター部材を設置し、その上に上部軸方向ブランケットが配置される構造の核燃料要素に関するものである。
原子力発電においては、燃料寿命を延伸し燃料の交換頻度を下げることが経済性を高める上で効果的であることから、燃料の高燃焼度化が強く求められている。高速炉の場合、現状の燃料の寿命制限因子は被覆管のスエリングであるが、酸化物分散強化型鋼などの改良型被覆材の開発により改善の見通しが得られつつある。
一方、ウラン、プルトニウムの酸化物、及びこれらの混合酸化物(Mixed Oxide :MOX)からなる燃料では、ウラン、プルトニウムの核分裂生成物と核分裂の際に生じる余剰酸素の相乗により、ステンレス鋼製被覆管の内面腐食が生じる。この内面腐食は燃料の燃焼度と共に進行するため、燃焼度が高くなると被覆管の健全性が維持できなくなる。その結果、改良型被覆材の採用により耐スエリング強度が改善されると、内面腐食が新たな寿命制限因子として燃焼度の延伸を妨げることが予想され、その抑制が喫緊の課題となっている。
ウランやプルトニウムの酸化物は不定比性を持つため、MOX燃料の組成はMO2±x で表記される。ここで酸素と金属の原子数比である2±xはO/M比と呼ばれている。O/M比は、燃焼度とともに余剰酸素の蓄積によって増加し、例えば、燃焼開始時の1.98から1.99、2.00、2.01と変化する。そして、O/M比が2.00付近からステンレス鋼製被覆管の内面腐食が顕著になる。
内面腐食の抑制策として、燃料の初期O/M比を例えば1.95程度に下げておく方法が考えられる。この場合には、ある程度の燃焼度に達するまで燃料のO/M比が2.00未満に留められることになり、内面腐食の開始時期を遅らせることができる。しかし、O/M比1.97程度に比べて、1.95まで下げたMOX燃料の製造は必ずしも容易ではないことが分かってきた。
そこで、核燃料要素内に酸素の吸収材を配置し、その吸着材に余剰酸素を吸収させることによってO/M比の上昇を遅延させる方法が考えられるようになった。このような酸素の吸収材は酸素ゲッターと呼ばれており、既に幾つかの提案がなされている。例えば、ゲッター材の粒子を分散させた複合Ni系めっきにより被覆管内面をコーティングする方法(特許文献1)、あるいはペレットの表面を酸素ゲッター材でコーティングする方法(特許文献2)などがある。
しかし、前者のゲッター材の粒子を分散させた複合Ni系めっきによって被覆管内面をコーティングする方法は、以下のような問題がある。
・燃料要素中央部から下部に掛けては、被覆管温度が低いためゲッターの酸化が進まず、少なくともチタンは酸素吸収材として機能しない。
・その分コーティング厚を増やす必要があるが、被覆管の内径は一定にしなければならないため、全体的に増厚する必要があり、下部にはさらに無駄なゲッターがコーティングされることになる。
・金属コーティングの熱伝導は良好であるが酸化物になると大きく低下するため、許容される厚さには限度がある。
・コーティング厚は、ペレット−被覆管のギャップ幅に直結するため厳しい公差が設定されるが、その厳密な制御は困難である。
また後者のペレットの表面を酸素ゲッター材でコーティングする方法は、以下のような問題がある。
・ペレットのコーティング厚もペレット−被覆管のギャップ幅に直結するため、やはり厳密な制御が求められるが、その実現は困難である。
・ペレット量産時におけるコーティング工程の付加は生産性を大きく損なう。
・熱伝導度の低い酸化物燃料ペレットは炉の起動時の熱膨張と径方向の大きな温度勾配によりクラックが生じ、ゲッター材自体も酸化によって体積膨張を生じるため、コーティングの剥離、脱落が生じるおそれがある。
・ブランケットペレットのような一部へのコーティングだけでは必要量のゲッター材を装荷することはできない。
その他の例として、核燃料要素の軸方向中央部に配置したブランケットペレットの間にポーラスな薄型ペレット状の酸素ゲッターを配置する方法もある(特許文献3)。しかし最近の高速炉炉心の設計では、核燃料要素の軸方向中央部に炉心燃料が位置し、その上下にブランケットを配置する構成が一般的であり、特許文献3記載の技術は、このような核燃料要素には適用し難い。また、「ポーラスな薄型ペレット」とあるものの、具体的な製造方法は全く開示されておらず、極端に密度の低い金属ペレットの製造は困難であることから、実現性に問題がある。また、被覆管の温度は上部に行くほど高くなり、その結果、内面腐食も核燃料要素の上部ほど厳しくなるため、軸方向の中央部に酸素ゲッターを配置しても、それによって上部の内面腐食を効果的に抑制できるか否か疑問視される。
このように、上記のような従来技術は、いずれにしても、近年、国内外で検討されている高速炉MOX燃料の基本概念である核燃料要素の両端部にブランケットペレットを配置したペレット型燃料に酸素ゲッターを用いる場合には、各種条件が合致せず実現性に問題があり、別の概念を構築する必要があった。
特開平8−68885号公報 特開昭54−3696号公報 特開昭62−28688号公報
本発明が解決しようとする課題は、MOXペレットからなる炉心燃料の上下にブランケットを配置する核燃料要素において、照射中に生じる余剰酸素吸収のための酸素ゲッター部材を被覆管内で適切な位置に適切な状態で配置することによって、高速炉MOX燃料の寿命延伸と高速炉サイクルの経済性の向上を図ることである。
本発明は、被覆管の軸方向中央部に多数のMOXペレットからなる炉心燃料が位置し、該炉心燃料の下方に下部軸方向ブランケットが、また前記炉心燃料の上方には上部軸方向ブランケットが、それぞれ配置される構造の高速炉用の核燃料要素において、炉心燃料の最上段に位置するMOXペレットの上に、断熱ペレットを介して、チタン又は金属ウランを酸素ゲッター材料としてスミア密度50%以下の低密度で装荷するペレット形状の酸素ゲッター部材を設置し、該酸素ゲッター部材の上に上部軸方向ブランケットを配置することを特徴とする核燃料要素である。
ここで酸素ゲッター部材としては、リボン状のチタン箔を隙間をあけて巻き付けたチタンロールペレットが好ましい。チタンロールペレットに代えて、チタン線を疎に束ねた線材束状ペレットでもよい。酸素ゲッター部材の他の形態としては、メッシュ張り支柱構造の円筒形状のホルダー内に、金属ウラン粒子を収容した構造がある。


本発明の核燃料要素は、炉心燃料の最上段のMOXペレットの上に、断熱ペレットを介して酸素ゲッター部材を設置し、その上に上部軸方向ブランケットが配置される構造なので、適度な温度の領域で、しかも内面腐食が最も顕著となる領域に、酸素ゲッター部材を設置できる。また、ペレット形状の酸素ゲッター部材を用いることで、限られた領域でも必要量のゲッター材を装荷することができるし、断熱ペレットを介在させることで、酸素ゲッター部材に最適な温度を付与することができ、効率的に余剰酸素の吸収を行わせることができる。更に、酸素ゲッター部材をペレット形状とすることで、横置き状態での核燃料要素の加工が可能となり、製造工程を単純化できる。
酸素ゲッター部材を、リボン状のチタン箔を隙間をあけて疎に巻き付けたチタンロールペレットとした場合は、ペレットのスミア密度を、チタン箔の肉厚、長さ、巻き加減によって任意に調整でき、50%以下の低密度のペレットを容易に実現できる。
酸素ゲッター部材を、メッシュ張り支柱構造の円筒形状のホルダー内に、金属ウラン粒子を収容した構造とした場合は、スミア密度を、金属ウラン粒子の収容量で任意に調整でき、容易に50%以下に低密度化できる。
高速炉のペレット型核燃料要素の構造と温度分布の説明図。 本発明に係る核燃料要素の説明図。 チタンロールペレットからなる酸素ゲッター部材の説明図。 酸素吸収によるチタン厚の変化を示すグラフ。 金属ウラン粒子を用いる酸素ゲッター部材の例を示す説明図。
まず、ペレット型MOX燃料を用いる高速炉用核燃料要素の要部の概略構造と温度分布について、図1により説明する。最近の高速炉炉心の設計では、核燃料要素は、図1のAに示すように、長尺の被覆管10の軸方向中央部に炉心燃料12が位置し、該炉心燃料12の下方に下部軸方向ブランケット14が、また前記炉心燃料12の上方に上部軸方向ブランケット16が、それぞれ配置される構造となっている。例えば、炉心燃料12の部分は、多数のMOXペレット20を長さ約1000mmに充填したものであり、下部軸方向ブランケット14及び上部軸方向ブランケット16はUO2 ペレット22からなり、その長さは共に約200mmである。各ペレット外周面と被覆管内面との間には規定寸法のギャップが形成されている。
図1のBは、このような核燃料要素の温度分布のイメージを示している。ペレット中心温度は、軸方向中央部付近のMOXペレットでは、過渡時、2000℃を超える。被覆管の温度は、上部に行くほど高くなる。
被覆管の内面腐食とゲッター温度の分布イメージを図1のCに示す。上記のように、被覆管の温度は上部に行くほど高くなり、その結果、(a)内面腐食も核燃料要素の上部ほど顕著になる。(b)ペレットと接触したゲッターの温度は、軸方向中央部では過大、両端部では過小であり、それらの間に適温の領域がある。(c)ギャップでのゲッターの温度は、炉心燃料の上部と上部軸方向ブランケットの下部の近傍で適温の領域があるが、それ以外の上方と下方では過小となる。これは、被覆管温度支配かペレット温度支配かによる。
本発明は、このような核燃料要素における被覆管の内面腐食及び温度分布イメージなどに鑑みなされたものである。本発明に係る高速炉用の核燃料要素は、図2に示すように、基本的には、被覆管10の軸方向中央部に多数のMOXペレット20を充填してなる炉心燃料12が位置し、該炉心燃料12の下方に下部軸方向ブランケット14が、また前記炉心燃料12の上方には上部軸方向ブランケット16が、それぞれ配置される構造を前提としている。ここで本発明では、前記炉心燃料12の最上段に位置するMOXペレットの上に、断熱ペレット24を介して、チタン又は金属ウランを酸素ゲッター材料として低密度で装荷するペレット形状の酸素ゲッター部材26を配置し、該酸素ゲッター部材26の上に上部軸方向ブランケット16が配置されるように構成している。被覆管10は、その両端が下部端栓30と上部端栓32で密封され、内部にはプレナムスプリング34が装填される。
本発明で酸素ゲッター材料としてチタン又は金属ウランを選定しているのは、MOXより酸素ポテンシャルが低いこと、中性子吸収断面積が小さいこと、燃料及び被覆管と反応しないこと、酸化や熱による膨張量が過大でないこと、使用済燃料の再処理に際し有害でないこと、装荷位置の温度下において溶融や共晶反応を生じないこと、などの条件を満たすことができるからである。
上記のように、本発明では、炉心燃料12の上に断熱ペレット24を介してペレット形状の酸素ゲッター部材26を設置し、その上に上部軸方向ブランケット16を配置する構成としている。酸素ゲッターの役割は、MOX中で生じる余剰酸素と核分裂生成物の化合物から高温化したステンレス鋼製被覆管を保護することにあるので、MOXペレットになるべく近接させて酸素ゲッター部材を装荷設置することが望ましい。他方、炉心燃料の中心部は過渡時に2000℃を超えるため、酸素ゲッターが接触することは許されない。核燃料要素内において、ゲッターの温度が高過ぎず低過ぎないのは、図1のBあるいはCに示すように、上部軸方向ブランケットである。但し、上部軸方向ブランケットの領域であっても上方では温度が低下するため、適度な温度が期待できるのは下方のみになる。このような限られた領域に必要量のゲッターを装荷するために、ゲッターはペレット形状としている。上部軸方向ブランケットの領域に装荷したゲッターは、MOXから遠いという問題があるが、内面腐食は被覆管が最も高温化する炉心燃料上方から上部軸方向ブランケットにおいて最も顕著になることから(図1のC参照)、その位置の直近に配置したゲッターは有効に機能する。ところで、下部軸方向ブランケットの領域でも適度な温度が期待できるが、下部軸方向ブランケットは、腐食領域から明らかに遠いためゲッターの装荷場所としては適当でない。
ここで、炉心燃料の温度は最上段のMOXペレットでもなお高く、ゲッター材料が接触すると溶融や反応を生じるため、両者の間に断熱ペレット(UO2 ペレット)24を挟んでいる。両者を離し過ぎるとゲッター材の温度が低くなり、効率的な余剰酸素の吸収が困難になる。そこで、断熱ペレットの厚さや個数を適切に選定することにより、酸素ゲッター部材に最適な温度を付与する。
酸素ゲッター部材26に関しては、体積膨張への対応が必要となる。チタンやウランは二酸化物になると酸化前の約2倍の体積に膨張するため、被覆管との間の過大な応力を回避するためには装荷密度(スミア密度)を50%程度以下(例えば50〜40%程度)の低密度で装荷しなければならない。
そこで本発明では、酸素ゲッター部材として、リボン状のチタン箔を隙間をあけて疎に巻き付けたチタンロールペレットを用いる。このように、箔状のゲッター材料を緩くロール状に巻くことによって低密度のペレットを得ることができる。
このようなチタンロールペレットに代えて、チタン線材を束ねる構造も有効である。線材は直線形状ではなく波打たせるか、断面形状に凹凸を持たせることにより、緻密な束とならないようにし、低密度のペレットとすることができる。
酸素ゲッター部材としては、メッシュ張り支柱構造の円筒形状のホルダー内に、金属ウラン粒子を収容した構造としてもよい。支柱構造のホルダーを用いることによって、プレナムスプリングのバネ力に耐える機械的強度を持たせると共に、メッシュ張り構造とすることで、プレナムガスの通気性の確保や、金属ウラン粒子の体積膨張をホルダーと被覆管との間のギャップに逃がすことができる。
本発明で用いるペレット形状の酸素ゲッター部材の一例を図3に示す。これはチタンロールペレット40の例であり、Aに示すように、リボン状のチタン箔42を隙間をあけて疎に緩く巻き付けた構造である。核燃料要素は、図2に示すものと同様であり、その酸素ゲッター部材としてチタンロールペレットを装荷する。
実用燃料仕様の内径8.98mmの被覆管への装荷を想定して、外径8.8mm(最大値)のチタンロールペレットを試作した。8.8mmの外径に対して50%のスミア密度を得るために、厚さ100μmのチタン箔を幅10mm、長さ284mmに切断し、外径3mmの治具に巻きつけてロール化した。得られた外径は9.39mmであり、これを内径8.8mmφの治具に収めて800℃の熱処理を行うことにより外径8.64mmのロールが得られた。図3のBは、被覆管にチタンロールペレットを装荷した状態を示している。図3のCに拡大して示されているように、チタン箔の間には間隙が形成されており、通気性を確保することができた。
実用高速炉の核燃料要素(被覆管径10.4mmφ)1本あたりのMOX量は2.11モルと想定されている。目標燃焼度に向けてO/M比0.08相当の余剰酸素を吸収するためには、酸化形態が二酸化物である酸素ゲッター材料を燃料要素1本あたり0.0844モル装荷する必要があり、チタンの場合は0.9cm3 を装荷すればよいことになる。外形寸法8.8mmφ×10mmH、スミア密度50%のチタンロールペレットの真密度は0.317cm3 であるので、核燃料要素1本あたり3個のチタンロールペレットを装荷すればよいことがわかる。
チタンの酸素吸収状況について測定した結果を図4に示す。チタンディスク(10mmφ×3mmt)を、MOXの代表的な酸素ポテンシャルである−347kJ/molにおいて700℃で最大200時間まで加熱すると、チタン酸化物層の厚さが最大209μmに達するとの結果が得られた。このことから、厚さ100μmのチタン箔の両面から酸化が進む場合、50時間程度で全体が酸化すると予想され、月単位で進行する被覆管腐食に比べて十分に速い速度で余剰酸素を吸収できることが確認できた。
また、1300℃におけるチタンとUO2 の反応性について評価した結果、700℃付近において両者の共存性が得られることが確認された。更に、700℃におけるチタンとステンレス鋼(フェライト−マルテンサイト鋼)の反応性について評価した結果、ステンレス鋼の健全性に影響するような反応を生じないことも確認された。
このようなチタンロールペレットは、
・数十〜数百μmの厚さのチタン箔が入手可能であり、それをリボン状に切断してロール状に巻くことは容易であること、
・ペレットのスミア密度を、チタン箔の肉厚、長さ、巻き加減によって任意に調整できること、
・チタンが酸化する際の体積膨張を箔と箔の隙間に吸収できるため、温度が低い場合でも被覆管との相互作用を回避することができること、
・比表面積が大きいため酸素吸収効率が高いこと、
・ハンドリング性に優れ、ピン横置き状態での被覆管装荷が可能であること、
などの利点があり、酸素ゲッター部材として有用であることが確認できた。
これらの結果から、チタンロールペレットを酸素ゲッター部材として用いる本発明の核燃料要素によって、高速炉MOX燃料の寿命延伸と高速炉サイクルの経済性の向上を図ることができる。
本発明で用いるペレット形状の酸素ゲッター部材の他の例を図5に示す。これは金属ウラン粒子を用いる例であり、図5のAに示すように、メッシュ張り支柱構造の円筒形状のホルダー50内に、金属ウラン粒子52を収容した構造である。核燃料要素は、図2に示すものと同様であり、その酸素ゲッター部材としてホルダー50内に金属ウラン粒子52を収容したものを用いる。
ホルダー50は、上下に間隔をおいて円形の端板54が位置し、それらの間を複数の支柱56で支える構造である。複数(図5では3本)の支柱56は、両方の端板54の外周縁に沿って対称的に設けられ、周囲をメッシュで囲んで、内部の金属ウラン粒子52を保持する。ホルダー材としては、例えばチタンが好ましい。鋼は、ウランと鉄が共晶反応を生じる問題があるためである。
この実施例のように、ゲッター材料として金属粒子を用いる場合には、次のような問題がある。
・金属粒子は密度100%の製品として供給されるため、50%のスミア密度を得るには充填率を50%とする必要がある。しかし、細管内の球状粒子の充填密度は最大62.2%に達することから、被覆管内の各部材がプレナムスプリングによって拘束される状況下では、ゲッター粒子を直接充填して50%という低い充填密度を得ることはできない。
・核燃料要素の加工は、ペレット等の充填の都合上、横置き状態で行うが、ゲッター粒子を充填するためには縦置きにしなくてはならず、続いて軸ブラペレットを充填するために再度横置きにしなければならないことから、製造工程が複雑化する。
本発明のように、金属ウラン粒子をホルダーに収容して該ホルダーごと被覆管に装荷する構成にすると、これらの問題を全て解決できる。メッシュ張り支柱構造のホルダーを用いることによって、プレナムスプリングのバネ力に耐える機械的強度を持たせると共に、プレナムガスの通気性の確保や、金属ウラン粒子の体積膨張をホルダーと被覆管との間のギャップに逃がすことができる(図5のB参照)。なお、金属ウラン粒子については、国内で100μmアンダーの製品が製造された実績があり、酸素ゲッター部材の製造に特に問題は無い。本発明では、ブランケットの温度が炉心燃料に比べて低く、ホルダーによってMOXやUO2 とゲッターの接触が妨げられることから、共晶反応を回避することができる。
本発明で用いるチタンロールペレット、チタン線材束状ペレット、及び金属ウラン粒子をホルダー内に収容した構造などの酸素ゲッター部材は、ペレット型燃料だけでなく、振動充填燃料のような顆粒状燃料にも適用可能である。
10 被覆管
12 炉心燃料
14 下部軸方向ブランケット
16 上部軸方向ブランケット
20 MOXペレット
22 UO2 ペレット
24 断熱ペレット
26 酸素ゲッター部材

Claims (3)

  1. 被覆管の軸方向中央部に多数のMOXペレットからなる炉心燃料が位置し、該炉心燃料の下方に下部軸方向ブランケットが、また前記炉心燃料の上方には上部軸方向ブランケットが、それぞれ配置される構造の高速炉用の核燃料要素において、
    前記炉心燃料の最上段に位置するMOXペレットの上に、断熱ペレットを介して、チタン又は金属ウランを酸素ゲッター材料としてスミア密度50%以下の低密度で装荷するペレット形状の酸素ゲッター部材を設置し、該酸素ゲッター部材の上に上部軸方向ブランケットを配置することを特徴とする核燃料要素。
  2. 前記酸素ゲッター部材は、リボン状のチタン箔を隙間をあけて巻き付けたチタンロールペレットである請求項1記載の核燃料要素。
  3. 前記酸素ゲッター部材は、メッシュ張り支柱構造の円筒形状のホルダー内に、金属ウラン粒子を収容した構造である請求項1記載の核燃料要素。
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