JP5603206B2 - ワークの加工方法、ワークの加工装置、およびプログラム - Google Patents

ワークの加工方法、ワークの加工装置、およびプログラム Download PDF

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本発明は、工具とワークとを相対的に移動させてワークの外形形状を加工する加工方法、この加工方法を実施するワークの加工装置、および実行するためのプログラムに係り、特にプリント基板などの薄板のワークの加工方法、加工装置およびプログラムに関する。
プリント基板などのワークを加工する場合、ルータビットと呼ばれる工具を用いて外形加工することが従来から知られている。このような工具は、スピンドルモータに取り付けられ、X、Y、Z軸方向に移動自在に支持するアクチュエータ機構によってワーク上方に配置される。そして、スピンドルモータによって回転を付与した工具をZ軸方向へ降下させた後、工具とテーブルに載置されたワークとを、X、Y軸方向へ相対的に移動させることによりワークを所定の外形に加工する。
このような場合、ワークの外形加工時にワークに対する工具のZ軸方向の高さは一定である。したがって、ワークと接触する工具の刃部の切削領域は常に同じであり、この切削領域の磨耗が早期に進行するため、短期間に工具を交換する必要があった。
そこで、工具の長寿命化を図るべく、特許文献1に示されるように、基板毎に冶具の高さを変えることでルータビットが決まった位置で磨耗しないようにする技術や、特許文献2に示されるように、工具の刃部を複数の切削領域に分割し、先端の切削領域から順番に使用して、電子部品を一定個数分割した時点で使用していない切削領域で切削を行なう技術が知られている。また、特許文献3には、基板に加工を施す外形形状を複数の加工領域に分け、複数に分割されたルータビット刃部の切削領域を順次変更して各加工領域を加工することが記載されている。
特開2001−156423号公報 特開2001−156423号公報 特願2010−161181号明細書(未公開特許文献)
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、基板1枚毎にルータビットの切削領域を変更するため、工具寿命を十分長くすることができない。これは、基板の加工途中でルータビットが磨耗して寿命に達することで発生する切削熱や構成刃先の影響により加工品質が低下することを避けるため、工具の加工限界まで十分に余裕がある状態で工具交換を行なっていたからである。また、特許文献2および特許文献3に記載の技術では、基板の厚さと工具の切削領域を一致させることや工具の刃部を基板の厚さの整数倍にすることは難しく、切削領域間の境界や工具の先端に非使用部分ができてしまい刃部全体を有効に使えないため、工具の交換寿命を十分長くできないという問題があった。
本発明の目的は、上記した課題を解決し、加工品質を維持しつつ、工具の交換寿命を長くすることができる加工方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、テーブルを移動させるためのX軸と、工具を移動させるためのY軸およびZ軸と、前記X、Y、Z軸を制御する制御部とを有する加工装置を用いて、前記工具をX、Y軸方向に相対的に移動させて前記テーブルに載置したワークを加工する加工方法において、前記工具を上昇または下降させる間の水平方向の移動距離(距離A)と前記工具の上昇量とを予め設定し、前記上昇量を前記距離Aで除算してZ軸可変率を算出し、水平方向の移動距離が前記距離Aに到達するまで前記工具を前記Z軸可変率で連続して上昇または下降させることを特徴とする。
この場合、切削領域は、基板毎に変更されることはなく加工中徐々に変更される。また、工具の有効刃長全体を使って加工できるため、切削領域間の境界で非使用部分が発生しない。
本発明によれば、切削領域を徐々に変更することにより、有効刃長全体を使用して加工できるので、加工品質を維持しつつ、工具の交換寿命を長くできる。
本発明に係る加工装置を説明する図である。 本発明に係る加工の動作を説明する図である。(実施例1) 本発明に係る制御部の概要を説明する図である。 本発明に係る加工経路を説明する図である。(実施例1) 本発明に係る一連の動作を表すフローチャートである。(実施例1) 本発明に係る一連の動作を表すフローチャートである。(実施例1) 本発明に係る加工の動作を説明する図である。(実施例2) 本発明に係る一連の動作を表すフローチャートである。(実施例2)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係る加工装置の全体構成を説明する図である。同図において、プリント基板などの薄板のワーク1の加工装置100は、ワーク1を載置するテーブル2と、X軸方向に配設されたガイド3と、ガイド3を支持するベッド4と、テーブル2を移動させるX軸モータ5と、ベッド4上に固定されたコラム6と、コラム6上に移動自在に設置されたクロススライド7と、Y軸方向に配設されたガイド8と、クロススライド7を移動させるY軸モータ9と、Z軸方向に配設されたガイド10とクロススライド7上に移動自在に設置されたベース11と、ベース11を移動させるZ軸モータ12と、スピンドル13に回転自在に保持されたルータビット(工具)14と、加工プログラムの指示に従い、テーブル2、クロススライド7及びベース11の移動を制御するCNC装置15を備えてなる。
ワーク1を載置するテーブル2は、一対のガイド3に支持され、ベッド4上をX軸方向に移動自在である。X軸モータ5は図示を省略するボールねじを介してテーブル2を移動させる。コラム6はベッド4上に固定されている。クロススライド7はガイド8に支持され、コラム6上をY軸方向に移動自在である。Y軸モータ9はボールねじ91を介してクロススライド7を移動させる。ベース11はガイド10に支持され、クロススライド7上をZ軸方向に移動自在である。Z軸モータ12はボールねじ121を介してベース11を移動させる。ルータビット14はスピンドル13に回転自在に支持されている。スピンドル13はベース11に保持されている。CNC装置15は、後述する制御部17に搭載された加工プログラムの指示に従い、テーブル2、クロススライド7及びベース11の移動を制御する。
加工をするときには、図示を省略する工具格納装置から加工プログラムで指定されたルータビット14を選択してスピンドル13に保持させた後、テーブル2、クロススライド7及びベース11をそれぞれ移動させることで、X、Y、Z軸方向にルータビット14とワーク1とを相対的に移動させて、ワーク1の外形を加工する。
図2は本発明に係る加工の動作を説明する図であり、図1と同じものは説明を省略する。切込開始高さであるZ点200に先端が配置されたルータビット14を、X、Y軸方向に相対的に移動させて、上昇時の加工距離である距離Aまでワーク1を加工する。このとき、ルータビット14をZ軸方向にも移動させ、上昇量Cだけ上昇させる。その後、ルータビット14を、X、Y軸方向に相対的に移動させて、距離Aに到達した点から再び距離Aまで加工するとともに、Z軸方向に移動させて、下降量Cだけ下降させる。ルータビット14のハッチング部分は有効刃長(刃部においてルータ加工に用いることができる部分であり、例えば、刃部中心で刃部全体の86%の刃長)を示していて、上昇量Cは有効刃長からワーク1の厚さを減算して決定される。
このように、本発明では、ワーク1と接触するルータビット14の刃部の有効刃長の位置(切削領域)を次々と変更するため、構成刃先の発生を抑制することができる。また、切削領域で加工中に発生する切削熱が、有効刃長の一部に集中することなく有効刃長全体に分散するので、切削熱を低減できる。したがって、加工品質を向上することが可能である。
また、従来は、切削領域を変更するときは、X、Y軸方向の移動を止めてから、工具をZ軸方向へ移動させていた。そのため、Z軸方向への移動中は加工をストップしなければならず、加工効率が低下した。本発明では、このようなことはなく、Z軸方向への移動中も加工を行うので、加工効率を向上することが可能である。
図3は本発明に係る制御部の概要を説明する図である。入力部16から入力された距離A、上昇量C、設定寿命、加工速度v1はCNC装置15の制御部17にある記憶手段18に記憶される。移動距離判断手段19は、加工距離が距離Aに到達したかを判断する。X軸制御手段20、Y軸制御手段21、Z軸制御手段22は、X軸モータ5、Y軸モータ9、Z軸モータ12およびガイド3、8、10からなる移動手段24を制御して、テーブル2上に載置されたワーク1およびルータビット14をX、Y、Z軸方向に相対的に移動させる。可変率算出手段は、上昇量Cを距離Aで除算して可変率z1を求める。設定寿命判断手段24は、加工距離が予め設定された設定寿命に到達したかを判断する。
図4は本発明に係る加工経路を加工するときの動作を説明する図であり、ワーク1に加工される外形形状を加工経路上の点であるP1からP4まで加工することを示している。P1からP4の途中にあるP2からP3までは非加工の領域であって、P1からP2までを加工領域イ、P3からP4までを加工領域ロとしている(なお、同図において、実線は加工経路を、点線はルータビット14の上昇下降動作を、それぞれ表すものである)。まず、P1からスタートし、ルータビット14を上昇下降させながらP2まで加工領域イを加工する。次に、P2でルータビット14を一定の高さまで上昇させた後、P3上方に位置決めする。その後、ルータビット14を再びP2に到達したときの高さまで下降させ、P3からP4まで加工領域ロを加工する。ここで、P5は設定寿命に到達した位置を示しているが、加工経路の途中(加工領域ロの途中)で設定寿命に到達しても、P5で加工を中止せず、P4まで加工を行なう。これは、設定寿命を超えて加工が行われた場合でも、後述の安全率の範囲内であれば加工限界に到達しないからである。
図5、図6は本発明に係る一連の動作を表すフローチャートである。
まず、手順S1で距離A、上昇量C、設定寿命、加工速度v1を制御部17へ入力し記憶手段18に記憶する。距離Aは、ルータビット14を切込開始高さであるZ点200から上昇量Cまで上昇させるときの水平方向の移動距離であり、加工に先立って予め入力される。上昇量Cは、前述したように、ルータビット14の有効刃長からワーク1の厚さを減算して決定される。加工速度v1はルータビット14の水平方向の移動速度である。設定寿命は所定の寿命距離であり、予め、距離A、上昇量C、加工速度v1、ワーク1の厚さや材質等のパラメータを様々に変えてルータビット14で加工を行なった実験データから、これ以上ルータビット14を使用すれば加工精度の低下やルータビット14の発熱又は折損が発生しやすくなるという加工限界の距離を求めそれに安全率(例えば、0.9)を掛けることにより算出する。また、図示を省略するが、S1での入力後、式1により可変率z1を求め、前記可変率z1を用いて式2によりルータビット14のZ軸動作速度v2を求め、それぞれ記憶手段18に記憶しておく。
z1=C/A ・・・(式1)
v2=z1×v1 ・・・(式2)
次に、手順S2で加工を開始するとともに、Z軸を駆動させてルータビット14を上昇させる。その後手順S3に移行する。
手順S3では加工距離が設定寿命に到達したかを判断する。設定寿命に到達した場合は、手順S4に移行し、工具であるルータビット14を交換した後、手順S1に移行して、再び距離A、上昇量C、設定寿命、加工速度v1の入力を繰り返す。設定寿命に到達していない場合は、手順S5へ移行する。なお、段落0020に記載されているように、通常、加工領域の途中で設定寿命に到達した場合には、当該加工領域の加工を完了させてから工具交換を行なう。これは、設定寿命を超えても、上述の安全率の範囲ならば加工限界に達しないためである。またこれは交換直前の磨耗した工具よりも径が太い新品の工具で加工することにより、工具交換前後でワーク1に段差ができて加工品質が低下することを防ぐためであるが、多少の段差がついても問題がない場合には加工領域の途中で工具交換を行なってもよい。
手順S5では、加工距離が距離Aに到達したかどうかを判断する。加工距離が距離Aに到達しなかった場合は、手順S6に移行し、ルータビット14の上昇を継続した後、手順S7に移行する。ここでルータビット14の上昇は、手順S1で入力した上昇量Cを距離Aで除算して求めた可変率z1に加工速度v1を乗算して求めたルータビット14のZ軸動作速度v2で行なう。
手順S7では、プログラム上で設定した全ての加工を終了したかを判断し、加工が全て終了した場合は、本発明のフローを終了する。全ての加工が終了していない場合は、手順S3に移行し再び前記の動作を繰り返す。
手順S5で、加工距離が距離Aに到達した場合は、手順S8に移行し、ルータビット14の下降を開始する。その後、手順S9に移行して、加工距離が設定寿命に到達したかどうか判断する。なお、加工距離が距離Aに到達すると、ルータビット14はZ軸方向に上昇量Cだけ上昇する。
手順S9で加工距離が設定寿命に到達したと判断したときは、手順S10に移行して工具交換を行なった後、手順S1に移行して、再び、距離A、上昇量C、加工速度v1、設定寿命を入力する。加工距離が設定寿命に到達しなかった場合は、手順S11に移行する。
手順S11では、加工距離が距離Aに到達したかどうかを判断する。加工距離が距離Aに到達しなかった場合は、手順S12に移行し、ルータビット14の下降を継続した後、手順S13に移行する。ここでルータビット14の下降は、手順S1で入力した上昇量Cを距離Aで除算して求めた可変率z1に加工速度v1を乗算して求めたルータビット14のZ軸動作速度v2で行なう。
手順S13では、プログラム上で設定した全ての加工を終了したかを判断し、加工が全て終了した場合は、本発明のフローを終了する。全ての加工が終了していない場合は、手順S1に移行し再び前記の動作を繰り返す。
手順S11で、加工距離が距離Aに到達した場合は、手順S14に移行し、ルータビット14の上昇を開始する。その後、手順S3に移行して、加工距離が設定寿命に到達したかどうか判断する。
なお、この実施例では、加工開始と同時にルータビット14を上昇させてから下降させるようにしたが、下降させてから上昇させることもできる。
次に、図7、図8を参照し、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1と同じものは同一の符号を付して重複する説明を省略する。
前記実施例1では、加工およびルータビット14の上昇を開始した後に、加工距離が距離Aに到達したと判断した場合、下降を開始して再び距離Aに到達するまで上昇と同じ速度v2で下降量Cまで下降させる。一方、実施例2では、図7に示されるように、ルータビット14を上昇させる速度と比較して非常に速い速度(例えば、Z軸の最高速度)で瞬時に下降量Cまで下降させた後、再び距離Aに到達するまで速度v2で上昇させる。このような動作を行う場合には、実施例1の動作を示すフローチャート図5の手順S8に換えて図8のフローチャートに示した処理を実行すればよい(手順S81、S82)。
このように、実施例2では、距離Aに到達した後瞬時にルータビット14を下降量Cまで下降させるだけでよいので、下降速度を計算することがなく、比較的簡易な制御でワーク1の加工を行なうことができる。
1 ワーク(プリント基板)
2 テーブル
3、8、10 ガイド
4 ベッド
5 X軸モータ
6 コラム
7 クロススライド
9 Y軸モータ
11 ベース
12 Z軸モータ
13 スピンドル
14 ルータビット(工具)
15 CNC装置
16 入力部
17 制御部
91、121 ボールねじ
P1〜P4 加工経路上の点
P5 設定寿命に到達した位置
S1〜S14、S81、S82 処理手順

Claims (3)

  1. テーブルを移動させるためのX軸と、工具を移動させるためのY軸およびZ軸と、前記X、Y、Z軸を制御する制御部とを有する加工装置を用いて、前記工具をX、Y軸方向に相対的に移動させて前記テーブルに載置したワークを加工する加工方法において、前記工具を上昇させる間の水平方向の移動距離(距離A)と前記工具の上昇量とを予め設定し、前記上昇量を前記距離Aで除算してZ軸可変率を算出し、水平方向の移動距離が前記距離Aに到達するまで前記工具を前記Z軸可変率で連続して上昇または下降させることを特徴とするワークの加工方法。
  2. 請求項1項記載の加工方法を実行する制御部を有することを特徴とするワークの加工装置
  3. ワークの加工装置の制御部に請求項1項記載の加工方法を実行させることを特徴とするワークの加工プログラム。
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