JP5602020B2 - Ngfに対するアプタマー及びその使用 - Google Patents

Ngfに対するアプタマー及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、NGFに対するアプタマー及びその利用方法などに関するものである。
神経成長因子NGF(nerve growth factor)は1951年に同定された最初のニューロトロフィンであり、末梢および中枢ニューロンの発達・生存に係わる重要な分泌タンパク質である。118個のアミノ酸からなり、分子量は13kDaで、分子内に3ヶ所のS−S結合を有する。ファミリータンパク質にBDNF、NT−3、NT−4/5が存在し、これらは構造上よく保存されており、非共有結合によるホモ二量体を形成する。3つの別方向を向いたβシート構造を持ち、この部分で二量体化していると考えられている。またファミリー間でホモロジーの低い4つのループ構造をもち、この部分が受容体に対する特異性を規定していると考えられている。
NGFの受容体には高親和性のチロシンキナーゼ型受容体TrkAと低親和性の腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーに属するp75が知られている。これらの受容体はホモ二量体もしくはヘテロ二量体として作用し神経系の発生と維持に深く係わっている。TrkAは一回膜貫通型受容体で細胞内ドメインにチロシンキナーゼ構造を持つ。NGFが結合するとチロシンリン酸化が起こり、下流にシグナルが伝わり、その細胞の分化促進や生存維持に働く。
TrkAのファミリー受容体としてTrkBとTrkCが知られている。TrkBはBDNFおよびNT−4/5と結合し、TrkCはNT−3と結合する。p75はTrkAに比べてリガンド特異性が低く、NGF以外にもBDNF、NT−3、NT−4/5と結合する。p75は一回膜貫通型受容体であるが、細胞質側にチロシンキナーゼドメインはない。TrkA同様、神経細胞だけでなく非神経細胞にも発現している。この受容体は細胞の分化促進や生存維持に関与しているほか、アポトーシスの誘導や細胞遊走とも関係していることが知られている。結晶構造解析の結果から、ホモ二量体のNGFはTrkAと2:2で結合するが、p75とは2:1で結合することが示唆された。ホモ二量体のNGFがTrkAとp75のヘテロ二量体に結合することもある。
NGFはシュワン細胞、角化細胞、気管支上皮細胞、線維芽細胞、Tリンパ球、マクロファージ、肥満細胞、Bリンパ球、ケラチノサイト、平滑筋細胞、腎糸球体細胞、骨格筋細胞などにより産生される。一方、TrkAは神経細胞のほか、神経細胞以外の単球、Tリンパ球、Bリンパ球、肥満細胞にも発現していることが知られている。p75も同様に神経細胞だけでなく非神経細胞にも発現している。
NGFは神経系において重要な役割を担っていることはよく知られている。コリン作動性ニューロンの生存を維持する作用を有することが明らかにされており、アルツハイマー病と何らかの関連があると考えられている。また、老齢ラットの脳内にNGFを投与すると、記憶障害の改善が認められることから、老人性痴呆の治療薬としても期待されている。
NGFは神経系以外の組織や細胞にも作用し、生体防御や組織修復過程に関与していることがわかっている。例えば、NGFを動物に投与すると、血管透過性の増大、T細胞やB細胞の免疫応答の増強、リンパ球の分化誘導、肥満細胞の増殖誘導、肥満細胞からの各種サイトカインの放出誘導などが起こることが知られている。
NGFは炎症と関連があり、炎症性疾患の患者や炎症性動物モデルでNGFの発現上昇が観察されている。例えば、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、関節炎、間質性膀胱炎、喘息などがそれに当たる。関節リウマチの患者の滑液中のNGFの濃度が上昇していることが報告されている。また、関節リウマチモデルラットのNGFの発現の向上、関節炎モデルマウスで肥満細胞の増加とNGFの発現の向上が報告されている。
NGFは痛みと深く関わる。ヒトにNGFを皮下投与すると、筋肉痛のような深部痛が数日続き、注入部位の痛覚過敏が生じる。NGFノックアウトマウスとTrkAノックアウトマウスは無髄神経が欠損し痛みを感じなくなる。成熟ラットに1mg/kgのNGFを腹腔内投与すると、侵害性熱や機械刺激に対する痛覚過敏が生じる。NGFのトランスジェニックマウスは炎症症状を伴わない痛覚過敏を示す。また、先天性無痛無汗症(CIPA)の患者のTrkA遺伝子に異常があること、NGFの遺伝子に異常があると痛覚が低下することが知られている。
以上より、NGF阻害剤は侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、癌性疼痛、線維筋痛などの疼痛の治療薬として利用可能である。NGF抗体とNSAIDの併用療法(国際公開WO04/073653号パンフレット)、NGF抗体とオピオイド鎮痛剤の併用療法(国際公開WO04/096122号パンフレット)、NGF抗体を用いた手術後の疼痛の治療法(国際公開WO04/032870号パンフレット、国際公開WO05/000194号パンフレット)、NGF抗体を用いた骨癌の疼痛治療法(国際公開WO05/111077号パンフレット)、NGF抗体を用いた変形性関節炎の疼痛治療法(国際公開WO06/110883号パンフレット)が報告されている。
Tanezumab(PF−4383119またはRN624)はNGFに対する抗体で、変形性関節炎モデル動物を用いた疼痛モデル実験で効果を示し、現在臨床試験が行われている。また、NGFとNGF受容体の阻害活性の有無は不明であるが、NGFに結合する天然のRNAに関する報告がある(非特許文献1)。
ところで、近年、RNAアプタマーの治療薬、診断薬、試薬への応用が注目されており、いくつかのRNAアプタマーが臨床段階あるいは実用化段階に入っている。2004年12月には世界初のRNAアプタマー医薬であるMacugenが加齢黄斑変性症の治療薬として米国で承認された。RNAアプタマーとはタンパク質などの標的物質に特異的に結合するRNAのことで、SELEX法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)を用いて作製することができる(特許文献1〜3)。SELEX法とは、1014個程度の異なるヌクレオチド配列を持つRNAのプールから、標的物質に特異的に結合するRNAを選別してくる方法である。使用されるRNAは40残基程度のランダム配列をプライマー配列で挟み込んだ構造をしている。このRNAプールを標的物質と会合させて、フィルターなどを用いて標的物質に結合したRNAのみ回収する。回収したRNAはRT−PCRで増幅し、これを次のラウンドの鋳型として用いる。この作業を10回程度繰り返すことにより、標的物質と特異的に結合するRNAアプタマーを取得することができる場合がある。
アプタマー医薬は抗体医薬と同様に細胞外因子を標的にすることができるが、既に公表されている多くの学術論文等を参考にすると、いくつかの点で抗体医薬を上回る可能性がある。例えば、アプタマーは抗体よりも結合力と特異性が高い場合が多々ある。また、免疫排除を受けにくく、抗体特有の抗体依存性細胞障害(ADCC)や補体依存性細胞障害(CDC)などの副作用は起こらない。デリバリーの観点では、アプタマーは抗体の1/10程度のサイズであるので、目的の部位まで薬物を送達させることはより容易である。アプタマーは化学合成により生産されるので、各種修飾を容易に入れることができ、大量生産によるコストダウンが可能である。一方で、一般にアプタマーの血中半減期は抗体よりも短い。しかし、この点も毒性を考慮した場合はメリットとなる場合がある。以上の点より、同じ分子を標的にした医薬品であっても、アプタマー医薬は抗体医薬に勝る可能性がある。
国際公開WO91/19813号パンフレット 国際公開WO94/08050号パンフレット 国際公開WO95/07364号パンフレット
Binkley J et al., (1995) Nucleic Acids Res, 23, 3198-3205
本発明は、NGFに対するアプタマー及びその利用方法などを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、NGFに対する良質なアプタマーを作製することに成功し、もって本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の発明などを提供するものである:
[1] NGFに結合し、NGFとNGF受容体の結合を阻害するアプタマー;
[2] NGFに結合し、NGFの神経細胞突起伸長活性を阻害するアプタマー;
[3] 50%阻害濃度(IC50)が100nM以下である、[2]に記載のアプタマー;
[4] 50%阻害濃度(IC50)が10nM以下である、[2]に記載のアプタマー;
[5] 少なくとも1つのヌクレオチドが修飾されている、[1]〜[4]のいずれか一に記載のアプタマー;
[6] HGAANNNANCY(配列番号106)で表される配列を含み、ここでNは任意のヌクレオチド、HはGを除くヌクレオチド、Yはピリミジンヌクレオチドであり、前記配列の少なくとも一つのヌクレオチドが修飾されている、[1]〜[4]のいずれか一に記載のアプタマー;
[7] UGAAANNANCY(配列番号107)、CGAANNAAACY(配列番号108)又はAGAANNAAACY(配列番号109)で表される配列を含み、ここでNは任意のヌクレオチド、Yはピリミジンヌクレオチドであり、前記配列の少なくとも一つのヌクレオチドが修飾されている、[1]〜[4]のいずれか一に記載のアプタマー;
[8] UGAAAAAAACY(配列番号110)、UGAAAGAAACY(配列番号111)、CGAACAAAACY(配列番号112)又はCGAAAGAAACY(配列番号113)で表される配列を含み、ここでYはピリミジンヌクレオチドであり、前記配列の少なくとも一つのヌクレオチドが修飾されている、[1]〜[4]のいずれか一に記載のアプタマー;
[9] 各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、[5]〜[8]のいずれか一に記載のアプタマー;
[10] 各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、[5]〜[8]のいずれか一に記載のアプタマー;
[11] 以下の(a)、(b)又は(c)のいずれかのヌクレオチド配列を含む、[1]に記載のアプタマー:
(a)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい);
(b)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)において、1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列;又は
(c)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)と70%以上の同一性を有するヌクレオチド配列;
[12] 少なくとも1つのヌクレオチドが修飾されている、[11]に記載のアプタマー;
[13] 各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、[12]に記載のアプタマー;
[14] 各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、[12]に記載のアプタマー;
[15] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマー及び機能性物質を含む複合体;
[16] 機能性物質が、親和性物質、標識用物質、酵素、薬物送達媒体又は薬物である、[15]に記載の複合体;
[17] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を含む医薬;
[18] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を含む抗疼痛剤;
[19] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を含む抗炎症剤;
[20] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を含む診断薬;
[21] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を含むNGF検出用プローブ;
[22] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を含む、NGF精製用固相担体;
[23] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を用いることを特徴とする、NGFの検出方法;
[24] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を用いることを特徴とする、NGFの精製方法;
[25] [1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体を、それを必要とする対象に投与することを特徴とする、疼痛や炎症を伴う疾患を治療又は予防する方法;
[26] 疼痛や炎症を伴う疾患の治療又は予防用医薬のための、[1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体の使用;
[27] 疼痛や炎症を伴う疾患の治療又は予防用医薬としての使用のための、[1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体;
[28] 疼痛や炎症を伴う疾患を治療又は予防するための、[1]〜[14]のいずれか一に記載のアプタマーあるいは[15]又は[16]に記載の複合体の使用;
[29] 疼痛や炎症を伴う疾患に対する治療剤又は予防剤の製造のための、請求項1〜14のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項15又は16に記載の複合体の使用。
本発明のアプタマー及び複合体は、疼痛や炎症性疾患などの疾患に対する医薬、あるいは診断薬、試薬として有用であり得る。本発明のアプタマー及び複合体はまた、NGFの精製及び濃縮、並びにNGFの検出及び定量に有用であり得る。
配列番号1で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号2で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。 配列番号3で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号4で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号5で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号6で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号7で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号8で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。 配列番号9で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号12で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。 配列番号12で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。 配列番号6で表されるアプタマー(Apt)がヒトNGFに結合することを示すセンサーグラム。40Nは40ヌクレオチドのランダム配列を含んだRNAである。リガンドにAptまたはネガティブコントロールとしての40N、アナライトにヒトNGFを用い、BIAcore社製のBIAcore2000で測定した。 配列番号6で表されるアプタマー(Apt)がヒトNGFとヒトTrkA受容体の結合を阻害する様子を示す図である。40Nは40ヌクレオチドのランダム配列を含むRNA。リガンドにTrkA、アナライトにNGFとAptを混ぜたもの、ネガティブコントロールとしてNGFのみ、およびNGFと40Nを混ぜたものを用い、BIAcore社製のBIAcore2000で測定した。 配列番号6で表されるアプタマー(Apt)がヒトNGFとヒトP75受容体の結合を阻害する様子を示す図である。40Nは40ヌクレオチドのランダム配列を含むRNA。リガンドにTrkA、アナライトにNGFとAptを混ぜたもの、ネガティブコントロールとしてNGFのみ、およびNGFと40Nを混ぜたものを用い、BIAcore社製のBIAcore2000で測定した。 配列番号31で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。 配列番号36で表されるアプタマーのMFOLDプログラムにより予想される二次構造を示す図である。共通配列を黒丸で示す。
本発明は、NGFに対して結合活性を有するアプタマーを提供する。本発明のアプタマーは、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害することによって、NGFの活性を阻害し得る。
アプタマーとは、所定の標的分子に対する結合活性を有する核酸分子をいう。アプタマーは、所定の標的分子に対して結合することにより、所定の標的分子の活性を阻害し得る。本発明のアプタマーは、RNA、DNA、修飾核酸又はそれらの混合物であり得る。本発明のアプタマーはまた、直鎖状又は環状の形態であり得る。
NGFは公知のニューロトロフィンであり、末梢および中枢ニューロンの発達・生存に係わる重要な分泌タンパク質である。NGFはNerve Growth Factorの略である。本発明において、NGFは、特にβタイプのNGFを意味する。ヒトβ−NGFのアミノ酸配列はAccession Number NP002497、P01138、AAI26151、AAI26149、CAB75625で表されるものであるが、変異の入ったものや、そのドメイン、ペプチドであってもよい。また、モノマーだけでなくダイマーや多量体であってもよい。
本発明のアプタマーは、生理的な緩衝液(例えば溶液A:実施例1参照)中で、NGFへ結合する。本発明のアプタマーは、以下の試験により検出可能な程度の強度で、NGFへ結合する。
測定にはBIAcore社製のBIAcore2000を用いる。センサーチップにアプタマーを固定化する。固定化量は1000RUとする。0.3MのNaClを含有する生理的な緩衝液(溶液A:実施例1参照)によりNGF溶液(0.5μM)を調製する。このNGF溶液を20μL注入し、NGFのアプタマーへの結合を検出する。40ヌクレオチドからなるランダムなヌクレオチド配列を含むRNAをネガティブコントロールとし、該コントロールRNAと比較してNGFが有意に強くアプタマーに結合した場合、該アプタマーはNGFへの結合能を有すると判定する。
本発明のアプタマーは、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害することによって、NGFの活性を阻害する。本明細書中、「NGFに対する阻害活性」とはNGFが保有する任意の活性に対する阻害能を意味する。例えば、NGFがNGF受容体に結合することを阻害する活性である。
また、他の「NGFに対する阻害活性」としては、NGFがNGF受容体に結合することによって生じる、NGF受容体の下流のシグナル伝達(Ras−MAPキナーゼ経路、PI3キナーゼ経路)の阻害、TRPV1、SP、BDNFなどの発現上昇の阻害、肥満細胞などから放出されるHA、BK、PG、NGF、その他サイトカインの発現の阻害活性などが挙げられる。
更に、NGFにより誘導される神経細胞の分化、生存、神経突起伸長、血管透過性の増大、T細胞やB細胞の免疫応答の増強、リンパ球の分化、肥満細胞や赤白血病細胞、癌細胞など各種細胞の増殖などの阻害、疼痛、痛覚過敏の軽減などが挙げられる。
本発明のアプタマーが有する好ましい「NGFに対する阻害活性」は、NGFがNGF受容体に結合することを阻害する活性であり、NGFにより誘導される神経突起伸長活性を阻害する活性である。
本明細書中、「NGF受容体」とはNGFが結合する細胞表面タンパク質を意味する。NGF受容体としては、TrkAとp75が知られている。本発明でいうNGF受容体とは、天然のアミノ酸配列を含むタンパク質であってもよいし、その変異体であってもよい。ここで「その変異体」とは、「NGF受容体」のアミノ酸が数個置換されたものやその一部分のアミノ酸配列であって、NGFに対して結合活性を有し、かつNGFとNGF受容体との結合を阻害するタンパク質またはペプチドを意味する。
本発明のアプタマーは、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーである。NGFのNGF受容体への結合をアプタマーが阻害するか否かは、以下の試験により評価することができる。
測定にはBIAcore社製のBIAcore2000を用いる。CM5センサーチップにNGF受容体とFcとの融合タンパク質(例えば、Trk A−Fc(175−TK,R&D systems))又はp75−Fc(R&D systems))を固定化する。固定化量は1100RUとする。生理的な緩衝液(溶液A:実施例1参照)中でNGF(0.1μM)とアプタマー(0.33μM)を混合し、30分調製する。この混合液20μLを注入し、NGFのNGF受容体への結合を検出する。阻害活性%が60%以上だった場合、該アプタマーはNGFのNGF受容体への結合を阻害すると判定する。阻害活性%は、アプタマーを含まないNGFとNGF受容体の結合量を0、NGFを含まない溶液をインジェクションした場合の結合量を100として計算される。ここで結合量は、BIAcoreのセンサーグラムのピークトップでのRU値(NGFのインジェクション終了直後のRU値)を意味する。
一態様において、本発明のアプタマーは、NGFとTrkAとの結合およびNGFとp75との結合を両方阻害し得る。
本発明のアプタマーは、任意の哺乳動物に由来するNGFに対する阻害活性を有し得る。このような哺乳動物としては、例えば、霊長類(例、ヒト、サル)、げっ歯類(例、マウス、ラット、モルモット)、並びにペット、家畜及び使役動物(例、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)が挙げられる。
本発明のアプタマーは、NGFの任意の部分に結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害し得るものである限り特に限定されない。
一つの好ましい態様において、本発明のアプタマーは、HGAANNNANCY(配列番号106)(Nは任意のヌクレオチドであり、HはGを除くヌクレオチドであり、Yはピリミジンヌクレオチドである。)で表される配列を含み、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーである。配列番号106で表されるヌクレオチド配列は、後述するSELEX法により獲得される、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーに含まれる。前記配列の少なくとも一つのヌクレオチドは修飾されていることが好ましい。
一つの好ましい態様において、本発明のアプタマーは、UGAAANNANCY(配列番号107)、CGAANNAAACY(配列番号108)又はAGAANNAAACY(配列番号109)(Nは任意のヌクレオチドであり、Yはピリミジンヌクレオチドである。)で表される共通配列を含み、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーである。配列番号107、配列番号108および配列番号109で表されるヌクレオチド配列は、後述するSELEX法により獲得される、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーに含まれる。これらの配列の少なくとも一つのヌクレオチドは修飾されていることが好ましい。
一つの好ましい態様において、本発明のアプタマーは、UGAAAAAAACY(配列番号110)、UGAAAGAAACY(配列番号111)、CGAACAAAACY(配列番号112)又はCGAAAGAAACY(配列番号113)(Yは、ピリミジンヌクレオチドである。)で表される共通配列を含み、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーである。配列番号110、配列番号111、配列番号112および配列番号113で表されるヌクレオチド配列は、後述するSELEX法により獲得される、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマーに含まれる。これらの配列の少なくとも一つのヌクレオチドは修飾されていることが好ましい。
また本発明のアプタマーは、NGFに結合し、NGFの神経細胞突起伸長活性を阻害するアプタマーであり得る。NGFの神経細胞突起伸長活性をアプタマーが阻害するか否かは、実施例7又は実施例8に記載の試験により評価することができる。
また、神経細胞突起伸長活性が50%となる際のアプタマー濃度(IC50)についても、実施例8に記載の試験をアプタマー濃度を変えて行うことによりすることができる。本発明のアプタマーのIC50は、好ましくは100nM以下であり、より好ましくは10nM以下である。
本発明のアプタマーの長さは特に限定されず、通常、約10〜約200ヌクレオチドであり得るが、例えば約100ヌクレオチド以下であり、好ましくは約60ヌクレオチド以下であり、より好ましくは約50ヌクレオチド以下であり、最も好ましくは約45ヌクレオチド以下であり得る。総ヌクレオチド数が少なければ、化学合成及び大量生産がより容易であり、かつコスト面でのメリットも大きい。また、化学修飾も容易であり、生体内安定性も高く、毒性も低いと考えられる。
本発明のアプタマーに含まれる各ヌクレオチドはそれぞれ、同一又は異なって、リボース(例、ピリミジンヌクレオチドのリボース、プリンヌクレオチドのリボース)の2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチド(即ち、未置換であるヌクレオチド)であるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の原子又は基で置換されているヌクレオチドであり得る。このような任意の原子又は基としては、例えば、水素原子、フッ素原子又は−O−アルキル基(例、−O−Me基)、−O−アシル基(例、−O−CHO基)、アミノ基(例、−NH基)で置換されているヌクレオチドが挙げられる。
本発明のアプタマーはまた、少なくとも1種(例、1、2、3又は4種)のヌクレオチドが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基、又は上述した任意の原子又は基、例えば、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基及び−O−Me基からなる群より選ばれる少なくとも2種(例、2、3又は4種)の基を含むヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーにおいてはまた、全てのピリミジンヌクレオチドが、リボースの2’位において、同一または異なって、フッ素原子で置換されるヌクレオチドであるか、又は上述した任意の原子又は基、好ましくは、水素原子、ヒドロキシ基及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子または基で置換されているヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーにおいてはまた、全てのプリンヌクレオチドが、リボースの2’位において、同一または異なって、ヒドロキシ基で置換されるヌクレオチドであるか、又は上述した任意の原子又は基、好ましくは、水素原子、メトキシ基及びフッ素原子からなる群より選ばれる原子または基で置換されるヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーはまた、全てのヌクレオチドが、リボースの2’位において、ヒドロキシル基、又は上述した任意の原子又は基、例えば、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基及び−O−Me基からなる群より選ばれる同一の基を含むヌクレオチドであり得る。
尚、本明細書においては、アプタマーを構成するヌクレオチドをRNAと仮定して(すなわち糖基をリボースと仮定して)、ヌクレオチド中の糖基への修飾の態様を説明するが、これは、アプタマーを構成するヌクレオチドからDNAが除外されることを意味するものではなく、適宜DNAへの修飾として読み替えられる。例えば、アプタマーを構成するヌクレオチドがDNAである場合、リボースの2’位のヒドロキシル基のXへの置換は、デオキシリボースの2’位の一方の水素原子のXへの置換として読み替えられる。
本発明のアプタマーはまた、
(a)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)を含むアプタマー;
(b)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)において1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列を含むアプタマー;
(c)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)の同一性を有するヌクレオチド配列を含むアプタマー;或いは
(d)上記(a)の複数の連結物、上記(b)の複数の連結物、上記(c)の複数の連結物、上記(a)、(b)及び(c)の複数の連結物からなる群より選ばれる連結物
であり得る。
上記(b)〜(d)のアプタマーは、NGFに結合し且つ/又はNGFの活性(NGF受容体との結合活性等)を阻害し得る。
また好ましくは、上記(b)〜(d)のアプタマーは、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害するアプタマー、および/またはNGFに結合し、NGFの神経細胞突起伸長活性を阻害するアプタマーである。
さらに好ましくは、上記(b)〜(d)のアプタマーは、NGFの神経細胞突起伸長の阻害濃度が100nM以下であるアプタマーであり、より好ましくは、NGFの神経細胞突起伸長の阻害濃度が10nM以下であるアプタマーである。
上記(b)において、置換、欠失、挿入又は付加されるヌクレオチド数は、アプタマーがNGFに結合し、NGFの活性(NGF受容体との結合活性等)を阻害し得る限り特に限定されないが、例えば約30個以下、好ましくは約20個以下、より好ましくは約10個以下、さらにより好ましくは5個以下、最も好ましくは4個、3個、2個又は1個であり得る。
上記(c)において、「同一性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのヌクレオチド配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全ヌクレオチド残基に対する、同一ヌクレオチド残基の割合(%)を意味する。
本明細書において、ヌクレオチド配列における同一性は、例えば相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST−2(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(ギャップオープン=5ペナルティ;ギャップエクステンション=2ペナルティ;x_ドロップオフ=50;期待値=10;フィルタリング=ON)にて2つのヌクレオチド配列をアラインすることにより、計算することができる。
上記(d)において連結はタンデム結合にて行われ得る。また、連結に際し、リンカーを利用してもよい。リンカーとしては、ヌクレオチド鎖(例、1〜約20ヌクレオチド)、非ヌクレオチド鎖(例、−(CH)n−リンカー、−(CHCHO)n−リンカー、ヘキサエチレングリコールリンカー、TEGリンカー、ペプチドを含むリンカー、−S−S−結合を含むリンカー、−CONH−結合を含むリンカー、−OPO−結合を含むリンカー)が挙げられる。上記複数の連結物における複数とは、2以上であれば特に限定されないが、例えば2個、3個又は4個であり得る。上記(a)〜(d)における各ヌクレオチドはそれぞれ、同一又は異なって、リボース(例、ピリミジンヌクレオチドのリボース)の2’位においてヒドロキシル基を含むヌクレオチドであるか、あるいはリボースの2’位において、ヒドロキシル基が、任意の基(例、水素原子、フッ素原子又は−O−Me基)で置換されているヌクレオチドであり得る。
本発明のアプタマーは、NGFに対する結合性、NGFとNGF受容体との結合阻害活性、NGFの神経細胞突起伸長阻害活性、アプタマーの安定性、薬物送達性等を高めるため、各ヌクレオチドの糖残基(例、リボース)が修飾されたものであってもよい。糖残基において修飾される部位としては、例えば、糖残基の2’位、3’位及び/又は4’位の酸素原子を他の原子に置き換えたものなどが挙げられる。修飾の種類としては、例えば、フルオロ化、O−アルキル化(例、O−メチル化、O−エチル化)、O−アリル化、S−アルキル化(例、S−メチル化、S−エチル化)、S−アリル化、アミノ化(例、−NH)が挙げられる。このような糖残基の改変は、自体公知の方法により行うことができる(例えば、Sproat et al.,(1991)Nucle.Acid.Res.19,733−738;Cotton et al.,(1991)Nucl.Acid.Res.19,2629−2635;Hobbs et al.,(1973)Biochemistry 12,5138−5145参照)。
本発明のアプタマーはまた、NGFに対する結合性、NGFとNGF受容体との結合阻害活性、NGFの神経細胞突起伸長阻害活性等を高めるため、核酸塩基(例、プリン、ピリミジン)が改変(例、化学的置換)されたものであってもよい。このような改変としては、例えば、5位ピリミジン改変、6および/または8位プリン改変、環外アミンでの改変、4−チオウリジンでの置換、5−ブロモ又は5−ヨード−ウラシルでの置換が挙げられる。また、ヌクレアーゼ及び加水分解に対して耐性であるように、本発明のアプタマーに含まれるリン酸基が改変されていてもよい。例えば、P(O)O基が、P(O)S(チオエート)、P(S)S(ジチオエート)、P(O)NR(アミデート)、P(O)R、R(O)OR’、CO又はCH(ホルムアセタール)又は3’−アミン(−NH−CH−CH−)で置換されていてもよい〔ここで各々のR又はR’は独立して、Hであるか、あるいは置換されているか、又は置換されていないアルキル(例、メチル、エチル)である〕。
連結基としては、−O−、−N−又は−S−が例示され、これらの連結基を通じて隣接するヌクレオチドに結合し得る。
改変はまた、キャッピングのような3’及び5’の改変を含んでもよい。
改変はさらに、ポリエチレングリコール、アミノ酸、ペプチド、inverted dT、核酸、ヌクレオシド、Myristoyl、Lithocolic−oleyl、Docosanyl、Lauroyl、Stearoyl、Palmitoyl、Oleoyl、Linoleoyl、その他脂質、ステロイド、コレステロール、カフェイン、ビタミン、色素、蛍光物質、抗癌剤、毒素、酵素、放射性物質、ビオチンなどを末端に付加することにより行われ得る。このような改変については、例えば、米国特許第5,660,985号、同第5,756,703号を参照のこと。
本発明のアプタマーは、本明細書中の開示及び当該技術分野における自体公知の方法により化学合成することができる。アプタマーは、リン酸基の負電荷を利用したイオン結合、リボースを利用した疎水結合および水素結合、核酸塩基を利用した水素結合やスタッキング結合など多様な結合様式により標的物質と結合する。特に、構成ヌクレオチドの数だけ存在するリン酸基の負電荷を利用したイオン結合は強く、タンパク質の表面に存在するリジンやアルギニンの正電荷と結合する。このため、標的物質との直接的な結合に関わっていない核酸塩基は置換することができる。特に、ステム構造の部分は既に塩基対が作られており、また、二重らせん構造の内側を向いているので、核酸塩基は、標的物質と直接結合し難い。従って、塩基対を他の塩基対に置換してもアプタマーの活性は減少しない場合が多い。ループ構造など塩基対を作っていない構造においても、核酸塩基が標的分子との直接的な結合に関与していない場合に、塩基の置換が可能である。リボースの2’位の修飾に関しては、まれにリボースの2’位の官能基が標的分子と直接的に相互作用していることがあるが、多くの場合無関係であり、他の修飾分子に置換可能である。このようにアプタマーは、標的分子との直接的な結合に関与している官能基を置換または削除しない限り、その活性を保持していることが多い。また、全体の立体構造が大きく変わらないことも重要である。
アプタマーは、SELEX法及びその改良法(例えば、Ellington et al.,(1990)Nature,346,818−822;Tuerk et al.,(1990)Science,249,505−510)を利用することで作製することができる。SELEX法ではラウンド数を増やしたり、競合物質を使用することで、標的物質に対してより結合力の強いアプタマーが濃縮され、選別されてくる。よって、SELEXのラウンド数を調節したり、及び/又は競合状態を変化させることで、結合力が異なるアプタマー、結合形態が異なるアプタマー、結合力や結合形態は同じであるが塩基配列が異なるアプタマーを得ることができる場合がある。また、SELEX法にはPCRによる増幅過程が含まれるが、その過程でマンガンイオンを使用するなどして変異を入れることで、より多様性に富んだSELEXを行うことが可能となる。
SELEXで得られるアプタマーは標的物質に対して親和性が高い核酸であり、そのことは標的物質の活性部位に結合することを意味しない。従って、SELEXで得られるアプタマーは必ずしも標的物質の機能に作用するとは限らない。NGFは塩基性タンパク質であり、核酸が非特異的に結合しやすいと考えられる。活性部位に結合しないアプタマーはその標的物質の活性に影響を及ぼさない。実際、コントロールで用いたRNAはNGFとNGF受容体の結合を阻害しなかった。
このようにして選ばれた活性のあるアプタマーに基づき、より高い活性を有するアプタマーを獲得するために更にプライマーを変えてSELEXを行うことが出来る。具体的な方法とは、ある配列が決まっているアプタマーの一部をランダム配列にしたテンプレートや10〜30%程度のランダム配列をドープしたテンプレートを作製して、再度SELEXを行うものである。
SELEXで得られるアプタマーは80ヌクレオチド程度の長さがあり、これをそのまま医薬にすることは難しい。そこで、試行錯誤を繰り返し、容易に化学合成ができる50ヌクレオチド程度以下の長さまで短くする必要がある。SELEXで得られるアプタマーはそのプライマー設計に依存して、その後の最小化作業のしやすさが変わる。うまくプライマーを設計しないと、SELEXによって活性のあるアプタマーが選別できたとしても、その後の開発が不可能となる。本発明では38ヌクレオチドでも活性を保持しているアプタマーを得ることができた。
アプタマーは化学合成が可能であるので改変が容易である。アプタマーはMFOLDプログラムを用いて二次構造を予測したり、X線解析やNMR解析によって立体構造を予測することで、どのヌクレオチドを置換または欠損することが可能か、また、どこに新たなヌクレオチドを挿入可能かある程度予測することができる。予測された新しい配列のアプタマーは容易に化学合成することができ、そのアプタマーが活性を保持しているかどうか既存のアッセイ系により確認することができる。
得られたアプタマーの標的物質との結合に重要な部分が、上記のような試行錯誤を繰り返すことにより特定できた場合、その配列の両端に新しい配列を付加しても、多くの場合活性は変化しない。新しい配列の長さは特に限定されるものではない。特に、前述したHGAANNNANCY(配列番号106)、UGAAANNANCY(配列番号107)、CGAANNAAACY(配列番号108)、AGAANNAAACY(配列番号109)、UGAAAAAAACY(配列番号110)、UGAAAGAAACY(配列番号111)、CGAACAAAAC(配列番号112)、CGAAAGAAAC(配列番号113)で表される配列は、本発明のアプタマーがNGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害する上で重要な部分であるが、これらの配列の両端に新しい配列を付加しても、多くの場合活性は変化しない。
修飾に関しても配列と同様に高度に設計又は改変可能である。
以上のように、アプタマーは高度に設計又は改変可能である。本発明はまた、所定の配列(例、ステム部分、インターナルループ部分、ヘアピンループ部分及び一本鎖部分から選ばれる部分に対応する配列:以下、必要に応じて固定配列と省略する)を含むアプタマーを高度に設計又は改変可能であるアプタマーの製造方法を提供する。
例えば、このようなアプタマーの製造方法は、下記:
〔上記において、(N)aはa個のNからなるヌクレオチド鎖を示し、(N)bは、b個のNからなるヌクレオチド鎖を示し、Nはそれぞれ、同一又は異なって、A、G、C、U及びT(好ましくは、A、G、C及びU)からなる群より選ばれるヌクレオチドである。a、bはそれぞれ、同一又は異なって、任意の数であり得るが、例えば1〜約100個、好ましくは1〜約50個、より好ましくは1〜約30個、さらにより好ましくは1〜約20個又は1〜約10個であり得る。〕で表されるヌクレオチド配列からなる単一種の核酸分子又は複数種の核酸分子(例、a、bの数等が異なる核酸分子のライブラリ)、及びプライマー用配列(i)、(ii)にそれぞれ対応するプライマー対を用いて、固定配列を含むアプタマーを製造することを含む。
本発明はまた、本発明のアプタマー及びそれに結合した機能性物質を含む複合体を提供する。本発明の複合体におけるアプタマーと機能性物質との間の結合は共有結合、又は非共有結合であり得る。本発明の複合体は、本発明のアプタマーと1以上(例、2又は3個)の同種又は異種の機能性物質とが結合したものであり得る。機能性物質は、本発明のアプタマーに何らかの機能を新たに付加するもの、あるいは本発明のアプタマーが保持し得る何らかの特性を変化(例、向上)させ得るものである限り特に限定されない。機能性物質としては、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、糖質、単糖、ポリヌクレオチド、ヌクレオチドが挙げられる。機能性物質としてはまた、例えば、親和性物質(例、ビオチン、ストレプトアビジン、標的相補配列に対して親和性を有するポリヌクレオチド、抗体、グルタチオンセファロース、ヒスチジン)、標識用物質(例、蛍光物質、発光物質、放射性同位体)、酵素(例、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、薬物送達媒体(例、リポソーム、ミクロスフェア、ペプチド、ポリエチレングリコール類)、薬物(例、カリケアマイシンやデュオカルマイシンなどミサイル療法に使用されているもの、シクロフォスファミド、メルファラン、イホスファミドまたはトロホスファミドなどのナイトロジェンマスタード類似体、チオテパなどのエチレンイミン類、カルムスチンなどのニトロソ尿素、テモゾロミドまたはダカルバジンなどのアルキル化剤、メトトレキセートまたはラルチトレキセドなどの葉酸類似代謝拮抗剤、チオグアニン、クラドリビンまたはフルダラビンなどのプリン類似体、フルオロウラシル、テガフールまたはゲムシタビンなどのピリミジン類似体、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビンオレルビンなどのビンカアルカロイド及びその類似体、エトポシド、タキサン、ドセタキセルまたはパクリタキセルなどのポドフィロトキシン誘導体、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びミトキサントロンなどのアントラサイクリン類及び類似体、ブレオマイシン及びミトマイシンなどの他の細胞毒性抗生物質、シスプラチン、カルボプラチン及びオキザリプラチンなどの白金化合物、ペントスタチン、ミルテフォシン、エストラムスチン、トポテカン、イリノテカン及びビカルタミド)、毒素(例、リシン毒素、リア毒素及びベロ毒素)が挙げられる。これらの機能性分子は最終的に取り除かれる場合がある。更に、トロンビンやマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、FactorXなどの酵素が認識して切断することができるペプチド、ヌクレアーゼや制限酵素が切断できるポリヌクレオチドであってもよい。
本発明のアプタマー及び複合体は、例えば、医薬又は診断薬、検査薬、試薬、飲料水や食品の添加剤、増強剤、緩和剤として使用され得る。
本発明のアプタマー及び複合体は、NGFに結合し、NGFとNGF受容体との結合を阻害することによって、NGFの機能を阻害する活性を有し得る。上述のように、NGFは疼痛や炎症と深く関わっている。従って、本発明のアプタマー及び複合体は、疼痛や炎症を伴う疾患を治療又は予防するための医薬(抗疼痛剤、抗炎症剤等)として有用である。
ここで疼痛としては侵害受容性疼痛(筋肉痛、背部痛、上肢痛、鞭打ち損傷、関節痛、変形性関節症、痛風、慢性関節リウマチ、頭痛、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、二次性頭痛、口腔顔面痛、歯痛、抜歯後カウザルギー、幻歯痛、内臓痛、心臓痛、腹痛、中間痛、月経困難、陣痛、腎臓痛、尿管痛、膀胱痛など)、炎症性疼痛、神経因性疼痛(糖尿病性ニューロパチー、中毒性ニューロパチー、術後痛、幻肢痛、断片部痛、反射性交感神経性ジストロフィー、カウザルギー、帯状疱疹後痛、三叉神経痛、中枢性疼痛)、癌性疼痛(内臓器官への癌浸潤による痛み、癌組織の血管浸潤による血管閉塞で生じる痛み、骨転移の痛み、脳内転移に伴う痛み、癌組織の末梢神経浸潤による痛み)、線維筋痛などが挙げられる。
ここで炎症に伴う疾患としては、特に限定されるものではないが、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、変形性関節症、慢性関節リウマチ、間質性膀胱炎、喘息などが挙げられる。
上記癌としては、特に限定されるものではないが、食道癌、甲状腺癌、膀胱癌、大腸癌、胃癌、膵臓癌、胸部癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、神経芽細胞腫、ニューロブラストーマ、グリオブラストーマ、子宮癌、子宮頚癌、卵巣癌、ウィルムス腫瘍、前立腺癌などが挙げられる。
NGFはその受容体TrkAに結合するとTrkAのチロシンリン酸化およびTrkA下流のRas-MAPK、PLC-γ、PI3Kなどを活性化させ、神経細胞の生存や分化といった生理的作用を発揮する。一方、p75受容体を介するシグナル経路では細胞死を誘導する。従って、本発明のアプタマー及び複合体は、これらのシグナル伝達経路の活性化に関係した疾患の医薬又は診断薬、検査薬、試薬として使用され得る。これらのシグナル伝達経路の活性化に関係した疾患としては、上記疼痛や癌が挙げられる。
本発明のアプタマー及び複合体が医薬、診断薬、検査薬、試薬などとして用いられる場合、それが投与される対象としては特に限定されないが、例えば、霊長類(例、ヒト、サル)、げっ歯類(例、マウス、ラット、モルモット)、並びにペット、家畜及び使役動物(例、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)が挙げられる。
本発明のアプタマー及び複合体は、NGFに特異的に結合し得る。従って、本発明のアプタマー及び複合体は、NGF検出用プローブとして有用である。該プローブは、NGFのインビボイメージング、血中濃度測定、組織染色、ELISA等に有用である。また、該プローブは、NGFが関与する疾患(疼痛や炎症を伴う疾患等)の診断薬、検査薬、試薬等として有用である。
また、そのNGFへの特異的結合に基づき、本発明のアプタマー及び複合体はNGFの分離精製用リガンドとして使用され得る。
また、本発明のアプタマー及び複合体は、恋愛などの精神的状態を調べるための検査薬や精神状態を調整するための医薬、調整剤、増強剤、緩和剤として使用され得る。
また、本発明のアプタマー及び複合体は、薬物送達剤として使用され得る。
本発明の医薬は、医薬上許容される担体が配合されたものであり得る。医薬上許容される担体としては、例えば、ショ糖、デンプン、マンニット、ソルビット、乳糖、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の賦形剤、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコール−スターチ、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤、クエン酸、メントール、グリシルリシン・アンモニウム塩、グリシン、オレンジ粉等の芳香剤、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン等の保存剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸等の安定剤、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤、界面活性剤等の分散剤、水、生理食塩水、オレンジジュース等の希釈剤、カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
経口投与に好適な製剤は、水、生理食塩水、オレンジジュースのような希釈液に有効量のリガンドを溶解させた液剤、有効量のリガンドを固体や顆粒として含んでいるカプセル剤、サッシェ剤又は錠剤、適当な分散媒中に有効量の有効成分を懸濁させた懸濁液剤、有効量の有効成分を溶解させた溶液を適当な分散媒中に分散させ乳化させた乳剤等である。
また、本発明の医薬は必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性などの目的のため、自体公知の方法でコーティングすることができる。コーティングに用いられるコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン80、プルロニックF68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合体)および色素(例、ベンガラ、二酸化チタンなど)などが用いられる。当該医薬は、速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。徐放の基材としては、例えば、リポソーム、アテロコラーゲン、ゼラチン、ヒドロキシアパタイト、PLGAなどが挙げられる。
非経口的な投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、局所投与、腹腔内投与、経鼻投与、経肺投与など)に好適な製剤としては、水性及び非水性の等張な無菌の注射液剤があり、これには抗酸化剤、緩衝液、制菌剤、等張化剤等が含まれていてもよい。また、水性及び非水性の無菌の懸濁液剤が挙げられ、これには懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。当該製剤は、アンプルやバイアルのように単位投与量あるいは複数回投与量ずつ容器に封入することができる。また、有効成分及び医薬上許容される担体を凍結乾燥し、使用直前に適当な無菌の溶媒に溶解又は懸濁すればよい状態で保存することもできる。また、徐放製剤も好適な製剤として挙げることができる。徐放製剤としては、人工骨や生体分解性もしくは非分解性スポンジ、バッグ、薬剤ポンプ、浸透圧ポンプなど、体内に埋め込まれた担体もしくは容器からの徐放形態、あるいは体外から継続的もしくは断続的に体内もしくは局所に送達されるデバイス等が挙げられる。生体分解性の基材としては、リポソーム、カチオニックリポソーム、Poly(lactic−co−glycolic)acid(PLGA)、アテロコラーゲン、ゼラチン、ヒドロキシアパタイト、多糖シゾフィランなどが挙げられる。更に注射液剤や徐放製剤以外にも、吸入剤、軟膏剤も可能である。吸入剤の場合、凍結乾燥状態の有効成分を微細化し適当な吸入デバイスを用いて吸入投与する。吸入剤には、更に必要に応じて従来より使用されている界面活性剤、油、調味料、シクロデキストリンまたはその誘導体等を適宜配合することができる。
ここで界面活性剤としては、例えばオレイン酸、レシチン、ジエチレングリコールジオレエート、テトラヒドロフルフリルオレエート、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、グリセリルトリオレエート、グリセリルモノラウレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノリシノエート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール400、セチルピリジニウムクロリド、ソルビタントリオレエート(商品名スパン85)、ソルビタンモノオレエート(商品名スパン80)、ソルビタンモノラウレート(商品名スパン20)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(商品名HCO−60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(商品名ツイーン20)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(商品名ツイーン80)、天然資源由来のレシチン(商品名エピクロン)、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル(商品名ブリジ92)、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル(商品名ブリジ72)、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル(商品名ブリジ30)、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル(商品名ゲナポル0−020)、オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック共重合体(商品名シンペロニック)等が挙げられる。油としては、例えばトウモロコシ油、オリーブ油、綿実油、ヒマワリ油等が挙げられる。また、軟膏剤の場合、適当な医薬上許容される基剤(黄色ワセリン、白色ワセリン、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、白色軟膏、ミツロウ、豚油、植物油、親水軟膏、親水ワセリン、精製ラノリン、加水ラノリン、吸水軟膏、親水プラスチベース、マクロゴール軟膏等)を用い、有効成分と混合し製剤化し使用する。
吸入剤は常法に従って製造することができる。すなわち、上記本発明のアプタマー及び複合体を粉末または液状にして、吸入噴射剤および/または担体中に配合し、適当な吸入容器に充填することにより製造することができる。また上記本発明のアプタマー及び複合体が粉末の場合は通常の機械的粉末吸入器を、液状の場合はネブライザー等の吸入器をそれぞれ使用することもできる。ここで噴射剤としては従来公知のものを広く使用でき、フロン−11、フロン−12、フロン−21、フロン−22、フロン−113、フロン−114、フロン−123、フロン−142c、フロン−134a、フロン−227、フロン−C318、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等のフロン系化合物、プロパン、イソブタン、n−ブタン等の炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類、窒素ガス、炭酸ガス等の圧縮ガス等を例示できる。
本発明の医薬の投与量は、有効成分の種類・活性、病気の重篤度、投与対象となる動物種、投与対象の薬物受容性、体重、年齢等によって異なるが、通常、成人1日あたり有効成分量として約0.0001〜約100mg/kg、例えば約0.0001〜約10mg/kg、好ましくは約0.005〜約1mg/kgであり得る。
本発明はまた、本発明のアプタマー及び複合体が固定化された固相担体を提供する。固相担体としては、例えば、基板、樹脂、プレート(例、マルチウェルプレート)、フィルター、カートリッジ、カラム、多孔質材が挙げられる。基板は、DNAチップやプロテインチップなどに使われているものなどであり得、例えば、ニッケル−PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)基板やガラス基板、アパタイト基板、シリコン基板、アルミナ基板などで、これらの基板にポリマーなどのコーティングを施したものが挙げられる。樹脂としては、例えば、アガロース粒子、シリカ粒子、アクリルアミドとN,N’−メチレンビスアクリルアミドの共重合体、ポリスチレン架橋ジビニルベンゼン粒子、デキストランをエピクロロヒドリンで架橋した粒子、セルロースファイバー、アリルデキストランとN,N’−メチレンビスアクリルアミドの架橋ポリマー、単分散系合成ポリマー、単分散系親水性ポリマー、セファロース、トヨパールなどが挙げられ、また、これらの樹脂に各種官能基を結合させた樹脂も含まれる。本発明の固相担体は、例えば、NGFの精製、及びNGFの検出、定量に有用であり得る。
本発明のアプタマー及び複合体は、自体公知の方法により固相担体に固定できる。例えば、親和性物質(例、上述したもの)や所定の官能基を本発明のアプタマー及び複合体に導入し、次いで当該親和性物質や所定の官能基を利用して固相担体に固定化する方法が挙げられる。本発明はまた、このような方法を提供する。所定の官能基は、カップリング反応に供することが可能な官能基であり得、例えば、アミノ基、チオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基が挙げられる。本発明はまた、このような官能基が導入されたアプタマーを提供する。
本発明はまた、NGFの精製及び濃縮方法を提供する。特に本発明はNGFを他のファミリータンパク質から分離することが可能である。本発明の精製及び濃縮方法は、本発明の固相担体にNGFを吸着させ、吸着したNGFを溶出液により溶出させることを含み得る。本発明の固相担体へのNGFの吸着は自体公知の方法により行うことができる。例えば、NGFを含有する試料(例、細菌又は細胞の培養物又は培養上清、血液)を、本発明の固相担体又はその含有物に導入する。NGFの溶出は、中性溶液等の溶出液を用いて行うことができる。中性溶出液は特に限定されるものではないが、例えばpH約6〜約9、好ましくは約6.5〜約8.5、より好ましくは約7〜約8であり得る。中性溶液はまた、例えば、尿素、キレート剤(例、EDTA)、カリウム塩(例、KCl)、マグネシウム塩(例、MgCl)、界面活性剤(例、Tween20、Triton、NP40)、グリセリンを含むものであり得る。本発明の精製及び濃縮方法はさらに、NGFの吸着後、洗浄液を用いて固相担体を洗浄することを含み得る。洗浄液としては、例えば、尿素、キレート剤(例、EDTA)、Tris、酸、アルカリ、Tranfer RNA、DNA、Tween 20などの表面活性剤、NaClなどの塩を含むものなどが挙げられる。本発明の精製及び濃縮方法はさらに、固相担体を加熱処理することを含み得る。かかる工程により、固相担体の再生、滅菌が可能である。
本発明はまた、NGFの検出及び定量方法を提供する。特に本発明はNGFを他のファミリータンパク質と区別して検出及び定量することができる。本発明の検出及び定量方法は、本発明のアプタマーを利用して(例、本発明の複合体及び固相担体の使用により)NGFを測定することを含み得る。NGFの検出及び定量方法は、抗体の代わりに本発明のアプタマーを用いること以外は、免疫学的方法と同様の方法により行われ得る。従って、抗体の代わりに本発明のアプタマーをプローブとして用いることにより、酵素免疫測定法(EIA)(例、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISA)、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ウエスタンブロット法、免疫組織化学的染色法、セルソーティング法等の方法と同様の方法により、検出及び定量を行うことができる。また、PET等の分子プローブとしても、使用することができる。このような方法は、例えば、生体又は生物学的サンプルにおけるNGF量の測定、NGFが関連する疾患の診断に有用であり得る。
本明細書中で挙げられた特許及び特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例等に何ら制約されるものではない。
実施例1:NGFに特異的に結合するRNAアプタマーの作製1
NGFに特異的に結合するRNAアプタマーはSELEX法を用いて作製した。SELEXはEllingtonらの方法(Ellington and Szostak,Nature 346,818−822,1990)及びTuerkらの方法(Tuerk and Gold,Science 249,505−510,1990)を参考にして行った。標的物質としてヒトNGF(R&D Systems社製)を用いた。
最初のラウンドで用いたRNA(40N−RNA)は、化学合成によって得られたDNAをDuraScribeTMT7 Transcription Kit(Epicentre社製)を用いて転写して得た。この方法によって得られたRNAはピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位がフルオロ化されたものである。DNA鋳型として以下に示す40ヌクレオチドのランダム配列の両端にプライマー配列を持った長さ79ヌクレオチドのDNAを用いた。DNA鋳型とプライマーは化学合成によって作製した。
DNA鋳型:5’-ccagttgttggtgacaatgc-40N-gcagctccacaggcttccc-3’(配列番号114)
プライマーFwd:5’-taatacgactcactatagggaagcctgtggagctgc-3’(配列番号115)
プライマーRev:5’-ccagttgttggtgacaatgc-3’(配列番号116)
NはA,G,C又はTのいずれか一つを示す。プライマーFwdはT7 RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含んでいる。最初のラウンドで用いたRNAプールのバリエーションは理論上1014であった。
SELEXを10ラウンド行った後に配列を調べたところ、配列に収束が見られた。48クローンのうち、配列番号1で表される配列は6配列存在し、配列番号2で表される配列は5配列存在した。配列番号3〜5は3配列存在し、配列番号6〜8で表される配列は2配列存在した。配列番号9〜23で表される配列は1配列であった。多くの配列にUGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列が含まれていた。これらの配列の二次構造をMFOLDプログラム(M.Zuker,Nucleic Acids Res.31(13),3406−3415,2003)を用いて予測したところ、共通配列の部分がよく似たバルジ構造となった。配列番号1〜9と12で表される配列のアプタマーの二次構造予測を図1〜10に示す。共通配列を丸で囲った。
以下にそれぞれの配列番号に対応する実際に得られたヌクレオチド配列を示す。なお、ヌクレオチドにおける括弧は、その2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子を示す(以下同様)。
配列番号1:
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配列番号2:
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配列番号3:
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配列番号4:
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配列番号5:
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配列番号6:
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配列番号7:
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配列番号8:
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配列番号9:
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配列番号10:
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配列番号11:
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配列番号12:
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配列番号13:
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配列番号14:
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配列番号15:
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配列番号16:
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配列番号17:
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配列番号18:
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配列番号19:
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配列番号20:
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配列番号21:
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配列番号22:
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配列番号23:
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配列番号1〜9と12で表される核酸のNGFに対する結合活性を表面プラズモン共鳴法により評価した。測定にはBIAcore社製のBIAcore2000を用いた。センサーチップにはストレプトアビジンが固定化されているSAチップを用いた。これに、5’末端にビオチンが結合している16ヌクレオチドのPoly dTを1500RU程度結合させた。リガンドとなる核酸は、3’末端に16ヌクレオチドのPoly Aを付加し、TとAの結合によりSAチップに固定化した。固定化量は約1000RUとした。アナライト用のNGFは0.5μMに調製し、非特異吸着を軽減するために最終濃度0.3M NaClを加えたものを20μLインジェクトした。ランニングバッファーには溶液Aを用いた。ここで溶液Aは145mM塩化ナトリウム、5.4mM塩化カリウム、1.8mM塩化カルシウム、0.8mM塩化マグネシウム、20mMトリス(pH7.6)、0.05% Tween 20の混合溶液である。測定の結果、配列番号1〜9と12で表される核酸の全てが、コントロールの40Nよりも有意にNGFに結合することがわかった。ここで40Nとは40ヌクレオチドのランダム配列を含む、1ラウンド目に使用した核酸プールのことである。一例として配列番号6で表されるアプタマーがNGFと結合する様子を示すセンサーグラムを図11に示す。以上より、これらの核酸はNGFに結合するアプタマーであることが示された。
実施例2:NGFに特異的に結合するRNAアプタマーの作製2
ランダム配列が30ヌクレオチドでプライマー配列を実施例1で用いたものと変えた鋳型を用いて、実施例1と同様のSELEXをおこなった。使用した鋳型とプライマーの配列を以下に示す。鋳型には30ヌクレオチドのランダム配列を用いた。DNA鋳型とプライマーは化学合成によって作製した。
DNA鋳型:5’-tgaggatccatgtatgcgcacata-30N-cttctggtcgaagttctccc-3’(配列番号117)
プライマーFwd:5’-cggaattctaatacgactcactatagggagaacttcgaccagaag-3’(配列番号118)
プライマーRev:5’-tgaggatccatgtatgcgcacata-3’(配列番号119)
SELEX13ラウンド終了後に配列を調べたところ、まだ配列に収束は見られなかった。しかし、多くの配列でUGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列が見られた。また、いくつかの配列はUGAAAGAAACC(配列番号92)、UGAAAAGAACC(配列番号95)、UGAAAGGAACC(配列番号105)などのUGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列に変異を含んだ配列であった。
また、一次配列は少し異なるが、MFOLDプログラムにより同じようなバルジ構造が予想された配列としてAGAAUGAAACU(配列番号102)が存在した。
それらの一部の配列を配列番号37〜42に示す。
SELEX16ラウンド終了後に再度配列を調べたところ、配列番号43、51で表される配列が2つ存在している以外、他の配列は収束していなかった。これらの配列の多くは、13ラウンド終了後の配列同様、UGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列を含んでいた。また、いくつかの配列はUGAAAGAAACC(配列番号92)、UGAAACAAACC(配列番号94)、UGAAAAGAACC(配列番号95)、UGAAAGGAACC(配列番号105)、UGAAAAAACCU(配列番号97)、などのUGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列に変異を含んだ配列であった。
それらの配列の一部を配列番号43〜53に示す。
SELEX19ラウンド終了後に再度配列を調べたところ、配列番号56で表される配列が3配列、配列番号54、57、67で表される配列がそれぞれ2配列ずつ存在した。他の配列は収束していなかった。これらの配列の多くはUGAAAAAAACC(配列番号91)、UGAAAGAAACC(配列番号92)やUGAAAAGAACC(配列番号95)の共通配列を含んでいた。
これらの配列の一部を配列番号54〜59に示す。
SELEX22ラウンド終了後に再度配列を調べたところ、配列番号67で表される配列が6配列、配列番号68で表される配列が3配列存在した。これらの配列は配列番号91で表わされる共通配列によく似た、CGAACAAAACU(配列番号103)とCGAAAGAAACU(配列番号104)の配列を含んでいた。他の配列は収束していなかったが、多くの配列はUGAAAAAAACC(配列番号91)とUGAAAGAAACC(配列番号92)の共通配列を含んでいた。
これらの配列の一部を配列番号60〜68に示す。
以上の配列番号に対応する実際に得られたヌクレオチド配列を、以下に示す。なお、ヌクレオチドにおける括弧はその2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子を示す。
配列番号37:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaaggu(F)gaaac(F)aac(F)aau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号38:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagagaau(F)gaaac(F)u(F)c(F)c(F)ac(F)aaagu(F)ac(F)au(F)aaaac(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号39:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gu(F)gaaaagaac(F)c(F)c(F)aaau(F)aaaac(F)aac(F)aau(F)gu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号40:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aggaaaau(F)ggaagac(F)gu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号41:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaggaac(F)c(F)c(F)aaagc(F)gaaac(F)aaaac(F)gu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号42:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaaagagc(F)agc(F)agagau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号43:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagc(F)u(F)u(F)gaaaaaac(F)c(F)c(F)c(F)aau(F)au(F)gagaau(F)c(F)au(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号44:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaaau(F)u(F)agc(F)ac(F)c(F)au(F)aau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号45:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagagaau(F)gaaac(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aaau(F)c(F)aaggac(F)aau(F)gau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号46:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaac(F)aaac(F)c(F)c(F)aaagu(F)u(F)ac(F)gc(F)ac(F)aaaau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号47:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagaagu(F)u(F)u(F)gaaaagaac(F)c(F)c(F)aaaau(F)gagc(F)aaaau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号48:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaagaac(F)c(F)c(F)gaaaaac(F)gc(F)au(F)aau(F)aau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号49:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaagaaac(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aagac(F)ggu(F)aac(F)gaaagu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号50:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaaaaac(F)c(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aau(F)ac(F)aaac(F)ac(F)aaaaau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号51:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaaaaaac(F)aac(F)au(F)au(F)gaac(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号52:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaau(F)au(F)ac(F)aaaac(F)ac(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号53:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaggaac(F)c(F)c(F)aaaaac(F)ac(F)aaaau(F)gu(F)c(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号54:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)c(F)gaaagu(F)gaaagaaac(F)u(F)c(F)c(F)aac(F)gaaagc(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号55:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaaaau(F)gaau(F)gc(F)aac(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggac(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号56:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaagaaac(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aac(F)ac(F)aaau(F)gc(F)ac(F)aac(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号57:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaac(F)ac(F)c(F)gaagc(F)ac(F)aaau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号58:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaagaac(F)c(F)c(F)aaau(F)ac(F)agaau(F)aaau(F)gu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号59:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)c(F)gaaac(F)gu(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaggaggau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号60:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagau(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)gaau(F)aaagau(F)aac(F)agu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号61:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaaggu(F)c(F)gu(F)aac(F)gaau(F)aaaac(F)u(F)c(F)c(F)u(F)gc(F)ac(F)aaaaau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号62:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaau(F)u(F)aaagu(F)gaac(F)agu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号63:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagau(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaac(F)u(F)aagc(F)ac(F)aaaau(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号64:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)c(F)aaaac(F)au(F)u(F)agc(F)ac(F)ac(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号65:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gu(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaau(F)c(F)gagc(F)ac(F)aaaau(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号66:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaagc(F)aagc(F)ac(F)aac(F)au(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号67:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)c(F)gau(F)aac(F)gaac(F)aaaac(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aaaggaau(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号68:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)c(F)gagagc(F)gaaagaaac(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aaaac(F)ac(F)agu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)a
配列番号37〜68で表される核酸のNGFに対する結合活性を表面プラズモン共鳴法により評価した。実験は実施例1で示した方法と同様の方法を用いた。その結果、その全ての配列がコントロールの30Nよりも有意にNGFに結合することがわかった。
実施例3:NGFに特異的に結合するRNA−DNAモザイクアプタマーの作製
プリンヌクレオチドがRNA、ピリミジンヌクレオチドがDNAのモザイクアプタマーをSELEX法により作製した。鋳型は40ヌクレオチドのランダム配列を含みプライマーが実施例1と2で用いたものと異なるものを使用した。最初のラウンドで用いたRNA−DNAモザイク核酸のプールは、化学合成によって得られたDNAを鋳型とし、rATP、rGTP、dCTP、dTTPを基質として転写して得た。ここでrNTPはリボヌクレオチド、dNTPはデオキシリボヌクレオチドを示す。その他の実験方法は実施例1で示した方法とほぼ同じである。用いた鋳型とプライマー配列を以下に示す。
DNA−RNA鋳型:5’-tcctaatgtctcttctcttcac-40N-gccctattcttgcctctccc-3’(配列番号120)
プライマーFwd:5’-taatacgactcactatagggagaggcaagaatagggc-3’(配列番号121)
プライマーRev:5’-tcctaatgtctcttctcttcac-3’(配列番号122)
SELEX7ラウンド終了後に配列を調べたところ、収束は見られなかったが、TGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列を含む配列が多く見られた。SELEXを10ラウンドまで進め再度配列を調べたところ、配列番号72で表される配列が6配列、配列番号70および71で表される配列がそれぞれ5配列、配列番号69および73で表される配列が2配列存在した。その他、1配列のみ存在するものが22配列存在したが(配列番号74で表される配列を含む)、その多くはTGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列を含んでいた。
以下に配列番号69〜74に対応する実際に得られたヌクレオチド配列を示す。大文字のTおよびCはデオキシリボヌクレオチドを示し、小文字のaおよびgはリボヌクレオチドを示す。
配列番号69:
gggagaggCaagaaTagggCCCagCTgaaaaaaaCCTggaCgTaCaCCgTTCgCCgagCgggTgaagagaagagaCaTTagga
配列番号70:
gggagaggCaagaaTagggCTggaaaTagaaCCgCgCTgTCTTCaTTaagCCgCCCaaCggTgaagagaagagaCaTTagga
配列番号71:
gggagaggCaagaaTagggCaCTTgaaaaaaaCCCaaaTTTaCCgTCTTCagCgTCgggTgTgaagagaagagaCaTTagga
配列番号72:
gggagaggCaagaaTagggCTggaTgggCagTaaCCTgaaaaaaaCCaCCCaCCTCTaCCgTgaagagaagagaCaTTagga
配列番号73:
gggagaggCaagaaTagggCaCTTgaaaaaaaCCCaaagaaagaaTaCTTaCCCggCgCgTgaagagaagagaCaTTagga
配列番号74:
gggagaggCaagaaTagggCaTagTgTagaCCCCTCTCaagaTaCCCCaTgaaTTgCCCCgTgaagagaagagaCaTTagga
配列番号69〜74で表される核酸のNGFに対する結合活性を表面プラズモン共鳴法により評価した。実験は実施例1で示した方法と同様の方法を用いた。その結果、その全てがコントロールの40Nよりも有意にNGFに結合することがわかった。
実施例4:より活性の高いNGFアプタマーの作製
配列番号36で表される配列に30%のランダム配列をドープし、その両端に新しいプライマー配列を付加したRNAプールを用いてSELEXをおこなった。SELEXは実施例1とほぼ同様におこなった。その鋳型とプライマーの配列を以下に示す。
鋳型:
5’- GAGGATCCATGTATGCGCACATAgggtttttttcatcctgcagctccacaggcttcccCTTCTGGTCGAAGTTCT-3’
a:a(70%), g(10%), c(10%), t(10%)
g:g(70%), a(10%), c(10%), t(10%)
c:c(70%), a(10%), g(10%), t(10%)
t:t(70%), a(10%), c(10%), g(10%)
(配列番号123)
プライマーFwd:
5’−CGGAATTCTAATACGACTCACTATAGGGAGAACTTCGACCAGAAG−3’(配列番号124)
プライマーRev:5’−GAGGATCCATGTATGCGCACATA−3’ (配列番号125)
10ラウンド終了後に48クローンの配列を確認したところ収束は見られなかった。しかし、その多くの配列はUGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列を含んでいた。
また、UGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列に変異が入ったUGAAAGAAACC(配列番号92)、UGAAAGAAACU(配列番号93)、UGAAAACAACC(配列番号98)、UGAAAUAAACC(配列番号99)、UGAAAUAAACU(配列番号100)、UGAAAAAAUCU(配列番号101)なども存在した。
その中から12配列をランダムに選び、表面プラズモン共鳴法でNGFに対する結合活性を調べた。測定方法は実施例1に示した通りである。測定の結果、これら12配列の全てが、30%のランダム配列をドープした最初の鋳型よりも有意にNGFに結合することがわかった。以下に各配列番号に対応する実際に得られたヌクレオチド配列を示す。
配列番号75:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaagaau(F)c(F)u(F)c(F)c(F)aaagac(F)aagau(F)aaaaac(F)aac(F)c(F)gu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号76:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaaggau(F)aaac(F)gc(F)au(F)gu(F)au(F)u(F)u(F)gc(F)agu(F)au(F)u(F)aaaaau(F)gc(F)c(F)u(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号77:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaaaaau(F)c(F)u(F)c(F)c(F)agu(F)u(F)gc(F)aagac(F)gaaac(F)aaac(F)c(F)u(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号78:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gu(F)gu(F)au(F)u(F)gu(F)u(F)c(F)agggu(F)gu(F)gc(F)c(F)c(F)agc(F)c(F)u(F)au(F)aac(F)c(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号79:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaaggau(F)agc(F)c(F)au(F)gu(F)ggaggu(F)gaagac(F)u(F)gaaau(F)aaac(F)c(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号80:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaaac(F)aac(F)c(F)u(F)c(F)c(F)c(F)aau(F)aau(F)gau(F)c(F)ac(F)agaaau(F)c(F)c(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号81:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaaggagau(F)gac(F)u(F)gu(F)gu(F)aac(F)c(F)ac(F)agu(F)au(F)gaaau(F)aaac(F)u(F)c(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号82:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagaggau(F)gc(F)u(F)u(F)gu(F)u(F)u(F)ggu(F)u(F)ac(F)aagc(F)u(F)gaaagaaac(F)c(F)u(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号83:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)u(F)gaagc(F)u(F)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aggau(F)u(F)aaac(F)agac(F)agu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号84:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagu(F)gaaagaaac(F)u(F)c(F)c(F)c(F)gau(F)gaaagau(F)gu(F)aac(F)aaac(F)c(F)au(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号85:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaagc(F)ggaagc(F)c(F)u(F)gc(F)gu(F)aac(F)c(F)gc(F)aggau(F)gaaaac(F)aac(F)c(F)gu(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
配列番号86:
gggagaac(F)u(F)u(F)c(F)gac(F)c(F)agaaggagu(F)agc(F)c(F)agu(F)gaac(F)c(F)u(F)ggaau(F)au(F)gaaaaaaac(F)c(F)u(F)u(F)au(F)gu(F)gc(F)gc(F)au(F)ac(F)au(F)ggau(F)c(F)c(F)u(F)c(F)
実施例5:NGFに特異的に結合するDNAアプタマーの作製
NGFに特異的に結合するDNAアプタマーはSELEX法を用いて作製した。SELEX法はFitzwaterとPoliskyらの方法(Fitzwater and Polisky,Methods Enzymol.267,275−301,1996)を改良して行った。標的物質として実施例1で用いたヒトNGFを用いた。最初のラウンドのプールには、40ヌクレオチドのランダム配列の両端にプライマー配列を付加した長さ71のDNA(40N−DNA)を用いた。一本鎖DNAを得るために、プライマーRevの5’末端にはビオチン(bio)を付加した。
鋳型:5’-GGGATCGACAGGGCT-40N-CCGAGTCGTGCCATCT-3’(配列番号126)
プライマーFwd:5’-GGGATCGACAGGGCT-3’(配列番号127)
プライマーRev:bio-AGATGGCACGACTCGG-3’(配列番号128)
7ラウンド終了後、実施例1と同様にして46クローンの配列を調べたところ、配列番号87で表される配列が20配列存在した。その配列を以下に示す。
配列番号87:
GGGATCGACAGGGCTGCAGCACTGGCGTAGGTTGGAATATGGGTATTTTTGTGGTCCGAGTCGTGCCATCT
実施例6:NGFとNGF受容体の結合を阻害するアプタマー
配列番号1〜9、12、37〜55、57〜87で表されるアプタマーがNGFとNGF受容体(TrkAおよびP75)の結合を阻害するかどうか表面プラズモン共鳴法を用いて調べた。BIAcore社のプロトコールに従って、CM5センサーチップにProtein A(21181,PIERCE)を固定化した。そこに、IgGのFc部分が融合したヒトTrk A−Fc(175−TK,R&D systems)を約1100RU固定化した。アナライトとしてNGF(0.1μM)とアプタマー(0.33μM)を混合して30分保持したものをインジェクションした。もしアプタマーがNGFとTrkAの結合を阻害する場合はセンサーグラムのシグナルは上がらないが、もし阻害しない場合は三者複合体を形成しシグナルが上がることが予想される。また、NGFがアプタマーよりも受容体に強く結合する場合は、アプタマーがはずれて、NGFが受容体と結合する場合もある。阻害実験を開始する前にTrkAにNGFが結合することを確認した。アプタマーを含まないNGFとNGF受容体の結合量を100とし、アプタマーを添加した場合のNGFとNGF受容体の結合量を補正値として求めた。ここで結合量は、BIAcoreのセンサーグラムのピークトップでのRU値(NGFのインジェクション終了直後のRU値)とした。100からこの補正値を引いた値を阻害活性%とし、60%以上を阻害活性ありとした。実験の結果、配列番号1〜9、12、37〜55、57〜87で表されるアプタマーの全てがNGFとTrkAの結合を阻害することがわかった(表1)。一例として配列番号6で表されるアプタマーがNGFとTrkAの結合を阻害している様子を図12に示す。もう一つの受容体P75(p75−Fc;R&D systems)に対しても同様な実験をおこなった。その結果、配列番号1〜9、12、37〜55、57〜87で表されるアプタマーの全てがNGFとP75の結合を60%以上阻害することがわかった(表1)。一例として配列番号6で表されるアプタマーがNGFとP75の結合を阻害している様子を図13に示す。
表1は、TrkAまたはp75とNGFとの結合を阻害するアプタマーを示す。“+”は阻害活性%が60%以上のもの、“−”は60%未満のものを表す。
配列番号87で表されるアプタマーに関しては、NGFとアプタマーのモル比が1:1(0.1μM)の条件で上記と同様の阻害実験をおこなった。NGFとアプタマーの混合溶液はTrkAとP75の実験で同じ調製溶液を用い、サンプル調製の誤差の影響がない状態で実験をおこなった。その結果、配列番号87で表されるアプタマーはNGFとTrkAの結合は93%阻害したが、NGFとp75の結合は29%しか阻害しなかった。
実施例7:PC−12細胞を用いたアプタマーの生理活性評価
PC−12細胞を用いた突起伸長抑制実験でアプタマーの生理活性を評価した。ラット副腎褐色細胞腫由来の細胞株であるPC−12細胞は、神経系のモデル細胞であり、NGF刺激によって突起を伸長し、神経細胞様に分化する。この突起伸長をアプタマーが阻害するか否か評価した。PC−12細胞をコラーゲンコートした96ウェル平底プレートに播種し、そこに1時間37℃で予め反応させたNGF(最終濃度25ng/mLまたは1.9nM)とアプタマー(最終濃度500nM)の混合溶液を添加し細胞培養を開始した。その後24時間おきに2回、同量のアプタマーを添加し、3日目に突起伸長の程度を顕微鏡で観察し評価した。評価にはスコア0〜3を用い、スコア0は突起伸長なし、スコア1はわずかに突起伸長あり、スコア2は近傍の細胞まで突起が伸長、スコア3は突起伸長が著しく網状、とした。NGFのみの添加でPC−12細胞を3日間培養する系をネガティブコントロールとし、NGF無添加で同細胞を3日間培養する系をポジティブコントロールとした。また、NGF阻害剤によって突起伸長が抑制されることを確認するために、コントロールのNGF阻害剤として133nMの抗NGF抗体(MAB2561,R&D Systems)をNGFと共に添加して同細胞を3日間培養し、突起伸長が抑制されることを確認した。ネガティブコントロールのスコアを阻害活性0%、ポジティブコントロールのスコアを阻害活性100%と設定し、アプタマーの阻害活性%を算出した。その結果を表2に示す。阻害活性が50%以上を+、50%未満を−と表記した。配列番号1、3〜9および12で表されるアプタマーが突起伸長を顕著に阻害することが明らかとなった(表2)。共通配列を含まない配列番号2で表わされるアプタマーは阻害活性を示さなかった。一方、共通配列を含む配列番号5や6などで表わされるアプタマーは阻害活性を示した。配列番号8で表わされるアプタマーは共通配列を含んでいないが阻害活性を示した。以上より、配列番号1、3〜9および12で表されるアプタマーはNGFの阻害剤となり得ることが示された。
表2は、PC12細胞の神経突起伸長を阻害するアプタマーを示す。阻害活性が50%以上のものを“+”、50%未満のものを“−”とした。
実施例8:Neuroscreen−1細胞を用いたアプタマーの生理活性評価
PC12細胞のサブクローンであるNeuroscreen−1細胞を用いて、アプタマーの神経突起伸長阻害活性を評価した。コラーゲンタイプIVでコートした96ウェル平底プレートに1ウェルあたり2500個の細胞を2.5%ウマ血清と1.25%胎児ウシ血清を含むRPMI−1640培地で1日培養した。そこに室温もしくは37℃にて30分間から1時間無血清のRPMI−1640培地中で予め反応させたNGF(最終濃度15ng/mLまたは1.1nM)とアプタマー(最終濃度500〜3nM)の混合溶液を添加した。2日後もしくは3日後にCellomics Neurite Outgrowth Kits(Thermo Scientific社製)を使用して細胞質と核を染色し、Cellomics ArrayScan VTI(Thermo Scientific社製)によって1細胞あたりの神経突起長を測定した。NGFのみの添加で細胞を2日間培養して得られた1細胞あたりの神経突起長を阻害活性0%、NGF無添加で2日間培養して得られた1細胞あたりの神経突起長を阻害活性100%として、NGFとアプタマーを混合添加した場合に得られた1細胞あたりの神経突起長から、アプタマーの阻害活性を算出した。アプタマー濃度が100nMと10nMの場合の阻害活性と50%阻害濃度(IC50)を表3に示す。阻害活性が0%以下の場合は0%とした。100%以上の場合は100%とした。50%阻害濃度は、50%阻害活性を挟む上下二点の濃度より求めた。IC50値を<と記載したものは、測定最低濃度においても阻害活性が50%以上であった場合で、表示数字は最低測定濃度を示す。実験の結果、IC50が10nM以下の高い活性を有するアプタマーが存在することがわかった。
これらのアプタマーはUGAAAAAAACC(配列番号91)、UGAAAGAAACC(配列番号92)、UGAAAGAAACU(配列番号93)、UGAAAAGAACC(配列番号95)、UGAAAAAACCC(配列番号96)、UGAAAGGAACC(配列番号105)、CGAACAAAACU(配列番号103)、CGAAAGAAACU(配列番号104)、AGAAUGAAACU(配列番号102)、の共通配列を含んでいた。UGAAAAAAACC(配列番号91)とUGAAAGAAACC(配列番号92)の共通配列を含むアプタマーはそれぞれ6種類および5種類存在した。
表3は、Neuroscreen−1細胞の神経突起伸長を阻害するアプタマーの濃度が100nMと10nMの場合の阻害活性(%)と50%阻害濃度(IC50)を示す。
実施例9:アプタマーの短鎖化
配列番号2、5、6、8で表されるアプタマーの短鎖化を行った。配列番号5、6で表されるアプタマーはUGAAAAAAACC(配列番号91)の共通配列を含む。配列番号2および8はこれらの共通配列を含まないアプタマーである。改変体の配列は以下の通りである。
配列番号24:配列番号2で表されるアプタマーの改変体で69ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)c(F)u(F)ac(F)ac(F)u(F)u(F)u(F)agu(F)au(F)gac(F)aaac(F)c(F)u(F)agagu(F)gu(F)aaau(F)gc(F)u(F)u(F)c(F)gc(F)au(F)u(F)gu(F)c(F)ac(F)c(F)
配列番号25:配列番号2で表されるアプタマーの改変体で47ヌクレオチドの長さのアプタマー
ggagc(F)u(F)gc(F)c(F)u(F)ac(F)ac(F)u(F)u(F)u(F)agu(F)au(F)gac(F)aaac(F)c(F)u(F)agagu(F)gu(F)aaau(F)gc(F)u(F)u(F)c(F)
配列番号26:配列番号5で表されるアプタマーの改変体で46ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggc(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)u(F)u(F)aaac(F)aagc(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)agc(F)c(F)c(F)
配列番号27:配列番号6で表されるアプタマーの改変体で45ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)aggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaaau(F)u(F)aaau(F)
配列番号28:配列番号6で表されるアプタマーの改変体で40ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)aggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaaau(F)
配列番号29:配列番号8で表されるアプタマーの改変体で61ヌクレオチドの長さのアプタマー
ggu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)ggau(F)aaaaau(F)agagu(F)u(F)u(F)gau(F)aaac(F)ac(F)c(F)u(F)gu(F)au(F)u(F)aaaac(F)c(F)gc(F)au(F)u(F)gu(F)c(F)ac(F)c(F)
配列番号30:配列番号8で表されるアプタマーの改変体で41ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggau(F)aaaaau(F)agagu(F)u(F)u(F)gau(F)aaac(F)ac(F)c(F)u(F)gu(F)au(F)u(F)aaaac(F)c(F)c(F)
配列番号31:配列番号26で表されるアプタマーの改変体で34ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggagc(F)u(F)gc(F)u(F)u(F)aaac(F)aagc(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)
配列番号32:配列番号26で表されるアプタマーの改変体で38ヌクレオチドの長さのアプタマー
u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)u(F)u(F)aaac(F)aagc(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)a
配列番号33:配列番号26で表されるアプタマーの改変体で36ヌクレオチドの長さのアプタマー
u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)u(F)aaac(F)agc(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)a
配列番号34:配列番号26で表されるアプタマーの改変体で34ヌクレオチドの長さのアプタマー
gu(F)ggagc(F)u(F)gu(F)u(F)aaac(F)aac(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)
配列番号35:配列番号28で表されるアプタマーの改変体で38ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)aggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaa
配列番号36:配列番号28で表されるアプタマーの改変体で35ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)aggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)
配列番号88:配列番号36で表されるアプタマーの改変体で33ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)ggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)
配列番号89:配列番号36で表されるアプタマーの改変体で34ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)aaac(F)agc(F)aggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)
配列番号90:配列番号36で表されるアプタマーの改変体で32ヌクレオチドの長さのアプタマー
gggagc(F)c(F)u(F)gu(F)aaac(F)agc(F)aggu(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)
配列番号31と36で表されるアプタマーの二次構造予測を図14と図15に示す。共通配列は黒丸で示した。
40ヌクレオチド以上の長さのアプタマーは転写により、それ以下の長さのアプタマーは化学合成により作製した。これらの核酸がNGFとNGF受容体の結合を阻害するかどうか、実施例6と同様に表面プラズモン共鳴法により調べた。その結果、これら全ての核酸が阻害活性を有していることがわかった(表1)。
また、PC12細胞の神経突起伸長阻害活性を実施例7と同様に調べたが、配列番号28〜30、32、35に強い阻害活性が認められた(表2)。
配列番号32で表わされるアプタマーは配列番号5で表わされるアプタマーの共通配列を残して38ヌクレオチドまで短鎖化したものである。また、配列番号35で表わされるアプタマーは配列番号6で表わされるアプタマーの共通配列を残して38ヌクレオチドまで短鎖化したものである。以上より、少なくとも配列番号5および6に関しては共通配列が重要であることが示された。
一方、配列番号30で表わされるアプタマーは、共通配列を含まない配列番号8で表わされるアプタマーを短鎖化したものであり、41ヌクレオチドの長さで活性が確認された。これらのアプタマーはNGF阻害剤として使用可能であることが示された。
実施例10:短鎖化したアプタマーの修飾
配列番号30、32、35で表されるアプタマーの血液中での安定性を高めるために、リボースの2’位の水酸基をo−メチル基に置き換えた改変体を作製した。実施例7と同様に、PC12細胞の神経突起伸長阻害を調べたところ、これらのアプタマー全てに強い阻害活性があることがわかった。
以下にそれぞれの修飾体の配列は示す。ヌクレオチドにおける括弧は、その2’位の修飾を示し、Fはフッ素原子、Mはo−メチル基、idTはinverted dTを示す。
配列番号30(1):
idT-gggau(F)aaaaau(F)a(M)g(M)a(M)g(M)u(F)u(F)u(F)g(M)a(M)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)c(F)c(F)u(F)gu(F)au(F)u(F)aaaac(F)c(F)c(F)-idT
配列番号30(2):
gggau(F)aaaa(M)a(M)u(F)agagu(F)u(F)u(F)gau(F)aaac(F)ac(F)c(F)u(F)gu(F)au(F)u(F)aaaac(F)c(F)c(F)
配列番号30(3):
gggau(F)aaaaau(F)agagu(F)u(F)u(F)gau(F)aaac(F)ac(F)c(F)u(F)gu(F)au(F)u(F)a(M)a(M)aac(F)c(F)c(F)
配列番号30(4):
idT-gggau(F)aaaa(M)a(M)u(F)a(M)g(M)a(M)g(M)u(F)u(F)u(F)g(M)a(M)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)c(F)c(F)u(F)gu(F)au(F)u(F)a(M)a(M)aac(F)c(F)c(F)-idT
配列番号30(5):
idT-gggau(F)aaaa(M)a(M)u(F)a(M)g(M)a(M)g(M)u(F)u(F)u(F)g(M)a(M)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)c(F)c(F)u(F)gu(F)a(F)u(F)u(F)a(M)a(M)a(F)a(F)c(F)c(F)c(F)-idT
配列番号30(6):
idT-g(M)g(M)g(M)au(F)a(M)aa(M)a(M)a(M)u(F)a(M)g(M)a(M)g(M)u(F)u(F)u(F)g(M)a(M)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)c(F)c(F)u(F)gu(F)a(M)u(F)u(F)a(M)a(M)a(F)a(F)c(F)c(F)c(F)-idT
配列番号32(1):
idT-u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)g(M)c(F)u(F)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)a(M)g(M)c(F)a(M)a(M)g(M)u(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)a-idT
配列番号32(2):
u(F)g(M)u(F)ggagc(F)u(F)gc(F)u(F)u(F)aaac(F)aagc(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)a(M)
配列番号32(3):
u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)u(F)u(F)aaac(F)aagc(F)aagu(F)gaaaa(M)a(M)aac(F)c(F)ac(F)a
配列番号32(4):
u(F)gu(F)gga(M)gc(F)u(F)gc(F)u(F)u(F)aaac(F)aagc(F)aagu(F)gaaaaaaac(F)c(F)ac(F)a
配列番号32(5):
idT-u(F)g(M)u(F)gga(M)gc(F)u(F)g(M)c(F)u(F)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)a(M)g(M)c(F)aagu(F)gaaaa(M)a(M)a(M)a(M)c(F)c(F)ac(F)a-idT
配列番号32(6):
idT-u(F)g(M)u(F)g(M)ga(M)gc(F)u(F)g(M)c(F)u(F)u(F)a(M)a(M)a(M)c(F)a(M)a(M)g(M)c(F)a(M)a(M)g(M)u(F)gaaaa(M)a(M)a(M)a(M)c(F)c(F)ac(F)a-idT
配列番号35(1):
idT-ggga(M)a(M)g(M)c(F)c(F)u(F)g(M)u(F)g(M)g(M)a(M)g(M)c(F)u(F)g(M)c(F)a(M)g(M)g(M)au(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)aaa-idT
配列番号35(2):
idT-ggga(M)a(M)g(M)c(F)c(F)u(F)g(M)u(F)ggagc(F)u(F)g(M)c(F)a(M)g(M)g(M)au(F)gaaaa(M)a(M)a(M)a(M)c(F)c(F)c(F)aaa-idT
配列番号35(3):
gggaagc(F)c(F)u(F)gu(F)ggagc(F)u(F)gc(F)aggau(F)gaaaaaaac(F)c(F)c(F)a(M)a(M)a(M)
配列番号35(4):
idT-ggga(M)a(M)g(M)c(F)c(F)u(F)g(M)u(F)g(M)g(M)a(M)g(M)c(F)u(F)g(M)c(F)a(M)g(M)g(M)au(F)gaaaa(M)a(M)a(M)a(M)c(F)c(F)c(F)a(M)a(M)a(M)-idT
配列番号35(5):
idT-g(M)g(M)ga(M)a(M)g(M)c(F)c(F)u(F)g(M)u(F)g(M)g(M)a(M)g(M)c(F)u(F)g(M)c(F)a(M)g(M)g(M)au(F)gaaaa(M)a(M)a(M)a(M)c(F)c(F)c(F)a(M)a(M)a(M)-idT
配列番号35(6):
idT-g(M)g(M)ga(M)a(M)g(M)c(F)c(F)u(F)g(M)u(F)g(M)g(M)a(M)g(M)c(F)u(F)g(M)c(F)a(M)g(M)g(M)a(F)u(F)gaaaa(M)a(M)a(M)a(M)c(F)c(F)c(F)a(M)a(M)a(M)-idT
実施例11:フットプリント法によるアプタマーのNGF結合部位の特定
共通配列がNGFの結合部位であることを確認するために、NGF非存在下および存在下で酵素消化実験を行った。共通配列がNGFの結合部位である場合、NGF非存在下では酵素消化されるが、NGF存在下ではヌクレアーゼが共通配列に結合することができないので、酵素消化されないという結果を得るはずである。配列番号62で表わされるアプタマーの5’末端または3’末端に蛍光物質(FAM6)を結合したアプタマーを用いて実験を行った。配列番号62で表わされるアプタマーはUGAAAGAAACC(配列番号92)の共通配列を含んでいる。ヌクレアーゼとしては、一本鎖を選択的に切断するS1ヌクレアーゼ(タカラバイオ社製)、二本鎖を選択的に切断するV1ヌクレアーゼ(アンビオン社製)、一本鎖のGを選択的に切断するT1ヌクレアーゼ(アンビオン社製)の3種類を用いた。各酵素反応は添付の仕様書を参考にして、表4の条件で行った。S1ヌクレアーゼの反応溶液には0.833mMのZnClを添加した。
NGFを添加する実験では、アプタマーとNGFのモル比を1:2とし、結合バッファーである溶液Bに溶解した。ここで溶液Bとは145mM塩化ナトリウム、5.4mM塩化カリウム、1.8mM塩化カルシウム、0.8mM塩化マグネシウム、20mMトリス(pH7.6)の混合溶液である。
酵素反応後、フェノール・クロロホルム処理により反応を停止し、水溶性画分を回収して濃縮した後、アルカリフォスファターゼ(タカラバイオ社製)により末端のリン酸を取り除いた。アルカリホスファターゼによる酵素処理は、添付の仕様書を参考にして、37℃で1.5時間行った。これらのサンプルは20%の変性ポリアクリルアミド電気泳動法により分析した。蛍光検出にはStorm850(GEヘルスケアー社製)を用いた。実験の結果、NGF非存在下ではUGAAAGAAACC(配列番号92)のGAAAGAがS1およびT1ヌクレアーゼにより切断された。一方、NGF存在下ではこれらの切断は顕著に抑制された。ここで、ピリミジンヌクレオチドはフルオロ修飾体である。以上より、共通配列部分はNGFの結合部位であることが示された。
実施例12:共通配列部分への変異導入による活性変化
共通配列の部分に変異を導入し、活性の変化を実施例8と同様にNeuroscreen−1細胞を用いて評価した。共通配列UGAAAAAAACC(配列番号91)を含むアプタマーとして配列番号35で表わされる38ヌクレオチド長のものを用いた。その結果を表5に示す。
変異導入していないアプタマーを300nM添加した場合、92%の神経突起伸長の阻害が見られた。一方、1ヌクレオチドの変異を導入すると活性は完全に消失した。また、UGAAAAAAACC(配列番号91)の3〜5番目のAをDNAタイプに置換すると活性が完全に消失した。以上より、共通配列はNGFの活性を阻害する上で重要であることが示された。
表5は、Neuroscreen−1細胞を用いた神経突起伸長阻害実験の結果を示す。配列番号35で表わされるアプタマーおよびその変異体を300nM添加した。ピリミジンヌクレオチドはフルオロ修飾体、プリンヌクレオチドの大文字はRNAタイプ、小文字はDNAタイプを示す。下線の部分に変異を導入した。
実施例13:共通配列に関する検討
本実験において、プールやプライマー配列など、条件を変えたSELEXで常に高頻度に共通配列が出現した(実施例1〜4)。SELEXで得られた74配列中、UGAAANNANCY(配列番号107)の共通配列を含むアプタマーは59配列存在した。ここで、NはA、G、C、Uの任意のヌクレオチドで、UはTであってもよい。Yはピリミジンヌクレオチドを示す。このうち、UGAAAAAAACY(配列番号110)は29配列、UGAAAGAAACY(配列番号111)は13配列存在した。
一方、一般式CGAANNAAACY(配列番号108)およびAGAANNAAACY(配列番号109)で表わされる共通配列もそれぞれ3個と2個存在していた。このうち、CGAACAAAACY(配列番号112)は1配列、CGAAAGAAACY(配列番号113)は1配列存在した。これらはHGAANNNANCY(配列番号106)という一般式で表示できる。
これらの共通配列は、38ヌクレオチド長の短鎖化体に必要であること(実施例9)、酵素消化の実験でNGFを添加することで保護されること(実施例11)、変異導入で生理活性が大きく低下すること(実施例12)からも、NGFの機能を阻害する上で重要であることがわかる。
実施例14:短鎖化アプタマーへの変異導入
短鎖化したアプタマーに変異を導入した場合、活性が保持できるかどうか確認した。配列番号30(6)のアプタマーは41ヌクレオチドの長さで共通配列を含んでいない。5’及び3’末端はinverted dTが付加している。活性は実施例8と同様にNeuroscreen−1細胞を用いて評価した。結果を表6に示す。
MFOLDプログラムで予測されたステム部分のG1:C41、A10:U33、A12:U31塩基対をC1:G41、U10:A33、U12:A31に入れ替えたところ、活性の顕著な低下は見られなかった。また、ループ部分のG20とG23をA20とA23に置換したところ、同様に活性の顕著な低下は見られなかった。以上より、配列番号30(6)で表わされるアプタマーは数個の変異が入っても活性が保持されていることが示された。
実施例15:先行文献に記載されたNGFアプタマーとの比較
配列番号30、32、35で表わされるアプタマーと、先行文献(Binkley J et al.,(1995)Nucleic Acids Res.23, 3198)に記載のNGFアプタマーの、NGFへの結合活性、NGFとNGF受容体との結合阻害活性、神経突起伸長阻害活性の比較を行った。
先行文献記載のアプタマーは全て未修飾RNAであり、本明細書記載の配列と一致するものはない。先行文献記載のアプタマーとして結合活性が高いH1、L2、L6を選び、T7ポリメラーゼで転写して作製した。結合活性は実施例1、NGFとNGF受容体の結合阻害活性は実施例6、神経突起伸長阻害活性は実施例8と同様な方法で評価した。
その結果、H1、L2、L6はNGFと結合するものの配列番号30、32、35で表わされるアプタマーよりも活性が低いことがわかった(表7)。また、H1、L2、L6はNGFとNGF受容体の結合を阻害せず、突起伸長阻害実験において500nM添加した場合でも阻害活性を示さなかった(表7)。以上より、本明細書記載のアプタマーは先行文献記載のアプタマーよりも高い活性を有していることが示された。
表7は、配列番号30、32、35で表わされるアプタマーと非特許文献1に記載のアプタマーH1、L2、L6の、NGFとの結合活性、NGFとNGF受容体との結合阻害、及びNGFによる神経突起伸張の阻害活性を示す。
NGFとの結合活性については、NGFに配列番号35が結合した場合の最大RU値を100%として評価した。80%以上の場合は“++”、50%以上の場合は“+”、50%以下の場合は“−”で表す。NGFとNGF受容体との結合阻害については、“+”は阻害活性%が60%以上であること、“−”は60%未満であることを表す。
NGFによる神経突起伸張の阻害活性は、それぞれのアプタマーの最終濃度が500nMおよび250nMである場合の阻害活性(%)を示す。
本発明のアプタマー及び複合体は、疼痛や炎症性疾患などの疾患に対する医薬、あるいは診断薬、試薬として有用であり得る。本発明のアプタマー及び複合体はまた、NGFの精製及び濃縮、並びにNGFの検出及び定量に有用であり得る。
本出願は、日本で出願された特願2008−244982(出願日:2008年9月24日)を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (22)

  1. NGFに結合し、NGFとNGF受容体の結合を阻害する、ヌクレオチド数が38〜80のアプタマーであって、HGAANNNANCY(配列番号106)で表される配列を含み、ここでNは任意のヌクレオチド、HはGを除くヌクレオチド、Yはピリミジンヌクレオチドであり、前記配列は、
    UGAAAAAAACC(配列番号91)、
    UGAAAGAAACC(配列番号92)、
    UGAAAGAAACU(配列番号93)、
    UGAAACAAACC(配列番号94)、
    UGAAAAGAACC(配列番号95)、
    UGAAAAAACCC(配列番号96)、
    UGAAAAAACCU(配列番号97)、
    UGAAAACAACC(配列番号98)、
    UGAAAUAAACC(配列番号99)、
    UGAAAUAAACU(配列番号100)、
    UGAAAAAAUCU(配列番号101)、
    AGAAUGAAACU(配列番号102)、
    CGAACAAAACU(配列番号103)、
    CGAAAGAAACU(配列番号104)、又は
    UGAAAGGAACC(配列番号105)
    であり、前記配列の少なくとも一つのヌクレオチドが修飾されているアプタマー。
  2. 前記配列が、
    UGAAAAAAACC(配列番号91)、
    UGAAAGAAACC(配列番号92)、
    UGAAACAAACC(配列番号94)、
    UGAAAAGAACC(配列番号95)、又は
    UGAAAGGAACC(配列番号105)
    であり、当該配列が下記式(I):


    (式中、VはA、G又はCを示す。)
    で表わされる潜在的二次構造をとり得る、請求項1に記載のアプタマー。
  3. 前記配列が、
    UGAAAAAAACC(配列番号91)、
    UGAAAGAAACC(配列番号92)、又は
    UGAAAAGAACC(配列番号95)
    である、請求項2記載のアプタマー。
  4. 各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアプタマー。
  5. 各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアプタマー。
  6. NGFに結合し、NGFとNGF受容体の結合を阻害するアプタマーであって、以下の(a)、(b)又は(c)のいずれかのヌクレオチド配列を含む、アプタマー:
    (a)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい);
    (b)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)において、HGAANNNANCY(Nは任意のヌクレオチドであり、HはGを除くヌクレオチドであり、Yはピリミジンヌクレオチドである)で表される配列を除く1〜4個のヌクレオチドが置換、欠失、挿入又は付加されたヌクレオチド配列;又は
    (c)配列番号1〜9、12、24〜55、57〜90のいずれかから選択されるヌクレオチド配列(但し、ウラシルはチミンであってもよい)と90%以上の同一性を有する(但し、HGAANNNANCY(Nは任意のヌクレオチドであり、HはGを除くヌクレオチドであり、Yはピリミジンヌクレオチドである)で表わされる配列は同一である)、ヌクレオチド配列。
  7. 少なくとも1つのヌクレオチドが修飾されている、請求項6に記載のアプタマー。
  8. 各ピリミジンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、請求項7に記載のアプタマー。
  9. 各プリンヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシル基が、同一又は異なって、無置換であるか、水素原子、フッ素原子及びメトキシ基からなる群より選ばれる原子又は基で置換されている、請求項7に記載のアプタマー。
  10. NGFに結合し、NGFの神経細胞突起伸長活性を阻害する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のアプタマー。
  11. 50%阻害濃度(IC50)が100nM以下である、請求項10に記載のアプタマー。
  12. 50%阻害濃度(IC50)が10nM以下である、請求項10に記載のアプタマー。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマー及びそれと結合する標識用物質、酵素、薬物送達媒体又は薬物を含む複合体。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含む医薬。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含む抗疼痛剤。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含む抗炎症剤。
  17. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含む診断薬。
  18. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含むNGF検出用プローブ。
  19. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含む、NGF精製用固相担体。
  20. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を用いることを特徴とする、NGFの検出方法。
  21. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を用いることを特徴とする、NGFの精製方法。
  22. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のアプタマーあるいは請求項13に記載の複合体を含む、NGFとNGF受容体との結合阻害剤。
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