JP5600155B2 - 緊急モードにおける航空機の着陸装置の駆動方法 - Google Patents

Description

本発明は、緊急モードにおける航空機の着陸装置の伸張方法に関する。

航空機において着陸装置は、着陸装置ハッチを解除及び開放すると共に、それによって着陸装置を解除及び伸張させるため、あるいは、少なくともいくつかのハッチを再度閉止及び再度ロックするために、順に駆動するように構成されたハイドロリック構成要素を有するハイドロリック回路によって正常モードにおいて概して伸張される。

ハイドロリック回路又は関連した部材の故障の結果着陸装置が伸張できない事態において、着陸装置の伸張を可能とするための緊急手段が提供される。

この緊急モードは、機械的モードであることがほとんどである。それは、重力の影響によって伸張できるようにハッチ及び着陸装置を解放するための解放レバーを用いるパイロット機構によって駆動される、ロッド又はケーブルによってハッチ係合ボックスと着陸装置の係合ボックスとを駆動することから構成される。近年、電気アクチュエーターを用いることによって係合ボックスの緊急駆動を実行することが提案されてきた。係合ボックスを係合解除するという目的のため、圧力によって駆動される電気モーターによって駆動されたポンプを用いる電気モードとハイドロリックモードとを組み合わせることも提案されてきた。

全ての状況下でそれ自体でシステムを構成する緊急駆動は、正常モードにおいて分離されており、従って多くの付加的設備を必要とする。この結果、重量を増加させ、着陸装置を伸張するためのシステムの信頼性を下げ、関連して高コストともなる。

本発明の目的は、簡易且つ安価であると共に特に緊急伸張のために使用し得る方法で着陸装置の配置を提案することにある。

この目的を達成するため、本発明は、緊急モードにおける航空機の着陸装置の係合ボックス及び関連したハッチの係合ボックスの駆動方法を提供し、その係合ボックスが、少なくとも１つの供給ポートと、供給ポートが圧力をかけて流体を供給されたときに操作可能な少なくとも１つの係合解除部材と、を有し、更に航空機がハイドロリック式のブレーキ回路を有する。本発明によれば、駆動方法は、少なくとも１つのタッピング回路を、遮断弁と関連した航空機のブレーキ回路であって遮断弁が正常モードにおいて遮断状態で維持されると共に当該ブレーキ回路に接続されたタッピング回路によって係合ボックスの少なくともいくつかの供給ポートが供給された開放状態に配置されるために制御され得るブレーキ回路と接続することから成る。

ブレーキ回路が、ハイドロリックエネルギーの蓄えを備えると共に圧力供給の異常事態において圧力がブレーキ回路で保持されることを可能とするアキュームレーターを概して有することは公知である。これまでこのエネルギーの蓄えは、航空当局の安全上の最近の要求を満たすために（圧力センサーによって）より詳細に監視されていたことに留意されたい。

本発明によって提案されたタッピング回路及びバルブは、バルブが閉止されているときに係合ボックスのタイミングを誤った係合解除を防ぐためにタッピング回路から係合ボックスへの供給を防ぐことを可能とすると共に、バルブが開放されているときに係合ボックスのアクチュエーターがブレーキ回路のアキュームレーターによって維持される圧力に従うことを可能とする。

駆動中各係合ボックスの解除部材によって用いられる流体の体積は、最小限でよく、最悪でも、ブレーキ回路のためのアキュームレーターの体積の再決定が必要になるだけである。これは、結局バルブといくつかの配管の追加のみでよいため、特に簡易且つ軽量な装置によって着陸装置の緊急伸張を確実とする。

好適には、航空機が第１のハイドロリック式のブレーキ回路及び第２のハイドロリック式のブレーキ回路に適合されたとき、それぞれは、第１に着陸装置の第１グループの着陸装置及び関連したハッチの係合ボックスに接続し且つ第２に第１グループと相補的な着陸装置の第２グループの着陸装置及び関連したハッチの係合ボックスの供給ポートに接続するための、タッピング回路及び遮断弁のために各ハイドロリック式のブレーキ回路に設けられた航空機のブレーキ回路の一部を設ける。

変形例において航空機が第１のハイドロリック式のブレーキ回路及び第２のハイドロリック式のブレーキ回路を有するとき、それぞれは、それぞれの航空機のブレーキ回路の一部と、タッピング回路と、を設け、且つ、遮断弁が、そのハイドロリック式のブレーキ回路を第１にハッチ係合ボックスの緊急供給ポートに接続し且つ第２に着陸装置の係合ボックスの供給ポートに接続するためにハイドロリック式のブレーキ回路の一方にのみ設けられている。

本発明は、添付図面の図についての説明と共に提供された本発明に係る様々な実施形態の以下の説明を考慮して、より理解され得る。

一般的な航空機の着陸装置及び関連したハッチの概略図である。 メインハイドロリック供給ポート及び緊急ハイドロリック供給ポートを備える係合ボックスの概略図である。 係合ボックスの緊急供給ポートに供給するための本発明に係るタッピング回路を備えた１つのブレーキ回路を有する航空機のハイドロリック回路の概略図である。 係合ボックスの緊急供給ポートに供給するための本発明に係るタッピング回路を備えた２つのブレーキ回路を有する航空機のハイドロリック回路の概略図である。 図１のハイドロリック回路の様々な実施形態の概略図である。 本発明に係る２つのタッピング回路を備えた２つのブレーキ回路を有する航空機のハイドロリック回路の概略図である。 本発明に係る様々な実施形態を示す図５と類似した図である。

図１に示されたように、ここで本発明は、（それぞれ左メイン着陸装置（ＬＭＬＧ）及び右メイン着陸装置（ＲＭＬＧ）と呼ばれる）２つのメイン着陸装置１００及び２００を有する航空機を参照しつつ示される。メイン着陸装置は、それ自体アクチュエーター１０８、２０８によって駆動されるハッチ１０７、２０７によって閉止される格納室から伸張され又はその格納室へと後退されるために、アクチュエーター１０５、２０５によって操作される。ハッチが係合ボックス１０９、２０９によって閉止を保持される一方で、左メイン着陸装置１００及び右メイン着陸装置２００は、係合ボックス１０６、２０６によって後退ポジションで保持される。

航空機は、それ自体アクチュエーター３０８によって駆動されるハッチ３０７によって閉止される格納室から伸張され又はそこへと後退されるためにアクチュエーター３０５によって操作される（前脚（ＮＬＧ）とも呼ばれる）機首着陸装置３００も有する。前脚着陸装置３００は、係合ボックス３０６によって後退ポジションにおいて保持されると共に、ハッチは係合ボックス３０９によって閉止を保持される。

着陸装置構成は図によって簡易的に示されており、他の構成への本発明の適用のいかなる可能性も限定するものではない。

図２で概略的に示されたように、この例示における各着陸装置の係合ボックス１０６、２０６及び３０６及び各ハッチ係合ボックス１０９、２０９及び３０９は、２つのハイドロリックポートを有する。ポートの１つは、メイン係合解除アクチュエーターに供給するためのものであり、航空機の伸張回路／後退回路によって供給される。他のポートは、緊急係合解除アクチュエーターに供給するためのものである。この緊急アクチュエーターは、メインアクチュエーターが操作不能（詰まり、供給不能等）の場合に使用される。各アクチュエーターは、ハッチ又は着陸装置を保持する要素を解放するためにフックを係合解除させる。

本発明によれば、緊急アクチュエーターは、タッピング回路によって本発明に係るブレーキ回路から動力供給され、そのタッピング回路は、遮断弁によって閉止される。

図３に示された第１の実施形態において、航空機は、圧力源Ｐ（例えば航空機のエンジンの１つによって駆動されたポンプ）を備えた１つのハイドロリック回路Ｃを有する。この例において、回路は、それぞれ、ブレーキ回路機能を実行するための分岐回路Ｂ１、着陸装置を伸張する／後退するための分岐回路Ｂ２、及び、飛行制御へ供給するための分岐回路Ｂ３、といった３つの分岐回路を有する。

この例において、分岐回路Ｂ２は、着陸装置を伸張させかつ後退させるための役割を果たす。それは、着陸装置を駆動するためのアクチュエーター１０５、２０５及び３０５と接続されると共に、ハッチを駆動するためのアクチュエーター１０８、２０８及び３０８とも接続されている。それは、係合ボックス１０６、２０６及び３０６並びに１０９、２０９及び３０９のメインアクチュエーターへも接続されている。制御された弁は、一度ハッチが係合解除されたときにのみ着陸装置が伸張されることを確実とするために全てのそれらの要素に順に供給する役割を果たす。これは公知である。

ブレーキ分岐回路Ｂ１は、ブレーキ回路とブレーキとを航空機のハイドロリック回路の残りの部分から分離する遮断弁４００によって閉止される。従って、分岐回路Ｂ１は、チェックバルブ４０１を有する。分岐回路Ｂ１において最小レベルの圧力を維持するため、アキュームレーター４０２は、チェックバルブの下流に提供されている。チェックバルブ４０１は、ポンプＰが故障した場合において又は上流配管が破損した場合において圧力をかけた状態でアキュームレーターが維持されることを可能とする。公知のように、アキュームレーター４０２は、エネルギーの蓄えを形成すると共に、ポンプＰが故障した場合にパイロット回路によって特定回数駆動されるブレーキを可能とするための圧力源及び流量源として駆動する。正常操作において、アキュームレーター４０２は、ポンプＰによって圧力をかけて保持される。

本発明によれば、タッピング回路５００は、着陸装置の係合ボックス１０６、２０６及び３０６並びに全てのハッチ係合ボックス１０９、２０９及び３０９の全ての緊急アクチュエーターに供給するためにチェックバルブ４０１の下流の分岐回路Ｂ１から伸張する。タッピング回路５００は、正常時において係合ボックスの緊急アクチュエーターをリターン回路へと接続する遮断弁５０１によって閉止されて保持される。

ハッチ又は着陸装置の係合解除が不可能となる事態においては、アキュームレーター４０２によって維持された圧力を係合ボックスの緊急アクチュエーターへと送るため、係合ボックスのメインアクチュエーターで遮断弁５０１を十分に開放できる。これは、係合ボックスの係合を解除し、それによって重力の影響で着陸装置の緊急伸張を可能とする役割を果たす。

従来通り、ハッチが係合解除された後に着陸装置の緊急モード係合解除が実行されるが、これが、ハッチの係合解除と着陸装置の係合解除との間に駆動シーケンスが提供されることを確実とするために各着陸装置の係合ボックスと関連したハッチの係合ボックスとの間のボックスの供給ラインに配置された締付部によって確実とされることに留意されたい。

図４に示された第２の実施形態において、航空機は２つのハイドロリック回路Ｃ１及びＣ２（黄色及び緑色として公知）を有し、それぞれ航空機の別個のエンジンによって駆動されるそれ自体のポンプＰ１又はＰ２を有する。回路Ｃ２の分岐回路Ｂ２がメインモードにおいてメイン着陸装置１００、２００を伸張／後退するために使用される一方で、回路Ｃ１の分岐回路Ｂ２は、メインモードにおいて前脚３００を伸張／後退するために使用される。

本発明によれば、タッピング回路５００は、着陸装置の係合ボックス１０６、２０６及び３０６並びに全てのハッチ係合ボックス１０９、２０９及び３０９の全ての緊急アクチュエーターに供給するためにチェックバルブ４０１の下流の回路Ｃ１のブレーキ分岐回路Ｂ１に接続される。

従って、１つのブレーキ回路のみ（つまり１つのアキュームレーターのみ）が、係合ボックスの全ての緊急アクチュエーターに圧力を供給するために使用される。図４−２に示された変形例において、それぞれハッチボックス１０９、２０９及び３０９並びに着陸装置ボックス１０６、２０６及び３０６と関連した２つのタッピング回路５００及び５００´に適合された２つの遮断弁５０１及び５０１´を設けることによって多様なシーケンスが提供されてもよい。こうして、ハッチの係合解除と着陸装置の係合解除との間のシーケンスの駆動を確実とするために２つの遮断弁５０１及び５０１´を順に操作できる。

図５に示された第３の実施形態において、航空機は、各々が航空機の別個のエンジンによって駆動されるそれぞれポンプＰ１及びＰ２を備えた２つのハイドロリック回路Ｃ１及びＣ２（黄色及び緑色として公知）を有する。回路Ｃ２の分岐回路Ｂ２がメインモードにおいてメイン着陸装置１００、２００の伸張／後退のために使用される一方で、回路Ｃ１の分岐回路Ｂ２はメインモードにおいて機首着陸装置３００の伸張／後退のために使用される。

本発明によれば、タッピング回路５００は、着陸装置の係合ボックス１０６、２０６及び３０６の全ての緊急アクチュエーターに供給するために回路Ｃ１の分岐回路Ｂ１に接続され、且つ、分岐回路５００は、ハッチ係合ボックス１０９、２０９及び３０９の全ての緊急アクチュエーターに供給するために回路Ｃ２の分岐回路Ｂ１に接続される。

図６の変形例で示されたように特別な態様によれば、本発明は、特定の遮断弁５０１をタッピング回路５００に付加する必要なく実行されてもよい。この変形例は、左回路（又は黄色回路）の遮断弁５０１が省かれた点を除いて図５に示されたものとかなり類似しており、この例において遮断機能は、通常黄色回路の緊急ブレーキ分岐回路Ｂ１を遮断する役割を果たすブレーキ遮断弁４００によって直接設けられている。

このためブレーキ遮断弁４００の下流の分岐回路Ｂ１に接続されることは、タッピング回路５００のため適切である。ここで示された例の他の全ての例において、タッピング回路５００が逆にブレーキ遮断弁４００の上流に接続されると、特定の遮断弁５０１がタッピング回路５００に挿入されことを必要とする。

ブレーキ弁の下流のこの接続は、ここで示された例の他の全ての例において当然ながら適用されてもよい。

本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、むしろ、特許請求の範囲によって定義された範囲内の任意の変形例を包含する。

特に図示された例示において、ボックスは、メイン駆動システム及び緊急駆動システムが完全に分離されるようにそれぞれメイン係合解除アクチュエーター及び緊急係合解除アクチュエーターに供給するための別個のメイン供給ポート及び緊急供給ポートを有するが、本発明はこの構成に限定されるものではない。当然のことながら本発明は、メイン供給ポートによって又は緊急供給ポートによって駆動され得る係合ボックスが１つの係合解除アクチュエーターのみ有する任意の航空機に適用され得る。

本発明は更に係合ボックスが１つのアクチュエーターと、メイン供給ポート及び緊急供給ポートの両方を構成する１つの供給ポートと、適合された航空機を提供する。

１００ 左メイン着陸装置
１０５ アクチュエーター
１０６ 係合ボックス
１０７ ハッチ
１０８ アクチュエーター
１０９ 係合ボックス
２００ 右メイン着陸装置
２０５ アクチュエーター
２０６ 係合ボックス
２０７ ハッチ
２０８ アクチュエーター
２０９ 係合ボックス
３００ 機首着陸装置
３０５ アクチュエーター
３０６ 係合ボックス
３０７ ハッチ
３０８ アクチュエーター
３０９ 係合ボックス
４００ 遮断弁
４０１ チェックバルブ
４０２ アキュームレーター
５００ タッピング回路
５００´ タッピング回路
５０１ 遮断弁
５０１´ 遮断弁
Ｂ１ ブレーキ分岐回路
Ｂ２ 分岐回路
Ｂ３ 分岐回路
Ｃ ハイドロリック回路
Ｃ１ ハイドロリック回路
Ｃ２ ハイドロリック回路
Ｐ 圧力源
Ｐ１ ポンプ
Ｐ２ ポンプ

Claims (6)

1. 緊急モードにおける航空機の着陸装置の係合ボックス（１０６、２０６、３０６）及び関連したハッチの係合ボックス（１０９、２０９、３０９）の駆動方法であって、前記係合ボックスが、少なくとも１つの供給ポートと、該供給ポートが圧力をかけて流体を供給されたときに操作可能な少なくとも１つの係合解除部材と、を有し、更に前記航空機がハイドロリック式のブレーキ回路（Ｂ１）を有する駆動方法において、
   当該駆動方法が、少なくとも１つの分岐回路（５００）を、遮断弁（４００、５０１）と関連した前記航空機の前記ブレーキ回路に接続することを含み、前記遮断弁（４００、５０１）が正常モードにおいて遮断状態で維持されると共に、前記遮断弁（４００、５０１）が、当該ブレーキ回路に接続された前記分岐回路によって前記係合ボックスの少なくともいくつかの前記供給ポートが供給された開放状態に配置されるように制御され得ることを特徴とする駆動方法。
2. 前記遮断弁（５０１）が前記分岐回路内に直接配置された請求項１に記載の駆動方法。
3. 前記航空機が、１つのブレーキ回路を有し、且つ、該１つのブレーキ回路に接続された１つの前記分岐回路が、全ての前記係合ボックスの前記供給ポートに供給する請求項１に記載の駆動方法。
4. 前記航空機が、２つのブレーキ回路（Ｂ１又はＣ１、Ｂ１又はＣ２）を定義する２つのハイドロリック回路を有し、全ての前記係合ボックスの前記供給ポートに供給するために１つの分岐回路が前記ブレーキ回路の一方に接続された請求項１に記載の駆動方法。
5. 前記航空機が、２つのブレーキ回路（Ｂ１又はＣ１、Ｂ１又はＣ２）を定義する２つのハイドロリック回路を有し、２つの分岐回路の各々が、各前記ブレーキ回路に接続され、前記２つの分岐回路の一方がハッチ係合ボックスの前記供給ポートに供給し、他方が着陸装置の係合ボックスの前記供給ポートに供給する請求項１に記載の駆動方法。
6. 前記航空機が、２つのブレーキ回路（Ｂ１又はＣ１、Ｂ１又はＣ２）を定義する２つのハイドロリック回路を有し、２つの分岐回路の各々が、各前記ブレーキ回路に接続され、前記２つの分岐回路の一方が、メインの前記着陸装置の係合ボックス及び前記関連したハッチの係合ボックスの前記供給ポートに供給し、その他方が機首の前記着陸装置の係合ボックス及び前記関連したハッチの係合ボックスの前記供給ポートに供給する請求項１に記載の駆動方法。

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