JP5598817B2 - ポリイミド系高分子アクチュエータ、及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド系高分子アクチュエータ、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子アクチュエータの改良、詳しくは、機械的強度および耐薬品性、耐放射線性において高機能化を図ることができ、しかも、電圧印加時の後戻り現象も抑制できるポリイミド系高分子アクチュエータ、及びその製造方法に関するものである。
近年、金属やセラミックを用いたアクチュエータよりも柔軟性が高く、軽量化および小型化も容易な高分子アクチュエータの研究が進んでおり、特にイオン交換膜を用いたアクチュエータは、低電圧で大きな変位を生じるため、消費電力を抑制できるなど優れた機能性を有している。
ちなみに、上記イオン交換膜を用いたアクチュエータの動作原理を説明すると、イオン交換膜の両面に電極を取り付けた状態で電極間に電場をかけた際、膜中の陽イオンがカソード側に移動してカソード側が膨張する一方、アノード側は収縮して膜自体がアノード方向に屈曲するというものである。
また、上記イオン交換膜については、ナフィオン(登録商標)等のスルホン酸基を持つフッ素系ポリマーが広く用いられているが、フッ素系のイオン交換膜は機械的強度が低いことに加え、耐薬品性や耐放射線性も充分とはいえないため、放射線下での使用に適さないという欠点がある。
しかも、上記フッ素系イオン交換膜をアクチュエータとして使用した場合、電圧印加後に後戻り現象(膜が屈曲した状態から変位量が下がる現象)が起こるため、膜の屈曲状態を維持できず、アクチュエータの用途が制限されてしまうという問題もある。
一方、従来においては、上記フッ素系のイオン交換膜よりも機械的強度等の面で優れたポリイミド系高分子から成るイオン交換膜も知られているが(特許文献1及び2参照)、アクチュエータに使用した場合に発揮される膜の挙動特性については全く開示されていない。
また、本願発明者が、以前提案した高分子アクチュエータに関する文献中の選択肢にポリイミド系のイオン交換膜を使用できることも一応示唆してあるが(特許文献3参照)、上記と同様、膜の挙動特性については検証していない。
特開2007−302741号公報(第2−23頁、第1〜4図) 特開2009−67844号公報(第9頁、段落番号[0036]) 特開2007−244103号公報(第5頁、段落番号[0024])
本発明は、上記の如き問題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、機械的強度および耐薬品性、耐放射線性において高機能化を図ることができ、しかも、電圧印加時の後戻り現象も抑制できるポリイミド系高分子アクチュエータ、及び当該アクチュエータを効率的に製造するための製造方法を提供することにある。
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
即ち、本発明は、ポリイミド系高分子から成るイオン交換膜の両面に電極を接合して高分子アクチュエータを構成し、更に前記イオン交換膜に、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合により得られる繰り返し構造単位を含有するポリイミド系高分子であって、アニオン性あるいはカチオン性官能基を含有するポリイミド系高分子を使用した点に特徴がある。
そしてまた、本発明は、必要に応じて上記手段に加え、(A)アニオン性あるいはカチオン性官能基を含有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合により得られる繰り返し構造単位と、(B)ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合により得られる繰り返し構造単位とからなるポリイミド系高分子をイオン交換膜に使用して、前記(A)の構造単位と(B)の構造単位の比率を調節してイオン交換容量を調整可能にするという技術的手段を採用することができる。
なお、上記(A)の構造単位の比率を[y]とし、(B)の構造単位の比率を[1−y]とした場合、yの値の範囲は0.01以上1以下である。
また、本発明は、必要に応じて、上記イオン交換膜に使用するポリイミド系高分子に含まれるアニオン性あるいはカチオン性官能基に、スルホン酸基、カルボキシル基、及びリン酸基、あるいは、アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウム基、及びフェノール性水酸基、よりなる群から選択される少なくとも1種を採用するという技術的手段を採用することができる。
他方また、本発明は、必要に応じて上記手段に加え、イオン交換容量に応じて屈曲変位量の異なる複数のイオン交換膜1・1…を組み合わせ、これを同一電極2・2で挟み込んで複雑な動作を可能にするという技術的手段を採用することができる。
また本発明は、上記高分子アクチュエータを効率的に製造するために、前駆体であるポリアミド酸を溶媒に溶かし、これを板上に展開して溶媒を蒸発させ、ポリアミド酸膜を形成する工程と;その後、前記板上のポリアミド酸膜に導電性布帛を重ね合わせてヒートプレスすることにより膜のイミド化と、膜と布帛の接着とを同時に行う工程と;その後、前記ポリアミド酸膜をイミド化して作製したイオン交換膜を板上から剥がして、この剥離面に導電性布帛を重ねてヒートプレスすることによりイオン交換膜の両側に導電性布帛を接着する工程とを含む製造方法を採用することができる。
本発明では、高分子アクチュエータにおいてポリイミド系高分子から成るイオン交換膜を用いたことにより、フッ素系高分子から成る従来のイオン交換膜に比べて機械的強度の向上を図れるため、比較的大きな力を生み出す必要のある用途にも対応することが可能となる。
また、ポリイミド系高分子から成るイオン交換膜は、優れた耐薬品性および耐放射線性も兼ね備えていることから、従来の高分子アクチュエータを使用することのできなかった放射線に曝される環境下、例えば原子力発電所内の検査機器等であっても使用できる。
そしてまた、上記ポリイミド系高分子から成るイオン交換膜は、印加電圧後の後戻り現象を抑制する傾向もみられることから、動作中に膜を一定時間、屈曲した状態で静止させる必要のある用途にも向くと推測される。
したがって、本発明により、基本性能の向上によって様々な用途及び場所に使用できる機能性に優れた高分子アクチュエータを提供できることから、本発明の実用的利用価値は頗る高い。
本発明における高分子アクチュエータの構造を表わす構造説明図である。 本発明における高分子アクチュエータの動作を表わす状態説明図である。 本発明の実施例1における高分子アクチュエータの動作性能を表すグラフである。 本発明の実施例2における高分子アクチュエータを表す構造説明図及び状態説明図である。 ポリイミド系高分子のイオン交換容量を表すデータである。 本発明の実施例2の変形例における高分子アクチュエータを表す構造説明図及び状態説明図である。 本発明の実施例2の変形例における高分子アクチュエータを表す構造説明図及び状態説明図である。
『実施例1』
本発明の実施例1について図1〜図3に基いて説明する。まず実施例1では、ポリイミド系高分子である下記製造例(1)で得られたイオン交換膜1の両面に導電性布帛から成る電極2・2を接着して図1に示す構造の高分子アクチュエータを構成している。
そして、上記電極2・2に所定の電圧を印加すれば図2に示すように内部の陽イオンと共に極性分子(水分子)を移動させてイオン交換膜1をアノード方向に屈曲できる。
また、電極2に使用する導電性材料としては、布帛表面に金や白金などの貴金属をメッキしたものや布帛内部に金属錯体を注入して導電性を付与したもの等を使用できる。
「イオン交換膜の製造例(1)」
この製造例(1)では、材料に上記のナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、安息香酸、トリエチルアミン、及びm-クレゾールを使用した。
まず、3つ口の200mlフラスコに溶媒であるm-クレゾールを24ml加え、室温下で4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸4mmolを加え撹拌した。次に、トリエチルアミンを9.6mmol加え、50℃に加温し錯体化を進めた。次に、安息香酸を11.2mmol加え、さらにもう一方のアミンである2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパンを4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸と等モルの4mmol加え、最後にナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物を8mmol加え、80℃下で10時間撹拌した。その後、180℃で10時間反応を進めた。アセトンで再沈殿を行い、ろ過後アセトンで洗浄後、真空乾燥して上記モノマーからなるポリイミド系高分子を得た。その後、0.5M H2SO4溶液に一晩浸漬してイオン交換した。
「イオン交換膜の製造例(2)」
製造例(1)と同様の手順で、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物を加え、80℃下で10時間撹拌して前駆体であるポリアミド酸を得た後、これを溶媒であるDMFに溶解し、ガラス板上にキャストした。その後、導電性布帛を電極としてヒートプレスして180℃10時間加熱して、イミド化と電極の接着を行った。
「イオン交換膜の製造例(3)」
この製造例(3)では、材料にナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、安息香酸、トリエチルアミン、及びm-クレゾールを使用した。
まず、3つ口の200mlフラスコに溶媒であるm-クレゾールを24ml加え、室温下で4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸4mmolを加え撹拌した。次に、トリエチルアミンを9.6mmol加え、50℃に加温し錯体化を進めた。次に、安息香酸を11.2mmol加え、さらにもう一方のアミンである4,4'-ジアミノジフェニルエーテルを4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸と等モルの4mmol加え、最後にナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物を8mmol加え、80℃下で10時間撹拌した。その後、180℃で10時間反応を進めた。アセトンで再沈殿を行い、ろ過後アセトンで洗浄後、真空乾燥して上記モノマーからなるポリイミド系高分子を得た。その後、0.5M H2SO4溶液に一晩浸漬してイオン交換した。
「イオン交換膜の製造例(4)」
この製造例(4)では、材料にナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、安息香酸、トリエチルアミン、及びm-クレゾールを使用した。
まず、3つ口の200mlフラスコに溶媒であるm-クレゾールを24ml加え、室温下で4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸4mmolを加え撹拌した。次に、トリエチルアミンを9.6mmol加え、50℃に加温し錯体化を進めた。次に、安息香酸を11.2mmol加え、さらにもう一方のアミンである1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼンを4,4’-ジアミノ-ジフェニルエーテル-2,2’-ジスルホン酸と等モルの4mmol加え、最後にナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物を8mmol加え、80℃下で10時間撹拌した。その後、180℃で10時間反応を進めた。アセトンで再沈殿を行い、ろ過後アセトンで洗浄後、真空乾燥して上記モノマーからなるポリイミド系高分子を得た。その後、0.5M H2SO4溶液に一晩浸漬してイオン交換した。
「アクチュエータの動作実験」
上記イオン交換膜を用いたアクチュエータの動作実験を行った。その結果、図3に示す測定データが得られた。なお、グラフ中の上側のグラフ線は、印加電圧のパターンを示しており、下側のグラフ線はイオン交換膜の変位量を示している。
そして、この測定結果を従来例と比較すると、従来は電圧を印加した後、変位量が少しずつ下がるのに対し、本発明では、変位量が一定な値を保ち後戻り現象が抑制されていることが確認できた。
『実施例2』
次に、本発明の実施例2について図4〜図7に基いて説明する。この実施例2では、ポリイミド系高分子アクチュエータを、屈曲変位量の異なる複数のイオン交換膜1・1…を組み合わせて作製している。なお、屈曲変位量はイオン交換容量に比例して大きくなる。
更に詳細に説明すると、実施例2では図4(a)に示すように、外側に屈曲変位量(イオン交換容量)の小さいイオン交換膜S・Sを配置し、中央に屈曲変位量の小さいイオン交換膜Lを配置して、これらを布帛電極2・2で挟み込んで構成している。
なお、上記電極2・2をイオン交換膜1・1…に接着する際には、ポリイミド系高分子から成るイオン交換膜と導電性等の点で相性の良いポリイミド系樹脂を接着剤に使用することができる。
そして、上記高分子アクチュエータの電極2・2に電圧を印加すれば、図4(b)に示すように屈曲変位量の相違により複数のイオン交換膜1・1…と電極2・2から成るシート体を内側に丸まった状態で屈曲させることができる。また、上記イオン交換容量の異なるイオン交換膜の選択により印加電圧の大きさではなくイオン交換膜の材料そのもので屈曲変位量を調整することも可能となる。
また、上記イオン交換容量の異なるイオン交換膜1は、(A)アニオン性あるいはカチオン性官能基を含有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との共重合により得られる繰り返し構造単位と、(B)ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との共重合により得られる繰り返し構造単位とからなるポリイミド系高分子において、前記
(A)の構造単位と(B)の構造単位の比率を調節することにより製造することができる(具体的なポリマーの種類とイオン交換容量の関係については図5に示す)。
なお、上記(A)の構造単位の比率を[y]とし、(B)の構造単位の比率を[1−y]とした場合、yの値の範囲は0.01以上1以下である。
また、上記イオン交換膜1・1の組み合わせにおいて、図6(a)に示すようにイオン交換容量が小さい順にイオン交換膜S・M・Lを並べて配置すれば、図6(b)に示すように左右非対称に屈曲させることも可能となる。
また他にも、図7(a)に示すように電極2・2に伸縮性の高い布帛を使用すると共に、イオン交換容量の小さい門型のイオン交換膜Sを外側に配置して、その内側にイオン交換容量の大きいイオン交換膜Lを配置すれば、図7(b)に示すようにシート体の中央が盛り上がった状態で屈曲させることもできる。
本発明は、概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、イオン交換膜は上記効果を得られるポリイミド系高分子であればよく、実施例以外の組成から成るものを採用してもよい。
[ジアミンの具体例]
具体的には、上記ポリイミド系高分子の合成に用いるジアミンに、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-オキシジアニリン、3,3’-オキシジアニリン、3,4’-オキシジアニリン、4,4’-ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’-ジアミノジフェニルシラン、4,4’-ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’-ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’-ジアミノジフェニル N-フェニルアミン、1,4-ジアミノベンゼン(p-フェニレンジアミン)、ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、ビス{4-(3-アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、パラフェニレンジアミンおよびその誘導体、ベンジジン及びその誘導体などを選択して用いることができる。
また、アニオン性あるいはカチオン性官能基を含有するジアミンに、アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウム基、あるいは、フェノール性水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、および、リン酸基、よりなる群から選択される少なくとも1つの官能基を含有するジアミンを用いることができる。
なお、上記アニオン性官能基のカウンターカチオンは、カチオン性のイオンであれば何れでもよいが、具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、アルキルスルホニウムイオン等が挙げられる。
同様にアニオン性官能基のカウンターカチオンも、アニオン性のイオンであれば何れでもよいが、具体的にはフッ化物イオン、塩化物イオン、芳香族または脂肪族のスルホン酸類、芳香族または脂肪族のカルボン酸類、芳香族または脂肪族のリン酸類、等を挙げることができる。
[テトラカルボン酸二無水物の具体例]
一方、ジアミンと共にポリイミド系高分子の合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロ、イソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ビスフェノールフェニルエーテルカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルカルボン酸二無水物、チアンスレン-2,3,7,8-テトラカルボン酸二無水物などを採用できる。
また、上記イオン交換膜の両側に設ける電極に関しても、導電性布帛を貼り合わせなくてもイオン交換膜の表面に金や白金等の貴金属のメッキ膜を直接形成してもよく、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
近年、発電プラント内の細部検査機器や医療用デバイス(カテーテルや内視鏡等)、センサ機器(荷重センサや変位角度センサ等)などの精密機器に使用できる小型のアクチュエータが求められている。また、原子力発電所内で使用する機器類は耐放射線性や耐熱性等の要件も満たす必要がある。
そのような中で、本発明のポリイミド系高分子アクチュエータは、小型化が容易なだけでなく、発電プラント等の過酷な環境でも使用できる有用な技術であるため、市場における需要は大きく、その産業上の利用価値は非常に高い。
1 イオン交換膜
2 電極

Claims (5)

  1. ポリイミド系高分子から成るイオン交換膜1の両面に電極2・2を接合して構成され、かつ、前記イオン交換膜に使用するポリイミド系高分子が、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合により得られる繰り返し構造単位を含有するポリイミド系高分子であって、カチオン性あるいはアニオン性官能基を含有していることを特徴とするポリイミド系高分子アクチュエータ。
  2. イオン交換膜に使用するポリイミド系高分子が、(A)アニオン性あるいはカチオン性官能基を含有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合により得られる繰り返し構造単位と、(B)ジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合により得られる繰り返し構造単位とからなることを特徴とする請求項1記載のポリイミド系高分子アクチュエータ。
  3. イオン交換膜に使用するポリイミド系高分子に含まれるアニオン性あるいはカチオン性官能基が、スルホン酸基、カルボキシル基、及びリン酸基、或いは、アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウム基、及びフェノール性水酸基よりなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミド系高分子アクチュエータ。
  4. イオン交換容量の異なる複数のイオン交換膜1・1…を組み合わせたものを同一電極2・2で挟み込んで構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載のポリイミド系高分子アクチュエータ。
  5. 前駆体であるポリアミド酸を溶媒に溶かし、これを板上に展開して溶媒を蒸発させ、ポリアミド酸膜を形成する工程と;その後、前記板上のポリアミド酸膜に導電性布帛を重ね合わせてヒートプレスすることにより膜のイミド化と、膜と布帛の接着とを同時に行う工程と;その後、前記ポリアミド酸膜をイミド化して作製したイオン交換膜を板上から剥がして、この剥離面に導電性材料を重ねてヒートプレスすることによりイオン交換膜の両側に導電層を接合する工程とを含むことを特徴とするポリイミド系高分子アクチュエータの製造方法。
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