次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に示すように、この空気調和システム1は、部屋R内の空気を冷房および暖房、さらには加湿ならびに除湿するなどして所定の設定条件に空気調和するための総合空調システムである。
この空気調和システム1は、主として空気調和機ユニット2と、多機能送風ユニット3と、空気調和機ユニット2および多機能送風ユニット3に動作指令を入力する入力手段としてのリモコン4とを有し、それらが互いに情報交換できるよう双方向通信可能な状態で接続されている。
この例において、各ユニット2,3とリモコン4との接続は、赤外線による無線通信が用いられているが、これ以外に例えば電波による無線通信方式であってもよい、さらには、有線通信であってもよい。また、この例において空気調和機ユニット2と、多機能送風ユニット3およびリモコン4は全て同じ部屋R内に設置されているが、電波による無線通信方式の場合は、リモコン4は別室に設置されていてもよい。
リモコン4(入力手段)は、操作に係る全般の演算を実行するCPU41と、制御プログラムなどが記録されたメモリ42と、各種制御指令を送受信する送受信機43と、操作用の操作部44と、設定温度や運転状況を表示する表示部45ならびに音声案内用の音声部46とを備えている。
図2を併せて参照して、空気調和機ユニット2は、室内に設置される室内機ユニット5と、屋外に設置される室外機ユニット6と、これら空気調和機システム1を統合的に制御する制御ユニット7とを備えている。なお、制御ユニット7は、室内機ユニット5内に設置された電装品箱内に実装されていてもよい。
室内機ユニット5は、室内の空気と冷媒との熱交換を行う室内熱交換器51と、室内機ユニット5から室内熱交換器51の冷媒と熱交換された空気を吹き出すためのクロスフローファン52と、吹出方向を案内する風向手段としての風向板53と、室内の温湿度を測定する温湿度センサ54と、室内の床面付近の温度を測定し室内の温度分布を検出する温度ムラ検知手段としての床温センサ55と、多機能送風ユニット3との距離を測定するための距離センサ56と、各種情報ならび音や光などを発信する音声報知部としての表示部57および音声部58と、多機能送風ユニット3からの赤外線信号を受信する位置情報収集手段としてのサーモパイル59とを備え、それらが筐体内に配置されている。なお、この例において、床温センサ55とサーモパイル59は別々に構成されているが、サーモパイル59は上述した床温センサ55を兼務することができる。
室外機ユニット6は、外気と冷媒との間で熱交換を行う室外熱交換器61と、冷凍サイクルの一部としてのコンプレッサー62と、送風ファン63と、冷凍サイクル内の温度や圧力、外気温などを測定する各種センサ類64とを備えている。なお、本発明において、室外機ユニット6の具体的な構成は任意であってよい。
また、本発明において、空気調和機ユニット2は、室内機ユニット5と室外機ユニット6とが分離されたセパレート型の空気調和機ユニットであるが、室内機ユニット5と室外機ユニット6とが一体となった一体型の空気調和機ユニット2が用いられてもよい。本発明において、空気調和機ユニット2の具体的な構成は任意であってよい。
また、位置情報収集手段として、後述するサーモパイルと赤外線送信部を利用した位置情報検出手段を利用しても良いし、室内機ユニット5に画像認識装置を設けて室内の画像を取得し、予め制御ユニット7に登録したMFユニット3の形状と比較することでMFユニット3の位置を検出するようにしても良い。
制御ユニット7は、空気調和システム1の統合的な制御を実行するCPU71(中央演算装置)と、CPU71が実行するプログラムなどが記憶されるメモリ72と、各ユニット5,3およびリモコン4との間で信号を送受信する送受信機73とを備えている。
この例において、室内機ユニット5は、壁掛け型であるが、これ以外に天井吊下型であってもよいし、さらには天井埋込型であってもよく、室内機ユニット5の形態については、特に限定されない。
多機能送風ユニット3(以下、単にMF(マルチファンクション)ユニットとする)は、室内の任意な場所に自由に設置可能であって、内部に送風ファン31と、風向板32と、MFユニット3の周囲の湿度を測定する湿度センサ33ならびに床温センサ34と、室内機ユニット2との相対的な位置を把握するための距離センサ35と、首振りモータ36および赤外線送信部37とを備えている。
MFユニット3の内部には、MFユニット3を制御するMF制御ユニット8が設けられている。MF制御ユニット8は、制御部としてのCPU81と、プログラムなどを格納するメモリ82と、空気調和機ユニット2やリモコン4との間で相互に通信を行うための送受信機83と、MFユニット3を操作するための操作パネル84と、MFユニット3の操作状況などを音や文字などで知らせる音声報知部としての表示部85および音声部86とが設けられている。MFユニット3の具体的な構成は、仕様に応じて任意に選択されてよい。なお、送受信機83は、赤外線送信部37と兼用としてもよい。
この例において、多機能送風ユニットは、少なくとも送風ファンと、送風ファンから吹き出された空気を任意の方向に吹き出す風向手段としての風向板や首振り機能を備えていることが好ましい。また、多機能要素として、例えばマイナスイオン発生機能や空気清浄機能などが設けられていてもよい。
次に、図3〜図12を用いて、本発明の第1〜第6実施形態に係る空気調和システムの各種ステップに基づく動作を説明する。なお、本発明の空気調和機ユニット2は一般的な空気調和機と同じ冷凍サイクルシステムによる冷暖房運転であり、その具体的な動作説明は省略する。また、空気調和機ユニット2、MFユニット3およびリモコン4間の赤外線信号の送受信は、所定の通信方式を介して双方向通信可能となっているものとする。
図3を参照して、第1実施形態に係る空気調和システムを制御する処理の流れを説明する。以下、STは処理のステップを、STの後の数字はステップ番号を、−YはYes、−NはNoをそれぞれ示す。第1実施形態に係る空気調和システムを制御する処理の流れは、まず、リモコン4の操作部44を操作して、空気調和機ユニット2の電源を入れる(ST101)とともに、MFユニット3と空気調和機ユニット2とを連動させるMFモードをONにする(ST102)。
MF位置検出処理Aを行なった後、MFユニット3の風向板が空気調和機ユニット2へ向いていないか確認を行い(ST120)、空気調和機ユニット2に向いている場合(ST120−N)は、MFユニット3の風向が空気調和機ユニット2の方へ向かないようにMFユニット3へ風向補正信号を送信(ST121)し、向いていない場合(ST120−Y)は、ST122へ進む。その後、空気調和機ユニット2の風向をMFユニット3へ向け(ST122)、空気調和機ユニット2からMFユニット3へ向け送風を開始する(ST123)。
ここで、図3cを参照して、MF位置検出処理Aについて説明する。制御ユニット7は、MFユニット3に対して電源投入(ST103)を確認し、電源が入っていない場合(ST103−N)は、MFユニット3に対して電源を入れるようON信号を送信する(ST104)。電源が入っている場合(ST103−Y)は、ST108に進む。
その後、MFユニット3の電源がONであるか確認し(ST105)、ONにならなかった場合(ST105−N)は、通信エラーである旨を表示し(ST106)、空気調和機ユニット2は単独運転を行う(ST112)。ここで、制御ユニット7がMFユニット3の電源をONとするようにしたが、リモコン4で直接MFユニット3の電源をONとしてもよい。
MFユニット3の電源がONである場合(ST103−Y)には、MFユニット3と空気調和機ユニット2の運転モードが同じであるかを確認を行い(ST108)、運転モードが同じである場合(ST108−Y)にはST110へ進み、異なる場合(ST108−N)にはMFユニット3へ運転モード信号の送信をする(ST109)。その後、MFユニット3の位置検出を行い(ST110)、位置検出ができない場合(ST110−N)には、検出できない旨の警告を行い(ST111)、空気調和機ユニット2は単独運転を行う(ST112)。
MFユニット3の位置検出が可能であった場合(ST110−Y)には、MF位置検出処理Aを終了する。
次に、MFユニット3の動作を説明する。リモコン4の操作部44に設けられたMFモードボタン(図示しない)を操作すると、制御ユニット7は、メモリ72内に格納されたMFモードプログラムを起動して、MFユニット3へON信号を送信し、MFユニット3はその信号を受信する(ST201)。
MF位置検出処理Bを行なった後、MFユニット3は、風向補正信号を受信したかどうかを確認し(ST220)、補正信号を受信した場合(ST220−Y)には風向の補正を行い(ST221)、補正信号を受信しない場合(ST220−N)にはST222に進み、モードに応じて運転を行う。
ここで、図3cを参照して、MF位置検出処理Bについて説明する。MFユニットは電源がONであった場合(ST202−Y)にはST204へ進み、電源がONでなかった場合(ST202−N)にはONとし(ST203)、ST204へ進む。
その後、制御ユニット7からのモード信号を受信し(ST204)、MFユニット3の運転モードを変更する(ST205)。そして、MFユニット3は位置情報として、赤外線送信部37を所定の間隔で点滅させることで特定波長の赤外線信号を発信する(ST206)。なお、位置情報の取得は、室内機ユニット5が画像認識装置により実行してもよい。
次に、MFユニット3は、現在のMFユニット3の吹出口や風向板32の状態を確認し、制御ユニット7からの風向情報の要求を受けて、風向情報を制御ユニット7に送信し(ST207)、MF位置検出処理Bを終了する。
この第1実施形態において、MFユニット3は1台の場合を例にとって説明したが、例えば2以上のMFユニット3を部屋に設置しておき、室内機ユニット5から送り出された空気を複数のMFユニット3で中継して部屋を循環するようにしてもよい。
図3に記載された制御方法によれば、室内機ユニット5からMFユニット3に空気を吹出し、MFユニット3で空気を中継することにより、室内機ユニット5単体よりも部屋を効率よく調温することができるため、省エネで環境にも優しい。
次に、図4a,bを参照して、第1実施形態に係る空気調和システムの温度ムラ解消モードの動作を説明する。この運転モードは室内の温度分布の不均一を是正するためのもので、室内機ユニット5あるいはMFユニット3によって、周囲と温度差のある部分に送風を行うものである。なお、空気調和機ユニット2、MFユニット3およびリモコン4の電源は既に投入され、それらが双方向通信可能になっているものとする。
使用者によって温度ムラ解消モードが選択されると、空気調和機ユニット2は、MF位置検出処理Aを行なった後、MFユニット3の位置情報とサーモパイルで得た温度ムラ情報から、温度ムラまで風が届くかを確認する(ST130)。届かないと判断した場合(ST130−N)には、風向板をスイングさせて送風を行う攪拌モードで運転する(ST131)。届くと判断した場合(ST130−Y)には、MFユニットの風向が温度ムラの方向を向いているかどうかを確認する(ST132)。風向の確認は、室内機ユニット5に画像認識装置を設け、MFユニット3の形状から吹出口の向きを特定するようにしても良い。
温度ムラの方向に向いていない場合(ST132−N)は、MFユニット3に風向補正情報を送信し(ST133)、ST134へ進む。向いていると判断した場合(ST132−Y)には、MFユニット3に送風開始を指示し(ST134)、温度ムラの計測を行い(ST135)、温度ムラが解消したかどうかを確認する(ST136)。
温度ムラが解消しない場合(ST136−N)には、ST134から同様のステップを繰り返す。温度ムラが解消されたと判断した場合(ST136−Y)には、MFユニット3にモード終了を通知し(ST137)、終了する。
温度ムラ解消モードが選択されると、MFユニット3は、MF位置検出処理Bを行なった後、風向補正情報を受信しているかどうかを確認し(ST230)、受信なしと判断した場合(ST230−N)、モードに応じた運転を開始し(ST231)、ST233へ進む。また、受信ありと判断した場合(ST230−Y)は、風向を補正し(ST232)、ST233へ進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認し(ST233)、受信なしと判断した場合(ST233−N)には、受信情報が得られるまで上記一連のステップを繰り返す。受信ありと判断した場合(ST233−Y)には、終了する。
次に、図5a,bを参照して、本発明の第2実施形態に係る空気調和システムの騒音低減モードの動作を説明する。この運転モードは室内機ユニット5あるいはMFユニット3の送風騒音を低減するためのもので、室内機ユニット5あるいはMFユニット3の付近に人がいる場合は、送風ファンの回転数を下げるものである。騒音低減モードが選択されると、MF位置検出処理Aを行なった後、人検知センサ50で室内機ユニット5の付近に人がいるかどうかを判断する(ST141)。
近くに人がいると判断した場合(ST141−Y)、室内機ユニット5の送風ファンの回転数を下げ(ST142)、ST146に進む。人が近くにいないと判断した場合(ST141−N)、MFユニット3の近くに人がいるかを判断(ST143)し、MFユニット3の近くに人がいる場合はMFユニット3へ送風ファン回転数情報を送信(ST144)し、近くにいない場合は、空調単独運転を行う(ST145)。
次に、モード終了指示があったかどうかを確認する(ST146)。指示がない場合(ST146−N)には、上記一連のステップを最初から繰り返す。指示があった場合(ST146−Y)には、MFユニット3にモード終了を通知し(ST147)、終了する。
MFユニット3側は、MF位置検出処理Bを行なった後、送風ファン回転数情報を受信したかを確認し(ST240)、受信した場合(ST240−Y)には、回転数を補正し(ST241)ST243に進む。受信無しの場合(ST240−N)には、送風ファンの回転数を維持し(ST242)ST243に進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認する(ST243)。受信しない場合(ST243−N)には、上記のステップ最初から繰り返す。受信した場合(ST243−Y)には、終了する。
騒音低減モードによれば、室内機ユニット5またはMFユニット3の傍に人がいる場合に、室内機ユニット5あるいはMFユニット3の送風ファンの回転数を下げて騒音を抑えることにより、夜間運転時などに送風音によって睡眠を妨げられるのを防止することができる。
次に、図6a,bを参照して、本発明の第3実施形態に係る空気調和システムの省エネ送風モードの実施例について説明する。この運転モードは室内機ユニット5とMFユニット3の位置関係により送風ファンの回転数を調整するもので、室内機ユニット5とMFユニット3の位置が近い場合は、室内機ユニット5の送風ファンの回転数を下げるものである。省エネ送風モードが選択されると、空気調和機ユニット2は、MF位置検出処理Aを行なった後、MFユニット3の位置が、室内機ユニット5の風量が弱風でも風が届く範囲である弱風範囲内かどうか確認する。(ST150)。
弱風範囲内と判断した場合(ST150−Y)、MFユニット3へ範囲情報を送信したのち(ST151)、室内機ユニット5の送風ファンの回転数を下げ(ST152)、ST154へ進む。弱風範囲外と判断した場合(ST150−N)には、送風ファンの回転数を維持し(ST153)、ST154へ進む。
次に、モード終了指示があったかどうかを確認する(ST154)。指示がない場合(ST154−N)には、上記一連のステップを最初から繰り返す。指示があった場合(ST154−Y)には、MFユニット3にモード終了を通知し(ST155)、終了する。
MFユニット3は、MF位置検出処理Bを行なった後、範囲情報を受信したかを確認し(ST250)、受信した場合(ST250−Y)には、回転数を補正し(ST251)、ST253に進む。受信無しの場合(ST250−N)には、送風ファンの回転数を維持し(ST252)、ST253に進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認する(ST253)。受信しない場合(ST253−N)には、上記のステップ最初から繰り返す。受信した場合(ST253−Y)には、終了する。
省エネ送風モードによれば、MFユニット3を室内機ユニット5の所定の範囲内に移動した場合に、室内機ユニット5とMFユニット3との送風をともに弱風とすることにより、無駄な送風を行わずに省エネ運転することができる。
次に、図7a,bを参照して、本発明の第3実施形態に係る空気調和システムの首振送風モードの動作について説明する。この運転モードはMFユニット3から吹出された風が障害物に当たらないようにするもので、MFユニット3の付近に障害物がある場合は、送風ファンの回転数を下げるものである。首振送風運転モードが選択されると、室内機ユニット5は、MF位置検出処理Aを行なった後、MFユニット3が室内機ユニット5の風が届く範囲である送風範囲内かどうかを確認する(ST160)。
送風範囲外であると判断した場合(ST160−N)、空気調和機ユニット2を単独運転する(ST161)。送風範囲内であると判断した場合(ST160−Y)、MFユニット3に向けて送風を開始する(ST164)。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認する(ST165)。受信しない場合(ST165−N)には、上記のステップ最初から繰り返す。受信した場合(ST165−Y)には、首振送風モード終了をMFユニット3に通知したのち(ST166)、終了する。
MFユニット3は、首振送風運転モードが選択されると、MF位置検出処理Bを行なった後、首振りモータ36を用いて吹出口を往復的に動作させる首振り運転を開始する。その後、近くに障害物があるかを距離センサ35を用いて検知し(ST260)、近くに障害物がある場合(ST260−Y)、弱風で運転し(ST262)、ST263へ進む。近くに障害物がない場合(ST260−N)、強風で運転し(ST261)、ST263へ進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認し(ST263)、受信なしと判断した場合(ST263−N)には、受信情報が得られるまで上記一連のステップを繰り返す。受信ありと判断した場合(ST263−Y)には、終了する。
図7に記載の首振送風モードによれば、MFユニット3の近くに障害物がある場合、常時障害物に風が当たることのないように、MFユニット3の吹出口の方向が往復動するよう首振りモータ36を用いて首振運転を行い、障害物がない方向へ送風することで、より効率的になる。
次に、図8a,bを参照して、室内機ユニット5とMFユニット3の吹出方向を互いに異ならせる異方向送風モードの動作手順の一例について説明する。ユーザーにより異方向送風モードが選択されると、空気調和機ユニット2は、MF位置検出処理Aを行なった後、室内機ユニット5のサーモパイル59を用いてMFユニット3の位置を検出するとともに、検出されたエリアが室内機ユニット5に近いエリアか遠いエリアかを判断し(ST170)、近くないと判断した場合(ST170−N)、空気調和機ユニット2は単独運転する(ST171)。
近いと判断した場合(ST170−Y)、MFユニット3の風向が本体の風向と同じかどうかを判断する(ST172)。異なると判断した場合(ST172−N)、ST175へ進む。風向が一致すると判断した場合(ST172−Y)は、MFユニット3とは異なる方向に風向を向ける(ST173)。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認する(ST175)。受信しない場合(ST175−N)には、上記のST170から繰り返す。受信した場合(ST175−Y)には、異方向送風モード終了をMFユニット3に通知したのち(ST176)、終了する。
MFユニット3は、MF位置検出処理Bを行なった後、風向補正情報を受信しているかどうかを確認し(ST270)、受信なしと判断した場合(ST270−N)、風向を維持し(ST277)ST273へ進む。受信ありと判断した場合(ST270−Y)は、風向を補正し(ST271)ST273へ進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認し(ST273)、受信なしと判断した場合(ST273−N)には、受信情報が得られるまで一連のステップを繰り返す。受信ありと判断した場合(ST273−Y)には、終了する。
これによれば、室内機ユニット5とMFユニット3とが距離的に近い位置に存在している場合、室内機ユニット5とMFユニット3の吹出方向を互いに異ならせることにより、室内機ユニット5とMFユニット3との間で空気循環が生まれ、室内をより効率的に空調することができる。
次に、図9を参照して、本発明の第4実施形態による音声案内モードの流れを説明する。音声案内モードは、運転情報を音声で報知する際、室内機ユニット5かMFユニット3のどちらかを適宜選択するものである。なお、以下に説明する音声案内モードは、室内機ユニット5とMFユニット3の電源がともにONとなっている場合であり、案内される各種音声は、室内機ユニット5またはMFユニット3内に内蔵された図示しないスピーカから発せられる。
音声案内モードにおいて、制御ユニット7は、室内機ユニット5が「本体音声モード」になっているかどうかを確認し(ST210)、「本体音声モード」になっていると判断した場合(ST210−Y)は、室内機ユニット5本体からのみ音声案内を行う(ST211)。
「本体音声モード」になっていないと判断した場合(ST210−N)、制御ユニット7は、次に、「MF音声モード」になっているかどうかを判断し(ST212)、「MF音声モード」に設定されてないと判断した場合(ST212−N)は、MFユニット3からの音声案内は行わない(ST213)。
「MF音声モード」に設定されていると判断した場合(ST212−Y)、制御ユニット7は、次に、人検知センサ50によって室内機ユニット5の近くに人がいるかどうかを判別し(ST214)、人が室内機ユニット5の近傍に存在している場合(ST214−Y)には、室内機ユニット5本体から音声案内を行う(ST215)。
人が室内機ユニット5の近傍に存在していないと判断した場合(ST214−N)、制御ユニット7はさらに、図示しない照度センサを用いて部屋が暗いかどうかを判断し(ST216)、部屋が暗い場合(ST216−Y)には、MFユニット3から音声案内を行う(ST217)。逆に、部屋が明るいと判断した場合(ST216−N)には、室内機ユニット5本体から音声案内を行う(ST218)。
これによれば、室内機ユニット5の傍に人がいる場合や、昼間などの部屋が明るい場合は、基本的に室内機ユニット5から音声案内を行い、夜間などの暗い場所では、MFユニット3から音声案内を行うことができる。これにより、居室の上部に設けられている室内機ユニット5よりも低い位置にあるMFユニット3から音声を出すため、音量を小さくできたり、ユーザに近いため、聞き取りやすい。
また、空気調和機ユニット2の設定内容を室内機ユニット5が報知した後、制御ユニット7から室内機ユニット5が報知を終了した旨MFユニット3へ通知し、その通知を受けMFユニット3の設定内容をMFユニット3が報知するようにしても良い。これにより、室内機ユニット5とMFユニット3の報知タイミングが重ならず、使用者が報知内容を確実に知ることができる。
次に、図10a,bを参照して、第5実施形態による空気調和システムの送風切替モードについて説明する。この運転モードはMFユニット3が室内機ユニット5の送風範囲外に動かされた場合に、室内ユニット5あるいはMFユニット3の送風を設定するものである。なお、送風モードについては、強風や弱風以外に任意プログラムに基づく送風モードがあるが、本実施形態において、具体的な送風モードについては任意的事項である。
送風切換モードが選択されると、空気調和機ユニット2は、MF位置検出処理Aを行なった後、MFユニット3の位置検出を行ない、MFユニット3が室内機ユニット5の風が届く範囲(送風範囲内)に置かれているかどうかを判断し(ST180)、送風範囲内と判断した場合(ST180−Y)には、運転を継続する(ST181)。
送風範囲外と判断した場合(ST180−N)には、MFユニット3に送風範囲外を通知したのち(ST182)、送風モードを継続する旨の入力があったかどうかを確認する(ST183)。継続無しの場合(ST183−N)には、空気調和機ユニット2の送風ファンの回転数を上げ(ST186)、ST187に進む。継続有りの場合(ST183−Y)には、継続をMFユニット3に通知した後(ST184)、運転を継続し(ST185)、ST187に進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認する(ST187)。受信しない場合(ST187−N)には、上記のステップ最初から繰り返す。受信した場合(ST187−Y)には、送風切換モード終了をMFユニット3に通知したのち(ST188)、終了する。
MFユニット3は、MF位置検出処理Bを行なった後、送風範囲外であると通知があったかを確認し(ST280)、送風外通知ありの場合(ST280−Y)には、モード継続の通知があったかどうかを確認し(ST281)、モード継続の通知無しの場合(ST281−N)には、運転を停止する(ST282)。モード継続の通知有りの場合(ST281−Y)には、攪拌モードで運転し(ST283)、ST285に進む。送風外通知なしの場合(ST280−N)は、運転状態を維持し(ST284)、ST285に進む。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認し(ST285)、受信なしと判断した場合(ST285−N)には、受信情報が得られるまで一連のステップを繰り返す。受信ありと判断した場合(ST285−Y)には、終了する。
図10に記載の送風切替モードによれば、室内機ユニット5からMFユニット3が離れている場合には、あえて無理な送風を行わずに設定モードのまま送風を行うことで、省エネで運転することができる。また、強制的に送る場合には、室内機ユニット5の送風ファン回転数を高めることで、室内の空気を循環させることができる。
次に、図11a,bを参照して、本発明の第5実施形態による空気調和システムの送風範囲切替モードについて説明する。この運転モードは、室内機ユニット5とMFユニット3との距離に応じて、室内機ユニット5とMFユニット3の送風を連動させるものである。送風範囲切換モードが選択されると、空気調和機ユニット2は、MF位置検出処理Aを行なった後、MFユニット3が室内機ユニット5の風量が弱風でも風が届く範囲である弱風範囲内かどうかを確認し(ST190)、弱風の範囲内と判断した場合(ST190−Y)には、空気調和機ユニット2の送風ファンを弱風運転とする(ST191)。
弱風の範囲外であると判断した場合(ST190−N)には、次に、MFユニット3が中風の範囲内かどうかを確認する(ST192)。中風の範囲内であると判断した場合(ST192−Y)、空気調和機ユニット2の送風ファンを中風運転とする(ST193)。
中風の範囲外であると判断した場合(ST192−N)には、MFユニット3が強風の範囲内かどうかを確認する(ST194)。強風の範囲内であると判断した場合(ST194−Y)、空気調和機ユニット2の送風ファンを強風運転とする(ST195)。強風の範囲外と判断した場合(ST194−N)には、MFユニット3に送風範囲外を通知したのち(ST196)、運転を継続する(ST197)。
次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認する(ST198)。受信しない場合(ST198−N)には、上記のステップを最初から繰り返す。受信した場合(ST198−Y)には、送風範囲切換モード終了をMFユニット3に通知したのち(ST199)、終了する。
MFユニット3は、MF位置検出処理Bを行なった後、送風範囲外であるとの通知を受けたかどうかを確認し(ST290)、通知を受けた場合(ST290−Y)には、範囲外であることを表示したのち(ST291)、モード切換前の運転を継続する(ST292)。
通知を受けていない場合(ST290−N)には、攪拌運転を行う(ST293)。次に、モード終了情報を受信したかどうかを確認し(ST294)、受信なしと判断した場合(ST294−N)には、受信情報が得られるまで一連のステップを繰り返す。受信ありと判断した場合(ST294−Y)には、終了する。
図11に記載の発明によれば、室内機ユニット5とMFユニット3との距離に応じて、室内機ユニット5とMFユニット3の送風を連動させることにより、弱風の範囲外に出ると、自動的に強風運転となり、強風運転の範囲を出るとそれを表示するため、よりきめ細かな温度管理を行うことができる。
次に、図12a,bを参照して、本発明の第6実施形態による位置検出の方法を説明する。まず、リモコン4の操作部44を操作して、空気調和機ユニット2の電源を入れる(ST300)とともに、MFユニット3と空気調和機ユニット2とを連動させるMFモードをONにする(ST301)。
これに伴い、制御ユニット7は、MFユニット3の電源が入っていない場合(ST302−N)は、MFユニット3に対して電源を入れるようON信号を送信する(ST303)。
その後、MFユニット3の電源がONにならなかった場合(ST304−N)は、通信エラーである旨を表示し(ST305)、空気調和機ユニット2は単独運転を行う(ST306)。ここで、制御ユニット7がMFユニット3の電源をONとするようにしたが、リモコン4で直接MFユニット3の電源をONとしてもよい。
MFユニット3の電源がONである場合(ST302−Y)には、MFユニット3へ位置情報を要求し(ST307)、室内機ユニット5に設けられたサーモパイル59で特定波長を検出したかどうか確認する(ST308)。特定波長が検出されない場合(ST308−N)には、表示部57に検出エラーを出力(ST309)し、空気調和機ユニット2は単独運転を行う(ST310)。検出情報が得られた場合(ST308−Y)には、検出完了情報をMFユニット3へ送信し(ST311)、位置検出を終える(ST312)。
ここでサーモパイル59は、部屋Rの床面を複数のエリアに分けて測定するものであり、どのエリアでMFユニット3からの特定波長を検出したかによって、MFユニット3の位置を特定するものである。
次に、MFユニット3の動作を説明する。MFユニット3は、空気調和機ユニット2からON信号を受信したのち(ST400)、MFユニット3の電源がONかどうかを確認する(ST401)。電源がONでなかった場合(ST401−N)にはONとし(ST402)、ST403に進む。電源がONであった場合(ST401−Y)にはST403に進む。
その後、本体からの位置情報要求信号を受け(ST403)、赤外線送信部37を所定の間隔で点滅させることで特定波長を発信する(ST404)。そして、MFユニット3は、検出完了情報を受信したかどうかを確認し(ST405)、受信しない場合(ST405−N)には、表示部85に検出エラーを出力し(ST407)、終了する(ST408)。受信した場合(ST405−Y)には、正常終了として終了する(ST406)。
図12に記載された位置検出方法によれば、室内機ユニット5とMFユニット3の位置関係をサーモパイル59と赤外線送信部37を介して行うことで、MFユニット3の正確な位置情報を簡単に調べることができる。
以上説明したように、本発明の空気調和システムによれば、室内機ユニット5から送り出された空気をMFユニット3を中継して、室内機ユニット5では直接届かない場所に空気を送り届けたり、室内を循環させて再び室内機ユニット5に戻すことができるため、省エネで効率のよい運転が可能となる。なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではない。