JP5598588B2 - 無線通信システムの制御方法 - Google Patents

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本発明は、無線ビームを適応制御して無線通信を行うシステム及びその制御方法に関する。
近年、広帯域なミリ波(30GHz〜300GHz)を用いた無線装置の利用が広がりつつある。ミリ波無線技術は、特に、高精細画像の無線伝送やギガビット級の高速データ無線通信への応用が期待されている(例えば、非特許文献1、2,3参照)。
しかしながら、周波数が高いミリ波には直進性が強い性質があり、室内での無線伝送を想定した場合には課題がある。直進性が強い上に、人体等により信号減衰が顕著なため、室内などで送信機と受信機の間に人が介在した場合、見通し外となって伝送が困難になってしまう(シャドウイングの問題)。この問題は、周波数が高くなって電波の直進性が強くなるのに応じて伝搬環境が変わってきた結果によるもので、ミリ波帯(30GHz以上)に限らない。電波の伝搬環境が変化する変り目の周波数を明示することはできないが、およそ10GHz前後といわれている。なお国際電気通信連合の勧告(“Propagation data and prediction methods for the planning of indoor radio communication systems and radio local area networks in the frequency range 900 MHz to 100 GHz,” ITU-R, P.1238-3, 2003年4月)によれば、伝搬時の距離に対する電波の減衰量を表す電力損失係数(power loss coefficients)は、オフィス内では0.9〜5.2GHzにおいて28〜32であるのに対し、60GHzにおいては22となっている。自由空間損失の場合は20であるから、60GHzというような高い周波数では散乱や回折などの影響が少ないものと考えられる。
上述したような課題を解決するために、例えば、受信装置に複数の受信部を設置することにより複数の伝送路を設け、送信装置と受信部との間の伝送路うち一方の伝送路が遮蔽された場合に、もう一方の伝送路で伝送を継続するシステムが特許文献2に記載されている。
また、別の解決方法として、反射体を壁や天井に設置し、いくつかの伝送路を確保することも考案され、特許文献3に記載されている。
特許文献2に記載された方法は、送信装置の近傍が遮蔽された場合や、複数設置された受信部を全て遮蔽された場合には、対応できない。また、特許文献3に記載された方法では、送信機と受信機の配置を考えて反射体を設置する必要があるなど、ユーザーに対して格別の配慮を要請しなければならなかった。
ところが、最近になって、ミリ波の伝搬特性が調べられ、意図的に反射体を設置しなくても反射波を利用できる可能性が見出された。図16は、広角アンテナを用いたシステムの構成を示す図であり、図17は、図16に示したような広角アンテナを用いたシステムの室内における遅延プロファイルの例を示す図である。図16に示したような広角アンテナを用いたシステムにおいては、図17に示すように、最初に到来する主波の受信電力が1番大きい。その後、第2波、第3波等の遅延波が到来するが、受信電力としては小さい。これら第2波や第3波は、天井や壁からの反射波である。この状況は、例えば無線LAN(Local Area Network)で使用される2.4GHz帯のような直進性が弱い電波の伝搬環境とは著しく異なる。2.4GHzでは回折の効果と多重反射によって、電波の到来方向を明確に分離することが困難である。一方、直進性が強いミリ波では、電波の到来方向が比較的明確であるが、遅延波の数は限られ、その受信レベルは小さい。
したがって、直接波が遮蔽された場合に、反射波を利用して伝送を継続させるためには、図15に示すように、指向性利得が高い狭ビームを反射する方向へ向け、受信レベルを確保しなければならない。ただし、遮蔽の有無や、送信機と受信機の相対位置などについて、ユーザーの格別な配慮を不要とするためには、狭いビームを動的に制御するビームフォーミングの技術が必須となる。
ビームフォーミングにおいては、アンテナアレイを構成する必要がある。波長が短いミリ波では(例えば、周波数60GHzでは5mm)、アンテナアレイを小エリアで実現でき、これに供する移相器アレイや発振器アレイが開発されている(例えば、非特許文献3,4参照)。
また、アンテナアレイを用いたビームフォーミングとは別の目的の技術として到来方向推定技術が知られている。到来方向推定技術は、レーダーやソナー、伝搬環境測定、等で用いられる技術であり、アンテナアレイで受信する電波の到来方向と電力を高精度に推定するためのものである。そこで用いられるアルゴリズムとして、ビームフォーマー法、Capon法(非特許文献5)、線型予測法、最小ノルム法(非特許文献6)、MUSIC(Multiple Signal Classification)(非特許文献7)、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)(非特許文献8)を始めとして多種が知られている。
この到来方向推定技術が、電波源を設置した上での伝搬環境測定に用いられる場合、その電波源にはしばしばオムニ(無指向性)アンテナが使用される。例えば非特許文献10にそのような例が示されている。
国際公開第2008/090836号パンフレット 特開2006−245986号公報 特開2000−165959号公報 米国特許出願公開第2007/0205943号明細書
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室内でのミリ波システムにおいて、直接波が遮蔽された場合に反射波で無線伝送を継続する場合には、以下の問題が生じる。
使用する波(直接波、反射波)を切り替える際、伝送断の時間を短くすることが望ましく、例えば、リアルタイム性が要求される非圧縮画像伝送では、特に強い要求となる。一方、反射波を利用する場合には、受信強度を高めるためにアンテナビーム幅を狭くしてアンテナの指向性利得を高くする必要がある。
ところが、ビーム幅が狭ければ狭いほど探索する方向(ステップ)が増える。このため、ビーム方向を探索し、最適なビーム方向を設定するための時間がかかるので、伝送断の時間が長くなってしまう。そこで、このような場合にも伝送断の時間を短くできるビーム方向の設定方法が強く望まれている。なお、データをバッファリングできる装置であっても、伝送断の時間が長くなると、非常に大きなメモリが必要となり実用的ではない。
図4に、ビームフォーミングで用いる送受信機の構成の一例を示す(動作の説明に不要な回路を除く)。送信アンテナはM個、受信アンテナはN個である。送信機401には、送信回路403があり、外部からデータが入力される。送信回路403の出力はM分岐され、それぞれAWV(アレイ重みベクトル)制御回路404−1〜Mに入力される。ここで各々の信号は、その振幅および位相もしくは何れか一方が変えられ、最終的には各アンテナ素子405−1〜Mからなる送信アンテナアレイを通して出力される。AWV制御回路404−1〜Mは、例えばアナログ移相器と可変利得増幅器の直列接続により実現でき、この場合には信号の振幅及び位相の双方が連続的に制御される。またAWV制御回路404−1〜Mをデジタル移相器で実現した場合には、信号の位相のみが離散的に制御されることになる。AWV制御回路404−1〜Mにより制御されるAWVは一般的には、以下の式(1)のように表記できる。
Figure 0005598588
ここで、w、w、・・・wは複素数であり、添え字Tは転置を表す。また信号の位相のみを制御する場合には、式(1)は、以下の式(2)のように表記することができる。
Figure 0005598588
ここで、θ、θ、・・・、θは位相制御量である。
また処理・演算回路406は、制御回路407を通して、AWV制御回路404−1〜MのAWV設定を指示する。各信号に与えられる振幅および位相もしくは何れか一方の変化によって、送信機から発射されるビームの方向、幅などを制御することが可能となる。
一方受信機402では送信機401と逆の構成がとられている。各アンテナ素子411−1〜Nからなる受信アンテナアレイによって受信された信号は、AWV制御回路410−1〜Nで振幅および位相もしくは何れか一方が調整されてから合成され、受信回路409を経て、外部にデータが出力される。送信機401と同様に、処理・演算回路406によって、各AWV制御回路410−1〜Nの振幅および位相もしくは何れか一方が制御される。
図5は、図4に示した構成の送受信機2つ(400及び500)で構成された無線通信システムの概念図である。送受信機500の送信アンテナはK個、受信アンテナはL個としてある。
通信機と通信機の間の伝搬路の特性は、チャネル応答行列で表現される。このチャネル応答行列が求まれば、特異値分解(SVD: Singular-Value Decomposition)を用いて、最もよい送受信機のアンテナアレイの位相組合せが求まることが知られている。しかし一方でSVDは複雑で処理時間が長いため、例えば、高速性が要求される非圧縮画像伝送装置に実装することは困難である。
このため、例えば特許文献4には、ユニタリ行列(例えばアダマール行列)をアンテナアレイの位相として加え、送信機のアンテナアレイのトレーニングと、受信機のアンテナアレイのトレーニングを繰り返し、最も信号強度が強くなる最適AWVを求める方法が開示されている。この方法では、SVDに比べ時間が短縮できるものの、送受信の切り替えを繰り返し行うために、最適なAWV組合せを求めるまでに所定の時間がかかっていた。
また非特許文献9には、ビーム解像度を徐々に上げながら送受のビーム方向を最適化する技術が開示されている。しかしこのような技術においても、送受信の切り替えを繰り返し行いながら多数の送受のビーム方向の組合せについて通信品質の測定を行う必要があり、最適なビーム組合せを求めるのに多大な時間が必要であった。
また同文献において、最も低い解像度のビームとして、擬似オムニ(擬似無指向性)パターンという概念が呈示されている。この擬似オムニパターンとは、完全なオムニ(無指向性)ではないものの、送受信機周辺の空間のうち非常に広い方向にわたりほぼ一定のアンテナ利得を有するパターンを指す。ミリ波アンテナアレイにおいては完全なオムニパターンを得ることが困難な場合が多いため、この擬似オムニパターンで代用される場合が多い。
一般的に、初期にリンクを確立する際には、最適なAWV組合せを求める時間が長くても許容される。しかし、既にリンクが確立された後に伝送断が発生した際に必要となる再リンク確立には、素早い別の最適AWVの組合せ探索が必要である。またマルチポイント通信の場合、複数のリンクの再確立が必要となり、より早い最適AWVの組合せ探索が必要である。
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ビームフォーミングを行って無線通信を行う場合に、ビーム方向の探索や設定にかかる時間を短縮し、伝送断が生じる時間を短くすることができる無線制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる方法は、アンテナアレイと、前記アンテナアレイを構成するアンテナ素子から送信する信号または前記アンテナ素子で受信する信号の振幅および位相の少なくとも一方を変化させるアレイ重みベクトル(AWV)制御回路とを個々に備えた複数の通信機が通信を行う無線通信システムの制御方法である。当該制御方法は、前記アンテナアレイをなす複数のアンテナ素子のうち少なくとも2つ以上のアンテナ素子のAWVを独立に制御するに際して行われる以下の処理(a)〜(f)を含む。
(a):前記複数の通信機に含まれる第1の通信機が有する前記アンテナアレイに固定ビームパターンを設定するとともに、前記第1の通信機からトレーニング信号を送信すること、
(b):前記複数の通信機に含まれる第2の通信機が有する前記アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査しながら、前記第2の通信機において前記トレーニング信号を受信すること、
(c):前記トレーニング信号の受信結果に基づいて、前記第2の通信機における信号の到来方向と受信信号特性の関係を記述したデータ列を取得すること、
(d):前記データ列を用いて決定した前記第2の通信機における複数または単数の信号の到来方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求めること、
(e):前記第1及び第2の通信機による前記トレーニング信号の送信動作と受信動作を入れ替えて前記(a)乃至(d)を実行することにより、前記第1の通信機における複数または単数の信号の到来方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求めること、
(f):前記(d)及び(e)の手順で求めたAWVの組み合わせを前記第1及び第2の通信機の間の通信に利用すること。
本発明の第2の態様にかかる方法は、上述した第1の態様にかかる方法と同様の無線通信システムを制御する他の方法であり、以下の処理(a)〜(g)を含む。
(a):前記複数の通信機に含まれる第1の通信機が受信動作を行うとともに、そのアンテナアレイに固定ビームパターンを設定すること、
(b):前記複数の通信機に含まれる第2の通信機がそのアンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査しながらトレーニング信号を放射し、
(c):前記第1の通信機において測定された前記トレーニング信号の受信結果を示す受信信号データを前記第2の通信機へフィードバックすること、
(d):前記受信信号データに基づいて、前記第2の通信機における信号の放射方向と前記第1の通信機における受信信号特性の関係を記述したデータ列を作成すること、
(e):前記データ列を用いて決定した複数または単数の信号の放射方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求めること、
(f):前記第1及び第2の通信機による前記トレーニング信号の送信動作と受信動作を入れ替えて前記(a)乃至(e)を実行することにより、前記第1の通信機における複数または単数の信号の放射方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求めること、
(g):前記(e)及び(f)の手順で求めたAWVの組み合わせを前記第1及び第2の通信機の間の通信に利用すること。
本発明の第3の態様にかかる方法は、第1及び第2の送信機を含む無線通信システムの制御方法である。ここで、第1の通信機は、アンテナアレイと、前記アンテナアレイを構成する複数のアンテナ素子から送信する信号または前記アンテナ素子で受信する信号の振幅および位相の少なくとも一方を変化させるアレイ重みベクトル(AWV)制御回路とを備える。一方、前記第2の通信機は、固定のビームパターンを用いる。当該方法は、以下の処理(a)〜(d)を含む。
(a)前記第2の通信機からトレーニング信号が送信されている状態で、前記第1の通信機が受信動作をし、前記アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査すること、
(b)前記トレーニング信号の受信結果に基づいて、前記第1の通信機における信号の到来方向と受信信号特性の関係を記述したデータ列を取得すること、
(c)前記データ列を用いて決定した前記第1の通信機における複数または単数の信号の到来方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求めること、
(d)求めたAWVを前記第1及び第2の通信機の間の無線通信に利用すること。
本発明の第4の態様にかかる方法は、上述した第3の態様にかかる方法と同様の無線通信システムを制御する他の方法であり、以下の処理(a)〜(e)を含む。
(a)前記第2の通信機が受信動作をしている状態で、前記第1の通信機が送信動作をし、前記アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査しながらトレーニング信号を放射すること、
(b)前記第2の通信機において測定された前記トレーニング信号の受信結果を示す受信信号データを前記第1の通信機へフィードバックすること、
(c)前記受信信号データに基づいて、前記第1の通信機における信号の放射方向と前記第2の通信機における受信信号特性の関係を記述したデータ列を作成すること、
(d)前記データ列を用いて決定した複数または単数の信号の放射方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求め、
(e)求めたAWVを前記第1及び第2の通信機の間の無線通信に利用すること。
本発明によれば、ビームフォーミングを行って無線通信を行う場合に、通信品質が良いビーム方向を短時間で探索および設定することが可能になる。
以下では、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
<第1の実施の形態>
本発明における第1の実施の形態を、図1に示した遷移図を用いて説明する。なお本実施の形態にかかる無線通信システムの装置構成は、例えば、図5に示した装置構成を採用することができる。
図1に示すS12において、送受信機400及び送受信機500は、これらに設けられたAWV制御回路404−1〜M、410−1〜N、504−1〜K、510−1〜Lを最適化するための初期トレーニングを行う。S13では、処理・演算回路406若しくは506又はこれら2つの回路が協同して、複数のAWV組合せ候補を計算する。S13における複数のAWV組合せ候補の計算方法については後述する。得られた複数のAWV組合せ候補は、記憶回路408及び508若しくは何れか一方にデータ列として記憶される。
S14では、S13で得られた複数のAWV組合せ候補の中から1つを選択して通信を行う。このときのAWV組合せの選択の仕方についても後述する。通信継続中においては、送受信機400及び500は、通信状態をモニタする。例えば送受信機500を受信動作させた場合には、受信回路509又は処理・演算回路506において通信品質を計測することにより行えばよい。通信品質としては、例えば、受信レベル、信号電力対雑音電力比(SNR:Signal to Noise ratio)、ビット誤り率(BER:Bit Error Rate)、パケット誤り率(PER:Packet Error Rate)、フレーム誤り率(FER:Frame Error Rate)などを測定すればよい。一方、このとき送信機として動作させた送受信機400における通信状態のモニタは、送受信機500からの通信品質劣化警報の受信状況、受信確認応答(ACK)の受信状況を計測することにより行えばよい。なお、通信状態のモニタの具体的手法には、公知の一般的な手法を採用すればよいため、本実施形態における詳細な説明は省略する。
通信継続中に、通信途絶などの通信品質の劣化が検出された場合、送受信機400及び500は、記憶回路408及び508若しくは何れか一方に記録されたデータ列の中から別のAWV組合せを選択する(S15)。
S16では、新たに選択されたAWV組合せを用いた通信の品質が良好であるか否かを判定する。通信品質の良否は、例えば送受信機500を受信動作させた場合には、受信回路509又は処理・演算回路506において、受信レベル、SNR等を計測することによって判定すればよい。S16にて通信品質が良好であると判定された場合、送受信機400及び500は通信状態(S14)に復帰する。一方、S16にて通信品質が不十分であると判定された場合、送受信機400及び500はS15に遷移してAWV組合せの再選択を行う。
記憶回路408及び508に記録されたAWV組合せの中から、通信状態が良好なものが見つからない場合には、初期トレーニングに戻ってやり直しを行う。
続いて以下では、図1のS12における初期トレーニングの手順、及びS13における複数のAWV組合せ候補を求める手順について説明する。
先ず、送受信機400を送信動作させ、そのAWVをオムニもしくは擬似オムニパターンを発生するよう設定する。その状態でトレーニング信号を送信する。前記トレーニング信号は複数の伝搬路を経て送受信機500へと到来する。
このとき送受信機500を受信動作させ、そのアンテナアレイ510−1〜L、受信回路509、制御回路513、処理・演算回路506を連動させて、そのアンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査し、受信動作させた送受信機500における信号の到来方向と受信電力の関係を記述したデータ列を取得する。その際、AWVの制御やデータ列取得を、到来方向推定アルゴリズムを用いて実行すればよい。到来方向推定アルゴリズムはレーダーやソナー、伝搬環境測定、等で用いられる技術であり、ビームフォーマー法、Capon法(非特許文献5)、線型予測法、最小ノルム法(非特許文献6)、MUSIC(Multiple Signal Classification)(非特許文献7)、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)(非特許文献8)を始めとして多種のアルゴリズムが知られている。それぞれのアルゴリズム間では、角度分解能、電力推定精度、演算量、等が異なるので、本発明が適用されるシステムに応じて適当なアルゴリズムを選択すればよい。ここでは、代表例としてビームフォーマー法、及びCapon法を用いた場合について説明するが、他の到来方向推定アルゴリズムを用いてもよい。また、到来方向推定アルゴリズム以外のアルゴリズムを用いることも可能である。また、上記では到来方向と受信電力の関係を記述したデータ列を取得するとしたが、受信電力以外の受信信号特性でもよい。受信電力以外の受信信号特性とは例えば、信号電力対雑音電力比(SNR)などである。
一例として、図6に示すような伝搬環境を考える。図6の例では、送受信機400及び500並びに反射体62は、壁61に囲まれた室内(2次元)に設置されている。送受信機400と500の間で通信に使用可能な伝搬路が、信号1〜4で示した4経路存在するものとする。到来方向推定アルゴリズムを実行することにより、図7に例示するような角度スペクトラムと到来方向の関係を示すデータ列を取得する。ここで角度スペクトラムとは、各信号間の受信電力比を示す量である。図7には、例としてビームフォーマー法とCapon法を用いた場合の、角度スペクトラムを示している。
なおここでは説明の簡単化のため、図6のような平面(2次元)の伝搬環境を考えており、従って図7横軸の到来方向も1次元の量となっている。アンテナアレイの次元も1次元を想定している。しかし、本発明は3次元の伝搬環境において、2次元のアンテナアレイを用いる場合にも適用できる。この場合、図7の横軸は2つの角度から成る2次元配列となる。
処理・演算回路506は、得られた角度スペクトラムのデータ列を用いてピークサーチを行い、受信電力順に信号を識別する。この際、予め決めておいた信号数まで識別が終了した時点で、識別処理を終了しても良い。続いて処理・演算回路506は、各信号の到来方向へ主ビームもしくはそれに準じるビームを向けるためのAWVを計算し、このAWVを受信電力順に記憶回路508へ格納する。ここでAWVは、受信機502のAWV制御回路510−1〜Lに対するものと、送信機501のAWV制御回路504−1〜Kに対するものの双方を計算する。送受信機500が受信動作する場合には前者を、送信動作する場合には後者を使用すればよい。また、新たにAWVを計算するのではなく、ビーム走査を行った際に使用したAWVのうち対応する到来方向に主ビームもしくはそれに準じるビームが向いたものを使用することも可能である。
続いて、送受信機400と500の役割を交替して同様の処理を実行する。即ち、送受信機500を送信動作させ、そのAWVをオムニもしくは擬似オムニパターンを発生するよう設定する。その状態でトレーニング信号を送信する。前記トレーニング信号は複数の伝搬路を経て送受信機400へと到来する。この際、通信に使用可能な伝搬路としては、図8に示すように、図6とは方向を逆にした4つの経路が存在する。
このとき送受信機400を受信動作させ、そのアンテナアレイ410−1〜L、受信回路409、制御回路413、処理・演算回路406を連動させて到来方向推定アルゴリズムを実行する。その結果、図9に示すようなデータ列が取得できる。
ここで一般には、図7の横軸の到来方向と図9の横軸の到来方向の間には明確な関係は存在しない。しかし、図7及び図9に示した4つの信号は、それぞれ同じ経路を逆向きに伝搬した信号であるから、それぞれの伝搬損失はほぼ等しく、従って電力の大きさの関係は保持される。ここで、送受信機400の送信機401のアンテナアレイ405−1〜Mと受信機402のアンテナアレイ411−1〜Nの距離は、伝搬路の距離に比べ十分小さく無視できると仮定している。同様に、送受信機500の送信機501のアンテナアレイ505−1〜Kと受信機502のアンテナアレイ511−1〜Lの距離は、伝搬路の距離に比べ十分小さく無視できると仮定している。これらの仮定は通常の伝搬環境において十分に成立するものである。また送受信機でアンテナアレイを共有化した構成の送受信機を用いた場合でも本発明の適用が可能であるが、この場合には上記の仮定は不要である。
処理・演算回路406は、得られた角度スペクトラムのデータ列を用いてピークサーチを行い、受信電力順に信号を識別する。この際、予め決めておいた信号数まで識別が終了した時点で、識別処理を終了しても良い。続いて処理・演算回路406は、各信号の到来方向へ主ビームもしくはそれに準じるビームを向けるAWVを計算し、このAWVを受信電力順に記憶回路408へ格納する。ここでAWVは、受信機402のAWV制御回路410−1〜Nに対するものと、送信機401のAWV制御回路404−1〜Mに対するものの双方を計算する。送受信機400が受信動作する場合には前者を、送信動作する場合には後者を使用すればよい。また、新たにAWVを計算するのではなく、ビーム走査を行った際に使用したAWVのうち対応する到来方向に主ビームもしくはそれに準じるビームが向いたものを使用することも可能である。
送受信機400及び500は、上述した方法により記憶装置408及び508に格納されたAWVの中から同じ順位のAWVを選択して通信を開始する(図1のS13及びS14)。この際、送受信機400を送信動作させる場合には、送信機401のAWV制御回路404−1〜Mに、記憶回路408に格納されたAWVのうちの所定の順位のAWVを設定すればよい。送受信機400を受信動作させる場合には、受信機402のAWV制御回路410−1〜Nに、記憶回路408に格納されたAWVのうちの所定の順位のAWVを設定すればよい。送受信機500についても同様である。
そして、初期に選択したAWV組合せでの通信が劣化した場合、送受信機400及び500は、記憶装置408及び508に格納されたAWVの中から同じ順位の別のAWV組合せを選択し(図1のS15)、通信品質を確認し(図1のS16)、良好であればその候補を採用する(S13からS14への遷移)。以上の処理においては、AWVの選択は、例えばAWVの格納順、すなわち初期トレーニングにおける受信電力の順に行うとよい。
続いて以下では、図1に示した状態遷移過程において行われる送受信機400及び500の動作について詳しく説明する。図10は、図1のS11〜S13までの遷移過程、つまり初期トレーニングの実行から通信開始までの過程における送受信機400及び500の動作を示すシーケンス図である。送受信機400が送信動作、500が受信動作する場合、送受信機400は、通常の通信時には外部からの入力データを送受信機500に送信する。一方、トレーニングの際には、処理・演算回路406が、トレーニング用の信号(以下、トレーニング信号と呼ぶ)を送信回路403に出力させる。この結果、トレーニングの際には、送受信機400から送受信機500に対してトレーニング信号が送信される。逆の場合、すなわち送受信機400が受信動作、500が送信動作する場合も同様である。なお簡単化のため、図10〜14では送受信機400を“送受信機1”、送受信機500を“送受信機2”と表記した。
以下では、図10のシーケンス図の各ステップを順に説明する。先ず送受信機400(図10の送受信機1)は、AWVをトレーニング用の値、すなわちオムニもしくは擬似オムニパターン生成用の値に設定し(S602−1)、トレーニング信号を送出する(S604−1)。送受信機500(図10の送受信機2)は、AWVを変更しながら(S603−2)、予め定められた全てのAWV設定での信号受信が完了するまで(S605−2)、トレーニング信号の受信を繰り返す(S604−2)。
続いて送受信機500は、受信した信号の計測結果から、信号の受信電力と到来方向の関係を示すデータ列である角度スペクトラムを作成する(S606−2)。次に送受信機500は、角度スペクトラムのデータ列を用いてピークサーチを行い、受信電力順に信号を識別する。この際、予め決めておいた信号数まで識別が終了した時点で、識別処理を終了しても良い。続いて、送受信機500は、各信号の到来方向へ主ビームもしくはそれに準じるビームを向けるAWVを計算し、このAWVを受信電力順に記憶する(S607−2)。
続いて、送受信機400と送受信機500の役割を交替して同様の手順を実行する。すなわち、送受信機500は、AWVをトレーニング用の値、すなわちオムニもしくは擬似オムニパターン生成用の値に設定し(S608−2)、トレーニング信号を送出する(S610−2)。送受信機400は、AWVを変更しながら(S609−1)、予め定められた全てのAWV設定での信号受信が完了するまで(S611−1)、トレーニング信号の受信を繰り返す(S610−1)。続いて送受信機400は、受信した信号の計測結果から、信号の受信電力と到来方向の関係を示すデータ列である角度スペクトラムを作成する(S612−1)。次に送受信機400は、角度スペクトラムのデータ列を用いてピークサーチを行い、受信電力順に信号を識別する。この際、予め決めておいた信号数まで識別が終了した時点で、識別処理を終了しても良い。続いて、送受信機400は、各信号の到来方向へ主ビームもしくはそれに準じるビームを向けるAWVを計算し、このAWVを受信電力順に記憶する(S613−1)。
通信に入る準備として、送受信機400からAWV番号の送出を行い(S614−1)、送受信機500でこれを受信する(S614−2)。ここでAWV番号とは、トレーニング時に受信電力順に格納したAWVの順番のことである。送受信機400と送受信機500とで同じ順位のAWVを組み合わせることで、共通の伝搬路に向けたビーム形成が可能となる。このAWV番号の伝達は逆向き、すなわち送受信機500から送受信機400へ向けておこなってもよい。このAWV番号の選択は、例えば格納順、すなわち受信電力順におこなうとよい。続いて、送受信機400及び500は、AWV番号に対応したAWVにAWV制御回路を設定する(S615−1及び2)。以上により通信が可能な状態となる(S616−1及び2)。
次に、通信の遮断等の通信品質の劣化が発生した場合の動作について、図11を用いて説明する。図11は、図1のS14〜S16までの遷移過程における送受信機400及び500の動作を示すシーケンス図である。また以下では、送受信機400(図11の送受信機1)が送信動作、送受信機500(図11の送受信機2)が受信動作している場合について説明する。
通信の遮断等の障害が発生した場合、受信動作中の送受信機500は、通信品質の劣化があったことを検知し(S702−R)、送受信機400に通知する(S703−R)。送信動作中の送受信機400は、通信品質の劣化通知を送受信機500から受領するか、データ受信の成功時に送受信機500側から通常の通信で送られてくるACK信号が受信されないことによって、通信の遮断(もしくは通信状態の悪化)があったと認識する。このとき、送受信機400及び500は、それぞれが有する共通のデータベースから、それぞれ次候補のAWVを取得する(S704−T、R)。
ステップS705−Tでは、送受信機400が、次候補のAWVをAWV制御回路404−1〜Mに設定する。同様に、ステップS705−Rでは、送受信機500が、次候補のAWVをAWV制御回路510−1〜Lに設定する。この後、送受信機400及び500は、通信を再開する(S706−T、R)。通信再開後、送受信機500は通信品質を確認し(S707−R)、良好であれば通信を継続し、良好でなければAWVの変更通知を送出する(S708−R)。送受信機400は、AWVの変更通知を受領した場合又は送受信機500からACK信号が受信できない場合(S709−T)を除き、そのまま通信を継続する。もしそうでなければ、送受信機400及び500は、次のAWV組合せ候補がある限り、次候補での通信を試みる(S710−T、R)。もし、記憶回路408及び508に記録された何れの位相組合せ候補でも通信品質の改善が得られず、次候補が無くなった場合、送受信機400及び500は、初期トレーニングに戻る。
ところで、図10の具体例では、送受信機500側のトレーニングを先に行っているが、送受信機400側のトレーニングを先に行ってもよい。また、図10の例では、角度スペクトラムの作成及びAWV計算・記憶を、それぞれの送受信機において行っているが、これらの処理を一方の送受信機でまとめて行ってもよい。例えば、送受信機500のトレーニングで取得したデータを送受信機400に送信し、送受信機400の処理・演算回路406において送受信機500の角度スペクトラムの作成及びAWV計算・記憶を行ってもよい。また、送受信機500で角度スペクトラムの作成まで行い、これを送受信機400に送付し、AWV計算・記憶のみを送受信機400で行ってもよい。これらの場合には、送受信機400から500へのAWV番号送出(S614−1)の替わりに、AWVを直接送受信機500へ送付すればよい。またデータベース作成にあたっては、本明細書にて具体的に記載した方法以外の方法で取得されたAWV組合せを加えても、本実施形態の範囲を逸脱するものではない。
本実施の形態によれば、無線通信の途絶などの通信品質の劣化が発生した場合には、予め生成されている他のAWV組合せ候補を選択することによって、速やかに通信を再開することができる。言い換えると、本実施の形態では、通信品質の劣化が発生するたびに、トレーニング、到来方向推定アルゴリズムの実行、及びAWV組合せの生成を改めて行う必要がないので、極めて短時間に新しいビームを決めることが可能になる。なお、到来方向推定アルゴリズムの中には演算量の大きなものもある。しかしながら、本発明においては、到来方向推定アルゴリズムの実行は初期トレーニングにおいて行われる。初期トレーニングに対しては、通信途中での遮断からの復帰に比べて長い時間が許容されるので、支障は小さい。
以下に、この方法が屋内のミリ波、あるいは直進性が高くなる概ね10GHz以上のマイクロ波で有効である理由について補足的に説明する。無線通信に供することのできる伝搬路は限られている。つまり、直接波と、壁、窓、什器などの特定の物体からの反射波である。したがって、各伝搬路の放射すべき角度、あるいは受信すべき角度は、それぞれの波(信号)によって大きく異なっている。一方、例えば2.4GHzのマイクロ波帯のような直進性の低い伝搬路を使用する場合は、多重散乱や回折による効果を考慮する必要があるため、通常は指向性のあるアンテナは用いられない。このため、概ね10GHz以上のマイクロ波通信及びミリ波通信と2.4GHz程度のマイクロ波通信とでは、状況が異なる。なお、2.4GHzのマイクロ波通信の分野でも、干渉を除去することを目的として、指向性のある適応アンテナの開発例がある。しかしながら、適応型の指向性アンテナを使用する場合でも、2.4GHz帯では回折の効果が期待できるため、直接波の角度又はそれに近い角度で良好な通信品質を確保しやすい。
ミリ波帯におけるビームフォーミングを用いた屋内通信においては、次の性質を考慮する必要がある。前述の通り、直接波以外の反射波の数は限られている。また、特定の直接波または反射波が障害物(例えば人体)によって遮られた場合でも、遮蔽された特定の波と他の波とは無相関である。従って、本実施の形態で述べたように、ミリ波通信システムでは、最も通信状態の良いビーム方向で通信を行いながら、予備のビーム方向を確保することができる。一方、概ね10GHz未満の周波数の場合は、多重反射や回折の通信品質に対する寄与が大きい。よって、仮に指向性のあるアンテナを用いたとしても、障害物の有無によって予備のビーム方向の伝搬状況も変化してしまう。つまり、障害物が存在しない場合には良好であった予備のビーム方向からの受信状態が、障害物の存在によって変動する可能性が高い。したがって、2.4GHzのマイクロ波通信などでは、本発明の効果を得ることが困難である。
また、ミリ波通信においては、局所的な反射による伝搬路ができることがある。その様子を図15に示す。図15(a)には、送受信機81及び82があり、ビームフォーミングでの伝搬路として直接波A、局所的な反射波B、遠くの経路での反射波Cがあると仮定する。直接波A、局所的な反射波Bは、例えば人体による遮蔽によって同時に遮断される可能性がある。この問題に対して特許文献1は、既に優先順位が付与されたビーム方向近傍のビーム方向には優先順位を付与しない、もしくはその優先順位を下げる技術を開示している。ここまでの説明では、AWV組合せに対して受信電力順に優先順位を付与する例を示したが、この受信電力の基準に加えビーム候補間の角度の関係を優先順位の付与において加味してもよい。本実施の形態においては、それぞれの送受信機におけるビーム候補間の角度関係の情報が取得済みであるから、これが可能となる。
以上の説明においては、送受信機400と送受信機500に設定するAWVの組合せは、初期トレーニング時の受信電力の順序を手掛かりに組み合わせるとしていた。しかし、2つ以上の伝搬路の伝搬損失が近い値を有する場合、あるいは擬似オムニパターンの精度が悪い、すなわち放射方向によりアンテナ利得にばらつきがある場合などには、AWVの組合せにエラーが起こる可能性がある。ここでエラーとは、異なる伝搬路に対応するAWV同士が組み合わされてしまうことを意味する。しかしながら、万が一このようなエラーが起こったとしても、図1のS16において品質確認を行っており、上記の組合せエラーの場合にはS15に遷移してAWV組合せの再選択が行われることになるので、通信を長時間途絶させたり完全にストップさせたりといった致命的な影響を与えることはない。このAWV組合せエラーに対する別の対処法については、第5の実施の形態において述べる。
以上の説明においては、送信動作させる送受信機のAWVをオムニもしくは擬似オムニパターンに設定するとした。しかし、オムニもしくは擬似オムニパターンの発生が困難な場合には、他の固定パターンで替えてもよい。すなわち、固定パターンビームのアンテナ利得が方向依存性を持つビームパターンでもよい。ただし、十分広い角度範囲にわたりアンテナ利得を有するパターンである必要がある。この場合には、上記の方法で取得した角度スペクトラムから固定パターンビームのアンテナ利得の方向依存性の影響を除去する処理を追加すればよい。その際、必要であれば、固定パターンビームのアンテナ利得の方向依存性を記述したデータ列を送受信機間で送受すればよい。
以上の説明においては、2つの送受信機の間におけるビームフォーミング動作を説明した。このような動作は、しばしば3つ以上の送受信機から構成される系において、そのうちの2つの送受信機間で行われる。この系には、ピコネットコーディネータやアクセスポイントなどと呼ばれる特別な権限を与えられた送受信機が通常存在する。3つ以上の送受信機のうち、どの2つの送受信機の間でビームフォ−ミング動作を行うかは、通常このピコネットコーディネータやアクセスポイントと呼ばれる送受信機からの命令により決定すればよい。ピコネットコーディネータやアクセスポイントは、一般の送受信機からの要求を受け、この命令を発すればよい。
また本発明においては、2つの送受信機の間で同様の処理を役割を入替えて実行する。このとき、どちらの送受信機がどちらの役割を先に行うのかについても、例えば、ピコネットコーディネータやアクセスポイントと呼ばれる送受信機からの命令で決定すればよい。
また、上記の説明においては、“送受信機を受信動作させる”、“オムニ(無指向性)もしくは擬似オムニ(擬似無指向性)パターンを発生させる”といった表現を用いたが、これらの処理は、通常、各送受信機の処理・演算回路などに予め組み込まれたスケジュールに従い実行される。
<第2の実施の形態>
本発明における第2の実施の形態を、図2に示した遷移図を用いて説明する。なお本実施の形態に係る無線通信システムの構成は、図5に示したものと同様とすればよい。図2のS21〜S26の各状態とこれらの間での遷移条件は、第1の実施の形態で述べた図1のS11〜S16と同様である。このため、S21〜S26に関する詳細な説明は省略する。
図2のS27では、通信継続中の状態(S24)から遷移して付加的な第2のトレーニングを行う。第2のトレーニングは、周期的に実行してもよいし、送受信データが存在しないアイドル期間に適宜実行してもよい。
S28では、処理・演算回路406及び506が、複数のAWV組合せの候補を再計算する。処理・演算回路406及び506は、再計算によって得られた複数のAWV候補によって、記憶装置408及び508内のデータ列を更新する。
本実施の形態においては、予備のビーム方向に対する状況を第2のトレーニングによって周期的又は適宜調査し、複数のAWV組合せ候補を更新する。これにより、本実施の形態にかかる無線通信システムは、常に最新のAWV組合せ候補を確保することができる。なお第2のトレーニング(S27)は、通信の合間に分割して行ってもよい。これにより、長い時間通信を止める必要がなくなる。また、通信が途絶した場合、または通信品質が劣化した場合には、極めて短時間での復帰が求められるが、この第2のトレーニングにはそれほどの即時性は必要ないため、到来方向推定アルゴリズムを実行しても問題がない。
また、この第2のトレーニングにおいては初期トレーニングに比べても即時性の要求が弱い場合が多いので、アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査する際の角度分解能を上げて走査を実施してもよい。これにより、より良好な通信品質を実現するAWV組合せの探索が可能となる。
また、第2のトレーニングにおけるビーム方向の走査は、初期トレーニングの際に求めた各AWV組合せに対応した到来方向の周囲のみに限定して行ってもよい。これにより良好な通信品質を実現するAWV組合せの探索が、より短時間で実現可能となる。
<第3の実施の形態>
本発明における第3の実施の形態を、図3に示した遷移図を用いて説明する。本実施の形態にかかる無線通信システムの構成は、図5に示したものと同様とすればよい。また、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同じ動作を行う。つまり、図3のS31〜S38の各状態とこれらの間での遷移条件は、第2の実施の形態で述べた図2のS21〜S28と同様である。このため、S31〜S38に関する詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、通信の途絶などの通信品質の劣化が発生した場合、データベースに記録された次候補のAWV組合せを選択するとともに(S35)、その状態で微調整を行う(S39)。この微調整とは、時間をかけずに最適ビームを探索する方法を指す。具体的には、ビームまたは設定されたAWVを僅かに変化させ通信品質が良くなるように調整を行えばよい。また、特許文献4に記載された“Beam Tracking”など簡略化されたビーム探索手順を適用してもよい。また、初期トレーニングと同様の処理を、新たに選択したAWV組合せに対応する到来方向の周囲で、初期トレーニングよりも角度分解能を挙げて実施してもよい。
例えば、第1の実施の形態で詳細に述べたように、大きな受信電力に対応したAWV組合せから小さな受信電力に対応したAWV組合せに順に移っていく場合、徐々に受信電力が小さくなり、精度が悪くなっていく可能性がある。そこで、遮蔽があって受信電力が小さくなった状態で、例えば受信時の利得調整を行い、最適な状態で微調整を行うことにより、高精度で安定した伝送が可能なAWV組合せが見出せるという効果が得られる。
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、トレーニング及びAWV組合せの取得・設定を低速(狭帯域)で行い、実際の通信は比較的高速(広帯域)で行うことを特徴とする。それ以外の動作は、第1〜第3の実施の形態の何れかに記載の方法を用いればよい。
ミリ波通信では、自由空間伝搬損失が大きいために、受信電力が小さいことが予想される。このため、トレーニング時に、送信側のAWVをオムニもしくは擬似オムニパターンを発生するよう設定した場合、十分なキャリア電力対雑音電力比(CNR;Carrier to Noise Ratio)が得られない場合がある。したがって、受信感度のよい低速(狭帯域)を用いることで、トレーニングが可能となったり、精度が向上するなどの効果が期待できる。なおここで低速(狭帯域)を用いるとは、雑音帯域幅が小さくなるように、トレーニング信号の送信のために使用する周波数帯を狭くすること、あるいは所要CNRが小さい変調方式を採用することを意味する。なお、“所要CNRが小さい変調方式を採用すること”は、言い換えると、コンスタレーション上における信号点間距離が大きい変調方式を採用すること(通常は伝送速度が小さいこと)を意味する。なお本実施の形態では、狭いビーム幅が用いられることが前提であり、相関帯域幅が広いために低速(狭帯域)でも高速(広帯域)でも最適なビーム(AWV)組合せに大きな変化はない。
<第5の実施の形態>
第1の実施の形態の末尾でも述べたように、送受信機400と送受信機500に設定するAWVの組合せを、初期トレーニング時の受信電力の順序を手掛かりに行うと、2つ以上の伝搬路の伝搬損失が近い値を有する場合、あるいは擬似オムニパターンの精度が悪い、すなわち放射方向によりアンテナ利得にばらつきがある場合などに、AWVの組合せにエラーが起こる可能性がある。ここでエラーとは、異なる伝搬路に対応するAWV同士が組み合わされてしまうことを意味する。このようなエラーが起こる確率は伝搬環境等に依存するものと考えられるが、エラーが高頻度で起こる場合には、本実施の形態で述べる手順を適用するとよい。
本実施の形態においては、初期トレーニング時の受信電力の順序を手掛かりに送受信機間のAWVを組み合わせるのではなく、記憶された送受信機400用のAWVと送受信機500用のAWVの全ての組合せについて、トレーニングを行い、通信品質の良いAWV組合せを確保することを特徴としている。シーケンス図の一例を図12に示す。
図12は、図10に示したシーケンス図の変形であり、図10のS613とS614との間にS621〜S627が追加されている。S621−1、S623−1及びS625−1において、送受信機400は、記憶回路408に記憶された複数のAWVを順に設定してトレーニング信号を送出する。S622−2〜S624−2において、送受信機500は、記憶回路508に記憶された全てのAWVを順に設定しながら、送受信機400から送出されるトレーニング信号の受信処理を行う。AWVの全ての組み合わせについてトレーニング信号の送受信が完了した後、送受信機500は、送受信機400が送信に用いた送信用AWV毎に最も通信品質の良好な受信用AWVを決定する。そして、送受信機500は、通信品質の良好なAWVの組み合わせを示すデータ列(データベース)を作成し(S626−2)、AWVの組み合わせを示すデータ列(データベース)を送受信機400に送信する(S627−2)。送受信機400は、送受信機500から受信したデータベースを用いて記憶回路408に記憶されたAWV情報を更新する(S627−1)。
一般に、複数の送受信機の間でAWVの全ての組合せについて通信品質の測定を行うのは処理時間の観点で現実的ではない。しかし本実施の形態では、S613−1までの過程でAWVの候補は少数に絞られているため、全ての組合せについて伝送品質を測定するために要する処理時間を抑制できる。例えば、図6〜図9に示した例のように伝搬路が4つ存在した場合、全てのAWV組合せはたかだか16である。
また、処理時間を抑制するため、AWVの全ての組み合わせについて通信品質の測定を行う上記手順を以下に述べるように変更してもよい。はじめに、第1の実施の形態で述べた手順に従い送受信機400と送受信機500に設定するAWVの組合せを、初期トレーニング時の受信電力あるいはその他の通信品質の順序を手掛かりに決定する。次に、それらのAWV組合せについて通信品質のテストを行い、予め決めておいた通信品質基準を満たさないAWV組合せについてのみ、一旦組合せを解除する。そして、通信品質基準を満たさないために組合せを解除されたAWVに関して、全ての組合せについて通信品質のテストを行うことにより新たなAWV組合せの探索を行う。この後に、上記2回の通信品質テストの結果に基づきAWV組合せの優先順位を改めて決定するとよい。このような方法を採ることにより、初期トレーニングの結果に基づいて決定したAWV組合せのうち使用可能なものについては、改めて組合せ探索のための総当りによる通信品質測定に含める必要がなくなり、処理時間の短縮が実現できる。
<第6の実施の形態>
以上の説明においては、ビームフォーミングにより指向性ビームを形成する送受信機間での通信を想定していた。しかし本発明は、固定ビームを形成する送受信機とビームフォーミングにより指向性ビームを形成する送受信機の通信にも適用可能である。送受信機400を固定ビームの送受信機、送受信機500をビームフォーミングにより指向性ビームを形成する送受信機とすると、この場合には送受信機500についてのみトレーニングを行えばよいので、シーケンス図は例えば図13のようになる。
<第7の実施の形態>
以上の実施の形態においては、初期トレーニング時に、擬似オムニパターンを発生させた送受信機からトレーニング信号を送出し、他方の送受信機において、AWVを変化させながら受信信号を測定し、角度スペクトラムの作成を行っていた。しかし、トレーニング信号を送出する送受信機のAWVを変化させながら、擬似オムニパターンを発生させた他方の送受信機で受信信号の測定を行い、測定データを前者の送受信機にフィードバックすることにより角度スペクトラムの作成を行うことも可能である。その場合のシーケンス図の一例を図14に示す。
送受信機400(図14の送受信機1)は、送受信機500(図14の送受信機2)からのトレーニング信号の受信のためにオムニ又は疑似オムニパターンを設定し(S802−1)、トレーニング信号を受信する(S804−1)。送受信機500は、AWVを変更しながら(S803−2)、予め定められた全てのAWV設定でのトレーニング信号の送信が完了するまで(S805−2)、トレーニング信号の送信を繰り返す(S804−2)。
続いて送受信機400は、トレーニング信号の受信品質(例えば受信電力)を示す測定データを送受信機500に送信する(S806−1)。送受信機500は、測定データを受信し(S806−2)、受信した測定データと自身が送信時に用いたAWVに基づいて、送受信機400における信号受信特性(例えば受信電力)と送受信機500における信号放射方向の関係を記述したデータ列である角度スペクトラムを作成する(S807−2)。次に送受信機500は、角度スペクトラムのデータ列を用いてピークサーチを行い、送受信機400における受信電力順に信号を識別する。この際、予め決めておいた信号数まで識別が終了した時点で、識別処理を終了しても良い。続いて、送受信機500は、各信号の放射方向へ主ビームもしくはそれに準じるビームを向けるAWVを計算し、このAWVを送受信機400の受信電力順に記憶する(S808−2)。
図14のS809−2からS815−1までの処理は、上述したS802−1からS808−2までの処理の逆方向の処理である。このため、S802−1からS808−2までの処理における送受信機400及び500の役割を相互に入れ替えて実行すればよい。
<第8の実施の形態>
第1の実施の形態において、送受信機400の送信機401のアンテナアレイ405−1〜Mと受信機402のアンテナアレイ411−1〜Nの距離は、伝搬路の距離に比べ十分小さく無視できると仮定した。同様に、送受信機500の送信機501のアンテナアレイ505−1〜Kと受信機502のアンテナアレイ511−1〜Lの距離は、伝搬路の距離に比べ十分小さく無視できるとした。しかし、これらの送受アンテナ間距離に関する仮定は以下のような手順をとる場合には不要になる。
(a)一方の送受信機(例えば送受信機400)を送信動作させ、そのアンテナアレイにおいて擬似オムニパターンを設定してトレーニング信号を送信する。
(b)他方の送受信機(例えば送受信機500)を受信動作させ、そのアンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査する。
(c)受信動作させた送受信機500におけるトレーニング信号の受信結果に基づいて、送受信機500における信号の到来方向と受信信号特性の関係を記述したデータ列を取得する。
(d)送受信機500を受信動作させ、そのアンテナアレイにおいて擬似オムニパターンを設定する。
(e)送受信機400を送信動作させ、そのアンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査する。
(f)受信動作させた送受信機500におけるトレーニング信号の受信結果を送信動作させた送受信機400にフィードバックし、送信動作させた送受信機400における信号の放射方向と対向する送受信機500における受信信号特性との関係を記述したデータ列を取得する。
以上の結果を使えば、送受信機400の送信機と送受信機500の受信機のAWV組合せ候補を求めることができる。(a)〜(f)の処理を送受信機400の受信機と送受信機500の送信機について行えば、送受信機400の受信機と送受信機500の送信機のAWV組合せを求めることができる。
ところで、上述した8つの実施の形態の説明では、通信品質という語句を用いた。通信品質は、例えば、受信レベル、信号電力対雑音電力比(SNR)、ビット誤り率(BER)、パケット誤り率(PER)、フレーム誤り率(FER)など、通信品質を代表するものであればよく、そのうちの1つ又は複数を用いてもよい。また、通信品質の評価には、送信機401もしくは501の送信データ列に含まれるプリアンブル中の特定のデータ列を用いてもよい。
また、上述した第1〜第8の実施の形態における送受信機400および500によって行われるAWV候補の生成・切替に関する制御及び演算処理は、マイクロプロセッサ等のコンピュータに送受信機制御のためのプログラムを実行させることによって実現可能である。例えば、第1の実施の形態の場合、送受信機制御プログラムを実行するコンピュータに、図11のシーケンス図に示したステップS703−1〜S705−1、S708−1〜S710−1の処理を実行させればよい。同様に、送受信機500によって行われるAWV候補の生成・切替に関する制御及び演算処理も、マイクロプロセッサ等のコンピュータに送受信機制御のためのプログラムを実行させることによって実現可能である。例えば、第1の実施の形態の場合、送受信機制御プログラムを実行するコンピュータに、図11のシーケンス図に示したステップS702−2〜S705−2、S707−2〜S710−2の処理を実行させればよい。
また、処理・演算回路406及び506だけでなく、送信回路403及び503の一部(変調処理等)、受信回路409及び509の一部(復調処理等)、制御回路407及び507等のデジタル信号処理又は機器制御に関する構成要素は、マイクロコンピュータ又はDSP(Digital Signal Processor)等のコンピュータによって実現してよい。また、送受信機400及び500には、いわゆるソフトウェア・アンテナ技術を適用してもよい。具体的には、AWV制御回路404−1〜M、410−1〜N、504−1〜K、510−1〜L、は、デジタルフィルタによって構成してもよく、DSP等のコンピュータによって構成してもよい。
以上の説明においては、2つの送受信機間で通信が行われている状況を例に説明を行った。しかし、3つ以上の送受信機が通信を行う状況においても本発明は適用可能である。
以上の説明においては、送信動作させた送受信機で擬似オムニパターンを発生させた状態で、受信動作させた送受信機で到来方向推定アルゴリズムを実行するとしていた。しかし、送受信機で発生させる擬似オムニパターンが十分な方向範囲をカバーできない場合、上記の手順を複数回に分けて行ってもよい。すなわち、ある擬似オムニパターンを発生させ角度スペクトラムを取得した後、別の方向範囲をカバーする擬似オムニパターンを発生させ、再度角度スペクトラムを取得する。最後に、得られた複数の角度スペクトラムを用いて信号を特定すればよい。ここで、“十分な方向範囲”とは通信に使用する全ての伝搬路を含む方向範囲を意味する。このように複数の擬似オムニパターンの組合せで必要な角度範囲をカバーする方法自体は、非特許文献9に開示されている。
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態に係る無線制御手順における遷移を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る無線制御手順における遷移を示す図である。 本発明の第3の実施の形態に係る無線制御手順における遷移を示す図である。 本発明を適用可能な、ビームフォーミングで用いる装置構成を例示した図である。 2つの送受信機で構成された無線通信システムを説明するための概略図である。 本発明が適用される伝搬環境の一例を示す平面図である。 本発明の制御手順の過程において得られる角度プロファイルの一例を示すグラフである。 本発明が適用される伝搬環境の一例を示す平面図である。 本発明の制御手順の過程において得られる角度プロファイルの一例を示すグラフである。 本発明の第1の実施の形態に係る無線制御手順において無線通信を行うまでの送信機と受信機の動作を示したシーケンス図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線制御手順において、無線通信の遮蔽があった場合の送信機と受信機の動作を示したシーケンス図である。 本発明の第5の実施の形態に係る無線制御手順において無線通信を行うまでの送信機と受信機の動作を示したシーケンス図である。 本発明の第6の実施の形態に係る無線制御手順において無線通信を行うまでの送信機と受信機の動作を示したシーケンス図である。 本発明の第6の実施の形態に係る無線制御手順において無線通信を行うまでの送信機と受信機の動作を示したシーケンス図である。 本発明の第1の実施の形態に係る無線制御手順において、無線信号の局所的な反射に起因して伝搬路ができた場合の電波伝搬の様子を説明する図である(遮蔽のない場合(a)、人体による遮蔽がおきた場合(b))。 広角アンテナを用いたシステムの構成を示す図である。 広角アンテナを用いたシステムの室内における遅延プロファイルの例である。
400、500 送受信機
401、801、81、91 送信機
402、502、82、92 受信機
403、503 送信回路
404−1〜M、504−1〜K AWV(アレイ重みベクトル)制御回路
405−1〜M、505−1〜K 送信アンテナアレイ
406、506 処理・演算回路
407、507 制御回路
408、508 記憶回路
409、509 受信回路
410−1〜N、510−1〜L AWV(アレイ重みベクトル)制御回路
411−1〜N、511−1〜L 受信アンテナアレイ
413、513 制御回路
83 ビームパターン(イメージ)
84、85 反射体
86 人体
61 壁
62 反射体

Claims (5)

  1. アンテナアレイと、前記アンテナアレイを構成する複数のアンテナ素子から送信される信号または前記アンテナ素子で受信される信号の振幅および位相の少なくとも一方を変化させるアレイ重みベクトル(以下、AWV)制御回路とを個々に備えた複数の通信機が指向性の送信ビーム及び指向性の受信ビームを形成して通信を行う無線通信システムの制御方法であって、
    前記アンテナアレイをなす複数のアンテナ素子のうち少なくとも2つ以上のアンテナ素子のAWVを独立に制御するに際して、
    (a):前記複数の通信機に含まれる第1の通信機が有する前記アンテナアレイに前記通信に用いられる前記送信ビーム及び前記受信ビームよりも広い角度範囲にわたりアンテナ利得を有する固定ビームパターンを設定するとともに、前記第1の通信機からトレーニング信号を送信し、
    (b):前記複数の通信機に含まれる第2の通信機が有する前記アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査しながら、前記第2の通信機において前記トレーニング信号を受信し、
    (c):前記トレーニング信号の受信結果に基づいて、前記第2の通信機における信号の到来方向と受信信号特性の関係を記述したデータ列を取得し、
    (d):前記第2の通信機が有する前記アンテナアレイに前記通信に用いられる前記送信ビーム及び前記受信ビームよりも広い角度範囲にわたりアンテナ利得を有する固定ビームパターンを設定するとともに、前記第2の通信機を受信動作させ、
    (e):前記第1の通信機が有する前記アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査しながら、前記第1の通信機からトレーニング信号を送信し、
    (f):受信動作させた前記第2の通信機におけるトレーニング信号の受信結果を、送信動作させた前記第1の通信機にフィードバックし、前記トレーニング信号の受信結果に基づいて、前記第1の通信機における信号の放射方向と、対向する前記第2の通信機における受信信号特性の関係を記述したデータ列を取得し、
    (g):前記(c)において取得したデータ列を用いて決定した前記第2の通信機における複数または単数の信号の到来方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求め、
    (h):前記(f)において取得したデータ列を用いて決定した前記第1の通信機における複数または単数の信号の放射方向に主ビームまたはそれに準ずるビーム方向を有するAWVをそれぞれの信号に対して求め、
    (i):前記(g)及び(h)の手順で求めた前記第1の通信機を送信動作させた場合のAWVと前記第2の通信機を受信動作させた場合のAWVどうしの全ての組合せもしくは組合せの一部について通信品質を測定し、測定された通信品質により通信に使用するAWVの組合せを複数または単数選択し、
    (j):前記第1及び第2の通信機による前記トレーニング信号の送信動作と受信動作を入れ替えて前記(a)乃至(h)を実行することにより、前記第1の通信機を受信動作させた場合の複数または単数のAWVと、前記第2の通信機を送信動作させた場合の複数または単数のAWVを求め、それらのAWVどうしの全ての組合せもしくは組合せの一部について通信品質を測定し、測定された通信品質により通信に使用するAWVの組合せを複数または単数選択し、
    (k):前記(i)及び(j)の手順で求めたAWVの組み合わせを前記第1及び第2の通信機の間の通信に利用することを特徴とする無線通信システムの制御方法。
  2. 前記固定ビームパターンがオムニ(無指向性)パターンもしくは擬似オムニ(擬似無指向性)パターンであることを特徴とする請求項1記載の無線通信システムの制御方法。
  3. 前記アンテナアレイのAWVを変化させることによりビーム方向を走査し、受信動作させた通信機における信号の到来方向と受信信号特性の関係を記述したデータ列を取得する処理が、到来方向推定アルゴリズムを用いて行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システムの制御方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載した手順により求めたAWV組合せを、通信品質の優れたものから順に優先順位を付与し、この優先順位に従って順次選択したAWV組合せを用いて無線通信を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の無線通信システムの制御方法。
  5. 通信中に通信品質を観測し、前記通信品質の悪化に応じて、前記優先順位に従って次順位のAWV組合せを選択し、選択したAWV組合せを適用して無線通信を行うことを特徴とする請求項4に記載の無線通信システムの制御方法。
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