JP5596047B2 - c−Metタンパク質キナーゼのトリアゾロチアジアゾール阻害剤 - Google Patents

c−Metタンパク質キナーゼのトリアゾロチアジアゾール阻害剤 Download PDF

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Description

本発明はc−Metの選択的阻害剤に関する。本発明はまた、c−Met阻害剤を含む薬学的に許容される組成物、および様々な増殖性障害を処置する際の組成物の使用方法も提供する。
肝細胞増殖因子(HGF:hepatocyte growth factor)は分散因子とも呼ばれ、有糸分裂誘発および細胞運動を誘導して形質転換および腫瘍の発生を促進する多機能増殖因子である。HGFはさらに様々なシグナル経路を介して細胞の運動および浸潤を刺激して転移も促進する。HGFが細胞効果を発現するには、その受容体c−Met、つまり受容体型チロシンキナーゼに結合しなければならない。c−Metは、50キロダルトン(kDa)のαサブユニットおよび145kDaのα−サブユニットからなり、広く発現するヘテロ二量体タンパク質である(非特許文献1)。c−Metはヒト癌にかなりの割合で過剰発現しており、原発腫瘍が転移する間に増幅される。c−Metの過剰発現が関係している様々な癌には、胃腺癌、腎癌、小細胞肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、脳癌、肝癌、膵癌および乳癌があるが、これに限定されるものではない。c−Metはさらにアテローム性動脈硬化症および肺線維症にも関与している。
近年、様々な臨床の場で薬剤による心臓のQT延長が有害または致死的な副作用を引き起こすことが知られている。心臓のカリウムチャネルhERG(ヒト急速活性型遅延整流カリウムチャネル遺伝子:human ether−a−go−go−related gene)は、ヒト心室筋細胞の活動電位の再分極を顕著に促進する心臓の急速活性化遅延整流電流IKrのα−サブユニットをコードする。非特許文献2を参照されたい。hERGカリウムチャネルが阻害されると、QT間隔延長が起こる可能性があることが明らかになっているが、QT間隔延長はトルサード・ド・ポアンツ(TdP:torsades de pointes)不整脈の重要な危険因子であることが広く認められている。このため、hERG結合の克服が薬剤開発の主な障害になっている。
薬剤によるQT延長の可能性に対する認識に加えて、チトクロームP450活性による薬理学的物質の代謝も重要であり、そうした物質の併用を必要とする場合がある療法においては特に重要である。チトクロームP450酵素は、多くの治療用化合物の酸化を触媒し、薬剤を不活性代謝物に分解するか、またはプロドラッグをその活性型に生体活性化することにより薬剤作用の程度および持続時間に重要な役割を果たしている。抗癌剤の作用が個体間で大きなばらつきを示すのは、1つには薬物動態学的ばらつきによる。非特許文献3を参照されたい。チトクロームP450が関与する代謝の最も重要な部位は、この酵素が広く発現している肝臓である。代謝が腫瘍で起こり、腫瘍内にこの酵素が存在すると、存在するアイソフォームおよび投与される細胞傷害性薬物によって化学療法剤の有効性に望ましい作用を与えることもあれば、有害作用を与えることもあることが確認されている。このため、薬物代謝プロファイルが好ましい抗腫瘍薬の開発も創薬の目的となっている。
したがって、c−Metプロテインキナーゼ受容体の阻害剤として有用な化合物の開発が強く求められている。特に、好ましい化合物はc−Met受容体に対して高親和性を有し、アンタゴニストとしての機能活性を示す一方、他のキナーゼ受容体に対してほとんど親和性を示さない化合物である。さらに、ほとんどhERGに結合しないか、まったくhERGに結合せず、好ましい薬物動態学的/薬理学的プロファイルを持つc−Met受容体アンタゴニストを提供することが望ましい。
Maggiora et al.,J.Cell Physiol.,173:183−186,1997 Dennis et al.,Biochemical Society Transactions 35(5):1060−1063(2007) Scipture et al.,Lancet Oncology 6:780−789(2005)
6−((S)−1−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチル)キノリン(化合物1)およびその薬学的に許容される組成物は、c−Metの阻害に有効であることが明らかにされている。特に化合物1は、たとえばこの受容体が過剰発現することが分かっている細胞のc−Met活性の阻害など、生物学的アッセイにおいてc−Metの活性を選択的に阻害する。また化合物1は、hERGに関連するカリウムチャネル活性をほとんど示さなかった。さらに化合物1は好適な薬物動態特性を持つことが、動物モデルおよびインビトロアッセイにおける挙動、特にチトクロームP450アイソザイムに関する代謝試験における挙動により証明されている。
したがって、本発明は、下記化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
Figure 0005596047
本発明はまた、化合物1の結晶形態も提供する。
本発明はまた、任意の形態の化合物1および薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルを含む医薬組成物も提供する。さらに本発明は、患者の増殖性の疾患、状態または障害を処置するか、またはその重症度を軽減する方法であって、治療有効用量の化合物1またはその医薬組成物を患者に投与するステップを含む、方法を提供する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
下記式を持つ化合物、またはその薬学的に許容される塩:
Figure 0005596047

(項目2)
前記化合物は結晶である、項目1に記載の化合物。
(項目3)
前記化合物はX線回折パターンにおいて以下のピーク:6.3、9.2、11.5、13.3、13.8、14.2、14.8、16.2、18.2、18.7および19.8の1つまたは複数により特徴付けられる、項目2に記載の化合物。
(項目4)
項目1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルを含む、医薬組成物。
(項目5)
化学療法剤または抗増殖剤、抗炎症薬、アテローム性動脈硬化症の処置剤または肺線維症の処置剤をさらに含む、項目4に記載の組成物。
(項目6)
患者の、増殖性障害を処置するか、または増殖性障害の重症度を軽減する方法であって、該患者の、該増殖性障害を処置するか、または該増殖性障害の重症度を軽減するのに十分な量で項目1または2に記載の化合物または前記化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
(項目7)
前記障害は転移性癌である、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記障害は膠芽細胞腫;胃癌(carcinoma);または結腸癌、乳癌、前立腺癌、脳癌、肝癌、膵癌もしくは肺癌から選択される癌である、項目6に記載の方法。
(項目9)
前記障害は肝細胞癌である、項目8に記載の方法。
定義および一般用語
本明細書で使用する場合、他に記載がない限り、以下の定義を適用するものとする。本発明における化学元素はCAS式の元素周期表およびHandbook of Chemistry and Physics,75th Ed.1994により特定される。さらに、有機化学の一般原理については、その内容を参照によって本明細書に援用する「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999および「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Smith,M.B.and March,J.,eds.John Wiley & Sons,New York:2001に記載されている。
本発明の化合物の説明
第1の態様では、本発明は下記化合物またはその薬学的に許容される塩を特徴とする。
Figure 0005596047
別の態様では、本発明は化合物1の結晶形態を特徴とする。一実施形態では、結晶性化合物1は、20℃のX線回折パターン(2θスケール)において以下のピーク:6.2〜6.4(たとえば約6.3)、9.1〜9.3(たとえば約9.2)、11.4〜11.6(たとえば約11.5)、13.2〜13.4(たとえば約13.3)、13.7〜13.9(たとえば約13.8)、14.1〜14.3(たとえば約14.2)、14.7〜14.9(たとえば約14.8)、16.1〜16.3(たとえば約16.2)、18.1〜18.3(たとえば約18.2)、18.6〜18.8(たとえば約18.7)および19.7〜19.9(たとえば約19.8)の1つまたは複数を特徴とする。
本発明の化合物の組成物、製剤および投与
別の態様では、本発明は、化合物1またはその薬学的に許容される誘導体と、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとを含む組成物を提供する。一実施形態では、本発明の組成物中の化合物の量は、生物学的サンプルまたは患者のc−Metを測定可能な程度に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物はそうした組成物を必要とする患者に投与できるように製剤化される。最も好ましくは、本発明の組成物は患者に経口投与できるように製剤化される。
「患者」という用語は、本明細書で使用する場合、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
また、当然のことながら、化合物1は処置のための遊離型として存在しても、あるいは適切な場合、その薬学的に許容される誘導体として存在してもよい。本発明における薬学的に許容される誘導体としては、薬学的に許容されるプロドラッグ、塩、エステル、そのエステルの塩、または必要としている患者への投与時に本明細書で他に記載した化合物1に直接的または間接的になり得る他の任意の付加物もしくは誘導体、またはその代謝産物または残留物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」という用語は、適切な医学的判断に従い、過度の毒性、刺激、アレルギー反応および同種のものを回避しつつ、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに好適な塩をいう。
薬学的に許容される塩は当該技術分野において周知である。たとえばS.M.Bergeらは、参照によって本明細書に援用するJ.Pharmaceutical Sciences,66:1−19,1977に薬学的に許容される塩について詳細に記載している。化合物1の薬学的に許容される塩としては、好適な無機酸および有機酸ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものが挙げられる。薬学的に許容される無毒性の酸付加塩の例には塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸と形成されるアミノ基の塩、あるいは、イオン交換など当該技術分野において使用される他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩として、アジパート、アルギナート、アスコルバート、アスパルタート、ベンゼンスルホナート、ベンゾアート、ビスルファート、ボラート、ブチラート、カンホラート、ショウノウスルホナート、シトラート、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコネート、ドデシルスルファート、エタンスルホナート、ホルマート、フマラート、グルコヘプトナート、グリセロホスファート、グルコネート、ヘミスルファート、ヘプタノアート、ヘキサノアート、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシ−エタンスルホナート、ラクトビオネート、ラクタート、ラウラート、ラウリル硫酸、マラート、マレアート、マロナート、メタンスルホナート、2−ナフタレンスルホナート、ニコチナート、ニトラート、オレアート、オキサラート、パルミタート、パモアート、ペクチナート、ペルスルファート、3−フェニルプロピオナート、ホスファート、ピクラート、ピバラート、プロピオナート、ステアラート、スクシナート、スルファート、タルトラート、チオシアナート、p−トルエンスルホナート、ウンデカノアート、吉草酸塩および同種のものが挙げられる。適切な塩基から誘導される塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。
上記のような本発明の薬学的に許容される組成物は薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルをさらに含み、本明細書で使用する場合、薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルとして、所望の個々の剤形に適したあらゆる溶媒、希釈液または他の液体ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、粘稠化剤または乳化剤、防腐剤、固体バインダー、滑沢剤および同種のものが挙げられる。それぞれの内容を参照によって本明細書に援用するRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,2005,ed.D.B.Troy,Lippincott Williams & Wilkins,PhiladelphiaおよびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkには、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される様々なキャリア、およびその調製に使用される公知の技法が開示されている。任意の従来型キャリア媒体は、望ましくない生物学的作用を起こすか、あるいはその点で薬学的に許容される組成物の他の任意の成分(単数または複数)と有害な相互作用を起こすなどして、化合物1との相性が悪い場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であることを意図している。
薬学的に許容されるキャリアとして働き得る材料の一部の例として、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、たとえばヒト血清アルブミン、緩衝物質、たとえばホスファート、グリシン、ソルビン酸もしくはソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、たとえば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリラート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂、糖、たとえばラクトース、グルコースおよびスクロース;デンプン、たとえばコーンスターチおよびポテトスターチ;セルロースおよびその誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、たとえばカカオバターおよび坐剤ワックス;油、たとえばピーナッツ油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油および大豆油;グリコール;たとえばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、たとえばオレイン酸エチルおよびエチルラウラート;寒天;緩衝剤、たとえば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸塩緩衝溶液、さらに他の無毒で適合性がある滑沢剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムがあるが、これに限定されるものではない。製剤者の判断に従い、組成物にはさらに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および香料、防腐剤および酸化防止剤が存在していてもよい。
本発明の組成物は、経口投与しても、非経口的に投与しても、噴霧吸入により投与しても、局所投与しても、直腸内投与しても、経鼻投与しても、頬粘膜投与しても、経膣投与しても、あるいは埋め込まれたリザーバーを介して投与してもよい。「非経口」という用語は、本明細書で使用する場合、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、関節内注射、滑液内注射、胸骨内注射、髄膜内注射、眼内注射、肝臓内注射、病巣内注射および頭蓋内注射または注射法を含む。好ましくは、組成物は経口投与、腹腔内投与または静脈内投与する。本発明の組成物の注射用の滅菌形態は水性懸濁液でも、または油性懸濁液でもよい。こうした懸濁液は、当該技術分野において公知の技法に従い、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて調製すればよい。注射用無菌調製物はまた、非経口的に許容可能な無毒の希釈液または溶媒に溶かした注射用無菌溶液または懸濁液、たとえば1,3−ブタンジオール溶液としてもよい。使用してもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒には水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに溶媒または懸濁媒体として無菌の不揮発性油が従来使用されている。
そのような場合には、合成のモノまたはジグリセリドを含めて任意の無菌性不揮発性油を使用することができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸、特にそのポリオキシエチル化したものは、注射剤の調製に有用であり、薬学的に許容される天然油、オリーブ油またはヒマシ油も同様である。これらの油溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈液または分散薬、たとえばカルボキシメチルセルロース、またはエマルジョンおよび懸濁液などの薬学的に許容される剤形の製剤に繁用される同様の分散剤をさらに含んでもよい。製剤においてはさらに、他の繁用される界面活性剤、たとえばTween、Span、および薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造に一般に使用される他の乳化剤またはバイオアベイラビリティー向上剤を使用してもよい。
本発明の薬学的に許容される組成物は、以下に限定されるものではないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液または溶液など経口的に許容可能な任意の剤形で経口投与することができる。経口的に使用する錠剤の場合、繁用されるキャリアとしてラクトースおよびコーンスターチがある。さらに、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢薬も添加するのが一般的である。カプセル形態で経口投与する場合、有用な希釈液は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチを含む。経口的に使用するのに水性懸濁液を必要とする場合、活性成分は乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。必要に応じて、ある種の甘味料、香味剤または着色剤を加えてもよい。
あるいは、本発明の薬学的に許容される組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与してもよい。坐剤形態は、この薬を、室温では固体だが、直腸の温度では液体になるため、直腸で融解して薬剤を放出する好適な非刺激性の賦形剤と混合して調製することができる。そうした材料としては、カカオバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールがある。
本発明の薬学的に許容される組成物はまた、局所投与してもよく、特に処置の標的が眼、皮膚または下部腸管の疾患など局所塗布を利用しやすい領域または器官を含む場合にそうである。好適な局所製剤は、そうした領域または器官ごとに容易に調製される。
下部腸管の局所塗布は、直腸の坐剤製剤(上記を参照)を用いて行っても、または好適な浣腸剤製剤を用いて行ってもよい。また、局所経皮パッチを使用してもよい。
局所塗布の場合、薬学的に許容される組成物は、1種または複数種のキャリアに懸濁または溶解させた有効成分を含む好適な軟膏として製剤化してもよい。化合物1の局所投与のためのキャリアとしては、鉱油、流動ペトロラタム、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水があるが、これに限定されるものではない。あるいは、薬学的に許容される組成物は、1種または複数種の薬学的に許容されるキャリアに懸濁または溶解させた有効成分を含む好適なローションまたはクリームとして製剤化してもよい。好適なキャリアとしては、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水があるが、これに限定されるものではない。
眼に使用する場合、薬学的に許容される組成物は、たとえばpH調整した等張の無菌生理食塩水または他の水溶液に溶かした微粒子懸濁液として製剤化しても、あるいは好ましくは、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を使用してあるいは使用せずに、pH調整した等張の無菌生理食塩水または他の水溶液に溶かした溶液として製剤化してもよい。あるいは、眼に使用する場合、薬学的に許容される組成物は、ペトロラタムなどの軟膏として製剤化してもよい。さらに、本発明の薬学的に許容される組成物は鼻エアロゾルまたは鼻吸入により投与してもよい。こうした組成物は、医薬製剤の技術分野において公知の技法により調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、バイオアベイラビリティーを高める吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の従来の可溶化剤または分散剤を用いて食塩水に溶かした溶液として調製してもよい。
最も好ましくは、本発明の薬学的に許容される組成物は経口投与用に製剤化される。
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤があるが、これに限定されるものではない。液体剤形は活性化合物以外に、当該技術分野において繁用される不活性希釈液、たとえば水または他の溶媒、溶解補助剤および乳化剤、たとえばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルボナート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾアート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物をさらに含んでもよい。経口組成物は不活性希釈液のほかに、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味料、香味剤および香料などの補助剤をさらに含んでもよい。
注射用調製物、たとえば注射用の無菌水性または油性懸濁液は、従来技術に従い好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて製剤化すればよい。また、注射用無菌調製物は、たとえば1,3−ブタンジオールに溶かした溶液など、無毒の非経口的に許容可能な希釈液または溶媒に溶かした注射用無菌溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよい。使用してもよい許容可能なビヒクルおよび溶媒には水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油も溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。このような場合には、合成のモノまたはジグリセリドを含めて任意の無菌性不揮発性油を使用することができる。さらに、注射剤の調製にはオレイン酸などの脂肪酸も使用される。
注射用製剤は、たとえば細菌捕集フィルターで濾過するか、あるいは滅菌水または他の注射用無菌媒体に溶解または分散できる無菌の固体組成物形態の滅菌剤を使用前に加えることにより滅菌してもよい。
化合物1の作用を延長させるには、皮下または筋肉内注射されたこの化合物の吸収を遅延させることが望ましい場合が多い。これは、水溶性に乏しい結晶材料またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することにより達成することができる。その後の化合物1の吸収速度は、その溶解速度により決まるが、溶解速度は、結晶の大きさおよび結晶形態によって異なる場合がある。あるいは、化合物1を油性ビヒクルに溶解または懸濁しても、非経口投与した化合物形態の吸収が遅延される。注射用のデポ剤形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物1のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより製造される。化合物とポリマーとの比率および使用する個々のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射用デポ製剤はまた、体組織との適合性があるリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物1を封入することによっても調製される。
直腸投与または膣内投与用の組成物は好ましくは、周囲温度では固体だが、体温では液体であるため、直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの非刺激性の賦形剤またはキャリアなどの好適な非刺激性の賦形剤と化合物1を混合して調製することができる坐剤である。
経口投与用の固形剤形として、カプセル剤、錠剤、ピル、散剤および顆粒剤が挙げられる。こうした固形剤形では、活性化合物を、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤またはキャリアおよび/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)たとえばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなどのバインダー、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延化剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進薬、g)たとえばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物などの滑沢剤と混合する。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、剤形は緩衝剤をさらに含んでもよい。
類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のほか、高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して軟および硬ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤技術分野でよく知られた他のコーティングなどコーティングおよびシェルにより調製してもよい。こうした固形剤形は任意に乳白剤を含んでもよく、さらに腸管のある部分に任意に遅延させて活性成分(単数または複数)のみを、または活性成分(単数または複数)を優先的に放出するような組成物でも構わない。使用してもよい封入組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。類似の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のほか、高分子量ポルエチレン(polethylene)グリコールなどのような賦形剤を使用して軟および硬ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。
また、活性化合物は、上述のような1種または複数種の賦形剤を使用したマイクロカプセル形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピルおよび顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび医薬製剤技術分野でよく知られた他のコーティングなどコーティングおよびシェルにより調製してもよい。こうした固形剤形では、活性化合物を、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合してもよい。こうした剤形には、通常行われているように不活性希釈液以外の追加物質、たとえばステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような打錠用滑沢剤および他の打錠用助剤をさらに含ませてもよい。カプセル剤、錠剤およびピルの場合、その剤形は緩衝剤をさらに含んでもよい。剤形は任意に乳白剤を含み、さらに腸管のある部分に任意に遅延させて活性成分(単数または複数)のみを、または活性成分(単数または複数)を優先的に放出するような組成物でも構わない。使用してもよい封入組成物の例として、高分子物質およびワックスが挙げられる。
化合物1の局所または経皮投与用の剤形として、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧剤、吸入剤またはパッチが挙げられる。有効成分は、滅菌条件下で薬学的に許容されるキャリア、および適宜、必要とされる任意の防腐剤または緩衝液と混合する。眼科用製剤、点耳剤および点眼薬も本発明の範囲内にあるものとして想定している。加えて、本発明は、化合物1の体内への送達を制御する別の利点を有する経皮パッチの使用も想定している。こうした剤形は、化合物1を適切な媒体に溶解または分散することにより製造することができる。また、皮膚を通過する化合物1の流れを促進するように吸収改善剤を使用してもよい。その速度は律速膜を設けるか、あるいは、化合物1をポリマーマトリックスまたはゲルに分散することにより制御することができる。
化合物1は好ましくは、投与のしやすさおよび投与量の均一性のため投薬単位剤形として製剤化される。「投薬単位剤形」という表現は、本明細書で使用する場合、処置対象の患者に適した薬の物理的に分離した単位をいう。一方、化合物1および化合物1を含む組成物の1日の総使用量は、適切な医学的判断に従い主治医により決定されることは言うまでもない。任意の個々の患者または生体の具体的な有効投与量は、処置される障害および障害の重症度;使用される個々の化合物の活性;使用される個々の組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;投与期間、投与経路および使用される個々の化合物の排泄速度;処置の期間;使用される個々の化合物と組み合わせてあるいは同時に使用される薬剤、および医療技術分野でよく知られた同様の要因など様々な要因によって異なる。
単一剤形として組成物を製造する際にキャリア材料と組み合わせてもよい化合物1の量は、処置される宿主、個々の投与モードによって異なる。好ましくは、組成物は、その組成物を投与する患者に阻害剤が0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で投与され得るように製剤化されるべきである。一例では、組成物は、化合物1の投与量が5〜30mg/kg体重/日になるように製剤化される。
本発明の組成物には、処置または予防の対象となる個々の状態または疾患に応じてその状態の処置または予防に通常投与される追加の治療薬がさらに存在していてもよい。本明細書で使用する場合、個々の疾患または状態の処置または予防に通常投与される追加の治療薬は、「処置される疾患または状態に適切であるもの」として知られている。以下に、追加の治療薬の例を記載する。
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、その治療薬を唯一の作用薬として含む組成物において通常投与されると考えられる量以下である。好ましくは、本明細書に開示される組成物中の追加の治療薬の量は、その薬を唯一の治療上の作用薬として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
化合物1および化合物1を含む組成物の使用
一実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルのc−Metプロテインキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記生物学的サンプルを化合物1または前記化合物を含む組成物と接触させるステップを含む方法に関する。「生物学的サンプル」という用語は、本明細書で使用する場合、生体外のサンプルを意味し、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から採取される生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液もしく他の体液またはその抽出物があるが、これに限定されるものではない。生物学的サンプルのキナーゼ活性の阻害は、当業者に知られる様々な目的に有用である。そうした目的の例には、生物学的検体の保存および生物学的アッセイがあるが、これに限定されるものではない。一実施形態では、生物学的サンプルのキナーゼ活性を阻害する方法は、非治療的方法に限定される。
「c−Met」という用語は、「c−MET」、「cMet」、「MET」、「Met」または当業者に知られる他の名称と同義である。
別の実施形態によれば、本発明は、患者のc−Metキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記患者に化合物1または前記化合物を含む組成物を投与するステップを含む方法に関する。
「c−Met関連疾患」または「c−Met関連状態」という用語は、本明細書で使用する場合、c−Metが関与していることが知られている任意の病状または他の有害な状態を意味する。「c−Met関連疾患」または「c−Met関連状態」という用語は、c−Met阻害剤を用いた処置により緩和される疾患または状態も意味する。そうした状態として、腎癌、胃癌、結腸癌、脳癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、膵癌または肺癌、膠芽細胞腫、アテローム性動脈硬化症または肺線維症があるが、これに限定されるものではない。
一態様では、本発明は患者の増殖性障害を処置する方法(method treating)であって、治療有効用量の化合物1または化合物1を含む組成物を患者に投与するステップを含む方法を特徴とする。
一実施形態によれば、増殖性障害は、たとえば腎癌、胃癌、結腸癌、脳癌、乳癌、肝癌、前立腺癌および肺癌または膠芽細胞腫などの癌である。
別の実施形態では、本発明は、処置または軽減を必要としている患者の肝細胞癌を処置またはその重症度を軽減する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物投与することを含む方法に関する。
別の実施形態では、増殖性障害は真性赤血球増加症、本態性血小板血症、慢性特発性骨髄線維症、骨髄線維症を伴う骨髄様化生、慢性骨髄性白血病(CML:chronic myeloid leukemia)、慢性骨髄単球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群、全身性(systematic)肥満細胞症、非定型CMLまたは若年性骨髄単球性白血病である。
別の実施形態では、増殖性障害はアテローム性動脈硬化症または肺線維症である。
本発明の別の態様は、腫瘍の転移の阻害を必要としている患者の腫瘍の転移を阻害する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与することを含む方法に関する。
本発明の組成物には、処置される個々の状態または疾患に応じてその状態の処置に通常投与される追加の治療薬がさらに存在していてもよい。本明細書で使用する場合、個々の疾患または状態の処置に通常投与される追加の治療薬は、「処置される疾患または状態に適切であるもの」として知られている。
一実施形態では、増殖性疾患および癌を処置するために化学療法剤または他の抗増殖剤を化合物1と組み合わせてもよい。知られている化学療法剤の例としては、アルキル化剤、たとえばシクロホスファミド、ロムスチン、ブスルファンプロカルバジン、イホスファミド、アルトレタミン、メルファラン、リン酸エストラムスチン、ヘキサメチルメラミン、メクロレタミン、チオテパ、ストレプトゾシン、クロラムブシル、テモゾロミド、ダカルバジン、セムスチンまたはカルムスチンなど;白金製剤、たとえばシスプラチン、カルボプラチナム、オキサリプラチン、ZD−0473(AnorMED)、スピロプラチナム、ロバプラチン(Aeterna)、カルボキシフタラトプラチナム、サトラプラチン(Johnson Matthey)、テトラプラチンBBR−3464、(Hoffmann−La Roche)、オルミプラチン(ormiplatin)、SM−11355(Sumitomo)、イプロプラチンまたはAP−5280(Access)など;代謝拮抗剤、たとえばアザシチジン、tomudex、ゲムシタビン、トリメトレキサート、カペシタビン、デオキシコホルマイシン、5−フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン、ラルチトレキセド、6−メルカプトプリン、ヒドロキシ尿素、6−チオグアニン、デシタビン(SuperGen)、シタラビン、クロファラビン(Bioenvision)、2−フルオロデオキシシチジン、イロフルベン(MGI Pharma)、メトトレキサート、DMDC(Hoffmann−La Roche)、イダトレキサート(idatrexate)またはエチニルシチジン(Taiho)など;トポイソメラーゼ阻害剤、たとえばアムサクリン、ルビテカン(SuperGen)、エピルビシン、メシル酸エキサテカン(Daiichi)、エトポシド、キナメド(quinamed)(ChemGenex)、テニポシド、ミトキサントロン、ギマテカン(Sigma−Tau)、イリノテカン(CPT−11)、ジフロモテカン(Beaufour−Ipsen)、7−エチル−10−ヒドロキシ−カンプトテシン、TAS−103(Taiho)、トポテカン、エルサミトルシン(Spectrum)、デキスラゾキサネト(dexrazoxanet)(TopoTarget)、J−107088(Merck & Co)、ピクサントロン(Novuspharma)、BNP−1350(BioNumerik)、レベッカマイシンアナログ(Exelixis)、CKD−602(Chong Kun Dang)、BBR−3576(Novuspharma)またはKW−2170(Kyowa Hakko)など;抗腫瘍抗生物質、たとえばダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、アモナフィド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アゾナフィド、デオキシルビシン(deoxyrubicin)、アントラピラゾール、バルルビシン、オキサントラゾール、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ロソキサントロン、エピルビシン、ブレオマイシン、スルファート(ブレノキサン)、テラルビシン、ブレオマイシン酸、イダルビシン、ブレオマイシンA、ルビダゾン、ブレオマイシンB、プリカミシンプ(plicamycinp)、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、MEN−10755(Menarini)、シアノモルホリノドキソルビシン、GPX−100(Gem Pharmaceuticals)またはミトキサントロン(ノバントロン)など、有糸分裂阻害薬、たとえばパクリタキセル、SB408075(GlaxoSmithKline)、ドセタキセル、E7010(Abbott)、コルヒチン、PG−TXL(Cell Therapeutics)、ビンブラスチン、IDN5109(Bayer)、ビンクリスチンA、105972(Abbott)、ビノレルビン、A204197(Abbott)、ビンデシン、LU223651(BASF)、ドラスタチン10(NCI)、D24851(ASTAMedica)、リゾキシン(Fujisawa)、ER−86526(Eisai)、ミボブリン(Warner−Lambert)、コンブレタスタチンA4(BMS)、セマドスズ(BASF)、イソホモハリコンドリン−B(PharmaMar)、RPR109881A(Aventis)、ZD6126(AstraZeneca)、TXD258(Aventis)、PEG−パクリタキセル(Enzon、)エポチロンB(Novartis)、AZ10992(Asahi)、T900607(Tularik)、IDN−5109(Indena)、T138067(Tularik)、AVLB(Prescient NeuroPharma)、クリプトフィシン52(Eli Lilly)、アザエポチロンB(BMS)、ビンフルニン(Fabre)、BNP−7787(BioNumerik)、アウリスタチンPE(Teikoku Hormone)、CA−4プロドラッグ(OXiGENE)、BMS247550(BMS)、ドラスタチン−10(NIH)、BMS184476(BMS)、CA−4(OXiGENE)、BMS188797(BMS)またはタキソプレキシン(Protarga)など;アロマターゼ阻害剤、たとえばアミノグルテチミド、エキセメスタン、レトロゾール、アタメスタン(BioMedicines)、アナストラゾール、YM−511(Yamanouchi)またはホルメスタン;チミジル酸シンターゼ阻害剤、たとえばペメトレキセド(Eli Lilly)、ノラトレキセド(Eximias)、ZD−9331(BTG)またはCoFactor(商標)(BioKeys)など;DNAアンタゴニスト、たとえばトラベクテジン(PharmaMar)、マホスファミド(Baxter International)、グルホスフアミド(Baxter International)、アパジクオン(Spectrum Pharmaceuticals)、アルブミン+32P(Isotope Solutions)、O6ベンジルグアニン(Paligent)、チメクタシン(NewBiotics)またはエドトレオチド(Novartis)など;ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、たとえばアルグラビン(NuOncology Labs)、チピファルニブ(Johnson & Johnson)、ロナファーニブ(Schering−Plough)、ペリリルアルコール(DOR BioPharma)またはBAY−43−9006(Bayer)など;ポンプ阻害剤、たとえばCBT−1(CBA Pharma)、ゾスキダル三塩酸塩(Eli Lilly)、タリキダル(Xenova)、ビリコダルジシトレート(Vertex)またはMS−209(Schering AG)など;ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、たとえばタセジナリン(Pfizer)、酪酸ピバロイルオキシメチル(Titan)、SAHA(Aton Pharma)、デプシペプチド(Fujisawa)またはMS−275(Schering AG)など;メタロプロテイナーゼ阻害剤、たとえばネオバスタット(Aeterna Laboratories)、CMT−3(CollaGenex)、マリマスタット(British Biotech)またはBMS−275291(Celltech)など;リボヌクレオシドレダクターゼ阻害剤、たとえばガリウムマルトレート(Titan)、テザシタビン(Aventis)、トリアピン(Vion)またはジドックス(didox)(Molecules for Health)など;TNFαアゴニスト/アンタゴニスト、たとえばビルリジン(Lorus Therapeutics)、レビミド(Celgene)、CDC−394(Celgene)、エンタネルセプト(entanercept)(Immunex Corp.)、インフリキシマブ(Centocor,Inc.)またはアダリムマブ(Abbott Laboratories)など;エンドセリンA受容体アンタゴニスト、たとえばアトラセンタン(Abbott)YM−598(Yamanouchi)またはZD−4054(AstraZeneca)など;レチノイン酸受容体アゴニスト、たとえばフェンレチニド(Johnson & Johnson)アリトレチノイン(Ligand)またはLGD−1550(Ligand)など;免疫調節剤、たとえばインターフェロンデキソソーム療法剤(Anosys)、オンコファージ(Antigenics)、ペントリクス(pentrix)(Australian Cancer Technology)、GMK(Progenics)、ISF−154(Tragen)、腺癌ワクチン(Biomira)、癌ワクチン(Intercell)、CTP−37(AVI BioPharma)、ノレリン(norelin)(Biostar)、IRX−2(Immuno−Rx)、BLP−25(Biomira)、PEP−005(Peplin Biotech)、MGV(Progenics)、シンクロバクスワクチン(synchrovax vaccines)(CTL Immuno)、β−アレチン(Dovetail)、メラノーマワクチン(CTL Immuno)、CLL療法剤(Vasogen)またはp21RASワクチン(GemVax)など;ホルモン剤および抗ホルモン剤、たとえばエストロゲン、プレドニゾン、結合型エストロゲン、メチルプレドニゾロン、エチニルエストラジオール、プレドニゾロン、クロルトリアニセン(chlortrianisen)、アミノグルテチミド、イデネストロール、ロイプロリド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、ゴセレリン、メドロキシプロゲステロン、ロイポレリン(leuporelin)、テストステロン、ビカルタミド、プロピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、フルタミド、メチルテストステロン、オクトレオチド、ジエチルスチルベストロール、ニルタミド、メゲストロール、ミトタン、タモキシフェン(tamoxifen)、P−04(Novogen)、トレモフィン、2−メトキシエストラジオール(EntreMed)、デキサメタゾンまたはアルゾキシフェン(Eli Lilly)など;光線力学的療法剤、たとえばタラポルフィン(Light Sciences)、Pd−バクテリオフェオフォルバイド(Yeda)、セララックス(Theralux)(Theratechnologies)、ルテチウムテキサフィリン(Pharmacyclics)、モテキサフィンガドリニウム(Pharmacyclics)またはヒペリシンなど;およびチロシンキナーゼ阻害剤、たとえばイマチニブ(Novartis)、カハライドF(kahalide F)(PharmaMar)、レフルノミド(Sugen/Pharmacia)、CEP−701(Cephalon)、ZD1839(AstraZeneca)、CEP−751(Cephalon)、エルロチニブ(Oncogene Science)、MLN518(Millenium)、カネルチニブ(Pfizer)、PKC412(Novartis)、スクアラミン(Genaera)、フェノキソジオール、SU5416(Pharmacia)、トラスツズマブ(Genentech)、SU6668(Pharmacia)、C225(ImClone)、ZD4190(AstraZeneca)、rhu−Mab(Genentech)、ZD6474(AstraZeneca)、MDX−H210(Medarex)、バタラニブ(Novartis)、2C4(Genentech)、PKI166(Novartis)、MDX−447(Medarex)、GW2016(GlaxoSmithKline)、ABX−EGF(Abgenix)、EKB−509(Wyeth)、IMC−1C11(ImClone)またはEKB−569(Wyeth)があるが、これに限定されるものではない。
こうした追加薬は、反復投与療法の一部として化合物1を含む組成物と別に投与してもよい。あるいは、こうした薬は、単一の組成物において化合物1と混合して単一剤形の一部としてもよい。2つの作用薬を反復投与療法の一部として投与する場合、同時に投与しても、連続的に投与しても、あるいは相互に一定時間内に、通常5時間以内に投与してもよい。
単一剤形を製造するためにキャリア材料と組み合わせてもよい(上記のような追加の治療薬を含む組成物中の))化合物1および追加の治療薬を合わせた量は、処置される宿主および個々の投与モードによって異なる。好ましくは、本発明の組成物は、化合物1を0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で投与できるように製剤化すべきである。一例では、組成物は、化合物1の投与量が5〜30mg/kg体重/日になるように製剤化される。
追加の治療薬を含むこうした組成物の場合、その追加の治療薬および化合物1は、相乗的に作用することができる。したがって、そうした組成物中の追加の治療薬の量は、その治療薬しか使用しない単独療法に必要とされる量より少なくなる。こうした組成物の場合、追加の治療薬を0.01〜100mg/kg体重/日の投与量で投与することができる。
本発明の組成物中に存在する追加の治療薬の量は、その治療薬を唯一の作用薬として含む組成物において通常投与されると考えられる量以下になる。好ましくは、本明細書に開示される組成物中の追加の治療薬の量は、その薬を唯一の治療上の作用薬として含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
化合物1またはその医薬組成物は組成物に組み込んで、プロテーゼ、人工弁、人工血管、ステントおよびカテーテルなどの埋め込み型医療装置をコーティングしてもよい。たとえば血管ステントは、再狭窄(傷害後に血管壁が狭くなること)に対処するために使用されている。しかしながら、ステントまたは他の埋め込み型装置を使用している患者には血餅の形成または血小板活性化のリスクがある。こうした望ましくない作用は、キナーゼ阻害剤を含む薬学的に許容される組成物で装置を予めコーティングすることにより予防または軽減することができる。好適なコーティング剤およびコーティングした埋め込み型装置の一般的な調製については米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。コーティング剤は典型的には、生体適合性高分子材料、たとえばヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニルおよびこれらの混合物である。コーティング剤は任意に、フルオロシリコーン、多糖類(polysaccarides)、ポリエチレングリコール、リン脂質またはこれらの組み合わせといった好適なトップコートによりさらに被覆して組成物に放出制御特性を付与してもよい。化合物1でコーティングした埋め込み型装置は、本発明の別の実施形態である。
本明細書に記載の本発明の理解を十分に深めるため、以下に例を示す。そうした例は説明のみを目的としたものであり、いかなる意味でも本発明を限定するものと解釈してはならないことを理解すべきである。
化合物1の調製
以下の定義は本明細書に使用する用語および略語を説明するものである:
ブライン NaCl飽和水溶液
BSA ウシ血清アルブミン
DMSO ジメチルスルホキシド
ESMS エレクトロスプレー質量分析法
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エチルアルコール
FB 遊離塩基
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分析法
Me メチル
MeOH メタノール
Ph フェニル
RT 室温
TCA トリクロロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオ酢酸(trifluoacetic acid)
本明細書で使用する場合、他の略語、記号および用法は、科学文献に現在使用されているものと同じである。たとえば参照によってその全体を本明細書に援用するJanet S.Dodd,ed.,The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors,2nd Ed.,Washington,D.C.:American Chemical Society,1997を参照されたい。
本明細書で使用する場合、「R(分)」という用語は、化合物に関するHPLCの分単位の保持時間をいう。他に記載がない限り、報告した保持時間を得るのに使用したHPLC法は、以下の通りである:カラム:Zorbax SB C18カラム、3.0×150mm;グラジエント:10〜90%アセトニトリル/水(0.1%TFA)、5分;流量:1.0mL/分;および検出:254nmおよび214nm。
合成の手順
化合物1は、スキーム1に示し、実施例1に例示する以下の方法により調製することができる。
Figure 0005596047
(実施例1)
6−((S)−1−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチル)キノリンの調製(化合物1)
スキーム1のステップiに示すように、2−(キノリン−6−イル)酢酸(化合物1001、658.2g、3.516mol、Okeanos Tech Co.、Cat.No.OK−J−05024)を6.5リットルのメタノールに溶かした溶液に濃硫酸(206mL、3.868mol)を滴下して加えた。添加中に若干の発熱が観察された。添加の終了後、反応物を還流状態で4時間撹拌した。冷却後、揮発物を減圧下で除去し、得られた残渣を4リットルの酢酸エチルで希釈し、氷浴で冷却し、pH4になるまで2NのNaOH(2.1リットル、1.2等量)で処理し、次いで飽和重炭酸ナトリウムでpH8になるまで処理した。この層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機物を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄し、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させてメチル2−(キノリン−6−イル)アセタートを透明な褐色油として得た(化合物1002、696.8g、98%収率):ESMS(M+1),202.14;H NMR(300.0MHz,DMSO−d)δ8.90(1H,dd,J=1.7,4.2Hz),8.14−8.10(1H,m),8.08(1H,d,J=8.7Hz),7.72(1H,d,J=1.4Hz),7.65(1H,dd,J=2.0,8.7Hz),7.40(1H,dd,J=4.2,8.3Hz),3.83(2H,s),3.73(3H,s)。
スキーム1のステップiiに示すように、メチル2−(キノリン−6−イル)アセタート(82g、407.5mmol)、パラホルムアルデヒド(25.89g、862.1mmol)、KCO(101.4g、733.5mmol)およびヘキサデシル(トリメチル)硫酸水素アンモニウム(15.55g、40.75mmol)をトルエン(1.6リットル)に溶解し、出発材料が完全に消化されるのがHPLCによりモニターされるまで2時間還流させた。反応混合物を氷水浴で冷却し、珪藻土で濾過した。濾液を1リットルの水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させてメチル2−(キノリン−6−イル)アクリラートを無色透明の油として得た(75.0g)。この材料をさらに精製することなく次の反応に直ちに使用した。
これに合わせてスキーム1のステップiiiに示すように、メチル2−(キノリン−6−イル)アクリラート(75.0g)を、1.1リットルのテトラヒドロフランおよび1.1リットルの水に水酸化ナトリウム(65.2g、1.63mol)を含む溶液に溶解させた。反応物を室温で一晩撹拌した。有機層を分配し、水層を500mLのトルエンで洗浄した。次いで水層を氷浴で冷却し、pH4.5になるまで濃HClを滴下して加えて酸性化し(約125mLの濃HCl、1.508mol)、白色沈殿物を得た。添加の終了後、反応物をさらに0.5時間5℃で撹拌した。沈殿物を真空濾過により集め、水で洗浄し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄し、真空下で乾燥させて2−(キノリン−6−イル)アクリル酸を得た(化合物1003、36.2g):ESMS(M+1),200.06;H NMR(300.0MHz,DMSO−d)δ13.01(1H,s),8.91(1H,dd,J=1.8,4.2Hz),8.40(1H,d,J=7.5Hz),8.07(1H,d,J=1.8Hz),8.01(1H,d,J=8.7Hz),7.84(1H,dd,J=1.9,8.9Hz),7.55(1H,dd,J=1.2,8.4Hz),6.39(1H,d,J=0.9Hz),6.17(1H,d,J=0.9Hz)。
スキーム1のステップivに示すように、2−(キノリン−6−イル)アクリル酸(84.5g、424mmol)、メタノール(422mL)およびトリエチルアミン(118mL)を窒素下で2リットルの円筒型ガラス容器に入れた。この溶液中に窒素を1時間バブリングして溶液から酸素を除去した。この溶液にジクロロ[(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホピノ(diphenylphopino))−1,1’−ビナフチル]ルテニウム(II)(710mg、0.848mmol)を加え、ガラス容器をステンレス鋼Parr高圧反応器に入れ、1000psiの水素ガス下、16時間室温で撹拌した。その後、水素雰囲気を除去し、ルテニウムスカベンジャー(Silicycle(登録商標)−DMT、8.78g、6等量)を加え、混合物を室温でさらに16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して褐色の粘稠性の油を得、これを170mLの水に溶解させた。水溶液を、pH4〜5になるまで6NのHClを滴下して加えて酸性化した。得られた沈殿物を真空濾過により集め、水で洗浄し、メチルt−ブチルエーテルで洗浄し、真空オーブンにて50℃で一晩乾燥させて(S)−2−(キノリン−6−イル)プロパン酸(化合物1004、68.6g)を赤褐色の固体として得た:ESMS(M+1),202.19;H NMR(300.0MHz,DMSO−d)δ12.42(1H,br.s),8.87(1H,dd,J=1.7,4.2Hz),8.35(1H,d,J=7.6Hz),7.98(1H,d,J=8.7Hz),7.87(1H,d,J=1.7Hz),7.71(1H,dd,J=2.0,8.7Hz),7.52(1H,dd,J=4.2,8.3Hz),3.91(1H,q,J=7.1Hz),1.48(3H,d,J=7.1Hz)。結晶生成物の第2の収穫物を集めて(11.5g)、全収率は94%であった。キラルWhelk−O(登録商標)カラムを用いて(30%MeOH/0.2%ジエチルアミン)で溶出し、COを用いた超臨界流体クロマトグラフィー(SFC:supercritical fluid chromatography)により解析したところ、所望のS−異性体の鏡像体過剰率(ee:enantiomeric excess)は91%を示した。
スキーム1のステップvに示すように、(S)−2−(キノリン−6−イル)プロパン酸(50g、248.5mmol)および1,3−ジアミノチオ尿素(29.02g、273.4mmol)を、テトラメチレンスルホン(スルホラン、38mL)と水(57mL)との混合物に懸濁した。この混合物にメタンスルホン酸(35.5ml、546.7mmol)を加えると、すべての固体が溶解した。反応温度を90℃までゆっくりと上昇させ、反応物を90℃で40時間加熱したところ、出発材料の生成物への変換率が68%であることがHPLC解析により観察された。反応混合物を氷浴で冷却し、水(75mL)を加え、続いてpH8になるまで飽和重炭酸ナトリウム(500mL)を慎重に加えた。得られた紫色の微細な沈殿物を真空濾過により集め、それぞれ水、飽和重炭酸ナトリウム、水およびメチルt−ブチルエーテルで洗浄した。生成物を真空オーブンにて55℃で2日間乾燥させて6−((S)−1−(5−メルカプト−4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル)キノリンを得た(化合物1005、43g):ESMS(M+1),272.09;H NMR(300.0MHz,DMSO−d)δ13.65(1H,br s),8.86(1H,dd,J=1.8,8.4Hz),8.34(1H,d,J=7.5Hz),7.98(1H,d,J=8.7Hz),7.84(1H,dd,J=1.7,13.7Hz),7.82(1H,d,J=1.5Hz),7.70(1H,dd,J=1.8,8.7Hz),7.50(1H,dd,J=1.8,8.7Hz),5.44(2H,s),4.57(1H,q,J=7.2Hz),1.65(3H,d,J=7.2Hz)。H NMR解析によりこの生成物の純度は92%であり、主な不純物は化合物1004およびスルホランであった。キラルHPLC解析から、eeは92%であった(ChiralPak(登録商標)AD−H、70%i−プロパノール/ヘキサン;保持時間:S−エナンチオマーで4.98分、R−エナンチオマーで12.33分)。生成物をさらに精製することなくそのまま次のステップに使用した。
化合物1004は、pHを5に調整し、任意の沈殿材料を集め、残りの濾液を酢酸エチルで抽出(3回)することにより水性濾液から回収することができた。合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて黒ずんだ油を得、これを90mLの酢酸エチルに溶解し、0.5時間加熱して還流させた。冷却するとさらに沈殿物が得られ、これを前に集めた沈殿物と組み合わせたところ、化合物1004が白色の固体として回収された(7g)。
スキーム1のステップviに示すように、6−((S)−1−(5−メルカプト−4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)エチル)キノリン(123.0g、453.3mmol)および1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボン酸(60.03g、476.0mmol、Aldrich Chemical Co.Cat.No.682063)を、POCl(1.23リットル)およびスルホラン(246mL)に溶解させ、18時間83℃で撹拌した。揮発物を減圧下で蒸発させ、残渣を減圧下でさらにトルエンで2回共沸した。得られた油をゆっくりと撹拌氷水に注ぎ、この水溶液をジクロロメタンで抽出して任意の残留スルホランを除去した。水溶液をpH7になるまで飽和重炭酸ナトリウム(3.2リットル)で処理した。得られた油をデカンテーションで除き、少量のメタノールに溶解させ、残りの水層をジクロロメタンで抽出した(4回)。合わせた有機抽出物および油のメタノール溶液を組み合わせ、それぞれ飽和重炭酸ナトリウム、水およびブラインで洗浄した。この有機物を無水MgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させて粗生成物を濃厚な褐色の油として得た。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより、ジクロロメタンから5%メタノールを含むジクロロメタンまでのグラジエントで溶出して精製した。生成物を含む画分を減圧下で蒸発させて黄色の固体を得、これをジクロロメタン(300mL)およびメチルt−ブチルエーテル(300mL)から結晶化させさらに精製して6−((S)−1−(6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[3,4−b][1,3,4]チアジアゾール−3−イル)エチル)キノリン(化合物1、62.8g、38%収率)を淡黄色の固体として得た:ESMS(M+1),362.38;H NMR(300.0MHz,DMSO−d)δ8.87(1H,dd,J=1.7,4.3Hz);8.54(1H,s);8.36(1H,br.d,J=8.3Hz);8.03(1H,s);8.00(1H,d,J=8.3Hz);7.92(1H,d,J=1.7Hz);7.80(1H,dd,J=1.9,8.8Hz);7.52(1H,dd,J=4.2,8.2Hz);4.90(1H,q,J=7.2Hz);3.90(3H,s);1.86(3H,d,J=7.2Hz)。キラルHPLC解析からeeが99+%であることが示された(ChiralPak(登録商標)AD−H、70%エタノール/ヘキサン。
(実施例2)
化合物1(遊離塩基)の結晶化
化合物1(906mg)に40mLのアセトニトリルおよび10mLのメタノールを加えた。この固体を約90℃の湯浴で溶解させた。溶液を濾別し、室温で4時間ゆっくりと蒸発させた。結晶を徐々に沈殿させた。この母液をデカントし、4mmHgの真空下、固体を室温で一晩乾燥させた。
約10mgの化合物1、結晶の遊離塩基(FB)を磁気撹拌子でバイアルに充填した。各バイアルに約150μLの溶媒を加えた。化合物1が完全に溶解したら、固体をバイアルにさらに加え、得られたスラリーの撹拌を室温で継続した。4日間の溶液を遠心フィルターにより濾別し、メタノールで希釈してHPLC解析により溶解度データを得た。溶解度試験の結果を表1に示す。4日および14日後にスラリーの結晶のX線回折データを収集した。状態を維持した結晶形はすべて以下のピーク(θスケール)を含むX線回折パターンを示した:6.2〜6.4(たとえば約6.3)、9.1〜9.3(たとえば約9.2)、11.4〜11.6(たとえば約11.5)、13.2〜13.4(たとえば約13.3)、13.7〜13.9(たとえば約13.8)、14.1〜14.3(たとえば約14.2)、14.7〜14.9(たとえば約14.8)、16.1〜16.3(たとえば約16.2)、18.1〜18.3(たとえば約18.2)、18.6〜18.8(たとえば約18.7)および19.7〜19.9(たとえば約19.8)。
Figure 0005596047
試験には細長い針状で寸法0.5×0.05×0.05mmの無色の結晶を選択した。Cu Kα線を用い、Bruker APEX II CCD回折装置により室温で単結晶回折を測定した。4φ傾斜させω軸中心に回転させて振動写真を撮影した。データは、APEXソフトウェアを用いて指数付け、積分、さらにスケーリングを行った。構造についてはSHELX−TLパッケージを用いて解析および精密化を行った。結晶学的データを表2に示す。
Figure 0005596047
(実施例3)
化合物1の塩の生成
化合物1の遊離塩基をエタノールに溶解させて濃度0.02mmol/mLの溶液を作製した。この溶液を含む別々のバイアルに塩基および酸溶液を加え、次いで溶媒を真空下(圧力4mmHg)、室温で蒸発させた。別々のバイアルに2−プロパノール(IPA)およびエタノールを個別に加えて固体を再溶解し、室温でゆっくり蒸発させて各バイアルの固体の結晶化を試みた。得られた固体の特徴付けをX線回折試験により行った。結果を表3に示す。
Figure 0005596047
(実施例4)
化合物1の生物学的アッセイ
c−Metキナーゼ阻害アッセイ
標準的なラジオメトリックアッセイを用い化合物1についてc−Metキナーゼの阻害能力をスクリーニングした。簡単に説明すると、このキナーゼアッセイでは、33P−ATPの末端33P−ホスファートが基質polyE4Yに取り込まれるのを調べる。アッセイは、1ウェル当たり100μLを最終容量として0.5nMのc−Met、100mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、25mMのNaCl、0.01%BSA、1mMのDTT、0.5mg/mLのpolyE4Yおよび35μMのATPを加えた96ウェルプレートで行った。これに合わせて本発明の化合物をDMSOに溶解させて10mMの初期母液を作製した。次いでDMSOの希釈系列を作製してアッセイの最終溶液を得た。DMSOまたは阻害剤を含むDMSOの1.5μLのアリコートを各ウェルに加え、続いて33P−ATPを、最後にc−MetおよびpolyE4Y(Sigmaから入手)を加えた。20分後、反応を、4mMのATPを含む50μLの30%トリクロロ酢酸(TCA)でクエンチした。この反応混合物を0.66mmのGFフィルタープレート(Corning)に移し、5%TCAで3回洗浄した。50μLの高効率シンチラントUltimate Gold(商標)(Packard Bioscience)の添加後、サンプルをPackard TopCount NXT Microplate ScintillationおよびLuminescence Counter(Packard BioScience)でカウントした。Microsoft Excel Solverマクロを使用してK値を算出し、データを競合的強結合阻害の反応速度モデルにフィッティングさせた。化合物1のKは0.024+/−0.008μMである。
(実施例5)
Snu5胃癌(carcinoma)細胞におけるc−Met活性の阻害
化合物1について、操作されたSnu5細胞株を用いてルシフェラーゼによるシグナルの阻害能力をさらにスクリーニングした。Snu5[アメリカンタイプカルチャーコレクションから入手(カタログ後番号CRL−5973)]は、常時活性型のc−Metを過剰発現することが知られているヒト胃癌(carcinoma)である。この細胞株を、遺伝子コンストラクトを含むレトロウイルスpCLPCXに形質導入した。遺伝子コンストラクトは6xAP1プロモーター応答エレメント、およびC末端にPEST配列(ルシフェラーゼの半減期を短縮させるマウスオルニチンデカルボキシラーゼ由来のタンパク質分解シグナル)を持つルシフェラーゼ遺伝子からなる。常時活性型c−Metは細胞経路(主にMAPキナーゼ)を活性化し、その結果ルシフェラーゼ−PESTのAP−1による転写および最終産物への翻訳が起こり、その活性はルシフェリン(Promega社製のSteady−Glo。)の添加時に化学発光値として定量できる。発光量は、c−Metの阻害と強く相関する。ピューロマイシンで新しい細胞株(Snu5−AP1−Luc−Pest)を選択して安定な細胞株を得た。この細胞を完全培地[10%ウシ胎仔血清(FBS:fetal bovine serum、Hyclone)およびペニシリン/ゲンタマイシン(Invitrogen)を含むIscove培地(Invitrogen)]で増殖させた。本発明の化合物をDMSOに溶解させて10mMの初期原液を作製した。次いでDMSOの希釈系列を作製し、完全培地に移して10×溶液を作製した。Snu5−AP1−Luc−Pest細胞をカウントし、200,000細胞/mL溶液になるように希釈した。細胞(90μL)を96ウェル黒透明底プレート(Costar)の各ウェルに加えた。次いで細胞に10μLの10×化合物溶液を3回ずつ加えた。37℃/5%COインキュベーターでプレートをインキュベートした。6時間後、各ウェルに50μLのSteady−Glo試薬(Promega)を加え、プレートシェーカーに5分間載せて細胞が完全に溶解するようにした。プレートを1450Microbeta Liquid ScintillationおよびLuminescence Counter(Perkin−Elmer)で読み取った。グラフ作成ソフトウェアPrism(GraphPad)を使用して4−パラメーターフィッティングによりIC50を算出した。化合物1のIC50は0.023+/−0.012μMである。
(実施例6)
hERG阻害アッセイ
心臓のカリウムチャネルhERGは、ヒト心室の急速活性化遅延整流電流(IKr)に関わっている。IKrの阻害は、非心臓薬による心臓の活動電位延長の最も多く見られる原因である。活動電位持続時間の延長は、危険な心室性不整脈、トルサード・ド・ポアンツと関連しているQT間隔の延長を引き起こす。hERG結合について、哺乳動物細胞に発現させたクローン化hERGチャネルに対する所定の被検化合物の作用を評価するhERG遮断の比較試験により測定した。たとえばBrown and Rampe,Pharmaceutical News 7,15−20,2000;Rampe et al.,FEBS Lett.,417,28−32,1997;Weirich and Antoni,Basic Res.Cardiol.93(Suppl.1),125−132,1998;およびYap and Cain,Clin.Exp.Allergy,29(Suppl 3),174−181,1999を参照されたい。
被検化合物をHEPES緩衝生理食塩水(HB−PS)+0.3%ジメチルスルホキシド(DMSO)に加えた。IC50を判定するのに十分な濃度のhERGを発現しているヒト胎児腎臓細胞(ChanTest Corp.,Cleveland OHから入手したHEK293)(n≧3、n=細胞数)に各被検化合物を塗布した。細胞は、定常状態における抑制に到達するのに必要な時間、被検化合物に曝露したが、10分を超えないようにした。陽性対照(90nMのシサプリド)を2つの細胞(n≧2)に塗布した。次いでhERG接触細胞を記録チャンバーに移し、HB−PS溶液で灌流させた。ホールセル記録用のピペット溶液は、アスパラギン酸カリウム(130mM)、MgCl(5mM)、EGTA(5mM)、ATP(4mM)、およびKOHでpH7.2に調整したHEPES(10mM)を含んでいた。被検化合物による開始および定常状態におけるhERG電流の抑制については、保持電位を−80mVとし、一定振幅(脱分極:+20mVを2秒間;再分極:−50mVを2秒間)のパルスパターンを10秒間隔で繰り返して判定した。−50mVへの2秒ステップにおいてテール電流のピークを測定した。定常状態は、被検化合物または陽性対照化合物を塗布する前に少なくとも30秒間維持した。テール電流のピークは、新たな定常状態になるまで測定した。
データは、一連のpCLAMP(バージョン8.2)プログラム(MDS−AT,Sunnyvale,CA)を使用して取得および解析した。簡単に説明すると、各濃度で阻害された電流の割合の算出には、化合物を塗布する前後の定常状態を使用した。濃度反応データは以下の式にフィッティングさせた:
%阻害={1−1/[1+([Conc]/IC50]}*100、式中
[Conc]は試験対象の各化合物溶液の濃度、IC50は最大作用の50%を阻害する被検化合物の濃度、NはHill係数、%阻害は各化合物の濃度で阻害されたhERGカリウム電流の割合である。Microsoft Excel 2000(Microsoft,Redmond WA)対応Solver add−inを用いて非線形最小二乗フィッティングを行った。
化合物1はIC50値110μMでhERG阻害するのに対し、化合物2(以下に示す)はIC50値13μMでhERG阻害することが明らかになった。
Figure 0005596047
(実施例7)
チトクロームP450阻害アッセイ
cDNAバキュロウイルス昆虫細胞に発現させたヒトチトクロームP450(CYP)アイソフォームCYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4を用いて化合物1の安定性を評価した。そのため、最終濃度50pmole CYP/mLのヒト組換えチトクロームP450アイソフォームをリン酸塩緩衝液(pH7.4)中、2.0mMのNADPH、および化合物濃度1μMおよび10μMの化合物1とインキュベートした。サンプリングは0分および120分に行い、残存する化合物の量をLC/MS/MS解析により評価した。結果を表4に示す。表は、0分に存在した化合物の量に対する、120分のインキュベーション時間後に残存している化合物の割合で表し(異なる2つの試験、n=3)、各試験の標準偏差(SDEV:standard deviation)と共に示す。集計結果に示すように、化合物1はCYP2C19およびCYP3A4アイソフォームにより代謝されるのに対し、化合物2は実質的にCYP3A4アイソフォームによってのみ代謝される。CYP2C19アイソフォームを高濃度(10μM)の化合物1に付加しても、化合物1の代謝におけるその代謝能は変化がなく、インビボでの化合物1における代謝に関連する代謝能であることが示唆された。インビトロでの結果は、2種以上のチトクロームP450アイソフォームにより120分にわたり化合物1の一部を代謝すると、インビボで併用投与する薬剤との薬物相互作用の可能性が低下すると考えられることを示す。
Figure 0005596047
本明細書に引用した刊行物および特許はすべて、参照によって援用するために各刊行物または特許を具体的に個々に示しているかのように参照によって本明細書に援用する。前述の発明について理解しやすいように図面および実施例によりある程度詳細に記載してきたが、本発明の本教示内容に照らして、添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく、ある種の変更および修正をなし得ることが当業者には容易に明らかであろう。

Claims (9)

  1. 下記式で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩:
    Figure 0005596047
  2. 前記化合物は結晶である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩
  3. 前記化合物はX線回折パターンにおいて以下のピーク:6.3、9.2、11.5、13.3、13.8、14.2、14.8、16.2、18.2、18.7および19.8の1つまたは複数により特徴付けられる、請求項2に記載の化合物。
  4. 請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリア、補助剤またはビヒクルを含む、医薬組成物。
  5. 化学療法剤または抗増殖剤、抗炎症薬、アテローム性動脈硬化症の処置剤または肺線維症の処置剤をさらに含む、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 患者の、増殖性障害を処置するためか、または増殖性障害の重症度を軽減するための組成物であって、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、組成物。
  7. 前記障害は転移性癌である、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記障害は膠芽細胞腫;胃癌;または結腸癌、乳癌、前立腺癌、脳癌、肝癌、膵癌もしくは肺癌から選択される癌である、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記障害は肝細胞癌である、請求項に記載の組成物。
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