JP5594949B2 - 光起電力素子、および、その製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性を有するp型でカルコパイライト構造の化合物にて薄膜形成された光吸収層を備えた光起電力素子、および、その製造方法に関する。
太陽電池は、無尽蔵の太陽光をエネルギー源とするクリーンな発電素子であることから、種々の用途に広く利用されている。太陽電池は、シリコン、化合物半導体等を光電変換材料として用い、この光電変換材料に太陽光等の光が入射したときに当該光電変換材料に生じる光起電力を利用した素子を備えている。
そして、太陽電池は、幾つかに分類することができるが、単結晶シリコン太陽電池や多結晶シリコン太陽電池では、高価なシリコン基板を使用する。このことから、材料費の大幅な低減が期待される薄膜構造の太陽電池が利用されている。
薄膜構造の太陽電池としては、光電変換材料として非シリコン系の半導体材料である、カルコパイライト型の結晶構造を有する化合物、なかでも、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなるCIGS系の化合物を用いたCIGS系太陽電池が注目されている。
CIGS系太陽電池の構成としては、例えば、ガラス基板上に形成された下部電極薄膜と、銅・インジウム・ガリウム・セレンを含むCIGS系化合物からなる光吸収層薄膜と、光吸収層薄膜の上にInS、ZnS、CdS、ZnO等で形成される高抵抗のバッファ層薄膜と、ZnOAl等で形成される上部電極薄膜とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
CIGS系太陽電池は、CIGS系半導体材料の光吸収率が高いこと、発電層を蒸着やスパッタリング等の方法で形成可能であることから、その厚さを数μmと薄くできる。そのため、小型化や材料コストを低く抑えることができ、太陽電池製造時の省エネルギー化も図ることができる。
その一方で、薄膜構造の太陽電池には、(1)単結晶シリコン太陽電池や多結晶シリコン太陽電池に比べて変換効率が低い、(2)設置後の変換効率の劣化が大きい、等の問題があり、これらの問題を解決すべく種々の検討が行われている。
すなわち、太陽電池の光電変換効率を向上させる手法としては、(a)光電変換層側の基板表面に凹凸を設けることによって、光電変換層を透過してきた光が多重反射する機会を増加させる、(b)光封じ込め層を形成する、(c)反射防止膜を形成することによって光電変換層に入射する光量を増加させる、等が知られている。
例えば、光封じ込め層や反射防止膜の形成としては、ZnO系、SnO2系、あるいはIn23系の透明導電膜上に、大きな光屈折率を有するZn2In25系透明導電膜を形成し、その上に小さな光屈折率のInGaO3系透明導電膜を形成することによって光封じ込め層や反射防止膜が形成される(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−317885号公報 特開平8−26225号公報
ところで、従来の薄膜太陽電池素子は、特許文献1のCIGS系太陽電池素子のように、ZnO等のような高抵抗のバッファ層薄膜の上に、高抵抗バッファ層薄膜とは異なる材料からなるZnOAl等で形成される透明電極層を形成させる必要があった。
ところが、このような素子構成をスパッタ法で形成する場合、高抵抗バッファ層形成のためのターゲット材料は高抵抗であることから、製膜速度が低速のRFスパッタ法しか適用することができなかった。
そのため、CIGS系太陽電池素子の製造にあたっては、高抵抗バッファ層の形成にはRFスパッタ法、透明電極層の形成にはDCスパッタ法といったように、製膜装置を使い分ける必要があり、製造工程ごとに基板を別の製膜装置へ搬送する等の作業が必要となり、CIGS系太陽電池素子の製造効率が悪いという問題があった。
また、光電変換効率を向上させるための光閉じ込め効果を狙った素子構成とする場合も、製膜材料が各層毎に異なるので、別の製膜装置へと搬送したり、ターゲット材料を交換したりする等の作業が必要となり、薄膜太陽電池素子の製造効率が悪いという問題があった。
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光閉じ込め性および表面反射防止性に優れ光電変換効率が高く、かつ製造効率の優れた光起電力素子および光起電力素子の製造方法を提供することである。
本発明に係る光起電力素子は、ガラス基板と、このガラス基板の一面に設けられた裏面電極層と、カルコパイライト構造の化合物にて前記裏面電極層に積層形成された導電性を有するp型の光吸収層と、この光吸収層に積層形成された透光性のn型のバッファ層と、このバッファ層に積層形成され前記バッファ層より高抵抗で前記光吸収層に対してn型となる透光性のn型半導体層と、このn型半導体層に積層形成された透明電極層と、この透明電極層に積層形成された表面透明電極層と、を備え、前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とが非晶質系の同一の層構成材料を用いて形成され、前記透明電極層の屈折率が前記n型半導体層の屈折率より大きく形成されるとともに、前記表面透明電極層の屈折率が前記透明電極層の屈折率よりも小さく形成され、前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とを形成する非晶質系の同一の層構成材料がインジウムおよび亜鉛を主成分とする酸化物であることを特徴とする。
そして本発明では、前記n型半導体層の屈折率が1.6以上2.0以下であって、前記透明電極層の屈折率が1.8以上2.3以下であって、前記表面透明電極層の屈折率が1.6以上2.0以下であることが好ましい。
本発明に係る光起電力素子の製造方法は、ガラス基板上に裏面電極層を薄膜形成する裏面電極層形成工程と、前記裏面電極層上にカルコパイライト構造の化合物にてp型の光吸収層を薄膜形成する光吸収層形成工程と、前記光吸収層上に透光性のn型のバッファ層を薄膜形成するバッファ層形成工程と、前記バッファ層上に前記バッファ層より高抵抗で前記光吸収層に対してn型となる透光性のn型半導体層を薄膜形成するn型半導体層形成工程と、前記n型半導体層上に透明電極層を薄膜形成する透明電極層形成工程と、前記透明電極層上に表面透明電極層を積層形成する表面透明電極層形成工程と、を実施する光起電力素子の製造方法であって、前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とを非晶質系の同一の層構成材料を用いて薄膜形成し、前記透明電極層の屈折率を前記n型半導体層の屈折率よりも大きく形成するとともに、前記表面透明電極層の屈折率を前記n型半導体層の屈折率よりも小さく形成し、前記n型半導体層形成工程と前記透明電極層形成工程と前記表面透明電極層形成工程とを同一の装置を用いて連続的に行い、前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とを非晶質系の同一の層構成材料として、インジウムおよび亜鉛を主成分とする酸化物を用いることを特徴とする。
そして本発明では、前記n型半導体層の屈折率を1.6以上2.0以下に形成し、前記透明電極層の屈折率が1.8以上2.3以下に形成し、前記表面透明電極層の屈折率が1.6以上2.0以下に形成することが好ましい。
さらに本発明では、前記n型半導体層形成工程は、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた製膜方法における前記混合ガスの酸素分圧が1×10-2Pa以上0.2Pa以下の範囲に調整された条件と、前記ガラス基板温度が100℃以上200℃以下の範囲に調整された条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて前記n型半導体層を非晶質薄膜に形成することが好ましい。
そしてさらに本発明では、前記透明電極層形成工程は、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた前記n型半導体層形成工程と同一の製膜方法における前記混合ガスの酸素分圧が1×10-3Pa以上5×10-2Pa以下の範囲に調整された条件と、前記ガラス基板温度が100℃以上200℃以下の範囲に調整された条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて前記透明電極層を非晶質薄膜に形成することが好ましい。
本発明によれば、n型半導体層と透明電極層と表面透明電極層とが非晶質系の同一の層構成材料を用いて形成され、透明電極層は屈折率がn型半導体層の屈折率より大きく形成され、表面透明電極層は屈折率が透明電極層の屈折率より小さく形成され、n型半導体層と透明電極層形成工程と表面透明電極層形成工程とが同一の装置を用いて連続的に行われるので、表面透明電極層では光の屈折を最小限に抑えることができ、透明電極層内部では入射した光が効果的に内部反射し、光の閉じ込め効果が向上する。よって、高い光電変換効率を有する光起電力素子を製造することができる。
さらに、この光起電力素子は各層形成工程ごとに層構成材料の交換や製造装置の切換を要さずに、前記した屈折率の関係を有した積層構造を形成させる。よって、高い光電変換効率を有する光起電力素子を高い製造効率で得ることができる。
以下、本発明の光起電力素子に係る一実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における光起電力素子の概略構成を示す断面図である。
[光起電力素子の構成]
図1において、100は光起電力素子で、この光起電力素子100は、光の入射により起電力を発生する素子である。この光起電力素子100は例えば直列状に複数接続され、電気エネルギーとして取り出し可能な太陽電池に構成される。
そして、光起電力素子100は、ガラス基板110上に、裏面電極層120、光吸収層130、バッファ層140、n型半導体層150、透明電極層160、表面透明電極層170が、順次積層された層構造に構成されている。
(ガラス基板)
ガラス基板110は、素子の支持体となるものであり、例えばソーダライムガラス等のアルカリガラスなどが用いられるが、この限りではない。
(裏面電極層)
裏面電極層120は、導電性材料にてガラス基板110の一面に薄膜形成されている。この裏面電極層120は、平面領域が所定の広さとなる状態に絶縁距離を介して並列状に複数設けられている。この裏面電極層120は、例えばMo(モリブデン)を直流(DC)スパッタなどにて製膜した後に、レーザー光照射などによって絶縁距離の幅で分割されて形成される。
なお、導電性材料としては、詳細は後述するが光吸収層130としてCIGS系を例示するのでMoを例示したが、これに限らず、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、コバルト、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等の金属または合金が挙げられる。特に、反射率の高い金属が好ましい。また、製膜方法としては、直流(DC)スパッタに限らず、蒸着法、各種スパッタ法、CVD法、スプレー法、スピンオン法、ディップ法などが例示できる。
そして、裏面電極層120は、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に形成されることが好ましい。ここで、0.01μmより薄くなると抵抗値が上昇するという不都合を生じるおそれがある。一方、1μmより厚くなると、剥離するという不都合を生じるおそれがある。このことにより、裏面電極層120の厚さ寸法は、0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に設定される。
さらに、裏面電極層120は、表面が平坦に限らず、表面に凹凸形状を形成して光を乱反射させる機能を付与してもよい。すなわち、積層される光吸収層130で吸収しきれなかった長波長光を散乱させて、光吸収層130内での光路長を延ばすことで、光起電力素子100の長波長感度が向上し、短絡電流が増大する。その結果、光電変換効率を向上できる。なお、光を散乱するための凹凸形状は、凹凸の山と谷の高低差がRmaxで、0.2μm以上2.0μm以下とすることが望ましい。ここで、Rmaxが2.0μmより大きくなると、カバレッジ性が低下し、膜厚斑ができ、抵抗値に斑を生じる不都合が生じるおそれがあるので、凹凸形状を設ける場合にはRmaxで0.2μm以上2.0μm以下に設定することが好ましい。
この凹凸形状の加工としては、ドライエッチング、ウェットエッチング、サンドブラスト、加熱などの各種方法を適用できる。
(光吸収層)
光吸収層130は、p型の導電性を有するカルコパイライト構造の化合物であるカルコパイライト化合物にて、裏面電極層120の上面に隣接する裏面電極層120に亘って架橋する状態に薄膜形成されている。
具体的には、光吸収層130は、Cu(In,Ga)Se2やCu(In,Ga)(Se,S)2、あるいはCuInS2など、カルコパイライト系半導体(I-III-VI族半導体)を用いることができる。本実施形態では、Cu、In、Ga、Seをスパッタリングや蒸着などにて薄膜形成された、いわゆるCIGS系の光吸収層が設けられる構成を例示する。すなわち、製膜状態でカルコパイライト構造の組成となるように、各種材料を用いて各種製膜方法で製膜される。CIGS系の光吸収層は、InやGaなどのIII族元素組成比の制御によって禁制帯幅(バンドギャップ)を制御でき、高い光電変換効率を有する光起電力素子を形成することができる。
この光吸収層130の製膜は、例えば分子線エピタキシー装置を用いた多元蒸着法によって行われる。
そして、光吸収層130は、厚さ寸法が0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.5μm以上5μm以下に形成されることが好ましい。ここで、0.1μmより薄くなると外光からの光の吸収量が低減するという不都合を生じるおそれがある。一方、10μmより厚くなると、生産性が低下したり、膜応力により剥離し易くなるという不都合を生じるおそれがある。このことにより、光吸収層130の厚さ寸法は、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.5μm以上5μm以下に設定される。
なお、この光吸収層130は、裏面電極層120上に製膜後、後述するバッファ層140をさらに製膜した後に、例えばメカニカルスクライビングなどによって裏面電極層120が露出する状態に分割されて、隣接する裏面電極層120に亘って架橋する状態に形成される。光吸収層130は、これらの方法に限らず、例えばCu−In−Gaをアニーリングにてセレン化するなど、各種方法が利用できる。また、光吸収層130としては、Cu、In、Ga、Seに限られるものではない。
(バッファ層)
バッファ層140は、光吸収層130の上面に薄膜状に積層形成されている。このバッファ層140は、光吸収層130に積層されてpn接合する透光性で比較的に低抵抗のn型の半導体層である。また、バッファ層140は、光吸収層130の表面に残存し、シャントパスとして機能するCu2Seのような半金属抵抗層に対して障壁としても機能する。
また、バッファ層140は、例えばInSを溶液成長させて薄膜成形する。この製膜としては、例えばCBD(ケミカル・バス・デポジション)の製造方法で製造される。
なお、本実施形態におけるバッファ層140では、光吸収層130としてCIGS系を例示するのでInSを例示したが、これに限らず、光吸収層130と良好にpn接合される材料であれば、CdS、ZnO等の化合物を用いることができる。
そして、このバッファ層140は、上述したように、光吸収層130とともにメカニカルスクライビングにて分割されている。
そして、バッファ層140は、厚さ寸法が0.01μm以上0.5μm以下、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下に形成されることが好ましい。ここで、0.01μmより薄くなるとpn接合斑が生じるおそれがある。一方、0.5μmより厚くなると、外光からの光が阻害され、CIGS層の光吸収が低下するという不都合を生じるおそれがある。このことにより、バッファ層140の厚さ寸法は、0.01μm以上0.5μm以下、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下に設定される。
(n型半導体層)
n型半導体層150は、バッファ層140の上面に薄膜状に積層形成された非晶質層である。このn型半導体層150は、透光性を有し光吸収層130に対してn型の比較的に高抵抗な半導体層、すなわち、正孔のキャリアとして機能する光吸収層130に対して、電子のキャリアとして機能する。さらに、n型半導体層150は、開放端電圧の低下も防止する。
n型半導体層150の層構成材料としては、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)の少なくともいずれか一種以上の元素からなり、非晶質系の酸化物を用いることができる。例えば、本実施形態ではIZO(In+ZnO)を用いたが、その他、ZnO、SnO、In、ITO(In+SnO)、AZO(Al+ZnO)、TiO、等の化合物を層構成材料として用いることができる。
また、n型半導体層150は、屈折率が1.6以上2.0以下、好ましくは1.6以上1.9以下に形成されている。ここで、屈折率が1.6より小さくなると裏面反射電極での反射光が漏れ、光の封じ込め効果が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、屈折率が2より大きくなると外光がCIGS層に到達される前に反射されるという不都合を生じるおそれがある。このことにより、n型半導体層150の屈折率は、1.6以上2.0以下、好ましくは1.6以上1.9以下に設定される。
そして、n型半導体層150は、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に形成されることが好ましい。ここで、0.01μmより薄くなるとCIGS層で発生したホールのブロッキング効果が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、1μmより厚くなると、透過率が低下し、外光の吸収が阻害されるという不都合を生じるおそれがある。このことにより、n型半導体層150の厚さ寸法は、0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に設定される。
さらに、n型半導体層150は、抵抗値が1kΩ/□以上1000kΩ/□以下に形成されている。ここで、抵抗値が1kΩ/□より小さくなると、光吸収層130で形成された電子が容易に陽極側に移動し、開放端電圧が低下し、光電変換効率の低下を招くおそれがある。一方、抵抗値が1000kΩ/□より大きくなると、開放端電圧は向上するが、光起電力素子100の駆動電圧の上昇を招くおそれがある。このことにより、n型半導体層150の抵抗値は、1kΩ/□以上1000kΩ/□以下に設定される。
そして、このn型半導体層150の製膜は、例えばアルゴン(Ar)と酸素(O2)との混合ガスを用いたスパッタ製膜、特に直流スパッタリングにおいて、酸素分圧を1×10-2Pa以上0.2Pa以下とする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて非晶質に製造される。
ここで、酸素分圧が1×10-2Paより低くなると低抵抗膜が形成されるという不都合を生じるおそれがある。一方、酸素分圧が0.2Paより高くなると直流スパッタリング製膜法においてプラズマの放電が不安定になり、安定した製膜ができないという不都合を生じるおそれがある。また、基板温度が100℃より低くなるとn型のバッファ層140の成分(硫黄(S)等)とn型半導体層150との界面反応が進行せず、n型半導体層150が高抵抗化しないという不都合を生じるおそれがある。一方、基板温度が200℃より高くなるとn型のバッファ層140が劣化するという不都合を生じるおそれがある。
また、n型半導体層150は、上述したように、光吸収層130およびバッファ層140とともにメカニカルスクライビングなどにて分割されている。
(透明電極層)
透明電極層160は、n型半導体層150の上面に、上部電極として薄膜状に積層形成される。透明電極層160の層構成材料としては、本実施形態では、前記したn型半導体層150の層形成材料と同一のIZOを用いた。なお、n型半導体層150にIZO以外の非晶質系の酸化物材料を用いた場合は、当該酸化物材料と同一の材料を透明電極層160に用いる。このように、n型半導体層150と透明電極層160とを同一の層構成材料を用いて形成させることで、同一の製造装置による同一の製膜方法を採用することができる。
また、透明電極層160は、屈折率がn型半導体層150より大きく、例えば1.8以上2.3以下、好ましくは2以上2.3以下に形成されている。ここで、屈折率が1.8より小さくなると裏面電極で反射された光の封じ込め効果が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、屈折率が2.3より大きくなると透明電極層160での外光反射により、CIGS層での光吸収が低下するという不都合を生じるおそれがある。このことにより、透明電極層160の屈折率は、1.8以上2.3以下、好ましくは2.0以上2.3以下に設定される。
そして、透明電極層160は、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に形成されることが好ましい。ここで、0.01μmより薄くなると所定の低抵抗膜がえられないという不都合を生じるおそれがある。一方、1μmより厚くなると、透過率が低下するという不都合を生じるおそれがある。このことにより、透明電極層160の厚さ寸法は、0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に設定される。
この透明電極層160の製膜は、例えばArとO2との混合ガスを用いたスパッタ製膜、特にn型半導体層150の製膜方法と同一の直流スパッタリングにおいて、酸素分圧を1×10-3Pa以上5×10-2Pa以下とする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて非晶質に製造される。
ここで、酸素分圧が1×10-3Paより低くなると透過率が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、酸素分圧が5×10-2Paより高くなると透明電極層160の抵抗が増加するという不都合を生じるおそれがある。また、基板温度が100℃より低くなると透明電極層160の安定性が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、基板温度が200℃より高くなるとn型のバッファ層140が劣化するという不都合を生じるおそれがある。
さらに、透明電極層160は、抵抗値が5Ω/□以上20Ω/□以下に形成されている。ここで、抵抗値が5Ω/□より小さくなると、膜厚が厚くなり透過率が低下するおそれがある。一方、抵抗値が20Ω/□より大きくなると、光吸収層130などで生成した電子および正孔の移動のための十分な閾値電圧が印加されず、エネルギー変換効率の低下を招くという不都合を生じるおそれがある。このことにより、透明電極層160の抵抗値は、5Ω/□以上20Ω/□以下に設定される。
この透明電極層160は、後述する表面透明電極層170が成膜された後に、例えばメカニカルスクライビングなどによって光起電力素子100が直列接続される状態にn型半導体層150が露出する状態に分割される。
(表面透明電極層)
表面透明電極層170は、透明電極層160の上面に、前記したn型半導体層150および透明電極層160の層形成に用いた層構成材料と同一IZOを用い、薄膜形成される。なお、n型半導体層150および透明電極層160にIZO以外の非晶質系の同一の酸化物材料を用いた場合は、当該酸化物材料と同一の材料を表面透明電極層170に用いる。このように、n型半導体層150と透明電極層160と表面透明電極層170とを同一の層構成材料を用いて形成させることで、同一の製造装置による同一の製膜方法を採用することができる。
また、表面透明電極層170は、屈折率が透明電極層160より小さく、例えば1.6以上2.0以下、好ましくは1.6以上1.9以下に形成されている。ここで、屈折率が1.6より小さくなると裏面反射電極により反射した光の封じ込め効果が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、屈折率が2.0より大きくなると表面透明電極層での外光反射により、CIGS層での光の吸収が低下するという不都合を生じるおそれがある。このことにより、表面透明電極層170の屈折率は、1.6以上2.0以下、好ましくは1.6以上1.9以下に設定される。
そして、表面透明電極層170は、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に形成されることが好ましい。ここで、0.01μmより薄くなると反射防止効果が低減するという不都合を生じるおそれがある。一方、1μmより厚くなると、透過率が低下するという不都合を生じるおそれがある。このことにより、表面透明電極層170の厚さ寸法は、0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に設定される。
さらに、表面透明電極層170は、抵抗値が100Ω/□以下に形成されている。ここで、抵抗値が100Ω/□より大きくなると、素子作成の際に上に形成される金属取出し電極との間で接続抵抗の上昇を招くおそれがある。このことにより、表面透明電極層170の抵抗値は、100Ω/□以下に設定される。
この表面透明電極層170の製膜は、例えばArとO2との混合ガスを用いたスパッタ製膜、特にn型半導体層150および透明電極層160の製膜方法と同一の直流スパッタリングにおいて、酸素分圧を1×10-3Pa以上5×10-2Pa以下とする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて非晶質に製造される。
ここで、酸素分圧が1×10-3Paより低くなると透過率が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、酸素分圧が5×10-2Paより高くなると表面透明電極層170の抵抗が増加するという不都合を生じるおそれがある。また、基板温度が100℃より低くなると表面透明電極層170の安定性が低下するという不都合を生じるおそれがある。一方、基板温度が200℃より高くなるとn型のバッファ層140が劣化するという不都合を生じるおそれがある。
また、表面透明電極層170は、上述した透明電極層160のメカニカルスクライビングなどにて透明電極層160とともに分割されている。
[光起電力素子の製造方法]
次に、前述した太陽電池素子の製造方法を説明する。
(裏面電極層形成工程)
裏面電極層形成工程では、ガラス基板110上に裏面電極層120を薄膜形成する。
具体的には、Mo(モリブデン)などの電極材料を、DCスパッタなどの各種製膜方法により、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に、ガラス基板110上に製膜する。
(光吸収層形成工程)
次に、裏面電極層120の上に前記したカルコパイライト型の結晶構造を有する化合物からなる光吸収層130を、蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法、スプレー法、印刷法等によって形成する。本実施形態では、Cu、In、Ga、Seをスパッタリングや蒸着などにて薄膜形成された、いわゆるCIGS系の光吸収層を形成させる。光吸収層130は、これらの方法に限らず、例えばCu−In−Gaをアニーリングにてセレン化するなど、各種方法が利用できる。この光吸収層130は厚さ寸法が0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.5μm以上5μm以下で製膜される。
なお、この光吸収層130は、裏面電極層120上に製膜後、後述するバッファ層140をさらに製膜した後に、例えばメカニカルスクライビングなどによって裏面電極層120が露出する状態に分割されて、隣接する裏面電極層120に亘って架橋する状態に形成される。
(バッファ層形成工程)
バッファ層形成工程では、光吸収層形成工程で形成された光吸収層130上に、光吸収層130とpn接合する透光性でn型のバッファ層140を形成する。
バッファ層140は、前記したように、バッファ層140の層自体の屈折率、膜厚が所定範囲内に入るように、例えばInSをCBD(ケミカル・バス・デポジション)の製造条件で溶液成長させ、厚さ寸法が0.01μm以上0.5μm以下、好ましくは0.1μm以上0.5μm以下で薄膜形成される。
(n型半導体層形成工程)
次に、バッファ層140の上に、バッファ層140より高抵抗で光吸収層130に対してn型となる透光性で非晶質のn型半導体層150を、前記した屈折率および膜厚の所定範囲内に入るように、層形成条件を適宜調整する。
このn型半導体層150の製膜に際しては、例えばインジウム(In)、亜鉛(Zn)を適宜の条件で製膜する。具体的には、アルゴン(Ar)と酸素(O2)との混合ガスを用いたスパッタ製膜、特に直流スパッタリングにおいて、酸素分圧を1×10-2Pa以上0.2Paとする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件で行う。
このようにして、(In23+ZnO)を主要組成とし、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に薄膜形成する。この製造条件により、n型半導体層150は、屈折率が1.6以上2.0以下の非晶質に形成される。
(透明電極層形成工程)
次に、n型半導体層150の上に、前記したn型半導体層形成工程における薄膜形成方法と同じ直流スパッタリング法によって、透明電極層160を、前記した屈折率および膜厚の所定範囲内に入るように、層形成条件を適宜調整する。
この透明電極層160の製膜に際しては、n型半導体層150と同一の層構成材料を用いて同一の製膜方法により製膜する。具体的には、ArとO2との混合ガスを用いたスパッタ製膜、特に直流スパッタリングにおいて、酸素分圧を1×10-3Pa以上5×10-2Pa以下とする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件で製膜した。
このようにして、主要組成が(In23+ZnO)となる非晶質で、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に薄膜形成する。この製造条件により、透明電極層160は、屈折率が1.6以上2以下、好ましくは1.6以上1.9以下、の非晶質に形成される。
(表面透明電極層形成工程)
次に、透明電極層160の上に、前記したn型半導体層形成工程および透明電極層形成工程における薄膜形成方法と同じ直流スパッタリング法によって、表面透明電極層170を、前記した屈折率および膜厚が所定範囲内に入るように、層形成条件を適宜調整する。
また、この透明電極層160の製膜に際しては、n型半導体層150および透明電極層160と同一の層構成材料を用いて同一の製膜方法により製膜する。具体的には、ArとO2との混合ガスを用いたスパッタ製膜、特に直流スパッタリングにおいて、酸素分圧を1×10-3Pa以上5×10-2Pa以下とする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件で製膜した。
このようにして、主要組成が(In23+ZnO)となる非晶質で、厚さ寸法が0.01μm以上1μm以下、好ましくは0.1μm以上1μm以下に薄膜形成する。この製造条件により、表面透明電極層170は、屈折率が1.6以上2以下、好ましくは1.6以上1.9以下、の非晶質に形成される。
[実施形態の効果]
以上のような実施形態によれば、次のような効果が得られる。
同一の層構成材料であるIZOを主成分とし、同一の直流スパッタリング装置を用い、前記した所定の温度条件、酸素分圧条件にてn型半導体層150と透明電極層160と表面透明電極層170とを形成することで、前記した屈折率や膜厚の関係を有した積層構造が形成される。
よって、n型半導体層150の屈折率が1.6以上2.0以下であって、透明電極層160の屈折率が1.8以上2.3以下であって、表面透明電極層170の屈折率が1.6以上2.0以下であり、透明電極層160の屈折率はn型半導体層150の屈折率よりも大きく、表面透明電極層170の屈折率は透明電極層の屈折率よりも小さいため、光吸収層130へ到達する前の外光反射を抑え、さらに、屈折率の大きい透明電極層160内部で入射した光が効果的に内部反射し、光の閉じ込め効果が向上する。ゆえに、高い光電変換効率を有する光起電力素子を得ることができる。
また、n型半導体層150と透明電極層160と表面透明電極層170とが、同一の層構成材料であるIZOを主成分とし、同一の直流スパッタリング法にて所定の条件下で形成されるので、各層形成工程ごとに層構成材料の交換や製造装置の切換を要さずに、前記した屈折率や膜厚の関係を有した積層構造を形成させる。ゆえに、高い光電変換効率を有する光起電力素子を、高い製造効率で得ることができる。
また、バッファ層140より高抵抗で光吸収層130に対してn型となる透光性のn型半導体層150を、バッファ層140に積層形成している。
このため、開放端電圧の低下を防止できる。
そして、このn型半導体層150を所定の酸素分圧でスパッタリングにより高抵抗に形成、すなわちArとO2との混合ガスを用いるスパッタリング製膜により、混合ガスの酸素分圧を1×10-2Pa以上0.2Pa以下とする条件と、基板温度を100℃以上200℃以下とする条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて、非晶質薄膜に製膜している。
このため、容易に開放端電圧の低下を防止できる層が得られる。
[実施形態の変形例]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示すものであって、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良は、本発明の内容に含まれるものである。また、本発明を実施する際における具体的な構成および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構成や形状などとしても問題はない。
すなわち、本発明の光起電力素子として、光吸収層130をいわゆるCIGS系で形成したが、例えばCISなどのカルコパイライト構造の化合物にて形成した構成としてもよい。
その他、本発明の実施における具体的な構成および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。実施例および比較例においては、各製造条件に基づいて光起電力素子を製造し、その素子の評価を行った。なお、本発明は実施例などの内容に何ら限定されるものではない。
各実施例において製造した光起電力素子の各層毎の単膜および光起電力素子の評価は以下に示す方法で行った。
(1)膜厚の測定
各実施例における光起電力素子についての、n型半導体層、透明電極層、表面透明電極層の各層の膜厚は、膜厚測定のための段差部を設けることで触針法(使用機器:Sloan社製のDEKTAK3030)によって測定した。
(2)屈折率の測定
各実施例における光起電力素子についての、n型半導体層、透明電極層、表面透明電極層の各層の屈折率は、各層単膜をガラス基板上に作成し、エリプソ法(使用機器:溝尻光学工業社製のDVA−36L)によって測定した。
(3)シート抵抗の測定
各実施例における光起電力素子についての、n型半導体層、透明電極層、表面透明電極層の各層のシート抵抗(Rs)は、各層単膜をガラス基板上に作成し、四端針方(使用機器:三菱油化製のロレスタFP)によって測定した。
(4)光電変換効率の測定
各実施例における光起電力素子の光電変換効率は、透明電極層または表面透明電極層(IZO層)を正極、裏面電極層(Mo層)を負極として利用し、Agペーストを用いたスクリーン印刷法により、IZO層及びMo層上に30μm、膜厚0.5μmの取出し電極を形成し、開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Isc)、曲線因子(FF)を評価することで算出した。なお、光源にはキセノンランプからの光を特定の光学フィルターで調整したもの(ソーラーシミュレーション)を光源として用いた。
(光起電力素子の各層単膜の評価)
実施例1〜実施例12および比較例1〜比較例2では、光起電力素子を構成する各層の単膜をガラス基板もしくはガラス基板上に製膜したInS上に薄膜形成し、各層のシート抵抗値Rs、屈折率を評価した。その結果を表1に示す。
なお、ガラス基板上もしくはガラス基板上にCBD(ケミカル・バス・デポジション)法により、InSを溶液成長させて形成させたバッファ層上に、直流(DC)マグネトロンスパッタリング法によってn型半導体層、透明電極層、表面透明電極層の各層をそれぞれ形成させた。
また、実施例1〜実施例10および比較例1〜比較例2ではIZO(In+ZnO)をターゲット材料として用い、実施例11〜実施例12では、IZOに所定濃度の硫黄(S)が含有されているものをターゲット材料として用いた。
Figure 0005594949
(光起電力素子の単膜の評価結果)
n型半導体層の実施例1〜実施例3と透明電極層の実施例4および実施例5とを比較すると、酸素分圧を低く設定することによって、シート抵抗が低くなり、屈折率は大きくなった。
さらに、実施例4および実施例5の条件から、実施例6〜8のように、基板温度を高く設定することによって、シート抵抗が低いまま、屈折率が小さくなった。
そして、実施例9、実施例10、および比較例2で比較すると、バッファ層(InS)上にn型半導体層を形成させると、基板温度が高くなるにつれて、n型半導体層内の硫黄濃度が上昇し、シート抵抗が高くなった。
また、実施例11と実施例12とを比較すると、ターゲット材料の硫黄濃度が高いとシート抵抗が高くなった。
(光起電力素子の評価)
実施例13〜実施例22および比較例3〜比較例9では、光起電力素子を製造し、素子の性能評価を行った。結果を表2〜表4に示す。
なお、上記各例においては共通の素子基板を用いた。素子基板の構成としては、まず、ガラス基板上に、直流マグネトロンスパッタリング法により、Moからなる裏面電極層を形成させた。
次に、この裏面電極層の上に、Cu、In、Ga、Seを蒸着源とした共蒸着法により、CIGS系の光吸収層を形成させた。
その後、この光吸収層の上に、CBD(ケミカル・バス・デポジション)法により、InSを溶液成長させてバッファ層を形成させた。
そして、このバッファ層の上に、直流(DC)マグネトロンスパッタリング法または高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法により、以下に示す各種スパッタリングターゲットを用いn型半導体層、透明電極層、表面透明電極層を薄膜形成させた。
・スパッタリングターゲット
(i) IZO (In:ZnO=90wt%:10wt%)
(ii) ZnO
(iii) AZO(Al:ZnO=2wt%:98wt%)
(iv) ITO(In:SnO=90wt%:10wt%)
Figure 0005594949
Figure 0005594949
Figure 0005594949
(光起電力素子の評価結果)
実施例13または実施例14は、n型半導体層と透明電極層の2層をIZOで形成させた場合であって、透明電極層の屈折率をn型半導体層よりも大きく形成させた。比較例3は、これと同じターゲット材料を用いているが、屈折率は両層とも同じに形成させた。その結果、実施例13および実施例14が優れた変換効率を示した。
実施例15〜21は、実施例13に対し、さらに表面透明電極層もIZOで形成させたものであって、表面透明電極層は透明電極層よりも屈折率を小さく形成させた。その結果、実施例15および実施例18は実施例13よりも特に優れた変換効率を示した。
これに対して、比較例4や比較例7もn型半導体層、透明電極層、表面透明電極層を3層ともIZOで形成させたが、3層ともに屈折率が同一に形成されたために、実施例15や実施例18のような変換効率を示さなかった。
また、比較例8〜9では、屈折率の大小関係は実施例15〜23と同じ関係を満たすものの、透明電極層の屈折率が2.4と大きくなりすぎてしまい、実施例15〜23よりも低い変換効率を示した。
ここまで述べた光起電力素子の各例は、同一の製造装置で製造することができるため、基板を他の製造装置へ搬送する必要も無く、製造効率の面で優れている。
比較例5は従来型の層構成であって、異なる製膜方法で、異なるターゲット材料を用いて光起電力素子を製造したものであるが、変換効率が低いうえに、基板を搬送するなどに時間を要したために製造効率も低いものとなった。
比較例6または比較例7は同一の製造装置で、透明電極層のターゲット材料をそれぞれAZOまたはITOへと切り替えて製造した光起電力素子である。比較例6は透明電極層の屈折率がn型半導体層および表面透明電極層の屈折率よりも低く形成され、比較例7は3層とも同じ屈折率で形成されたものであり、いずれも実施例15〜実施例21よりも低い変換効率を示した。
以上より、透明電極層の屈折率がn型半導体層よりも大きく、かつ表面透明電極層の屈折率が透明電極層よりも小さく形成させた実施例15〜23の光起電力素子は、表面透明電極層では光の屈折を最小限に抑えることができ、透明電極層内部で入射した光が効果的に内部反射し、光の閉じ込め効果が向上し、優れた変換効率を示した。さらに、同一の製造装置で製造することができたので、優れた製造効率も示した。
本発明は、導電性を有するp型でカルコパイライト構造の化合物にて薄膜形成された光吸収層を備えた光起電力素子、および、その製造方法に利用できる。
本発明の一実施形態に係る光起電力素子の概略構成を示す断面図である。
符号の説明
100 光起電力素子
110 ガラス基板
120 裏面電極層
130 光吸収層
140 バッファ層
150 n型半導体層
160 透明電極層
170 表面透明電極層

Claims (6)

  1. ガラス基板と、
    このガラス基板の一面に設けられた裏面電極層と、
    カルコパイライト構造の化合物にて前記裏面電極層に積層形成された導電性を有するp型の光吸収層と、
    この光吸収層に積層形成された透光性のn型のバッファ層と、
    このバッファ層に積層形成され前記バッファ層より高抵抗で前記光吸収層に対してn型となる透光性のn型半導体層と、
    このn型半導体層に積層形成された透明電極層と、
    この透明電極層に積層形成された表面透明電極層と、を備え、
    前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とが非晶質系の同一の層構成材料を用いて形成され、
    前記透明電極層の屈折率が前記n型半導体層の屈折率より大きく形成されるとともに、前記表面透明電極層の屈折率が前記透明電極層の屈折率よりも小さく形成され、
    前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とを形成する非晶質系の同一の層構成材料がインジウムおよび亜鉛を主成分とする酸化物である
    ことを特徴とする光起電力素子。
  2. 請求項1に記載の光起電力素子において、
    前記n型半導体層の屈折率が1.6以上2.0以下であって、
    前記透明電極層の屈折率が1.8以上2.3以下であって、
    前記表面透明電極層の屈折率が1.6以上2.0以下である
    ことを特徴とする光起電力素子。
  3. ガラス基板上に裏面電極層を薄膜形成する裏面電極層形成工程と、
    前記裏面電極層上にカルコパイライト構造の化合物にてp型の光吸収層を薄膜形成する光吸収層形成工程と、
    前記光吸収層上に透光性のn型のバッファ層を薄膜形成するバッファ層形成工程と、
    前記バッファ層上に前記バッファ層より高抵抗で前記光吸収層に対してn型となる透光性のn型半導体層を薄膜形成するn型半導体層形成工程と、
    前記n型半導体層上に透明電極層を薄膜形成する透明電極層形成工程と、
    前記透明電極層上に表面透明電極層を積層形成する表面透明電極層形成工程と、
    を実施する光起電力素子の製造方法であって、
    前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とを非晶質系の同一の層構成材料を用いて薄膜形成し、
    前記透明電極層の屈折率を前記n型半導体層の屈折率よりも大きく形成するとともに、前記表面透明電極層の屈折率を前記n型半導体層の屈折率よりも小さく形成し、
    前記n型半導体層形成工程と前記透明電極層形成工程と前記表面透明電極層形成工程とを同一の装置を用いて連続的に行い、
    前記n型半導体層と前記透明電極層と前記表面透明電極層とを非晶質系の同一の層構成材料として、インジウムおよび亜鉛を主成分とする酸化物を用いる
    ことを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  4. 請求項に記載の光起電力素子の製造方法において、
    前記n型半導体層の屈折率を1.6以上2.0以下に形成し、
    前記透明電極層の屈折率が1.8以上2.3以下に形成し、
    前記表面透明電極層の屈折率が1.6以上2.0以下に形成する
    ことを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  5. 請求項または請求項に記載の光起電力素子の製造方法において、
    前記n型半導体層形成工程は、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた製膜方法における前記混合ガスの酸素分圧が1×10−2Pa以上0.2Pa以下の範囲に調整された条件と、前記ガラス基板温度が100℃以上200℃以下の範囲に調整された条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて前記n型半導体層を非晶質薄膜に形成する
    ことを特徴とする光起電力素子の製造方法。
  6. 請求項から請求項のいずれか一項に記載の光起電力素子の製造方法において、
    前記透明電極層形成工程は、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガスを用いた前記n型半導体層形成工程と同一の製膜方法における前記混合ガスの酸素分圧が1×10−3Pa以上5×10−2Pa以下の範囲に調整された条件と、前記ガラス基板温度が100℃以上200℃以下の範囲に調整された条件とのうちの少なくともいずれか一方の条件が設定されて前記透明電極層を非晶質薄膜に形成する
    ことを特徴とする光起電力素子の製造方法。
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