JP5592487B2 - 心不全の評価におけるミメカンの使用 - Google Patents

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Description

本発明は、a)個体から得られた試料におけるマーカーであるミメカン(mimecan)の濃度を測定し、b)場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、工程(a)で測定された濃度と、場合によっては工程(b)で測定された濃度を、コントロール試料において確立されているこのマーカー又はこれらのマーカーの濃度に対して比較することにより心不全を評価する工程を含む、個体における心不全を評価する方法に関する。さらに、心不全の評価におけるマーカータンパク質としてのミメカンの使用、ミメカンを含むマーカー組合せ、及びミメカンを測定するためのキットについても開示する。
心不全(HF)は、主要な増大する公衆衛生問題である。例えば、アメリカ合衆国においては、約500万人の患者がHFを患っており、550000超の患者が、毎年新たにHFであると診断されている(於:米国心臓協会、心臓病及び脳卒中の統計:2008年更新、ダラス、テキサス、米国心臓協会 (2008))。同様に、US-統計には、毎年、1200万〜1500万の外来診療及び650万の入院日の主要な理由がHFであることが示されている。1990年から1999年まで、入院期間の年間数は、一次診断としてのHFについては810000から1000000超、一次又は二次診断としてのHFについては、240万から360万に増加している。2001年には、主原因として、約53000人の患者がHFで死亡している。心不全は主な老化の症状であり、よって広く認識されている「老齢化社会」もHFの発生率の増加に寄与している。65才以上の人口におけるHFの発生率は、1000人当たり10人に接近している。US単独では、2005年でのHFについての総推定される直接的又は間接的コストは約279億ドルであり、年間約29億ドルが、HFを処置する薬剤に費やされている(上に引用したAHA-統計を参照)。
心不全
心不全は、体が必要とするのと同量の血液をポンピングするための心臓の能力が減少することによって特徴付けられる。不全は、心臓がポンピングを停止するだけでなく、それがすべき効率で血液をポンピングするように機能しなくなることを意味する。NYHA[ニューヨーク心臓協会]及びACC/AHA[米国心臓病協会(American Association of Cardiology)/米国心臓協会]は、双方とも、疾患の進行を評価するために、HFの機能的クラスを確立している。NYHAの分類スキームには、4つのクラスの疾患状態があり:クラス1は任意レベルの労作で無症候性である。クラス2は重度の労作で症候性であり、クラスIII及びクラスIVは、それぞれ軽度及び無労作で症候性である。
ACC/AHAスキームの4つのステージでは、ステージAは無症候性であるが、HFを発症する危険性がある。ステージBには、兆候はないが、心機能不全の証拠がある。ステージCには、兆候を伴う、心機能不全の症候がある。ステージDでは、被験者は最大治療にかかわらず、HFの兆候を有する。
HFの原因
医学的に、心不全(HF)は、複雑な病気であると理解されなくてはならない。心不全は、心筋梗塞(心臓発作)等の引き金となる事象の発生により引き起こされるか、又は他の原因、例えば高血圧、糖尿病、又は心奇形、例えば弁膜症に対する二次性のものである可能性がある。心筋梗塞又はHFの他の原因により、例えば心筋がダメージを受けることによる、心臓のポンピング能力の最初の低減に帰する。ポンピング能力におけるこの低減は、一又は複数の代償機構の活性化のため、直ちに顕著になることはない。しかしながら、HFの進行は、患者の血液動態の状態と無関係であることが見出されている。よって、疾患に起因するダメージの変化は存在し、進行しているが、患者は無症候性のままである。事実、HFの初期段階中、正常な心血管系機能を維持する代償機構は、実際のところ、心臓、及び循環において十分なレベルの血量を維持するためのその能力に悪影響を及ぼすことにより、長期にわたる疾患の進行の一因となっている可能性がある。
HFにおいて生じるいくつかのより重要な病態生理学的変化は、(i)視床下部-下垂体-副腎皮質系の活性化、(ii)全身性内皮障害、及び(iii)心筋リモデリングである。
(i)視床下部-下垂体-副腎皮質系の活性化の妨害を特異的に指向する治療には、ベータ-アドレナリン受容体遮断薬(B-ブロッカー)、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬、ある種のカルシウム遮断薬、ナイトレート類、及びエンドセリン-1遮断薬が含まれる。カルシウムチャンネル遮断薬及びナイトレート類は、臨床的改善の生成により、生存期間が延長することを明確には示していないのに対し、B-ブロッカー及びACE阻害薬は、アルドステロンアンタゴニストとして、かなりの生命延長を示す。エンドセリン-1遮蔽薬を使用する実験的研究には、有益な効果が示されている。
(ii)全身性内皮障害は、HFのよく認識されている特徴であり、左心室の兆候が存在する時までに、明確に存在する。内皮障害は、心筋細胞を伴う心筋微小循環の密接な関連性に関して重要である。証拠には、微小血管機能障害は、筋細胞機能障害、及び進行性の心筋不全に至る形態変化のかなりの原因になっていることが示唆されている。
根本的な病態生理学の観点から、証拠には、内皮障害は、NADH-依存性オキシダーゼによる血管内のO-形成の増加、続く過度のNOの除去に起因すると思われる、NOのう相対的損失に原因があることが示唆されている。O-生成を増加させるための、潜在的原因因子には、増加した交換トーン、ノルエピネフリン、アンジオテンシンII、エンドセリン-1及びTNF-αが含まれる。さらに、IL-10、主要な抗-炎症性サイトカインのレベルは、TNF-αのレベルに対して、不適切に低い。IL-6及び可溶性TNF-αレセプターを含む、会合した炎症性サイトカイン類を用いた、TNF-αのレベルの上昇は、心筋収縮力、両室拡張、及び低血圧の低下に起因する、HFの進行において、有意な役割を担っており、おそらくは内皮活性化及び機能障害に関連していると考えられている。また、TNF-αは、重度のHF患者で生じるこれまで不明の筋肉消耗における役割を担っていると考えられている。可溶性TNF-レセプター治療を受けた患者の少数における予備調査では、生活の質の指標により測定されるように、NYHA機能的分類及び患者の満足度に改善が示されている。
(iii)心筋リモデリングは、無症候性から症候性心不全への移行を伴う複雑なプロセスであり、心室形状における変化等、心筋内の一連の適応変化であると記載されているかもしれない(Piano, M.Rら, J. Cardiovasc. Nurs. 14 (2000) 1-23; Molkentin, J.D., Ann. Rev. Physiol. 63 (2001) 391-426)。心筋リモデリングの主要なコンポーネントは、筋肥大、壊死又はアポトーシスによる筋細胞の損失等の、筋細胞生物学における変化、細胞外マトリックスにおける変化、及び左心室腔幾何学における変化である。心筋リモデリングは、単に、長期間にわたる神経ホルモン刺激の毒作用への数年の暴露で生じる末端器官の反応であるかどうか、又は心筋リモデリングが独立して心不全進行の一因であるかどうかは明確ではない。今日までの証拠には、適切な治療が、心筋リモデリングの進行を遅延又は停止させることができることが示唆されている。
マーカー及び病状
上述したように、筋肥大はHFに至る最初の工程の一つを表すと思われる。筋肥大は、p-ミオシン重鎖及びトロポニンT(TnT)等の収縮タンパク質をコードするいくつかの遺伝子、及びA-型及びB-型ナトリウム利尿ペプチド等のいくつかの非収縮タンパク質の発現増加により、さらに細胞骨格変化により特徴付けられる(Piano, M.Rら, J. Cardiovasc. Nurs. 14 (2000) 1-23; Molkentin, J.D., Ann. Rev. Physiol. 63 (2001) 391-426)。
心不全のヒト又は動物モデルの研究により、心不全の後期において、筋細胞機能が抑圧されることが示唆されている。筋細胞機能不全の根底にあるメカニズムにより、カルシウム処理ネットワーク、筋フィラメント及び細胞骨格における変化が改善されることが示唆される(de Tombe, P.P., Cardiovasc. Res. 37 (1998) 367-380)。例えば、心不全におけるヒト及び動物モデルにおいて、筋小胞体カルシウム-ATPアーゼの酵素活性は低減するが、筋細胞膜Na+/Ca2+交換体のタンパク質及びmRNA双方のレベルは増加する。さらに、心不全のヒト及び動物モデルの双方には、TnTのアイソフォームスイッチング、トロポニンI(TnI)のホスホリル化の低減、筋フィラメントアクトミオシンATPアーゼ活性の低減、及び微小菅形成の増加が存在する。
まず、心臓に対する変化、心筋リモデリングに至ることは、酸素及び栄養分に対する体の要求を持続するために、心筋の疾患部分に対して補償することを意味する。しかしながら、心不全の代償相は限界があり、最終的に、心不全では、体からの必要性に応じるのに適した心拍出量を維持することができない。よって、代償相から非代償相への移行が存在する。非代償相において、心臓における変化のカスケードは続いているが、もはや有益ではなく、患者では、慢性状態及び最終的な死への、心不全の進行がなされている。
「成人における慢性的な心不全の診断及び管理についてのACC/AHAの2005年度のガイドラインの更新(ACC/AHA 2005 Guideline Update for the Diagnosis and Management of Chronic Heart Failure in the Adult)」(S. Huntら, www.acc.org = the ACC/AHA practice guidelines)に従って、心不全の領域における疾患連続体は、上述したように、今日では4つのステージにグルーピングされる。ステージA及びBにおいて、心不全を発症する危険性のある個体が見出されるが、ステージC及びDは、心不全の徴候及び症状を示す患者を表す。上述した参照に付与されるように、AからDの種々のステージを定めるための詳細は、参照としてここに含まれる。
心不全の診断方法
HFを患っている患者の評価において、単一の最も有用な診断検査は、心筋、心臓弁、又は心膜の以上が存在するかどうか、チャンバーは含まれることを測定するために、ドップラー血流検査と合わせた、包括的2次元心エコー図である。取り組まなければならない3つの根本的問題は:1)LVEFの保存又は低減、2)LVの構造の正常性又は異常性、及び3)臨床所見の原因となり得る、他の構造体の異常性、弁、心膜、又は右心室の異常性の存在である。この情報は、EFの数値予測、心室の寸法及び/又は容量の測定、壁厚の測定、チャンバーの形状及び局部的壁運動の評価を用いて定量化されるべきである。右心室のサイズ及び収縮期機能は評価すべきである。また心房のサイズも半定量的に測定されるべきであり、左心房の大きさ及び/又は容量も測定されるべきである。
心エコー図検査時に得られた非侵襲性血流力学的データは、維持又は低減したEFを患っている患者にとって、重要な付加的な相互関連である。僧帽弁流入パターン、肺静脈流入パターン、及び僧帽弁輪速度の組合せ定量により、LV充満と左房圧の特徴についてのデータが提供される。下大動脈の大きさ及び呼吸中におけるその反応性の測定に加えて、三尖弁の逆流勾配の評価により、収縮期肺動脈圧と中心静脈圧が推定される。
一回拍出量は、LV流出路における寸法測定及びパルスドプラ法を組合せて決定することができる。しかしながら、異常性は、HFのない任意のこれらのパラメーターに存在するおそれがある。これらのいずれもHFとは特異的に相関していないが;全体的な正常充満パターンは、臨床的HFと相反している。
臨床的観点から、疾患は、代償性及び初期非代償性相においては、臨床的に無症候性である(ステージAにおいては完全な無症候性で、構造的心疾患を伴うが、ステージBにおいてはHFの徴候及び症状はない:ACC/AHA診療指針を参照)。疾患の外的徴候(例えば息切れ)は、非代償性相(すなわち、ACC/AHAガイドラインによればステージC及びD)になるまでは出現しない。現在の診断は、ステージC及びDの患者の外的症状を基本としている。
典型的に、心不全を患っている患者は、心不全に係る特異的なメカニズムと相互作用する薬剤を用いた標準的処置を受ける。確実に、それらの特異的なメカニズムを反映し、医者が適切な患者のための適切な薬剤(及び投与量)(例えば、ACE阻害薬、AT II、β- ブロッカー)を選択するのを補助するための診断検査はない。
マーカーを用いたHFの前診断
その段階で心不全を発症する危険性のある患者が、臨床的なHFの症状がまだない場合、心不全の危険性がある患者の事前評価は、生化学的マーカーによってのみ可能であると思われる。現在、疾患の確実なプレ-症候性評価に有効な生化学的マーカーは確立されていない。今日では、HFであることが証明される診断時までに、疾患は既にかなり進行している。
近年、ナトリウム利尿ペプチドファミリー、特に心房ナトリウム利尿ペプチドファミリー及び脳ナトリウム利尿ペプチドファミリーが、HFの評価において、かなりの値であることが証明されている。
HF予後及びニーズ
後期診断のため、少なくとも部分的に、HFを患っている患者の50%が、診断の2年以内に死亡している。5年生存率は30%未満である。心不全の早期診断を補助する新規の生化学的マーカーについて、かなりの必要性がある。
心不全の危険性がある個体、すなわち心不全に対して臨床的に無症候性である個体の事前評価における改善が保証されている。
近年、B型ナトリウム利尿ペプチドマーカーが、HFを患っている患者の疾患進行をモニターし、心臓血管系の合併症、例えば心臓発作の危険性を評価するための、優れた道具であることが確立されている。
しかしながら、多くの他の診断領域にとって、単一マーカーは十分なものではない。
低値のNT-proBNPは、HF又はLVDを除外する非常に高い陰性的中率を有しているが、上述した及び他の研究(参照:Triepels, R.Hら, Clin. Chem. 49, Suppl. A (2003) A37-A38)における心不全に対する陽性的中率は、50-60%の範囲にあることが見出されている。よって、それ自身が、例えば高い、又はNT-proBNPと組合せて、さらにNT-proBNPと比較して、単独では、HFに対して改善された陽性的中率を有する場合、心不全の危険性のある個体を評価するのに有用なマーカーは、高い臨床的/実用的重要性がある。
また、心不全を患っている患者の評価において補助となるマーカーは、この臨床的に非常に重要で要求の厳しい診断分野において、さらなる技術的進歩を達成するために、重要である。
現在、マーカーであるミメカンが心不全の評価を補助可能であることが見出され、確立されている。一実施態様においては、個体が心不全を発症する危険性があるかどうかの評価を補助することができる。さらなる態様においては、疾患進行の評価における補助が可能である。他の実施態様においては、心不全を予防又は処置するための適切な処置レジメの評価及び選択を補助可能である。
ここでは、個体から得られた試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカーの濃度を測定し、コントロール試料において確立されているこのマーカー又はこれらのマーカーの濃度に対して、ミメカンの濃度、及び場合によっては一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を比較することにより、心不全を評価する工程を含む、個体における心不全を評価する方法を開示する。
また本発明は、心不全の評価における、マーカー分子としてのタンパク質ミメカンの使用に関する。
さらに、心不全の評価における、ミメカンと心不全の一又は複数の他のマーカーとを含有するマーカー組合せ物の使用を開示する。
またさらに、試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカーの濃度を測定し、準拠集団において確立されているこのマーカー又はこれらのマーカーの濃度に対して、ミメカンの濃度、及び場合によっては一又は複数の他のマーカーの濃度を比較することにより、心不全を評価する工程を含む、インビトロで心不全を評価する方法を実施するためのキットを開示し、該キットは、ミメカン、場合によっては心不全の一又は複数の他のマーカーを特徴とする的に測定するのに必要な試薬を含む。
本発明のさらなる態様及び利点は、以下の記載から明らかになるであろう。しかしながら、以下の記載及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すが、本発明の趣意及び範疇のおける種々の変化及び修正は、この詳細な記載から当業者には明らかであるため、例証のためのみに付与されることを理解すべきである。
第1の実施態様において、本発明は、a)個体から得られた試料において、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、b)場合によっては、該試料において、心不全の一又は複数の他のマーカーの濃度を測定し、c)コントロール試料において確立されているこのマーカー又はこれらのマーカーの濃度と、工程(a)で測定された濃度、及び場合によっては工程(b)で測定された濃度を比較することにより、心不全を評価する工程を含む、個体における心不全を評価する方法に関する。
ここで使用される場合、それぞれ以下の用語は、このセクションにおいてそれに関連する意味を有している。
冠詞「a」及び「an」は、1又は1以上(すなわち、少なくとも1)の冠詞の文法的目的語を称するためにここで使用される。例えば、「抗体」は、1つの抗体又は1以上の抗体を意味する。
「一又は複数」なる表現は、1〜50、好ましくは1〜20、また好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、又は15を示す。
ここで使用される「マーカー」又は「生化学的マーカー」なる用語は、患者の試験用試料を分析するための標的として使用される分子を称する。一実施態様において、このような分子標的の実施例は、タンパク質又はポリペプチドである。本発明でマーカーとして使用されるタンパク質又はポリペプチドは、このようなタンパク質の自然に生じたフラグメント、特に免疫学的に検出可能なフラグメントを含むと考えられる。免疫学的に検出可能なフラグメントは、該マーカーポリペプチドの少なくとも6、7、8、10、12、15又は20の近接アミノ酸を好ましくは含有する。当業者であれば、細胞から放出される、又は細胞外マトリックスに存在するタンパク質は、例えば炎症中にダメージを受けるおそれがあり、このようなフラグメントに分解又は切断可能であると認識しているであろう。ある種のマーカーは不活性な形態に合成され、後に、タンパク質分解により活性化させることができる。当業者が理解しているように、タンパク質又はそのフラグメントは、複合体の一部として存在可能である。またこのような複合体は、本発明の趣意においてはマーカーとして使用可能である。さらに又は代替的に、マーカーポリペプチドは、翻訳後修飾されている可能性がある。翻訳後修飾の例はグリコシル化、アシル化、及び/又はホスホリル化である。
「心不全を評価する」なる用語は、本発明の方法が、例えば、個体が心不全を発症する危険性があるかどうかを医師が評価することを補助する、又はHFにおける診断関連性の一又は複数の他の分野で、医師によるHF患者の評価を補助することで、医師を支援する方法を示すために使用される。HFを患っている個体の評価において、診断関連性の好ましい分野は、心不全のステージ分類、急性及び慢性心不全の種々の診断、疾患進行の危険性の判断、適切な薬剤を選択するためのガイダンス、治療に対する反応のモニタリング、及びHF患者の経過観察である。
本発明の趣意における「心不全のマーカー」は、マーカーであるミメカンと組合せられて、研究下、診断問題に対し、HFの評価に関連情報を付加するマーカーである。情報は、HFの評価について、付与された特異性での感度が、又は付与された感度での特異性が、マーカーであるミメカンを既に含むマーカーの組合せに、該マーカーを含ませることによって改善可能であるならば、関連している又は付加的な価値があるとみなされる。好ましくは、感度又は特異性のそれぞれにおける改善性は、p=0.05、0.02、0.01又はそれ以下の有意性レベルで、統計的に有意である。好ましくは、心不全の一又は複数の他のマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される。
ここで使用される場合、「試料」なる用語は、インビトロでの評価目的のために得られた生体試料を称する。本発明の方法において、試料又は患者試料は、好ましくは任意の体液を含みうる。好ましい試験用試料には、血液、血清、血漿、尿、唾液、及び滑液が含まれる。好ましい試料は、全血、血清、血漿、又は滑液であり、血漿又は血清が、最も簡便なタイプの試料である。当業者が理解しているように、任意のこのような評価はインビトロでなされる。患者試料はその後廃棄される。患者試料は、本発明のインビトロ診断法に対してのみ使用され、患者試料の物質は、患者の体に戻されない。典型的には、試料は液状試料、例えば全血、血清又は血漿である。
「コントロール試料において確立されている濃度に対して…濃度を比較」なる表現は、単に、当業者が何を明らかにするのかをさらに例証するために使用される。コントロール試料は内部又は外部コントロール試料であってよい。一実施態様においては内部コントロール試料が使用され、すなわち、マーカー(類)のレベル(類)に任意の変化があるかどうかを測定するために、試験用試料と、同じ被験者から得られた一又は複数の他の試料(類)において、該マーカーのレベル(類)が評価される。他の実施態様においては、外部コントロール試料が使用される。外部コントロール試料について、個体から得られた試料中のマーカーの存在性又は量は、付与された条件、罹患している事が公知の、又はその危険性にあることが公知の個体;又は付与された条件がないことが公知の個体、すなわち「正常な個体」における、その存在性又は量に対して比較される。例えば、患者試料におけるマーカーのレベルは、HFにおける、疾患の特異的経過に関して公知のレベルに対して比較することができる。通常、試料のマーカーのレベルは、診断に直接的又は間接的に相関しており、マーカーのレベルは、例えば個体がHFの危険性にあるかどうかを決定するために使用される。また、試料のマーカーのレベルは、例えばHF患者の治療に対する反応性、急性及び慢性心不全の種々の診断、HFを処置するために適した薬剤を選択するためのガイダンス、疾患進行の危険性の判断、又はHF患者の経過観察に関して公知のマーカーのレベルに対して比較することができる。意図される診断用途に応じて、適切なコントロール試料が選択され、ここで、マーカーに対するコントロール又は参照値が確立される。一実施態様におけるこのようなコントロール試料が、年齢を適合させた、交絡疾患のない準拠集団から得られることは、当業者は理解しているであろう。また、当業者に明らかなように、コントロール試料において確立された絶対マーカー値は使用されるアッセイに依存するであろう。適切な準拠集団からの100人の十分に特徴付けられた個体からの好ましい試料が、コントロール(参照)値を確立するために使用される。また好ましくは、準拠集団は、20、30、50、200、500又は1000の個体からなるように選択されてよい。健康的な個体は、コントロール値を確立するための好ましい準拠集団を表す。
ミメカン
ミメカンは、ロイシンリッチ反復を有する小プロテオグリカンであり、298のアミノ酸(参照:配列番号:1)からなる前駆体である。ミメカンの他の名称はOGN、オステオグリシン、DKFZp586P2421、OG、OIF、SLRR3Aである。
ミメカンは、構造的に関連したコアタンパク質を有する分泌小ロイシンリッチプロテオグリカン(SLRP)ファミリーのメンバーである。全てのSLRPにより共有される共通の特徴は、コアタンパク質のC末端半分に、タンデムロイシンリッチ反復(LRR)単位が存在することである。しかしながら、N末端領域において、各クラスのSLRPは、LRR N-ドメインと称される保存スページングを有するシステインクラスターを有する独特のドメインを有する。クラスIII SLRPは6つのカルボキシルLRRを含有し、ミメカン、エピフィカン(epiphycan)及びオプチシン(opticin)を含む。
デコリン、バイグリカン、ルメカン(lumecan)及びフィブロモジュリン等、クラスI及びIIのメンバーについての、マウスノックアウトからの機能的研究により、SLRP-欠損マウスは異常なコラーゲン原線維形成に起因する多様な欠損を示すことが表され、これらのSLRPはコラーゲンマトリックスの確立及び維持における重要な役割を担っていることが示唆された(Ameye, L. and Young, M.F., Glycobiology 12 (2002) 107R-116R)。また、クラスIIIミメカンの欠損は、コラーゲン原線維の異常に原因があった (Tasheva, E.Sら, Mol. Vis. 8 (2002) 407-415)。
ミメカンは、細胞外マトリックスの多機能性成分である。それは多様な他のタンパク質(IGF2、IKBKG、IFNB1、INSR、CHUK、IKBKB、NFKBIA、IL15、Cd3、レチノイン酸、APP、TNF、リポ多糖、c-abl癌遺伝子1、レセプターチロシンキナーゼ、v-crk肉腫ウイルスCT10癌遺伝子、v-src肉腫ウイルス性癌遺伝子)に結合する。これらの種々の結合活性は、多くの組織において、種々の機能を行使する、ミメカンの能力の故である可能性がある。
ミメカンは、角膜、骨、皮膚及びさらなる組織において見出されている。その発現パターンは種々の病態で変化する。ミメカンの生化学的役割におけ増大する量のデータにかかわらず、その機能はまだ明らかではない。
ミメカンは、発生、組織修復、及び転移に必須のプロセスであるコラーゲン原線維形成の調節に関与していることが示されている(Tashevaら, Mol. Vis. 8 (2002) 407-415)。それは、TGF-ベータ-1又はTGF-ベータ-2と共に、骨形成における役割を担っている。
ミメカンは、マウスのレンズで構造的に発現することが見出された(Tashevaら, Molecular Vision 10 (2004) 403-416)。
ミメカンは、対応するタンパク質が、血管平滑筋細胞及び骨芽細胞における創傷治癒における役割を担うことができることを示す、骨芽細胞の低レーザー照射後、及び血管損傷後にアップレギュレーションすることが示された(Shanahan, C.Mら, Arter. Thromb. Vasc. Biol. 17 (1997) 2437-2447; Hamajima, Sら, Lasers Med. Sci. 18 (2003) 78-82)。
さらに、ミメカンは、活性化した内皮においてアップレギュレーションされ、アテローム性硬化症において役割を担っていることが見出された(Fernandez, Bら, Mol. Cell. Biochem. 246 (2003) 3-11)。
ラット及びヒト心臓組織におけるトランスクリプトーム分析により、左心室質量、及び拡張型心筋症におけり細胞外リモデリングと、ミメカンとの高い相関が明らかになった(Petretto, Eら, Nature Genetics 40 (2008) 546-552; Barth, A.Sら, J. American College of Cardiology 48 (2006) 1610-1617)。
WO 2006/099336には、虚血性及び非虚血性心疾患の包括的な遺伝子発現プロフィールが提供されている。多数の差次的に発現したm-レセプターの一つが、ミメカンについてのm-RNAである。
WO 2009/061382には、心臓再生治療における心臓幹細胞又は筋細胞からの分泌タンパク質の使用、及び幹細胞治療のために心臓病患者をスクリーニングする方法が請求されている。ミメカンは、心臓再生治療に有用であることが記載されている、いくつかのタンパク質のうちの一つである。
増殖性/悪性疾患の分野において、ミメカンは、ほとんどの癌細胞系において、低レベルで、又はほとんど発現していないことが見出された。プロテオミクス的発見及びウエスタンブロット検証により、正常な粘膜と適合した結腸直腸癌(CRC)における、ミメカンのダウンレギュレーションが明らかとなった(Wang, Yら, Exp. Biol. Med. 232 (2007) 1152-1159)。
さらなる出願は、ミメカンの治療用途を取り扱っている。WO 2006/043031は、癌を予防及び/又は処置するための、クラスIII SLRP活性を促進させる治療剤、例えばミメカンの使用に関する。WO 2004/105784には、血管形成、又は単球及び/又はマクロファージの過度の活性及び/又は遊走により特徴付けられる状態を阻害するための、クラスIII SLRP活性を促進させる治療剤、例えばミメカンの使用が請求されている。
従来技術において、体液中のタンパク質ミメカンの存在性又はレベルは、公知でもないし、心不全の評価において診断的有用性を有していることも示唆されていないと思われる。
本発明の発明者は、個体から得られた体液試料を測定して、ミメカンについて増加した値は心不全を示すことを、新たに見出し、確立させることできた。
コントロール群又はコントロール集団において測定されたミメカンの値は、例えば、カットオフ値又は参照範囲を確立するために使用される。上述した値、例えばカットオフ値又はその高値での参照範囲外は、上昇すると考えられる。
一実施態様においては、固定されたカットオフ値が確立されている。このようなカットオフ値は、関心ある診断的問題に適合するように選択される。
一実施態様において、コントロール群又はコントロール集団において測定されたミメカンの値は、例えば、カットオフ値又は参照範囲を確立するために使用される。好ましい実施態様において、測定された値が参照範囲の90%-パーセンタイル以上であると、ミメカンの濃度は上昇すると考えられる。さらに好ましい実施態様において、測定された値が参照範囲の95%-パーセンタイル、96%-パーセンタイル、97%-パーセンタイル、又は97.5%-パーセンタイル以上であると、ミメカンの濃度は上昇すると考えられる。
一実施態様において、コントロール試料は内部コントロール試料であろう。この実施態様において、一連の試料は研究下、個体から得られ、マーカーレベルが比較される。これは、例えば治療効果の評価に有用である。
本発明の方法は、個体から得られた液状試料、及びこのような試料におけるミメカンの測定に基づく。ここで使用される場合、「個体」は、単一の人又は非ヒト生物体を称する。よって、ここに記載の方法及び組成物は、ヒト及び獣医に関する疾患に適用可能である。好ましくは、個体はヒトである。
好ましくは、マーカーであるミメカンは、特定の結合剤の使用により、特に液状試料から測定される。
特定の結合剤は、例えばミメカンのレセプター、ミメカンに結合するレクチン、又はミメカンに対する抗体である。特定の結合剤は、その対応する標的分子に対して、少なくとも10l/molの親和性を有する。特定の結合剤は、その標的分子に対して、好ましくは10l/mol、より好ましくは10l/molの親和性を有する。当業者であれば、本用語が、試料中に存在する他の生体分子が、ミメカンに対して特異的な結合剤に特異的に結合しないことが示されるように使用されると理解しているであろう。好ましくは、標的分子以外の生体分子に結合するレベルは、それぞれ標的分子に対する親和性の10%未満、より好ましくは5%未満の結合親和性となる。好ましい特定の結合剤は、親和性並びに特異性の双方について、最小基準以上を満たすであろう。
特異的な結合剤はミメカンと反応する抗体である。抗体なる用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、このような抗体の抗原結合フラグメント、単鎖抗体、並びに抗体の結合ドメインを含む遺伝子コンストラクトを称する。
特異的な結合剤の上述した基準を保持する任意の抗体フラグメントを使用することができる。抗体は、例えばTijssen (Tijssen, P., Practice and theory of enzyme immunoassays, Elsevier Science Publishers B.V., Amsterdam(1990), 全編, 特に43-78頁)に記載されたような、従来技術の手順により生じる。さらに、当業者は、抗体の特異的単離に使用可能な免疫吸着剤に基づいた方法をよく知っている。これらの意味により、ポリクローナル抗体の品質、よって免疫アッセイにおけるそれらの性能を高めることができる(Tijssen, P., 上掲, 108-115頁)。
本発明に開示したような成果用に、ヤギにて生じせしめたポリクローナル抗体を使用することができる。しかしながら、明確に異なる種、例えばラット、ウサギ又はモルモットからのポリクローナル抗体、並びにモノクローナル抗体も使用することができる。モノクローナル抗体は、一定の特性を有する必要のある任意の量に生成可能であり、それらは臨床ルーチン用のアッセイの開発における理想的な道具である。
本発明の方法における、ミメカンに対するモノクローナル抗体の生成及び使用は、それぞれ、他の好ましい実施態様を表す。
天然源からミメカンを精製することは容易ではない。ミメカンの組換え生産は、多量のミメカンを得るために選択される方法である。好ましい実施態様において、ミメカンは真核生物発現システムを使用する、組換え発現により生成される。真核生物発現システムの例は、バキュロウイルス発現、酵母における発現、哺乳動物発現システムにおける発現である。好ましい一実施態様において、ミメカンの発現は、哺乳動物発現システムにおいて実施されるであろう。哺乳動物発現システムの例は、CHO細胞、HEK細胞、骨髄腫細胞等である。さらに好ましい実施態様において、組換え的に生産されたミメカンは、ミメカンに対するポリ-又はモノクローナル抗体の生成において、抗原として使用される。また、ミメカン上での免疫吸着により、ポリクローナル抗体を精製することが好ましく、免疫吸着剤は、上述にて記載したように、組換え的に生産されたミメカンの使用により作製される。
当業者が現在理解しているように、ミメカンは、HFの評価に有用なマーカーとして同定されており、本発明の成果に匹敵する結果に到達させるための代替方法を使用することができる。例えば、抗体を生成させるための代替的方法を使用することができる。このような方法は、免疫化用のミメカンの臨床的に関連したエピトープを表す、合成又は組換えペプチドの使用などを含む。また、DNAワクチン接種として公知のDNA免疫化も使用することができる。
測定用に、個体から得られた液状試料を、結合剤ミメカン-複合体の形成に適した条件下で、ミメカンに対して特異的な結合剤と共にインキュベートする。任意の発明的努力をすることなく、当業者であれば、このような適切なインキュベート条件を容易に同定することができるため、このような条件は特定する必要はない。結合剤ミメカン-複合体の量を測定し、HFの評価に使用する。当業者が理解しているように、関連のあるテキストに詳細に記載されている特異的結合剤ミメカン-複合体の量を測定するための多くの方法が存在する(参照:例えば、Tijssen P., 上掲, 又はDiamandis, E.P. 及び Christopoulos, T.K. (eds.), Immunoassay, Academic Press, Boston (1996))。
好ましくは、ミメカンはサンドイッチ型アッセイフォーマットにおいて検出される。このようなアッセイにおいて、第1の特異的結合剤は、一方ではミメカンを補足するために使用され、他方では、直接的又は間接的に検出可能なように標識された、第2の特異的結合剤が使用される。好ましくは、ミメカンに対する抗体は定性的(ミメカンが存在するか不在であるか)又は定量的(ミメカンの量の測定)イムノアッセイに使用される。
実施例の項において詳細に記載されているように、高度マイクロアレイ及びプロテオミクス法により、実験動物の心臓組織に見出されるmRNA又はポリペプチドを同定するために、2つのマウスモデルが使用されている。しかしながら、これらの方法は、少なくとも部分的に矛盾するデータを生み出し、もちろん、mRNA又はそれぞれのポリペプチドについての組織データは、循環におけるこれらのポリペプチドの存在又は不在を代表するものではない。一つのモデルで差次的に発現したことが見出されたマーカーは、第2のモデルで差次的に発現するおそれはないか、又はさらなるモデルでは矛盾するデータも示されている。差次的に発現したmRNAは、循環において、それぞれのポリペプチドの上昇したレベルに相関することは見出されていない。たとえ、タンパク質が組織において差次的に発現したとしても、多くのケースにおいて、このタンパク質は、体液から測定されたならば、循環に放出されないため、例えば細胞又は組織からの放出時にフラグメント化又は修飾されるため、循環で安定していないため、循環で測定可能でないため、付与された疾患等に対して特異的でないため、任意の診断的関連性はない。
驚くべきことに、本発明の発明者は、体液試料において、タンパク質ミメカンを検出することができる。さらに驚くべきことに、個体から得られたこのような液状試料におけるミメカンの存在性は、HFに相関させることができる。HFの評価において、マーカーであるミメカンの使用には、何の組織も何のバイオプシー試料も必要ない。タンパク質ミメカンのレベルの測定は、HFの分野において非常に有利であると考えられる。
好ましい一実施例において、本発明は、(a)個体から得られた試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、b)場合によっては、試料における、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される心不全の一又は複数の他のマーカーの濃度を測定し、c)コントロール試料において確立されているこのマーカー又はこれらのマーカーの濃度と、工程(a)で測定された濃度、及び場合によっては工程(b)で測定された濃度を比較することにより、心不全を評価し、ここでミメカンの濃度増加が心不全を示す工程を含む、個体における心不全を評価する方法に関する。
好ましい実施態様において、本発明の方法は、液状試料物質として、血清で実施される。さらに好ましい実施態様において、本発明の方法は、液状試料物質として、血漿で実施される。またさらに好ましい実施態様において、本発明の方法は、液状試料物質として、全血で実施される。
さらに好ましい実施態様において、本発明は、個体から得られた液状試料からの心不全の評価における、マーカー分子としてのタンパク質ミメカンの使用に関する。
診断の理想的シナリオは、単一の現象又はプロセスがそれぞれの疾患、例えば感染症を引き起こす状況にあることである。全ての他のケースにおいて、正確な診断は非常に難しく、特に疾患の原因が、HFのケースのように、十分に理解されていない場合はしかりである。当業者が理解しているように、HFの分野において、ある種の診断的問題に対して100%特異性、同時に100%感度である生化学的マーカーは存在しない。むしろ、生化学マーカーを使用し、ある種の尤度又は予測値を用いて、根底にある診断的問題が評価される。当業者であれば、評価される診断的問題に対して、相対的危険度又は尤度を算出するために常套的に使用される数学的/統計的方法に、十分に通じているであろう。常套的な診療において、種々の臨床的症状及び生物学的マーカーは、一般的に、基礎疾患の診断、処置又は管理に、共に、医師により考慮される。
本発明のさらに好ましい実施態様において、HFを評価するための方法は、ミメカンと一又は複数の他のマーカーの濃度を測定し、HFの評価において、ミメカンと一又は複数の他のマーカーの濃度を使用することにより実施されることが好ましい。
HFの評価において、マーカーであるミメカンは、一又は複数の次の側面:心不全のステージを同定するための意図を持った、心不全に対する個体的危険性の評価又は心不全を患っている患者の評価、急性と慢性心不全との識別、疾患進行の危険性の判断、適切な治療の選択におけるガイダンスの提供、治療に対する患者の反応のモニタリング、及び疾患の経過、すなわちHF患者の経過観察のモニタリング、において医者を補助するであろう。
スクリーニング(個体が心不全を発症する危険性にあるかどうかを評価)
好ましい実施態様において、本発明は、試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、場合によっては、試料における、心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、このマーカー又はこれらのマーカーの濃度、それ又はそれらの参照値に対して、ミメカンの濃度、及び場合によっては一又は複数の他のマーカー(類)で測定された濃度を比較することにより、心不全を発症する個体の危険性を評価する工程を含む、個体が心不全を発症する危険性にあるかどうかを評価するインビトロ法に関する。
本発明の趣意におけるスクリーニングは、心不全を発症する危険性に関して、個体の公平な評価に関する。このようなスクリーニングは、理論上は任意の試料で実施されてよいが、診療においてのこのようなスクリーニング選択肢は、通常、心不全の発症の危険性のある個体になされるであろう。上述したように、このような個体は、臨床的には無症候性である、すなわちHFの徴候又は症状を有していない可能性がある。好ましい一実施例において、HFのスクリーニングは、心不全を発症する危険性のある個体、例えばACC/AHA診療指針により定められたステージA又はBの範疇にある個体になされるであろう。
上述したように、心不全は、発症国において、最も広まっており、コストがかかり、生命を脅かす疾患の一つである。高度に広がっており、無症候性相が長いため、HFを発症する危険性のある個体の同定は、疾患の経過に介入する、可能であるならば妨害することは、最高に重要なことになるであろう。非常に初期の危険性評価なしに、HFの無症候性状態から症候性相への疾患進行の予防は不可能である。
心不全の危険性は、当業者によくしられており理解されている、数学的/統計的方法により評価される。好ましくは、心不全に対する個体の危険性は、相対語であり、いわゆる相対的危険度(=RR)により表される。心不全に対するこのようなRRを算出するために、ミメカンに対する個体値が、準拠集団、好ましくは心不全を発症していない健康な個体におけるミメカンの確立された値に対して比較される。また好ましくは、心不全に対するこのようなRRの評価は、研究期間、好ましくは1年、さらに好ましくは2年以内に心不全を発症する個体の群、及び同じ研究期間で心不全を発症しない個体の群に基づく。
他の好ましい実施態様において、本発明は、心不全のスクリーニングにおけるマーカーであるミメカンの使用に関する。当業者であれば公知であるように、「マーカーとして使用」なる用語は、マーカー分子の濃度が適切な手段より定量され、このようなマーカーで測定された値が、すなわち、疾患又は臨床的状態の存在又は不在を示すことを意味するために使用される。例えば、定量のための適切な手段は、特異的結合剤、例えば抗体である。
好ましくは、HFのスクリーニングは、未来に、心不全になる危険性が疑われる個体において実施されるであろう。この意味において、未来に心不全になる危険性にある患者は、、高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、肥満症、及びメタボリックシンドロームであると診断されている患者である。好ましくは、未来に心不全になる危険性は、高血圧、動脈硬化性疾患、糖尿病、肥満症、及び/又はメタボリックシンドロームに罹患している個体で評価される。
また、ACC/AHA 診療指針に従い、ステージBにある個体、すなわち心不全の症状は示さないが、心臓に構造的変化を示す個体に対して、未来に心不全になる危険性の評価において、マーカーであるミメカンを使用することが好ましい。
さらに好ましい実施態様において、本発明は、HFのスクリーニング目的での、HFマーカーの組合せの一つのマーカーとしての、ミメカンの使用に関する。
スクリーニングセッティングにおいて、ミメカンのレベル上昇は、個体の心不全を発症する危険性の増大についての、正の指標である。
患者のステージ分類
好ましい実施態様において、本発明は、a)試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、b)場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、このマーカー又はこれらのマーカーの濃度、それ又はそれらの参照値に対して、工程(a)で測定された濃度、及び場合によっては工程(b)で測定された濃度を比較する工程を含む、心不全の患者のステージ分類において補助となるインビトロ法に関する。好ましくは、マーカーであるミメカンのレベルは、臨床的に「正常」な個体の群(すなわち、ACA/ACC分類に従いステージAの個体)、構造的心疾患を有する無症候性の患者(ACA/ACC分類に従いステージB)、及び心不全を患っている患者(すなわち、ACA/ACC分類に従いステージC又はステージDの患者)の群への、研究した個体の分類の補助に使用される。
急性心臓事象と慢性心臓病との識別
好ましい実施態様において、本発明は、試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、このマーカー又はこれらのマーカーの濃度、それ又はそれらの参照値に対して、工程(a)で測定された濃度、及び場合によっては工程(b)で測定された濃度を比較することにより、急性心臓事象と慢性心臓病との間の識別診断において補助となるインビトロ法に関する。
当業者は「急性心臓事象」と「慢性心臓病」の意味に精通している。
好ましくは、「急性心臓事象」は、心臓の急性の病状、疾患又は機能不全、特に急性心不全、例えば心筋梗塞 (MI)又は不整脈を称する。MIの程度に応じて、LVD及びCHFが続く。
好ましくは「慢性心臓病」は、例えば心臓の虚血、冠動脈疾患、又は以前の、特に小さな心筋梗塞(類)(進行性LVDが続く可能性がある)による、心機能の弱化である。また、炎症性疾患、心臓弁欠損(例えば、僧帽弁欠損)、拡張型心筋症、肥大型心筋症、心拍欠損(不整脈)、及び慢性の閉塞性肺疾患による弱化であってもよい。よって、慢性心臓病には、急性冠症候群、例えばMIを患っているが、現在、急性心臓事象には罹患していない患者を含めてもよいことは明らかである。
急性心臓事象と慢性心臓病はかなり異なる治療レジメが必要であるため、急性心臓事象と慢性心臓病とを識別することは重要である。例えば、急性心筋梗塞を患っている患者にとっては、再かん流のための初期処置が最も重要であり得る。慢性心不全を患っている患者で、再かん流のための処置を実施しても、よくても、この患者に対して全く又はほとんど害にならない。
本発明のさらに好ましい実施態様において、マーカーであるミメカンは、急性及び慢性心不全の識別診断に使用される。
疾患進行の危険性の評価
好ましい実施態様において、本発明は、試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、このマーカー又はこれらのマーカーの濃度、それ又はそれらの参照値に対して、ミメカンの濃度、及び場合によっては一又は複数の他のマーカー(類)で測定された濃度を比較することにより、疾患進行に対する個体の危険性を確立する工程を含む、疾患進行に対するHF患者の危険性の評価のためのインビトロ法に関する。
現在、HFであると診断されている患者が多かれ少なかれ安定した状態であるかどうか、疾患が進行するか、さらに結果として患者の健康状態が悪化しそうであるかどうかを、合理的尤度で評価又は予測することは非常に困難である。心不全の重症度及び進行度は、通常、画像処理技術、例えば心エコー検査を使用することによる、悪化を同定することで、又は臨床的症状を評価することにより、臨床的に確立される。一実施例において、心不全の悪化は、左室駆出分画(LVEF)をモニタリングすることにより確立される。5%までのLVEFにおける悪化は疾患進行と考えられる。
さらに好ましい実施態様において、本発明は、HFに罹患している患者の、疾患進行の危険性の評価における、マーカーであるミメカンの使用に関する。HFに罹患している患者の疾患進行の評価において、ミメカンのレベル上昇は、疾患進行の危険性の増大についての指標である。
適切なHF治療の選択におけるガイダンス
好ましい実施態様において、本発明は、試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、このマーカー又はこれらのマーカーの濃度、それ又はそれらの参照値に対して、ミメカンの濃度、及び場合によっては一又は複数の他のマーカー(類)で測定された濃度を比較することにより、適切な治療を選択する工程を含む、適切なHF-治療の選択において補助となるインビトロ法に関する。
マーカーであるミメカンは、心不全の分野にて、種々の処置レジメから最も適切な処置レジメを選択するために、医師の補助において役立つであろうことが予期される。よって、さらに好ましい実施態様は、HFに罹患している患者の処置レジメの選択における、マーカーであるミメカンの使用に関する。
治療に対する患者の反応のモニター
好ましい実施態様において、本発明は、a)試料における、マーカーであるミメカンの濃度を測定し、b)場合によっては、試料における心不全の一又は複数の他のマーカー(類)の濃度を測定し、このマーカー又はこれらのマーカーの濃度、それ又はそれらの参照値に対して、工程(a)で測定された濃度、及び場合によっては工程(b)で測定された濃度を比較することにより、HF-治療に対する患者の反応をモニタリングする工程を含む、HF-治療に対する患者の反応をモニタリングするインビトロ法に関する。
また、治療に対する患者の反応をモニタリングする上述した方法は、ミメカンに対する、場合によっては一又は複数の他のマーカーに対する、プレ-及びポスト-治療用マーカーのレベルを確立させ、プレ-及びポスト-治療用マーカーのレベルを比較することにより実施することができる。
心不全の診断は臨床的に確立されている。本発明によれば、HFは、患者がACC/AHA診療指針により定められるような、ステージC又はDの基準を満たしているかどうか、臨床的に確立していると考えられる。これらのガイドラインに従い、ステージCは、構造的心疾患、及び心不全の前又は現在の症状を有している患者を称する。ステージDの患者は、特定の治療介入を必要とする難治性心不全を患っている患者である。
さらに上述して示したように、NT-proBNPについて測定した値は、心不全の重症度と高度に相関している。しかしながら、BNPとNT-proBNPの双方は、治療に対する患者の反応のモニタリングにおいては、理想的ではないと思われる。例えば、Beck-da-Silva, Lら, Congest. Heart Fail. 11 (2005) 248-253, quiz 254-255。
マーカーであるミメカンは、治療に対する患者の反応をモニターするのに適していると思われる。よって本発明は、治療に対する患者の反応のモニタリングにおけるミメカンの使用に関する。診断分野において、マーカーであるミメカンは、治療前のベースライン値を確立するために、また治療後の一時点又はいくつかの時点でミメカンを測定するためにも使用することができる。HF患者の経過観察において、ミメカンのレベル低減は、HFの効果的な治療についての正の指標である。
マーカー組合せ
生化学マーカーは、個体的又は本発明の好ましい実施態様で測定することができ、それらは、チップ又はビーズべースアレイ技術を使用し、同時に測定することができる。ついで、バイオマーカーの濃度は、例えば各マーカーに対する個別カットオフを使用して、独立して解釈されるか、又は解釈のために組合せられる、すなわち、それらはマーカー組合せを形成する。
当業者が理解しているように、ある種の尤度又は危険性に対してマーカーのレベルを相関させる工程は実施可能であり、種々の方法で達成される。好ましくは、マーカーであるミメカン及び一又は複数の他のマーカー(類)について測定された値は数学的に組合せられ、組合せられた値は、根本的な診断的問題に相関している。マーカー値は、数学的方法の任意の適した状態により、ミメカンの測定と組合せることができる。
好ましくは、マーカーの組合せにおいて適用される数学アルゴリズムはロジスティック関数である。このような数学アルゴリズム又はこのようなロジスティック関数を適用した結果は単一値である。根本的な診断的問題に応じて、このような値は、例えば心不全に対する個体の危険性、又はHFを患っている患者の評価において有用な他の意図した診断用途に対して、容易に相関させることができる。好ましい方法において、このようなロジスティック関数は、a)例えば正常な群の個体、心不全の危険性にある個体、急性及び慢性心不全を患っている患者の分類、b)単変量解析による、これらの群の間でかなり異なるマーカーの同定、c)これらの種々の群の評価に有用なマーカーの独立した差別値を評価するためのロジスティック回帰分析、及びd)独立した差別値を組合せるためのロジスティック関数の構築、により得られる。この種の分析において、マーカーはもはや独立していないが、マーカーの組合せを表す。
好ましい実施態様において、ミメカンの値と少なくとも一のさらなるマーカーの値を組合せるために使用されたロジスティック関数は、a)それぞれ、正常な群の個体、及び心不全の危険性にある個体の分類、b)ミメカンの値と少なくとも一のさらなるマーカーの値の確立、c)ロジスティック回帰分析、及びd)ミメカンのマーカー値と少なくとも一のさらなるマーカーの値を組合せるためのロジスティック関数の構築、により得られる。
疾患に対してマーカーの組合せを相関させるためのロジスティック関数は、統計的方法を適用することにより開発され、得られるアルゴリズムを使用することが好ましい。適切な統計法は、例えば判別分析(DA)(すなわち、線形-、二次-、規則的-DA)、カーネル法(すなわちSVM)、ノンパラメトリック法(すなわちk-最近傍分類)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法(Random Forest Methods)、ブースティング/バギング法)、一般化線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)、主成分ベース分析(すなわちSIMCA)、一般加法モデル、ファジー理論ベース法、神経ネットワーク及び遺伝的アルゴリズムベース法等の方法である。当業者であれば、本発明のマーカーの組合せを評価し、適切な数学的アルゴリズムを得るために適切な統計的方法の選択において、何の問題もないであろう。好ましくは、心不全の評価に使用される数学的アルゴリズムを得るために使用される統計的方法は、DA(すなわち、線形-、二次-、規則的判別分析)、カーネル法(すなわちSVM)、ノンパラメトリック法(すなわちk-最近傍分類)、PLS(部分最小二乗法)、ツリーベース法(すなわち、論理的回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)、又は一般化線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計的方法に関する詳細は、次の参照:Ruczinski, Iら, J. of Computational and Graphical Statistics 12 (2003) 475-511; Friedman, J.H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175; Hastie, Tら, The Elements of Statistical Learning, Springer Verlag (2001); Breiman, Lら, Classification and regression trees, Wadsworth International Group, California (1984); Breiman, L., Machine Learning 45 (2001) 5-32; Pepe, M.S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28, Oxford University Press (2003); 及び Duda, R.Oら, Pattern Classification, John Wiley & Sons, Inc., 2nd ed. (2001)に見出される。
生化学マーカーの根本的組合せに対し、またステージAとステージB、例えば正常と、心不全の危険性にある個体、治療に反応する及び治療に失敗するHF患者、急性心不全を患っている患者と慢性心不全を患っているHF患者、疾患進行を示すHF患者と疾患進行を示さないHF患者を識別するために、最適化された多変量カットオフを使用することが、本発明の好ましい実施態様である。
受信者動作曲線下の面積(=AUC)は、診断手順の性能及び精度の指標である。診断法の精度は、その受信者動作特性(ROC)により最も良好に記載される(特に、Zweig, M. H., and Campbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561-577を参照)。ROCグラフは、観察されたデータの全範囲にわたる識別閾値を連続的に変えることに起因する、全ての感度/特異性対のプロットである。
研究室試験の臨床成績は、その診断精度、又は被験者を臨床的に関連するサブグループに正確に分類する能力に依存する。診断精度では、調査される被験者の2つの異なる状態を正確に区別する試験能力が測定される。このような状態は、例えば健康及び疾患、又は疾患進行対疾患無進行である。
各ケースにおいて、ROCプロットは、感度対1−識別閾値の全範囲に対する特異性をプロットすることにより、2つの分配間の重複を示す。y軸においては感度、又は真陽性フラクション[(真陽性検査結果の数)/(真陽性の数+偽陰性検査結果の数)と定められる]である。またこれは、疾患又は病状の存在において、陽性と称される。それは、罹患したサブグループからのみ算出される。x軸においては偽陽性フラクション、又は1−特異性[(偽陽性結果の数)/(真陰性の数+偽陽性結果の数)と定められる]である。それは特異性の指標であり、全体的に罹患していないサブグループから算出される。2つの異なるサブグループからの試験結果を使用することにより、真-及び偽陽性フラクションは全く別々に算出されるため、ROCプロットは、試料における疾患の罹患率とは独立している。ROCプロットにおける各ポイントは、特定の識別閾値に相当する感度/1−特異性対を表す。完全な区別を有する試験(結果の2つの分配に重複なし)は、上部左角を通過するROCプロットを有し、真陽性フラクションは1.0、又は100%(完全な感度)であり、偽陽性フラクションは0(完全に特異的)である。区別のない(2つのグループについての結果、同一の分配)試験についての理論的プロットは、下部左角から上部右角への45°対角線である。ほとんどのプロットはこれら2つの極限に入る(ROCプロットが45°対角線の下に完全に入るならば、「より大きい」から「より小さい」までの「陽性」、又はその逆の基準を逆転させることにより、容易に改善される)。質的に、プロットが上部左角に近ければ近い程、試験の全体的精度は向上する。
研究室試験の診断精度を定量する便利な目標は、単数でその性能を表すことである。最も一般的な広範囲の測定は、ROCプロット下の面積(AUC)である。慣例により、この面積は常に≧0.5である(そうでない場合は、そうなるように決定則を逆にすることができる)。値は、1.0(2つのグループの試験値が完全に分離)と0.5(2つのグループの試験値に分配的差異はないと思われる)の間にわたっている。面積は、対角線に最も近いポイント又は90%での感度等、特定の割合でのみならず、全体的プロットにおいても依存しない。このことは、ROCプロットが完全である(面積=1.0)であることにどのくらい近いのかの、量的、記述的表現である。
全体的なアッセイ感度は、ここに開示の方法を実施するのに必要な特異性に依存する。ある好ましい状況においては、特異性75%で十分かもしれないし、統計的方法及び得られたアルゴリズムは、この特異的必要条件に基づくことができる。好ましい一実施態様において、心不全の危険性にある個体を評価するために使用される方法は、特異性80%、85%、又は好ましくは90%又は95%に基づく。
上述にて論議したように、マーカーであるミメカンは、心不全を発症する危険性のある個体の評価、並びに心不全を患っている患者のさらなるインビトロ診断的評価の補助をする。従って、好ましい実施態様は、心不全の評価における、マーカー分子としてのミメカンの使用にある。
HF患者の評価、又はHFの危険性にある個体の評価における、ミメカン及びHFの一又は複数の他のマーカー(類)を含有するマーカー組合せの使用は、本発明のさらに好ましい実施態様を表す。このようなマーカー組合せにおいて、一又は複数の他のマーカー(類)は、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される。
ミメカンの測定が組合せられる、一又は複数の好ましく選択される他のHFマーカー(類)は、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される。その測定が、好ましくはミメカンの測定と組合せられる、又はそれぞれミメカンを含有するHFマーカー組合せの一部を形成する、これらの好ましい他のマーカーを、以下にてさらに詳細に論議する。
ナトリウム利尿ペプチドマーカー
本発明の趣意において、ナトリウム利尿ペプチドマーカーは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)ファミリーから選択されるマーカー、又は脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)ファミリーから選択されるマーカーである。
心房性ナトリウム利尿ペプチドファミリー又は脳ナトリウム利尿ペプチドファミリーのいずれかにおけるポリペプチドマーカーは、対応する活性ホルモンのプレプロ形態から誘導される。
本発明の好ましいナトリウム利尿ペプチドマーカーは、NT-proANP、ANP、NT-proBNP、BNP、及び免疫学的に検出可能なその生理的フラグメントである。当業者であれば容易に理解するように、免疫学的に検出可能なフラグメントは、このような生理的フラグメントの特異的検出を可能にする、少なくとも一のエピトープを有していなくてはならない。生理的フラグメントは、個々の循環に自然に存在する場合のフラグメントである。
双方のナトリウム利尿ペプチドファミリーのマーカーは、対応するプロホルモン、すなわち、それぞれproANP及びproBNPのフラグメントを表す。同様の意見が双方のファミリーに適用されるため、BNPマーカーファミリーのみを、いくらか詳細に記載する。BNPファミリーのプロホルモン、すなわちproBNPは、生物学的に活性なホルモンBNPを表す32のC末端アミノ酸(77-108)、及びN末端proBNP(又はNT-proBNP)を称されるN末端アミノ酸1-76に切断される。BNP、N末端proBNP(1-76)、並びにさらなる分解生成物(Hunt, P.Jら, Biochem. Biophys. Res. Com. 214 (1995) 1175-1183)は、血中を循環する。また完全な前駆体物質(proBNP 1-108)が血漿中に生じているかどうか、完全に解決してはいない。しかしながら、血漿中へのproBNP(1-108)の放出が低いと検出可能であるが、N末端で非常に素早く部分的に分解されるため、いくつかのアミノ酸はなくなることが記載されている(Hunt, P.Jら, Peptides 18 (1997) 1475-1481)。今日、例えばNT-proBNPについて、アミノ酸10ないし50の間に存在する分子の中心部分は、生理学的にむしろ安定した部分を表す。NT-proBNPのこの中心部分を含むNT-proBNP分子は、体液から確実に測定可能である。NT-proBNP分子のこの中心部分の免疫学的検出をベースにした方法に関連した詳細な記載はWO 00/45176に付与されており、リーダーは詳細に言及されている。天然NT-proBNPなる用語が提案されている、NT-proBNPのある種のサブフラクションのみを測定することがさらに有利である。NT-proBNPのこのサブフラクションに関する詳細な開示が、WO 2004/099253に見出される。当業者は、そこですべての必要な指示を見出すであろう。好ましくは、測定されるNT-proBNPは、Roche Diagnostics, GermanyからのElecsys(登録商標)NT-proBNPアッセイで測定された場合に、NT-proBNPであるか、又はそれに対応する。
事前分析はNT-proBNPを用いて堅強であり、中央検査室への試料の容易な輸送を可能にする(Mueller, Tら, Clin. Chem. Lab. Med. 42 (2004) 942-944)。血液試料は数日間室温で保管可能であるか、又は回収損失することなく郵送又は輸送することができる。コントロール的に、室温又は摂氏4℃で48時間BNPを保管することで、少なくとも20%の濃度損失に至る(Mueller, Tら, 上掲; Wu, A.Hら, Clin. Chem. 50 (2004) 867-873)。
脳誘導性ナトリウム利尿ペプチドファミリー(特に、BNP及びNT-proBNP)は、HFについての、ある種の集団のスクリーニングにおいて完全に研究されている。これらのマーカー、特にNT-proBNPを用いた発見はかなり奨励されている。無症候性の「患者」においてさえ、NT-proBNPの値の上昇は、明確に「心臓の問題」を示す(Gremmler, Bら, Exp. Clin. Cardiol. 8 (2003) 91-94)。これらの著者は、NT-proBNPの上昇が「心-腎窮迫」の存在を示すことを表しており、さらなる調査の紹介を促すべきである。数人の他のグループの研究者と一致して、Gremmlerらは、異常なNT-proBNP濃度が、集団におけるHFの除去、及び息切れしている被験者における左室機能不全(=LVD)の除外の双方に対する正確な診断検査であることを見出した。HF又はLVDにおける、負のBNP又はNT-proBNP値の役割は、他のグループの研究者により裏付けられている。例えば、McDonagh, T.Aら, Eur. J. Heart Fail. 6 (2004) 269-273; 及びGustafsson, Fら, J. Card. Fail. 11, Suppl. 5 (2005) S15-20を参照。
BNPは、主として心室で生成され(たとえ、排他的でないにもかかわらず)、壁張力の増加時に放出される。よって、放出されたBNPの増加は、主として、心室の機能障害、又は心房に由来するが心室に影響を及ぼす機能障害を、例えば流入又は血液量の過負荷の悪化を介して反映する。BNPに対して、ANPは生成されて、主として心房から放出される。よって、ANPのレベルは主として心房機能を表す。
ANP及びBNPは、活性ホルモンであり、それらの不活性カウンターパート、NT-proANP及びNT-proBNPよりも短い半減期を有する。BNPは血液中に代謝されるが、NT-proBNPは無傷分子として血液中に循環し、腎臓で排出される。NT-proBNPのインビボ半減期は、20分であるBNPよりも120分長い(Smith, M.Wら, J. Endocrinol. 167 (2000) 239-246)。
よって、関心物の経時変化又は特性に応じて、ナトリウム利尿ペプチドの活性又は不活性形態の測定は、いずれも有利である。
心不全の危険性のある個体の評価において、ミメカンで測定された値は、NT-proANP及び/又はNT-proBNPに対する値と、好ましくは組合せられる。好ましくは、NT-proBNPに対する値は、ミメカンに対する値と組合せられる。同様の意見が、適切な治療の選択、疾患進行の危険性の判定、及び疾患の経過のモニタリングについて適用される。
ミメカンを治療に対する患者の反応の評価に使用するケースにおいて、その測定は、好ましくはANP又はBNPの測定と組合せられる。
ミメカンが、急性と慢性心不全との間の識別に使用されるケースでは、好ましいマーカー組合せ物は、ミメカン、ANP又はproANP、及びBNP又はproBNPを含有する。
心臓トロポニンマーカー
心臓トロポニンなる用語は、心臓トロポニンI及びトロポニンTのアイソフォームに関する。既に上述しているように、マーカーなる用語は、マーカー分子の生理学的変異体、例えば生理学的フラクション又は複合体に関する。心臓トロポニンマーカーについて、それらの生理学的に生じる複合体は、診断関連であり、このようにして明確に含まれることが知られている。
トロポニンTは約37000Daの分子量を有する。心臓組織で見出されるトロポニンTアイソフォーム(cTnT)は、骨格筋TnTから十分に分岐しており、これら双方のTnTアイソフォームを区別する抗体の生成を可能にする。TnTは急性心筋障害のマーカーとみなされる;Katus, H.Aら, J. Mol. Cell. Cardiol. 21 (1989) 1349-1353; Hamm, C.Wら, N. Engl. J. Med. 327 (1992) 146-150; Ohman, E.Mら, N. Engl. J. Med. 335 (1996) 1333-1341; Christenson, R.Hら, Clin. Chem. 44 (1998) 494-501; 及びEP 0 394 819を参照。
トロポニンI(TnI)は、筋組織で見出されるトロポニン複合体の、25kDaの阻害要素である。TnIはCa2+のないアクチンに結合し、アクトミオシンのATPアーゼ活性を阻害する。心臓組織で見出されるTnIアイソフォーム(cTnI)は、骨格筋TnIから40%分岐しており、双方のアイソフォームを免疫学的に区別可能である。cTnIの正常な血漿濃度は<0.1ng/ml(4pM)である。cTnIは、心臓細胞死の後に、血流に放出され;よって、血漿のcTnI濃度は、急性心筋梗塞を患っている患者で上昇する(Benamer, Hら, Am. J. Cardiol. 82 (1998) 845-850)。
心臓トロポニンI及びTの独特のアイソフォームは、それらを骨格筋の他のトロポニンから免疫学的に区別することができる。よって、ダメージを受けた心筋からの、トロポニンI及びTの血液への放出は、心臓組織のダメージに特異的に関連している。また、今日、当業者により、心臓トロポニンが、遊離の形態又は複合体の一部として、循環から検出可能であると理解されている(例えば、US 6,333,397、US 6,376,206及びUS 6,174, 686を参照)。
心不全の危険性にある個体の評価、並びに心不全に罹患している患者の評価において、ミメカンについて測定される値は、心臓トロポニンT及び/又はトロポニンIのアイソフォームについての値と好ましくは組合せられる。マーカーであるミメカンとの組合せに使用される好ましい心臓トロポニンは心臓トロポニンTである。
炎症マーカー
当業者は、炎症マーカーなる用語に精通している。好ましい炎症マーカーは、インターロイキン-6、C-反応性タンパク質、血清アミロイドA、及びS100タンパク質である。
インターロイキン-6(IL-6)は、造血発生に関与するもの、及び自然免疫反応の活性化に関与するものに分割可能な、多くの生物学的活性を有する、21kDaの分泌タンパク質である。IL-6は急性期反応物質であり、接着分子を含む、種々のタンパク質の合成を刺激する。その主要機能は、肝臓タンパク質の急性期生成を媒介することであり、その合成は、サイトカインIL-1及びTNF-αにより誘発される。IL-6は、通常、マクロファージ及びTリンパ球で生成される。IL-6の正常な血清濃度は<5pg/mlである。
C-反応性タンパク質(CRP)は、生体防御に関与し、21kDaのサブユニットを有する、ホモ五量体Ca2+-結合急性期タンパク質である。CRP合成は、IL-6、間接的にはIL-1により誘発されるが、それはIL-1が、肝臓類洞のクッパー細胞により、IL-6の合成を引き起こす可能性があるからである。CRPの正常な血漿濃度は、健康な集団の90%で<3μg/ml(30nM)、健康な個体の99%で<10μg/ml(100nM)である。血漿のCRP濃度は、例えばELISAにより測定可能である。それは、IL-1、IL-6又はTNF-α刺激に応じて、主として肝臓により合成され、T細胞依存性免疫反応の調節に関与している。急性事象時、SAAの濃度は、1ミリリットル当たり1ミリグラムに達する、1000倍まで増加する。それは、嚢胞性線維症、腎臓移植拒絶、外傷又は感染等、多様な疾患をモニターするのに使用される。関節リウマチにおいては、あるケースにて、CRPの代替として使用されているが、SAAは未だ広く許容されてはいない。
S100-タンパク質は、今日、20を超えるメンバーを含む、Ca2+-結合タンパク質の、絶えず増加しているファミリーを形成する。生理学的関連構造のS100-タンパク質はホモダイマーであるが、いくつかは、S100A8及びS100A9等、互いに共同してヘテロダイマーを形成可能である。細胞内機能は、タンパク質のホスホリル化、酵素の活性化、又は細胞骨格の力学から、細胞増殖及び分化への関与までの範囲に及ぶ。いくつかのS100-タンパク質が細胞から放出される際、細胞外機能は、さらに、例えば神経生存、星状細胞増殖、アポトーシスの誘発、及び炎症プロセスの調節と記載されている。S100A8、S100A9、ヘテロダイマーS100A8/A9及びS100A12は、慢性炎症に応答するS100A8と共に、炎症において見出され、一方、S100A9、S100A8/A9及びS100A12は、急性炎症において増加している。S100A8、S100A9、S100A8/A9及びS100A12は、いくつかの癌、腎同種移植片拒絶、大腸炎、及び最も重要なことにはRAを含む、炎症コンポーネントを有する種々の疾患に関連している(Burmeister, G., 及び Gallacchi, G., Inflammopharmacology 3 (1995) 221-230; Foell, Dら, Rheumathology 42 (2003) 1383-1389)。例えば、本発明のマーカー組合せに使用するために、HFの危険性にある個体、又はHFを患っている患者の評価にとって最も好ましいS100マーカーは、S100A8、S100A9、S100A8/A9ヘテロダイマー及びS100A12である。
sE-セレクチン(可溶性内皮の白血球接着分子-1、ELAM-1)は、115kDa、内皮細胞でのみ、及び炎症性サイトカインサイトカイン類(IL-1β、TNF-α)又は内毒素により活性化された後のみ発現する、I型膜貫通糖タンパク質である。細胞表面E-セレクチンは、内皮への白血球の回転付着のメディエイターであり、炎症部位における白血球のextravasionにおける必須工程であり、よって局在化した炎症反応において重要な役割を担っている。可溶性E-セレクチンは健康な個体の血液に見出され、おそらくは、表面発現分子のタンパク質分解から生じる。血清におけるsえ-セレクチンのレベル上昇は、種々の病態で報告されている(Gearing, A.J. 及び Hemingway, I., Ann. N.Y. Acad. Sci. 667 (1992) 324-331)。
好ましい実施態様において、本発明は、個体から得られた液状試料からのHFの評価における、HFの一又は複数のマーカー分子(類)と組合せた、HF用のマーカー分子としてのミメカンの使用に関する。
上述したように、本発明の好ましい方法において、ミメカンについて測定された値は、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される、少なくとも一のさらなるマーカーの値と、少なくとも組合せられる。
一実施態様において、本発明は、心不全の評価における、ミメカンと、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される一又は複数の他のマーカーを含有する、マーカーの組合せの使用に関する。
好ましい実施態様において、本発明は、心不全の評価における、ミメカンとNT-proBNPのマーカーの組合せの使用に関する。
好ましい実施態様において、本発明は、心不全の評価における、ミメカンとトロポニンTのマーカーの組合せの使用に関する。
好ましい実施態様において、本発明は、心不全の評価における、ミメカンとCRPのマーカーの組合せの使用に関する。
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、ミメカン、トロポニンT、NT-proBNP及びCRPを含有するマーカーの組合せに関する。
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、試料におけるミメカンの濃度と、HFの一又は複数の他のマーカーの濃度を測定し、HFの評価に測定された濃度を使用することを含む、生化学的マーカーによる,インビトロでHFを評価するための方法で使用されるマーカーパネルに関する。
本発明のマーカーパネルは、好ましくはタンパク質アレイ技術を使用して測定される。アレイはアドレス可能な個々のマーカーの収集体である。このようなマーカーは空間的にアドレス可能であり、このようなアレイは、マイクロタイタープレートに含まれるか、又は各マーカーが明確なX及びY座標に存在する平面に印刷される。また、マーカーは、タグ、ビーズ、ナノ粒子、又は物理的特性に基づき、アドレス可能とすることができる。マイクロアレイは当業者に公知の方法に従い、調製することができる(例えば、US 5,807,522; Robinson, W.Hら, Nat. Med. 8 (2002) 295-301; Robinson, W.Hら, Arthritis Rheum. 46 (2002) 885-893)。ここで使用される場合、アレイは、複数のアドレス可能マーカーを有する任意の免疫学的アッセイを称する。一実施態様において、アドレス可能マーカーは抗原である。他の実施態様において、アドレス可能エレメントは自己抗体である。マイクロアレイはアレイの小型化形態である。ここで使用される場合、抗原は、抗体に特異的に結合可能な任意の分子を称する。自己抗体なる用語は当該技術で十分に定められている。
好ましい実施態様において、本発明は、マーカーであるミメカンと、場合によってはHFの一又は複数の他のマーカーを含有するタンパク質アレイに関する。
好ましい実施態様において、本発明は、マーカーであるミメカンとNT-proBNPを含有するタンパク質アレイに関する。
好ましい実施態様において、本発明は、マーカーであるミメカンとトロポニンTを含有するタンパク質アレイに関する。
好ましい実施態様において、本発明は、マーカーであるミメカンとCRPを含有するタンパク質アレイに関する。
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、ミメカン、トロポニンT、NT-proBNP及びCRPを含有するタンパク質アレイに関する。
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、ミメカンを特異的に測定するのに必要な試薬を含むキットに関する。ミメカンを特異的に測定するのに必要な試薬、HFマーカーの組合せに共に使用される、心不全の一又は複数の他のマーカーを測定するのに必要な試薬を含むキットが好ましい。
好ましい一実施態様において、本発明は、ミメカン場合によってはナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される心不全の一又は複数の他のマーカーを特異的に測定するのに必要な試薬を含むキットに関する。
次の実施例、配列リスト及び図は、本発明の理解を補助するために提供されるものであり、その真の範囲は添付する請求の範囲に説明する。本発明の趣意を逸脱することなく、説明された手順を修飾可能であると理解される。
図1は、野生型及びR9Cマウスの表現型分析を表す。(A)野生型マウス(n=79)及びR9Cマウス(n=44)についての生存曲線を、24週後に作製する。 図1は、野生型及びR9Cマウスの表現型分析を表す。(B)心臓短縮を心エコー検査により評価した(=短縮率)。R9Cトランスジェニック動物において、かなりの機能障害が8週齢で開始される。 野生型及びABマウスにおける心エコー及び血行動態パラメーター。(A)手術の2、4、及び8週間後の、mmHgでの最大圧力の変化。(B)手術の2、4、及び8週間後の、%左室駆出分画(LVEF)における変化。黒丸は偽手術マウスからのデータを示し、白丸は大動脈結紮(AB)マウスからのデータを示す。 臨床的ルーチンからのHF試料、及び拡張コントロールパネルにおいて検出されたミメカン値。心不全を患っている241人の患者から得られ、標識された(HF)試料、健康なコントロール体からの試料(146の試料)で、標識された正常なヒト血清=NHSにおいて測定された場合に、ミメカンについて算出された濃度を付与する。四角-及び-菱形ブロットは、下位及び上位四分位点(四角)、並びに最も高い及び低い値(菱形)を示す。
実施例1
心不全のマウスモデル
1.1 R9Cマウスモデル
遺伝性ヒト拡張型心筋症は、ヒトホスホランバン(PNL)遺伝子(PLN-R9C)におPける、Arg9からCysへの転換に起因することが報告されている(Schmitt, J.Pら, Science 299 (2003) 1410-1413)。典型的には、罹患した患者における拡張型心筋症の発症は青年期に発症し、急性発症及び死亡率に至る、心機能における進行性の悪化が続く。この変異のトランスジェニックマウスモデルには、罹患した患者と同様の心臓表現型を示し、拡張型心筋症、心収縮力の低減、及び時期尚早の死となることが示された(上掲のSchmittら, 2003)。
トランスジェニックマウスに対する生存曲線を確立した。PLN-R9Cマウスは、〜20週のみで平均生存期間を有し、24週過ぎでは15%の低下が持続する(図1A)。PLN-R9Cラインにおいて最初に記録された死亡は12週齢で観察されたが、野生型コントロールマウスでは1匹のみが24週超で死亡した。最初に記録された死亡の前の「初期」段階の疾患の代表的な時点として8週が選択され、一方16週は、8週と24週の間の中間点として選択される(古典的DCM)。単離された心臓の病態の詳細な分析により、PLN-R9Cマウスにおける8週齢での心室及び心房の拡張事象の証拠が示されている。単離された心筋(野生型及びPLN-R9Cマウスから得られ、ヘマトキシリン及びエオシン染色が続く)により、8週で始まり、年齢と共に拡張の進行が続く、トランスジェニック動物での、左心室の拡張又は心室壁の薄化の証拠が示されている。
心臓の機能的測定は、8、16及び24週齢のオスのマウスにおける、心エコー検査により実施される(表1に要約)。前壁及び後壁の厚みの心エコー検査測定により、R9Cマウスは8週でかなり拡張し、マウスの寿命においてずっと悪化し続けることが示されている。心臓短縮により評価される場合の収縮性もわずかであるが、8週でかなり低減し、一方さらに明確な低減が、16週までに明確になる。メスのマウスの分析により、オスと同様の発見が示された(データを示さず)。
Figure 0005592487
表1における値は平均±SEMである。表1に使用される記号:HR=心拍数;AW、PW=前壁及び後壁の厚み(左心室);LVEDD、LVESD=それぞれ左心室の拡張終期及び収縮期径;FS=短縮率=(LVEDD−LVESD)/LVEDDx100%;ETC=HRに対して修正された駆出時間;VCFC=HFに対して修正された円周短縮速度HR=FS/ETC;PAVC=HFに対して修飾されたピーク大動脈速度;E-波=初期充満経僧帽弁拡張波;LVESP、LVEDP=それぞれ左心室の収縮終期及び拡張期圧;+dP/dtmax=左心室圧の最大ポジティブ一次導関数;−dP/dtmax=左心室圧の最大ネガティブ一次導関数;AVA=大動脈速度加速(PAVc/加速時間);*P<0.05 WTと比較
1.2 大動脈結紮(AB)マウスモデル
このマウスモデルにおいて、大動脈結紮(AB)により引き起こされる圧負荷により、心肥大及び心不全が誘発される。
外科的処置により、圧負荷は、C57BLマウスにおいて実施される。上行大動脈の縮窄(大動脈結紮として公知)により、大動脈の縮窄に対する一次応答として、特に左心室において、心筋成長及び心肥大が誘発される。このマウスモデルの後期ステージにおいて、心臓は肥大し、最終的に拡張する。このモデルは十分に特徴付けられており、実験に基づき、10-15%未満の低い死亡率で、高度に再生可能であることが確立されている。縮窄後、この動物モデルでは、血行動態ストレスに応じて、左心室肥大及び心不全の発症進行を評価できる。
簡単には、C57BLマウスを、ケタミン(90mg/kg)及びロムプン(Rompun)(10mg/kg)を混合したもので、麻酔をかけ、大動脈を25ゲージの針を使用して結紮する。偽手術マウスに同様の外科手技を施すが、ライゲーションは針に対してきつくしない。
実験時点
肥大反応を検査するために、結紮された動物及び偽手術コントロール体を、治療介入の1、2、4、及び8週間後に屠殺する。心機能及び肥大の発症は心エコー分析により評価され、組織診断を検査することにより、死後に確認される。表2には、心エコー検査による、種々の時点で評価された、心機能上の要約を示す。表2に付与された心エコーパラメーターにおける詳細は当業者には公知であり、例えばAsahi, Mら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101 (2004) 9199-9204, 及びOudit, G.Yら, Nat. Med. 9 (2003) 1187-1194に見出すことができる。
Figure 0005592487
機能的パラメーターに加えて、ヘマトキシリン/エオシン(HE)染色による組織診断を、2、4及び8週に、ABマウス及びコントロールマウスからの心臓組織において実施する。組織診断により、ABマウスについての予期される壊死及びリモデリングプロセスが確認されたが、偽手術マウスにおける心臓組織には、あまり有意な変化を示さない。手術の2週間後、ライゲーションされたマウスの心室には、かなりの左心室肥大が示され、4週後には、さらなる進行がみられ、手術の8週後には、末期拡張型心筋症と密接な共通点がある。
実施例2
マイクロアレイ分析
粗組織調製物を、細胞小器官をさらに単離することなく、マイクロアレイ分析に使用する。マイクロアレイデータ分析法は文献に記載されている(例えば、US 5,807,522; Robinson, W.Hら, Nat. Med. 8 (2002) 295-301; Robinson, W.Hら, Arthritis Rheum. 46 (2002) 885-893)。
試料の調製及び質量分光法
心臓を単離し、心房を取り除き、心室を注意深くカミソリで掘り、氷冷されたPBS(リン酸緩衝食塩水)で広範囲にすすぎ、過度の血液を除去する。10mlの溶解バッファー(250mMのスクロース、50mMのTris-HCl、pH7.6、1mMのMgCl2、1mMのDDT(ジチオスレイトール)、及び1mMのPMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル)において、ルースフィッティングハンドヘルドガラスホモジナイザーを使用し、組織を30秒ホモジナイズする。全ての後続の工程を4℃で実施する。可溶化液を、800xgで15分、ベンチトップ型遠心分離器において、遠心分離にかける;サイトゾル、ミトコンドリア、及びミクロソームフラクションの供給源として、上清を供給する。核を含有するペレットを、8mlの溶解バッファーで希釈し、4mlの0.9Mスクロースバッファー(0.9Mのスクロース、50mMのTris-HCl、pH7.6、1mMのMgCl2、1mMのDDT、及び1mMのPMSF)上に層状にし、1000xgで20分、4℃で遠心分離した。得られたペレットを8mlの2Mスクロースバッファー(2Mのスクロース、50mMのTris-HCl、pH7.4、5mMのMgCl2、1mMのDTT、及び1mMのPMSF)に再懸濁させ、4mlの2Mスクロースバッファー上に層状にし、150000xgで1時間、超遠心分離によりペレット状にした(Beckman SW40.1 rotor)。ペレットとして核を回収する。7500xgで20分、4℃で再遠心分離することにより、上清からミトコンドリアを単離し;得られたペレットを溶解バッファーで2回洗浄する。100000xgで1時間、Beckman SW41 rotorで、ポスト-ミトコンドリア細胞質を超遠心分離することにより、ミクロソームをペレット状にする。上清をサイトゾルフラクションとして供給する。
細胞小器官抽出
可溶性ミトコンドリアタンパク質を、氷上で30分、低張性溶解バッファー(10mMのHEPES、pH7.9、1mMのDTT、1mMのPMSF)において、ミトコンドリアをインキュベートすることにより抽出する。懸濁液を簡単に超音波処理し、13000xgで30分、遠心分離によりデブリを除去する。上清を「ミト1」フラクションとして供給する。得られた不溶性ペレットを膜洗浄抽出バッファー(20mMのTris-HCl、pH7.8、0.4MのNaCl、15%のグリセロール、1mMのDTT、1mMのPMSF、1.5%のトリトン-X-100)に再懸濁させ、穏やかに30分振揺させ、13000xgで30分、遠心分離をし;上清を「ミト2」フラクションとして供給する。
膜結合性タンパク質を、膜洗浄抽出バッファーにミクロソームを再懸濁させることにより抽出する。懸濁液をゆっくりと振揺しつつ、1時間インキュベートし、不溶性デブリを13000xgで30分、遠心分離により除去する。上清を「ミクロ」フラクションとして供給する。
細胞小器官抽出物及びMudPIT分析
各フラクションからの100μgの全タンパク質(ブラッドフォードアッセイにより測定した場合)のアリコートを、約20℃で、5容量の氷冷アセトンを用いて、一晩沈殿させ、続いて、13000xgで15分、遠心分離をする。タンパク質ペレットを37℃で1時間、少量の8Mの尿素、50mMのTris-HCl、pH8.5、1mMのDTTに可溶化させ、続いて暗所、37℃で1時間、、5mMのヨードアセタミドを用いてカルボキシアミドメチル化する。ついで、試料を、同量の100mMの重炭酸アンモニウム、pH8.5と、4Mの尿素に希釈し、37℃で一晩、1:150倍の比率のエンドプロテイナーゼLys-C(Roche Diagnostics, Laval, Quebec, Canada)で消化させる。次の日、試料を、同量の50mMの重炭酸アンモニウム、pH8.5と、2Mの尿素に希釈し、最終濃度が1mMになるまでCaCl2を補足し、回転させつつ30℃で、Poroszymeトリプシンビーズ(Applied Biosystems, Streetsville, Ontario, Canada)と共に、一晩インキュベートする。得られたペプチド混合物を、製造者の使用説明書に従い、SPEC-Plus PT C18カートリッジ(Ansys Diagnostics, Lake Forest, CA)固相抽出し、さらに使用するまで−80℃で保管する。全自動の20時間長の12工程マルチサイクルMudPIT手順を記載したようにセットアップする(Kislinger, Tら, Mol. Cell Proteom. 2 (2003) 96-106)。簡単には、HPLC4次ポンプをLCQ DECA XP イオントラップ質量分析計(Thermo Finnigan, San Jose, CA)と接続させる。内径100-μmの石英ガラスキャピラリーマイクロカラム(Polymicro Technologies, Phoenix, AZ)を、P-2000レーザープラー(Sutter Instruments, Novato, CA)を使用し、ファインチップまで引き、5μmのZorbax Eclipse XDB-C18樹脂(Agilent Technologies, Mississauga, Ontario, Canada)、8cm、ついで5μmのPartisphere強カチオン交換樹脂(Whatman, Clifton, NJ)、6cmを包装する。圧力容器を使用し、個々の試料をカラムに別々に手作業で充填する。クロマトグラフィー溶媒条件は、正確に、Kislinger, Tら, Mol. Cell Proteom. 2 (2003) 96-106に記載されたようにする。
タンパク質の同定及び検証
SEQUESTデータベース検索アルゴリズムを、Swiss-Prot/TrEMBL及びIPIデータベースから得られた、マウス及びヒトタンパク質配列が追加され、局所的にメンテナンスされた最小冗長FASTAフォーマットデータベースにおけるペプチド配列に対して、ペプチドタンデム質量スペクトルを適合させるために使用する。統計的に評価するために、コントロール体に対する実験的な偽-発見比率(empirical False-Discovery Rate)、ここでは偽陽性同定を最小にするために、全てのスペクトルを、正常(順方向)及び反転(逆方向)アミノ酸方向の双方において、タンパク質配列に対して検索する。(Kislinger, Tら, Mol. Cell Proteom. 2 (2003) 96-106)。ついで、STATQUESTフィルタリングアルゴリズムを、全ての推定検索結果に適用し、各候補同定に対する統計的信頼性(信頼スコア)の測定値を得る(カットオフp-値≦.15、正確な適合の85%以上の尤度に相当)。高信頼適合を、Perl-ベーススクリプトを使用し、組織内SQL-型データベースにおいて解析する。データベースを、試料名、実験数、MudPIT工程、細胞小器官源、アミノ酸配列、分子量、等電点、電荷、及び信頼レベルに関する情報と共に、付与されたタンパク質に対して適合する複数のペプチドについてのデーターベース検索結果及びスペクトル情報(走査ヘッド)に適応するように設計する。95%以上の予測信頼p値を有し、少なくとも2つのスペクトルが集合的に検出されるするそれらのタンパク質のみを、さらなる分析用に保持する。
実施例3
モデルシステムにおいて得られるデータの統計的評価
3.1 R9Cマウスモデルついての差次的発現のp-値を生じさせるために使用される統計的方法
実施例2に記載の方法を用いて得られた生データは、スペクトル計測がなされた6190のタンパク質からなり、全てのスペクトルの合計はタンパク質に関連しており、それぞれ137の種々の実験を行う。生データ、タンパク質の6190のサブセットを包括的正規化にかけ、ここで、まず、それぞれ実施されたデータを同数のグループに分け、それらのスペクトル計測に基づき、分析用に100をセットする。ついで、LOESS(Cleveland, W.S.及び Devlin, S.J., Journal of the American Statistical Association 83 (1988) 596-610)を、同じスペクトル計測を有する遺伝子セットにわたって、スペクトル計測に対する差異を調整する各グループにおいて実施する。
生データに基づき、我々は2つの直線状モデルを構成し、第1のモデルは、因子としてコントロール体/疾患、時間(8週、16週、末期)及び位置(細胞、ミクロ、ミトI、ミトII)を使用し:
実施計測=β0+β1時+β2時+β3位置+β4コントロール体 (1)
を使用して記載する。
第2のモデルは、因子として時間(8週、16週、末期)及び位置(細胞、ミクロ、ミトI、ミトII)のみを使用し:
実施計測=β0+β1時+β2時+β3位置 (2)
を使用して記載され、ここでβ0は切片項であり、β1、β2、β3及びβ4は、可変時間、時間の二乗、位置、及びコントロール体/疾患ついての勾配評価である。
2つのモデルを、帰無仮説が2つのモデルの間に差異はないとする、分散分析を使用して比較する。低いp-値は、2つのモデルが同じであると言われる十分な証拠がないことを示す。さならる情報は、状態(すなわち、コントロール体/疾患)がモデルの有意なコンポーネントであると思われることを示している。コントロール体及び疾患モデルの間に、相対的なタンパク質存在度についての有意な変化を有するタンパク質を抽出するために、6190のタンパク質のリストを、それらのコンピュータで計算されたp-値に基づきランク付けする。これにより、p値<0.05を有する593タンパク質のセットが作製される。
上述したモデルからの多重仮説検定について説明するために、ついで、p-値を偽発見比率(FDR)修正、特にベンジャミン-ホッホバーグ FDR修正を使用して修正する(Benjamini, Y., 及び Hochberg, Y., Journal of the Royal Statistical Society B. 57 (1995) 289-300)。これにより、R9Cマウスモデルについて、修正p値<0.05を有する40タンパク質のセットが作製される。
3.2 大動脈結紮マウスモデルについての差次的発現のp-値を生じさせるために使用される統計的方法
大動脈結紮マウスモデルにおいて実施された68の実験から、スペクトル計測を用い、3152のタンパク質を同定する。同様のデータ分析を、R9Cマウスモデルについて上述したように、大動脈結紮マウスモデルについてのデータベースに適用する。
実施例4
4.1. ヒトの血清及び血漿試料におけるミメカンを測定するためのELISA
ヒトの血清及び血漿においてミメカンを検出するために、サンドイッチELISAが開発されている。抗原の補足及び検出のために、R&D Systemsからの抗-ミメカンポリクローナル抗体のアリコート(カタログ番号:AF 2660)を、それぞれビオチン及びジゴキシゲニンとコンジュゲートさせる。
ストレプトアビジンでコーティングされた96-ウェルマイクロタイタープレートを、1xPBS溶液に0.2μg/mlで、60分、100μlのビオチニル化抗-ミメカンポリクローナル抗体と共にインキュベートする。インキュベート後、プレートを1xPBS+0.02%のトゥイーン-20、PBSでブロックされた+2%のBSA(ウシ血清アルブミン)を用いて45分で3回洗浄し、ついで1xPBS+0.02%のトゥイーン-20を用いて再度3回洗浄する。ついで、ウェルを1時間、標準抗原として組換えミメカンの一連の希釈液、又は患者又はコントロール個体からの希釈された血清又は血漿試料(1xPBS+1%BSAに1:5)のいずれか100μlと共にインキュベートする。ミメカンの結合後、プレートを、1xPBS+0.02%のトゥイーン-20で3回洗浄する。結合したミメカンを特異的に検出するために、1xPBS+1%のBSAに0.2μg/mlで、45分、100μlのジゴキシゲニル化抗-ミメカンポリクローナル抗体と共に、ウェルをインキュベートする。その後、プレートを3回洗浄し、未結合の抗体を除去する。次の工程において、1xPBS+1%のBSAにおいて30分、75mU/mlの抗-ジゴキシゲニン-PODコンジュゲート (Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Catalog No. 1633716)100μlと共に、ウェルをインキュベートする。次に、上述したものと同様の洗浄バッファーを用いて6回、プレートを洗浄する。抗原-抗体複合体を検出するために、ウェルを100μlのABTS溶液(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany, Catalog No. 11685767)と共にインキュベートし、ELISAリーダーを用い、405と492nmで、15分後に、光学密度(OD)を測定する。
4.2. HFを患い、臨床ルーチンから得られた患者の血清、及び健康そうなドナーの血清を用いたミメカンELISA
常套的な臨床状態下におけるミメカンアッセイの有用性をさらに評価するために、HF患者からの血清(n=241)及び健康そうなコントロール患者からの146の血清のパネルを検査する。上述したように、血清を1xPBS+1%のBSAで1:5に希釈する。これらの拡張パネルについての結果を、表3に示す:
Figure 0005592487
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Figure 0005592487
表3に要約したデータは、図3に示す四角-ブロットを算出するために使用される。図3は、健康そうなコントロール個体から得られた血清において測定されたミメカン値と比較した場合の、心不全を患っている患者から得られた血清で測定された平均ミメカン値に、かなりの差異があることを示している。ミメカンの値の上昇は心不全の指標である。
実施例5
心不全の評価におけるマーカーであるミメカンを含有するマーカーの組合せ
実施例5.1.. NT-proBNPとミメカンのマーカーの組合せ
NT-proBNPとミメカンのマーカーの組合せを、それぞれステージB及びステージCとDにおいて、患者の差別化において評価する。診断の正確度を、十分に特徴付けられたグループの個体、すなわちHFの分類についてのACA/ACC基準に従い、ステージBの50人の個体、及びHFの分類についてのACA/ACC基準に従い、HFを患っている及びステージCの50人の個体から得られた液状試料を分析することにより評価する。商業的に入手可能なアッセイにより測定されたNT-proBNP(Roche Diagnostics, NT-proBNP-assay(Elecsys(登録商標) Systems immunoassay analyzer用のカタログ番号. 03 121 640 160)及び上述したように測定されたミメカンを、これらの個体それぞれから得られた血清試料において定量する。Zweig, M.H., 及び Campbell, G., 上掲に従い、ROC-分析を実施する。確立されたマーカーNT-proBNPとミメカンとの組合せについて、ステージBの個体から、ステージCの患者を差別化するための識別力を、正規化された識別分析により算出する(Friedman, J. H., Regularized Discriminant Analysis, Journal of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175)。
実施例5.2 トロポニンTとミメカンのマーカーの組合せ
トロポニンTとミメカンのマーカーの組合せを、慢性心疾患に罹患している患者から、急性心臓事象に罹患している患者を差別化するために評価する。診断の正確度を、十分に特徴付けられているグループの個体、すなわち、急性心臓事象を患っていると診断された50人の個体、及び慢性心疾患を患っている診断されている50人の個体から得られた液状試料を分析することにより評価する。商業的に入手可能なアッセイにより測定されたトロポニンT(Roche Diagnostics, トロポニンT-assay(Elecsys(登録商標) Systems immunoassay analyzer用のカタログ番号. 201 76 44)、及び上述したように測定されたミメカンを、これらの個体それぞれから得られた血清試料において定量する。Zweig, M.H.,及び Campbell, G., 上掲に従い、ROC-分析を実施する。確立されたマーカートロポニンTとミメカンとの組合せについて、ステージBの個体から、ステージCの患者を差別化するための識別力を、正規化された識別分析により算出する(Friedman, J.H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175)。
実施例5.3 CRPとミメカンのマーカーの組合せ
C-反応性タンパク質とミメカンのマーカーの組合せを、心筋症を患っていると診断された患者、任意の交絡心疾患に罹患していないコントロール体を差別化するために評価する。診断の正確度を、心筋症を患っている十分に特徴付けられたグループの50人の個体、及び健康なコントロール個体の50人から得られた液状試料を分析することにより評価する。商業的に入手可能なアッセイにより測定されたCRP(Roche Diagnostics, CRP-assay(Tina-quant C-反応性タンパク質(ラテックス)高感度アッセイ- Rocheカタログ番号. 11972855 216)、及び上述したように測定されたミメカンを、これらの個体それぞれから得られた血清試料において定量する。Zweig, M.H.,及び Campbell, G., 上掲に従い、ROC-分析を実施する。確立されたマーカーCRPとミメカンとの組合せについて、ステージBの個体から、ステージCの患者を差別化するための識別力を、正規化された識別分析により算出する(Friedman, J.H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175)。
上述したように、本発明は、明瞭さ及び理解目的のために、さらなる詳細を記載しているが、形式及び詳細における種々の変更を、添付する請求の範囲において、本発明の真の趣意を逸脱しないようになすことができることは、開示を読むことにより、当業者には理解されるであろう。
全ての刊行物、特許及び出願は、それぞれの参照箇所が、その全体において出典明示により特にかつ個々に援用されているかの如く、同程度に、それらの全体が出典明示によりここに援用される。

Claims (10)

  1. 個体における心不全をインビトロで評価する方法において、
    a)個体から得られた試料において、マーカーであるミメカンの濃度を測定する工程、
    b)コントロール試料において確立されているこのマーカーの濃度と、工程(a)で測定された濃度を比較することにより、心不全を評価し、ここでミメカン濃度の増加が心不全を示す工程
    を含んでなる方法。
  2. 工程(a)の後に、試料において、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される心不全の一又は複数の他のマーカーの濃度を測定する追加の工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(b)において、コントロール試料において確立されているこのマーカー又はこれらのマーカーの濃度と、前記追加の工程で測定された一又は複数の他のマーカーの濃度を比較する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記試料が、血清、血漿、及び全血からなる群から選択されることをさらに特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記一又は複数の他のマーカーがNT-proBNPであることをさらに特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  6. 前記一又は複数の他のマーカーがトロポニンTであることをさらに特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  7. 心不全の評価におけるマーカー分子としてのタンパク質ミメカンの使用であって、該評価がインビトロでなされる使用。
  8. 心不全の評価における、ミメカンと、ナトリウム利尿ペプチドマーカー、心臓トロポニンマーカー、及び炎症マーカーからなる群から選択される心不全の一又は複数の他のマーカーとを含むマーカーの組合せの使用であって、該評価がインビトロでなされる使用。
  9. 少なくともミメカンとNT-proBNPを含む請求項8に記載のマーカーの組合せの使用。
  10. マーカーであるミメカンが、心不全の危険性がある個体から得られた試料において測定される請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
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