JP5589974B2 - 繊維強化複合材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化複合材料の製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンをマトリクス樹脂とする繊維強化複合材料を、経済性および生産性良く製造できる方法に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を活かした材料設計ができるため、航空宇宙分野をはじめ、輸送機器・産業機械分野、土木・建築分野、スポーツ・レジャー分野等に広く用途が拡大されている。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。しかしながら、熱硬化性樹脂を用いた繊維強化複合材料では、熱硬化に時間を要するため生産性が低いことや、プリプレグの可使時間に制約があるといった問題があった。
これに対して、熱可塑性樹脂をマトリックスとして用いる繊維強化複合材料は、硬化反応が不要なため生産性が高いこと、さらには、溶接、補修、リサイクル等が容易であることから実用化されている。
熱可塑性樹脂をマトリックスとして用いる繊維強化複合材料としては、例えば、溶融粘度が300〜2000Pa・sであり、かつ引張破断伸度が10%以上であるポリアリーレンスルフィドを予めシート状に成形し、このシートと強化繊維基材とを交互に積層し、300〜350℃の温度で、0.98〜9.8MPaの圧力で圧縮してポリアリーレンスルフィドを強化繊維基材に含浸して成形する方法などが知られている(例えば、特許文献1)。しかしながら、特許文献1で用いられるポリアリーレンスルフィドは溶融粘度が10Pa・sよりも大きいため、強化繊維基材への含浸が不十分となり、得られる繊維強化複合材料にボイドが生じて高い機械強度が得られないこと、また、強化繊維への含浸において高い圧力が必要となるために、注入装置や成形型に多大なコストが必要となることなどの問題があった。
特許文献2には、ポリアリーレンスルフィドプレポリマーを200〜300℃で加熱溶融して溶融粘度が10Pa・s以下の溶融液とし、強化繊維基材に含浸させた後300〜400℃で加熱してポリアリーレンスルフィドプレポリマーを重合する繊維強化複合材料の製造方法が開示されている。この方法は、強化繊維基材と高分子量のポリアリーレンスルフィドとからなる繊維強化複合材料を、容易に、生産性良く製造することができる優れた製造方法である。しかしながら、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材料へのニーズが多様化したことで、ポリアリーレンスルフィド以外にも高耐熱な熱可塑性樹脂、例えばポリエーテルエーテルケトンを用いた繊維強化複合材料が求められるようになってきた。
特許文献3には、環式ポリ(アリールエーテル)オリゴマー、その製造方法、および環式ポリ(アリールエーテル)オリゴマーの重合方法が開示されている。ここでは、環式ポリ(アリールエーテル)オリゴマーを重合させることでポリ(アリールエーテル)とする方法が記載されている。しかしながら、この方法で公開されている環式ポリ(アリールエーテル)オリゴマーは、融点が340℃以上あり、経済性、生産性の観点から、より融点の低い環式ポリ(アリールエーテル)オリゴマーの開発が必要となってきた。
特許第3598510号公報 特開2008−231236号公報 特開平3−88828号公報
本発明は、かかる従来技術の改善を試み、強化繊維基材とポリフェニレンエーテルエーテルケトンからなる繊維強化複合材料を、より容易に、生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
かかる問題点を解決するための本発明は、以下の構成からなる。すなわち、
(1)強化繊維基材(A)を成形型に配置する工程(I−1)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱溶融させて溶融液とする工程(II−1)、該工程(I−1)の成形型に該工程(II−1)で得られた溶融液を注入して、該成分(B)を該成分(A)に含浸させる工程(III−1)、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−1)を有してなる繊維強化複合材料の製造方法であって、該工程(II−1)で用いられる該成分(B)の融点が270℃以下である繊維強化複合材料の製造方法。
(2)強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程(I−2)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程(II−2)、該工程(II−2)の含浸槽に該成分(A)を連続的に通し、該成分(B)を該成分(A)に含浸させ、得られた複合体をマンドレルに巻きつける工程(III−2)、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−2)を有してなる繊維強化複合材料の製造方法であって、該工程(II−2)で用いられる該成分(B)の融点が270℃以下である繊維強化複合材料の製造方法。
(3)強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程(I−3)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程(II−3)、該工程(II−3)の含浸槽に該成分(A)を連続的に通し、該成分(B)を該成分(A)に含浸させた複合体を得る工程(III−3)、得られた複合体を金型に通して連続的に引き抜き成形することで、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−3)を有してなる繊維強化複合材料の製造方法であって、該工程(II−3)で用いられる該成分(B)の融点が270℃以下である繊維強化複合材料の製造方法。
(4)前記成分(B)が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(5)前記成分(B)が異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物である(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(6)前記成分(B)の溶融液に、さらに重合触媒(C)を添加する(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(7)前記工程(II−1)、(II−2)または(II−3)において、前記成分(B)を160℃以上の温度で加熱溶融させて溶融液とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(8)前記工程(II−1)、(II−2)または(II−3)において、前記成分(B)からなる溶融液の溶融粘度を10Pa・s以下に調整する(1)〜(7)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法
(9)前記工程(IV−1)、(IV−2)または(IV−3)において、400℃以下の温度で前記加熱重合を行う(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(10)前記工程(IV−1)、(IV−2)または(IV−3)において、160℃〜330℃の温度で前記加熱重合を行う(1)〜(9)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(11)前記成分(A)と前記成分(B)の合計が100重量%とした際の前記成分(A)の含有量が10重量%以上である(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(12)前記成分(C)の含有量が、前記成分(B)中のエーテルエーテルケトン構成単位1モルに対し0.001〜20モル%である(6)に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(13)前記成分(A)が、炭素繊維の単繊維を少なくとも10,000本含有してなる、(1)〜(12)のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
(14)前記成分(C)がアルカリ金属塩である(6)に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法によれば、強化繊維基材にポリフェニレンエーテルエーテルケトンを容易に複合化させることができるため、含浸性の向上による生産性の向上やプロセス温度を抑えるといった経済性の向上が可能であり、繊維強化複合材料の製造に好適に用いられる。
本発明により得られるプロペラシャフトの一例を示す概略断面図である。 本発明により得られる繊維強化複合材料製本体筒の構成の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の繊維強化複合材料の製造方法について、具体的に説明する。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法では、強化繊維基材(A)と、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を原料として、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)をマトリックス樹脂とした繊維強化複合材料を製造する。この際、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)に重合触媒(C)を添加することで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)への重合反応を促進することが好ましい。まず、各成分について説明する。
<強化繊維基材(A)>
本発明で用いられる強化繊維基材(A)としては、特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、鉱物繊維、炭化ケイ素繊維等が使用でき、これらの繊維を2種以上混在させることもできる。
とりわけ、炭素繊維は比強度、比剛性に優れ、成形品の力学特性を向上させる観点で好ましい。これらの中でも、軽量かつ高強度、高弾性率の成形品を得る観点から、炭素繊維を用いるのが好ましく、特に引張弾性率で200〜700GPaの炭素繊維を用いることが好ましい。さらには、炭素繊維や、金属を被覆した強化繊維は、高い導電性を有するため、成形品の導電性を向上させる効果があり、例えば電磁波シールド性の要求される電子機器などの筐体用途には特に好ましい。
また、炭素繊維のより好ましい態様として、X線光電子分光法により測定される繊維表面の酸素(O)と炭素(C)の原子数の比である表面官能基量(O/C)が、0.05〜0.4の範囲にあることがあげられる。O/Cが高いほど、炭素繊維表面の官能基量が多く、マトリックス樹脂との接着性を高めることができる。一方、O/Cが高すぎると、炭素繊維表面の結晶構造の破壊が懸念される。O/Cが好ましい範囲内で、力学特性のバランスにとりわけ優れた成形品を得ることが出来る。
表面官能基量(O/C)は、X線光電子分光法により、次のような手順によって求められる。まず、溶媒でサイジング剤などを除去した炭素繊維をカットして銅製の試料支持台上に拡げて並べた後、光電子脱出角度を90゜とし、X線源としてMgKα1、2を用い、試料チャンバー中を1×10−8Torrに保つ。測定時の帯電に伴うピークの補正としてC1Sの主ピークの運動エネルギー値(K.E.)を969eVに合わせる。C1Sピーク面積は、K.E.として958〜972eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。O1Sピーク面積は、K.E.として714〜726eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。ここで表面官能基量(O/C)とは、上記O1Sピーク面積とC1Sピーク面積の比から、装置固有の感度補正値を用いて原子数比として算出する。
本発明で用いられる強化繊維基材(A)の形態及び配列としては、特に限定されないが、例えば、連続した強化繊維を収束してなる強化繊維束(以下、単に強化繊維束ともいう)、連続した強化繊維を一方向に配列させた基材(以下、単に一方向配列基材ともいう)、織物(クロス)、不織布、マット、編み物、組み紐、ヤーン、トウ、等が用いられる。また、これらを積層、賦形し、ステッチなどの手段で形態を固定したものを用いても良い。これらの中でも、連続して高速で引き取ることが可能であることから強化繊維束が好ましく、積層構成によって容易に強度特性を設計可能であることから、一方向配列基材を使用するのが好ましく、曲面にも容易に賦形できることから織物が好ましく、厚み方向に容易に成形できることから不織布およびマットが好ましく使用される。なお、ここで一方向配列基材とは、複数本の強化繊維を並行して配列させた基材のことである。かかる一方向配列基材は、例えば複数本の連続した強化繊維束を一方向に引きそろえ、さらにシート状に地均する方法などにより得られる。
強化繊維基材(A)が強化繊維束である場合は、強化繊維の単繊維数が多いほど経済性には有利であることから、単繊維は10,000本以上が好ましい。他方、強化繊維の単繊維数が多いほどマトリックス樹脂の含浸性には不利となる傾向があるため、強化繊維束として炭素繊維束を用いる場合、経済性と含浸性の両立を図る観点から、15,000本以上100,000本以下がより好ましく、20,000本以上50,000本以下がとりわけ好ましく使用できる。
さらに、単繊維を強化繊維束に束ねる目的で、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)とは別に、集束剤を使用してもよい。これは強化繊維束に集束剤を付着させることで、強化繊維の移送時の取扱性や、繊維強化複合材料を製造する過程でのプロセス性を高める目的で、本発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂や種々の熱可塑性樹脂などのサイジング剤を1種または2種以上併用することができる。
強化繊維基材(A)が一方向配列基材、織物、不織布、マットである場合は、強化繊維の単繊維数としては、特に限定されない。
さらに、強化繊維基材(A)には、単繊維の脱落を抑える目的で、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)とは別に、結着剤を使用してもよい。これは強化繊維基材(A)に結着剤を付着させることで、強化繊維基材(A)の移送時の取扱性や、繊維強化複合材料を製造する過程でのプロセス性を高める目的であり、本発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂や種々の熱可塑性樹脂などのバインダーを1種または2種以上併用することができる。
<ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)>
本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は融点が270℃以下であり、さらに、250℃以下であることが好ましく、230℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましく、180℃以下であることが特に好ましく例示できる。ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点が低いほど加工温度を下げることが可能であり、プロセス温度を低く設定可能となるため加工に要するエネルギーを低減し得るとの観点で有利となる。また、プロセス温度を低く設定できることにより、例えば、後述する重合触媒(C)とポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を溶融させて混合する工程において、溶融混練の温度を重合温度よりも十分に低く設定できるようになる。かかる効果により、繊維強化複合材料の製造プロセスにおいて、貯蔵中や強化繊維基材(A)への含浸の前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が進行して溶融粘度が増加するといった好ましくない反応を抑制できる。なおここで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点は示差走査型熱量測定装置を用いて吸熱ピーク温度を観測することにより測定することが可能である。
本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含むポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物であることが好ましく、65重量%以上含む組成物であることがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましく、75重量%以上含む組成物であることがよりいっそう好ましい。
本発明における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンとは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記一般式(I)で表される環式化合物である。
Figure 0005589974
式(I)における繰り返し数mの範囲は2〜40であり、2〜20がより好ましく、2〜15がさらに好ましく、2〜10が特に好ましい範囲として例示できる。繰り返し数mが大きくなるとポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点が高くなる傾向にあるため、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を低温で溶融させるとの観点から、繰り返し数mを前記範囲にすることが好ましい。
また、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物であることが好ましく、少なくとも異なる3つ以上の繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物であることがさらに好ましく、4つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることがより好ましく、5つ以上の繰り返し数mからなる混合物であることが特に好ましい。さらに、これら繰り返し数mが連続するものであることが特に好ましい。単一の繰り返し数mを有する単独化合物と比較して異なる繰り返し数mからなる混合物の融点は低くなる傾向にあり、さらに2種類の異なる繰り返し数mからなる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物と比較して、3種類以上の繰り返し数mからなる混合物の融点はさらに低くなる傾向にあり、さらに不連続の繰り返し数mからなる混合物よりも連続する繰り返し数mからなる混合物の方がさらに融点が低くなる傾向にある。なおここで、各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは高速液体クロマトグラフィーによる成分分割により分析が可能であり、さらにポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の組成、すなわちポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)に含まれる各繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率は、高速液体クロマトグラフフィーにおける各環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンのピーク面積比率より算出することが可能である。
ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)における不純物成分、即ち環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分としては線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを主に挙げることができる。この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは融点が高いため、線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が高くなるとポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点が高くなる傾向にある。従って、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が上記範囲にあることで、融点の低いポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)となる傾向にある。
上記のような特徴を有する本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の還元粘度(η)としては、0.1dL/g以下であることが好ましく例示でき、0.09dL/g以下であることがより好ましく、0.08dL/g以下であることがさらに好ましく例示できる。なお、本発明における還元粘度とは特に断りのない限り、濃度0.1g/dL(ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重量/98重量%濃硫酸の容量)の濃硫酸溶液について、スルホン化の影響を最小にするために溶解完了直後に、25℃においてオストワルド型粘度計を用いて測定した値である。また、還元粘度の計算は下記式により行った。
η={(t/t0)−1}/C
(ここでのtはサンプル溶液の通過秒数、t0は溶媒(98重量%濃硫酸)の通過秒数、Cは溶液の濃度を表す。)。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を得る方法としては、例えば以下の(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a)少なくともジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基、および有機極性溶媒を含む混合物を加熱して反応させることによる製造方法。
(b)少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、ジハロゲン化芳香族ケトン化合物、ジヒドロキシ芳香族化合物、塩基および有機極性溶媒を含む混合物を加熱して反応させることによる製造方法。
(c)少なくとも線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン、塩基性化合物、有機極性溶媒を含む混合物を加熱して反応させることによる製造方法。
以上に述べたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の製造方法(a)、(b)、(c)の代表的な反応式を以下に示す。
Figure 0005589974
本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の熱可塑性樹脂のポリマー、オリゴマー、各種の熱硬化性樹脂、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤などを添加してもよい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PENp)樹脂、液晶ポリエステル等のポリエステル系樹脂や、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂の他や、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂、変性PSU樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリケトン(PK)樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)樹脂、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、これらの共重合体、変性体、および2種類以上ブレンドした樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂の具体例としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
<ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)>
本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を重合させることによりポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)が得られる。ここでのポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とは、パラフェニレンケトン、およびパラフェニレンエーテルを繰り返し構造単位に持つ、下記一般式(II)で表される線状化合物である。
Figure 0005589974
本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の還元粘度(η)に特に制限はないが、好ましい範囲として0.1〜2.5dL/g、より好ましくは0.2〜2.0dL/g、さらに好ましくは0.3〜1.8dL/gを例示できる。かかる好適な粘度範囲に調整することにより、力学特性に優れた成形品が得られる。
本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の融点は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の組成や分子量、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率、さらには加熱時の環境により変化するため、一意的に示すことはできないが、好ましい範囲として、270〜450℃、より好ましくは280〜400℃、さらに好ましくは300〜350℃を例示できる。かかる好適な温度範囲に調整することにより、成形性と耐熱性に優れた成形品が得られる。なおここで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の融点は、本発明の繊維強化複合材料からポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)に当たる部位を物理的に取り出し、このサンプルから示差走査型熱量測定装置を用いて吸熱ピーク温度を観測することにより測定することが可能である。
ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱重合することによりポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)へと転化する際の加熱温度は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点以上であることが好ましく、このような温度条件であれば特に制限はない。加熱温度がポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点未満では加熱重合によりポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)を得るのに長時間が必要になる、もしくは加熱重合が進行せずにポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)が得られなくなる傾向にある。加熱温度の下限としては、160℃以上が例示でき、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上、さらに好ましくは270℃以上である。この温度範囲では、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)が溶融し、短時間でポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)を得ることができる傾向にある。
一方、加熱重合の温度が高すぎるとポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)間、加熱により生成したポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)間、およびポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)間などでの架橋反応や分解反応に代表される好ましくない副反応が生じやすくなる傾向にあり、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の特性が低下する場合があるため、このような好ましくない副反応が顕著に生じる温度は避けることが望ましい。加熱温度の上限としては、400℃以下が例示でき、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。この温度範囲以下では、好ましくない副反応によるポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の特性への悪影響を抑制できる傾向にある。公知のポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーを用いた場合、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーの融点が高いため、上記の好適な温度範囲では加熱重合に長時間を要する、もしくは加熱重合が進行せずポリフェニレンエーテルエーテルケトンが得られない傾向になるのに対し、本発明における融点が270℃以下という特徴を有するポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は上記好適な温度範囲において、効率よく加熱重合が進行し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)が得られる。
また、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は、得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の融点以下の温度で、加熱重合させることも可能である。かかる重合条件で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)は、公知のポリフェニレンエーテルエーテルケトンに比べて、融解エンタルピー、ひいては結晶化度が高くなる傾向がある。これはポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の加熱重合と重合によって得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の結晶化が同時に進行する現象、いわゆる結晶化重合が進行しているためと考えている。結晶化重合により得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の融解エンタルピーの下限としては、40J/g以上が例示でき、好ましくは45J/g以上、より好ましくは50J/g以上である。なおここで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の融解エンタルピーは、本発明の繊維強化複合材料からポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)に当たる部位を物理的に取り出し、このサンプルから示差走査型熱量測定装置を用いて吸熱ピーク面積を観測することにより測定することが可能である。
このような結晶化重合が起こる加熱温度範囲は、使用するポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率や組成比、加熱重合方法などの条件によって異なるため一様には規定できないが、160〜330℃、好ましくは200〜300℃の範囲が例示できる。
反応時間は、使用するポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率や組成比、加熱温度や加熱重合方法などの条件によって異なるため一様には規定できないが、前記した架橋反応などの好ましくない副反応が起こらないように設定することが好ましく、0.001〜100時間の範囲が例示でき、0.005〜20時間が好ましく、0.005〜10時間がより好ましい。これら好ましい反応時間とすることにより、架橋反応などの好ましくない副反応の進行による得られるポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の特性への悪影響を抑制できる傾向にある。
<重合触媒(C)>
本発明において、重合触媒(C)は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)のポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)への加熱重合反応を加速させるための触媒であり、かかる効果のある化合物であれば特に制限はなく、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、遷移金属触媒など公知の触媒を用いることができるが、なかでもアニオン重合開始剤が好ましい。アニオン重合開始剤としては、無機アルカリ金属塩または有機アルカリ金属塩などのアルカリ金属塩を例示することができ、無機アルカリ金属塩としてはフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物を例示でき、また有機アルカリ金属塩としては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドまたは、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、ナトリウム−4−フェノキシフェノキシド、カリウム−4−フェノキシフェノキシドなどのアルカリ金属フェノキシド、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどのアルカリ金属酢酸塩を例示することができる。また、これらアニオン重合開始剤は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を求核攻撃することにより触媒作用を発現していると推測している。従って、これらアニオン重合開始剤と同等の求核攻撃能を有する化合物を触媒として用いることも可能であり、このような求核攻撃能を有する化合物としては、アニオン重合性末端を有するポリマーを挙げることができる。これらアニオン重合開始剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の加熱重合をこれら好ましい触媒の存在下に行うことにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)が短時間で得られる傾向にあり、具体的には加熱重合の加熱時間として、2時間以下、さらには1時間以下、0.5時間以下が例示できる。
使用する触媒の量は、目的とするポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の分子量ならびに触媒の種類により異なるが、通常、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の主要構成単位である式
Figure 0005589974
の繰り返し単位1モルに対して、0.001〜20モル%、好ましくは0.005〜15モル%、さらに好ましくは0.01〜10モル%である。この好ましい範囲の触媒量を添加することによりポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の加熱重合が短時間で進行する傾向にある。
重合触媒(C)の添加方法に際しては、特に制限は無いが、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱して溶融液とし、この溶融液に重合触媒(C)を混合する方法や、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)と重合触媒(C)との混合物を加熱して溶融液とする方法などが例示できる。
<ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を溶融液とする工程>
本発明の繊維強化複合材料の製造方法において、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は加熱溶融により溶融液とする必要がある。加熱溶融させて溶融液とする温度は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の加熱重合をなるべく起こさないような温度を設定するのが好ましい。かかる温度の範囲としては、160〜340℃、好ましくは180〜320℃、より好ましくは200〜300℃、特に好ましくは230〜270℃が例示できる。また、この温度範囲であれば、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の溶融粘度を10Pa・s以下に調整することができ、強化繊維基材(A)への含浸が容易となる。160℃より低い温度で加熱した場合、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)が溶融しない、あるいは溶融に長時間を要する傾向があり望ましくない。340℃より高温で加熱した場合は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトオリゴマー(B)の重合が急速に進み、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)の生成による粘度上昇が起こり、強化繊維基材(A)への含浸の際に悪影響を生じる場合がある。
<第1の繊維強化複合材料の製造方法>
本発明の第1の繊維強化複合材料の製造方法は、RTM(Resin Transfer Molding)法であり、強化繊維基材(A)を成形型に配置する工程(I−1)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱溶融させて溶融液とする工程(II−1)、該工程(I−1)の成形型に該工程(II−1)で得られた溶融液を注入して、該成分(B)を該成分(A)に含浸させる工程(III−1)、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−1)を有し、さらに、工程(II−1)において用いるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点が270℃以下であることを特徴とする。
ここで、工程(I−1)は、強化繊維基材(A)を成形型に配置する工程である。成形型は剛体からなるクローズドモールドを用いることが好ましい。成形型の材料としては、金属(スチール、アルミニウム、INVARなど)、繊維強化複合材料など既存の各種のものが用いられる。
ここで、強化繊維基材(A)は賦形性の観点から、織物(クロス)、不織布、マット、編み物が好ましく用いられる。強化繊維基材(A)の形状は、平面状であっても、凹凸形状を有していても良く、これらを単独、または複数組み合わせて配置しても良い。とりわけ、凹凸形状を有する繊維強化複合材料を目的とする場合は、強化繊維基材(A)を成形型の意匠面に合わせて賦形したプリフォームが好ましく用いられる。
工程(II−1)は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱溶融させて溶融液とする工程である。ここでの加熱溶融には、溶融バスなどの装置を用いることができるが、スクリュウ、ギアポンプ、プランジャーなどの溶融したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を移送する機能を具備していることが好ましい。
工程(III−1)は、工程(I−1)の成形型に工程(II−1)で得られた溶融液を注入して、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を強化繊維基材(A)に含浸させる工程である。
剛体からなるクローズドモールドを用いる場合は、加圧により型締めした成形型に、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の溶融液を加圧して注入することが通常行われる。このとき、注入口とは別に吸引口を設け、真空ポンプなどの手段により吸引することも可能である。吸引を行い、特別な加圧手段を用いず、大気圧のみでポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の溶解液を注入することも可能である。
工程(IV−1)は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程である。
加熱重合の際の温度としては、前記したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)のポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)への重合温度が好ましく用いられる。とりわけ、重合後に成形品を脱型する際に、成形型の冷却工程を簡略化できることから、前記結晶化重合が起こる条件が好ましく用いられる。なお、ここでの加熱温度の測定方法は、例えば成形型の表面温度を熱伝対などの温度計で測定する方法が例示できる。
工程(IV−1)での重合が完結するまでの反応時間は、短いほど生産性、経済性に優れるため好ましい。反応時間としては60分以下が好ましく、10分以下がより好ましく例示できる。反応時間の下限については、特に制限はなく、例えば、0.05分以上が例示できる。
なお、前記はRTM法の一例を示したものであり、本発明の繊維強化複合材料の製造方法はこれに限定されるものではない。
また、本発明の第1の繊維強化複合材料の製造方法では、成形型内に、強化繊維基材(A)以外に、フォームコア、ハニカムコア、金属部品などを設置し、これらと一体化させた繊維強化複合材料を得ることも可能である。特にフォームコアやハニカムコアの両面に強化繊維基材(A)を配置して成形して得られるサンドイッチ構造体は、軽量で、曲げ剛性に優れるので有用である。
さらに、強化繊維基材(A)を成形型内への配置に先立って、成形型の表面にゲルコートを塗布することも可能である。
<第2の繊維強化複合材料の製造方法>
本発明の第2の繊維強化複合材料の製造方法は、いわゆるフィラメントワインディング成形法であり、強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程(I−2)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程(II−2)、該工程(II−2)の含浸槽に該成分(A)を連続的に通し、該成分(B)を該成分(A)に含浸させ、得られた複合体をマンドレルに巻きつける工程(III−2)、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−2)を有し、さらにポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B)の融点が270℃以下であることを特徴とする。
ここで、工程(I−2)は、強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程である。連続的とは、原料となる強化繊維基材(A)を完全に切断せずに持続的に供給することを意味し、供給速度は一定であってもよいし、間欠的に供給と停止を繰り返してもよい。
ここで、強化繊維基材(A)は生産性の観点から、強化繊維束が好ましく用いられる。さらに強化繊維基材(A)を開繊させて供給することがより好ましい。ここで言う、開繊とは収束された強化繊維基材(A)を分繊させる操作であり、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の含浸性をさらに高める効果が期待できる。強化繊維基材(A)の開繊方法としては、特に制限はなく、例えば凹凸ロールを交互に通過させる方法、太鼓型ロールを使用する方法、軸方向振動に張力変動を加える方法、垂直に往復運動する2個の摩擦体による強化繊維基材(A)の張力を変動させる方法、強化繊維基材(A)にエアを吹き付ける方法を利用できる。
工程(II−2)は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程である。ここでの含浸槽は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱溶融して溶融液とし、さらに所定時間貯蔵する為の加熱源を具備すること、および強化繊維基材(A)を溶融液に浸漬させ、引き取る操作を連続的に行える機構を具備することが好ましい。
工程(III−2)は、工程(II−2)の含浸槽に強化繊維基材(A)を連続的に通し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を強化繊維基材(A)に含浸させ、得られた複合体をマンドレルに巻きつける工程である。ここで得られた複合体は、マンドレルにその軸方向に対して種々の角度で螺旋状に巻きつける。次に表面を表層材などで巻締め、余剰の樹脂を搾り出しても良い。
工程(IV−2)は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程である。加熱装置としては、オーブン等が好ましく使用でき、工程(III−2)において複合体を巻きつけたマンドレルを加熱し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を重合させる方法が好ましく例示できる。
加熱重合の際の温度としては、前記したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)のポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)への重合温度が好ましく用いられる。なお、ここでの加熱温度の測定方法は、例えばオーブン内の雰囲気温度を熱伝対などの温度計で測定する方法が例示できる。
工程(IV−2)での重合が完結するまでの反応時間は、短いほど生産性、経済性に優れるため好ましい。反応時間としては60分以下が好ましく、10分以下がより好ましく例示できる。反応時間の下限については、特に制限はなく、例えば、0.05分以上が例示できる。
なお、前記はフィラメントワインディング法の一例を示したものであり、本発明の繊維強化複合材料の製造方法はこれに限定されるものではない。
また、本発明の第2の繊維強化複合材料の製造方法では、円筒状の繊維強化複合材料を容易に得ることが可能である。この為、自動車用プロペラシャフト、CNGタンク、フライトホイールをはじめとした各種産業用途機械部品や、ゴルフシャフトと釣竿などのスポーツ・レジャー製品に好適である。
<第3の繊維強化複合材料の製造方法>
本発明の第3の繊維強化複合材料の製造方法は、いわゆる引き抜き成形法であり、強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程(I−3)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程(II−3)、該工程(II−3)の含浸槽に該成分(A)を連続的に通し、該成分(B)を該成分(A)に含浸させた複合体を得る工程(III−3)、得られた複合体を金型に通して連続的に引き抜き成形することで、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−3)を有し、さらにポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B)の融点が270℃以下であることを特徴とする。
ここで、工程(I−3)は、強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程である。連続的とは、原料となる強化繊維基材(A)を完全に切断せずに持続的に供給することを意味し、供給速度は一定であってもよいし、間欠的に供給と停止を繰り返してもよい。
ここで、強化繊維基材(A)は生産性の観点から、一方向配列基材が好ましく用いられる。具体的には、連続した強化繊維束をクリールにかけ、強化繊維束を引き出し、ローラーを通過させて製造ラインに供給する方法や、同様に複数の強化繊維束を一方向に配列させてシート状に地均しさせ、ロールバーを通過させて製造ラインに供給する方法などが好ましく用いられる。
さらに強化繊維基材(A)を開繊させて供給することがより好ましい。ここで言う、開繊とは収束された強化繊維基材(A)を分繊させる操作であり、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の含浸性をさらに高める効果が期待できる。強化繊維基材(A)の開繊方法としては、特に制限はなく、例えば凹凸ロールを交互に通過させる方法、太鼓型ロールを使用する方法、軸方向振動に張力変動を加える方法、垂直に往復運動する2個の摩擦体による強化繊維基材(A)の張力を変動させる方法、強化繊維基材(A)にエアを吹き付ける方法を利用できる。
工程(II−3)は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程である。ここでの含浸槽は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱溶融して溶融液とし、さらに所定時間貯蔵する為の加熱源を具備すること、および強化繊維基材(A)を溶融液に浸漬させ、引き取る操作を連続的に行える機構を具備することが好ましい。
工程(III−3)は、工程(II−3)の含浸槽に強化繊維基材(A)を連続的に通し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を強化繊維基材(A)に含浸させた複合体を得る工程である。
さらに、工程(II−3)で得られた複合体は、工程(III−3)の金型に通す前に、スクイーズダイを通しても良い。ここで言う、スクイーズダイとは、含浸槽を通過した後の強化繊維基材(A)から過剰の溶融液を掻き取る為の冶具である。スクイーズダイの形状は過剰の溶融液を掻き取ることができれば特に制限は無いが、引き抜き方向と垂直な断面の形状が円形、長方形、正方形などが挙げられる。スクイーズダイの材質に特に制限は無いが、金属、プラスチック、セラミックなどが好ましい例として挙げられる。
工程(IV−3)は、得られた複合体を金型に通して連続的に引き抜き成形することで、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程である。
ここで用いられる金型としては、形状が最終的に所望する繊維強化複合材料の形状に対応した、断面形状であれば、特に制限は無く、例えば、断面形状が円形、楕円形、長方形、正方形、L字、U字などが挙げられる。また、金型の材質としては、スチール、アルミニウム、INVARなどが挙げられる。
加熱重合の際の温度としては、前記したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)のポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)への重合温度が好ましく用いられる。なお、ここでの加熱温度の測定方法は、例えば金型の表面温度を熱伝対などの温度計で測定する方法が例示できる。
工程(IV−3)での重合が完結するまでの反応時間は、短いほど生産性、経済性に優れるため好ましい。反応時間としては60分以下が好ましく、10分以下がより好ましく例示できる。反応時間の下限については、特に制限はなく、例えば、0.05分以上が例示できる。
本発明において得られる繊維強化複合材料を引き抜く方法としては、特に制限は無いが、例えば、ニップローラーやベルトコンベヤーで引き出す方法や、ドラムワインダーで巻き取る方法などが例示できる。
また、前記した引き抜き操作の前に、得られた繊維強化複合材料を冷却しておくことが好ましい。冷却方法は、特に制限は無いが、冷却装置を具備したローラーに接触させながら通過させる方法や、冷却板に接触させながら通過させる方法や、冷却バスの中を通過させる方法が例示できる。とりわけ加圧力を付与できる為、冷却装置を具備したローラーに接触させながら通過させる方法が好ましく用いられる。
なお、前記は引き抜き成形法の一例を示したものであり、本発明の繊維強化複合材料の製造方法はこれに限定されるものではない。
また、本発明の第3の繊維強化複合材料の製造方法では、長尺の繊維強化複合材料を容易に得ることが可能である。この為、建築物や車両、航空機の補強材として好適に用いられる。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法には、その効果を損なわない範囲内で、他の工程を組み合わせることができる。例えば、電子線照射工程、プラズマ処理工程、強磁場付与工程、表皮材積層工程、保護フィルムの貼付工程、アフターキュア工程などが挙げられる。
<繊維強化複合材料>
本発明において得られる繊維強化複合材料は、強化繊維基材(A)と、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)から構成される。
このうち、強化繊維基材(A)とポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の合計が100重量%とした際の、強化繊維基材(A)の含有量は10重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましく、70重量%以上が特に好ましい。強化繊維基材(A)が10重量%未満では、得られる成形品の力学特性が不十分となる場合がある。一方、強化繊維基材(A)の含有量の上限については特に制限は無いが、90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。強化繊維基材(A)が90重量%より大きい場合、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の強化繊維基材(A)への含浸が困難となる場合がある。なお、本発明で得られる繊維強化複合材料における、強化繊維基材(A)の含有量は、強化繊維基材(A)と、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の供給量を制御することで調節できる。
さらに、重合触媒(C)を含む場合、その含有量は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の主要構成単位である式
Figure 0005589974
の繰り返し単位1モルに対して、0.001〜20モル%、好ましくは0.005〜15モル%、さらに好ましくは0.01〜10モル%である。
これらの割合は、強化繊維基材(A)と、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の供給量を制御することで容易に実施できる。さらに重合触媒(C)の供給量は、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)への添加量を調整することで、繊維強化複合材料中での添加量も調整できる。
本発明において得られる繊維強化複合材料は、ボイド率が小さいことが好ましい。かかるボイド率としては、0〜20%が好ましい範囲として例示できる。かかる範囲とすることで、力学特性に優れる繊維強化複合材料が得られる。
なお、ここで言う繊維強化複合材料のボイド率とは、繊維強化複合材料の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、ボイド(空隙)の面積を、観察した面積の合計で除した割合(%)で表される。
なお、光学顕微鏡を用いて、それぞれの面積の測定を行うに際し、20〜100倍に拡大し、任意の20個の像について測定した平均値を求めればよい。
本発明において得られる繊維強化複合材料は、インサート成形、アウトサート成形などの一体化成形に用いることができる。さらに、加熱による矯正処置や、熱溶着、振動溶着、超音波溶着などの生産性に優れた接着工法を活用することもできる。
本発明において得られる繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂がポリフェニレンエーテルエーテルケトンであるため、耐熱性、機械特性、難燃性、耐薬品性などに優れたものとなる。また、マトリックス樹脂が熱可塑性のポリフェニレンエーテルエーテルケトンであるため、加熱などにより樹脂を可塑化できるのでリサイクルやリペアが容易な成形品となる。
用途としては、スラストワッシャー、オイルフィルター、シール、ベアリング、ギア、シリンダーヘッドカバー、ベアリングリテーナ、インテークマニホールド、ペダル等の自動車部品、シリコンウエハーキャリアー、ICチップトレイ、電解コンデンサートレイ、絶縁フィルム等の半導体・液晶製造装置部品、ポンプ、バルブ、シール等のコンプレッサー部品や航空機のキャビン内装部品といった産業機械部品、滅菌器具、カラム、配管等の医療器具部品や食品・飲料製造設備部品が挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
本発明に使用した評価方法を下記する。
(1)環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの定量
高速液体クロマトグラフィーによって、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)中の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの定量を行った。測定条件を下記する。
装置 :島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム :Mightysil RP−18GP150−4.6
検出器 :フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nmを使用)
カラム温度 :40℃
サンプル :0.1重量%THF溶液
移動相 :THF/0.1w%トリフルオロ酢酸水溶液。
(2)示差走査型熱量測定装置
JIS K7121(1987)に準拠し、示差走査型熱量測定装置、DSCシステムTA3000(メトラー社製)を用い、昇温速度10℃/分で測定し、融解ピーク温度を融点とし、融解ピーク面積から融解エンタルピーを求めた。
(3)赤外分光分析装置
下記条件により、赤外分光における吸収スペクトルの測定を行った。
装置 :Perkin Elmer System 2000 FT−IR
サンプル調製:KBr法。
(4)粘度測定
下記条件により、還元粘度の測定を行った。
粘度計 :オストワルド型粘度計
溶媒 :98重量%硫酸
サンプル濃度:0.1g/dL(サンプル重量/溶媒容量)
測定温度 :25℃
還元粘度計算式 :η={(t/t0)−1}/C
t :サンプル溶液の通過秒数
t0 :溶媒の通過秒数
C :溶液の濃度。
(5)溶融粘度測定
溶融粘度は、動的粘弾性測定装置にて以下の条件で行った。
装置 :TA インスツルメント ARES
プレート:パラレルプレート 直径40mm
(6)繊維強化複合材料の曲げ試験
厚さ2±0.4mmで成形した繊維強化複合材料から、JIS K 7074−1988に準拠した寸法の試験片を切り出した。
試験機として、"インストロン"(登録商標)万能試験機4201型(インストロン社製)を用いて3点曲げ試験を行い、曲げ強度を算出した。
(7)強化繊維基材(A)の含有量
繊維強化複合材料中の強化繊維基材(A)の含有量は、繊維強化複合材料の製造に使用した強化繊維基材(A)の重量と、得られた繊維強化複合材料の重量とから、下式により求めた。
強化繊維基材(A)の含有量(重量%)=100×(用いた強化繊維基材(A)の重量)/(得られた繊維強化複合材料の重量)
(8)繊維強化複合材料のボイド率評価
繊維強化複合材料の厚み方向断面を以下のように観察して測定した。繊維強化複合材料をエポキシ樹脂で包埋したサンプルを用意し、繊維強化複合材料の厚み方向断面が良好に観察できるようになるまで、前記サンプルを研磨した。ここで得られたサンプルを用いて、成形品の厚み×幅500μmの範囲を超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500(コントローラー部)/VK−9510(測定部)((株)キーエンス製)を使用して拡大倍率400倍で撮影した。撮影画像において、ボイド(空隙)となっている部位の面積を求め、次式により含浸率を算出した。
ボイド率(%)=100×(ボイドとなっている部位の総面積)/(成形品の観察部位の総面積)
成形品のボイド率評価は、このボイド率を判断基準とし、以下の3段階で評価し、○を合格とした。
○ :ボイド率が0%以上、20%以下である。成形品の物性バラつきが非常に小さい。
△ :ボイド率が20%より大きく、40%以下である。成形品の物性バラつきが比較的大きい。
× :ボイド率が40%より大きい。成形品の物性バラつきが大きい。
<ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の調製>
(参考例1)ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の製造方法(a)
攪拌機、窒素吹き込み管、ディーン・スターク装置、冷却管、温度計を具備した4つ口フラスコに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン2.40g(11mmol)、ヒドロキノン1.10g(10mmol)、無水炭酸カリウム1.52g(11mmol)、ジメチルスルホキシド100mL、トルエン10mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するジメチルスルホキシドの量は3.13リットルである。窒素を通じながら140℃まで昇温し、140℃で1時間保持、その後160℃にまで昇温し160℃で4時間保持して反応を行った。反応終了後、室温にまで冷却して反応混合物を調製した。
得られた反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより高速液体クロマトグラフィー分析サンプルを調製、反応混合物の分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜6の連続する5種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認、ヒドロキノンに対するポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の収率は15.3%であった。
このようにして得られた反応混合物50gを分取し、1重量%酢酸水溶液150gを加えた。撹拌してスラリー状にした後、70℃に加熱して30分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を脱イオン水50gに分散させ70℃で30分間保持して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を70℃で一晩真空乾燥に処し、乾燥固体約1.24gを得た。
さらに、上記で得られた乾燥固体1.0gをクロロホルム100gを用いて、浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して固形分を得た。この固形分にクロロホルム2gを加えた後、超音波洗浄器を用いて分散液として、メタノール30gに滴下した。これにより生じた析出成分を平均ポアサイズ1μmの濾紙を用いて濾別後、70℃で3時間真空乾燥に処し、白色固体を得た。得られた白色固体は0.14g、反応に用いたヒドロキノンに対する収率は14.0%であった。
この白色粉末は赤外分光分析における吸収スペクトルよりフェニレンエーテルケトン単位からなる化合物であることを確認、また高速液体クロマトグラフィーにより成分分割したマススペクトル分析(装置;日立製M−1200H)、さらにMALDI−TOF−MSによる分子量情報により、この白色粉末は繰り返し数mが2〜6の連続する5種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物を主要成分とするポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)であることが分かった。また、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は81%であった。なお、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン以外の成分は線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーであった。
このようなポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の融点を測定した結果、163℃の融点を有することが分かった。また、還元粘度を測定した結果、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は0.02dL/g未満の還元粘度を有していることが分かった。
また、上記したソックスレー抽出によるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の回収における、クロロホルム不溶の固形成分を70℃で一晩真空乾燥に処しオフホワイト色の固形分約0.85gを得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.45dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
また、溶融粘度測定を行った結果、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の230℃における溶融粘度は0.034Pa・sであった。
(参考例2)ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の製造方法(b)
ここでは、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の製造方法により副生する線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の製造方法(b)について記す。
攪拌機を具備した100mLのオートクレーブに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン0.22g(1mmol)、ヒドロキノン0.11g(1mmol)、無水炭酸カリウム0.14g(1mmol)、参考例1記載の方法により得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.45dL/g)1.15g(4mmol)、N−メチル−2−ピロリドン50mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.33リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、次いで230℃にまで昇温し230℃で5時間保持し反応を行った。
得られた反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより高速液体クロマトグラフィー分析サンプルを調製、反応混合物の分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成を確認、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は8.3%であった。
また、参考例1記載の方法により上記反応混合物からポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の回収を行った結果、収率8.0%でポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を得た。得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の分析を行った結果、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は77%であり、165℃の融点を有することが分かった。また、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の還元粘度は0.02dL/g未満であることも分かった。
また、溶融粘度測定を行った結果、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の230℃における溶融粘度は0.030Pa・sであった。
(参考例3)
ここでは、特許公表2007−506833の実施例に記載の一般的な方法によるポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法に準じた合成について記す。
攪拌機、窒素吹き込み管、ディーン・スターク装置、冷却管、温度計を具備した4つ口フラスコに4,4’−ジフルオロベンゾフェノン22.5g(103mmol)、ヒドロキノン11.0g(100mmol)、およびジフェニルスルホン49gを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するジフェニルスルホンの量は約0.16リットルである。窒素を通じながら140℃にまで昇温したところ、ほぼ無色の溶液を形成した。この温度で無水炭酸ナトリウム10.6g(100mmol)及び無水炭酸カリウム0.28g(2mmol)を加えた。温度を200℃に上げて1時間保持し、250℃に上げて1時間保持、次いで315℃に上げて3時間保持した。
得られた反応混合物を高速液体クロマトグラフィーにて分析した結果、ヒドロキノンに対する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は1%未満と痕跡量であった。
反応混合物を放冷して粉砕し、水およびアセトンで洗浄することにより、副生塩及びジフェニルスルホンを洗浄除去した。得られたポリマーを熱風乾燥機中、120℃で乾燥させて粉末を得た。
得られた粉末約1.0gを、クロロホルム100gを用いて浴温80℃で5時間ソックスレー抽出を行った。得られた抽出液からエバポレーターを用いてクロロホルムを除去して少量のクロロホルム可溶成分を得た。この回収したクロロホルム可溶成分の、反応に用いたヒドロキノンに対する収率は1.2%であった。高速液体クロマトグラフィーにより、回収したクロロホルム可溶成分の分析を行った結果、このクロロホルム可溶成分中には環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーが含まれていることが分かった。この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマーは溶剤溶解性などの特性が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンと類似しており、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンからの分離が困難な化合物である。また、上記の回収したクロロホルム可溶成分中に含まれる環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物は、繰り返し数m=4、5からなり、さらに繰り返し数m=4の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの重量分率が80%以上を占めるものであった。また、この回収したクロロホルム可溶成分の融点は約320℃であった。これは、この方法により得られたクロロホルム可溶成分を占める環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン4量体(m=4)の含有率が高いことに起因すると推測している。
また、上記したソックスレー抽出において、クロロホルムに不溶の固形成分を70℃で一晩真空乾燥に処しオフホワイト色の固形分約0.98gを得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンであることを確認した。また、還元粘度の測定を行った結果、この線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトンは0.75dL/gの還元粘度を有していることが分かった。
また、溶融粘度測定を行った結果、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の350℃における溶融粘度は0.15Pa・sであった。
(参考例4)ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の製造方法(c)
ここでは、参考例3による方法で得られた線状ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(還元粘度;0.75dL/g)を用いた環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの製造方法(c)について記す。
攪拌機を具備した1リットルのオートクレーブに参考例3記載の方法により得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトン14.4g(50mmol)、フッ化セシウム1.52g(10mmol)、N−メチル−2−ピロリドン500mLを仕込んだ。混合物中のベンゼン環成分1.0モルに対するN−メチル−2−ピロリドンの量は3.33リットルである。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から140℃まで昇温し140℃で1時間保持、その後180℃にまで昇温し180℃で3時間保持、次いで230℃にまで昇温し230℃で5時間保持し反応を行った。
得られた反応混合物を約0.2g秤取り、THF約4.5gで希釈、濾過によりTHF不溶成分を分離除去することにより高速液体クロマトグラフィー分析サンプルを調製、反応混合物の分析を行った。結果、繰り返し数m=2〜8の連続する7種類の環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の生成を確認、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は13.7%であった。(ここでの環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の収率は、環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの生成量と、反応に用いたポリフェニレンエーテルエーテルケトンの量の比較により算出した。)。
また、参考例1記載の方法により上記反応混合物からポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の回収を行った結果、収率13.7%でポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を得た。得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)中における環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン混合物の重量分率は79%であり、165℃の融点を有することが分かった。また、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は0.02dL/g未満であることも分かった。
また、溶融粘度測定を行った結果、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の230℃における溶融粘度は0.036Pa・sであった。
<RTM法による繊維強化複合材料の製造方法>
(実施例1)
工程(I−1):長さ300mm×幅300mm×厚み2mmの板状キャビティを持つ成形型内に強化繊維基材(A)としてトレカ(登録商標)BT70−30(東レ(株)製炭素繊維織物、T700S−12K、組織:平織、目付:300g/m)を8枚積層し、プレス装置で型締めを行った。
工程(II−1):参考例1で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を230℃で30分間加熱融解して溶融液とした。さらに所定量の重合触媒(C)を溶融液に添加し、混練することで分散させた。
工程(III−1):成形型の表面温度を300℃に保持し、型内を真空ポンプにより大気圧より0.1MPa下がるまで減圧した。この成形型内に、樹脂注入機を用いて溶融液を注入し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を強化繊維基材(A)に含浸させた。
工程(IV−1):溶融液の注入完了後、さらに成形型の表面温度を300℃のまま、30分間加熱を継続し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)をポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)に重合させた。
上記工程(I−1)〜(IV−1)完了後、成形型を開き、脱型して、繊維強化複合材料を得た。
樹脂バリを除去し、得られた繊維強化複合材料の重量を測定した。この繊維強化複合材料の重量と用いた強化繊維基材(A)の重量から、強化繊維基材(A)の含有率を計算した。
得られた繊維強化複合材料からポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)を物理的に分離し、融点測定、融解エンタルピー測定および粘度測定に供した。
また、得られた繊維強化複合材料から、使用した強化繊維基材(A)の経糸方向を長辺として試験片を切り出し、曲げ試験を行った。各プロセス条件および評価結果を表1に記載した。
(実施例2)
参考例2で調製したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
(比較例1)
参考例3で調製したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用い、工程(II−1)における加熱溶融温度を350℃に代え、工程(III−1)および(IV−1)における成形型の表面温度を400℃に代え、工程(IV−1)における加熱時間を10分に代え、さらに成形型の表面温度を400℃から150℃まで25分かけて冷却してから繊維強化複合材料の脱型を行った以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。ここで得られた繊維強化複合材料は実施例1に比べ、ボイドが多く、得られた繊維強化複合材料は非常にもろいものであった。これは、強化繊維基材(A)への含浸前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が起こった為だと考えられる。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
(実施例3)
参考例4で調製したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
(比較例2)
ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)に代えて、VICTREX(登録商標)PEEKTM151G(ビクトレックス・エムシー(株)製ポリエーテルエーテルケトン樹脂、融点343℃、400℃における溶融粘度150Pa・s)を用い、工程(II−1)における加熱溶融温度を400℃に代え、工程(III−1)および(IV−1)における成形型の表面温度を400℃に代え、工程(IV−1)における加熱時間を10分に代え、さらに成形型の表面温度を400℃から150℃まで25分かけて冷却してから繊維強化複合材料の脱型を行った以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。ここで得られた繊維強化複合材料は実施例1に比べ、ボイドが多く、得られた繊維強化複合材料は非常にもろいものであった。これは、強化繊維基材(A)への含浸前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が起こった為だと考えられる。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
(実施例3)
参考例4で調製したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
(実施例4)
工程(III−1)および(IV−1)における成形型の表面温度を350℃に代え、工程(IV−1)における加熱時間を10分に代え、さらに成形型の表面温度を350℃から150℃まで20分かけて冷却してから繊維強化複合材料の脱型を行った以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
(実施例5)
工程(III−1)および(IV−1)における成形型の表面温度を400℃に代え、工程(IV−1)における加熱時間を10分に代え、さらに成形型の表面温度を400℃から150℃まで25分かけて冷却してから繊維強化複合材料の脱型を行った以外は、実施例1と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例1と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表1に記載した。
Figure 0005589974
表1の実施例および比較例より以下のことが明らかである。実施例1、2、および3の結果より、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)はその製造方法によらず、比較例1、および2に比べて繊維強化複合材料の製造におけるプロセス温度を低く抑えることが可能であり、強化繊維基材(A)への含浸性に優れ、また、得られる繊維強化複合材料中のボイドが低減可能であることは明らかである。また、得られる繊維強化複合材料の力学特性に優れることは明らかである。
実施例4、および5より、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は、350℃、および400℃でも良好に重合させることが可能であり、これらの方法が、重合速度において優れた方法であることは明らかである。
<フィラメントワインディング法による繊維強化複合材料の製造方法>
(実施例6)
図1および図2を参照しながら説明する。
工程(I−2):強化繊維基材(A)としてトレカ(登録商標)T700S−24K(東レ(株)製炭素繊維)を連続的に引き出し、3本を引き揃えた。
工程(II−2):参考例1で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)、および重合触媒(C)を含浸槽に供給し、230℃で加熱融解して溶融液とした。
工程(III−2):工程(I−2)で引き揃えた強化繊維基材(A)を工程(II−2)の含浸槽に供給し、溶融液を強化繊維基材(A)に含浸させた複合体を得た。得られた複合体をフィラメントワインディング法によって、φ70mmのマンドレルにその軸方向に対し内層に85°の螺旋巻き層2aとして0.2mmを形成した後、主層2bとして±12°で厚さ1mmを螺旋巻きした後、±45°にて厚さ0.5mm、さらに±12°で厚さ1mmの螺旋巻きした後、最外層を85°の螺旋巻き層2c厚さ0.2mmを実施した。主層は合計2.9mmで構成される。なお、継手の装着部となる、本体筒の両端部の110mmの長さに相当する部分には、継手との接合強度を向上させるために、軸方向に対し、±83°で構成される厚みが2.5mmからなる補強層2dを形成した。補強層2dは、厚さ2.5mm、軸方向長さ60mmのストレート部および軸中央方向に向かった長さが50mmのテーパー部にて形成されている。
工程(IV−2):工程(III−2)で複合体を巻きつけたマンドレルをオーブンによって300℃で30分間加熱し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を重合させた。
さらに、工程(IV−2)を経たマンドレルをオーブンから取り出し、空冷することで、繊維強化複合材料製の円筒体2を得た。
さらに、円筒体2の両端部に金属製継手3を圧入接合し、プロペラシャフト1とした。
得られた繊維強化複合材料製の円筒体2からマンドレルを除いた重量と、用いた強化繊維基材(A)の重量から、強化繊維基材(A)の含有量を計算した。
得られた繊維強化複合材料からポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)を物理的に分離し、融点測定、融解エンタルピー測定および粘度測定に供した。また、各プロセス条件および評価結果を表2に記載した。
(実施例7)
工程(IV−2)におけるオーブンによる加熱条件を400℃で10分間に代えた以外は、実施例6と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例6と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表2に記載した。
(比較例3)
参考例3で調製したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用い、工程(II−2)における加熱溶融温度を350℃に代え、工程(IV−2)におけるオーブンによる加熱条件を400℃で10分間に代えた以外は、実施例6と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例6と同様に各種評価に供した。ここで得られた繊維強化複合材料は実施例6に比べ、ボイドが多かった。これは、強化繊維基材(A)への含浸前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が起こった為だと考えられる。各プロセス条件及び評価結果を表2に記載した。
(比較例4)
ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)に代えて、VICTREX(登録商標)PEEKTM151G(ビクトレックス・エムシー(株)製ポリエーテルエーテルケトン樹脂、融点343℃、400℃における溶融粘度150Pa・s)を用い、工程(II−2)における加熱溶融温度を400℃に代え、工程(IV−2)におけるオーブンによる加熱条件を400℃で10分間に代えた以外は、実施例6と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例6と同様に各種評価に供した。ここで得られた繊維強化複合材料は実施例6に比べ、ボイドが多かった。これは、強化繊維基材(A)への含浸前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が起こった為だと考えられる。各プロセス条件及び評価結果を表2に記載した。
Figure 0005589974
表2の実施例および比較例より以下のことが明らかである。実施例6と、比較例3、および4の比較より、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用いることにより、繊維強化複合材料の製造におけるプロセス温度を低く抑えることが可能であり、強化繊維基材(A)への含浸性に優れ、また、得られる繊維強化複合材料中のボイドが低減可能であることは明らかである。
実施例7より、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は、400℃でも良好に重合させることが可能であり、この方法が、重合速度において優れた方法であることは明らかである。
<引き抜き成形法による繊維強化複合材料の製造方法>
(実施例8)
工程(I−3):強化繊維基材(A)としてトレカ(登録商標)T700S−24K(東レ(株)製炭素繊維)112本を連続的に引き出した。
工程(II−3):参考例1で得られたポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)、および重合触媒(C)を含浸槽に供給し、230℃で加熱融解して溶融液とした。
工程(III−3):工程(I−3)で引き出した強化繊維基材(A)を工程(II−3)の含浸槽に供給し、溶融液を強化繊維基材(A)に含浸させ、さらに、スクイーズダイに通して余分な溶融液を落とした複合体を得た。
工程(IV−3):工程(III−3)で得られた複合体を、繊維強化複合材料が幅100mm、厚み1.4mmとなるよう孔が空いた金型に通し、この金型内で300℃、30分間加熱し、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を重合させた。
工程(IV−3)を経た複合体を150℃の冷却ロールに接触させることで固化させ、さらにベルトコンベヤーで引き出すことで、繊維強化複合材料を連続的に得た。
得られた繊維強化複合材料の重量と、用いた強化繊維基材(A)の重量から、強化繊維基材(A)の含有量を計算した。
得られた繊維強化複合材料からポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)を物理的に分離し、融点測定、融解エンタルピー測定および粘度測定に供した。また、各プロセス条件および評価結果を表3に記載した。
(実施例9)
工程(IV−3)における金型による加熱条件を400℃で10分間に代えた以外は、実施例8と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例8と同様に各種評価に供した。各プロセス条件及び評価結果を表3に記載した。
(比較例5)
参考例3で調製したポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用い、工程(II−3)における加熱溶融温度を350℃に代え、工程(IV−3)における金型による加熱条件を400℃で10分間に代えた以外は、実施例8と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例8と同様に各種評価に供した。ここで得られた繊維強化複合材料は実施例8に比べ、ボイドが多かった。これは、強化繊維基材(A)への含浸前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が起こった為だと考えられる。各プロセス条件及び評価結果を表3に記載した。
(比較例6)
ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)に代えて、VICTREX(登録商標)PEEKTM151G(ビクトレックス・エムシー(株)製ポリエーテルエーテルケトン樹脂、融点343℃、400℃における溶融粘度150Pa・s)を用い、工程(II−3)における加熱溶融温度を400℃に代え、工程(IV−3)における金型による加熱条件を400℃で10分間に代えた以外は、実施例8と同様の方法で繊維強化複合材料を製造した。得られた繊維強化複合材料を実施例8と同様に各種評価に供した。ここで得られた繊維強化複合材料は実施例8に比べ、ボイドが多かった。これは、強化繊維基材(A)への含浸前にポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)の重合が起こった為だと考えられる。各プロセス条件及び評価結果を表3に記載した。
Figure 0005589974
表3の実施例および比較例より以下のことが明らかである。実施例8と、比較例5、および6の比較より、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を用いることにより、繊維強化複合材料の製造におけるプロセス温度を低く抑えることが可能であり、強化繊維基材(A)への含浸性に優れ、また、得られる繊維強化複合材料中のボイドが低減可能であることは明らかである。
実施例9より、本発明におけるポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)は、400℃でも良好に重合させることが可能であり、この方法が、重合速度において優れた方法であることは明らかである。
本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、強化繊維基材とポリフェニレンエーテルエーテルケトンを容易に複合化させることができるため、経済性、生産性を高めることができ、繊維強化複合材料の製造に有用である。
1 :プロペラシャフト
2 :繊維強化複合材料製の円筒体
2a:内層
2b:主層
2c:外層
2d:補強層
3 :金属製継手

Claims (14)

  1. 強化繊維基材(A)を成形型に配置する工程(I−1)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を加熱溶融させて溶融液とする工程(II−1)、該工程(I−1)の成形型に該工程(II−1)で得られた溶融液を注入して、該成分(B)を該成分(A)に含浸させる工程(III−1)、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−1)を有してなる繊維強化複合材料の製造方法であって、該工程(II−1)で用いられる該成分(B)の融点が270℃以下である繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程(I−2)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程(II−2)、該工程(II−2)の含浸槽に該成分(A)を連続的に通し、該成分(B)を該成分(A)に含浸させ、得られた複合体をマンドレルに巻きつける工程(III−2)、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−2)を有してなる繊維強化複合材料の製造方法であって、該工程(II−2)で用いられる該成分(B)の融点が270℃以下である繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 強化繊維基材(A)を引き出し、連続的に供給する工程(I−3)、ポリフェニレンエーテルエーテルケトンオリゴマー(B)を含浸槽内で加熱溶融させて溶融液とする工程(II−3)、該工程(II−3)の含浸槽に該成分(A)を連続的に通し、該成分(B)を該成分(A)に含浸させた複合体を得る工程(III−3)、得られた複合体を金型に通して連続的に引き抜き成形することで、該成分(B)を加熱重合させることにより、ポリフェニレンエーテルエーテルケトン(B’)とする工程(IV−3)を有してなる繊維強化複合材料の製造方法であって、該工程(II−3)で用いられる該成分(B)の融点が270℃以下である繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 前記成分(B)が環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンを60重量%以上含む請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 前記成分(B)が異なる繰り返し数mを有する環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトンの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 前記成分(B)の溶融液に、さらに重合触媒(C)を添加する請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 前記工程(II−1)、(II−2)または(II−3)において、前記成分(B)を160℃以上の温度で加熱溶融させて溶融液とする請求項1〜6のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 前記工程(II−1)、(II−2)または(II−3)において、前記成分(B)からなる溶融液の溶融粘度を10Pa・s以下に調整する請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法
  9. 前記工程(IV−1)、(IV−2)または(IV−3)において、400℃以下の温度で前記加熱重合を行う請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 前記工程(IV−1)、(IV−2)または(IV−3)において、160℃〜330℃の温度で前記加熱重合を行う請求項1〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 前記成分(A)と前記成分(B)の合計が100重量%とした際の前記成分(A)の含有量が10重量%以上である請求項1〜10のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  12. 前記成分(C)の含有量が、前記成分(B)中のエーテルエーテルケトン構成単位1モルに対し0.001〜20モル%である請求項6に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  13. 前記成分(A)が、炭素繊維の単繊維を少なくとも10,000本含有してなる、請求項1〜12のいずれかに記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  14. 前記成分(C)がアルカリ金属塩である請求項6に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
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