JP5589136B1 - コンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シート - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート充填空間内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリートを充填できる、経済性、作業性、汎用性に優れたコンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シートを提供する。
【解決手段】所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした帯状シート1を、コンクリート充填空間2における空気溜まりの生じ易い部位(天端部10)から該充填空間2外へ配置した後、前記充填空間2内へコンクリート3を打設するに際し、帯状シート1の一定方向Xに、前記所定のコンクリート圧以上のコンクリート3を打設し、帯状シート1内にセメントペーストを浸入させつつ空気および余剰水を充填空間外Yへ排出させ、空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填すると共に、帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、コンクリート(モルタル、グラウトを含む。以下同じ。)充填工法および同工法に用いる帯状シートの技術分野に属し、さらに云えば、コンクリート充填空間内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリートを密実に充填することが可能なコンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シートに関する。
コンクリート充填空間内にコンクリートを打設、充填する場合、空気の逃げ場がない部位に空気が残留して空隙(所謂、空気溜まり)が形成されてしまうことがある。
例えば、山岳トンネルやシールドトンネルを構築する場合、二次覆工コンクリートの吹き上げ方式の打設では、天端部分に空気溜まりが生じる場合があった。また、逆打ち工法においては、上部の既設コンクリートと下部の新設コンクリートとの打ち継ぎ部に空気溜まりが生じてしまうことがあった。逆打ち工法に限らず、既設コンクリートに隣接して新設コンクリートを構築する場合、新設コンクリートの形状によっては同様の問題が生じる虞があった。
この空気溜まりは、放置しておくと、構築するコンクリート構造物の水密性、耐久性等の品質低下やひび割れを生じさせる要因となっていた。
そこで、コンクリート打設工事において、空気溜まりの発生は当然のように解決(改善)すべき課題となっている。
例えば、特許文献1には、山岳トンネルやシールドトンネルにおいて、コンクリートが天端部の最上部まで確実に充填されているか否かをコンクリート検知センサで確認しながら締固めを行う技術が開示されている(同文献1の明細書の段落[0022]、[0048]参照)。しかし、空気抜き(エア抜き)に関しては実施されたケースはほとんどなく、根本的な解決には至っていない。また、検知センサ等の精密機器を用いるほか、部材点数も多いので費用も嵩む問題がある。
なお、前記空気抜きの技術としては、トンネルの天端部に空気抜き用のパイプを配管し、コンクリート充填完了後、前記パイプ内にグラウトを充填する施工法が当業者に広く知られている。しかし、パイプの配管に手間とコストが掛かるほか、パイプに穿設した空気抜き孔が詰まりやすく効率よく空気抜きできない。パイプは異物であり、被り不足に起因しトンネルに断面欠損、応力集中等の悪影響を与える。パイプは細径の長尺物であり、グラウトの注入量および注入圧力の管理が難しい等の問題があった。
特許文献2には、逆打ち工法において、先行コンクリート型枠11の下端に充填剤注入管1が配設される溝9を形成する為の溝形成型枠8を設置する工程と、前記先行コンクリート型枠11内にコンクリート4aを打設する工程と、先行打設コンクリート4a養生後においてこの先行打設コンクリート4aの下端部に形成された溝9に充填剤注入管1を、その端部が室内側に突出するよう略U字状に配設する工程と、前記先行打設コンクリート4aの下方に後行コンクリート4bを打設する工程と、後行打設コンクリート4b養生後において前記先行打設コンクリート4aと後行打設コンクリート4bとの間隙に前記充填剤注入管1から充填剤を注入する工程とからなる技術が開示されている(同文献2の請求項1、図1、図2等参照)。
しかし、溝形成形枠8を用いて先行コンクリートの下端部に溝9を形成する必要がある等、独特な作業工程が多く、煩雑である(明細書の段落[0032]〜[0036])。また、エア抜き管3や充填剤注入管1等の異物は、埋め殺すほかなく(同段落[0035]、[0036])、構築するコンクリート構造物に断面欠損、応力集中等の悪影響を与える虞があった。
以上、要するに、トンネル施工や逆打ち工法において、従来から空気溜まりの発生を防止(又は改善)する技術は開示されてはいるものの、コスト等の経済性、作業性、構築するコンクリート構造物の健全性の点において依然として改善すべき課題が残されている。
ところで、特許文献3〜7にかかる発明は、コンクリート打設工事において、空気溜まりの発生を防止する技術ではないが、打設後のコンクリートから生じる余剰水および気泡を外部へ排出する不織布シートを用いている点が注目される。
特開2003−3795号公報 特開平7−238677号公報 特開2012−255323号公報 特開平6−81458号公報 特開平6−143236号公報 特許第2736394号公報 特開平10−25758号公報
特許文献3〜7にかかる発明には、以下の共通点が認められる。
打設後のコンクリートから生じる余剰水(ブリージング水等の水分)と気泡(空気)とを内部へ通過(透過)させる一方、水以外のセメントペースト等のコンクリート成分を通過(透過)させずに遮断する特性を有する不織布シートを用いている点。
前記不織布シートを、型枠の内側面(内側全面)から型枠外部へ連続的に貼り付け、打設後のコンクリートから生じる余剰水と気泡を、不織布シートを通して型枠外部へ排出する構成で実施されている点。
前記不織布シートは、養生後の脱型の際、型枠に貼り付いた状態でコンクリートから剥離されて取り除かれる点。
その結果、コンクリート表面のあばたを防止し、良質な仕上げ面に形成できると共に、コンクリートの品質向上を期待できる点。
しかし、前記特許文献3〜7にかかる発明は、特異なコンクリート打設方法を採用せざるを得ないトンネル施工や逆打ち工法等には適用できない。また、水以外のコンクリート成分(例えば、セメントペースト)を遮断する不織布シートは、コンクリート硬化後は単なる異物でしかなく、取り除くほかない。仮に埋め殺して実施すると、トンネル等のコンクリート構造物に断面欠損、応力集中等の悪影響を与える。
よって、このままでは、コンクリート充填空間における空気溜まりの生じ易い部位に適用することはできなかった。
本発明の目的は、不織布シートの排気・排水可能な特性および使い勝手のよさに着目し、その構造に工夫を施して開発した帯状シート(不織布シートに限定されない。)を用いることにより、コンクリート充填空間における空気溜まりの生じ易い部位に適用して、該充填空間内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリートを充填できる、経済性、作業性、実効性、合理性、汎用性に優れたコンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シートを提供することにある。
本発明の次の目的は、前記帯状シートをセメントペーストと一体化した複合体に形成することにより、構築するコンクリート構造物に断面欠損、応力集中等の悪影響を与えることのない、健全性に優れたコンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シートを提供することにある。
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るコンクリート充填工法は、所定のコンクリート圧で余剰水(ブリージング水等の水分)およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シートを、コンクリート充填空間における空気溜まりの生じ易い部位から該充填空間外へ連続的に貼り付けて配置した後、前記充填空間内へ順次、コンクリートを打設、充填するに際し、前記充填空間内の帯状シートの一定方向に、前記所定のコンクリート圧以上のコンクリートを打設、充填して、前記帯状シート内にセメントペーストを浸入させつつ空気および余剰水を該帯状シートを通して前記充填空間外へ排出させることにより、コンクリート充填空間内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリートを充填すると共に、前記帯状シートをセメントペーストと一体化した複合体に形成することを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記帯状シートは、撥水性を有することを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、ロール状に形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記所定のコンクリート圧は、2000Paであることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、一定方向に1枚、又は間隔をあけてほぼ平行に複数枚配置することを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、山岳トンネルにおける一次覆工又は地山の天端部のトンネル軸線方向に貼り付けて配置することを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、山岳トンネルにおける一次覆工又は地山の天端部のトンネル軸線方向、およびトンネル周方向に貼り付けて配置することを特徴とする。
ここで、前記一次覆工とは、山岳トンネルにおいて、掘削した地山の表面に吹き付けられたコンクリート(吹付けコンクリート)を指す。通常、吹付けコンクリートの表面(下面)には防水(延切り)シートを貼る。よって、前記帯状シートを貼り付ける相手材は厳密には防水シートである場合が多いが、本明細書では単に一次覆工と記載する。なお、地山が良好なときには一次覆工を行わない場合もある。
請求項8に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、シールドトンネルにおけるセグメントの天端部のトンネル軸線方向に貼り付けて配置することを特徴とする。
請求項9に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、シールドトンネルにおけるセグメントの天端部のトンネル軸線方向、およびトンネル周方向に貼り付けて配置することを特徴とする。
請求項10に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、型枠の内側面、又は既設コンクリートに貼り付けて配置することを特徴とする。
請求項11に記載した発明に係る帯状シートは、前記請求項1〜10のいずれか一に記載のコンクリート充填工法に用いる、所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シートであって、不織布・織物・編み物・組み物などの繊維基材、スポンジ、発泡体、或いは土砂・コンクリート・金属・プラスティック・高分子などの粒子を空隙を有するように接着剤等で一体化したもの、等の多孔性材料からなることを特徴とする。
請求項12に記載した発明は、請求項11に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは撥水性を有し、該撥水性は、前記多孔性材料自体の撥水性又は当該帯状シート表面にフッ素系撥水剤が付着していることより発現していることを特徴とする。
請求項13に記載した発明は、請求項11又は12に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、厚さが5.3g/cmの荷重を掛けたときにおいて0.1〜20mm、幅が5〜200mmであることを特徴とする。
請求項14に記載した発明は、請求項11〜13のいずれか一に記載した帯状シートにおいて、前記帯状シートは、幅30mmとし、小容器の内外面に沿ってU字形に配置し、水を入れた大容器の水面に前記小容器を逆にして被せ、8g/cm2の荷重を掛けたときの前記小容器内の空気の減少速度によって測定した通気度が10cm3/cm2/s以上、100cm3/cm2/s未満の範囲であることを特徴とする。
本発明に係るコンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シートによれば、以下の効果を奏する。
1)安価で使い勝手のよい帯状シートを用い、部材点数も少ない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
2)コンクリート打設前の事前準備は、前記帯状シートをコンクリート充填空間内の相手材(一次覆工、地山、既設コンクリート、型枠)に配置する(貼り付ける)だけで足り、熟練工を要しない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
3)前記帯状シートを所定部位に配置した後は、一連のコンクリート打設、充填作業にまかせて脱気・脱水できる。よって、至極合理的である。
4)その結果、コンクリート充填空間内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリートを充填できる。よって、実効性に優れている。
5)コンクリート硬化後(養生後)は、前記帯状シートをセメントペーストと一体化した複合体に形成できる。よって、合理的である。また、産業廃棄物が生じないので、経済性、地球環境性に優れている。さらに、セメントペーストと一体化した帯状シートは、断面欠損、応力集中等の悪影響を与えることもないので、健全性に優れたコンクリート構造物を構築できる。前記帯状シートに補強繊維を用いる場合は、コンクリート構造物の強度向上も期待できる。
6)山岳トンネル、シールドトンネルを構築する場合、前記帯状シートは、コンクリートの打設スパンの端部(妻型枠)から若干(数cm〜数10cm程度)突き出して配置するので、その後の配置作業の目印(マーキング)の役割を果たす。よって、作業効率を高めることができる。また、突き出した既設の帯状シートに一部を重ね合わせて配置すれば、排気・排水の連続性もスムーズに確保できるので、実効性をさらに高めることができる。
A、Bは、実施例1にかかる山岳トンネルの天端部のコンクリート充填工法を段階的に示した模式的説明図である。 A〜Cは、実施例1にかかる山岳トンネルの施工手順を段階的に示した概略図である。 A〜Cは、コンクリート充填空間内にコンクリートが充填される状況を段階的に示した模式的説明図である。 A、Bは、実施例3にかかる逆打ち工法のコンクリート充填工法を段階的に示した立面図である。 実施例4にかかるコンクリート充填工法を概略的に示した立面図である。 Aは、本発明に用いる帯状シートを誇張して示した斜視図であり、Bは、Aの帯状シートの断面図であり、C〜Eは、Aとは異なる構造の帯状シートのバリエーションを示した断面図である。 A〜Cは、本発明に用いる帯状シートのバリエーションを示した断面図である。 Aは、本発明に用いる帯状シートの通気度測定装置を示す模式的斜視図であり、Bは、同通気度測定装置の排気空気計測方法を示す模式的断面図である。 Aは、本発明に用いる帯状シートの空気抜き試験をするための小容器の説明図であり、Bは、空気抜き試験の説明図である。 トンネル天端部の凹凸形状を再現した模型の模式図である。 Aは、帯状シートを用いた(貼り付けた)トンネル天端部のコンクリート充填試験状況を示した模式的説明図であり、Bは、帯状シートを用いないトンネル天端部のコンクリート充填試験状況を示した模式的説明図である。 Aは、帯状シートを用いたトンネル天端部にコンクリートを充填し、バイブレーターで振動を与えた後の状態を示した試験例15にかかる側面写真であり、Bは、帯状シートを用いない比較例4にかかる側面写真である。 A、Bは、トンネル天端部のコンクリート充填試験後に、コンクリート成分が浸透していく状況を段階的に示した写真である。
本発明は、所定のコンクリート圧で余剰水(ブリージング水等の水分。)およびセメントペーストの浸入を許容する、排気性・排水性に工夫を施した帯状シートを用いて実施する。前記帯状シートの具体的構成は、実施例5で詳細に説明する。
前記帯状シートは、コンクリート充填空間における空気溜まりの生じ易い部位から該充填空間外へ連続的に配置する。前記空気溜まりの生じ易い部位は、コンクリート充填空間の形態に応じて異なる。
例えば、山岳トンネルの場合は、一次覆工(吹付けコンクリート)又は地山と移動式コンクリート打設型枠装置の型枠(セントル)とが形成するコンクリート充填空間内の天端部に空気溜まりが生じ易い。シールドトンネルの場合は、セグメントと前記型枠(セントル)とが形成するコンクリート充填空間内の天端部に空気溜まりが生じ易い。逆打ち工法等の場合は既設のコンクリートと新設したコンクリートとの打ち継ぎ部に空気溜まりが生じ易い。
以下、本発明に係るコンクリート充填工法および同工法に用いる帯状シートの実施例を図面に基づいて説明する。
図1と図2は、山岳トンネルを構築する場合のコンクリート充填工法を模式的に示している。
このコンクリート充填工法は、図1Aと図2Aに示したように、所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シート1を、コンクリート充填空間2における空気溜まりの生じ易い部位(天端部10)から該充填空間2外へ連続的に貼り付けて配置した後、前記充填空間2内へ順次、コンクリート(二次覆工コンクリート)3を打設、充填する。
しかる後、コンクリート充填空間2内の帯状シート1の一定方向Xに、前記所定のコンクリート圧以上のコンクリート3を打設、充填して、前記帯状シート1内にセメントペーストを浸入させつつ空気および余剰水を該帯状シート1を通して前記充填空間外Yへ排出させることにより、図1Bに示したように、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填すると共に、養生後は、前記帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成する。
前記コンクリート3を充填するための準備段階として、本実施例1では、トンネル掘削面の安定化処理として、地山(岩盤)に向かって放射状にロックボルトを複数本打ち込み(図示略)、さらに吹付けコンクリート(一次覆工)4を所定厚で吹き付け、トンネルが崩れないように保護処理している(所謂NATM工法)。なお、地山が安定している場合はこの工程を省略する場合もある。
前記帯状シート1は、厚さが5.3g/cmの荷重を掛けたときにおいて0.1〜20mm、幅が5〜200mmが好適で、片面粘着タイプのロール状に形成しており、1次覆工4の天端部10の表面(下面)におけるトンネル軸線方向に沿って貼り付けて配置している。具体的には、トンネル坑内の所定区間(通常、始端部)Sにセットした型枠(セントル)5の頂部のトンネル軸線方向に断続的に設けられた複数の開口部(検査窓)を利用して、作業員の手指により、前記型枠5の全長(10.5m)に亘って連続的に貼り付けて配置している。該開口部は、通常、開閉蓋で塞がれている。
前記帯状シート1を貼り付ける時期は、1次覆工4に対する粘着性を考慮し、トンネルの両側壁部にコンクリート3を打設、充填した後、天端部10にコンクリート3を打設する前(直前)、が好ましい。
前記帯状シート1は、脱気・脱水作用を確実に発揮させるべく、念のため、型枠5の両端部(又は一端部)の妻型枠から数cm〜数10cm程度突き出して(はみ出して)実施することが好ましい。なお、前記帯状シート1の突き出し寸法(数cm〜数10cm程度)は、次設の帯状シート1との重ね合わせ効果により、排気・排水の連続性を確実に確保するのに好適な長さとされ、使用する帯状シート1の材料やコンクリート3の流動性に応じて適宜設計変更可能である。
なお、本実施例では、厚さが2mm程度、幅が30mm程度の帯状シート1をほぼ平行に4列配置で実施しているが、サイズおよび列数はこれに限定されず、適宜設計変更可能である。
また、本実施例では、天端部10の空気および余剰水を効率よく充填空間外Yへ排出するため、補助的に、トンネル周方向にも帯状シート1aを(1列又は複数列)貼り付けて配置している。
本発明に用いる帯状シート1は、排気性・排水性に工夫を施し、所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした。さらに云えば、コンクリート充填空間2内の空気が抜けるよりも早くコンクリート3のセメントペーストが滲み込むことを防止する必要があるなど、種々の工夫を施した。この帯状シート1の具体的構成は、以下の実施例5で詳細に説明する。
すなわち、本実施例にかかるコンクリート充填工法は、前方を妻型枠、後方を打ち継ぎ部(又は妻型枠)で閉塞し、上下を一次覆工4と型枠5とで閉塞して形成したコンクリート充填空間2(スパンS区間等)において、先ず、トンネルの両側壁部にコンクリート3を密実に打設、充填し、次に、空気溜まりの生じ易いトンネル天端部10の一次覆工4(又は地山)の表面に前記帯状シート1を前記態様で貼り付けて配置し、続いて、該天端部10にコンクリート3を打設、充填するのである。
前記コンクリート充填空間2の天端部10へコンクリート3を打設、充填する一連の作業手順は、ほぼ従来通りである。即ち、コンクリート充填空間2(スパンS区間)の始端a側から終端b側へ向かって(矢印X方向に)、順次、コンクリート3を打設、充填する作業を行う。この作業は、従来同様に、型枠5の始端部a側に設けたコンクリート打設口を利用して吹き上げ方式で行われる。
加えて、本実施例では、天端部10に貼り付けた帯状シート1に対しても、始端a側から終端b側へ向かって、順次、確実に、コンクリートを打設、充填すること、その際のコンクリート充填圧は、所定(例えば、2000Pa)以上とすること、の2点に留意して行う。この作業は、型枠又は妻型枠に設けた開口部(検査窓)から作業員が目視で確認しつつ行うことが好ましい。
そうすると、前記帯状シート1は、始端a側から終端b側へ向かって、順に、コンクリート3のセメントペーストが浸入して含浸される。と同時に、コンクリート圧により空気および余剰水がY方向へ排出される。かくして、コンクリート充填空間2(スパンS区間)の天端部10の全域にコンクリート3が充填されると(図1B参照)、前記帯状シート1内の空気および余剰水はすべて該帯状シート1を通してY方向へ排出される。そして、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を密実に充填すると共に、該帯状シート1内にはセメントペーストが充満された状態となる(図3A〜Cも参照)。コンクリート3が硬化した養生後の帯状シート1は、セメントペーストと一体化した複合体に形成される。例えば、補強繊維として、構築したトンネル構造体の強度向上に供される。
前記スパンS区間の養生後は、前記型枠5を折り畳む等して移動式コンクリート打設型枠装置を次なるスパンT区間(図2B参照)へ移動させて位置決めし、該型枠5を展張し、前記工程と同様の工程を行う(前記段落[0034]、[0035]参照)。
そうすると、前記帯状シート1は、前記スパンS区間と同様に、始端b側から終端c側へ向かって、順に、コンクリート3のセメントペーストが浸入して含浸される。と同時に、コンクリート圧により空気および余剰水がY方向へ排出される。かくして、コンクリート充填空間2(スパンT区間)の天端部10の全域にコンクリート3が充填されると(図1B参照)、前記帯状シート1内の空気および余剰水はすべて該帯状シート1を通してY方向へ排出される。そして、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を密実に充填すると共に、該帯状シート1内にはセメントペーストが充満された状態となる(図3A〜Cも参照)。コンクリート3が硬化した養生後の帯状シート1は、セメントペーストと一体化した複合体に形成される。例えば、補強繊維として、構築したトンネル構造体の強度向上に供される。
ちなみに、スパンT区間に配置する帯状シート1は、排気性、排水性、及び作業性を考慮し、前記スパンS区間の前端部の妻型枠から数cm〜数10cm程度突き出した既設の帯状シート1を目印に、一部重ね合わせる等して連続的に貼り付けて実施している。
前記スパンT区間の養生後は、前記型枠5を折り畳む等して移動式コンクリート打設型枠装置を次なるスパンU区間(図2C参照)へ移動させて位置決めし、該型枠5を展張し、前記工程と同様の工程を行う(前記段落[0034]、[0035]参照)。
そうすると、前記帯状シート1は、前記スパンS区間、及びスパンT区間と同様に、始端c側から終端d側へ向かって、順に、コンクリート3のセメントペーストが浸入して含浸される。と同時に、コンクリート圧により空気および余剰水がY方向へ排出される。かくして、コンクリート充填空間2(スパンU区間)の天端部10の全域にコンクリート3が充填されると(図1B参照)、前記帯状シート1内の空気および余剰水はすべて該帯状シート1を通してY方向へ排出される。そして、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を密実に充填すると共に、該帯状シート1内にはセメントペーストが充満された状態となる(図3A〜Cも参照)。コンクリート3が硬化した養生後の帯状シート1は、セメントペーストと一体化した複合体に形成される。例えば、補強繊維として、構築したトンネル構造体の強度向上に供される。
ちなみに、スパンU区間に配置する帯状シート1もまた、排気性、排水性、及び作業性を考慮し、前記スパンT区間の前端部の妻型枠から数cm〜数10cm程度突き出した既設の帯状シート1を目印に、一部重ね合わせる等して連続的に貼り付けて実施している。
以後、前記作業工程をトンネル軸線方向に繰り返し行うことにより、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなく、所要の距離の山岳トンネルを構築する。
なお、本実施例にかかる型枠5は、10.5mで実施しているが、6m、9m、又は12m等で実施する場合もある。この場合は必然的に、1区間に用いる帯状シート1の長さも型枠5の長さに応じて設計変更される。
したがって、実施例1にかかる山岳トンネルのコンクリート充填工法によれば以下の効果を奏する。
安価で使い勝手のよい帯状シート1を用い、部材点数も少ない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
コンクリート打設前の事前準備は、前記帯状シート1をコンクリート充填空間2内の相手材(一次覆工4又は地山の表面)に配置する(貼り付ける)だけで足り、熟練工を要しない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
前記帯状シート1を所定部位に配置した後は、一連のコンクリート打設、充填作業にまかせて脱気・脱水できる。よって、至極合理的である。
その結果、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填できる。よって、実効性に優れている。
コンクリート硬化後(養生後)は、前記帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成できる。よって、合理的である。また、産業廃棄物が生じないので、経済性、地球環境性に優れている。さらに、セメントペーストと一体化した帯状シート1は、断面欠損、応力集中等の悪影響を与えることもないので、健全性に優れたトンネル構造物を構築できる。前記帯状シート1に補強繊維を用いる場合は、トンネル構造物の強度向上も期待できる。
その他、前記帯状シート1は、コンクリート3の打設スパン(S、U、T…)の端部(妻型枠)から若干(数cm〜数10cm程度)突き出して配置するので、その後の配置作業の目印(マーキング)の役割を果たす。よって、作業効率を高めることができる。また、突き出した既設の帯状シート1に一部を重ね合わせて配置すれば、排気・排水の連続性もスムーズに確保することができるので、実効性をさらに高めることができる。
図示は省略するが、シールドトンネルを構築する場合のコンクリート充填工法は、上記実施例1にかかる山岳トンネルを構築する場合と比し、前記帯状シート1を、セグメントの天端部の内側面に配置する点が主に異なる。具体的に、前記帯状シート1は、トンネル天端部10の軸線方向に沿って、セグメントのボルト孔、縦リブを避けた位置で、セグメントの内側面および主桁に連続的に面タッチ状態で隙間なく貼り付けて配置している。
その他の構成および作業工程は上記実施例1と同様なので省略する(前記段落[0030〜[0039]および図1〜図3を参照)。
したがって、シールドトンネルを構築する場合のコンクリート充填工法は、上記実施例1と同様の作用効果を奏する(前記段落[0040]参照)。
図4A、Bは、逆打ち工法で構築する場合のコンクリート充填工法を段階的に示している。
この実施例3にかかるコンクリート充填工法は、上記実施例1、2と比し、コンクリート充填空間2を形成する部材が主に相違する。帯状シート1、コンクリート3は、上記実施例1と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。
ちなみに、図4中の符号6は山留め壁(連壁)、符号7は既設コンクリート、符号8は打込み型枠を示している。
すなわち、この逆打ち工法にかかるコンクリート充填工法は、所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シート1を、山留め壁6と打込み型枠8とが形成するコンクリート充填空間2における空気溜まりの生じ易い部位(既設コンクリート7の下面)から該充填空間2外へ連続的に貼り付けて配置した後、前記充填空間2内へ順次、(新設)コンクリート3を打設、充填する。
しかる後、コンクリート充填空間2内の帯状シート1の一定方向Zに、前記所定のコンクリート圧以上のコンクリート3を打設、充填して、前記帯状シート1内にセメントペーストを浸入させつつ空気および余剰水を該帯状シート1を通して前記充填空間外へ排出させることにより、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填すると共に、養生後は、前記帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成する。
なお、この実施例3にかかる帯状シート1は、前記既設コンクリート7の幅寸方向(図4Aの紙面と鉛直方向)に所要の間隔をあけて複数列配置して実施している。コンクリート3養生後は、既設コンクリート8および新設コンクリート3の側面に沿って突出部を切断する(図4B参照)。
したがって、実施例3にかかる逆打ち工法にかかるコンクリート充填工法によれば以下の効果を奏する。
安価で使い勝手のよい帯状シート1を用い、部材点数も少ない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
コンクリート打設前の事前準備は、前記帯状シート1をコンクリート充填空間2内の相手材(既設コンクリート7の下面)に配置する(貼り付ける)だけで足り、熟練工を要しない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
前記帯状シート1を所定部位に配置した後は、一連のコンクリート打設、充填作業にまかせて脱気・脱水できる。よって、至極合理的である。
その結果、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填できる。よって、実効性に優れている。
コンクリート硬化後(養生後)は、前記帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成できる。よって、合理的である。また、産業廃棄物が生じないので、経済性、地球環境性に優れている。さらに、セメントペーストと一体化した帯状シート1は、断面欠損、応力集中等の悪影響を与えることもないので、健全性に優れたコンクリート構造物を構築できる。前記帯状シート1に補強繊維を用いる場合は、コンクリート構造物の強度向上も期待できる。
図5は、既設コンクリート7上に、ハンチ部9を有する新設コンクリート3を構築する場合の実施例を示している。この場合、従来はハンチ部9に空気溜まりが生じやすい問題があった。
すなわち、このコンクリート充填工法は、所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シート1を、既設コンクリート7の上面と打込み型枠8とが形成するコンクリート充填空間2における空気溜まりの生じ易い部位(ハンチ部9を形成する型枠内側面)から該充填空間2外へ連続的に貼り付けて配置した後、前記充填空間2内へ順次、(新設)コンクリート3を打設、充填する。
コンクリート充填空間2内の帯状シート1の鉛直方向に、前記所定のコンクリート圧以上のコンクリート3を打設、充填して、前記帯状シート1内にセメントペーストを浸入させつつ空気および余剰水を該帯状シート1を通して前記充填空間外へ排出させることにより、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填すると共に、養生後は、前記帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成する。
なお、この実施例4にかかる帯状シート1も、前記既設コンクリート7の幅寸方向(図5の紙面と鉛直方向)に所要の間隔をあけて複数列配置して実施している。ただし、コンクリート養生後は、打ち込み型枠8と分離させる必要があるので、該型枠8には位置決めできる程度の弱い粘着力で貼り付けて配置する点に留意する。
そして、コンクリート養生後は、新設コンクリート3の上面に沿って突出部を切断する(図示略)。
したがって、実施例4にかかるコンクリート充填工法によれば以下の効果を奏する。
安価で使い勝手のよい帯状シート1を用い、部材点数も少ない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
コンクリート打設前の事前準備は、前記帯状シート1をコンクリート充填空間2内の相手材(打ち込み型枠8の内側面)に配置する(貼り付ける)だけで足り、熟練工を要しない。よって、経済性、作業性、汎用性に優れている。
前記帯状シート1を所定部位に配置した後は、一連のコンクリート打設、充填作業にまかせて脱気・脱水できる。よって、至極合理的である。
その結果、コンクリート充填空間2内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリート3を充填できる。よって、実効性に優れている。
コンクリート硬化後(養生後)は、前記帯状シート1をセメントペーストと一体化した複合体に形成できる。よって、合理的である。また、産業廃棄物が生じないので、経済性、地球環境性に優れている。さらに、セメントペーストと一体化した帯状シート1は、断面欠損、応力集中等の悪影響を与えることもないので、健全性に優れたコンクリート構造物を構築できる。前記帯状シート1に補強繊維を用いる場合は、コンクリート構造物の強度向上も期待できる。
以下、前記帯状シート1の具体的構成について詳細に説明する。なお、本実施例にかかる帯状シート1は、一例として、繊維基材の一種である不織布を採用している。
前記帯状シート1は、前記コンクリート充填空間2内に存在する空気はコンクリート3の打設による圧力により不織布内を通じて効率よく抜くことができ、その後は不織布内にコンクリート3の成分(セメントペースト等)が浸み込んでコンクリート3に一体化される機能を有する。これにより、コンクリート3の打設時のコンクリート充填空間2内の空気溜まりを減少ないしは消滅させることができる。
前記機能を発揮させるため、一つの指標として通気度を挙げることができる。通気度は、帯状シート1を幅30mmとし、小容器の内外面に沿ってU字形に配置し、水を入れた大容器の水面に前記小容器を逆にして被せ、8g/cmの荷重を掛けたときの前記小容器内の空気の減少速度によって測定できる。この測定による通気度は10cm/cm/s以上、100cm/cm/s未満が好ましく、さらに好ましくは30〜65cm/cm/sであり、とくに好ましくは32〜47cm/cm/sである。通気度が前記の範囲であれば、コンクリート充填空間2内に存在する空気をさらに効率よく抜くことができる。通気度試験において空気の抜ける時間は10〜100秒が好ましく、さらに好ましくは15〜70秒であり、とくに好ましくは25〜47秒である。通気度の具体的な測定方法は、以下の試験例において説明する。
通気度が10cm/cm/s未満では、空気が抜けるのに時間がかかるため、空気溜まりを減少ないしは消滅させることができない傾向となる。一方、100cm/cm/s以上であると、コンクリート3の成分が早く滲み込んで複合化する機能を有するが、空気溜まりの空気が抜けるよりも早くコンクリート3の成分が不織布内に滲み込むため、通気性がなくなり空気を効率よく抜くことができない傾向となる。
本発明にかかる帯状シート1は、撥水性を有することが好ましい。撥水性を有しない帯状シート1も本発明の機能を発揮できるが、空気溜まりの空気が抜けるよりも早くコンクリート3の成分が不織布内に滲み込み易いので、施工条件によっては、通気性がなくなり空気を効率よく抜くことができなくなる。一方、撥水性を有する帯状シート1は、空気溜まりの空気が抜けるよりもコンクリート3の成分が不織布内に滲み込まないので、コンクリート打設時のコンクリート充填空間2内の空気溜まりを減少ないしは消滅させることができる。
撥水性は、JISL1096 6.26.1吸水速度(1)A法(滴下法)により評価できる。吸水速度の速い不織布は、撥水性に劣り、吸水速度の遅い不織布は、撥水性に優れている。吸水速度の速い不織布は、撥水性が無いので濡れやすく、コンクリート3の成分が早く滲み込んで一体化する機能は有するが、空気溜まりの空気が抜けるよりも早くコンクリート3の成分が不織布内に滲み込むため、通気性がなくなり空気を効率よく抜くことができない。一方、吸水速度の遅い不織布、すなわち撥水性を有す不織布は、空気溜まりの空気が抜けるよりも早くコンクリート3の成分が不織布内に滲み込まないので、コンクリート打設時のコンクリート充填空間2内の空気溜まりを減少ないしは消滅させることができる。
撥水性は、吸水速度によって評価ができる。その吸水速度は、10秒以上が好ましく、さらに好ましくは100秒以上であり、特に好ましくは300秒以上である。10秒未満であると、空気が抜けるより早くコンクリート3の成分が不織布に滲み込んで、通気性がなくなり空気を効率よく抜くことができない傾向となる。
前記不織布を構成する繊維はいかなる繊維であっても良い。具体的には、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、モダアクリル繊維、ポリエステル繊維、全芳香族ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポリアミド繊維、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ乳酸、ノボロイド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリケトン繊維、およびポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、羊毛繊維、綿繊維、麻繊維、セルロース繊維、パルプ繊維等の有機繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、アスベ スト繊維、玄武岩繊維等の無機繊維、ステンレス、スチールなどの金属繊維を挙げることができるが、コンクリートのアルカリにも耐えられる繊維が好ましい。具体的にはビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル系繊維、及び炭素繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維が好ましい。これらの繊維はコンクリート補強繊維としてよく知られているものもある。例えばビニロン繊維及びポリプロピレン繊維はチョップとしてプレキャストコンクリートに混合している。
前記繊維の好ましい繊度は1〜100deci texであり、さらに好ましくは3〜50deci texであり、とくに好ましくは5〜30deci texである。繊度が前記の範囲であれば腰があり、コンクリート打設時にも好ましい通気度を維持できる。
本発明者らは、本発明の帯状シート1でコンクリート充填空間2内に存在する空気を効率よく抜きながら、コンクリート3の成分と一体化する機能は、不織布を構成する繊維の平均繊維径から理論計算した理論平均細孔径とよく一致することを見出した。理論平均細孔径の計算は、Wrotnowskyの式によると、不織布の平均細孔径Dpは、不織布を構成している繊維の平均繊維径、繊維単体の密度、不織布の密度が判れば、次式により計算できる。
[数1]
Dp=fd[1.25√(ρf/ρs)―1]
Dp:理論平均細孔径(μm)
fd:平均繊維径(μm)
ρf:繊維単体の密度(g/cm
ρs:不織布の密度(g/cm
コンクリート充填空間2内に存在する空気を効率よく抜きながら、コンクリート3の成分と一体化する機能を発揮するのに好ましい理論平均細孔径は10μm以上、500μm未満である。さらに好ましくは50〜200μmであり、とくに好ましくは70〜150μmである。理論細孔径が、30μm未満では、空気溜りの空気を抜く機能は有するが、コンクリート3の成分が滲み込んで一体化しない傾向となる。一方、500μmより大きくなると、コンクリート3の成分が早く滲み込んで一体化する機能は有するが、空気溜まりの空気が抜けるよりも早くコンクリート3の成分が不織布内に滲み込むため、通気性がなくなり空気を効率よく抜くことができない傾向となる。
前記帯状シート1のいずれかの部分には補強層(基布とも言う)が一体化されていてもよい。補強層を一体化すると寸法安定性が向上し、貼り付け工事の際の取扱い性が良好となる。補強層は不織布の表層に配置しても良いし、内部に配置しても良い。表層に配置する場合は、壁面側に配置し、補強層の外側に粘着層を配置することもできる。粘着層があると貼り付けるのに便利である。補強層は織物、編み物、スパンボンド不織布、ネット、樹脂層などいかなる層であっても良い。補強層の素材も前記不織布と同様なものを使用できる。
前記不織布の単位面積当たりの重量(目付)は50〜3000g/m2の範囲が好ましい。さらに好ましい目付は100〜2000g/m2であり、とくに好ましくは200〜1000g/m2である。目付が前記の範囲であれば、コンクリート打設時にはコンクリート充填空間2内の空気溜まりを効率よく減少ないしは消滅でき、打設後はコンクリート3に一体化される効果も期待できる。
前記不織布は、厚さが5.3g/cmの荷重を掛けたときに0.1〜20mmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜15mm、とくに好ましくは2〜8mmである。幅は5〜200mmが好ましく、さらに好ましくは10〜150mm、とくに好ましくは20〜100mmである。前記帯状シート(長尺状シート)1は、ロール(テープ)状に形成すると使い勝手がよいので好ましい。
前記不織布の撥水性は、繊維自体が撥水性を有する場合はそのまま使用することもできるし(例えばポリプロピレン繊維)、撥水処理しても良い。撥水処理する場合はフッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤などがあり、いずれでもよいが、フッ素系撥水処理加工は撥水性が高く好ましい。撥水性はコンクリート打設時に必要であり、洗濯耐久性などは要求されない。
なお、本実施例にかかる帯状シート1は不織布で実施しているがこれに限定されない。織物、編み物、組み物などの繊維基材、或いは前記通気性、細孔径を有するスポンジ、発泡体、土砂・コンクリート・金属・プラスティック・高分子などの粒子を空隙を有するように接着剤等で一体化したものなどの多孔性材料(多孔質材料)、であれば帯状シート1に用いることができる。
ただし、コスト面からは不織布が好ましい。不織布はいかなるものであってもよく、カードウェブ、エアレイ、湿式、スパンボンド、フラッシュ紡糸、メルトブロー、ケミカルボンド、サーマルボンド、ニードルパンチ、ウォータージェット、ステッチボンド法又はこれらの方法を任意に組み合わせた方法による不織布を使用できる。
また、前記不織布の一方の主面に粘着層が一体化されている。粘着剤層があると、工事現場で貼り付けるのに便利だからである。粘着剤層の表面には剥離紙又は剥離フィルムを備えることが好ましい。以下、剥離紙又は剥離フィルムは剥離紙と表現する。
前記不織布のコンクリート3と接する面を樹脂コーティングして、コンクリート3の成分の浸入速度を遅くすることも好ましい。コーティング量(単位面積当たりの重量:目付)は1〜1000g/m2の範囲が好ましい。さらに好ましい目付は5〜500g/m2であり、とくに好ましくは10〜300g/m2である。目付が前記の範囲であれば、コンクリート3の成分の浸入速度を遅くすることができるので、空気溜まりの空気が抜けるよりも早くコンクリート3の成分が不織布内に滲み込まず、コンクリート打設時にはコンクリート充填空間2内の空気溜まりを効率よく減少ないしは消滅できる。コーティング量が、前記範囲内であれば、打設後は徐々にコンクリート3の成分が不織布に浸入しコンクリートに一体化される効果も期待できる。一方、コーティング量が、1000g/m2より多い場合は、打設後にコンクリート3の成分が不織布に浸入しにくいので、コンクリート3に一体化される効果が期待できない。
本発明の帯状シート1をコーティングする樹脂はいかなる樹脂であっても良い。具体的には、スチレンブタジエン、アクリルニトリルスチレン、クロロプレンなどの合成ゴム系、天然ゴム系、アクリル酸エステル、アクリルスチレンなどのアクリル系、ウレタン系、ポリ酢酸ビニール、エチレン酢酸ビなどの酢ビ・EVA系、塩化ビニール、塩化ビニリデンなどの塩ビ・ビニリデン系、尿素―ホルマリン、メラミンーホルマリンなどの尿素・メラミン系、エポキシ系、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系、シリコン系、ポリビニルアルコール系などを含む樹脂でコーティングするのが好ましい。これらの中でも、親水性に優れるポリビニルアルコール系を含む樹脂を好適に使用することができる。なお、樹脂の状態としては、例えば、エマルジョン、ラテックス、サスペンジョン、溶液などであることができる。なお、コーティングに適した粘度に調整するためにアンモニアなどによるアルカリ増粘、アクリル系、CMC系などの増粘剤を添加することも好ましい。なお、樹脂溶出を効果的に抑えるために、架橋剤(例えば、メラミン系、オキサゾリン系、イソシアネート系等)を樹脂に添加することができる。架橋剤以外にも、コンクリート3の成分との接触性を良好にするために、界面活性剤を添加することもできる。更に、撥油剤、浸透剤などの機能性薬剤を樹脂に添加することができる。
次に、図面を用いて説明する。
図6Aは本発明の一実施例の帯状シート1を示した斜視図であり、繊維層17が帯状に形成されている。図6Bは、同断面図である。図6Cは別の実施例の帯状シート1であり、繊維層17の一表面に補強層(基布)18が一体化されている。一体化する方法は厚さ方向のニードルパンチ、水流交絡、溶融孔、熱ラミネート、接着材による加工などがある。図6Dはさらに別の実施例の帯状シート1であり、繊維層17と補強層18が一体化され、補強層18の表面に粘着剤層19が形成されている。図6Eはさらに別の実施例の帯状シート1であり、繊維層17の一表面に補強層18が一体化され、その表面に粘着剤層19が形成され、その表面を剥離紙20で覆っている。
図7Aは、本発明の一実施例の帯状シート1の断面図である。上層下層の繊維層17の間に補強層18が一体化されている。一体化する方法は厚さ方向のニードルパンチ、水流交絡、溶融孔、熱ラミネート、接着材による加工などがある。図7Bはさらに別の実施例の帯状シート1であり、繊維層17の一表面に粘着材層19が形成されている。図8Cはさらに別の実施例の帯状シート1であり、繊維層17の一表面に粘着材層19が形成され、その表面を剥離紙20で覆っている。
以下、試験例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明にかかる帯状シート1は下記の試験例に限定されるものではない。
<通気度測定試験>
図8Aに帯状シート1の通気度測定装置11を示し、図8Bに同通気度測定装置11の排気空気計測方法を示す。まず図8Aに示すように、直径240mm、高さ140mm、内容積6リットル程度の小容器12の内壁側面から外壁側面に沿って幅30mm、長さ300mmにカットした帯状シート1を粘着テープでU字形に配置して止めた。図8Aには説明の簡略化のため1本の帯状シート1を示したが、実際は2本の帯状シート1をU字形に配置して止めた。次に、水を入れた大容器16(直径270mm、高さ150mm、内容積8.5リットル程度)の水面に小容器12を逆にして被せ、8g/cm2の荷重15を掛けた。このようにすると、小容器12の空間部に溜まっていた空気13は帯状シート1内を通過して外部に排出され、その分小容器12の水面14が上昇し、大容器16内の水面14’は低下する。そこで、図8Bに示すように水が入った大容器16の底から150mmの位置に小容器12を一気に沈め、この水面21の位置で小容器12の外面2か所に配置したセンサー23,24が水と接触して通電開始となるようにし(計測開始)、ここから荷重15で小容器12を沈め、大容器16の底から100mmの位置で水面22からセンサー23,24が離れて非通電となり、計測は終了する。この測定で約1.5リットルの空気が帯状シート1を通じて排気され、通電開始から非通電となるまでの時間から通気度が測定できる。25は水面22のセンサー検知位置である。撥水性のない不織布は、住友スリーエム社製、商品名“スコッチガード撥水スプレーSC−P345i”を前面にスプレーして撥水性を持たせてから測定した。撥水性を有する不織布は、そのままで測定した。通気度は、次式より換算した。通気度(cm3/cm2/s)=空気体積(1660cm3)÷不織布断面積(cm2)÷通電開始から非通電となるまでの時間(秒)。
<吸水速度試験>
JISL1096 6.26.1吸水速度(1)A法(滴下法)により吸水速度の遅速により、撥水性を評価した。試験方法は、試料から約20cm×20cmの試験片を採取し、金属性リング(直径15cm)に取り付ける。次に水1mlを25±3滴に分割できるビュレットを用い、ビュレットの先端が試料の表面から1cmの高さになるようにして水滴を1滴落下させ、ストップウォッチにより水滴が試験片上に達したときからその水滴が特別の反射をしなくなるまでの時間を測定する。試験回数は10回とし、その平均値で表した。
<コンクリートを使用した試験>
(1)コンクリート(セメントペースト(又は未固結コンクリート))の空気抜き試験
下記表1に示す成分を混合してコンクリート3とし、40リットル容器30に約30リットル入れた。一方、図9Aに示すように小容器32(内径290mm×高さ140mm:約6リットル)の内壁側面から外壁側面に沿って4か所、十文字の位置に幅30mmにカットした帯状シート1を粘着テープでU字形に配置して止めた。図9Bに示すように、小容器32を逆にしてコンクリート3に手で押し込み、小容器32の空気が抜けてコンクリート3と置換されるか否かを評価した。小容器32を逆にしてコンクリート3に入れると、小容器32の内部は空間になっており、トンネル天端部10のコンクリート充填空間2内に存在する空気と同様に扱える。小容器32の押し込み力はコンクリート3の打設による圧力に見立てることができる。そして、小容器32を押し込み、小容器32内の空気が抜ける場合は、帯状シート1内を空気が通過すると判断できる。小容器の空気が全部抜けた場合は合格、抜けない場合は不合格とした。
(2)コンクリートの含浸試験
上記において、押し込んだ状態で20分間静置させ、その後小容器32を取り出して帯状シート1を分解し、コンクリートの成分が不織布内に含浸しているかを観察した。
W:上水道水
C:高炉セメントB種(密度3.0g/cm3、太平洋セメント)
S:細骨材;佐伯砕砂(表乾密度2.62g/cm3、吸水率1.50%、粗粒率2.75)
(試験例1〜12)
JNC社製、ポリプロピレン繊維(繊度6.6deci texと18.7deci tex,繊維長いずれも51mm)をカードウェブとし、ニードルパンチ法により不織布とした。不織布の表面又は内部に基布を積層一体化した。基布は目付70g/m2のポリエステル繊維製メッシュ織物とした。積層一体化はニードルパンチによって繊維を絡めることで行った。得られた不織布を撥水剤(旭硝子社製、商品名”Asahi Guard AG-E082”)水溶液を含浸させ、絞り、乾燥させた。試験例11、試験例12は撥水処理をしなかった。条件と結果を表2〜表3にまとめて示す。
(試験例13〜14)
カネカ社製、アクリル系繊維(繊度8.9deci texと16.7deci tex,繊維長いずれも51mm)をカードウェブとし、ニードルパンチ法により不織布とした。不織布の表面又は内部に基布を積層一体化した。基布は目付70g/m2のポリプロピレン繊維製メッシュ織物とした。積層一体化はニードルパンチによって繊維を絡めることで行った。条件と結果を表2〜表3にまとめて示す。得られた不織布を撥水剤(旭硝子社製、商品名”Asahi Guard AG-E082”)水溶液を含浸させ、絞り、乾燥させた。条件と結果を表2〜表3にまとめて示す。
(比較例1〜4)
カネカ社製、アクリル系繊維(繊度0.9deci tex、8.9deci texと16.7deci tex,繊維長いずれも51mm)をカードウェブとし、ニードルパンチ法により不織布とした。不織布の表面又は内部に基布を積層一体化した。基布は目付70g/m2のポリプロピレン繊維製メッシュ織物とした。積層一体化はニードルパンチによって繊維を絡めることで行った。比較例4は、不織布を撥水剤(旭硝子社製、商品名”Asahi Guard AG-E082”)水溶液を含浸させ、絞り、乾燥させた。条件と結果を表2〜表3にまとめて示す。
(備考)撥水剤付着率は次式から求めた。
撥水剤付着率(dt%)=(不織布に付着した撥水剤水溶液の重量/不織布重量)×撥水剤水溶液の固形分濃度(%)
表3に示す通り、試験例1〜14の不織布は好ましい通気度を有しており、コンクリート3の空気抜き試験で空気は抜け、コンクリート3と置換できた。通気度は32〜62cm3/cm2/s、空気の抜ける時間(通電開始から非通電までの時間)は25〜47秒であれば、コンクリート3の空気抜き試験及び含浸試験は良好であった。また、コンクリート3は不織布の内部に均一に含浸していた。これに対して比較例1〜3ではコンクリート3は不織布の内部に均一に含浸していたが、空気が抜けるより先にコンクリート3の成分が不織布の内部に浸透してしまい、空気を抜くことはできなかった。
(試験例15、比較例4)
本試験例は、トンネル天端のコンクリート充填試験について説明する。図10に示すように、凹凸のトンネル天端部を再現した模型を製作し、帯状シート1を用いたトンネル天端部のコンクリート充填試験を実施した。厚さ5mmの透明アクリル樹脂板で凹凸状43を有するコンクリート打設試験装置40を製作し、帯状シート1を該凹凸状43に貼り付け、コンクリート充填口41へコンクリート3を充填するコンクリート充填試験を実施した。この試験装置40の寸法は、L1:1000mm,L2:300mm,L3:300mm,L4:75mm,L5:500mmとした。
試験例15では、試験例6の帯状シート1を凹凸のトンネル天端部に貼り付けた模型とした。比較例4では、帯状シート1は使用しなかった。試験例15と比較例4の模型に表1に記載したコンクリート3を流し込み、バイブレーター45で振動を与えコンクリート3を流動化させて、トンネル天端部の空気だまりの発生有無を評価した。図11はコンクリートを流し込み、バイブレーターで振動を与えコンクリート3を流動化させた後の試験例15、比較例4の断面図である。図12はコンクリート3を流し込み、バイブレーターで振動を与えコンクリート3を流動化させた後の側面写真である。試験例15では、不織布を通じて空気が抜けるので図12Aに示すとおり、トンネル天端部の空気だまりが発生しなかった。一方、比較例4では、図12Bに示すとおり、空気だまりが発生した。図13Aは、バイブレーターで振動を与え(振動数:120往復/分、振動距離:100mm)、コンクリート3を流動化させた直後の図12Aの上面から観察した写真で、不織布にはまだコンクリート成分が均一に浸透していないが、10分経過後の図13Bの写真では、コンクリート成分が均一に浸透している。さらに、2日間養生し脱型したトンネル天端部を観察したところ、不織布内にはコンクリート成分が均一に含浸しており、空気溜まりは見つからなかった。以上から不織布を入れたことによる欠陥はないことが確認できた。
このように、実施例1〜5を図面等に基づいて説明したが、本発明は、この限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、本発明は、大型のボックスカルバートを構築する場合に前記帯状シート1を空気溜まりの生じ易い部位に配置して実施することもできる。その他、側壁、溝、橋梁、橋台、高架道路、高架鉄道、建築物等のコンクリート壁面などにも広く適用できる。
1 帯状シート
1a 帯状シート
2 コンクリート充填空間
3 コンクリート
4 一次覆工(吹付けコンクリート)
5 型枠(セントル)
6 山留め壁
7 既設コンクリート
8 型枠
9 ハンチ部
10 天端部
11 通気度測定装置
12 小容器
13 空気
14,14’,21,22 水面
15 荷重
16 大容器
17 繊維層
18 補強層(基布)
19 粘着剤層
20 剥離紙
23,24 センサー
25 センサー検知位置
30 大容器
32 小容器
40 トンネル天端部を再現した模型
41 コンクリート充填口
43 (トンネル天端部の)凹凸状
45 バイブレータ
46a,46b 空気だまり

Claims (14)

  1. 所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シートを、コンクリート充填空間における空気溜まりの生じ易い部位から該充填空間外へ連続的に貼り付けて配置した後、前記充填空間内へ順次、コンクリートを打設、充填するに際し、前記充填空間内の帯状シートの一定方向に、前記所定のコンクリート圧以上のコンクリートを打設、充填して、前記帯状シート内にセメントペーストを浸入させつつ空気および余剰水を該帯状シートを通して前記充填空間外へ排出させることにより、コンクリート充填空間内に空気溜まりをほぼ生じさせることなくコンクリートを充填すると共に、前記帯状シートをセメントペーストと一体化した複合体に形成することを特徴とする、コンクリート充填工法。
  2. 前記帯状シートは、撥水性を有することを特徴とする、請求項1に記載したコンクリート充填工法。
  3. 前記帯状シートは、ロール状に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した帯状シート。
  4. 前記所定のコンクリート圧は、2000Paであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  5. 前記帯状シートは、一定方向に1枚、又は間隔をあけてほぼ平行に複数枚配置することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  6. 前記帯状シートは、山岳トンネルにおける一次覆工又は地山の天端部のトンネル軸線方向に貼り付けて配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  7. 前記帯状シートは、山岳トンネルにおける一次覆工又は地山の天端部のトンネル軸線方向、およびトンネル周方向に貼り付けて配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  8. 前記帯状シートは、シールドトンネルにおけるセグメントの天端部のトンネル軸線方向に貼り付けて配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  9. 前記帯状シートは、シールドトンネルにおけるセグメントの天端部のトンネル軸線方向、およびトンネル周方向に貼り付けて配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  10. 前記帯状シートは、型枠の内側面、又は既設コンクリートに貼り付けて配置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載したコンクリート充填工法。
  11. 前記請求項1〜10のいずれか一に記載のコンクリート充填工法に用いる、所定のコンクリート圧で余剰水およびセメントペーストの浸入を許容する構造とした片面粘着タイプの帯状シートは、不織布・織物・編み物・組み物などの繊維基材、スポンジ、発泡体、或いは土砂・コンクリート・金属・プラスティック・高分子などの粒子を空隙を有するように接着剤等で一体化したもの、等の多孔性材料からなることを特徴とする、帯状シート。
  12. 前記帯状シートは撥水性を有し、該撥水性は、前記多孔性材料自体の撥水性又は当該帯状シート表面にフッ素系撥水剤が付着していることより発現していることを特徴とする、請求項11に記載した帯状シート。
  13. 前記帯状シートは、厚さが5.3g/cmの荷重を掛けたときにおいて0.1〜20mm、幅が5〜200mmであることを特徴とする、請求項11又は12に記載した帯状シート。
  14. 前記帯状シートは、幅30mmとし、小容器の内外面に沿ってU字形に配置し、水を入れた大容器の水面に前記小容器を逆にして被せ、8g/cm2の荷重を掛けたときの前記小容器内の空気の減少速度によって測定した通気度が10cm3/cm2/s以上、100cm3/cm2/s未満の範囲であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一に記載した帯状シート。
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