近年、基板に処理を行う処理部の積層化にともない、基板処理装置の処理能力の向上が図られている。この場合、基板処理装置による単位時間当たりに処理可能な基板の枚数が増加するので、基板収納容器から基板処理装置内に取り出す基板の数を増加させることが求められる。また、単位時間当たりに基板処理装置内から基板収納容器内に収納する基板の数を増加させることが求められる。したがって、基板収納容器を載置するオープナーの数も基板処理装置の処理能力の向上に応じて増加させることが好ましい。
しかしながら、フットプリントの制約等により設置可能なオープナーの数には制限がある。そのため、基板処理装置のスループットが基板収納容器の交換時間により律速される場合がある。
本発明の目的は、大型化を抑制しつつ基板処理のスループットを十分に向上させることができる基板処理装置、ストッカー装置および基板収納容器の搬送方法を提供することである。
[1]本発明
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、基板を取り出すためまたは基板を収納するための開口部およびその開口部を開閉するための蓋を含みかつ複数の基板が収納された基板収納容器が搬入および搬出されるストッカー装置と、ストッカー装置に搬入された基板収納容器から基板を取り出し、取り出された基板に所定の処理を行うとともに処理後の基板を基板収納容器に収納する本体部と、ストッカー装置の動作を制御する制御部とを備え、ストッカー装置は、基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置と、基板収納容器の蓋を開閉するオープナーとを備え、複数の載置部のうち少なくとも一部の載置部はオープナーの上面に設けられ、搬送装置は、基板収納容器の上部を保持可能でかつ複数の載置部の間でそれぞれ独立に移動可能に構成された第1および第2の保持部を備え、制御部は、第1の保持部と第2の保持部との間の上下方向の距離を調整可能に構成され、第2の保持部は、第1の保持部の下方に設けられ、第1および第2の保持部は、上下方向に延びる共通の軸に沿ってそれぞれ独立に移動可能に構成され、制御部は、少なくとも一部の載置部のうちいずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第2の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに第2の保持部および他の基板収納容器を一の載置部が設けられたオープナーに対向する位置で待機させ、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器を第1の保持部により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、第2の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に載置させるように搬送装置を制御するものである。
この基板処理装置においては、処理前の基板が収納された基板収納容器がストッカー装置に搬入される。基板収納容器がストッカー装置に搬入されると、本体部により基板収納容器に収納された基板が取り出され、取り出された基板に所定の処理が施される。処理後の基板は、本体部により基板収納容器に収納される。処理後の基板が収納された基板収納容器がストッカー装置から搬出される。
ストッカー装置においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では搬送装置により基板収納容器が搬送される。
少なくとも一部の載置部のうちいずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第2の保持部により上方から他の基板収納容器が保持されるとともに、第2の保持部および保持された他の基板収納容器が一の載置部が設けられたオープナーに対向する位置で待機する。
一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器が第1の保持部により上方から保持されて一の載置部上から取り出されるとともに、第2の保持部により保持された他の基板収納容器が一の載置部に迅速に載置される。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、基板処理のスループットを向上させることができる。
これらより、基板処理装置の大型化を抑制しつつ、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(2)制御部は、第1または第2の保持部に異常が発生したか否かを判定し、第1および第2の保持部のうち一方に異常が発生した場合に、一方の保持部の動作を停止させ、他方の保持部に各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を行わせるように搬送装置を制御してもよい。
この場合、第1および第2の保持部のうちいずれか一方の保持部に異常が発生しても、正常な他方の保持部を用いて各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を継続することができる。その結果、基板処理装置の生産効率が著しく低下することが防止される。
(3)第2の発明に係るストッカー装置は、基板を取り出すためまたは基板を収納するための開口部およびその開口部を開閉するための蓋を含みかつ複数の基板を収納可能な基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置と、基板収納容器の蓋を開閉するオープナーと、制御部とを備え、複数の載置部のうち少なくとも一部の載置部はオープナーの上面に設けられ、搬送装置は、基板収納容器の上部を保持可能でかつ複数の載置部の間でそれぞれ独立に移動可能に構成された第1および第2の保持部を備え、制御部は、第1の保持部と第2の保持部との間の上下方向の距離を調整可能に構成され、第2の保持部は、第1の保持部の下方に設けられ、第1および第2の保持部は、上下方向に延びる共通の軸に沿ってそれぞれ独立に移動可能に構成され、制御部は、少なくとも一部の載置部のうちいずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第2の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに第2の保持部および他の基板収納容器を一の載置部が設けられたオープナーに対向する位置で待機させ、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器を第1の保持部により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、第2の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に載置させるように搬送装置を制御するものである。
このストッカー装置においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では搬送装置により基板収納容器が搬送される。
少なくとも一部の載置部のうちいずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第2の保持部により上方から他の基板収納容器が保持されるとともに、第2の保持部および保持された他の基板収納容器が一の載置部が設けられたオープナーに対向する位置で待機する。
一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器が第1の保持部により上方から保持されて一の載置部上から取り出されるとともに、第2の保持部により保持された他の基板収納容器が一の載置部に迅速に載置される。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、ストッカー装置内での基板収納容器の搬送時間を短縮することができる。
これらより、ストッカー装置の大型化を抑制しつつ、基板の搬送時間を短縮することができる。したがって、このストッカー装置を基板処理装置に設けた場合に、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(4)制御部は、第1または第2の保持部に異常が発生したか否かを判定し、第1および第2の保持部のうち一方に異常が発生した場合に、一方の保持部の動作を停止させ、他方の保持部に各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を行わせるように搬送装置を制御してもよい。
この場合、第1および第2の保持部のうちいずれか一方の保持部に異常が発生しても、正常な他方の保持部を用いて各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を継続することができる。その結果、このストッカー装置を基板処理装置に設けた場合に、基板処理装置の生産効率が著しく低下することが防止される。
(5)第3の発明に係る基板収納容器の搬送方法は、ストッカー装置を用いて複数の基板を収納可能な基板収納容器を搬送する搬送方法であって、基板収納容器は、基板を取り出すためまたは基板を収納するための開口部およびその開口部を開閉するための蓋を含み、ストッカー装置は、基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置と、基板収納容器の蓋を開閉するオープナーとを備え、複数の載置部のうち少なくとも一部の載置部はオープナーの上面に設けられ、搬送装置は、基板収納容器の上部を保持可能でかつ複数の載置部の間でそれぞれ独立に移動可能に構成された第1および第2の保持部を備え、第2の保持部は、第1の保持部の下方に設けられ、第1および第2の保持部は、上下方向に延びる共通の軸に沿ってそれぞれ独立に移動可能に構成され、搬送方法は、基板収納容器が載置される複数の載置部の間で基板収納容器を第1および第2の保持部により搬送するステップを備え、搬送するステップは、第1の保持部と第2の保持部との間の上下方向の距離を調整するステップと、少なくとも一部の載置部のうちいずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第2の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに第2の保持部および他の基板収納容器を一の載置部が設けられたオープナーに対向する位置で待機させ、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器を第1の保持部により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、第2の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に載置させるステップとを含むものである。
この基板収納容器の搬送方法においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では第1および第2の保持部により基板収納容器が搬送される。
少なくとも一部の載置部のうちいずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第2の保持部により上方から他の基板収納容器が保持されるとともに、第2の保持部および保持された他の基板収納容器が一の載置部が設けられたオープナーに対向する位置で待機する。
一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器が第1の保持部により上方から保持されて一の載置部上から取り出されるとともに、第2の保持部により保持された他の基板収納容器が一の載置部に迅速に載置される。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、基板収納容器の搬送時間を短縮することができる。
これらより、基板収納容器を搬送するための構成の大型化を抑制しつつ、基板の搬送時間を短縮することができる。したがって、この搬送方法を基板処理装置に適用することにより、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(6)搬送するステップは、第1または第2の保持部に異常が発生したか否かを判定するステップと、第1および第2の保持部のうち一方に異常が発生した場合に、一方の保持部の動作を停止させ、他方の保持部に各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を行わせるステップとをさらに備えてもよい。
この場合、第1および第2の保持部のうちいずれか一方の保持部に異常が発生しても、正常な他方の保持部を用いて各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を継続することができる。その結果、この搬送方法を基板処理装置に適用することにより、基板処理装置の生産効率が著しく低下することが防止される。
[2]参考形態
(1)第1の参考形態に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、複数の基板が収納された基板収納容器が搬入および搬出されるストッカー装置と、ストッカー装置に搬入された基板収納容器から基板を取り出し、取り出された基板に所定の処理を行うとともに処理後の基板を基板収納容器に収納する本体部とを備え、ストッカー装置は、基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置は、基板収納容器を保持可能でかつ複数の載置部の間で移動可能に構成された第1および第2の保持部を備え、第2の保持部は、第1の保持部の下方に設けられるものである。
この基板処理装置においては、処理前の基板が収納された基板収納容器がストッカー装置に搬入される。基板収納容器がストッカー装置に搬入されると、本体部により基板収納容器に収納された基板が取り出され、取り出された基板に所定の処理が施される。処理後の基板は、本体部により基板収納容器に収納される。処理後の基板が収納された基板収納容器がストッカー装置から搬出される。
ストッカー装置においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では搬送装置により基板収納容器が搬送される。
搬送装置は第1および第2の保持部を備える。これにより、いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに他の基板収納容器を一の載置部に対向する位置で待機させることができる。
この状態で、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態になると、一の基板収納容器を第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、一方の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に迅速に載置させることができる。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、基板処理のスループットを向上させることができる。
また、搬送装置において、第2の保持部は第1の保持部の下方に設けられる。それにより、第1および第2の保持部を含む構造体がコンパクトに構成される。
これらより、基板処理装置の大型化を抑制しつつ、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(2)第1および第2の保持部は、それぞれ独立に移動可能に構成されてもよい。
この場合、載置部上からの基板収納容器の取り出し動作、基板収納容器の載置部への載置動作、および基板収納容器の搬送動作を並行して行うことが可能となる。それにより、ストッカー装置内での基板収納容器の搬送時間が短縮される。
(3)複数の載置部は、水平方向に整列するように配置され、搬送装置は、第1および第2の保持部を複数の載置部の整列方向に沿って移動させる水平移動機構と、第1および第2の保持部をそれぞれ独立して上下方向に移動させる上下移動機構とをさらに備えてもよい。
この場合、水平移動機構により、第1および第2の保持部が複数の載置部の整列方向に移動する。また、上下移動機構により、第1および第2の保持部がそれぞれ独立して上下方向に移動する。
これにより、簡単な構成でいずれかの載置部上に載置された基板収納容器を第1および第2の保持部のうち一方の保持部によりその載置部上から取り出し、取り出した基板収納容器を他の載置部へ搬送し、第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持された基板収納容器をその基板収納容器が取り出された載置部上に載置することが可能である。
さらに、上下方向においては、第1および第2の保持部を相対的に移動させることができるので、第1および第2の保持部を互いに近接させ、または離間させることができる。これにより、上下方向で制限された基板処理装置内の空間を有効に利用することができる。
(4)上下移動機構は、第1および第2の保持部を上下方向に移動可能に支持する支持体と、支持体を上下方向に移動させる支持体上下移動機構と、支持体に対して第1および第2の保持部をそれぞれ上下方向に移動させる第1および第2の保持部移動機構とを含み、水平移動機構は、支持体を複数の載置部の整列方向に沿って移動させてもよい。
この場合、上下移動機構により支持体を上下方向に移動させつつ、第1および第2の保持部移動機構により第1および第2の保持部を上下方向に移動させることができる。それにより、第1および第2の保持部の上下方向の移動が高速化する。その結果、ストッカー装置における基板収納容器の搬送時間を十分に短縮化することができる。
また、水平移動機構により支持体が複数の載置部の整列方向に沿って移動する。これにより、第1および第2の保持部を同時に複数の載置部の整列方向に沿って移動させることができる。
(5)支持体は、互いに間隔をおいてそれぞれ上下方向に延びるように設けられた第1および第2の支持部材を含み、第1の保持部移動機構は、第1の保持部を第1の支持部材に沿って移動させ、第2の保持部移動機構は、第2の保持部を第2の支持部材に沿って移動させ、第1および第2の保持部は、第1および第2の支持部材の間の位置と複数の載置部の各々の位置との間で進退可能に構成されてもよい。
この場合、第1および第2の保持部移動機構により第1および第2の保持部がそれぞれ第1および第2の支持部材に沿って上下方向に移動する。これにより、簡単な構成で第1および第2の保持部を上下方向に移動させることができる。
また、第1および第2の保持部は、第1の支持部材と第2の支持部材との間の位置と複数の載置部の各々の位置との間で進退する。これにより、単純な動作でいずれかの載置部上に載置された基板収納容器を第1および第2の保持部のうち一方の保持部によりその載置部上から取り出し、第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持された基板収納容器をその載置部上に載置することができる。したがって、第1および第2の支持部材の構成および動作を単純化することができる。
(6)第2の参考形態に係るストッカー装置は、複数の基板を収納可能な基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置は、基板収納容器を保持可能でかつ複数の載置部の間で移動可能に構成された第1および第2の保持部を備え、第2の保持部は、第1の保持部の下方に設けられるものである。
このストッカー装置においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では搬送装置により基板収納容器が搬送される。
搬送装置は第1および第2の保持部を備える。これにより、いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに他の基板収納容器を一の載置部に対向する位置で待機させることができる。
この状態で、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態になると、一の基板収納容器を第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、一方の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に迅速に載置させることができる。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、ストッカー装置内での基板収納容器の搬送時間を短縮することができる。
また、搬送装置において、第2の保持部は第1の保持部の下方に設けられる。それにより、第1および第2の保持部を含む構造体がコンパクトに構成される。
これらより、ストッカー装置の大型化を抑制しつつ、基板の搬送時間を短縮することができる。したがって、このストッカー装置を基板処理装置に設けた場合に、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(7)第1および第2の保持部は、それぞれ独立に移動可能に構成されてもよい。
この場合、載置部上からの基板収納容器の取り出し動作、基板収納容器の載置部への載置動作、および基板収納容器の搬送動作を並行して行うことが可能となる。それにより、ストッカー装置内での基板収納容器の搬送時間が短縮される。
(8)複数の載置部は、水平方向に整列するように配置され、搬送装置は、第1および第2の保持部を複数の載置部の整列方向に沿って移動させる水平移動機構と、第1および第2の保持部をそれぞれ独立して上下方向に移動させる上下移動機構とをさらに備えてもよい。
この場合、水平移動機構により、第1および第2の保持部が複数の載置部の整列方向に移動する。また、上下移動機構により、第1および第2の保持部がそれぞれ独立して上下方向に移動する。
これにより、簡単な構成でいずれかの載置部上に載置された基板収納容器を第1および第2の保持部のうち一方の保持部によりその載置部上から取り出し、取り出した基板収納容器を他の載置部へ搬送し、第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持された基板収納容器をその基板収納容器が取り出された載置部上に載置することが可能である。
さらに、上下方向においては、第1および第2の保持部を相対的に移動させることができるので、第1および第2の保持部を互いに近接させ、または離間させることができる。これにより、上下方向で制限されたストッカー装置内の空間を有効に利用することができる。
(9)上下移動機構は、第1および第2の保持部を上下方向に移動可能に支持する支持体と、支持体を上下方向に移動させる支持体上下移動機構と、支持体に対して第1および第2の保持部をそれぞれ上下方向に移動させる第1および第2の保持部移動機構とを含み、水平移動機構は、支持体を複数の載置部の整列方向に沿って移動させてもよい。
この場合、上下移動機構により支持体を上下方向に移動させつつ、第1および第2の保持部移動機構により第1および第2の保持部を上下方向に移動させることができる。それにより、第1および第2の保持部の上下方向の移動が高速化する。その結果、ストッカー装置における基板収納容器の搬送時間を十分に短縮化することができる。
また、水平移動機構により支持体が複数の載置部の整列方向に沿って移動する。これにより、第1および第2の保持部を同時に複数の載置部の整列方向に沿って移動させることができる。
(10)支持体は、互いに間隔をおいてそれぞれ上下方向に延びるように設けられた第1および第2の支持部材を含み、第1の保持部移動機構は、第1の保持部を第1の支持部材に沿って移動させ、第2の保持部移動機構は、第2の保持部を第2の支持部材に沿って移動させ、第1および第2の保持部は、第1および第2の支持部材の間の位置と複数の載置部の各々の位置との間で進退可能に構成されてもよい。
この場合、第1および第2の保持部移動機構により第1および第2の保持部がそれぞれ第1および第2の支持部材に沿って上下方向に移動する。これにより、簡単な構成で第1および第2の保持部を上下方向に移動させることができる。
また、第1および第2の保持部は、第1の支持部材と第2の支持部材との間の位置と複数の載置部の各々の位置との間で進退する。これにより、単純な動作でいずれかの載置部上に載置された基板収納容器を第1および第2の保持部のうち一方の保持部によりその載置部上から取り出し、第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持された基板収納容器をその載置部上に載置することができる。したがって、第1および第2の支持部材の構成および動作を単純化することができる。
(11)第3の参考形態に係る基板処理装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、複数の基板が収納された基板収納容器が搬入および搬出されるストッカー装置と、ストッカー装置に搬入された基板収納容器から基板を取り出し、取り出された基板に所定の処理を行うとともに処理後の基板を基板収納容器に収納する本体部と、ストッカー装置の動作を制御する制御部とを備え、ストッカー装置は、基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置は、基板収納容器を保持可能でかつ複数の載置部の間で移動可能に構成された第1および第2の保持部を備え、制御部は、いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに他の基板収納容器を一の載置部に対向する位置で待機させ、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器を第1および第2の保持部のうち他方により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、一方の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に載置させるように搬送装置を制御するものである。
この基板処理装置においては、処理前の基板が収納された基板収納容器がストッカー装置に搬入される。基板収納容器がストッカー装置に搬入されると、本体部により基板収納容器に収納された基板が取り出され、取り出された基板に所定の処理が施される。処理後の基板は、本体部により基板収納容器に収納される。処理後の基板が収納された基板収納容器がストッカー装置から搬出される。
ストッカー装置においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では搬送装置により基板収納容器が搬送される。
いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器が保持されるとともに、保持された他の基板収納容器が一の載置部に対向する位置で待機する。
一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器が第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持されて一の載置部上から取り出されるとともに、一方の保持部により保持された他の基板収納容器が一の載置部に迅速に載置される。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、基板処理のスループットを向上させることができる。
これらより、基板処理装置の大型化を抑制しつつ、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(12)制御部は、第1または第2の保持部に異常が発生したか否かを判定し、第1および第2の保持部のうち一方に異常が発生した場合に、一方の保持部の動作を停止させ、他方の保持部に各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を行わせるように搬送装置を制御してもよい。
この場合、第1および第2の保持部のうちいずれか一方の保持部に異常が発生しても、正常な他方の保持部を用いて各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を継続することができる。その結果、基板処理装置の生産効率が著しく低下することが防止される。
(13)第4の参考形態に係るストッカー装置は、複数の基板を収納可能な基板収納容器が載置される複数の載置部と、複数の載置部の間で基板収納容器を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置は、基板収納容器を保持可能でかつ複数の載置部の間で移動可能に構成された第1および第2の保持部と、制御部とを備え、制御部は、いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに他の基板収納容器を一の載置部に対向する位置で待機させ、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器を第1および第2の保持部のうち他方により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、一方の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に載置させるように搬送装置を制御するものである。
このストッカー装置においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では搬送装置により基板収納容器が搬送される。
いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器が保持されるとともに、保持された他の基板収納容器が一の載置部に対向する位置で待機する。
一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器が第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持されて一の載置部上から取り出されるとともに、一方の保持部により保持された他の基板収納容器が一の載置部に迅速に載置される。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、ストッカー装置内での基板収納容器の搬送時間を短縮することができる。
これらより、ストッカー装置の大型化を抑制しつつ、基板の搬送時間を短縮することができる。したがって、このストッカー装置を基板処理装置に設けた場合に、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(14)制御部は、第1または第2の保持部に異常が発生したか否かを判定し、第1および第2の保持部のうち一方に異常が発生した場合に、一方の保持部の動作を停止させ、他方の保持部に各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を行わせるように搬送装置を制御してもよい。
この場合、第1および第2の保持部のうちいずれか一方の保持部に異常が発生しても、正常な他方の保持部を用いて各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を継続することができる。その結果、このストッカー装置を基板処理装置に設けた場合に、基板処理装置の生産効率が著しく低下することが防止される。
(15)第5の参考形態に係る基板収納容器の搬送方法は、複数の基板を収納可能な基板収納容器を搬送する搬送方法であって、基板収納容器が載置される複数の載置部の間で基板収納容器を第1および第2の保持部により搬送するステップを備え、第1および第2の保持部は、基板収納容器を保持可能でかつ複数の載置部の間で移動可能に構成され、搬送するステップは、いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器を保持させるとともに他の基板収納容器を一の載置部に対向する位置で待機させるステップと、一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器を第1および第2の保持部のうち他方により保持して一の載置部上から取り出させるとともに、一方の保持部により他の基板収納容器を一の載置部に載置させるステップとを含むものである。
この基板収納容器の搬送方法においては、複数の載置部に基板収納容器が載置される。複数の載置部の間では第1および第2の保持部により基板収納容器が搬送される。
いずれか一の載置部に一の基板収納容器が載置された状態で第1および第2の保持部のうち一方の保持部により他の基板収納容器が保持されるとともに、保持された他の基板収納容器が一の載置部に対向する位置で待機する。
一の載置部に載置された一の基板収納容器が搬送可能な状態となると、一の基板収納容器が第1および第2の保持部のうち他方の保持部により保持されて一の載置部上から取り出されるとともに、一方の保持部により保持された他の基板収納容器が一の載置部に迅速に載置される。
このように、各載置部上での基板収納容器の交換時間が十分に短縮される。したがって、最小限の数の載置部を設けることにより、基板収納容器の搬送時間を短縮することができる。
これらより、基板収納容器を搬送するための構成の大型化を抑制しつつ、基板の搬送時間を短縮することができる。したがって、この搬送方法を基板処理装置に適用することにより、基板処理のスループットを十分に向上させることが可能となる。
(16)搬送するステップは、第1または第2の保持部に異常が発生したか否かを判定するステップと、第1および第2の保持部のうち一方に異常が発生した場合に、一方の保持部の動作を停止させ、他方の保持部に各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を行わせるステップとをさらに備えてもよい。
この場合、第1および第2の保持部のうちいずれか一方の保持部に異常が発生しても、正常な他方の保持部を用いて各載置部への基板収納容器の載置動作、各載置部からの基板収納容器の取り出し動作、および複数の載置部間での基板収納容器の搬送動作を継続することができる。その結果、この搬送方法を基板処理装置に適用することにより、基板処理装置の生産効率が著しく低下することが防止される。
本発明によれば、基板収納容器を搬送する構成の大型化を抑制しつつ基板処理のスループットを十分に向上させることができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置、ストッカー装置および基板収納容器の搬送方法について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板等をいう。
本実施の形態に係る基板処理装置には、外部(例えば他の基板処理装置)から複数枚の基板を多段に収納するキャリアが搬入される。基板処理装置内では、搬入されたキャリアから処理前の基板が取り出され、取り出された基板に所定の処理が施される。その後、処理後の基板がキャリアに収納される。処理後の基板を収納するキャリアが基板処理装置から搬出される。本実施の形態では、キャリアとしてFOUP(Front Opening Unified Pod)が用いられる。FOUPには、基板を取り出すためまたは基板を収納するための開口部が形成され、その開口部を開閉するための蓋が設けられる。FOUPを用いることにより、複数の基板を密閉空間内に保持しつつ搬送することが可能となる。
(1)基板処理装置の構成
図1は本発明の一実施の形態に係る基板処理装置を一側方から見た一部切り欠き断面図であり、図2は図1のA−A線縦断面図であり、図3は図1のB−B線横断面図である。なお、図1〜図3ならびに後述する図4〜図8および図11〜図13には、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付す。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
図1に示すように、基板処理装置1は、ストッカー装置2、インデクサブロック3、処理ブロック4およびインターフェースブロック5を含む。ストッカー装置2、インデクサブロック3、処理ブロック4およびインターフェースブロック5は、この順でX方向に沿って並ぶように配置される。また、インターフェースブロック5に隣接するように露光装置6が配置される。
この基板処理装置1は、クリーンルーム内に設置される。基板処理装置1の上方では、クリーンルームの天井7にレール8が取り付けられる。レール8には、基板処理装置1とその外部(他の基板処理装置等)との間でキャリアFを搬送する外部搬送装置70が設けられる。
図2に示すように、外部搬送装置70は、OHT(Overhead Hoist Transport)機構を有する。この外部搬送装置70は、レール8に沿ってキャリアFを搬送する搬送車71を備える。搬送車71には、把持部72、ロープ73および図示しないウィンチが設けられる。把持部72は、キャリアFの上部に設けられた突起FCを把持する。ロープ73は、搬送車71から把持部72を吊るすために用いられる。ウィンチは、ロープ73の巻き上げまたは繰り出しを行う。
図1に示すように、ストッカー装置2とインデクサブロック3との間には、雰囲気遮断用の隔壁31が設けられる。この隔壁31には、図2に示すように、ストッカー装置2とインデクサブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うための4つの開口部31aが形成されている。
図1〜図3に示すように、ストッカー装置2は、複数のオープナー21a,21b,21c,21d、受取棚22a、引渡棚22b、複数の保管棚22c,22d,22e,22fおよび搬送装置200を備える。ストッカー装置2の床面上には、隔壁31に接するように4つのオープナー21a〜21dが設けられる。4つのオープナー21a〜21dは、X方向に等間隔で整列するように配置され、それぞれキャリアFが載置される載置部21fを備える。
図2に示すように、隔壁31の4つの開口部31aは、それぞれ4つのオープナー21a〜21dの載置部21fの高さから上の領域に形成されている。各オープナー21a〜21dは、隔壁31に形成された開口部31aを開閉するシャッターおよびシャッター駆動部(図示せず)を備える。シャッター駆動部は、シャッターとともに載置部21fに載置されたキャリアFの蓋を開閉する。
4つの保管棚22c,22d,22e,22fは、4つのオープナー21a〜21dの上部にそれぞれ設けられる。各保管棚22c,22d,22e,22fには、キャリアFが載置される。受取棚22aおよび引渡棚22bは、オープナー21a〜21dの整列方向(X方向)における両端の2つの保管棚22c,22fの上部にそれぞれ設けられる。各受取棚22aおよび引渡棚22bには、キャリアFが載置される。
ストッカー装置2の搬送装置200(図1および図3)は、上記の複数のオープナー21a〜21d、受取棚22a、引渡棚22bおよび保管棚22c〜22fの間でキャリアFを搬送するために用いられる。詳細は後述する。
図1および図3に示すように、インデクサブロック3は、ストッカー装置2、インデクサブロック3、処理ブロック4およびインターフェースブロック5の動作を制御するメインコントローラ39およびインデクサロボット34を備える。メインコントローラ39は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリ、またはマイクロコンピュータからなり、基板処理装置1内の各構成要素の動作を制御する。インデクサロボット34には、基板Wを受け渡すためのハンド34aが設けられる。
さらに、図2および図3に示すように、インデクサブロック3は、操作パネル90を備える。操作パネル90は、インデクサブロック3の側壁に設けられる。操作パネル90は、作業者による操作に応じてメインコントローラ39(図1)に指令信号を出力する。操作パネル90は警報装置91を含む。警報装置91は、例えばランプまたはスピーカ等の出力装置である。
図1の処理ブロック4は、複数の処理部4Uおよび複数の処理部4U間で基板Wを搬送する図示しない搬送ロボットを備える。処理ブロック4において、複数の処理部4Uは、複数段に積層配置される。図1の例では、インデクサブロック3に隣接する4つの処理部4Uが4段に積層配置されている。
処理ブロック4の複数の処理部4Uには、基板Wにレジスト膜を形成するレジスト膜用塗布処理部、基板Wを加熱または冷却する熱処理部、および露光後の基板Wを現像する現像処理部が含まれる。
インデクサブロック3と処理ブロック4との間には、雰囲気遮断用の隔壁32(図1および図3)が設けられる。この隔壁32には、処理ブロック4における処理部4Uの段数と同じ数(4つ)の開口部32aが形成される。また、隔壁32の各開口部32aには基板載置部33が設けられる。これらの開口部32aおよび基板載置部33は、インデクサブロック3と処理ブロック4との間で基板Wの受け渡しを行うために用いられる。
インターフェースブロック5は、基板処理装置1と露光装置6との間で基板Wの受け渡しを行う図示しない搬送ロボットを備える。
(2)基板処理装置の動作
(2−a)基板処理装置の動作の概略
基板処理装置1における一連の動作の概略を、主として図2を参照しつつ説明する。まず、ストッカー装置2の受取棚22aに処理前の基板Wが収納されたキャリアFが載置される(キャリア搬入工程)。
次に、受取棚22aに載置されたキャリアFがストッカー装置2内で搬送され、オープナー21a,21bの載置部21fのいずれかに載置される(第1のキャリア搬送工程)。なお、キャリアFをオープナー21a,21bの載置部21fのいずれにも載置できない場合、そのキャリアFは保管棚22cに載置される。 続いて、図3のインデクサロボット34によりオープナー21a,21bのいずれかの載置部21fに載置されたキャリアFから処理前の基板Wが取り出される(基板取り出し工程)。
上記の基板取り出し工程においては、キャリアFからの基板Wの取出しが繰り返されることにより、キャリアFが空になる。空のキャリアFがストッカー装置2内で搬送され、オープナー21c,21dの載置部21fのいずれかに載置される(第2のキャリア搬送工程)。なお、キャリアFをオープナー21c,21dの載置部21fのいずれにも載置できない場合、そのキャリアFは保管棚22d,22eのいずれかに載置される。
基板取り出し工程においてキャリアFから取り出された基板Wは、図1の処理ブロック4および露光装置6内に搬送され、所定の処理が施される(基板処理工程)。
図3のインデクサロボット34によりオープナー21c,21dのいずれかの載置部21fに載置された空のキャリアF内に処理後の基板Wが搬送され、収納される(基板収納工程)。
オープナー21c,21dの載置部21f(図2および図3)に載置された空のキャリアFに処理後の基板Wが所定数収納されると、処理後の基板Wが収納されたキャリアFが搬送され、引渡棚22bに載置される(第3のキャリア搬送工程)。なお、キャリアFを引渡棚22bに載置できない場合、そのキャリアFは保管棚22fに載置される。最後に、引渡棚22bに載置されたキャリアFが外部に搬出される(キャリア搬出工程)。上記の各工程の詳細を説明する。
(2−b)キャリア搬入工程
図1および図2に示すように、ストッカー装置2の上部は開放されている。基板処理装置1へのキャリアFの搬入は次のように行われる。まず、処理前の基板Wが収納されたキャリアFが外部搬送装置70により搬送され、受取棚22aの上方位置で停止する。
そして、図2に示すように、搬送車71のウィンチが動作することによりロープ73が繰り出され、把持部72により把持されたキャリアFが下降してストッカー装置2の受取棚22a上に載置される(図2の矢印Q1参照)。次に、把持部72による突起FCの把持状態が解除され、ウィンチが動作することによりロープ73が巻き上げられる。これにより、把持部72が上昇して搬送車71内に収容される。
(2−c)第1のキャリア搬送工程
第1のキャリア搬送工程においては、ストッカー装置2内で受取棚22a上に載置されたキャリアFが、搬送装置200(図1および図3)により搬送され、2つのオープナー21a,21bの載置部21f(図2および図3)のいずれかに載置される。キャリアFをオープナー21a,21bの載置部21fのいずれにも載置できない場合、そのキャリアFは保管棚22c(図2)に載置される。
(2−d)基板取り出し工程
2つのオープナー21a,21b(図2および図3)により載置部21fに載置されたキャリアFの蓋が開かれるとともに開口部31a(図2および図3)のシャッターが開かれる。
インデクサブロック3のインデクサロボット34(図1および図3)によりキャリアFから処理前の基板Wが取り出され、隔壁32(図1および図3)に設けられた複数の基板載置部33のうちのいずれかに搬送される。このようにして、基板処理装置1内に搬入されたキャリアFから処理前の基板Wが処理ブロック4(図1および図3)内へ取り出される。
(2−e)第2のキャリア搬送工程
上記の取り出し動作が繰り返して行われることによりキャリアFが空になると、空のキャリアFは搬送装置200(図1および図3)により搬送され、図2の2つのオープナー21c,21dの載置部21f(図2および図3)のいずれかに載置される。キャリアFをオープナー21c,21dのいずれにも載置できない場合、そのキャリアFは保管棚22d,22e(図2および図3)のいずれかに載置される。
(2−f)基板処理工程
処理ブロック4(図1および図3)においては、搬送ロボットにより基板載置部33(図1および図3)に載置された処理前の基板Wが複数の処理部4Uのうちのいずれかに搬送される。これにより、インデクサブロック3から搬送された処理前の基板Wにフォトレジストの塗布処理および熱処理等が施される。
基板Wは、さらに搬送ロボットによりインターフェースブロック5(図1)を介して露光装置6(図1)に搬送される。露光装置6においては、インターフェースブロック5から搬送される基板Wに対して露光処理が施される。露光処理が施された基板Wは、インターフェースブロック5を介して再び処理ブロック4に搬送される。
処理ブロック4においては、露光処理後の基板Wに現像処理および熱処理等が施される。上記の一連の処理(塗布処理、露光処理、現像処理および熱処理等)が施された基板Wは、搬送ロボットにより搬送され、再び基板載置部33に載置される。そして、インデクサブロック3のインデクサロボット34(図1および図3)により受け取られる。
(2−g)基板収納工程
上記のように、処理前の基板Wが取り出されることにより空になったキャリアFは、ストッカー装置2の2つのオープナー21c,21dの載置部21f(図2および図3)の少なくとも一方に載置される。この状態で、キャリアFの蓋および開口部31a(図2および図3)のシャッターが開かれる。これにより、処理後の基板Wが、インデクサロボット34により空のキャリアF内へ搬送される。このようにして、処理ブロック4および露光装置6による処理後の基板Wが、空のキャリアFに収納される。
(2−h)第3のキャリア搬送工程
オープナー21c,21dの載置部21f(図2および図3)に載置された空のキャリアFに処理後の基板Wが所定数収納されると、キャリアFの蓋が閉じられるとともに開口部31a(図2および図3)のシャッターが閉じられる。
そして、処理後の基板Wが収納されたキャリアFは図3の搬送装置200により搬送され、引渡棚22b(図2)に載置される。キャリアFを引渡棚22bに載置できない場合、そのキャリアFは保管棚22f(図2)に載置される。
(2−i)キャリア搬出工程
引渡棚22b(図2)の上方位置には予め外部搬送装置70(図2)が待機している。図2に示すように、引渡棚22bにキャリアFが載置されると、搬送車71のウィンチが動作することによりロープ73が繰り出される。これにより、把持部72が下降してキャリアFの上部に達すると、キャリアFの突起FCが把持部72により把持される。この状態で、ウィンチが動作することによりロープ73が巻き上げられる。それにより、把持部72が上昇してキャリアFが搬送車71内に収容される(図2の矢印Q2参照)。その後、外部搬送装置70が移動することにより、処理後の基板Wが収納されたキャリアFが基板処理装置1の外部に搬送される。
(3)ストッカー装置が備える搬送装置の詳細
図4は図1のC−C線における一部拡大縦断面図である。図4では、搬送装置200を拡大して図示する。図3および図4に示すように、搬送装置200は、主として第1の搬送フレーム210、第2の搬送フレーム220、第1のハンド230、第2のハンド240、第1の移動機構M1、第2の移動機構M2、第3の移動機構M3および第4の移動機構M4を備える。
図3に示すように、ストッカー装置2の床面上には、複数のオープナー21a〜21dの前方でレール200Rがオープナー21a〜21dの整列方向(X方向)に沿って延びるように取り付けられる。
図4に示すように、レール200R上に、第1の移動機構M1が設けられる。第1の移動機構M1上に第1の搬送フレーム210が設けられる。第1の搬送フレーム210は、天板211、底板212および互いに対向する一対の側板213を備える。第1の移動機構M1は、例えばモータを備える。第1の移動機構M1は、モータが動作することによりレール200R上を移動する。これにより、第1の搬送フレーム210は第1の移動機構M1とともに図3のオープナー21a〜21dの整列方向(X方向)に移動可能となっている。
一対の側板213の内側には、天板211から底板212にかけて一対のレール210Rが上下方向(Z方向)に延びるように取り付けられる。一対のレール210Rの内側には、それぞれ2つの第2の移動機構M2が設けられる。
第1の搬送フレーム210内では、複数の第2の移動機構M2により第2の搬送フレーム220が支持される。第2の搬送フレーム220は、天板221および互いに対向する一対の側板222を備える。第2の搬送フレーム220の底部は開放状態となっている。各側板222における上端近傍部分および下端近傍部分がそれぞれ第2の移動機構M2に接続される。第2の移動機構M2は、例えばモータを備える。第2の移動機構M2は、モータが動作することによりレール210R上を移動する。これにより、第2の搬送フレーム220は、第1の搬送フレーム210内で第2の移動機構M2とともに上下方向(Z方向)に移動可能となっている。
一対の側板222の内側には、一対のレール220Rが上下方向(Z方向)に延びるように取り付けられる。一対のレール220Rの内側には、それぞれ第3の移動機構M3および第4の移動機構M4が設けられる。
第2の搬送フレーム220内では、第3の移動機構M3により第1のハンド230が支持される。第1のハンド230は、支持板231、多関節アーム232および把持部233を備える。支持板231が第3の移動機構M3に接続される。第3の移動機構M3は、例えばモータを備える。第3の移動機構M3は、モータが動作することによりレール220R上を移動する。これにより、第1のハンド230は、第2の搬送フレーム220内で第3の移動機構M3とともに上下方向(Z方向)に移動可能となっている。
同様に、第2の搬送フレーム220内では、第4の移動機構M4により第2のハンド240が支持される。第2のハンド240は、第1のハンド230の下方に位置し、支持板241、多関節アーム242および把持部243を備える。支持板241が第4の移動機構M4に接続される。これにより、第2のハンド240も、第2の搬送フレーム220内で第4の移動機構M4とともに上下方向(Z方向)に移動可能となっている。
第1および第2のハンド230,240は、それぞれ第3および第4の移動機構M3,M4を介して第2の搬送フレーム220内で支持される。そのため、第1および第2のハンド230,240は、上下方向(Z方向)において、第2の搬送フレーム220内で相対的に移動可能となっている。
このようにして、ストッカー装置2内では、第1、第2および第3の移動機構M1,M2,M3により、第1のハンド230が上下方向(Z方向)およびオープナー21a〜21d(図3)の整列方向(X方向)に移動する。また、第1、第2および第4の移動機構M1,M2,M4により、第2のハンド240が上下方向(Z方向)およびオープナー21a〜21d(図3)の整列方向(X方向)に移動する。
第1のハンド230について説明する。図5は第1のハンド230の動作を示す図4のD−D線横断面図である。以下の説明において、第1のハンド230の動作開始前には、オープナー21aの載置部21f上にキャリアFが載置され、第1のハンド230はオープナー21aに対向する位置のやや上方で支持されている。
図5に示すように、第1のハンド230においては、第3の移動機構M3から延びる支持板231の下面に多関節アーム232の一端が取り付けられている。多関節アーム232の他端に把持部233が取り付けられている。
多関節アーム232は、オープナー21aの前後方向(Y方向)に伸縮する。これにより、把持部233がオープナー21aの前後方向(Y方向)に水平姿勢を維持しつつ進退動作する。
図5(a)に示すように、オープナー21aの載置部21f上にキャリアFが載置されている状態で、多関節アーム232が伸びることにより把持部233が第2の搬送フレーム220の内側からキャリアFの突起FCの部分まで移動する。これにより、キャリアFの突起FCが把持部233により把持される。
この状態で、図5(b)に示すように、多関節アーム232が縮むことによりキャリアFを把持する把持部233がオープナー21aの上方位置から第2の搬送フレーム220に向かって移動する。
図5(c)に示すように、多関節アーム232が第2の搬送フレーム220内まで縮むことによりキャリアFを把持する把持部233も第2の搬送フレーム220内に移動する。それにより、キャリアFが第2の搬送フレーム220内で保持される。
上記では、オープナー21aに載置されたキャリアFを第2の搬送フレーム220内で保持する際の第1のハンド230の動作について説明したが、第1のハンド230は、第2の搬送フレーム220内で保持するキャリアFをオープナー21a側に移動させて載置部21fに載置することも可能である。
このように、第1のハンド230によれば、図2の複数のオープナー21a,21b,21c,21dの載置部21f、受取棚22a、引渡棚22b、および複数の保管棚22c,22d,22e,22fに載置されたキャリアFを第2の搬送フレーム220内で保持することができる。
また、第2の搬送フレーム220内で保持するキャリアFを図2の複数のオープナー21a,21b,21c,21dの載置部21f、受取棚22a、引渡棚22b、および複数の保管棚22c,22d,22e,22fに載置することができる。
第2のハンド240の構成および動作は、第1のハンド230の構成および動作と同様である。
(4)ストッカー装置が備える搬送装置によるキャリアの交換動作
上述のように、ストッカー装置2においては、基板取り出し用のオープナー21a,21bの載置部21f(図2および図3)に載置されたキャリアFが空になると、図4の搬送装置200によりそのキャリアFが載置部21fから取り出され、新たなキャリアF(処理前の基板Wが収納されたキャリアF)が載置部21f上に載置される(第1のキャリア搬送工程)。
また、基板収納用のオープナー21c,21dの載置部21f(図2および図3)に載置されたキャリアFに処理後の基板Wが所定数収納されると、図4の搬送装置200によりそのキャリアFが載置部21fから取り出され、新たなキャリアF(空のキャリアF)が載置部21f上に載置される(第2のキャリア搬送工程)。
このように、オープナー21a〜21d上では、図4の搬送装置200によりキャリアFの交換動作が行われる。搬送装置200によるキャリアFの交換動作について図4および図6〜図8に基づき説明する。
図6〜図8は、ストッカー装置2におけるキャリアFの交換動作を説明するための模式的縦断面図である。以下では、第1のキャリア搬送工程において、オープナー21aの載置部21f上で、空のキャリアF2と処理前の基板Wが収納された新たなキャリアF1とを交換する場合の搬送装置200の動作を説明する。
図6(a)に示すように、第1のキャリア搬送工程の開始前においては、受取棚22aにキャリアF1が載置されている。第1の搬送フレーム210がオープナー21a〜21dの整列方向(X方向)に移動し、第2の搬送フレーム220が上下方向(Z方向)に移動することにより、第1および第2のハンド230,240が受取棚22aに対向する位置のやや上方で支持される。このとき、第2の搬送フレーム220内では、第1および第2のハンド230,240は互いに近接する。
図6(b)に矢印で示すように、第1のキャリア搬送工程が開始されると、第2のハンド240の多関節アーム242が伸びることにより把持部243が受取棚22a上に載置されたキャリアF1の上方に移動する。この状態で、第2のハンド240がわずかに下降することによりキャリアF1の突起FCが把持部243により把持される。
次に、図6(c)に矢印で示すように、多関節アーム242が縮むことにより、キャリアF1を把持する把持部243が第2の搬送フレーム220内に移動する。これにより、キャリアF1が第2の搬送フレーム220内で第2のハンド240により保持される。
次に、図6(d)に矢印で示すように、第2の搬送フレーム220内で第2のハンド240が下方に移動する。これにより、第2の搬送フレーム220内では、第1および第2のハンド230,240が所定距離上下方向(Z方向)で離間する。なお、この所定距離はキャリアFの高さよりも大きい。
次に、図7(a)に矢印で示すように、第2の搬送フレーム220が下方に移動する。これにより、第1のハンド230がオープナー21aに対向する位置のやや上方で支持される。
次に、図7(b)に矢印で示すように、第1のハンド230の多関節アーム232が伸びることにより把持部233がオープナー21a上に載置されたキャリアF2の上方に移動する。この状態で、第1のハンド230がわずかに下降することによりキャリアF2の突起FCが把持部233により把持される。
次に、図7(c)に矢印で示すように、多関節アーム232が縮むことにより、キャリアF2を把持する把持部233が第2の搬送フレーム220内に移動する。これにより、キャリアF2が第2の搬送フレーム220内で第1のハンド230により保持される。
次に、図7(d)に矢印で示すように、第2の搬送フレーム220が上方に移動する。これにより、キャリアF1を保持する第2のハンド240がオープナー21aに対向する位置のやや上方で支持される。
次に、図8(a)に矢印で示すように、第2のハンド240の多関節アーム242が伸びることによりキャリアF1を把持する把持部243がオープナー21aの上方に移動する。この状態で、第1のハンド230がわずかに下降することによりキャリアF1がオープナー21aの載置部21f上に載置される。そして、把持部243による突起FCの把持状態が解除される。
次に、図8(b)に矢印で示すように、多関節アーム242が縮むことにより、把持部243が第2の搬送フレーム220内に移動する。このようにして、オープナー21aの載置部21f上でキャリアF1,F2の交換動作が行われる。
第1のハンド230により保持された空のキャリアF2は、搬送装置200により他のオープナー21c,21d(図2)および保管棚22d,22e(図2)のいずれかに搬送される。それにより、第1のキャリア搬送工程が終了する。
本実施の形態において、図6(a)〜図6(d)および図7(a)に示される一連の動作は、オープナー21aに載置されたキャリアF2が空になる前に行われる。すなわち、搬送装置200は、オープナー21aに載置されたキャリアF2が交換可能な状態となる時点よりも前に新たなキャリアF1を保持しつつオープナー21aの近傍で待機する(図7(a))。
上記では、オープナー21a上でのキャリアFの交換動作について説明したが、他のオープナー21b,21c,21d(図2)および保管棚22c〜22f(図2)上でのキャリアFの交換動作も同様に行われる。
そのため、搬送装置200は、基板取り出し用のオープナー21b(図2)上でのキャリアFの交換時に、オープナー21bに載置されたキャリアFが空になる前(交換可能な状態となる時点よりも前)に新たなキャリアF(処理前の基板が収納されたキャリアF)を保持しつつオープナー21bの近傍で待機する。
また、搬送装置200は、基板収納用のオープナー21c,21d(図2)上でのキャリアFの交換時に、オープナー21c,21dに載置されたキャリアFに所定数の基板Wが収納される前(交換可能な状態となる時点よりも前)に、新たなキャリアF(空のキャリアF)を保持しつつオープナー21c,21dの近傍で待機する。
(5)制御系
図9は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置1の制御系を示すブロック図である。図9に示すように、図1のメインコントローラ39は、ストッカー装置2、インデクサブロック3、処理ブロック4およびインターフェースブロック5の各構成要素の動作を制御する。
これにより、ストッカー装置2のオープナー21a〜21d、第1〜第4の移動機構M1〜M4、第1および第2のハンド230,240の動作がメインコントローラ39により制御される。また、インデクサブロック3のインデクサロボット34の動作がメインコントローラ39により制御される。さらに、インデクサブロック3の操作パネル90の警報装置91がメインコントローラ39により制御される。また、処理ブロック4の処理部4Uの動作がメインコントローラ39により制御される。
ここで、第1および第2のハンド230,240は、それぞれ図4の多関節アーム232,242を動作させるためのモータとともにエンコーダを備える。また、第1〜第4の移動機構M1〜M4も、それぞれモータとともにエンコーダを備える。第1および第2のハンド230,240ならびに第1〜第4の移動機構M1〜M4においては、モータの動作状態(例えば、モータの回転角度)を示す信号がエンコーダからメインコントローラ39へ出力される。
これにより、メインコントローラ39は、第1のハンド230および第3の移動機構M3のエンコーダからの出力信号に基づいて第1のハンド230に異常が発生したか否かを判定することができる。
例えば、メインコントローラ39は、第1のハンド230への指令に対する第1のハンド230からの出力信号、および第3の移動機構M3への指令に対する第3の移動機構M3からの出力信号に基づいて第1のハンド230が正常であるか否かを判定することができる。
同様に、メインコントローラ39は、第2のハンド240および第4の移動機構M4のエンコーダからの出力信号に基づいて第2のハンド240が正常であるか否かを判定することができる。
これにより、メインコントローラ39は、第1および第2のハンド230,240のいずれか一方に異常が発生した場合に、図6〜図8に示すキャリアFの交換動作を行う代わりに、正常な他方のハンドのみを用いてキャリアFの交換動作を行うことができる。
以下の説明では、図6〜図8に示すように第1および第2のハンド230,240を用いてキャリアFの交換動作を行うストッカー装置2の動作方法を第1の動作モードと呼ぶ。また、第1および第2のハンド230,240のうちの一方のハンドのみを用いてキャリアFの交換動作を行うストッカー装置2の動作方法を第2の動作モードと呼ぶ。
第2の動作モードによるオープナー21a上でのキャリアFの交換動作は例えば次のように行われる。ここでは、第1のハンド230が正常であり、第2のハンド240に異常が発生した場合を想定する。
まず、オープナー21a(図2)上のキャリアFが空になると、第1のハンド230がその空のキャリアFを保持し、他のオープナー21c,21d(図2)のいずれかに搬送して載置する。
次に、第1のハンド230は、受取棚22a(図2)の位置まで移動し、予め受取棚22aに載置されているキャリアF(処理前の基板Wが収納されたキャリアF)を保持する。そして、第1のハンド230は、保持したキャリアFを交換用のキャリアFとしてオープナー21aまで搬送して載置する。
このように、第2の動作モードでは、正常な1つのハンドが、任意のオープナーから交換すべきキャリアFを他のオープナーに搬送した後、交換用の新たなキャリアFが載置された棚(受取棚22a等)まで移動し、その棚に載置された新たなキャリアFを任意のオープナーまで搬送することにより、キャリアFの交換動作が行われる。
図10は、メインコントローラ39による異常判定処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、メインコントローラ39は、第1および第2のハンド230,240が正常であるか否かを判別する(ステップS11)。
第1および第2のハンド230,240が正常である場合、メインコントローラ39は第1および第2のハンド230,240を用いて第1の動作モードでキャリアFの交換動作を行うようにストッカー装置2の各構成要素を制御する(ステップS12)。
第1および第2のハンド230,240の少なくとも一方が正常でない場合、メインコントローラ39は第1および第2のハンド230,240のうちのいずれか一方が正常であるか否かを判別する(ステップS13)。
第1および第2のハンド230,240のいずれか一方が正常である場合、メインコントローラ39は正常なハンドを用いて第2の動作モードでキャリアFの交換動作を行うようにストッカー装置2の各構成要素を制御するとともに(ステップS14)、図1の警報装置91から一方のハンドに異常が発生したことを示す警報を出力させる(ステップS15)。
第1および第2のハンド230,240がともに正常でない場合、メインコントローラ39は第1および第2のハンド230,240の動作を停止し、図1の警報装置91から両方のハンドに異常が発生したことを示す警報を出力させる(ステップS16)。
上記の異常判定処理は、基板処理装置1の稼働中所定の周期で繰り返される。これにより、第1および第2のハンド230,240のいずれか一方に異常が発生した場合に、正常なハンドを用いて基板Wの搬入および搬出を継続することができる。それにより、基板処理装置1の生産効率が著しく低下することが防止される。
なお、メインコントローラ39は、ステップS13において、第1および第2のハンド230,240のいずれか一方が正常である場合に、ステップS14,S15の処理を行う代わりに、第1および第2のハンド230,240の動作を停止し、図1の警報装置91から一方のハンドに異常が発生したことを示す警報を出力させてもよい。
この場合、例えば図2および図3の操作パネル90に、第2の動作モードを指令するための操作部(スイッチ等)を設ける。これにより、警報の出力時に作業者が上記の操作部を操作することにより、正常なハンドを用いて第2の動作モードでストッカー装置2によりキャリアFの交換動作を行うことができる。
(6)効果
(6−a)上記のように、ストッカー装置2において、搬送装置200は第1および第2のハンド230,240を備える。この場合、搬送装置200は、オープナー21a〜21d上でキャリアFの交換を行う際に、載置されたキャリアFが交換可能な状態となる時点よりも前に、予め一方のハンドで交換用のキャリアFを保持しておくことができる。これにより、搬送装置200は、キャリアFの交換時に、他方のハンドでオープナーからキャリアFを取り出した後、一方のハンドが保持するキャリアFをそのオープナー上に迅速に載置することができる。
搬送装置200において、第2のハンド240は第1のハンド230の下方に設けられる。これにより、搬送装置200のコンパクト化が実現される。それにより、基板処理装置1の大型化が抑制される。
これらより、最小限の数のオープナーを設けることにより、基板処理装置1の大型化を抑制しつつ基板処理のスループットを向上させることができる。
(6−b)搬送装置200の第1および第2のハンド230,240は、それぞれ第3および第4の移動機構M3,M4を介して第2の搬送フレーム220に設けられる。また、第2の搬送フレーム220は、第2の移動機構M2を介して第1の搬送フレーム210に設けられる。
これにより、第2の移動機構M2により第2の搬送フレーム220を上下方向に移動させつつ、第3および第4の移動機構M3,M4により第1および第2のハンド230,240を上下方向に移動させることができる。それにより、第1および第2のハンド230,240の上下方向の移動が高速化する。その結果、ストッカー装置2におけるキャリアFの搬送時間を十分に短縮化することができる。
(6−c)搬送装置200の第1および第2のハンド230,240は、それぞれ第3および第4の移動機構M3,M4により独立して上下方向に移動可能である。これにより、第1および第2のハンド230,240を相対的に移動させることができるので、第1および第2のハンド230,240を互いに近接させ、または離間させることができる。これにより、上下方向で制限されたストッカー装置2内の空間を有効に利用することができる。
(7)他の実施の形態
(7−a)図11は他の実施の形態に係る基板処理装置1のストッカー装置2およびインデクサブロック3の一部切り欠き断面図である。図12は図11のG−G線横断面図である。図11の基板処理装置1について、図1の基板処理装置1と異なる点を説明する。
図11および図12に示すように、この基板処理装置1においては、ストッカー装置2の上部が開放されておらず、隔壁31に対向するストッカー装置2の側壁29に開口部29hが形成されている。
さらに、ストッカー装置2の側壁29の開口部29hには、ロードポート80が設けられている。ロードポート80の上面には、4つのロードポート載置台80a,80b,80c,80dが設けられている。
ロードポート載置台80a,80b,80c,80d(図12)は、それぞれ搬送装置200を挟んでオープナー21a,21b,21c,21d(図12)に対向するように配置されている。また、ロードポート載置台80a〜80dの高さは、オープナー21a〜21dの載置部21f(図12)の高さとほぼ等しい。
ここで、図12に太い実線矢印および太い点線矢印で示すように、図4および図5の第1および第2のハンド230,240の多関節アーム232,242は、第2の搬送フレーム220の内部を通してオープナー21a〜21dおよびロードポート載置台80a〜80dに対して伸縮することが可能である。
したがって、多関節アーム232がオープナー21a〜21dおよびロードポート載置台80a〜80dに対して伸縮することにより、キャリアFを第2の搬送フレーム220の内部を通して第2の搬送フレーム220の前後方向(Y方向)に移動させることが可能となっている。
基板処理装置1へのキャリアFの搬入時において、ロードポート載置台80a,80bにはそれぞれ基板処理装置1の外部から図示しない外部搬送装置により搬送されるキャリアFが載置される。この状態で、搬送装置200の第1のハンド230または第2のハンド240がロードポート80に対して進退する(図12の太い点線矢印参照)。これにより、ロードポート載置台80a,80bに載置されたキャリアFが第1のハンド230または第2のハンド240により保持され、基板処理装置1内に搬入される。
また、この基板処理装置1から外部へのキャリアFの搬出時においては、オープナー21c,21dに載置されたキャリアFに処理後の基板Wが所定数収納されることにより、搬送装置200の第1の搬送フレーム210がオープナー21c,21dに対向する位置まで移動する。この状態で、搬送装置200の第1のハンド230または第2のハンド240がオープナー21c,21dに対して進退する(図12の太い実線矢印参照)。これにより、オープナー21c,21dに載置されたキャリアFが第1のハンド230または第2のハンド240により保持される。
保持されたキャリアFは、第1のハンド230または第2のハンド240により搬送装置200の内部(図4の第2の搬送フレーム220の内部)を通してロードポート80まで搬送され、ロードポート載置台80c,80dのいずれかに載置される。ロードポート載置台80c,80dに載置されたキャリアFは、外部搬送装置により基板処理装置1の外部に搬出される。
上述のように、ロードポート載置台80a〜80dの高さが、オープナー21a〜21dの載置部21fの高さとほぼ等しい。これにより、ロードポート載置台80a〜80dとオープナー21a〜21dとの間でキャリアFを搬送する際に、キャリアFを上下方向(Z方向)に移動させる必要がなくなる。その結果、搬送装置200によるキャリアFの搬送経路が短くなり、ストッカー装置2内でのキャリアFの搬送時間が短縮される。
(7−b)上記の実施の形態において、ストッカー装置2の搬送装置200は、第1および第2のハンド230,240を有するが、これに限らず搬送装置200はさらに多数のハンドを有してもよい。
図13は、3つのハンドを備える搬送装置200を説明するための図である。図13においては、搬送装置200の第2の搬送フレーム220内に第1および第2のハンド230,240に加えて第3のハンド250が設けられる。
この場合、2つのハンドによるキャリアFの交換動作中でも、他のハンドによりさらに他のキャリアFを保持することができる。これにより、例えば複数のオープナー21a〜21d、受取棚22a、引渡棚22bおよび保管棚22c〜22fのいずれにもキャリアFを載置できない場合には、他のハンドにより第2の搬送フレーム220内で少なくとも1つのキャリアFを保持することができる。
また、キャリアFの交換動作が、例えば隣接する2つのオープナー間で連続して行われる場合には、予め各オープナーの交換用のキャリアF(新たなキャリアF)を2つのハンドで保持しておく。
これにより、一方のオープナー上でキャリアFを保持していないハンドとキャリアFを保持する一方のハンドとを用いてキャリアFの交換動作を行った後、搬送装置200が他方のオープナーの位置に移動することにより、他方のオープナー上でキャリアFを保持していないハンドとキャリアFを保持する他方のハンドとを用いてキャリアFの交換動作を行うことができる。したがって、搬送装置200による複数のキャリアFの搬送経路が短くなり、ストッカー装置2内でのキャリアFの搬送時間がさらに短縮される。
(7−c)上記の実施の形態において、搬送装置200の第1および第2のハンド230,240は、それぞれ第3および第4の移動機構M3,M4を介して第2の搬送フレーム220に設けられる。これに限らず、第1および第2のハンド230,240を、それぞれ第3および第4の移動機構M3,M4を介して第1の搬送フレーム210に設けてもよい。
この場合、第2の搬送フレーム220が不要となり、搬送装置200の構造が単純化する。
また、上記の実施の形態では、第1のハンド230および第2のハンド240がそれぞれ異なるレール220R上を移動するように構成されているが、第1のハンド230および第2のハンド240は共通のレール上を移動するように構成されてもよい。
(7−d)上記では、オープナー21a,21b上でキャリアFから基板Wが取り出され、オープナー21c,21d上でキャリアFに基板Wが収納される。これに限らず、全てのオープナー21a〜21d上でキャリアFから基板Wが取り出され、キャリアFに基板Wが収納されてもよい。
この場合、各オープナー21a〜21dに処理前の基板Wが収納されたキャリアFが載置され、図1および図3のインデクサロボット34により載置されたキャリアFから処理前の基板Wが取り出される。キャリアFから全ての処理前の基板Wが取り出され、そのキャリアFが空になると、インデクサロボット34により空のキャリアFに処理後の基板Wが収納される。その後、処理後の基板Wが所定数収納されたキャリアFがそのオープナー21a〜21dから取り出される。
(7−e)上記では、インデクサブロック3にストッカー装置2の各構成要素を制御するメインコントローラ39が設けられる例を説明したが、これに限らずストッカー装置2内にメインコントローラ39が設けられてもよい。
また、ストッカー装置2内に、ストッカー装置2の各構成要素を制御するスレーブコントローラを設けてもよい。これにより、既存の基板処理装置1にストッカー装置2を容易に適用することができる。なお、この場合、ストッカー装置2のスレーブコントローラはメインコントローラ39により制御される。
(7−f)上記の実施の形態では、処理部4Uにレジスト膜用塗布処理部、熱処理部および現像処理部が含まれる例を説明したが、これに限らず処理部4Uは基板Wの表面を洗浄する洗浄処理部を含んでもよい。また、処理部4Uは、基板Wの表面に反射防止膜を形成する反射防止膜塗布処理部を含んでもよいし、基板Wの表面を保護する種々の保護膜を形成する保護膜塗布処理部を含んでもよい。
(7−g)上記の実施の形態では、キャリアFとしてFOUPを用いる例を説明したが、これに限らず、キャリアとしてSMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドおよび収納基板を外気に曝して保持するOC(open cassette)を用いることもできる。
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態では、キャリアFが基板収納容器の例であり、インデクサブロック3、処理ブロック4およびインターフェースブロック5が本体部の例であり、オープナー21a〜21dの載置部21f、受取棚22a、引渡棚22bおよび複数の保管棚22c〜22fが複数の載置部の例である。
また、第1のハンド230が第1の保持部の例であり、第2のハンド240が第2の保持部の例であり、第1の搬送フレーム210、レール200Rおよび第1の移動機構M1が水平移動機構の例である。
さらに、第1の搬送フレーム210、第2の搬送フレーム220、一対のレール210R、一対のレール220Rおよび第2〜第4の移動機構M2〜M4が上下移動機構の例である。
また、第2の搬送フレーム220が支持体の例であり、第2の移動機構M2が支持体上下移動機構の例であり、一対のレール220Rのうちの一方のレール220Rおよび第3の移動機構M3が第1の保持部移動機構の例であり、一対のレール220Rのうちの他方のレール220Rおよび第4の移動機構M4が第2の保持部移動機構の例であり、一対の側板222がそれぞれ第1および第2の支持部材の例であり、メインコントローラ39が制御部の例である。
さらに、オープナー21a〜21dの載置部21fが少なくとも一部の載置部の例であり、オープナー21a〜21dがオープナーの例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。