JP5586324B2 - 除電ブラシの除電性能評価装置およびそれを用いた除電性能評価方法 - Google Patents
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Description
そこで静電気帯電を除去するもう一つの手法として、除電ブラシが上げられる。
しかし、イオナイザの除電特性を評価する方法はIEC規格61340−5−1に規定されているが、除電ブラシに関してはどのように効果を確認すれば良いか不明な点が多く、除電ブラシの評価方法に関する規格はなく、準拠化されていない。このような状況で、除電ブラシ稼動前後の帯電体上の除電性能を定量的に評価できないという問題があった。
今後、実際の現場での除電ブラシ適用の可能性は高く、多数市販されている除電ブラシの除電効率を本装置から明らかにし、最適な除電条件を決定することができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る除電ブラシの除電性能評価装置の構成図である。
この発明の実施の形態1に係る除電ブラシの除電性能評価装置は、評価対象である除電ブラシ1により除電される帯電物2を保持する保持部材3と、除電ブラシ1を支持する支持部材4と、支持部材4を移動させる移動部材5と、支持部材4に支持される除電前表面電位プローブ6と、支持部材4に支持される除電後表面電位プローブ7と、除電ブラシ1による除電前後の表面電位差を測定する電位測定装置8と、を備える。
また、帯電物2と除電ブラシ1が接触することで、帯電物2の電荷がブラシ繊維42を通じて緩和されて除電される場合もある。但し、帯電物2の静電エネルギーを利用するため、帯電物2が高電位に帯電している必要がある。除電ブラシ1の特徴としては、電源不要で低コスト、メンテナンスが容易、狭い場所に取付け可能であり、電気電子機器製造工程での静電気帯電の除電に適している。
移動部材5は、盤11上に縦立する柱14と、支持部材4を上下方向に移動する図示しない送り機構とから構成される。
支持部材4は、移動部材5により上下方向に移動され、支持部材4の中央に除電ブラシ1を支持する支持部15が設けられている。そして、除電ブラシ1の除電性能を評価するときには除電ブラシ1の進行方向を上から下とする。なお、進行方向を下から上としても良い。
また、支持部材4には、除電ブラシ1の進行方向に向いて除電ブラシ1の前方に除電前表面電位プローブ6、除電ブラシ1の進行方向に向いて除電ブラシ1の後方に除電後表面電位プローブ7が設けられている。
本発明では除電ブラシ1の進行方向の後方直後に除電後表面電位プローブ7を設置しているので、ブラシ除電後の電位の確認に5秒以上かけないので、除電ブラシ1以外の緩和の影響を受けずに測定することが可能である。
図5は、この発明の実施の形態2に係る除電ブラシの除電性能評価装置の標準ヘッドの側面図である。
この発明の実施の形態2に係る除電ブラシの除電性能評価装置では、この発明の実施の形態1に係る除電ブラシの除電性能評価装置のそれぞれ水平に配置される除電ブラシ1、除電前表面電位プローブ6および除電後表面電位プローブ7を支持板21に固定して標準ヘッド22として一体化したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
このように除電ブラシ1、除電前表面電位プローブ6および除電後表面電位プローブ7を一体化した標準ヘッド22を移動することにより、同種の除電ブラシ1の個体差や異なる種類の除電ブラシ1間の差を、常に一定条件で、帯電物2の電荷除去を除電ブラシ1のみによる除電効果として確認できるので、除電ブラシ1以外の電荷の緩和の影響を受けずに、各除電ブラシ1の除電特性の比較が可能である。
図6は、この発明の実施の形態3に係る除電ブラシの除電性能評価装置の側面図である。
この発明の実施の形態2に係る除電ブラシの除電性能評価装置では標準ヘッド22が移動部材5により上下方向に移動されるが、この発明の実施の形態3に係る除電ブラシの除電性能評価装置は、標準ヘッド22が固定部材23に固定されている一方で保持部材3Bが図示しない移動機構により上下方向に移動される。
従って、帯電物2や除電性能評価装置の状況に応じて除電ブラシ1の除電性能が測定可能である。
なお、実施の形態1乃至3に係る除電ブラシの除電性能評価装置では、除電ブラシ1または帯電物2を上下方向に移動しているが、除電ブラシ1または帯電物2を水平方向に移動しても良い。
図7は、この発明の実施の形態4に係る除電ブラシの除電性能評価装置の側面図である。
この発明の実施の形態4に係る除電ブラシの除電性能評価装置は、この発明の実施の形態2に係る除電ブラシの除電性能評価装置にマイクロメータ24、速度可変モータ25および駆動装置26を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
マイクロメータ24は、帯電物2と除電ブラシ1との距離を可変するために支持部15を移動する。
速度可変モータ25は、除電ブラシ1の移動速度を可変するために支持部材を柱に沿って上下に移動する。
駆動装置26は、速度可変モータ25を制御して除電ブラシ1を上下に移動する。
除電ブラシ1と帯電物2の配置の条件は、例えば、以下の4つとする。各条件での状況の説明図を図8に示す。
第1条件:接触(接地あり):除電ブラシ1の先端部と帯電物2を接触させる。その際除電ブラシ1は接地する。
第2条件:5mm離間(接地あり):除電ブラシ1の先端部と帯電物2を5mm離す。除電ブラシ1は接地する。
第3条件:押付(接地あり):除電ブラシ1の先端部を5mm曲げて帯電物2に押し付ける。除電ブラシ1は接地する。
第4条件:接触(接地なし):除電ブラシ1の先端部と帯電物2を接触させる。除電ブラシ1は接地しない。
マイクロメータ24を使用して除電ブラシ1と帯電物2の位置関係を各条件になるようにし、速度可変モータ25により除電ブラシ1を帯電物2上で移動した後の帯電物2の表面電位を測定した。その結果を図9に示す。帯電物2へのブラシの接触回数(ブラシ回数)を横軸に、縦軸に帯電物2の表面電位をプロットする。積層された複数のシリコンシートからなる帯電物2から表面に積層された1枚のシリコンシートを剥離し、剥離直後の帯電電位(ブラシ回数0回目に対応)は除電前表面電位プローブ6で測定される。いずれの条件でも、表面電位の平均は8000V付近にあり、除電ブラシ1が接触した後に除電後表面電位プローブ7で測定した値は、どの条件でも約1000V付近にまで低下する。
図10は、この発明の実施の形態5に係る除電ブラシの除電性能評価装置の側面図である。
この発明の実施の形態5に係る除電ブラシの除電性能評価装置は、この発明の実施の形態4に係る除電ブラシの除電性能評価装置に制御・判定装置27を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
制御・判定装置27は、電位測定装置8と、駆動装置26から入力される入力信号から、判定結果を求める。
除電ブラシ1を帯電物2上で移動した後の帯電物2の表面電位を図9に示したが、シリコンシートの剥離直後の電位はマニュアル制御できないので、除電条件の違いにより、帯電物2の電位値だけではどれぐらいの効果があるのかを明確に評価できない。
そこで、これらの結果から除電条件の違いにおける除電効率を検討した。シリコンシートの剥離直後の電位に対する除電ブラシ1を接触した後の電位の割合を、各除電条件での除電率として示した。
図11では、横軸には除電ブラシ1の接触で除電した回数を示し、縦軸には表面の1枚のシリコンシートを剥離した直後の電位に対する除電ブラシ1により除電された後での電位の割合(%)を示す。割合(%)が大きいほど効率が良い。除電ブラシ1により帯電物2を接触(接地あり)の除電条件で除電した場合の除電率は90%以上で最も効率が良いことが分かる。接触(接地なし)の場合や5mm離した場合は、除電率も80%台であり、効率は接触(接地あり)よりも低いことが確認できる。
また、押付(接地あり)の場合も4回までは効率が良いが、ブラシの接触回数が増加するに従って、新たな接触帯電による電荷発生のため徐々に割合が低下することが分かる。
ブラシは市販の6種類(A〜F)について実施した。除電条件は除電効率が最も良いところの除電ブラシ1を帯電物2に接触(接地あり)した場合で比較した。いずれの除電ブラシ1も回数とともに表面電位が低下する。製品の中でもブラシ製品(A、B、C)は、接触回数が1回目で2000V以上である。ブラシ製品(E)では2000V以下に低下させることができ、ブラシ製品(D、F)はブラシ回数が1回目で表面電位は1000V以下に低下させることができる。
この発明の実施の形態6においては、この発明の実施の形態5に係る除電ブラシの除電性能評価装置を使用して除電ブラシの除電性能を評価する手順について説明する。
ステップS1において、帯電物2を保持部材3により保持し、帯電物2を帯電する。帯電物2が積層された複数のシリコンシートの場合、表面の1枚のシリコンシートを剥離して残された積層されたシリコンシートの表面に帯電した電荷を除電する。
ステップS2において、帯電表面電位を測定する前に、マイクロメータ24を制御して帯電物2に対して除電ブラシ1のブラシ先端部が接するように調整する。
ステップS3において、駆動装置26から速度可変モータ25を駆動して除電ブラシ1のブラシ先端部が帯電物2の表面をなぞるように除電ブラシ1を一定速度で移動する。
このステップS3では、除電ブラシ1の移動に伴い、帯電物2の除電ブラシ1の前方の位置の表面電位を除電前表面電位プローブ6により測定され、帯電物2の除電ブラシ1の後方の位置の表面電位を除電後表面電位プローブ7により計測される。
ステップS4において、計測された除電前表面電位と除電後表面電位が制御・判定装置27に入力されて各除電条件での除電効率が算出される。
ステップS3において、除電ブラシ1が帯電物2の下端に到達すると、帯電物2の除電前の初期表面電位と除電ブラシ1を帯電物2の全長に渡って移動することによる1回目の除電後の表面電位との測定が完了する。
それから、ステップS2〜S4を繰り返すことにより、除電ブラシ1による複数回の除電による除電効果を確認することができる。
このようにして計測された除電前表面電位のデータと除電後表面電位のデータを制御・判定装置27によりいずれの除電条件が最適であるかを判定することができる。
図13は、この発明の実施の形態7に係る除電ブラシの除電性能評価装置の側面図である。
この発明の実施の形態7に係る除電ブラシの除電性能評価装置は、この発明の実施の形態5に係る除電ブラシの除電性能評価装置に帯電プレート31とDC電源32を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
帯電プレート31は帯電物2の除電ブラシ1に対向する面の裏面に固定される金属板である。なお、帯電プレート31は金属板でなくても良く、シートやフィルムでもDC電源32から電圧が印加できればどのような状態でも良い。
DC電源32は帯電プレート31に接続されており、スイッチをオンすることによりDC電源32で発生する直流電圧が帯電プレート31に印加され、除電ブラシ1に対向する帯電物2の面に電荷が誘起される。
この発明の実施の形態8においては、この発明の実施の形態7に係る除電ブラシの除電性能評価装置を使用して除電ブラシの除電性能を評価する手順について説明する。
ステップS11において、帯電物2を保持部材3により保持し、帯電物2の裏面に固定された帯電プレート31に、接続するDC電源32からスイッチをオンにして直流電圧を印加する。すると、帯電物2の除電ブラシ1に対向する面に電荷が誘起される。
ステップS12において、帯電表面電位を測定する前に、マイクロメータ24を制御して帯電物2に対して除電ブラシ1のブラシ先端部が接するように調整する。
ステップS13において、駆動装置26から速度可変モータ25を駆動して除電ブラシ1のブラシ先端部が帯電物2の表面をなぞるように除電ブラシ1を一定速度で移動する。
このステップS13では、除電ブラシ1の移動に伴い、帯電物2の除電ブラシ1の前方の位置の表面電位を除電前表面電位プローブ6により測定され、帯電物2の除電ブラシ1の後方の位置の表面電位を除電後表面電位プローブ7により計測される。
ステップS14において、計測された除電前表面電位と除電後表面電位が制御・判定装置27に入力されて各除電条件での除電効率が算出される。
図14は、この発明の実施の形態9に係る除電ブラシの除電性能評価装置の側面図である。
この発明の実施の形態9に係る除電ブラシの除電性能評価装置は、この発明の実施の形態5に係る除電ブラシの除電性能評価装置に恒温恒湿槽33を追加したことが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記し説明を省略する。
帯電物2に帯電した静電気は湿度の影響を受けやすく、湿度が高い場合、除電ブラシ1以外による電荷緩和の影響が大きくなるので、除電ブラシ1単独での除電性能を評価することが難しくなる可能性がある。そこで、除電ブラシ1や帯電物2を恒温恒湿槽33内に納めながら除電ブラシ1により帯電物2を除電することにより、湿気の影響を排除して除電ブラシ1の除電性能を正確に見極めることが可能である。
Claims (7)
- 除電ブラシの除電性能を評価する除電評価装置であって、
除電対象の帯電物に接触または近接している上記除電ブラシを、上記帯電物に対して相対的に移動するようにする移動手段と、
上記除電ブラシを先導するように上記帯電物に対して相対的に移動しながら上記除電ブラシの前方の除電前の上記帯電物の表面電位である除電前表面電位を計測する除電前表面電位プローブと、
上記除電ブラシに後続するように上記帯電物に対して相対的に移動しながら上記除電ブラシの後方の除電後の上記帯電物の表面電位である除電後表面電位を計測する除電後表面電位計プローブと、
を備え、
上記除電ブラシを動かして上記除電ブラシの上記帯電物に対する位置を調整するマイクロメータと、
上記除電ブラシの移動速度を可変する速度可変モータと、
上記マイクロメータおよび上記速度可変モータによって設定された除電条件において計測された上記除電前表面電位および上記除電後表面電位から、除電による効果を除電効率として定量的に算出する制御・判定装置と、
をさらに備えることを特徴とする除電ブラシの除電性能評価装置。 - 上記除電ブラシ、上記除電前表面電位プローブおよび上記除電後表面電位プローブが支持板に取り付けられるとともに一体として移動する標準ヘッドを備えることを特徴とする請求項1に記載の除電ブラシの除電性能評価装置。
- 上記除電ブラシまたは上記帯電物のいずれか一方を移動することを特徴とする請求項1または2に記載の除電ブラシの除電性能評価装置。
- 上記帯電物の上記除電ブラシに対向する面の裏面に固定される帯電プレートと、
上記帯電プレートに接続されるDC電源と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の除電ブラシの除電性能評価装置。 - 上記帯電物を囲繞して上記帯電物の周囲の温度および湿度を制御する恒温恒湿槽を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の除電ブラシの除電性能評価装置。
- 上記請求項1乃至5のいずれかに記載の除電ブラシの除電性能評価装置を用いて除電ブラシの除電性能を評価する除電性能評価方法であって、
上記帯電物と上記除電ブラシとの位置関係を所定の除電条件に合致するように調整するステップと、
上記除電ブラシを上記帯電物に対して相対的に移動させながら上記帯電物の上記除電ブラシにより除電される前の表面電位および上記帯電物の上記除電ブラシにより除電された後の表面電位を計測するステップと、
を含むことを特徴とする除電ブラシの除電性能評価方法。 - 上記請求項4または5に記載の除電ブラシの除電性能評価装置を用いて除電ブラシの除電性能を評価する除電性能評価方法であって、
帯電プレートに直流電圧を印加することにより帯電物を帯電するステップと、
上記帯電物と上記除電ブラシとの位置関係を所定の除電条件に合致するように調整するステップと、
上記除電ブラシを上記帯電物に対して相対的に移動させながら上記帯電物の上記除電ブラシにより除電される前の表面電位および上記帯電物の上記除電ブラシにより除電された後の表面電位を計測するステップと、
を含むことを特徴とする除電ブラシの除電性能評価方法。
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